SSCnote.ホ−ムペ−ジ:手作り衛星製作者の心得
                                            since 11 Mar 2009
                                          * ******  **
  ==SSCnote.HP-Sat_Tech15 14 May 2014=====****SPACE ***=
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                                      (since 8 Mar 1998)

          ==ご感想は→Eメイルアドレスは、goro-shirako(小文字半角)に@mui.biglobe.ne.jp==
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  手作り衛星製作を志す貴方へ、心得を伝承−もう一つのCubesat物語−
 国威をかけた人類初の人工衛星・スプートニクが打ち上げられて半世紀をすぎた現在、宇宙工学教育の実践的な教材として、手作り人工衛星(Cubesat等の超小型衛星)が学生等の手によって次々に打ち上げられる時代になりました。 これ自体は、多くの若人が宇宙を目指す格好の機会と考えるが、先例が出来ると安易な取り組みによって、折角の宇宙への挑戦も水泡に帰すことがあります。

 ここでは、、私が学生諸君等と一緒に手作り衛星を体験したことと、プロの世界での衛星開発の教訓を、超・小型衛星の手作り製作に挑戦する多くの皆さんと共有すること、加えて宇宙機システムのへその緒となる通信のための周波数問題の理解(3.11節必読)等を目的に、実践的な心得として出版したい。(但し、不定期、順不同) なお、出版の途中で、目次等を再構成をする場合もあろうが、ご容赦願いたい。 また、具体的な設計・解析等に係わる部分は、参考となる多くの教科書があるので紹介(6章)し、それらに委ねたい

<目次構成>
1.はじめに
2.手作り衛星を作るということ
2.1 手作り衛星に必要な活動の範囲
2.2 手作り衛星を計画する
2.3 学生衛星の相次ぐ苦難と確かなモノづくりに期待 ;最近の状況は→日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
アマチュア衛星は小型・超小型衛星のルーツ 図解;学生衛星確かなモノづくりに期待
3.もう一つのCubesat物語
3.1 CubeSat事始め
3.2 東大/東工大合同CubeSat設計会議(2001-4~):CubeSat計画の課題抽出
3.3 NASDAでの東大/東工大WS(2001-5~):CubeSat通信システム
3.4 東大/東工大研究室での議論−1(2001-6~):周波数とモノ作りのポイント伝授−1
3.5 UNISAT2001WSにメールで参加(2001-12~):ワーキンググループ討議
3.6 東大/東工大研究室での議論−2(2002-1~):モノ作りのポイント伝授−2
3.7 UNISEC2002WS講演(2002-12~):宇宙実証と周波数確保
3.8 国内での無線局免許確保(2003-1~):ウルトラCの免許申請
3.9 打上/運用準備での心構え(2003-2~)
3.10 打上とアマチュア局の支援(2003-6~)
Update
3.11 東大/東工大CubeSatの使命を考える:周波数問題、費用(コスト)意識他/NewJA6XKQ武安氏編「アマチュアの無線と衛星」
4.次への伝承 
5.おわりに 
6.参考 
文献
URL
7.付記
7.1 東工大大学院宇宙特論講義レジュメ
7.2 衛星システム設計における信頼性確保の基本的な考え方
7.3 宇宙開発を応援する気持ち
7.4 わが国の周回衛星の寿命と電力システムへの私見(追補版;pdf)
7.5−1 より確かな衛星開発・利用への思い 2012(pdf)
7.5−2 より確かな衛星開発・利用への思い2013(pdf)
New
7.5−3 より確かな衛星開発・利用への思い 2014(pdf)
7.6 宙の会論壇にリンク 小型衛星No.7;学生衛星の確かなモノづくりに期待
Update
7.7 図解;学生衛星の確かなモノづくりに期待-衛星設計コンテストからの飛躍-(pdf)
7.8 アマチュア衛星・学生衛星等との交わり備忘録;手作り衛星の応援活動
Update
7.9 小型・超小型衛星の確かなモノづくりへの思い -蓄積技術・経験を生かし、新世代に伝承する(温故知新)-
7.10 JA6XKQ武安義幸氏編「アマチュアの無線と衛星」
7.11 宙の会論壇にリンク 宇宙ゴミをどうする 6.超小型衛星の宇宙デブリ対策雑感(2006.6.9)
Update
7.12 日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
New
7.13 小型衛星論シリーズNo9(SSC版) 小型・超小型衛星の近年の傾向と展望(pdf)

7.14 「ふじ」誕生30周年;我が国のアマチュア衛星事始めと「ふじ」が遺したものpd

7.15 超小型衛星打ち上げロケットSS-520-4の顛末を追跡する

7.16 超小型衛星試験規格、ISO-19683 “Space systems ?Design Qualification and Acceptance Tests of Small Spacecraft and Units”が、2017年7月15日締め切りの最終投票にて承認され、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の正式な国際規格として成立

1. はじめに
 宇宙に”自分の手作りの衛星を打ち上げたい”というのは多くの人の共通の”夢”ではないか。 その“夢”を2003年に東大・東工大CubeSat(キューブサット)チームの学生の皆さんが実現するという快挙を成し遂げたことは、嬉しい限りです。
 昨今は、国内外の教育界やアマチュア無線界では、CubeSat(キューブサット)やアマチュア無線衛星などの超・小型衛星作りが盛んとなり、また打上機会も国内外で可能となった事もあり、青少年の宇宙への挑戦が身近になってきたことは、宇宙からの自分たちの”星(衛星)の囁きを聞き感動して欲しい”と念願し、応援してきた甲斐があったと思う。

 国内では、日本アマチュア無線連盟(JARL)/日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)によるアマチュア衛星「JASシリ−ズ」(1980年代の、このプログラムにも当時の学生諸君が力を発揮)の実績がある。その後には、学生を対象とした衛星設計コンテスト開催や、軌道上実証を目指した大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)も活発に活動している。 さらにはアマチュア無線界など一般(以下、アマチュアと云い、その様な“手作り衛星”を「アマチュア衛星」と呼ぶ)にまで広く啓蒙・啓発されるようになれば、理科離れとか、モノ作りが出来ない等と他人事ではなくなり、宇宙へのチャレンジが出来ることになります。

 この様な手作り衛星を機会に、打上げ環境や軌道上で遭遇する宇宙環境を侮ることなく、原理原則を学び、モノ作りの原点(直ぐには壊れない物を作る)、論理的展開・工学的アプローチや費用意識などマネジメントを体験し、”やることはきちんと、だめなものはだめ”との倫理観を滋養する等、学校での宇宙工学教育や個人の人間力やスキル等の総合力(総合エンジニアリング)を発揮しては如何だろうか。 しかしながら素晴らしい挑戦的なアイデアも、物づくりの観点から見て学生やアマチュアだからといっていい加減なものを作って良いはずは無く、ましてや宇宙に送り出したものは修理が出来ない事から、それを少しでもサポートできればと、手作り衛星を製作するために参考になる準備をしたいと考えていました。

 私は、学生諸君の手作りの衛星の先駆けとなった東大・東工大の各CubeSatプロジェクト(UNISEC-HP・CubeSat物語http://www.unisec.jp/cubesatstory/ および 川島レイ著・キューブサット物語/エクスナレッジ出版)に応援する機会がありました。このときにCubeSat製作に係わる学生諸君や指導教官・関係者に約200件を超えるコメントメールを発信しましたが、このコメントメモをもとに、どの様な応援の仕方をしたのかを“もう一つのCubeSat物語 ― 手作り衛星製作者の心得 ― ”として集約してみました。 衛星の設計や製作・試験、運用等にいたる広範にはなりますが、学生諸君の初めての衛星開発の苦労・努力の局面に対して発せられた文脈から心得、心構えに通じるヒントをお汲み取りいただければ幸いです。

 私のCubesatを通しての学生諸君との交わりは、私自身の貴重な体験でしたが、あわせてこれから得たものは、これから手作り衛星を志す皆さんに等しく還元する責もあろうかと思い発行することにしました。 なお、文責は全て私にあります。お気づきの点などありましたら、ご指摘いただきたい。


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2. 手作り衛星を作るということ
 宇宙に”手作りの衛星を打ち上げたい”という夢を実現するには、まず、自らが“何が出来るかを持続的に持つこと等の覚悟が大切な事”と考えます。要は他力本願では何も進まないからです。
 ・その為に”衛星製作に必要な作業(活動)”はこれだけ有る・・・ことを認識する
 ・その上で”手作り衛星の範囲(目的や規模等々)”を定める
 ・また、衛星等の宇宙システムは一人では実現できません。大勢の人や学校、企業、専門機関との連携が不可欠です
 ・さらに、それ等に掛ける資財やマンパワー等のリソースは貴重であり、それなりの覚悟を持って、持続的に取り組まなければならない
と言う視点で次の”衛星作りの活動”を網羅的に列記しました。 これだけ多くの作業を積み上げた結果は出来上がった衛星を見ただけでは、投入したリソース(人、物、金)の1割も見えていないのではないだろうか。 言い換えれば、見えない部分にこそ設計・製造の技術の重要な部分やマネジメントが凝縮されていると言うことを理解することが大切でしよう。


