SSCnote.ホ−ムペ−ジ: 宇宙技術者の心得
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==SSCnote.HP-74= 1 Jan 2014=======****SPACE
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(since
1998/03/08)
==ご感想は→Eメイルアドレスは、goro-shirako(小文字半角)に@mui.biglobe.ne.jp==
[SSCnote.ホ−ムペ−ジ、トップへ戻る]
宇宙技術者を志す貴方へ−−手創りの宇宙開発の実践
■ はじめに('98/5/1)
私が社会人になった年に人類初の人工衛星「スプ−トニク1号」が打上げられ、宇宙から発信される電波を感動しながら聞いたのが第一歩で、以来<宇宙技術者・宇宙技術士>の道を40余年間歩んでこられた幸せに感謝しつつ、先達や同輩の皆さんと得た技術へのこだわりの貴重な体験を中心に<宇宙技術者の心得>を下記の内容でまとめてみます。宇宙技術者を志す貴方に少しでも参考になれば望外の喜びです。
<宇宙技術者の心得>は、単に精神面や言葉に留まる事無く、倫理観をもって開発現場での実践に結びつかせることが大切であることは言うまでもありません。プロの宇宙技術者の道を拓くのは貴方自身ですが、技術者を継続的に育成(人材、人物 → 人財化)する仕組みを構築することが大切であることも申し添えておきます。
■ 技術心を育む : 「宇宙教育センタ−」開設
■ 宇宙システムの特徴: 宇宙環境;スペースデブリ問題を注視 参考:世界の宇宙開発力の比較
■ 宇宙開発の特徴
■ システム技術力
■ 宇宙プロジェクト成功の鍵
■ 宇宙技術者の心得 宇宙応援メッセージ”宇宙開発は謙虚に!そして大胆に!!”
宇宙開発の教訓-日本の宇宙開発の足跡
最近の衛星寿命の傾向、<参考図:世界のロケット失敗率>、日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
わが国の周回衛星の寿命と電力システムへの私見-「だいち」運用終了を機に-(追補版)(pdf)
Newより確かな衛星開発・利用への思い 2014(pdf)
より確かな衛星開発・利用への思い 2013(pdf)
より確かな衛星開発・利用への思い 2012(pdf)
宇宙開発と倫理観
■ 手作り衛星への道
New 手作り衛星製作者の心得 - もう一つのCubesat物語 - 参考;日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
New 第17回衛星設計コンテストの今!
新ロケットH-UBで学生・超小型衛星(副衛星)打ち上げ/宇宙ゴミ対策を提唱
超小型衛星の宇宙のデブリ化への意見、Update一老宇宙技術士の学生衛星との交わりと想い(意見)
New 宙の会論壇にリンク;小型衛星No.7;学生衛星の確かなモノづくりに期待
■ あとがきにかえて
:(期待と生涯学習)
■質問に答えて: Update 技術士・資格試験受験のあらまし&一次試験体験談FAQ
おことわり *適宜、出版・更新しますが、成り行きでその展開や趣旨が変わることがあることを
予めおことわりしておきます。
*宇宙工学としての教科書的参考書は、●宇宙デ−タベ−スのペ−ジに紹介
New 「第3版 航空宇宙工学便覧」が2005年11月に刊行
*日本の宇宙開発の苦難の足跡書を、 ●宇宙情報のペ−ジ・日本の宇宙開発及び巻末に紹介。
(斎藤成文著・日本宇宙開発物語他)
■ 技術心を育む ('98/5/1)
■ 技術心を遡る
子供の頃の手近な木ぎれに始まったモノづくりや泥んこ遊びに興じた自然との触れ合いが高じて根付いた<ワクワク、ドキドキする心><探求する心>、そして<挑戦する心>が自分の技術心の形成に大きく影響したと思っています。中学生時代はいわゆるラジオ少年で、すでに将来は技術者になろうと決めていましたのも、親や恩師の導きの中で<子供の頃のキッカケ>が選択したことでした。以来、好きで、また技術屋として宇宙開発に永年携わってこれた幸せに感謝します。その<心>を青少年・少女や若い技術者に<伝承>するのが、これからの自分のライフワ−クと決めています。
その[技術心]は
・ 常に物事に興味をもち、情熱、執念をもって挑戦する。
・ 粘り強く、工夫をし、成果を確認する。
・ 使命感をもち、苦労を進んで処理する。
・ モノ創りの魅力・難しさを大切にする。
・ 現場に出て判断する。
■ 「星」を創る
「星(人工衛星)」を創ることにロマンが有るとすれば、<未知なる宇宙>に高度な技術に加えて経験にもづくヒラメキ(枯れた技術)を駆使して挑戦するあたりでしょうか。
先輩が私の星創りの様を詠んでくれました。
”手づくりの衛星(ほし)の囁き、聞くごとき心地するとふ、若き技術者(たくみ)ら” − 雨 日 山 人 −
■ 技術心を育む環境づくりの実践・提言
現代の時の流れの速さに変化があったとしても、<子供の頃のキッカケ>が人の形成に大きく影響することには変わりがないと思いますし、技術の良い継承には<温故知新>の精神に基づくことが大切との認識から、次の環境づくりの実践・提言に取り組んで行きたいと思います。
・草の根活動・・・今、私が取り組んでいることですが、皆さんも行動を起こせる事から実践しては如何。
−日本宇宙少年団(YAC)・わたらせ分団活動や地域子供会等で親子共々<遊びを通じて科学(宇宙)やモノ創りの面白さ>を体験指導。
−地域教養講座等での<宇宙開発・利用の理解>の普及・啓蒙の出前活動を通じて、科学(宇宙)を志す青少年・少女への応援団造り支援。
−宇宙に興味を持っているアマチュアグル−プ等(アマチュア衛星通信愛好家等)への参画。
・教育現場への提言
−科学(宇宙)に対する興味をより多くの青少年・少女に共有して貰い、理科離れを是正するためにも教育現場主導が重要で、その為には科学各分野の現場の研究者・技術者と連携した学習や体験の場造りの充実が急務ではないでしょうか。
−モノ創りの楽しさ、重要性を体得する環境(工作・実験室、科学館、指導者)の確保・活用と現場研究者・技術者との交流・招聘で科学教育の活性化を試みては如何でしょうか。
New−「JAXA・宇宙教育センタ−」が設立・開設しました(19 May 2005)。 大いに活用しましょう。
・合い言葉は「宇宙が子どもたちの心に火をつける」(的川泰宣JAXA執行役・同センター長)
・研究・開発現場への実践・提言
−技術(心)の良い継承には、a)ベテラン技術者と若手技術者育成の連携や、b)蓄積デ−タ(失敗事例を含む)の生かし方が肝要との観点で<宇宙技術者の心得>をまとめてみたいと思います。
−研究・開発機関及び産業界は先人的視点で研究者・技術者の派遣や教材提供等で教育現場に対して幅広い支援の一層の推進が急務ではないでしょうか。
★ 私なりの永年の宇宙開発への取り組み姿勢(信条と意志)
・宇宙(環境)を侮らず
・宇宙システムの臍の緒は通信
・技術はウソをつかない
・現場主義
・技術・信頼性文化は人の絆 (信頼と倫理観、人づくりで継承と伝承、そして発展)
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Update
■ 宇宙システムの特徴 (Update'99/03/07)
■ 宇宙開発・利用の歴史的認識
宇宙誕生から百数十億年、科学・技術の世の中になって約200年、航空機を操ること約100年。そして今、宇宙に人工の天体を創り('57)、地球以外の天体(月)に人類の足跡を印すことに成功('69)し、宇宙開発の成果は私たちの文化・生活に多くの恩恵をもたらすと共に不可分な存在になりました。 これまでに、バンアレン帯の存在はじめ宇宙の構造の解明や高真空・微小重力下での体験などから得た多くの知見・経験や利便性は図り知れません。
それでは人類は既に宇宙の事を地球上並に知り尽くしたのでしょうか?。それはまだまだでしょう。<宇宙を侮ってはいけない>と思います。宇宙技術者は温故知新、宇宙との係わりに真摯に取り組むことが肝要と思います。
Update 22 Mar 2008
− 参考:宇宙開発史上の主な出来事 → 世界と日本の宇宙開発の歴史(JAXA-HPへリンク)
・1944 V2ロケット
・1945 A.Cクラ−ク(2008年3月18日没・90歳):世界衛星通信網を提唱
・1955 日本初のロケット発射実験:ペンシルロケット
・1957 人類初の人工天体(衛星):スプ−トニク-1
・1961 人類初の宇宙飛行:ガガ−リン
・1969 人類初の月面着陸:アポロ11号
・1970 日本初の人工衛星打上げ:おおすみ
・1975 宇宙開発事業団初の人工衛星打上げ:きく
・1981 スペ−スシャトル初飛行
・1984 レ−ガン大統領・宇宙ステ−ション計画を提言
・1985 日本初の惑星(ハレ−彗星)探査機打上げ:さきがけ/すいせい
・1986 スペースシャトル「チャレンジャー号」打上時の空中爆発事故
・1990 元TBS記者の秋山さんが日本人初の宇宙飛行
・1992 毛利さん・宇宙飛行
・1994 H-IIロケット初打上げ
・1998 宇宙ステ−ション建造開始
