2025年12月22日
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載9第V期計画(2024〜2027年度)
定時制狙い撃ち6校募集停止
神奈川の高校再編の進め方
あらかじめ決まっているものに併せる
和光大学教授 山本 由美
第V期計画(2024〜2027年度)
V期計画では、統廃合対象の高校が(中卒者が減らない地域にも)拡大されたのが特徴といえます。
対象校拡大(中卒者減らない地域にも) 定時制狙い撃ち6校募集停止
さらに、定時制6校が募集停止の対象になっているということで、定時制が狙い撃ちにあったと言ってよいと思います。横浜翠嵐、向の岡工業、磯子工業、茅ケ崎、伊勢原、秦野総合6校が2026年度以降募集停止ということですね。
V期計画の資料を読んだら、今後、他の定時制高校の志願状況に応じて募集を再開する場合もあると記されているのですが、本当にそのようなことを行うのでしょうか。書いているだけですか。
この定時制6校については、翠嵐(3学級規模)だけが2学級以上の生徒数、他の5校(2学級規模)は、1学級程度の生徒数となっていて、2学級以下という基準を下回っているというわけです。
ただこれは、産業構造の転換によって、かつては工場とか製造業で働く子どもの学ぶ場であった定時制がすごく様変わりして、不登校の子が一時期すごく増え、今は外国籍の子が多くなっています。また、本来の役割を果たせなくなったとか、教育費がかかる、コストが高いと言われることがあります。
定時制6校の募集停止
定時制6校を募集停止にしても、県内から1時間以内で通学できるとか、津久井高校を除いて最寄り駅から15分以内と記されていますが、本当にそうなのでしょうか。
本当に1時間以内で通えるのか
そうであっても、普通科、専門学科をはじめ学校の特色などを考えると、単にどこかの定時制なら通えるということでよいのでしょうか。
「令和の日本型教育」に併せる高校再編か?
あと、2022年に出された「令和の日本型教育」のなかで、普通科高校にスクールミッションの策定による特色化の要請、さらに専門高校に産業界の人材養成への特化という要請がなされています。
今、「令和の日本型教育」ということとで、文科省が新しい施策をすすめるにあたって、高校再編の方向性を示しているなかに、神奈川の高校再編とつながるものがみられます。
総合学科を減らす方向性が神奈川でもありますよね。今、総合学科を減らす県とそうでない県との違いがすごくあります。なぜ、神奈川県ではこんなに総合学科を減らすのかということを聞いてみたら、総合学科はコストかかる、お金いっぱいかかるからとのことでした。
総合学科は、科目をいくつもつくらなければならないので、コストの高い総合学科をやめて、「令和の日本型教育」が言っているような、普通科でスクールミッションを策定しているタイプの学校に移す。それが、コストがかからず、効率的で、人材育成向けでよいということに、神奈川の高校再編はなっているのではないでしょうか。
神奈川の高校再編・統廃合の進め方
第V期計画の進め方というところに、「新校のめざす姿に沿った教育課程を編成し、課外活動や学校行事などにおいても、両校の特色が新校に活かされるようにすすめていく」と書かれています。
あらかじめ決まっているものに併せる
その主体となるのは、校長、教員、事務職員、教育局職員からなる準備委員会であり、そこでその都度、基本的コンセプト、教育課程等をつくるとされています。
でも、準備委員会をつくる前、すなわち両校を統合する時に、特色はすでに設定されています。すなわち教育委員会であらかじめ決まっているものに併せて、基本的コンセプトや教育課程等をつくることになると思います。
(連載9につづく)
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載1
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載2
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載3
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載4
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載5
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載6
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載7
講演「神奈川県の高校統廃合問題を考える」 連載8
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