2・1 手作り衛星に必要な活動の範囲
 一般的に”衛星を設計する”とか”衛星と製作する”に対して、プロは、そのWBSやSOWを準備するが詳細すぎますし、理解するのも大変です。
そこで手作り衛星ベースで、”衛星を製作する”ためにはどのような活動/行動(人、物、金etc)が必要になるのかを列記したので、取り敢えず念頭に置いていただきたい。
< 衛星製作に必要な活動・・・順不同 >
1) フライトハードウエアの設計・・・詳細略
注:概念設計、この後の詳細設計フェーズを含め以下の活動をどのようにクリアするかが打ち上げに近づけるポイントではないでしょうか?
2) フライトハードウエアの製作・・・詳細略
機械系:機械加工、板金加工、ポッティング、ハンダ付け、取り扱い治具、運搬箱、電気系:配線及びケーブル類
3) フライトハードウエアの試験
試験装置・設備や人員の配置を含み、振動、環境、バーンイン、性能
4) 設計図面の仕上げ;機械及び電気
5) 打ち上げ機関とのインターフェイス調整
衛星/ロケットのインターフェイス、一次ペイロードに対する安全や保護(アウトガス、試験ほか)の書類化、調整会議等への要求に対応
6) 打ち上げ機(機会)の選定と調達
7) マネジメントの構築
部品調達(特殊部品や長納期アイテムの的確な納入)
全てのサブグループの監視、デットラインを含めた総合日程表
有効なリソースの配置(資金及び人員)
特殊工程に対する配置
8) 打ち上げ情報ネット
9) サポートメンバー及びユーザーに対する情報提供
軌道情報作成
ニュースレター作成
週毎の情報提供
情報及びサービスに対する要求への対応
広報(スライド、ビデオ)情報の準備
促進雑誌や本の作成
教育計画支援
軌道カレンダーの作成
10) 資金の確保/調達
11) 国際関連機関との調整
事前公表、国際登録
12)打ち上げ作業
射場への旅行
衛星の出荷
衛星と打ち上げ機とのインターフェイス
チェックアウト他
13)テレメータ・コマンド局ネットワーク
全世界ネットワークのための準備と運用の準備
特殊ハードウエアとコンピュータプログラムの準備
14)その他の要求
言語変換;英語、ドイツ語、仏語、スペイン語、ロシア語、日本語
法律上:無線局申請、調達契約、トレードマーク関係、広報
各種保険契約
15)財務
全貌記録の維持
監査と要求
要求のための広報のファイリング
経費発生とキャッシュフローの予測
国際貨幣変換
16)経過記録の維持
一般、衛星テレメトリ
17)試験装置の準備と特殊試験施設


2.2 手作り衛星を計画する
 上記2.1 でも判るように、衛星作りには広範囲な活動が必要になるため、衛星作りの目的や目標をどのように立て、どのような体制で、長期に亘って行うのかといった長期的な計画作りが大切と思う。 学生衛星では、第一段階は教育としての衛星を作り、宇宙での運用を試みることになるが、第2段階以降は衛星作りが目標でなく、宇宙でのミッション(役割)が主体になる。しかし、教育は繰り返しが大切なこともあり様々な選択肢を加味した、一過性に終わらない計画作り(ロードマップ)が重要と考える。 以下に、Cubesatに代表される国内外の超小型衛星のミッションを整理し、計画要件を抽出してみたい。

2.2.1 学生等によるCubesat等の状況
 超小型衛星Cubesat(10×10×10cm、1kgを基本にし、世界の大学独自に製作し、共同で打ち上げ機会を確保。宇宙工学教育を第一の目標)は、1999年のUSSSでスタンフォード大のTwiggs教授が提唱したが、その場に居合わせた東大、東工大チームが世界に先駆けて2003年に打ち上げ・成功した(計画から実現まで大凡3年、製作期間2年以内、費用2~3千万円?+学生のマンパワー+多くの有形無形の支援・応援があったといわれている)。 さらに、その後も夫々2機の製作・運用を継続的に行っており、宇宙工学教育の実践的な成果に加え、今後の発展が期待される。 また、国内の複数校等も続いていることも注目すべきである。

 2003年6月以来、早や世界中で43機のCubesat/Maicrosatが学生等の手で製作し、打ち上げられた。 図に、打ち上げ・運用推移を示す。
1)Jun2003〜Feb2009に打ち上げられたCubesat等43機のうち、軌道上運用できた17機の1/2以上の9機が日本で、際立っているものの、打ち上げ直後から動作が確認できていないものや目標に対して軌道上動作が不十分なものも出てきている事も現実となってきている。
  
参考;2012年1月現在「小型・超小型衛星の確かなモノづくりへの思い -蓄積技術・経験を生かし、新世代に伝承する(温故知新)-

2)製作者の推移を見ると、大学関係が圧倒的に多いが、Cubesat等の超小型衛星の宇宙での有用性が立証され始めてきたことから、世界的に産官や産学官の連携プログラムが芽を出してきている。
3)さらに、43機のミッションを概観してみると、宇宙工学教育と宇宙での技術実証が夫々約30%づつで、ほぼ2/3を占めるが、科学観測や地球画像撮影、新しい通信手段の実証など、ミッション(目的、役割)に多様化の傾向も見られる。

  

4)Cubesat等の超小型衛星の有用性について
 これらのことから、Cubesat等の超小型衛星の概念の主眼にあった、衛星と打ち上げ手段とのインターフェースを規格化又はそれに準じることによって、衛星の製作にチャレンジする人たちが同時または並行に多くの計画を立ち上げることになり、結果としてコストを下げ、機会を増加させる循環が出来つつあると思われる。 すなわち、学生主導のCubesat等の超小型衛星の最初の第一歩が、コスト低減(海外情報でのトータルコスト(TMC)は数千万円~1億円程度)と短期開発(2~3年程度)を可能にしたと評価したい。

 具体的な事例としては;
・身の丈にあった簡素化(単一化)したミッション(目的、役割)
・簡素化した設計ときめ細かい製造とその成果の使い込み
・超小型・超軽量・極小電力化を追求するテストベット(10cm立方と1W以下の消費電力が目安)として活用
・学生マンパワー(投入時間やスキル)の活用
・民生の部品、機器類(COTS)や先端のデバイス等の効果的(自ら吟味)な活用
・冗長を持たないエンジニアリングの追求とコンストレーション化への展開
・極力、標準化/規格化されたインタフェースの設定と活用
・プロジェクト管理と品質保証の簡素化
アマチュア無線周波数帯の使用とアマチュア無線コミュニティ(地上局)との連携
 JA6XKQ武安義幸氏編「アマチュアの無線と衛星」
 他方の見方をすれば、
・リスクの採り方と低減策の吟味のバランスとり
・学生マンパワー(一口に1万〜数万時間とも言われる時間とスキル)の評価
宇宙システムに不可欠な周波数の確保と利用の問題・・・いつまでもアマチュア無線周波数等に甘んじていて良いか
・自らがスペースデブリ要因とならない方策
・一過性に終わらない計画と実行
等をどのように評価し、今後の手作り衛星に対処するかが大切であろう。


2.2.2 Cubesat等の現状を、今後の手作り衛星作りへの教訓・心得の観点で考察
 貴重な打ち上げ機会と軌道に、学生衛星はじめ、多くの超小型衛星が打ち上げられていて(Jun 2003~Feb 2009で40機以上)、宇宙へのハードルが確実に低くなっている印象である 反面、その総括は今後の動向・推移を見守りたいと思うが、以下のような懸念も感じる。 学生の宇宙工学教育ミッションのみならず宇宙システムにチャレンジする皆さんには、宇宙を侮ることなく真摯に取り組んで結果を出し、感動することを期待したいと思う。

教訓・心得(気付き)事項;
・宇宙システムが遭遇する環境(打上げ〜軌道上運用)や、メンテナンスが出来ないシステムとしての要件を満たしているか
・宇宙開発へのハードル/敷居を下げる挑戦の意図を誤認していないか(安易になっていないか)
・物づくりを甘く見ていないか(まずは地上で完全に動作するものが作りこまれているか・・・確かなモノづくり
・計画立案、実行に覚
悟が出来ているか(スケジュール、マンパワー、コスト、リスク)

先人・先達の教訓が生かされ(情報開示も)、広く理解・反映されているか
・開発・運用の経験を積んだ皆さんは、その使命を果たしているか
 1)宇宙実証の成果を公開する使命
 2)体験・経験・教訓を伝承する使命
 3)社会の一員としての衛星プロジェクトの布教(あなただけで、衛星を作り、打ち上げ運用出来ますか?) 

 等々


2.3 学生衛星の相次ぐ苦難と確かなモノづくりに期待(20100911); 最近の状況は→日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
2.3.1 学生衛星の相次ぐ苦難
1) UNISECメンバー、応援されている皆様へのメッセージ
 2010年.5月31日、UNISECWGのMLを通じて、5月21日H-UA-17で打ち上げの学生衛星等の状況に対して一通のメッセージを送りました(2010年5月31日)。
 ===========
 UNISEC個人賛助会員・白子悟朗@SSC技術士事務所です。
 この度のH-UA-17号機相乗り小型副衛星打上げに際し、ご指導された先生方、学生諸君はじめ、日頃応援されておられる皆様方のご苦労やご心労を、心底からお察しいたします。

 打ち上げ以降の報道や関係者等による告知に接し、私は傍観者であったが故に、かえって強烈なショックを感じたところであります。 ましてや、公開されたUNITEC-1通信系に対し意見具申や問い合わせをさせていただいた時期もありましたが、先生方との議論がほとんど出来ず、自分でも暖簾に腕押しと納得できないままで終えてしまい、力になれなかったことを、今になって後悔、自省しています。

 現時点で衛星からの電波受信が唯一が可能な”negai”においてもコマンドが通らないとの情報も流れたこともあり、15号機相乗り小型副衛星群の結果もあわせると、2003年以降の東大/東工大ならびに日大等の超小型衛星の連続成功以降、残念な事態が続いていたと言わざるを得ません。

 当事者の先生、皆様方にとっては、一生懸命やった結果であることは間違いありません、”学生衛星であり、失敗も貴重な経験”や”宇宙に行けたのだから”で終わることがないよう、きわめて貴重な打ち上げ機会やリソースを投入する教育的プログラムとしては、今回の事態の成果や結果を出すには時間をかけ、十分な検証と総括が肝要です。
<中略>

 いずれにしても、今後も多くの心得ある人たちの応援を受けつつ、皆様方の知力・力量が十分発揮され、これからの宇宙開発利用に宇宙工学教育の成果が貢献されることを願ってやみません。
<以下、略>

2) H-UAによる小型副衛星打ち上げの軌道上状況の考察
 H-UAでの小型副衛星打ち上げ機会の確保で、その規模・機能など宇宙教育での実践としても、まだまだ成熟したとは言えませんが、2009年1月に始まり、今年5月の2回/10機の副衛星打ち上げ結果の傾向を見ると、残念ながらモノづくり(システムづくり)に失敗/ないしは問題があったとと言わざるを得ない事態が続発していると感じられ、私なりの分析/考察を行ってみました。