・1999-2000 H-U-8/M-V-4打上げ失敗
・2001 H-UA初打上げ成功(2002~2003:1-5号機連続成功)
・2003 スペースシャトル「コロンビア号」帰還時の空中分解事故
・2003 M-V-5/MUSES-C打上成功(我が国打上再開連続6機成功)
・2003 みどりU、H-UA-6、のぞみ(火星探査機)の事故
・2005 H-UA-7号機で、打ち上げ再開に成功(MTMTSAT-1R:ひまわり6号)
・2006 「だいち(2006.1)」、「きく8号(2006.12)」の大型衛星の軌道上運用開始
・2007 月周回衛星「かぐや(2007.9)」の月軌道での観測開始(世界初のHDTV他)
・2008 ISS日本実験棟「きぼう」建設開始&実験開始
・2009 「かぐや」月への制御落下でミッション終了、若田宇宙飛行士ISS長期滞在、「きぼう」建設終了、HTV/H-UB打ち上げ予定
Update 25 Jul 2009
− 参考:世界の宇宙開発力等の比較
世界の宇宙開発:宇宙開発力の比較
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日本 |
米国 |
欧州/ESA |
・投入差 |
|
|
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−衛星初打上年 |
70:おおすみ |
58:エクスプローラ |
62:英・エアリアル |
−政府資金累計(~07) |
約6兆円 |
約135兆円(~04) |
約13兆円(~04) |
−政府予算('07) |
約2.5千億円 |
約1.7兆円(04) |
約7.5千億円(04) |
・技術力差 |
|
|
|
−有人宇宙活動 |
宇宙経験者6人 |
宇宙経験者297名 |
宇宙経験者36人 |
−宇宙往還機 |
(研究?) |
スペースシャトル |
− |
−グローバスシステム |
− |
GPS/イリジウム |
− |
−衛星打上(~07) |
126機 |
1854機 |
271機 |
−商業衛星供給(~98) |
2機(CS) |
235機 |
64機 |
−ロケット能力:静止 |
4〜5トン |
4 〜8.7トン |
6.8〜10トン |
−売上規模('99) |
約$2.6B |
約$39.6B |
約$7.7B |
世界の宇宙開発:宇宙輸送機/衛星の比較(2008年末現在)
宇宙輸送系の比較 衛星の打上げ実績
国名等 |
ロケット等 |
打上能力(静止:トン) |
|
|
国名等 |
機数(前年比) |
日本 |
H-IIA |
4.2〜5.8 |
|
|
ロシア/旧ソ |
3274(+26) |
|
(M-V |
1.8(低軌道)) |
|
|
米国 |
1880(+26) |
米国 |
アトラスX |
4〜8.7 |
|
|
欧州/ESA |
289(+18) |
|
シャトル |
24(低軌道) |
|
|
日本 |
137(+11) |
欧州 |
アリアンX |
6.8〜10 |
|
|
中国 |
117(+13) |
中国 |
長征2F/3A |
2.3/3.5 |
|
|
その他 |
362(+23) |
|
|
|
|
|
合計 |
6059(+117) |
|
|
|
|
|
|
|
Update
参考:世界のロケットの失敗率の比較図
日本のロケット打上げ実績(JAXA-HPへリンク)
→2002年以前のNASDA人工衛星実績
→1994年以前のNASDA打上げ実績/ISAS衛星打上げ実績
Update
■ 宇宙の環境について
宇宙の理解や利用を進めていくための基本的な知識として<電磁波を理解>することが必要でしょう。全ての物質の特定は電磁波によって可能であること、太陽からの強烈な電磁波、宇宙空間での通信媒体としての電磁波等々、電磁波を理解することなしに宇宙への挑戦は叶わずと言って過言ではないと思います。 加えて宇宙空間ならではの次の特徴的な環境の存在を理解し、その影響を開発・利用に反映しなければなりません。
・ほぼ真空:大気は非常に希薄、アウトガス/材料表面の腐食/静電放電等による機器の損傷が起こります。
・ほぼ無重力:慣性飛翔する宇宙機では力学的な違いによる影響や新素材等の創製の可能性があります。
・強い放射線:太陽や銀河系からの宇宙線はバンアレン帯を作ったりして半導体や植生物に損傷や影響。
・厳しい熱環境:宇宙空間(4K)へのエネルギ−放出と太陽や地球からの放射エネルギ−のバランスが重要。
・スペ−スデブリ等:宇宙に漂う宇宙塵、打上げたロケットの残骸、衛星同士等との衝突可能性が急速に高まっている。
Update
20090210;米・イリジウム33衛星と露・COSMOS2251が軌道上で衝突・宇宙ゴミ発生
NASA;Orbital Debris Quartly News
学生衛星の宇宙のデブリ化への意見・・・私見
宙の会;「宇宙ゴミをどうする」シンポジューム
このほかにも宇宙活動に際して配慮しなければならない打上げ時や宇宙の環境は多くあり、新たに得られる知見を含め<確実にデ−タベ−ス化し、忠実に反映>することを宇宙技術者は肝に銘じておきたい所です。
Update'99/11/13
■ もう一つの2000年問題「11年周期の太陽活動が最盛期に・・・”スペ−スY2K”(仮称)」
「西暦2000年問題(Y2K:Year2kilo)」というとコンピュ−タ(スパコン−PC−マイコン)内部での日付処理の誤認を世界規模で対応する課題で、すでに多くの手が打たれているところですが、実は「2000年」にはもう一つの宇宙規模での問題が予想されます。
それは”約11年周期で繰り返す太陽活動の極大期”が来年:2000年の前半に当たると予想されているからです。宇宙環境の太陽活動の影響は大きく、ひとたび太陽表面で大きな爆発現象(フレア)が起きると、高エネルギ−粒子、x線、太陽風などが発生して地球周辺の地磁気、電離層、宇宙放射線環境等を乱し、人工衛星の動作に障害を与えたり、通信への影響や前回(11年前:1989年)にカナダ・ケベックでの大停電の再現も心配されます。既に私たちの生活は宇宙利用に負うところが多く、太陽活動を「もう一つのY2K」として注目したいと思います。
今後、関連する話題(宇宙環境:宇宙天気予報:太陽地球環境情報、人工衛星の不具合他)をコメントします。
★ 太陽活動情報他と顕著な障害事象記録
・2003/10-11に太陽活動が活発化して、衛星の異常動作や電波障害が発生
・1999/11/17-18に再度ピ−クになる「しし座流星群」からの衛星回避検討
・・・大型アンテナ/パドルの方向制御及びミッション中断等
・1999/08/30:2つの太陽フレアが発生し、電波・地磁気活動は活発でしたが障害は無い模様
・1998/11/17-18にピ−クになる「しし座流星群」からの衛星回避
・・・大型アンテナ/パドルの方向制御及びミッション中断等
・1998/08/27 ・磁石星(SGR1900+14)からの強力ガンマ線が地球を直撃、軌道上衛星の機能一時停止発生
■ 宇宙システムの構成
21世紀の宇宙は、人類にとって陸・海・空に続く第4のインフラストラクチャ−としての活動の場でしょう。 それを実現する宇宙システムの構成は次のように体系化できますが、目的に適った利用システムを実現するため、各々をトレ−ドオフして総合的に組み合わせる<システム技術力やマネジメント力>が重視されます。
・軌道上等システム:有人・無人、衛星・プラットホ−ム・ステ−ション・惑星基地等の多様な利用システム
・輸送系システム:軌道上システムと不可分な関係で開発され、打上げ信頼性やコストが注目されます
・地上システム:打上げ・回収、追跡管制、運用、利用を包含します
■ 宇宙システムの特徴
宇宙技術者にとっては、宇宙の環境に代表される<未知との遭遇>や打上げや軌道上での不遇による<リスク>は宿命と言って良いでしょう。それ故、<天命を信じて人智を尽くす>姿勢を貫くことが大切と私自身達観しました。
・信頼性
*宇宙環境に留意した上で、地上システムの一桁も二桁も高い信頼性を作り込む。
*一回の成否で評価される一発勝負である。水物と言われないためにも、特に製造・試験・運用に細心の注意
*要は宇宙システムの基本は一品手作り的な視点で細部まで把握する
・宇宙基盤技術の堅持:基盤技術の検証や基本的なデ−タの取得、宇宙実証での視覚的確認を心掛ける
・地上技術の宇宙化:安かろう・早かろう・悪かろうに陥らないように注意して、確立された地上技術を宇宙化
*最近気になること:確立された地上技術の代名詞にもなっている自動車の欠陥リコ−ルが年々倍増
:ル・マン24H自動車耐久レ−スは宇宙システムの縮図を見るようで注目に値
:航空機事故、鉄道事故等に見られるように安全対策に万全はなし。初心に立ち返る
・事故の多くは基本で思わぬミス:設計過誤是正。デ−タ、手順に忠実たれ。手抜き/手抜かり/油断大敵
・信頼性/性能とコスト:信頼性/性能を確保した上でのコストダウン実現に腐心せよ
・宇宙環境保全:宇宙活動の安全性確保のためにスペ−スデブリ不拡散を配慮したシステムの開発
・宇宙システムは「ハイリスク・ハイリタ−ン」:防御策は「予備システム」、「保険」等による再挑戦の留保か?
