2026年62月27日
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載11
保護・地域住民との共同によって、
対抗軸の構築を
和光大学教授 山本 由美
グローバル都市シカゴにみる高校再編
これで最後ですが、私の研究がシカゴ市(人口270万人、アメリカ第3位のグローバル都市)の学校教育をテーマにしているということなので紹介したいと思います。
私は、東京のモデルとしてアメリカのシカゴ市をみていました。シカゴは、かつて(70〜80年代)製造業の町だったのです。それが、金融、サービス、不動産、多国籍企業の本社という劇的な産業構造の転換がありました(以上、再録)。
「グローバルエリート」向けの学校と
グローバル都市のアジェンダのなかの教育のあり方において、「グローバルエリート」を育てる学校はつくらなければならない。だけどエリートを支える低所得サービス業従事者も必要になってくる。
エリートを支える低所得サービス業向けの学校を分ける
完全に「グローバルエリート」向けの学校とエリートを支える低所得サービス業向けの学校を分けるわけですね。もう最初から分けてしまうわけです。
エリートを支える大量の非エリートが必要だということで、その時言っていたのが、8年生程度、すなわち中学2年生程度の学力を備え、清掃、サービス、運輸、医療、情報などの職種につく地元の労働力が必要だと。だから、その程度の学力で低所得の人たちはいいのだという改革と、それに次のことをプラスするというわけです。
それは、製造業というのは意外と学力を求められるもので、一定程度の学力をもって製造業につく人たちが多数いた時の学校では対応できなくなってくるので、(8年生程度の学力の)低所得サービス業の学校をつくる。
そうすると余剰人材(生徒)が出てくる、この余った人材(生徒)をどうするか、どういう学校をつくるかということで、シカゴ市はいろいろな取り組みを行い、変な学校をつくるのです(1995年シカゴ学校改革修正法、地元財界の教育要求反映、市長・教育委員会の統制)。
「従順な態度」とともに「排除」のためのゼロトレランス
従順な8年生程度の学力をもった生徒を育てるのと、それにあわない人(生徒)は排除する、つまり学校の規則を厳しくするゼロトレランス政策というのが、真面目な生徒を育てるのと、いらない人(生徒)は排除するのに使われたわけです。
シカゴ市、貧困地域の学校を統廃合し
シカゴ市は学力テストの「結果」を梃子にして、たくさんの貧困地域(90%がアフリカ・アメリカンのコミュニティ)の学校を閉校にすることによって、公設民営化したチャータースクールをどんどんつくっていきました。
公設民営のチャータースクール化
保護者・地域住民と教職員との共同という対抗軸を生み出す
それが、地域の反対の勢力との対抗軸を生み出し、地域住民・保護者と教職員組合とが、統廃合反対で共同して対抗していく運動を生み出しました。
神奈川県で対抗軸をどのようにつくるか
それでは、神奈川県でどのように対抗軸をつくっていったらよいのか。
地域住民・保護者との共同が課題
他県に比較して、神奈川県は教育条件整備がよくないというか、極端に悪いのです。少人数学級導入の時に、全国の36人以上学級について調べていました。そうすると、神奈川県は中学校の36人以上学級率が全国ワーストワンなのです。中学校は、ダントツに悪かったです。小学校は。埼玉、東京、愛知につぐワースト4位だったのです。
高校も定員割れとかというのではなくて、特色化のもとに統廃合され、結局全日制や定時制高校にいけない子とか、悪い教育条件のままであるので、そういうことを梃子に、地域住民・保護者と教職員との共同ができないかなと思っています。
地域との共同をどのようにつくっていくのかが、課題だと考えています。
(以上、連載終了)
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載1
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載2
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載3
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載4
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載5
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載6
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載7
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載8
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載9
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載10
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