2−1) 状況分析
 2009年1月、2010年5月の公募での2回にわたる副衛星打ち上げは、

 2009年1月;総数6機 内、学生衛星ならびそれに準じた衛星は5機
 2010年5月;総数4機 すべて学生衛星ならびそれに準じた衛星

 すなわち、2年間で9機の学生衛星が製作、打ち上げられたことになりますが、所期の目的を達成している衛星は1機のみ、打ち上げられた軌道上で電波発信や一部の機能が確認できた衛星は6機、その内でも短期間(1日〜数週間)に動作や機能がが不調になった衛星が3機、打ち上げ後に全く軌道上での作動が確認できなかった(衛星からの電波が全く受信できない)衛星も2機と、全9機の内、2~5機(20%強から60%)が軌道上で満足に作動しなかったことになります。

 ちなみに、これら以前の2003年から打ち上げられた学生衛星(各大学が独自に打ち上げ手段調達)7機は、ロケットの失敗で軌道に乗らなかった1機を除き、あとの6機全てが所期の目的をほぼ果たし、かつ7年経過した現在でも稼動している衛星も複数あることから、公募による副衛星打ち上げ機会を得ることが出来た学生衛星の目的達成の度合いが低いのには何か共通した原因/要因があるのではないかと危惧してもおかしくない?/言い換えれば、教育の場での学生衛星の取り組みに基本的な問題/課題があるのではとの懸念が感じられと言っても過言ではないのではないでしょうか。

2−2) 関係当事者の報告/発言
 この事態を関係当事者はどのように実感しているのかを、JAXA副衛星wsや個別の報告会、関連HP等で公開された情報から要点を抽出してみたところ、いくつかの共通点が浮かび上がり、モノづくりの原点の心得の再認識が肝要であるとの見解を持つに至りました。

a)当事者の報告/発言を抽出してみると(当事者特定せずに順不同);
 ・開発計画とミッションが乖離し、製作・試験も十分できなかった
 ・新規開発要素が多く、十分な検討/実証ができないまま打ち上げ期限が迫った
 ・公募が決まってからの期間がなかった
 ・副衛星安全審査等に提出しなければならない資料等の作成に時間を取られた
 ・試験が十分できなかった/しなかった
 ・安全審査に関連する部品が高価であったことが、はじめてから判った
 ・JAXA安全審査の理解が不十分
 ・地上局整備や運用準備に時間を掛けられなかった
 ・テレコマンドが通らなかった/通りにくかった
 ・試験計画・手法が十分でなかった(熱真空試験未実施、電源系、end to end試
  験他)
 ・ロケット側への衛星引渡し時、ならびに引き渡し後の衛星状態(電池、非動作)
  が十分確認できなかった/しなかった
 ・システムレベルの機能検証(設計、試験)が十分でなかった
 ・機器個別の製作が手一杯で、システム上の機能配分やマージンが確認できな
  かった
 ・システム的な観点でのモノづくりができていなかった
  (機器を寄せれば出来ると錯覚していた?)
 ・システム的な観点での電源系の設計・検証が不十分だった
  (太陽電池配列、スロースタートな起動特性、バッテリ特性把握と充放電回路、電源保護・リセット機能等)
 ・衛星姿勢制御に関わる磁気特性と計装配線のルーチングの配慮が不足した
 ・設計過誤/忘れで、後処理に追われ、時間が足りなくなった
 ・共通的なシステム試験設備の使用時期が競合し、十分な試験機会が得られなかった
 ・信頼性をモノを買うことでは実現できいことが判った
 ・周波数の事前調整は慎重にしなくてはならないことが判った
 ・学生の世代引き継ぎが難かしかった
 ・学業との競合が大変であった
 ・衛星作りの大変さがやってみてわかった
 ・大学、企業連合での協業(協調)+分散開発の難しさが判った
 ・設計の基本思想とシステム成立性/現実の齟齬/乖離していた

b)一方で、主に軌道上でのミッションを達成した学生衛星での報告/発言は;
 ・十分な試験を行ったこと
 ・計画から実現まで約10年、学生の世代を超えた継承とモチベーションを常に
  維持することに注力した
 ・先行衛星プロジェクトの教訓等を理解し、反映しすることに努めた
 ・モノづくりでは相互の負担軽減(作業量、費用)を配慮した地域産業連携ができた
 ・5年/20名体制(10万時間・人)+支援企業+経験値/知を上げるプログラム運営
  を心がけた
 ・システム;シンプル+リセット付与+ミッションレベルの厳選+テレメ取得重視
  +試験+予測と過去の学生衛星実績や教訓を大切にした
 ・スケジュールに余裕を持たせた;安全審査+新規設計+システム検証を心がけた


2−3) 学生衛星明暗(成否)の分かれ道
 これらから、垣間見られる明暗(成否)の理由は何であったのか?
極論すれば、大学等の間で宇宙工学教育;学生衛星計画に取り組み姿勢が二極化しているといった見方ができるのではないでしょうか。

 失敗や軌道上での成果が不十分なケースでは;
・目的、体制、・・・、覚悟、意識が不十分であった
・モノづくりの技量が不十分であった
・教育的カリキュラムが不十分で、知識や教訓の理解が足りなかった
・地域企業連携での宇宙モノに対する理解が不十分であった

 すなわち、宇宙への挑戦を安易で、かつ、確かなモノづくりの基盤が不十分なまま?、自らが問題に気付いていながらも小型副衛星打ち上げのレール上で走ってしまったといえるでしょう。

 もうひとつの懸念はは、宇宙教育の現場に入り込む、成果主義?/パフォーマンスを意識したエンターテイメント的な宇宙への挑戦はいかがなものかを感じざるを得ません。

 なかでも、学生衛星が1校ないし+地域連携といった開発体制に対し、複数の大学や応援企業(複数の地域連携)による衛星開発体制をとった学生衛星(UNISEC;UNITEC-1)が出現したことは、一見、画期的と見られたが、残念ながら、上記の要素を含む等も一つの理由として目的を達成できなかったと思われます。


2.3.2 確かなモノづくりへの期待
 それでは、確かなモノづくりとはいかなるものであるかを、私なりに抽出してみました。

事を起こすときは、ミッションサクセスクライテリアが明確であること
・確かな/良いものを目標として徹底的に追い込む。いい加減では最低線の及第点すら取れない
 *最低線の及第点を確保・・・最小限の機能を果たす
 *ほどほどの点をとる・・・目標の機能を果たし、ほどほどの性能を確保
 *完成度の高い点を取る・・・100点満点を狙う?
・良いモノを開発/設計する事とは
 開発者/設計者が持つ、発想やイメージを具体化/具現化する事で
 当事者のできる範囲のものであり、さらに、その過程で生じる課題や
 選択肢を選ばなければならないが、それには設計者/開発者の知識、
 経験、そして発想力に加えて、プロセスを定める
・制約要素;技術+時間+費用のバランス
・確かなモノ/良いモノ=確実に機能を果たす>+性能を満足する>+長い時間使える
 *機能を果たす=機能が明確+壊れにくい+用途に耐える+機能冗長がある
 *機能の確認=設計が簡素+試験検証ができる
 *機能冗長=寿命を延ばせる+簡単には故障しない
 *完成した技術/機器等を使い込む=時間短縮+低コスト+壊れにくい
 *システム的機能はソフト的視点+性能はハード的視点のバランスが大切
 *システム不在にならないように
・挑戦なくして”ほどよし信頼性”は実現しないと云われるが、挑戦と無鉄砲は違う
 「挑戦と無鉄砲は違う」ということを常に意識して欲しいと思います。多くの大学が自前で衛星を作り上げている昨今、すでに「挑戦 = 失敗してもよい」という段階は終わっており、 これを実現するためにも、教育現場自らの宇宙工学教育カリュキュラムの整備、継続的教育が望まれます。

 他方、貴重な副衛星打ち上げ機会を提供する立場のJAXAにおいては、
・安全審査の理解啓蒙と効率化
・衛星設計/開発の心得
等に対して継続的な場の提供(22年度から始まった「相乗り小型副衛星セミナー」)が充実、活用されることが望まれます。特に、安全審査に関わる出戻りが多くあったとのことで、2回の小型副衛星打ち上げの検証を踏まえた簡素化やモノづくりへの具体的な要件提示と適切なアドバイスが望まれます。

 さらには、特に地域産業界連携を効果的にするにも上記に組み込まれる教育への参加や宇宙への理解向上が期待されます

 要は、モノづくりとは、”物、人、その人の心”がバランスよく集約されることが肝要といえるのではないでしょうか。


2.3.3 参考;学生衛星等の事後審査、議論等に参加しての感想と期待
 機会を得て、複数の学生衛星プロジェクト等の事後審査や、後継への議論等に参加する機会を頂いての感想を記しておきたいとおもいます。

 皆さんの当事者としての努力と、得た教訓は、今後の活躍に必ずや活かす/活かさせることが肝要と期待します。 さらに皆さんには、多く議論したプロセスを反芻して頂くことで、今後の糧を得ることが出来るのではないかと思います。

 関わった皆さんからすれば、厳しい計画の下、一生懸命やって、宇宙に打ち上げてもらったし、電波も少しは受かったしと、おっしゃりたいでしょうし、個々には満足感もあったとは思いますが、多くの場合は何らかの異常/不具合(打ち上げや、軌道上での故障とは断定できない。さらには偶発的ともいえない)を抱えていることは事実であり、忘れられないことになるでしょう。

 私(白子)としては、皆さんの今後の”宇宙システム工学教育、衛星開発/宇宙への挑戦”を応援し続ける観点から、以下のような感想を追記させていただきます。
・基本、原理原則や先駆者の教訓を学び、尊ばずして事は成らず
・Cold Launchの副衛星は打ち上げ前の点検確認もシステム検証のひとつ・・・バッテリの枯渇(何時の間にかターンオンも)
・熱設計の地上検証試験(熱真空試験)は必須
・実機を使った地上end to end試験の重要性再認識(アンテナを含む通信系やEMC他)
・予測と実測の比較評価でシステム成立性を確認
・ミッション軌道によって異なるシステム作りが肝要(深宇宙探査は片道切符で時間との
 戦いで、地球周回とは全く異なるオペレーションが必要。また、超低高度軌道も注意)
・宇宙システムにとっての通信(技術)手段確保の重要性再認識と宇宙教育での強化
・事前の地上局整備と実機との適合性確認、ならびに運用の訓練
・客観的、実質的、かつ教訓的なレビュー(設計、試験等のイベント毎の)の実施
・システムレベルのFMECAの重要性再認識
・システム的な観点での電源系の設計・検証が不十分だった
 (太陽電池配列、スロースタートな起動特性、バッテリ特性把握と充放電回路、電源保護・リセット機能等)
・停波機能の堅持とコンテンジェンシー時でも最小限のテレメトリーデーターの確保
・デブリ対策;自らがデブリにならないための対処
・(超)小型衛星開発への対峙姿勢;効率化、コスト低減の誤認が無いかの再認識
・プロジェクトマネジメント、システムエンジニアリング視点の宇宙システム工学教育の再強化、再認識