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■ 宇宙開発の特徴
(Update'98/10/17)
ロケット・衛星・宇宙ステ−ション等に代表される宇宙開発は、大規模・複雑でありながら、保守・修理の出来ないシステムで、さらに近年は低コスト化と短納期化が加速しています。この様なシステムの開発を効率よく進めるには、プロジェクト的対応が必要で、そのマネジメントの良否が開発の成否を左右されます。
■ 宇宙開発の特徴
・宇宙開発の特徴
宇宙システムは、
*広範な技術分野の融合(交流)と統合されたシステムで、
*膨大な構成要素からなり、
*それらを結ぶ複雑なインタフェ−ス
に代表されます。開発には、極めて高い信頼性・品質が要求され、多額の経費と未経験への挑戦やリスクが高いなどの課題が多く、そのシステムエンジニアリングにはプロジェクト的対応と、体系的・組織的なマネジメントが必要です。
・産業上の観点から見た特徴
産業上から見た宇宙開発は、典型的な知的集約型で多数の専門技術者の生産性向上が課題になります。
その対策として技術開発段階で、リカリングコストを下げる設計及び開発期間を短縮製造する方法を実現することがポイントで次の施策が不可欠になるでしょう。
*コンカレントエンジニアリング環境の構築
*衛星等システム・サブシステム・コンポネントの各レベルにおける設計・製造の標準化・量産化
*地上システムのハイテク技術の宇宙化、そのためのスクリ−ニング、品質管理手法の確立
*開発体制、プロジェクト管理手法の簡素化
そのための方策として、宇宙産業の情報化/CALS適用が急がれます。CALS適用の効果は情報
(インタフェ−ス図面、仕様書、部品材料)共有から開発期間の短縮、コスト低減に結びつくことになります。
*品質保証:世界に通用する品質保証の方式として、従来の、メ−カが顧客に保証する(主観的な品質保
証)から、国際標準化機構が制定したISO9000方式の第3者認証によって客観的に保証されたシステム
が主流になろうとしています。
■ プロジェクトマネジメント
・段階的開発とライフサイクル
宇宙開発に普及している段階的プロジェクトプランニング(PPP)はNASAによって完成されたもので、大規模なシステムを高品質を維持しながら、確実に効率よく遂行するのに適しています。システムの段階区分を設定し、その間にマイルスト−ンを置き、それぞれで意志決定をすることによりリスクを最小限にしながら着実にシステムを纏めます。重要なマイルスト−ンは開発開始と製作試験への移行時です。
・プロジェクト・プランニング
プロジェクトの運営に際して最も重要なことは次の二つに要約されます。
*プロジェクトの基本方針が明確であること
*マネジメントが体系的であること
プロジェクトの業務展開にあたっては、その基本方針に沿って筋道立った方法で作業区分構成(WBS)や開発ステップ/スケジュ−ル等のプランニングを具体化します。
・開発計画管理の具体化
プロジェクト遂行を確実にする目的で、プログラム管理の各種計画文書を制定し、実行します。
・WBS(work breakdown structure)
WBSは、衛星等の開発において全体のシステム(最上位)から順次サブシステム、コンポ−ネント等へと構成要素を階層に従って、もれなく区分し、定義するもので、これを基に開発計画の組織、スケジュ−ル、契約、調達、情報等の体系や体制を相互に関連づけながら作成します。
・開発体制
宇宙開発は規模が大きく、関係する組織、人員も多く、長期になるので、これらを有機的に機能させ目標を達成させる開発体制が必要になります。更に品質保証、安全性の確保の観点から、プロジェクトマネ−ジャと並んで信頼性・品質・安全性管理マネ−ジャが置かれる事が必要です。 また、プロジェクトやシステムの内容や規模によっては、専門別のマネ−ジャの組入れを行います。
■ 宇宙システム企業の役割と要件の概要 ('98/9/26)
a)取りまとめ・顧客支援・・・システム技術・マネジメント力
*開発フィロソフィ−の統一
*ミッション運用とシステム技術の整合
*システムと構成要素の整合
*要素技術の現状把握と将来技術の識別・開発計画立案
*技術等審査の実施と受審
*仕様書・見積・契約・監督・検査・納入・運用等の実施
*全日程計画
b)開発設計・試験・・・システム・要素技術力
*システム実現手段の最適化:顧客要望−機能検討−技術的実現性評価−コスト評価−費用対効果
のサイクル検討とトレ−ドオフを実施して最適化。
*構成要素の技術開発と指導
*不具合・設計過誤対策の徹底
*システム開発試験・運用の計画・実施・評価
c)製造・工程管理・・・技能・マネジメント力
d)コスト管理・・・マネジメント・コストコントロ−ル力
*コスト低減活動
e)信頼性管理・・・技術・マネジメント力
*各種信頼性情報・デ−タ収集と活用
f)品質保証 ・・・技術・マネジメント・アフタ−サ−ビス力
*ISO9001第三者認証取得:宇宙企業の最近の取得状況・'98/10米SS/L、'98/7日NEC、'98/6日東芝
*品質管理
*変更管理
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■ システム技術力
('98/9/26)
システムエンジニアリングは、プロジェクトの目的を達成させるために、数々の作業を方向付けして一つのシステムに纏め上げることです。つまり要求を満足するシステム設計を行い、これを実現するために種々のエンジニアリングを駆使して、その業務や機器を一つのシステムに統合(インテグレ−ト)することです。
主な業務は
・要求の仕様化
・エンジニアリングの整合・統合
・インタ−フェイス調整
・段階的プランニング
・WBSの作成・管理
システム設計におけるトレ−ドオフ作業は、主に機能・性能、重量・電力、コスト、スケジュ−ル及び信頼性の相互間の最適解を求めることで、その結論としてシステムの決定の他、開発方法、試験規模、品質レベルなどプロジェクトの主要な技術的課題の方向付けをします。
■ システム技術力を高める
このシステムエンジニアリングの力量<システム技術力>の評価は
・システム技術力の評価パラメ−タ=人の能力、行動力及び数で計られ、評価の分かれは、
a)要素技術で低いレベル/欠如が無いか。
b)システム要求レベルを保有レベルが満足しているか。
c)人の動き/行動力(統率、迅速、信用)が良いか。
となります。
そこでシステム技術力を高める方法は、
a)要素技術の信頼度を高める。→技術の健全化
b)構成全体で機能的に要素の弱点/欠点を補う。→機能的信頼性向上
c)技術判断の確信レベルを増やす。→経験、年期、感/ヒラメキ
d)人の信頼性を増す。→過誤/手抜き防止
突き詰めるとシステム技術力とは、人の「能力」と「行動力」が結果を生み、評価されると言えます。
■ システム技術者の人的要素を列記 ('98/9/26)
・人的資質
束ねる力と謙虚さが不可分。
a)総合的な目配りと責任感。
b)厳しい監督力。
c)段取り・手際の良さ。
d)創造・構想を実現する熱意・意思と実行力。
e)トラブル解決力。
f)時と場合には政治力。
・システムエンジニアへの道
a)専門技術をしっかり身につける。
b)積極的に他専門技術を修得し、公平な判断力を養う。
c)平素から目的をつい遂行して行く段取りを身につける。
d)システムエンジニアとしての将来像を持つ。
・育成計画/環境要件
a)プロジェクトへの積極参加。
b)的確なロ−テ−ション計画
c)サブシステムの立場からシステム作業を習得。
d)文化のある組織作り。
・技術・技能継承の責任
温故知新、技術開発・技能習得し、共有し、継承し、財産とする。
克服しなければならない、継承の阻害要因を列記。
a)新規人材不足。
b)習得時間がとれない。
c)指導者不足。
d)資金不足。
e)適当な研修の場が不足。
f)継承方法が判らない。
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■ 宇宙プロジェクト成功の鍵
('98/10/17)
衛星開発のように巨大なプロジェクトを成功させるカギは何か。画期的な特効薬が有ろうはずはないが、経験的に得た要点を集約してみた。
■ プロジェクト成功のカギ
・プロジェクトの重要性の認識
・フィロソフィを持った推進
・技術・業務インタフェイスの捌きの成否
・蓄積経験の継続的活用
・国際プロジェクトの克服
・情熱・愛着のある推進
■ 具体的施策例
・段階・継続的なPR/オリエンテ−ションで関係者のコンセンサスをとる
・ビジュアルマネジメントで方針・体制・スケジュ−ルを公開
・プロジェクト立ち上げ手順の早期構築・維持
・インテグレ−ションを担うキ−パ−ソンの確保:プロジェクトマネ−ジャ/システムマネ−ジャ
・face−to−face communication
誠実さを持って:歩み寄り、譲り合い
・経験/勘所による意志決定の適宜組み入れ
・正確性・迅速性の実行
*現場主義・・・パトロ−ルによる把握/状況判断
*不具合の撲滅
*CALS:汎用設計・管理ソフトの活用
*設計過誤防止
+設計に係わる人間の単純なミス(ヒュ−マンエラ−)により発生する誤り(いわゆる、ウッカリ、ボンヤリ、勘違い、思い込み、盲点、
解釈の違い等)で、図面・手順書等の細分化された技術指示文書に内在するため、製造現場での品質管理での発見は難しい。
+要因例:インタフェイス、設計変更、極性/方向性、冗長系の構成など。
+防止策:過去の過誤事例の認識、マトリクスやチェックリストの活用、体制強化・・・。
・ミッション達成の評価基準を持つ:性能・コスト・納期
・リスクマネジメントプランを持つ
*'80年代のリスクマネジメントの例−我が国初の海洋観測衛星「MOS-1」プロジェクトの場合
+共同開発方式の完遂:開発フェ−ズの初期に設計統合、インタフェイス早期整合に連絡事務所活用
+開発スケジュ−ルのキ−プ:部品調達の共同化でベンダ−管理の強化、既開発品の活用
+大型柔軟構造:設計パラメ−タの細分化と最適許容値配分、大型太陽電池パドルの減衰係数測定
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Update 1 Mar 2012
■ 宇宙技術者の心得
宇宙技術者の心得について述べるに当たり、宇宙開発を応援する私の気持ちを紹介したい。
<毎日新聞・2000年2月8日(火)朝刊−オピニオンワイド・みんなの広場−投稿掲載文を転記('00/2/13)>
”宇宙開発は謙虚に!そして大胆に!!” 技術士 白子 悟朗 61 東京都目黒区
「21世紀は宇宙時代」との思い入れで、わが国宇宙開発に応援メッセージを送りたい。
通信、地球観測や宇宙科学など、人類にとって宇宙技術は不可欠。国力としても宇宙開発と宇宙産業は不可分関係で、先端的・継続的な努力が必要である。さらに21世紀の主人公である子供たちに宇宙時代実現の夢を託すためにも宇宙開発を謙虚に、かつ大胆に進めたい。
