クロスカルチャー コミュニケーション

リトアニア (ヴィルニュス)

熟睡から目覚めるとバスはすでにヴィルニュスのバスターミナルに停車していた。ラトヴィアのリーガとリトアニアのヴィルニュスを結ぶ国際バス、エコラインで、リーガを午前7時すぎに出発し、午後12時前にはヴィルニュスに着いていた。国境を超えるときを除けば、ずっと寝ていたので、寝ぼけ眼でバスを降りる。南に下っているのに寒い。近くの銀行で両替し、ターミナルの向かいにあるホテルにチェックインした。目の前にあるマクドナルドでお昼を食べ、このままベッドで寝てしまおうかという誘惑に負けそうになったとき、ベラルーシのビザに期限があることを思い出した。パスポートに貼り付けられたビザを確認する。明日入国しなければ無効になってしまうことがわかった。身支度を整え、バスで旧市街へ向かう。

聖カジミエル教会をのぞき、旧市庁舎をながめつつ、ビッフェ式のカフェでソーセージ、キャベツの酢漬け、スパゲティを食べながら、ビールを飲む。観光する気はさらに失せるも、迷路のような旧市街を教会をのぞきながら歩く。とにかく教会が多い。
ゲディミス城の隣り、ヴェリニスの中心に建つ、大聖堂(主教座教会)にたどり着いた。信者にまじり腰を下ろし、クラシック様式の内装に目を凝らす。日曜日だったこともあり、礼拝をしている人が多く、厳粛な空気が漂っていた。ソ連時代、手荒く扱われたであろう教会が、これほど復興していることに驚く。大聖堂にある三聖人の像も独立後の1996年に再び据え付けられたものだと聞いた。

ヴィルニュスの雰囲気を堪能しようと正統派リトアニア料理を食べさせてくれるというレストランに入る。店内は、リトアニアのカントリー風で民族衣装を着て給仕をしていた。お勧めの料理は、チキンカツレツにコンソメスープというので頼む。ついでにビールも。鶏のフライにナイフを入れるとバターと香草が出てくる。そえものはじゃがいもと生野菜。おいしいのでビールをおかわりしてしまう。もっとも、これは、キエフスキーと書いてあったので、ウクライナ料理ではとも頭によぎったが、おいしいので無視した。

ただひとつ残っている城門、夜明けの門をくぐり、ヴィルニュス駅へ行き、ベラルーシの首都ミンスクまでのチケットを買う。発車時刻が、午前6時26分と知りめまいがした。ヴィルニュス駅は、バスターミナルから徒歩1分のところにある。したがって、わたしの泊まっているホテルからも近い。それだけが救いだった。

ホテルのフロントで鍵を受け取り、エレベーターで4階へ上る。とつぜん、ライトアップされた旧市街の幻想的な夜景が目に飛び込んできた。よく見ると、エレベーターホールの旧市街側一面がガラス張りになっている。椅子に腰を下ろし、しばし眺める。1泊朝食付きで80リタスのところをまけてもらって72リタス約2500円のホテルにしては悪くない。もちろん部屋はそれなりだったけど。