視点を変えて表現すれば、
・ちょっと考えればおかしい?ことを何か見落としている
・システムとは寄せ集めで成立するものではない
・システムは弱いところから綻びる
・リスクを承知(回避でもない)の上のシステム成立への方策・対策の挑戦
・挑戦なくして”ほどよし信頼性”は実現しないと云われるが、挑戦と無鉄砲は違う
 ;「ほどよし信頼性工学」の挑戦には、蓄積された知見、経験知、暗黙知などを冷静に分析・活用することを期待したい(温故知新)
 ;基本コンセプトといわれるa)標準メタプロセスや2)復帰を考慮したアーキテクチャーなどの手法は、初期の衛星開発やアマチュア衛星(日本ではJARLの「ふじ3号」*)など小型衛星開発の実績事例として多く見られる(コスト低減;COTS採用、管理作業の工夫・節減、機器の小型化・軽量化;FPGA採用、機能のSW化、機器の統合化、SEL対策;復帰/誤り訂正機能、スカンクワークス的マネージメント、機能冗長/故障分離的思考、知見・経験知の活用他・・・)
アマチュア衛星は昨今の小型・超小型衛星のルーツ
 1962年打上げのアマチュア衛星AO-1に始まり、宇宙工学教育の先駆けとなった1981年のサレー大学のUO-9、そして1970年代からの日本発のアマチュア衛星/機器の開発等は常にその時代の衛星開発・利用の思いを詰め込んで進化し、より高度な衛星技術や利用市場の展開の可能性も期待される局面を迎えていますがその礎を築いたのがアマチュア衛星ではないでしょうか。
 特にJARLによる「ふじ3号(JAS-2)」は「ふじ1,2号」の経験と高度な機能や効率的な開発が為され、国際的な貢献を含めた実用衛星で、昨今の小型・超小型衛星の小型・高機能・低価格化を実現したといって過言でないと考えます。(1996年8月打上げ以降、2012年現在もアナログ中継器の機能は健全で、電力事情での運用制限はあるものの軌道上寿命が続いているJARL-HP;”アマチュア衛星「ふじ3号」を楽しもう”へリンク SSCnote-HP;原点;アマチュア衛星・・・足跡の記録集)、JA6XKQ武安義幸氏編「アマチュアの無線と衛星」日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
・時間(労)を掛けずして成果は得られず(見えるものも見えない)、時間を惜しんだ効率化や省力化は無駄を積み上げるだけ
・事前実証(試験)は不可欠だが、自力の知力や先人の経験則・教訓を理解することで克服

等々に注目いただければと思います。 以上のポイントを”図解;学生衛星の確かなモノづくりに期待(pdf版)”に表しておきます。


最後に、私なりの永年の宇宙開発への取り組み姿勢(信条と意志)をご紹介します。
・宇宙(環境)を侮らず
・宇宙システムの臍の緒は通信
・技術はウソをつかない
・現場主義
・技術・信頼性文化は人の絆
 (信頼と倫理観、人づくりで継承と伝承、そして発展)
・リーダー観;我をもって和
となす

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参考HP;
宙の会
・小型衛星No.1〜8
・デブリ対策;H-UBで・・・
SSCnote-HP;宇宙技術者の心得
http://www2s.biglobe.ne.jp/~gshirako/engineer.html

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3. もう一つのCubesat物語
 私は、学生諸君の手作りの衛星の先駆けとなった東大・東工大の各CubeSatプロジェクト(UNISEC-HP・CubeSat物語http://www.unisec.jp/cubesatstory/ および 川島レイ著・キューブサット物語/エクスナレッジ出版)に応援する機会がありましたが、このときにCubeSat製作に係わる学生諸君や指導教官・関係者への約200件を超えるコメントメールを発信しましたが、このコメントメモをもとに、どの様な応援の仕方をしたかを“もう一つのCubeSat物語 ― 手作り衛星製作者の心得 ― ”として集約してみました。 衛星の設計や製作・試験、運用等にいたる広範にはなりますが、学生諸君の初めての衛星開発の苦労の局面に対して発せられた文脈から心得、心構えに通じるヒントをお汲み取りいただければ幸いです。

3.1 CubeSat事始め

3.1−1 CubeSat事始め−1(2000-5~): CubeSat、 jamsat-bbに登場
<証言1−1−1:東工大投稿“搭載通信機器の調達”にコメント>
 CubeSatとの直接的な関わりは、日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)のメーリングリスト(jamsat-bb)に投稿された1通の東工大CubeSatメンバーのメールに対するコメントから始まりました。
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> 件名 : 私信:Re: [jamsat-bb:XXXX] はじめまして
Tさん@東工大。  白子悟朗/2000-05-YYです。
Jamsat-bb参加歓迎します。
 私を覚えておられますか?。 昨年の衛星設計コンテスト審査委員をつとめ、終了後の懇親会でも一寸話をしました白子です。その時にお話ししたと思いますが、私もアマチュア無線家JG1LDVのコールサインでアマチュア無線局を開設したり、アマチュア衛星通信愛好家の皆さんと交流しています。本来、jamsat-bb上でご挨拶すべきところですが、それは共通話題で適時交流したり楽しませていただきます。
 本メールの本題に入りますが、その後も皆さんのCubeSat活動状況を気にしていました。 と言いますのは、懇親会会場での話で、皆さんには”ペーパーエンジニアリングから脱皮して、手作りの体験をして欲しい”と申し上げました。そのためには、”学内や同好者の力を集めては如何でしょうか”ともアドバイスしました。 どのような規模でも一つの宇宙機システムを纏めるとなると一人では大変です。多くの要素部分の物作りを含めた具現化とシステム全体を束ねる力量が必要になるからです。 
 ところで、JAMSAT-BBでの問いかけ、
“> 衛星に搭載可能である通信機を探しています.どんな情報でも構いませんので連絡ください.私は実際に宇宙に打ち上げる衛星を作ったことがないので,宇宙で使える通信ハードウェアに関する知識はほとんどありません.こんなことに注意する必要がある,ここに頼めば製作してもらえるといった情報でも構いません.”
について、以下アドバイスさせていただきます。
・jamsat-bbに参加されている皆さんは、それぞれいろいろな分野の専門家もおいでになりますし、自ら半田ごてや機械類を駆使して素晴らしい通信機器などを作り、それでアマチュア衛星通信を楽しんでおられますが、衛星や関連機器類を作った経験者(AO-8のリニアトランスポンダ、JAS-1/1bのリニア・デジタルトランスポンダや運用ソフト、P3-DのSCOPE)は数人しかおられません。
・それらの皆さんは当時学生さんであったり、技術者個人であったりしましたが、ご自分の出来ることから取りかかり、勉強や失敗を重ね、一部はプロの宇宙技術者のアドバイスを受けながら実現しました。外国でも同様です。
・昨今は多くの情報があるものの、手作りに挑戦する機運が二の次になっているとを残念に思います。
・皆さんには是非この機会を通して、物作りに自ら挑戦して欲しいと思います。
・宇宙システムにとっての通信システムは“臍の緒”に相当します。 この部分をマスターしてこそ宇宙屋と言えるのではないかと思うのが持論です。
・衛星搭載用の通信機器を買うことはプロの衛星ならまだしもアマチュアレベルに該当するものは無いと云って良いでしょう。すなわち、自分で作る/改良するしかないのです。
・しかしながら、適応出来る通信機器技術は巷に出回っているものを含め活用出来ますが、衛星搭載レベルにするにはそれをベースに、機器性能要求に沿って、簡素な回路設計を心掛け、部品の選別に始まって、実装設計、そして試作・試験をえてフライト品を作ると云った地道な努力が必要です。 これらの体験が皆さんの学究にとって貴重な体験になると思いますし、このようにして作り込んだ衛星が成功裏に軌道上で動作するのを自分で受信したり/指令を行ったり出来ることになれば、何者にも代え難い感動を得ることになります。
・まずは、学内でアマチュア無線をやったりしている同志を集めるか、情報通信を先行している専攻学科の研究室に参画して貰って事を進めることをおすすめします。
・貴学内でも、衛星搭載用アンテナや通信システムを研究されている研究室はあるはずです。その当たりから当たりをつけてみてはどうでしょうか?
・その上で、具体的に部品の使い方や実装上の注意、・・・等の課題に対して、また衛星からの電波の受け方などで、このBB上で問いかければ多くのアドバイスが得られると思いますし、中には積極的な応援もしていただけると思います。
 長々となりましたが、基本的な考え方を私なりにアドバイスさせていただきました。 これからも皆さんの活動を見守らせていただくとともに、アドバイスもさせて頂きます。 まずは、学内での餅屋は餅屋での同好の士を集め、切磋琢磨しながら・悩みながら夢の実現に努力してください。
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3.1−2 CubeSat事始め−2(2000-11~):東工大・大学院講義「宇宙特論:実践的宇宙通信技術」
<証言1−2−1:宇宙システムの“臍の緒”、通信技術等を伝授>
 2000年11月26日、旧知であるNASDA(現JAXA)のOさん(東工大/NASDA連携大学院(機械宇宙システム専攻)の教官併任)から、宇宙工学講座でプライオリティの高い“衛星搭載電子機器(特に通信系)の設計/製作方法について”の非常勤講師の要請がありました。経緯をお聞きすると、これは、学生の手作りによる衛星製作(CubeSat)が話題に上っている昨今、いざ、衛星を作るとなると、学生の実験装置のような訳にはいかない故、少しでも実践的な講座を導入したいとのことでした。 指導教官のM先生との講義内容や学内調整のご配慮により、12月から2月の間で、下記の要領(学生への講座案内から)で集中講義を担当することになりました。
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宇宙開発応用特論(Applied Space Development Engineering):「実践的宇宙通信技術」
白子悟朗 非常勤講師(SSC技術士事務所)
講義日程:下記記載日の13:20-16:30(途中10分の休憩含む)
     12/15 金、 1/12 金、? 1/26 金( 2/2 金 予備日)
講義室:南1号館S122教室
連絡教官:M(機械宇宙システム専攻、内線ZZZZ)
講座の目的等:
 宇宙開発の現場に関わる項目を精選して集中的に講義を行う。今年度は、宇宙開発技術において最も重要でかつ役に立つ宇宙通信技術について、その原理から製作までのポイントを機械系学生にも分かるように実践的な講義を行う。講師は、長年、現場で各種の衛星開発に携わっており、現在でも技術士活動としてNASDA招聘開発部員(非常勤)や学生衛星設計コンテスト審査委員などの宇宙開発啓蒙啓発に幅広く活躍されている白子悟朗氏にお願いする。
講義概要:
 宇宙システムでの通信技術は、宇宙の部分と地上の部分を含めたシステムの中枢神経に相当する役割と、広く衛星通信として社会の安全性と豊かさを身近な存在となっているなどきわめて重要で幅の広い技術分野です。本講義では1)宇宙通信概論として宇宙通信の歴史、衛星通信技術の特徴、通信技術の動向と、2)衛星システムにおける通信系設計概要として通信系設計概要、小型衛星搭載通信機器の実践的な概説、加えて体験的な3)宇宙技術者の心得を紹介した講義をする。学生諸君の積極的な発言・議論を期待する。
Update091001
<講義コンテンツ>・・・講義レジュメを付記に収録
1)自己紹介:
・ 私は宇宙職人
・ 宇宙技術者の心得・・・マネジメントマインド
2)宇宙通信概論:
・ 宇宙通信の歴史・・・宇宙開発と通信、衛星通信の幕開け
・ 衛星通信技術の特徴・・・長所と短所他
・ 通信技術の動向・・・固定通信から移動体通信へ、高速通信
<アンケート調査>
3)衛星システムにおける通信系設計概要
・ 衛星システムの通信系設計概要
・ 衛星通信システム構成と制約事項
・ 衛星通信システム設計上の留意事項
・ 衛星回線設計とハードウェア実現性
4)小型衛星搭載通信機器の実際:
・ 衛星搭載通信機器の実際・・・各種衛星の通信機器構成例を紹介
・ 小型衛星搭載通信機器の設計/製作の留意事項:例題「アマチュア衛星JAS/CubeSat他」
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 本講座の開講に当たり、指導教官のM先生が、“東工大講義「宙開発応用特論」開講を、東大N研(指導教官:N先生)に通知されたところ、小型衛星開発の関係学生(東大だけでなく他大学の学生も含む)が7人程度受講希望とのこと。東大と東工大は相互に講義を受講できることになっているので問題ないが、東大/東工大以外の学生に対しては、白子が黙認すれば、講義に参加させたいとの意向が示されたので、折角の機会であり学生諸君の熱意に応えるべく承知しました。その結果、受講者は総勢26名の充実した講座となりました。
 いざ、講義が始まると、受講学生の中には既に衛星設計コンテストやjamsat-bbでのCubeSat談義等で馴染みとなっていた学生諸君もいて、講義する側も気楽な気分となった次第。 1回目の講義後のアンケート調査では、講義に対する幾つかのリクエストが出されました。
> 東工大 Oさん:失敗体験についての話を聞きたい・・・自分もCubesat開発で失敗
> 東大 Iさん:アンテナの偏波について・・・偏波形式の差は受信に影響を与えるか?
> 東大 Gさん:アンテナのスイッチング、筐体を含めた放射特性解析、高周波回路特性
> 東大 Iさん:通信機、アンテナの選定指針、設計の手順、評価の方法(リンク式など)
等、学生諸君の関心事はCubeSatの通信系開発に関わる具体的な事が主で、CubeSat開発を自ら手がけるが故の熱心さが伝わってきました。
 これらを可能な限り取り込んだ3回の講義(延べ12校時)を終講する時には、少なくとも機械系学生諸君の通信に対する嫌悪感はなくなり、より深く勉強して経験を積もうという動機付けになったのではないかと思います。 高度で洗練された信頼性のある通信機器を自ら製作することは時間が掛かるかもしれませんが、最低限のツボを押さえた通信機器ぐらいは設計製作できるようになって欲しいと思います。そして、電子機器の塊である宇宙システムを機械屋ならではの観点から自ら製作していき、いつかは新しい概念に基づいたシステムを生み出して頂ければと思います。
 この様に、宇宙特論の格別な機会を頂いたことがCubeSatなどはじめ、教育現場での手作り衛星を直接応援する端緒となった次第です。