宇宙システムではH-IIロケット打ち上げ連続失敗のように、すべてが一瞬で無に帰する。謙虚にその教訓を生かすのが世に応える唯一の道である。 併せて効率化・原価低減の限界を誤認することは手抜きにつながる。携わる者が、愛着と使命感をもってヤル気を出せる環境づくりと”やることはきちんと、だめなものはだめ”などの倫理観の自覚が求められる。
そして、国民・社会の声を反映した大胆な宇宙ビジョンを得意な技術・分野で立案・実行することが宇宙文化創造につながる。
★ 皆さんからのご意見・反響等を要約
・国民理解は本音、リスクのアピール努力が必要
・国の技術開発とは何かを常に追求せよ
・連続失敗.物作りの軽視の風潮,が根底では製造技術上の問題を懸念.技能のソフト化急務
・宇宙の規模になると,馴れ合いでは済まない
■ プロジェクトマネ−ジャの育成
大規模システムである宇宙システムプロジェクトを効率よく、確実に遂行する最大のポイントは、人材、とりわけプロジェクトマネ−ジャの手腕によるところが大であると言って過言でない。それ故、プロジェクトマネ−ジャの輩出・育成の成否は事業遂行にとって大きなファクタ−です。
プロジェクトマネ−ジャは、多種多様な技術を有機的・効率的に結合し、総合化を図ると共に、その組織力を機能的、集約的に発揮することが出来る人です。即ち、プロジェクトの計画・組織化から、顧客・パ−トナ−企業(国内外)との交渉力、経営能力までも要求されるので全天候型人間であると共に束ねる力量が求められると思います。
New!2000/01/30
<参考>
束ねる:棟梁(とうりょう)に学ぶ
大工の棟梁
諸職の頭:大工の中の知恵・才覚のある人
世間の敬意がある
束ねる:
諸職(鳶、左官…)を束ねる。・・分業ではない
総指揮官:技量・腕+責任感・管理監督能力・倫理観、CSM…
プロジェクトはまた、プロジェクトマネ−ジャをサポ−トする広範な技術者の総体としての技術レベルが高いほど、且つレベルが揃っているほどエンジニアリングも高度化します。
その様なプロジェクトマネ−ジャの育成法を列記してみます。
・基本方針:技術屋の神様を輩出(するつもりで取り組む)
そしてその予備軍も併せて育成
・施策 :プロジェクトキ−パ−ソン研修
・周辺・関連業務研修
・プロジェクトスタッフ研修
・プロジェクトエンジニアリング研修
・プロジェクトマネジメント研修
:技術者階層別教育
・事業教育
・基幹研修
・自己啓発研修
:法定・国家資格(例えば、技術士資格)等の取得研修
:プロジェクト要員の選択人事の実行
■ 宇宙技術者の育成
1) 技術者教育について
宇宙技術者と云えども、物づくりの本質:設計−試験−運用−評価等までの一連の作業を実習・経験することが大切でその教育内容を列記すると。
・仕様書の重要性の認識
*設計への展開の十分な検討
・設計標準/基準の遵守とべからず集(不具合事例)の活用
・管理の仕組みの修得
・信頼性/品質管理の徹底
・設計日程管理の徹底
・回路設計/インタ−フェイス設計/実装設計/構造設計法の修得
・試験技法の修得
・設計・評価審査の徹底
・原価意識の徹底
・高付加価値製品取り扱い上の注意意識徹底
・技術者としてのしつけ
等が挙げられ、これらを技術者指導員制度等の導入により、各階層での人材育成の大切さを定着させることが大切です。
また、技術・技能の継承の基本的な在り方は
・常に継続して技術力・技能力の向上・維持を図る
・管理職/上位技術者は自己の研鑽に努めると共に、体得した技を後継者に引き継ぐ 義務がある。
これが日常的に行われるのが好ましい。
2) 技術者のしつけ
”しつけ”の発端は、過去の生々しい体験(特に失敗経験)からの貴重な所産で、後日同じ失敗を繰り返さないように、他山の石としてのものです。
・自分の技術を過信しないこと
・急ぐ仕事ほど、最悪のケ−スを想定したダメ押しが大切
・充分な事前調査と準備を怠らないこと(日頃の調査が功を奏する)
・当然のことと思っても、確認のダメ押しが大切
・仕事は組織で行うことの認識(システムでは個人プレ−は禁物。特にインタフェイスの確認はダブルチェックが不可欠)
・管理者/上位技術者の指示や指導無くして、仕様・設計変更や不具合箇所の修正を行わない
・顧客に与える影響を考えて、改良を考えること
・いい加減な話に基づいて仕事を行わないこと
■ 宇宙技術者の心得
1) 宇宙技術者マインド(心)
・宇宙に対し情熱・情愛そして感動を持つ。
・システム実現に、多種多様な技術を有機的に・効率的に結合・融合させ、総合化を図る。
・プロジェクト/システムマネ−ジャをサポ−トし、その予備軍でもある各専門技術者もさらに幅広い周辺技術・関連業務知識・不具合事例の理解で自らを武装する。
・システム−装置開発の一サイクルの経験を大切にする。
・設計技術者は物作り(ソフト/ハ−ド)のための各分野(製造、製管他)の界面活性剤として、現場の日常を把握する。 ・・・開発現場のパトロ−ルと現場での判断が重要。
・CAD/CAM/CATの多彩な利活用を心掛ける。
・技術者の能力向上には(1)自力で設計する機会を得ること(2)遭遇した課題に対して排寝忘食的な経験が役立つ。
・相互理解と信頼。
・宇宙システムを成功させる基本的な原動力は、携わる技術者等の強い情愛とこれを良い物にしようとする情熱。
New!2000/01/30
2) 宇宙技術者の心得
2−1) 宇宙技術者の心得
・宇宙開発の特徴に対峙?
*極めて高度の信頼性、品質を要求
→効率化・原価低減の限界誤認は手抜きに至る
→特別点検は特効薬にあらず
*大規模・複雑なシステム
→宇宙を侮ってはいけない・・・宇宙環境での物性特性をシステム設計に確実に結びつけることが肝要
→開発(設計・製造…)の透明性が結果を生む
→現場主義に回帰…現場の尊重と改善
*長期プロジェクト、打上げ時期厳守
→安易な計画変更は悪循環
・技術の伝承
*技術(形式知)と技能(暗黙知)は両輪
→技術:デ−タベ−ス化やマニュアル化知識
→組織や体制の中で発展・増殖させることが重要
*技能:熟練者のノウハウ
→五感通じた知識
→ノウハウを如何に言語化・数値化・図表化するか
*枯れた技術とヒラメキ、教訓と責任意識
New!2000/10/24
・安全の心得
*技術開発の動機は「生活を豊かにする」ために、「不可能を可能にする」、すなわち「危険を安全にする」
→「技術開発」の神髄は「安全の確保」
→そのために、技術開発の中に潜む人間の過誤(ヒュ−マンエラ−)の存在の認識と技術者の安全に対
する心構えが肝要。
*過誤(ヒュ−マンエラ−)の要因・・・前述:プロジェクト成功の鍵−設計過誤も参照
→知らない:知識がない。教えられていない。
→出来ない:経験がない。
:意図は正しかったが操作を間違った。
:意図が誤ってそのまま誤操作。・・・ミス・思いこみ
→やれない:量、工程、環境、時間が適当でない。
→やらない:意図的にやらない。面倒くさい。・・・省略、近道、違反
*犯しやすい事故
→初心者の事故:作業全体を理解していない
:曖昧なままの判断で行動する
:結果の危険を予測できない
:報告・連絡・相談(報連相)をしない
→熟練者の事故:慣れで無意識の行動
:誤った判断で一連の行動
:作業効率にこだわり、うまくやろうと過剰意識
:全体の生産性にこだわる
:熟練者としてのメンツにこだわる
:自動化を敬遠
3)宇宙開発と倫理観 ・・・ SSCnoteホームページ 宇宙開発提言 参照
3−1) 技術者の倫理
宇宙技術者のみならず「だめなものはだめ」の倫理の自覚と教育が必要。 日本技術士会訳編の「科学技術者の倫理−その考え方と事例−」が丸善から出版されています。 今、倫理問題が関心を呼んでいますが、本書は理工学教育や企業内教育で大変参考になります。 原書は米国の大学教育での技術倫理の教科書で「Engineering
Ethics-Concepts and Cases」です。
New
3−2) 宇宙開発と企業倫理;2012年1月の防衛・宇宙での過大請求問題に思う
1997年の防衛調達品不正請求に端を発した官と民の不適切な関係から10数年経た今の時代に、またまた宇宙関連も含む防衛調達品の過大請求問題が発生し注目されています。 宇宙開発に身をおく一人として技術者・企業の倫理と真摯に対峙してきた積りで、この度の事案に対する今の気持ちを綴ってみました。
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宇宙開発は過大請求問題から信頼を取り戻せ!(1 Mar 2012)
技術士 白子 悟朗 73 (東京目黒区)
防衛・宇宙企業の過大請求問題は、企業倫理に背き、宇宙産業への不信と、国民の宇宙開発への期待に水をさす事態と考える。
私は2000年2月8日付本欄に”宇宙開発は謙虚に!大胆に!!”と題した応援メッセージを送り、その後のH-UAロケットの連続打上や「はやぶさ」、災害時の宇宙技術活躍等の成果を見守り、新宇宙政策や事業展開を注目していた。 と云う今の時代に本事案の不正行為を起こし、一部報道の血税を民間宇宙事業に付け替えたことが事実ならば、当該企業の責任は計り知れず、拙速な返還や再発防止策で終息せず、国民の宇宙開発、宇宙産業への信頼回復への迅速な行動の責も有ろう。
この事態の教訓は、当該企業に止まらず、公用・公共や産学支援等の宇宙プロジェクトが血税であることを喚起し、さらには宇宙は探究心や将来がある若人・子ども達にインパクトがある目標である側面からも信頼回復が求められるとして注視したい。
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Update 17 May 2011
■ 宇宙システムの軌道上不具合の主原因と検証・対策の例Update!99/05/19
衛星等宇宙システムは打ち上げの失敗は勿論、「軌道上での不具合」はミッションを一瞬に”喪失”します。 不幸にして発生した不具合を分析し以降のシステムへの反映はもとより、若い宇宙技術者への教育のためにも大いに参考になると考え順次整理しています。尚、これら不具合のデ−タは必ずしも公式発表されない場合が多いので独自に調査・推測したものもあることをお断りします。
Update 1 Apr 2007
1) 軌道上で発生した不具合主原因の例
不幸にして発生した事故も、不具合解析から明らかになった原因の排除をその後の開発・運用に的確にフィ−ドバックすることで多少とも救われます。調査した事故例(ミッション全損/分損等)からの主原因を出来るだけ体系的に表してみました。
<損害区分> 不具合事象/部位 主な事例 主要因
−−−+−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−
<全損>
−−−電力供給不能
Update ・IGS-R1 ・詳細不明
(電源系が原因で機能停止と発表)
−−−電源回路故障 ・UME ・バッテリ熱制御
・TELSTAR-401 ・回路短絡?
・INSAT2D(ISRO) ・回路短絡
・EalyBird-1(OSC) ・電源異常低下?
・PAS5+PC1+GY8i+HGS(H) ・バッテリ劣化
−−−太陽電池パドル故障 ・STEP-4(TRW) ・展開機構不作動
・Ecostar4(LM) ・展開機構固着
・ADEOS ・BLK破損
・ADEOS-2 ・回路短絡(発熱&帯電)
Update! ・JERS-1 ・回路短絡(配線材劣化?)
−−−姿勢軌道制御不能
・Iridium X8機? ・???
−−−制御回路故障 ・GALAXY4(HSC) ・SCPリレ−短絡
・Lewis(TRW)姿勢軸誤り ・設計過誤/体制
−−−アクチュエ−タ故障 ・ETS-VI静止化出来ず ・AKE-LV構造設計
・SUPERBIRD-A(SSL) ・スラスタ損傷
・JCSAT-1(寿命10→7yr) ・?(燃料漏れ)
−−−ミッション不能
−−−中継器故障 ・BSE(2/3系統寿命短縮) ・TWT高電圧放電
・BS-2a(2/3系統短寿命) ・TWT熱設計
・Iridium X1機 ・???
−−−観測機器 ・DENPA:科学観測 ・高電圧放電
―ーースペースデブリ衝突による全損
−−− ・090210イリジウム33/COSMOS2251衝突
http://www.sat-index.co.uk/failures/iridium33.html
・070112中国・ミサイルによる衛星破壊実験(人為的破壊)
・060328露Express-AM11とデブリ衝突事故
http://www.sat-index.co.uk/failures/ekspressam11.html
・960721仏CERISEとデブリ衝突事故
http://www.sat-index.co.uk/failures/cerise.html
−−−+−−−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−
<分損>
−−−電力供給不調
−−−電源回路故障 ・PAS-5+P-C1+GY8i(HSC) ・バッテリ劣化(寿命短縮?)
−−−太陽電池パドル故障 ・MOS-1(運用で回避) ・設計過誤:取付
・BS-3a(2/3系統運用) ・配線短絡
・Tempo-2(SSL) ・GaAs短絡
・PAS-6(SSL) ・GaAs短絡
・GOSE-10(運用で回避) ・駆動装置故障
・DRTS、USERS ・セル間等配線不良?
−−−姿勢軌道制御不調
・Iridium X8機 ・???
−−−制御回路故障 ・GXY7+DBS-1+PAS4(HSC) ・SCPリレ−短絡
−−−センサ故障 ・MOS-1/クロス冗長抜け ・配線欠落:過誤
−−−アクチュエ−タ故障 ・PLANET-B(新軌道) ・LV構造(輸入)
−−−衛星遠隔制御不調
−−−電子回路 ・BS-2bテレメ不調 ・マイグレ−ション短絡
・COMETS計画外軌道 ・放射線劣化顕著
−−−運用 ・各種衛星 ・搭載ソフト/手順誤り
−−−統合制御 ・各種先端小型衛星 ・SW
& HW
−−−ミッション不調
−−−中継器故障 ・ECOSTAR-3(4/44系統) ・TWT
・Afristar ・信号回路静電
−−−アンテナ展開故障 ・ETS-VI ・展開モニタ不調
・JERS-1-SAR展開不調 ・展開機構不調
・PAS-7(2/7ANT不調) ・アライメント誤?
−−−その他
−−−パドル収納不可 ・SFU太陽電池(投棄) ・微小重力環境
2) 主な軌道上不具合に対する検証項目と対策の例
一般論になるところもあるが代表的不具合から教訓される検証項目とその対策例を示します。
開発等段階区分 主な検証項目 変更・改造・改善
−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−
・設計−−−−− *設計過誤:座標&機械的取付 ・フ−ルプル−フの考え方
:冗長接続 ・マトリックス/チェック
*宇宙環境:微小重力環境 ・展開機構設計/モニタ強化
:宇宙放射線環境 ・SEU&SEL等耐性設計
:高真空&電離環境 ・高電圧放電、SED耐性設計
Update! :原子状酸素 ・材料特性の劣化対策
*統合制御:アルゴリズム ・統合設計&試験
*寿命 :バッテリ ・寿命試験&BCR設計
:リレ−内ウイスカ ・部品情報&調達管理
・製造−−−−− *配線組立:マイグレ−ション ・特殊工程管理
:配線接触&短絡 ・目視検査、導通/絶縁試験/材料・実装吟味
*SWバグ:HW/SW総合機能確認 ・シミュレ−ション
*軌道上運用の早期での不具合 ・試験方法、時間の最適化
・運用−−−−− *運用体制: ・
*手順書 : ・
・その他----- *宇宙デブリ対策
New'99/04/03
3) 軌道上運用の早期での不具合発生の傾向
私見として、最近の軌道上不具合の傾向を幾つかのケ−スに分類してみました。これらは特定されたものではありませんが、宇宙技術者は注目に値すると思います。
a) 衛星製造期間の短縮による、作り込み品質の低下・・・LEO通信衛星群:84機打上げで12機に不具合
b) 部品スクリ−ニング方法の不足による部品故障 ・・・標準バスでリレ−、バッテリやTWTAが短命
以上は通信衛星などの商業利用目的の衛星(早く、安くが第一条件)に見られます。
c) 開発評価不足・過誤 ・・・研究衛星事例:Lewis、WIRE、ADEOS-PAD他
New 1 Apr 2007
4) 最近のわが国の地球周回低軌道衛星の寿命の傾向について 宇宙デ−タベ−ス・衛星の寿命を参照
地球周回低軌道衛星の設計寿命は、日陰/日照サイクル、バンアレン帯や原子状酸素の影響を受け易く、
・バッテリ寿命
・部品・材料レベル;宇宙放射線等での劣化/機構系磨耗劣化等による動作寿命がある機器類と冗長度
・太陽電池発生電力の劣化
および
・搭載する燃料量
などで多くは決まります。衛星開発に対し設計寿命を設定すると、その寿命を達成するためのそれぞれの適当値を決めます。打ち上げ後は、ほとんどの場合、燃料やバッテリで寿命が決まっていますが、それも軌道投入誤差の程度や運用の仕方で大幅に差が付いてきます。特に、R&D衛星では多くの新規要素の採用もあり、設計寿命は1−3年と低く設定しますが(実績からは5年以上)、実際にはこの期間で寿命を終了するものは不測の事故によるもの以外無いのが実状です。また、一部のミッション機器が寿命を全うしたとしても、即運用停止することはなく、何らかの後利用で貢献することが一般的です。
わが国の過去20年間の地球周回低軌道衛星の寿命(故障を含む)を見ると、~2000年までの寿命が5年以上は確保されていたのに比較すると2000年以降では多少短い傾向と電源回りの致命的な事故が多くなっていると分析でき、衛星開発システム技術の注目すべき課題と考えられます。
・5年以上の長寿命でミッションを全うした衛星の停波理由;バッテリー劣化、燃料消費や推進系性能劣化など
・短期、ミッション期間前に運用停止になった場合の理由;太陽電池系の破断/劣化、配線短絡
Update 15 Jun 2011
5) わが国の周回衛星の寿命と電力システムへの私見-「だいち」運用終了を機に-(追補版)(pdf)
関連;宙の会HP
New1 Jan 2014
6−1)より確かな衛星開発・利用への思い 2014(pdf)
6−2)より確かな衛星開発・利用への思い 2013(pdf)
6−3)より確かな衛星開発・利用への思い 2012(pdf)
Update
<参考>
(1)情報収集元等
・Aviation Week
・Space NEWS
・TSE
・STK-Spacecraft Digest
・Frorida NEWS
・ISIR
・Sat-ND Failures(衛星不具合情報)
・ISAS/NASDA/JAXA過去のプロジェクト;ロケット、人工衛星、探査機等
・日本宇宙開発物語(斎藤成文著)
・宇宙開発委員会傍聴資料
衛星軌道上不具合分析・検討の状況について20080730SAC報告
・NASA;Orbital Debris Quartly News
・その他
Update 20 Dec 2003 ・・・宇宙開発情報-宇宙時代の教訓
■ 「世界の宇宙開発から教訓を学ぶ」
− この数年の宇宙開発の成果は、”毛利宇宙飛行士らの世界の地図作り”、”熱帯降雨レーダ観測”や”「おりひめ/ひこぼし」の無人ドッキング”
等の実用・新技術の開発が着実に行われました。
− しかし残念なことに、日本のH-II/M-Vロケットが相次いで打上げに失敗(約450億円の損失)、原因究明と今後の対策(日本の宇宙開発の在り
方も含めた)が急務でしたが打上再開に成功しました。
− 一方、世界の宇宙開発を見ても、この数年間に、
・1997 欧州:アリアン501号機の打上げ直後の失敗(約8000億円の開発プロジェクト)
・98-9 米国:タイタン4/デルタ3の連続5機の打上げ失敗(約3000億円の損失)
・1999 米国:火星探査機2機が相次いで火星到着に失敗(約400億円の損失)
・1999 米国:スペースシャトルの整備不良
・2003 米国:スペースシャトル「コロンビア号」の空中分解事故
・2003 日本:「みどりU、H-UA-6号機、のぞみ」の事故
等、多難が続いていますが、最近それぞれの事故分析が公表されました。これらには宇宙開発共通の教訓や要因が多くあり、日本の宇宙開発
にも当てはまる内容が浮き彫りされていますので概略を紹介します。これらを謙虚に理解・吸収し、将来に向けた対策・実行を望みたいもので
す。
New 20 Dec 2003
★ 「みどり-U、のぞみ、H-UA-6号機」の教訓
− 当面の発表情報は、JAXA-HPで参照できます:みどり-U、のぞみ、H-UA-6号機
− 我が国の宇宙開発において、2003年10月〜12月は連続して3つの大変衝撃的な事態が発生しました。