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3.2 東大/東工大合同CubeSat設計会議(2001-4~):CubeSat計画の課題抽出
<証言2−2−1:東大・東工大CubeSat計画へ厳しいコメント>

 M先生@東工大から、3月の中頃にCubeSatの東大東工大合同設計会議を行う予定との案内をいただき、JARL・Kさんにも参加をお願いして、アマチュア周波数の関係やアマチュア衛星の運用・地上局についてアドバイスいただく段取りをしました。
 また、この頃から九大・Y先生や慶大・O先生他からもCubeSatはじめ、広く各大学の宇宙工学教育に対し応援をして欲しいとのお話を頂く事が多くなり、学校関係者のCubeSat製作を一つの軸足とした実践的な宇宙工学教育に対する熱意が伝わってきました。
 2001年3月に入って、M先生@東工大から正式なCubeSat 設計審査会議開催のお知らせを頂いた。その内容は“この度、我々、東京工業大学と東京大学が、現在、鋭意、開発しております超小型衛星CubeSatの設計審査会議を開催することにしました。CubeSatとは1辺10cmの立方体形状で総質量1kg以下の衛星であり、今年の11月、ロシアロケットを用いて打ち上げを行う計画です。大学研究室を単位として設計開発を行っていますので、開発経験が非常に乏しく、技術的な検討も低いレベルで留まっているところが多くあります。今回の設計審査会議では、ご足労ながらも経験豊富な有識者に参加していただき、貴重な助言をいただきたい”との事、参加させて頂くこととしました。
 開催された審査会では学生の皆さんの熱意を共有させていただき、参加者一同とのエキサイティングな討論で、感動の一日を過ごし、学生のプレゼンや討論で気づいた事を両校CubeSatプロジェクトに以下の通りコメントしました。
==============================
<東工大/東大CubeSat設計審査@東工大(2001年4月6日)へのコメント>
2001年4月7日 SSC 白子悟朗
1. 両校共通コメント
1.1  ロケットIFと言うより、P-POD IFを早急に情報収集、調整することが肝要。
    調整相手が誰なのか不透明?
1) 軌道条件…同時放出三衛星の相互軌道関係情報…電波干渉検討のために必要
2) 分離条件
  :分離速度…放出後の衝突防止策?
    :ティップオフレート…姿勢変化の初期値として必要
3) 機械IF…P-PODのレール保持方式のガタを含む機械環境条件
4) 熱IF…P-POD内蔵時の温度環境条件
5) 電気IF
:分離スイッチ/キルスイッチの考え方と機械的圧力?
:自己放電に対する補充電間隔の可能性又はCubeSat側からの要求提示
1.2 無線局申請および事前公表手続きはどのようになっているか?
    11月打上を前提にすると正規な手順では既に間に合わないことが予想される
1.3  生き残り策(サバイバル…アンテナ展開不能、電力収支や熱等の観点から)を十分
    な検討を勧奨します。超小型衛星の生死は熱と電力収支対策で決まると考えます
1.4  機会がありましたら今後のフェーズで試作品や評価品など現物を拝見したい
1.5  重量配分
1) P-POD IFによっては耐震対策のための重量確保が必要になる可能性があります
…現状では余力無し?
1.6 電力配分、収支
1) 打ち上げ時(P-POD引き渡し後の電池の自己放電による容量低下を含め)や軌道 一周の電力収支プロファイルを確認願います
2) ピーク電力の大きいものがある場合(多分無いと思いますが)は、電力収支の他に電源系のピーク電力供給が可能かの検討が必要です
1.7 熱設計
1) 早急に熱モデルの詳細化や基板毎の発熱量を加味した熱解析をして、部品や機器動作温度(温度特性)との成立性の確認と表面処理や熱パスなどの熱設計を構造設計に組み入れて下さい。
1.8 構造系
1) P-POD IFによる設計の促進:現状では不明なのでランダム振動に対する配慮
1.9 通信系
  1) 衛星アンテナはマッチングを必ずとること
2) 気球での通信実験では、実際のアンテナ構成/出来ればCubeSatの構造で
1.6 電源系
1) 電源系や全ての機器はソフトスタートを確認:バッテリ枯渇からの立上り確保
2) 分離スイッチ(冗長)の挿入箇所を明確に。誤動作による電源投入防止策を
…マイクロスイッチ/フライトピンと電源系の関係は?
3) 電池だけでも、CW送信は1ヶ月動作?…太陽電池/コマンド不能でも最小生存
1.7 機器設計
1) 部品ディレーティングの確認
2) SEU対策はリセットでOK。ラッチアップ対策は電源故障分離を注意
3) 動作温度、動作電源電圧範囲は可能な限りの拡大を
4) EMC設計&確認:高速パルスのスプリアス拡散/電源ノイズに注意
1.8 製作・試験
1) 温度試験を十分に
2) 衛星搭載から分離動作〜軌道上動作までのシーケンスを確認
1.9 マネジメント、その他
1) マンパワーの記録…人的な貢献度を定量的に
2) スケジュールキープ、しかし手抜きは禁物
以下は、特に各大学個別のコメントです。

2. 東工大CubeSat
2.1 ミッション
1) センサー系:姿勢不定衛星の姿勢センサーの意味合いの整理が肝要と思います。
2) サクセスレベル…共通1.3参照
2) ANTなど展開物の振動収斂の考察必要:ダンピングが小さいので収束しない?
…アンテナの振動で電波の細かい変動が発生する事もある
2.2 通信系
  1) 全てのアンテナが単一故障点になっている:展開不能時は全ミッション喪失