しかしながら、この事態を乗り越えてこそ、真の日本の宇宙開発技術や体制が整うものと信じ、経過を精査して、宇宙時代の教訓として纏めた
いと思います。
New 21 Mar 2006
− 日本の宇宙開発の足跡・・・ロケットと衛星の成否/衛星寿命のトレンド
JAXA(旧NASDA/ISAS)でのロケット/衛星の打上げ経過と開発環境や組織構造の変化との関連分析を試みた。
・1970年代(開発初期段階)での事故や不具合は、当然の事ながら、開発技術・管理技術の未成熟要素 が原因となっていることが多い
・1980〜1990年代前半まで15年間(開発発展期)は、初期段階の教訓と技術開発の成熟度や管理技術の徹底を継続的に生かして、概ね100%の成功を持続した
・1980年代後半から1990年代後半に集中した、宇宙ステーション開発への衛星技術者のシフトや組織体制変更(衛星プロジェクト制、技術研究/安全信頼性の分掌変革他)、さらには衛星の大型化、H-UA開発開始に伴うH-Uロケット技術者やIGS開発への更なる衛星技術者のシフトが重なった結果、技術的・リソース面での基礎体力不足や管理能力が硬直化して、1990年代後半からのロケット打ち上げ失敗やETS-Y/ADEOS、-Uの不具合の土壌を作ったとも憶測できる
以上の結果、1980年代後半からの短期間(約10年)での事業範囲拡大に伴う人的・資金的リソースの分散化で、技術蓄積や継承の根幹となる人材の不足や管理力の低下が、JAXA(旧NASDA)のみならず産業界を含めて慢性化し、技術面・管理面ともに行き渡らないことによる欠落部分が出てきて、事故や不具合発生の隙を作ったのではないかと分析した。
その上で、個人的な宇宙開発への思いを、衛星開発力回帰への私見:
1)信頼性管理や技術力
2)「確実な衛星開発」
3)より気概をもって確実な開発が行える職場環境構築
4)企業との理想的な関係構築
を関連意見・提言(JAXAへの置き手紙−衛星開発力の回帰)としてまとめてみた。
日本の宇宙開発の足跡 図ー2 衛星軌道上不具合事例分析(GCBは除く) 改06/03/20 03/12/25 白子
New
<参考図;世界のロケットの失敗率データー>・・・関連情報:宙の会論壇・H-U・UAロケットの開発効率
参考;日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
;超小型衛星打ち上げロケットSS-520-4の顛末を追跡する
New 13 May 2003
− 「コロンビア号」CAIB公聴会(4月21日)情報から、安全と人材育成に関する教訓の抜粋
・安全を保障することとは、全てについて詳細まで理解し、注意を払う事に尽きる
・安全の確保には、適切な手法を維持し、それの実行を強制する仕組みを維持することが重要
・物も人間も様々な兆候を示すので、些細なことにも耳を傾け、対策すること
・不具合には、その原因と共に、潜在的な影響を究明し、対処すること
・近年、エンジニアがハードウエア・エンジニアでは無くなり、ペーパー・エンジニア化してしてしまってる。
エンジニアは机上のコンピュータから離れて、現場の床上を歩くことが大切
・自ら手を汚して仕事をすること(hand on)が人(担当者)の基本
・機関担当者は、in-houseプロジェクトで経験(開発から製造)を一通り経験する事が大切
・賢明なマネージャーである為には、実際に作業で手を汚しながら向上しなければならない
・人材登用の心構え 、(1)短期的には理知的、行動的、本心でプロジェクトを気に掛けている人材の登用、(2)長期的には、技術面で挑戦的な
プロジェクトで若い人材を引きつける
− 教訓
・宇宙開発は、「失敗から学んで先に進む」ことに国(米国他)、地域(EU)の強い意欲がある
・宇宙開発は、「1ストライクでバッターアウト・・・1発勝負」で、危機管理の上に成り立つ
・宇宙に対する侮りと慢心は禁物
・経験豊かな指導者による管理や指導は必須
・指導者や要員の継続的な教育と訓練
・人材や資金等の資源削減の限界を認識
・危機管理を前提にした計画管理体制の堅持
・宇宙機システムからの多くのデータの収集
・過度の市場競争(効率化を急ぐ)は技術面の質の低下を招く
− 要因
・事故/失敗の多くは人的要因
・不十分な事前試験や準備不十分での打上げ
・ソフトウエアの誤りや検証不足
・作業不良や見落とし
・関係者/作業者等相互のコミュニケーション不足
・資材調達や品質管理の不備
New 13 May 2003
★ 参考:教訓&失敗に関するデーターベースなど
− 失敗知識データーベース
・科学技術分野の事故や失敗の事例を分析し、得られる教訓とともにデータベース化したもので、科学技術振興事業団(JST)が試験的に公開
New!'00/05/31
■ 「宇宙開発・衛星開発マネジメントの今後」・・・NASAや宇宙開発委員会特別会合報告等を加味
− 21世紀・宇宙時代へ向けて、大変革は失敗に学び、次なる目標に向け進む。
・許される失敗は「名誉ある失敗」であって、単純ミスや意志疎通不足のミスは論外
− プロジェクトマネジメントはプロジェクト・チームスピリットが重要。
・人の要素が最も重要。
・人材育成手法として、今や多くの経験を積ませることは困難。教育・訓練、指導・助言、レビューなどが重要になる。
− プロマネは、必要の場合には勇気を持って「そのリソースではプロジェクトは実行不能である」と事前に明確に云わねばならない。
・機関/企業共にそのような人材が不可欠。お互いに、無知ゆえ、無関心ゆえ、あるいは強い要請(圧力)で契約段階で目をつぶる事があって
はならない。
・このような事がないように、経営トップマネジメントとプロジェクトは直結が肝要。
− ミッションスコープに対し、日程や予算に乖離やごり押しがあってはならない。
・日程や予算に上限があれば、ミッションスコープを柔軟に決定する権限を与える。
・リスクは他のリソース(コスト、スケジュール等、あるいは重量・電力等)と同等な配分可能なリソースと考える。トレードオフは追加コストか、
リスクを残すかの検討。プロジェクトの制約条件とマージンを考えると調整可能な変数はリスクのみ。
− プロジェクトは、常に改善を求め、新しいやり方、新しい技術ですすめる事であり、そして慎重にリスクを取ることに注力する。
・重要な試験の省略や、過度にリスクを負うことではない。
・ITによるプロジェクト再構築は重要。・・・IT活用のポイント:衛星設計や運用の可視化で信頼性向上。
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Update 16 Feb 2009
■ 手作り衛星への道New10 Nov 2001
宇宙に”手作りの衛星を打ち上げたい”というのは多くの人の共通の夢”。しかし、その夢を実現するには”自分で何を成すか”を明確に持つことが大切な事と考えます。
昨今の国内外の教育界やアマチュア無線界ではアマチュア衛星<原点;日本のアマチュア衛星の足跡記録集 日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)参照>など多くの小型衛星作りが盛んで、青少年の宇宙への挑戦が身近になりました。この様な手作り衛星を機会に、打上げ環境や軌道上で遭遇する宇宙環境を侮ることなく、原理原則を学び、モノ作りの原点、論理的展開・工学的アプローチやマネジメントを体験し、”やることはきちんと、だめなものはだめ”との倫理観を滋養する等、学校教育等や個人スキルの複合化での総合力を発揮し、宇宙からの自分たちの星の囁きを聞き感動して欲しいと思います。私はそんな衛星製作にモノ作りの観点からサポートします。
我が国では、学生を対象とした衛星設計コンテストや軌道上実証を目指した宇宙工学コンソーシアム活動の立上げ、打上げ機会/周波数の確保も現実化してきました。このような活動がさらに一般にまで広く啓蒙・啓発されるように関連の情報を紹介します。
■ 学生衛星等の(超)小型衛星(副衛星)打上げ機会の確保について
New
★ 新ロケットH-UBで学生・超小型衛星(副衛星)打上/宇宙ゴミ対策を提唱New 16 Feb 2009
2009年2月10日、高度約790kmの軌道上で起きた衛星同士の衝突は、あらためて宇宙空間の環境保全の重要性を警鐘した事実と言えよう。
一方、我が国、各大学研究室等での宇宙工学実践としての超小型衛星の開発は目覚しく、既に11機が軌道上で活躍し、今後も多くの学生・超小型衛星が、H-UAロケットの副衛星打ち上げ機会や海外ロケット調達での打ち上げが計画されている。
先に、本「宙の会」論壇「宇宙ゴミをどうする」シンポジュームの、「超小型衛星のデブリ対策雑感」を述べたが、この中で、
”a)軌道を定める;輻輳する軌道(例えば350km以上)を避け、且つ大気抵抗を受けやすい軌道(例えば300km以下)に打ち上げ、早期の大気圏投入で消滅させる。このような特定の軌道に打ち上げる手段の確保が課題になるが、新たに低軌道利用ミッションの創出にもつながろう”と一つの論点を提起した。
さて、予定では今夏には、H-UBロケット試験機1号で宇宙ステーション補給機HTV実証機を打ち上げることになっており、以後、年1機で6機の打ち上げが計画されている。 H-UBによるHTVの投入軌道は300km×200km、軌道傾斜角約50度となっていることから、上記の論点に一致する。 さらに、H-UBロケットの2段目はH-UAのそれとほぼ同じと思われることから、既にH-UA-15号機で実証済みの副衛星搭載手段が効果的に利用できると推察する。
新ロケットH-UBによる300km以下の低軌道への投入手段が目前にあることから、世界の学生・超小型衛星のパイオニアである我が国が率先して宇宙空間の環境保全を目指した貢献と一層の活性化を目指して、低軌道への学生・超小型衛星打ち上げの機会提供と低軌道ミッション創出・利用への努力を提唱し、実現に向けて関係者の奮起を期待したいところである。
<参考>
1) 宙の会HP論壇「宇宙ゴミをどうする」
http://www.soranokai.jp/pages/debris_symposium.html
2) SSCnote-HP「学生衛星のデブリ化への意見」
http://www2s.biglobe.ne.jp/~gshirako/engineer.html
3) NASA;Orbital Debris Quartly News
Update 13 Feb 2009
★ H-UAロケットの余剰打上げ能力の活用:相乗り衛星基本方針と公募New 11 May 2006
手作り衛星を実現するために必須となる打上げ機会の確保について、文科省・宇宙開発委員会はNASDAが打上げるH-UAロケットの打上げ能力の余剰を活用した相乗り小型衛星(ピギーバック衛星)打上げの基本方針(対象小型衛星、契約内容)をまとめました(平成14年3月27日)。手作り衛星挑戦に拍車がかかることが期待されます。基本方針は:
・相乗り小型衛星(ピギーバック衛星)等を「小型副衛星」と定義し、打上げに関する副衛星側権利は制限される
・対象小型副衛星:大学等の宇宙の研究・教育、公的研究機関の研究開発、公的機関の公益事業、民間の研究開発
・搭載希望者とNASDAの契約条件等:打上げ費用は付随経費の実費、主衛星の同意、ロケットへの損害賠償請求なし、標準的な分離機構使用、NASDAのインターフェイス基準/安全性設計基準を満たす
・小型副衛星の選定:NASDAが手続きの制定/打上げ時期を決定、提案を透明性/公平性をもって選定、非営利/特定主義主張を目的にしない、技術的/資金的見通しが有ること
<参考>
:旧NASDAのピギーバック衛星打上げ実績>
・実績:アマチュア衛星JAS-1/1b/JAS-2(JARL)、実験装置等MABES/DEBUT(NAL)、LRE(NASDA)、DASH(ISAS)
・2002年12月14日打上成功・鯨生態観測衛星WEOS(千葉工大)、FedSat(豪CSIRO)、マイクロラブサット(NASDA他)
それを踏まえ、H-UAロケットによる小型衛星打ち上げ機会提供に係わる公募が決定しました。(11 May 2006)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、民間企業・大学等による容易かつ迅速な小型衛星の打上げ・運用を実現するための仕組みを作り、我が国の宇宙開発利用の裾野を広げることを目的に、平成20年度以降のH-IIAロケットの打上げ機会を利用して、広く民間企業・大学等に1kg〜50kg程度の小型衛星の打上げ機会を提供することが決定しました。
公募は、搭載する打上げ機会(時期)を特定せず、広く小型衛星の搭載候補を事前に募り、JAXAが作成する「小型衛星搭載候補リスト」に登録することを目的としています。このリストに登録された小型衛星から、H-IIAロケットによる小型衛星の打上げ機会に合わせて、搭載衛星を選定します。 なお、応募要領等、詳細につきましては、JAXAのHPをごらんください。 2008年度から通年公募となりました。
URL: H-UAロケットに相乗りする小型副衛星の通年公募について
私個人としましても長年アピールしてきたことですので(宇宙開発委員会・中期戦略での提言('00年3月)、各種委員・パネルディスカッションでの登録制の提言(2002年他)など)、これで多くの皆さんが挑戦していただければ望外の喜びです。
Update<参考>
:公募による打ち上げ実績
・090123H-UA-15号機で7機の副衛星打ち上げ成功(KAGAYAKI、SPRITE、SOHLA、KKS-1、PRISM、STARS、SDS-1
Update 21 Mar 2008
■ 大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)への応援 (10 Nov 2001)
大学等の手作り衛星の活動を支援する組織「大学宇宙工学コンソーシアム:UNISEC・・・NPO法人」が設立され、設立総会(10 Jul 2003)やワークショップ他で応援中です。
*個人的なUNISEC支援の経緯
・2009手作り衛星製作者の心得−もう一つのCubesat物語− を発行
・2006UNISEC総会・OB企画でのコメンテーター(2006)
・2004UNISEC総会・Cubesat1周年報告会講演(2004)・・・打ち上げ機会・登録制の提言
・UNISEC周波数WGを提言(2003/10)
・第46回宇宙科学技術連合会講演会・パネルディスカッションパネラー(2002)
・・・宇宙実証における打ち上げ機会の登録制/周波数確保の提言
・UNISEC2002WS招待講演(2002)・・・周波数の確保への提言
・UNISECテクニカルアドバイザー・賛助会員(2002~)
・UNISAT/UNISECプロジェクト審査評価委員(2001-2002)
Update 1 Mar 2009
★ 一老宇宙技術士の学生衛星との交わりと想い(背景と意見)New 8 Apr 2008
10年余に及ぶ学生衛星との交わりと期待をこめた想いをFAQ形式でまとめてみました。関係者の参考になれば幸いです。
1.なぜ、学生衛星か!
>@学生達の衛星開発に初めて携わったときの率直なご感想> (学生でも高度な技術を持っていると思われたか、それとも、> やはりまだまだ衛星と呼ぶには厳しい点があると思われたか、> どのようなご意見をお持ちになったか、その時に思われたことを)
宇宙を専門とする技術士の宇宙教育応援の一環として東大・東工大でのキューブサット(CubeSat)開発の試みを、宇宙通信に関する特別講義を手始めに応援しました。 ご承知の通り、衛星と言っても、その役割、機能、規模等多種多様です。 教育の場で学生諸君が挑戦する衛星という点では、何も国の計画としてや商用衛星を目指すわけではないのですから、身の丈にあった目標を立てることに無理がなければ不可能と言うことはありません。
指導者と学生諸君が持つ熱意・覚悟(気持ちだけでなく、自分たちで何を勉強し、どの様な行動が、役割分担が出来るか等々)を具現化するためにどの様な応援が自分に出来るか(特に時間的な面と協力出来ること出来ないこと等)を見極めた上で、お付き合いしました。
さらに、宇宙からの自分たちの”星(衛星)の囁きを聞き感動して欲しいと”念願し、応援しました。 私にとって、学生諸君との衛星作り(衛星搭載用通信機器)は初めてではなく、1980年前後から2つのプロジェクト(一つは国際協力でアメリカのアマチュア無線衛星(オスカー8号のJモード中継器)、もう一つは日本のアマチュア無線衛星”ふじ”)での経験から、彼らに何が出来るかを品定めするのではなく、彼らのパワーを思う存分発揮するためのアドバイスがポイントでした。
>A「ちょっと手厳しいことを言ってしまった」と思われたことはありますか?ある場 合、どのようなご指摘をされたのですか?
この様な手作り衛星を機会に、打上げ環境や軌道上で遭遇する宇宙環境を侮ることなく、原理原則を学び、モノ作りの原点(直ぐには壊れない物を作る)、論理的展開・工学的アプローチや費用意識などマネジメントを体験し、”やることはきちんと、だめなものはだめ”との倫理観を滋養する等、学校教育や個人スキル等の総合力を発揮しては如何かと、 一寸盛り沢山の注文を機会ある毎に言い続け、ポイントをアドバイスしてきたつもりです。
学生諸君の設計の技術的な「見落とし」等を指摘し、改善方法を教えることで、少しでも成功を応援することであり、若い人の柔軟な想像力のある斬新なアイデアを、古い頭で否定しない様に努めていました。 また、宇宙システムとって不可欠な通信技術の重要性を指導(講義や設計・試験等)したり、簡単には死なない設計;ロバスト・サバイバビリティを前提にすること(BAT枯渇からの立ち上げ動作や、電源電圧や温度幅の拡大、小型ならではのEMC対策)、簡単には壊れない物づくり等の重要性を力説しました。
New!99/10/20
★ 第7回(1999年)衛星設計コンテストに参加して
今年のコンテストに審査委員として参加した印象を、学生の皆さんやご指導される先生方への期待として列記してみました。
1. 書類審査・プレゼン形式で行われた最終審査会を通じて新鮮な感動を頂きました。有り難うございました。
2. 願わくば、コンテストの参加を動機付けにして宇宙を実際に体験する具体的な行動に挑戦して下さい。
3. その為にはどんな些細な所からでも結構です、自分の手で物を作り実験したりして試練を体得して下さい。
4. 複数大学等がそれぞれ得意分野を分担した共同開発作業も効果的と思います。
5. 宇宙システムは通信技術が臍の緒(不可欠技術)です。アマチュア衛星での宇宙通信体験を含め研鑽を。
Update 12 Mar 2002
■ アマチュア無線家の衛星作り(New 6 Dec 2001)
小型衛星の代表格である多数のアマチュア無線衛星は、世界や日本のアマチュア無線・宇宙通信愛好家の熱意や手によって作られ運用されています。 日本のアマチュア衛星「ふじ」の開発では当時(約20年前から)大学院や学生の皆さんが積極的に参加して、自ら搭載用機器やソフトウエアの開発、試験・運用をしました。
★ 過日(2001年11月10日)、
> 宇宙に”手作りの衛星を打ち上げたい”というのは多くの人の共通の”夢”ではないでしょうか。
・・・<略>
> ところで、このような活動がさらにアマチュア無線界など一般にまで広く啓蒙・啓発されるようになった場合(例えば、
> 衛星設計コンテストに一般の部が新設された場合)、皆さんは自ら有志を募ってでも積極的に参加してみようと思わ
> れますか?