3.  東大CubeSat
3.1 沿磁力線制御
1) P-POD放出時にうける外乱と磁気力の関係は?
2) 衛星本体の残留磁気特性との関係は?
3.2 通信系と電力収支
1) FM送信機1Wの必要性と6Wの消費電力の収支バランスの再考
2) アンテナ展開時の振動収束は十分か?
3) アンテナスイッチが単一故障点にならないように注意

 この中でも重大な関心事は、
1)無線局申請をどうするのか
2)CubeSatのリソースに見合ったミッションの絞り込み(トレードオフ)
3)P-PODを含めた打上機会確保の確実性
等でした。

 これに対し、両校関係者からは以下の反応と意気込みを頂きました。
#東工大:詳細なコメントをいただきまして、今後の設計制作に反映したいと思います。 また、近々(5月@NASDA)、東大との合同ミーティングを開催しますので、もしご都合が付けば参加下さればと思います。
#東大:貴重なご意見、指摘は大事に反映させていただきます。 我々、教科書的な知識で検討を行ってきて、実際の開発は始めてですので、長年、苦労されてこられた方のご指摘は、本当にためになります。甘さを痛感します。
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3.3 NASDAでの東大/東工大WS(2001-5~):CubeSat通信システム
<証言3−1−1:通信系を重点的にコメント>
 案内いただいた東大/東工大合同ミーティングには短時間しか参加できなかったため、気付いた点をメールでコメントしました。 尚、当日の様子は25日のNHKニュースで放映されましたが、たまたま私が学生諸君と議論しているところが映ったことで多くの知人・友人からCubeSat計画への反響が寄せられました。
==========================
 CubeSat合同ミーティング参加メンバーの皆さん。 白子/25 May 2001です。 
 充実したミーティングで盛り上がってると拝察いたします。 私は、所用のため参加できないため、昨日(24 May)の通信系関係者他との意見交換を私なりに整理して、今後のためのコメントを以下にします。参考にして下さい。
1)気球伝搬実験の様子を伺うと、400MHz送信波によって144MHz受信機に回り込んで、感度抑圧が起きていることが考えられます。感度抑圧の結果、送信モード等によってアップリンクの通りが悪くなったりアップリンク到達距離が著しく短くなっていることが予想されます。・・・早急に送・受信機個別ののスプリアス特性や感度抑圧特性、そして送・受信機を衛星搭載状態にセットアップした状態で、送信波の影響が受信機に与える影響を計測・監視してみる必要があります。・・・以上のことは地上設備にも起こる可能性があります。 影響がはっきりした場合には、その要因がスプリアス関係(混変調を含む)で有るか、強電界による感度抑圧に寄るかで、送信機の発生スプリアス特性を改善する必要があるか、受信機側にフイルターを入れるか、シールドを強化するかなどのハード処置が必要になりますので出来るだけ早急に目処を付けないとシステム全体への影響が大きくなります。
2)皆さんの今後の予定にもよりますが、上記の問題や地上局の整備など、現物での試験状況を拝見したり、地上局現地を一度は意見させていただければ、具体的なアドバイスが出来ると思いますので、機会をアレンジいただければ幸いです。
============================
 この後、Oさん@東工大から開示頂いた通信系情報に対するコメント。
 白子/5 Jun 2001です。
1)送信機の周波数関係が144MHz帯受信機の感度抑圧にあまり好ましくありません。
・TCXO→×3→×3=436.83MHzを出していますが、最初の×3で145.61MHzが発生し、145.835MHzの周波数を予定している受信機に近傍(215KHzしかはなれていないため)での感度抑圧が発生する可能性が大です。
・この種の受信周波数近くにスプリアス周波数が発生する組み合わせは好ましくなく、TCXO原振周波数や周波数逓倍数の組み合わせを変える方がよいと思います。
・Cubesatの場合、特に小型に作り、重量制限がありますので電磁的なシールドでは一度発生したスプリアス信号は減衰できませんので、先ずは周波数関係の再吟味が必要です。
2)回路図の上では、
・電源回路には、やはり送受信機の回り込みを抑えるために適当なフイルターを挿入する必要があります。この場合、低周波向けには容量の大きなタンタルコンデンサーを使うことになりますが、直列にして下さい。・・・短絡防止のため
・2ヶ所?に可変抵抗器を用いるように見られますが使用は避けて下さい。・・・調整後に固定抵抗器に置き換えることを考えて下さい。・・・宇宙では機械的な接触は極力避けたいです。
3)その他
・温度条件は、−30°C〜+60°Cで働くようにして下さい。但し、性能は多少変化しても良いとします。性能確保は−10°C〜+40°Cと言ったところでしょうか?
・電源変動に強くして貰って下さい。3Vに対し少なくとも±1Vぐらい変動しても、不要な発振などの異常動作しないように調整することが肝要です。

                                                                     [トップに戻る]

3.4 東大/東工大研究室での議論−1(2001-6~):周波数とモノ作りのポイント伝授−1
<証言4−1−1:アマチュア無線周波数の使用の告知についてのコメント>
 東大・東工大CubeSatの皆さん。 白子/3 Jun 2001です。
早速ですが、CubeSat計画についてアマチュア衛星関係者や日本アマチュア衛星通信協会(JAMSAT)の有志(アドバイスを頂いた方は:Tさん他。私もほぼ20年以上前の発足当初からのメンバーです)と意見交換をする機会がありました。その折に皆さんの計画でのアマチュア無線周波数を使用するスタンス等について議論し、留意点をまとめてみましたのでご検討願います。・・・過日の審査会/合同ミーティングでもアマチュア無線家への情報公開等について申し上げましたが再度併せてコメントさせていただきます。 特に両大学のCubeSat-HPに掲載されている“周波数についての告知”文に反映していただければ幸いです。 また、アンテナを含めた送受信機の回り込みについて定量的な検討・確認が急務と感じていますので、早急に本件につき情報と場の提供を期待します。
以下、具体的にコメントを列記します。

1.アマチュア無線周波数使用上の留意点
1)「告知・お願い」を読んでの第一印象は、「周波数的に便利なので使用させてください」としか読み取れないことです。「アマチュア無線界全体で楽しめるものであり、また、運用には全世界のハムの協力が不可欠なので一緒にやりましょう」というスタンスが是非必要と思います。 論点で補強すべきは、非営利団体の研究とアマチュア無線界の協調と共存の部分であると考えます。使い易い周波数であるとか、無線機が流用できる等は付随的なものでしょう。 まず、趣味でなく研究の一部としてアマチュア・バンドを使用するにあたって留意すべき点は、通信路に流れる情報には万人がアクセス可能であり、その情報を人が利用可能である点(あるいは、あるべき点)です。これらの点が研究に支障を与えないか注意すべきです。例えば、研究対象である新規開発の技術に関するデータをアマチュア・バンドで落としてくるとしましょう。アマチュア・バンド故に誰でもそのデータを見ることができますし、その気になればデータの解析も可能でしょう。このような場合、研究として成果を発表するにあたり、既知のものとして支障をきたさないか心配です。既知にならないように、秘匿を掛けたとすると、それは本末転倒です。・・・必要で有れば知的所有権を先行出願する必要もあります。

 例えば、新しい通信方式を試すとしましょう。その方式は、アマチュアが実現できるか否かは別にして、実現に要する情報は一般に公開されないことには、アマチュア・バンドでの使用は認められないと思います。 それぞれの計画の例では、一時的に独自の通信プロトコルを試すとありますが、これも打上げ以前に公開すべき情報だと思います。
 このような心配は、現在のように、衛星を作ること自体が研究目的であり、そのアプリケーションが研究目的ではない(それ故に、アプリケーションとしてアマチュア無線が使える)場合には問題にはならないでしょう。しかし、作る技術が成熟するにつれて、今後、アプリケーションの部分で研究を行いたくなるのは自明です。例えばSSTLがその例です。商業的な価値のある、例えばリモートセンシングのデータをアマチュア・バンドで落としたい場合にはどうするのでしょう? 通信路には万人がアクセスでき、データは万人が解析できることを原則とすることを前提に計画を進める必要があります。
2)もう一つ、「告知・お願い」を読んで感じた点は、運用が自分達で閉じると勘違いされることです。先日の検討会でも申し上げましたが、ワールドワイドなアマチュア無線衛星コミュニティの協力を得ないことには、衛星の管制業務がほとんど不可能であることです。「だから、皆さん一緒にやりましょう(・・・又は、協力・支援をお願いします)」という呼びかけが論点として欠落しています。 (アマチュア)衛星で不足するリソースは燃料、発電量、無線リンクの帯域・・・、は無論ですが、更に重要なのは地上のヒューマン・リソース(人手)なのです。

2.送受信機の回り込みや受信機の感度抑圧特性等
 先の検討会後のメールでもコメントさせていただきましたがアップリンク受信機の多信号特性、過入力特性等や送受信機の回り込みの検討が不十分のように見受けられます。さらに、アンテナとして不平衡型を使用するケースもありますので、波長より小さい筐体故に、筐体側の迷走RF電流の悪さが上記の影響が更に強く出ますので心配です。

 以上、衛星作りに限りませんが、一般的な論理展開や工学的アプローチが「大学生/大学院生」の皆さんにとって、まさに「教育」だと思います。

<証言4−2−1:モノ作りのポイントを伝授−1*東大CubeSat訪問記−1>
 JAMSAT有志のTさん、TuJさんと私・白子(JG1LDV)が、東大CubeSatプロジェクトを訪問(29 Jun 2000)し、設計に対する以下のコメント・アドバイスをさせていただきました。
==========================
JAMSAT有志=東大ミーティングで出た議題の要点:
@ノイズ対策 (Power Supply, TX, RX, CPU, 地上局)
(伝導・放射ノイズ,BER,発信機の安定性・ノイズ,受信機フィルタ)
ALink Budget(理論値と実際)
Bアンテナのマッチング
(ダイポール・モノポール,バラン)
Cアンテナ展開法
D地上局のアップリンクトレーニング
E地上局のアンテナ
(スタックブーム延長,ターンスタイルアンテナ,同軸引き回し)
Fトラッキングの方法
GTTC&Mのハンドオーバー

<証言4−2−2:モノ作りのポイント伝授−1*Tさんアンテナ等通信系について>
Sent: Friday, July 06, 2001 2:01 AM
Subject: Re: disccussion on 6/29
 先日のミーティングの結果から、アクションとして優先順位が高いのは、アンテナ部分の設計と製作だと思います。 アンテナは、議論した内容の全てに関わっています。

 アンテナを不平衡型のモノポールから、平衡型のダイポールにすることは、議論しましたようにノイズ対策にも有効です。 ダイポールにするからには、バランを挿入すべきです。430MHz帯では、1/4波長(短縮率を考慮のこと)の同軸構造を利用したシュペルトップが、説明したようにスペースファクタとして有効だと思います。 一方、140MHz帯では1/4波長を確保することは衛星のサイズから困難ですから、ここのバランは、同軸ケーブルをトロイダル・コアに巻き込んだ伝送線路型トランスが有効だと思います。これについては、CQ出版社の「トロイダル・コア活用百科」を一読されることを勧めます。ちなみに本書は、バランのみならず、アンプやフィルタ等についても実例が詳細に記述されています。

 次に回線設計ですが、理論どおりにいかない点は、と言うよりも、回線設計として考慮が不足しがちな点は、やはりアンテナ周りなのです。 衛星通信では、電波伝播の部分は、ほぼ理論通りとなります。しかも、距離が2倍違ったとしても、高々6dBしか変化しません。 一方、アンテナでは、その指向性は10dBや20dB、あるいはナル(Null)と言うように大きく変化します。また、偏波の不一致による減衰も考慮しなくてはなりません。これらは、回線設計では「ポインティング・エラー」として考慮されているはずですが、小型の衛星ではコントロールが非常に困難、あるいは不可能な設計要素です。

 ダイポール・アンテナにも指向性にナル点がありますので、できることなら、単純な水平ダイポールではなく、例えばV字型のダイポールにして、指向性のナル点を埋めるようにしたほうが良いでしょう。 理想的には、二組のV字型ダイポールを組合わせたターンスタイル・アンテナです。小型衛星の写真を見ると、この例が非常に多いことに気づくことでしょう。 
 ダイポールをV字型にするメリットには、インピーダンス・マッチングもあります。水平(180度)では、約70オームくらいのインピーダンスが、例えばV字の頂角を100度位にすると約50オームのインピーダンスとなります。 50オームの同軸ケーブルとマッチングがとれます。 V字型ダイポールでは、アンテナの収容に困難が伴うかもしれませんが、工夫によっては可能ではないでしょうか。 細いピアノ線をL型に加工して2本を対向させると、指向性と収納性(巻きつけ易い)が改善できるかもしれません。 アンテナ部分は衛星の電子機器とは独立して検討可能である一方、実験に時間を要する部分ですので、早期の着手を。

 回線設計でもう一つ考慮が抜けがちなのが、地上局設備のアンテナ周りです。まずは、無線機からアンテナまでのケーブルの損失(ロス)を正確に測定、あるいはカタログデータから見積もりましょう。地上局設備のブロック図を、ケーブルや中継コネクタ一個まで含んで正確に記述しましょう。ケーブル類は上記のようにロスを記入しましょう。送信機は、機器出力で電力を測定しましょう。できることなら、アンテナ端での出力を測定できれば(要はケーブルロスを測定)ベストです。
 地上局設備のブロック図を準備しておくことは、正確な回線設計の第一歩です。ブロック図の要素をすべて数値で盛り込んでいけば、回線設計の理論値と実際との乖離は実用上無視できるはずです。 また、設備の改善やトラブル解析(多くのトラブルは接続点で発生しがち)でブロック図が有効です。 白子さんとTuさんから、地上設備の同軸ケーブルが長いと聞きました。受信系のノイズフィギュアを見積もってみて回線設計上問題である場合には、アンテナ直下にLNA(ローノイズ・アンプ)を入れるべきです。 また、ケーブルは極力短くしましょう。

<証言4−2−3:モノ作りのポイント伝授−1*アンテナ設計のための参考情報>
Sent: Friday, July 06, 2001 10:22 PM
Subject: Re: disccussion on 6/29
東大CubeSat。  白子/6 Jul 2001です。
Tさんからアンテナについて貴重なアドバイスがありました。関連して多少補足します。
 簡単なターンスタイルアンテナの手作り解説がJARL NEWSのバックナンバーにありますので参考にして下さい。同軸での移相回路などの作り方も載っています。JARLでコピーを貰えるでしょう。
JARL NEWS 1997年1月号 38頁から43頁「ふじ3号」入門 受信にぴったりのターンスタイルアンテナを作る
また、
人工衛星電波の特性と受信・・・CQ ham radio Jan 1977
http://www2s.biglobe.ne.jp/~gshirako/Jan77-150.pdf
28MHz帯円偏波アンテナの実験・・・モービルハム Jan 1980
http://www2s.biglobe.ne.jp/~gshirako/28MHz-150.pdf
も、併せて参考にして下さい。

<証言4−2−4:モノ作りのポイント伝授−1*通信系設計(アンテナ、ノイズ対策)>
Sent: Saturday, July 07, 2001 9:31 PM
Subject: Re: CUBESAT通信系についての質問
CubeSat皆さん。   白子/7 Jul 2001です。
・今回のアンテナ実験は素晴らしい体験をしましたね。 ところで、研究室で頂いたアンテナのレポートを拝見したのですがコピーが薄かったのと、整理の仕方がかなり難解です??? 今回のデーターの整理をするときには、今までのデータとの対比や整理のし直しにも心がけて下さい。 アンテナ関係の研究論文をみて整理の仕方も勉強して下さい。
・ダイポールを単純にV字型にするとVの開いた方向に指向性が若干(最大で2dB程度?)出るでしょう。 ナルは多少なめらかに改善されるとおもいます。 今回の規模では直線のダイポールにしておき、地上アンテナは円偏波で良いのではないでしょうか?
・アンテナ・インピーダンス整合のためのバラーンのアンテナパターンに与える影響は、その差は僅かでしょう。 しかし、漏れ電流による送受信機間や他との干渉には影響しますので、バランは付与したいところです。
・2つのアンテナの平行配置は、寸法的にアンテナ間の干渉によるアンテナパターンへの影響が考えられますので避けたいところです。
・モノポールの場合は、筐体をグランドと見立ててマッチングをとることは必要です。但し、筐体の大きさが小さいのでかなり強引なマッチングの取り方になることは致し方有りません。マッチング回路は、Tさんから紹介のあった”トロイダル・コア活用百科”が参考になるでしょう。
・ノイズ対策のためのノイズ源をハードウエア上で究明の方法としては、電波をスペアナで計測する他に、電源ラインや信号ラインを直接オシロスコープで波形を見る方法もあります。但し、見る回路のインピーダンスにあったプローブを使用することです。
・ノイズ源が特定できた場合の対処としては、電源、信号線にフェライトビーズを挿入したり、バイパスコンデンサはパスコンの配置、値に加え、コンデンサーの種類や形(チップ型とか)にも注意して下さい。対策する周波数によって変わります。ノイズや干渉がないのに必要のないものを付与する必要はありません。特に宇宙機ではスリムにすることが肝要です。
・435MHz送信波による抑圧はまず是非計って下さい。外来波では受信帯域外でどのぐらいの選択度があるかにもよりますが近傍電波は、地上から数10から100w位で有る程度利得のある指向性アンテナを考えたレベルを想定してはどうですか? それ例外ではVHF/UHF帯のテレビジョン局やFM放送局の電波です。

<証言4−2−5:モノ作りのポイント伝授−1*Tさん、アンテナ整合回路>
Sent: Saturday, October 06, 2001 4:03 AM
Subject: CUBESAT送信アンテナ用整合回路について
進捗リポートをありがとうございます。
・整合回路に関しては、アンテナやその周りの回路などの加工精度などにより、どうしても微調整のために可変容量素子(トリマコンデンサ)を用いる必要性がでてくると思います。使用するトリマコンデンサの種類にもよりますが、どうしても使用せざるを得ない場合には、セラミックの多回転型ピストン・トリマを使用します。ただし、形状が少々大きいのが難点です。
 理想的には、トリマコンデンサを普通の固定コンデンサに置き換えします。最初にトリマを仮付けして、仮調整後にそれを取り外し、トリマの容量を測定して、それと同等のコンデンサに置き換えします。一発で調整できない場合を見込んで、容量を少し小さめのものを付け、並列にコンデンサを足し込んで追い込みをします。 竹串の先にコンデンサを接着した調整治具を用意して、足は半田付けせずに押し付けて、幾つかの種類を試してみます。PWBの半田パッドが剥離するのを避けるため、半田づけ回数が最少になるようにするためです。モールド材での固着は、二次災害のもとです。例えば、モールド材がトリマの電極間に入り込む等、、、、
 残り少ない時間でしょうが、基本を押さえて丁寧な作業を行いましょう。

<証言4−2−6:モノ作りのポイント伝授−1*東大CubeSat訪問記−2>
N先生、M先生。  白子/19 Oct 2001です。
Cubesatの打ち上げスケジュールの変更は残念ですが、皆さん方の計画にとってこの期間を有効に使えるまたとないチャンスと思います。 先日(10/17)は、東大チームのCubesatを視察・意見交換する機会を頂き有り難うございました。 チームメンバーとの間では、
・太陽電池の貼り付け方の再検討
・プリント基板半田付けの見直し
・太陽電池とアンテナとの干渉回避
・送受信機のリード線半田付け処理の改善
・整合回路の調整法
について議論しました。このうち、
・太陽電池とアンテナの干渉回避については、構体の設計を見直すこと
・送受信機のリード線半田付け処理の改善については、スルーホールの空いた基板に取り替えることにより問題点を修正すること
・整合回路の調整法については、トリマコンデンサのローターの位置からある程度の静電容量を割り出して、固定コンデンサを取り付け、さらにトリマコンデンサで追い込む方法を取ること
等にしました。私の希望といたしましては、上記等のコメントは東大チームに限らず共通的な課題と思いますので、前回(6/29)同様に東大→東工大チームで詳細情報を共有していただけると幸甚です。