との、ご意見拝聴を全くの私の個人的な調査をアマチュア衛星通信愛好者の方々にさせていただきましたところ、3名の
方々から建設的なご意見を頂きました。この場をお借りして御礼申し上げ、紹介させていただきます。
ご意見の要旨は、以下の通りでした。
・”是非参加したい”。”自分の手で衛星を作ってみたい”が本音です。
・”どうにかしたいと思います”。 状況次第と、2〜3人の同士が探し当たれば、積極的に動くと思います。
・”思います・・・誰かが作らないと衛星は実現しないのですから…”。時間的・経済的な制約や、どの程度のパワーを
注力できるか、主宰は無理でサポートのみになるか、などはわかりません。
★ アマチュア衛星通信の将来/期待像 ('98/04/20)
機会有る毎に、アマチュア衛星通信愛好家の皆さんの次世代アマチュア衛星通信に対する将来/期待像(ミッション等)をお聞きしていたものをまとめました。
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■ あとがきにかえて:期待と生涯学習
Update 1 July 2005
■ 質問に答えて:技術士に関心を持つ方からの質問の中から抜粋して紹介します。
New 1 July 2005
Q7:将来、航空・宇宙部門に行きたく、その第一歩として航空・宇宙部門の技術士補の資格を考えました。 どんな勉強をすればよいのか、過去問題があればどうにか方向性が定まるのですが、問題集などをお教えください。
A7:問題集だけで有れば、「航空。宇宙部門」を含む全部門の問題が年度毎に出版されている様ですので、紹介します。
・技術士第一次試験問題集「基礎/適正」・・・近代図書
・技術士第一次試験問題集・・・通商産業研究社
・技術士第一次試験問題集・・・(株)テクノ
以上は各年度毎に出版されているようです
・技術士第二次試験問題集・・・通商産業研究社
これは平成12〜14年の3年分が纏められているようです
・技術士第二次試験問題集・・・(株)テクノ
年度毎に出版されている様子
Q6:宇宙部門の1次試験受験を目指しています。共通科目や基礎は全部門共通で多くの参考書で傾向が分かりますが、専門科目に関しての勉強方法のアドバイスを下さい。('02/5宇宙関連技術者)
A6:<'01年度の一次試験を合格された理工系大学院生から頂いた体験談を紹介します>
専門科目は大きく分けて選択問題と記述問題があります。航空宇宙という部門だけあって、航空と宇宙 の両方についての知識が必要です。一次試験では特にそうかもしれません。基本的には広く浅くという内容です。
1.出題範囲
過去問をみればどの程度の知識を要求されるのかわかります。基本的に一次試験は 大卒程度ということになっていますが、実際に問題から何を勉強すれば良いか,どんな本で勉強すればいいかチェックしました.私が勉強しようと決めた主な分野としては、
1)機械工学の範囲:流体力学、材料力学など
2)航空工学の範囲:航空力学、推進工学(ジェットエンジンのシステムや構造)、アヴィオニクス、材料
3)宇宙工学の範囲:宇宙航行の力学、推進工学(ロケットエンジンをはじめ新開発の推進システム)、人工衛星のシステム、材料、電子・通信システムなどがあげられます。それぞれについて最近は良い参考書がありますので、とにかく読みまくりました。また専門書だけでなく航空宇宙についてかかれたノンフィクションを読むことも参考になりました。
2.選択問題についてはすべてを回答する必要がありますので、とにかく広く文献を読んで勉強しました。
3.記述問題は自分の得意とする分野について勉強するのが良いと思います。10の題材のうち2つを選択してそれについて説明を記述します。普段から文章を書いてまとめる練習をした方が良いです。 出題傾向は例年大きく変わるといったことはなかったと思います。'01年度についても同様でした。
Q5:技術士法の一部が改正(平成12年4月)され、技術士(第二次試験合格者で、登録した者)になるには第一次試験受験が義務づけられましたが、その仕組みはどの様になったのですか?(理工系学生'02/3)
A5:下図のような仕組みとなりました。 平成15年度からは2年間の経過措置が終わり全ての方がこの流れで資格認定を受ける事になりますので、若い内から長期的な視点で計画的に受験や実務に取り組まれることが肝要と考えます。
(注1)大学エンジニアリング課程修了者は、現行と同様に、第一次試験における共通科目(数学、物理、化学、生物、地学からの選択)は免除。
(注2)修士課程年数等については、内容等に応じて、実務経験年数として算入。また、第一次試験合格前における修士課程年数についても、内容等に応じて同様に算入。
(注3)第一次試験合格前の実務経験年数(専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究等の業務に従事した 期間)についても、実務経験年数として算入。
なお、技術士制度や受験に際して参考になりそうな文科省/科学技術・学術審議会/技術士分科会、日本技術士会、技術士試験センターの関連各HPのURLを以下に収録しましたので参考にして下さい。
・文科省/科学技術・学術審議会/技術士分科会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu7/index.htm
・平成14年度技術士第二次試験実施大綱
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu7/sonota/020401.htm
・平成14年度技術士第二次試験の実施について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu7/sonota/020402.htm
・平成14年度技術士第一次試験実施大綱
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu7/sonota/020403.htm
・平成14年度技術士第一次試験の実施について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu7/sonota/020404.htm
・平成14年度技術士試験合否決定基準
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu7/sonota/020405.htm
・社団法人 日本技術士会
http://www.engineer.or.jp/
・社団法人技術士試験センター
http://www.engineer.or.jp/examination_center/index.html
Q4:技術者教育認定と言う言葉が聞かれますが、技術者資格との関係は?(理工系学生'99/9)
A4:技術者教育認定は大学等における「技術教育」の審査です。技術者資格とは別の仕組みです。 日本の大学等での技術教育の内容は学校教育法や設置基準で定められていますので、大学そのものがしっかりしていれば、第三者機関での改めての認定は不要なはずですが新しい制度が出来るようです。技術者を目指す皆さんは技術士、PE、APECエンジニア等の技術者資格制度に注目して良いと思います。
Q3:グロ−バル社会での各国技術者資格の相互承認が話題になっていますが、技術士の資格とAPECエンジニアや米国のPE(Professional Engineer)/FE(Fundamentals of Engineering Examination)との関係はどうなるのでしょうか。(理工系学生'99/6)
A3:技術者の役割や行動が地球規模となってきた事から、個人に与えられる技術者資格の相互承認が政治的課題になっています。最近のトピックスとしては、APEC域内21ヶ国の内、日本、オ−ストラリア、マレ−シア、インドネシア、米国など12ヶ国が「APECエンジニア」要件の枠組みを合意していて、年内にはこの制度の仕組みがスタ−トすることになっています。日本では技術士資格がベ−スになりますが試験の内容・程度見直される(受験対策は現在より容易?)と予想されます。尚、PE/FE制度とも何らかの連携措置が執られると考えられます。若い技術者にとって実のある資格制度になることを見守りたいと思います。
Q2:技術士補試験の内容とどの程度の知識を要求しているのでしょうか。(理工系学生'99/1)
A2:私自身は技術士補を受験していませんので体験談としてでなく技術士法や試験案内から概説しますと。
*技術士補は将来技術士となる人には大きなインセンティブになり、専門的学識を客観的に評価される
*一切の受験資格制限はない。
*理工系大学卒程度の学識や実験等の実務体験があれば問題ないでしょう。
*共通科目(基礎知識:数学、物理学、化学、生物学、地学の内から2科目・・・学歴によっては免除も?)と専門科目(受験技術部門)
*試験に合格し技術士補登録をしたり、技術士を目指すためには技術士のもとで技術士補業務をしなければなならないことを承知しておく必要があります。
Q1:1年ほど前に技術士補というものを知って関心を持ちました。航空・宇宙について勉強したいのですが。(理工系学生 '98/7)
A1:航空・宇宙の分野はシステムエンジニアリングで成り立つ分野で多くの固有専門技術の集合・融合体です。若い皆さんには自分の得意とする分野や機械、電気他等、基本や固有技術をマスタ−しその分野の技術士補を挑戦しては如何でしょうか。その上で、企業や機関でシステムやプロジェクトの経験・研鑽を積んで航空・宇宙技術士をめざす事をお勧めします。
■ 日本の宇宙開発の足跡を記録した書籍類
− 斎藤 成文、1992:日本宇宙開発物語 三田出版会
− 河島 信樹、1996:トラブルシュ−ティング−ロケット実験主任の手帳から テクノライフ選書 オ−ム社
− 栗木 恭一、1998:宇宙プロジェクト実践 日本ロケット協会モノグラフ4 日本ロケット協会
注:本書入手問い合わせ先・(財)日本学会事務センタ− TEL 03-5814-5811 FAX 03-5814-5822
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