<証言4−2−7:モノ作りのポイント伝授−1*東工大CubeSat現状報告へコメント>
Sent: Tuesday, October 23, 2001 3:20 PM
Subject: Re: 東工大CubeSat開発現状報告
東工大Cubesatチーム各位。  白子/23 Oct 2001です。
以下、コメントです。
・感度抑圧の要因は,「CW送信機の逓倍回路の途中で145.6MHzが発生してしまっている.CubeSatの受信周波数が145.835MHzであることから,かなりの受信抑圧が起こっている可能性がある」との問題回避のため,CW送信機のTCXOの周波数を変え,以前のCW送信機周波数=TCXO×3×3=436.835MHzから,TCXO=43.7837MHz CW送信機周波数=TCXO×2×5=436.835MHzに変更したことは、基本的な課題は解消したと思います。今後の教訓にしてください。
・CubeSatとして市販の無線機を流用するの場合には、自分たちの使用環境条件や電源条件で十分な試験を実施してください。通常の市販機は音声ベースで聞こえるか/変調がかかるかで良否を決めていますので、電気信号レベルでは各種環境条件下での変動が大きいはずです。
・アンテナのマッチング(インピーダンス整合回路)は、アンテナ特性やノイズ対策上重要です。 既に東大チームに調整方法をアドバイスしてあります。参考になる筈ですので聞いてください。アンテナのマッチング状態の最初の追い込みは、必ずしもネットワークアナライザーを使用しなくても、ディップメーターなどの簡易測定器を使うこともできます。
・無線機の特性と温度との関係は、フイルタ周波数の温度特性も考えられますが、各信号回路のレベル的な温度特性がまず考えられます。各信号のレベルをモニターしながら温度試験をやってみるのも一法です。
・受信機フィルタ特性の要件(受信機帯域幅を決める)は、講義でもしましたが信号占有帯域幅+ドップラ偏移幅+局発変動幅+フイルター変動幅+送信周波数変動幅+マージン等々を考慮する必要があります。上記フイルターの帯域幅が±7.5KHzで良いか要検討。受信機の構成を考慮して、それぞれのステージで必要な帯域幅の妥当性を温度特性ほかの環境変化を考慮して吟味してください。
・送信機はじめ電子回路の消費電力の低減化は最重要項目ですが、一方、あまり絞り込むと回路の温度特性や電源変動特性が悪くなることもありますので要注意です。試験で確認できることですので動作確認をしてください。
・小規模衛星の日陰時の低温化対策として、単純に保温材で覆う方法がよいのか、どうかは熱解析と試験をしてください。バッテリと通信系の温度管理は重要なことですが、バッテリはともかく通信機は運用モード(切り替え)で発熱変動も大きいので、まずは温度耐性のある通信機に仕上げることが肝要でしょう。

                                                                     [トップに戻る]

3.5 UNISAT2001WSにメールで参加(2001-12~):ワーキンググループ討議
<証言5−1−1:ミッションWG*機器の標準化>
Sent: Thursday, December 13, 2001 1:36 PM
Subject: Re: mission working group fm shirako
白子@SSC-soho/13 Dec 2001です。
 相互協力体制としての機器の標準化は、機器技術やサブシステム技術は、日進月歩する部分やそれぞれの思い入れが有るのは当然で、大いにアイデアやチャレンジできる環境にしておくことが肝要と考えます。しかしながら大学衛星コンソーシアムの現状や近い将来計画を立てる際にはある程度のたたき台/既開発品(標準品)もあって良いと考えます。いずれにしても、開発体制や計画は単発でなく、継続性・持続性や同種技術のベンチマーク/トレードオフを是非心がけてみては如何でしょうか。それと新規技術(品)/改良技術(品)にしても出来る限り学生諸氏の手作りが原点と期待します。

<証言5−1−2:通信系WG*通信系の高周波化>
Sent: Friday, December 14, 2001 9:53 AM
Subject: [WS]ワークショップグループ討議(通信系) fm shirako
 通信系の高周波化の話題に対し、課題提起しておきます。
通信機器の高伝送速度化・高周波への移行には、電源系と地上局系に負担が生じます。加えて、
・衛星コンフィギュレーション(サイズ、形状、発生電力、姿勢制御方式等)と搭載アンテナ(無指向性、指向性)の関係に留意する事。
・宇宙での部品の使い方として、ディレーティングを考慮することが必要ですので、さらに電源の効率等が低下することもあります。高周波素子の選定は、効率・ディレーティング・耐放射線等を総合的に吟味して下さい。
つまり、主な要素として、
・データ伝送速度
・送信出力(衛星の電源供給能力と形状)
・送受信周波数
・アンテナゲイン(地上局受信感度)
があり、相互に直接的な関係であるから、総合的に検討していく必要があります。加えて、上述の”衛星コンフィギュレーションと搭載アンテナの選定を留意することです。

<証言5−1−3:ミッションWG:手作り>
Sent: Saturday, December 15, 2001 9:42 AM
Subject: ミッション8:開発協力:白子
 手作りの現実的な課題の一例として、モノ作りの品質(打ち上げ環境や宇宙環境で確実に動く)の確保について議論して頂きたいと思います。CANSAT、CubeSat報告や最近イベント化したロボコンのシーンを見るにつけ、肝心なときに故障してそれまでの努力が水泡に帰す事が多々あります。 皆さんのアイデアやチャレンジが空回りしないことが肝心で、その ためには良いモノ(壊れないモノ)を作る事にも傾注して欲しいです。品質の確保は作り込みにあり有りますので製造技術的な設計と手直しの排除が基本となります。これらの手本の大半は宇宙技術に限ったことではなくモノ作り現場にある標準設計・工程や教訓が参考になり、プラスして打ち上げや宇宙環境が加わる事で考えれば、まずは皆さんの身近なところでモノ作りの心得をマスターして下さい。また自らの体験による教訓集を作り情報共有で活用することもお勧めです。
例:機械工作・加工、ハンダ付け、部品選定・実装、etc

<証言5−1−4:ミッション/通信WG:アマチュア無線周波数帯の使用>
Sent: Saturday, December 15, 2001 9:42 PM
Subject: ミッション9/通信9:開発体制/アマチュア無線周波数帯の使用:白子
 皆さんの衛星計画ではアマチュア無線周波数帯を使用すること前提になっているようですので、・・・・アマチュア無線周波数帯を使用するスタンスについて・・・留意点をまとめてみましたので参考にして下さい。 尚、この意見はCubeSat計画を進める東大/東工大チームに本年6月に提言した要旨ですがWSとしても共通すると考えましたので再掲させていただきました。 上記<証言4−1−1>に同じため省略  

<証言5−1−5:ミッションWG:打ち上げ>
Sent: Sunday, December 16, 2001 10:25 AM
Subject: ミッション10:打ち上げ:白子
 本コンソーシアムとしては宇宙実証機会(ISS、シャトル、大型モデルロケット等での機会を含む)の確保、使用周波数の確保が不可欠です。具体的なものに進めるためにも、これらの道筋をつける必要がありますが、たとえば、NASDA/ISAS等に対してのピギィーバック要請や総務省への使用電波の調整に対して、説得ある需要量をコンソーシアムで登録制(過去に実施された公募方式より門戸を広げる可能性あり?)で把握する試みも一つのアイディアと思います。また、小型や超小型衛星が中心になることから効率よく打ち上げ機会を 活用するため複数衛星放出装置(仮称)の整備・要請も併せて行うことが肝要です。

 平成13年6月28日に定められた「宇宙開発に関する基本計画」では、「3.人材の育成・教育・・・大学等の教育研究活動における宇宙実証機会の提供など教育支援活動の充実を図る」が盛り込まれています。 これは、平成12年度に宇宙開発委員会・基本戦略部会報告書に対するパブリックコメントで提言し、盛り込むことに成功した経緯があります。この基本計画が有効な内に、一足飛びには行かない問題でしょうが、関係機関に是非”確約?”を取り付ける事が本WSのアクションの重点項目の一つでしょう。

<証言5−1−6:ミッションWG:開発体制>
Sent: Sunday, December 16, 2001 10:44 AM
Subject: ミッション11:開発体制:白子
 一般的に”衛星を設計する”とか”衛星と製作する”に対してプロとしてはそのWBSやSOWがありますが詳細すぎますし、理解するには大変です。そこで本WSで、”衛星を製作する”ことを身近に把握していただくためにはどのような活動(人、物、金etc)が必要になるのかを列記して見ましたので議論の足しにでもなれば幸いです。強調しておきたいことは、多くの作業を積み上げた結果出来上がった衛星(形)を見ただけでは、投入したリソースの1割も見えないのではないでしょうか。見えない部分にこそ設計・製造技術の重要な部分やマネジメントが凝縮されていると思います。

< 衛星作りに必要な活動・・・省略 >  → ”2・1 手作り衛星に必要な活動の範囲”に同じに付き参照

<証言5−1−7:通信系WG:通信系の設計手順>
Sent: Monday, December 17, 2001 9:10 PM
Subject: 通信系16:通信系の設計手順:白子
 伝送速度をテーマにしてハード指向で搭載通信機の規格化の議論が進んでいますが、通信系の設計手順の観点から少しコメントします。
1.通信系の設計手順の概要
(・・・東工大・東大の皆さんには以前お話しした事の要旨であり、衛星設計コンテストの技術資料のおさらい・・・)
通信系は宇宙機システムと皆さんを結ぶ”臍の緒(寿命の最後まで全うする)”で、小型・軽量・低消費電力である必要を念頭に、以下の手順で設計を行うこと。
@ 通信距離、衛星姿勢、伝送レート、同時伝送有無等の通信要求について優先順位を付けて整理する。
A 既存地球局性能に基づき通信性能を試算し(回線設計実施)、電波法規定(電力束密度規定や特定バンドの保護等)と両立する条件の下、サイエンスデータとHKデータの混合伝送の可否を検討する。
B HKテレメトリ、コマンド通信系においては、姿勢異常時を想定し無指向性アンテナを使用するが、ノミナル運用時の地球局との通信方向からアンテナ搭載位置、アンテナ構成を選定する。 次に許容できるリソース(質量、消費電力)から、通信性能と伝送レートをトレードオフし通信諸元を確定する。
C サイエンスデータ通信系においては、伝送レートに基づき必要帯域幅を試算し、搬送波周波数を選択する。既設地球局との通信においては、回線設計に基づく搭載装置の通信性能(送信EIRPや受信G/T)を試算し、アンテナ構成を検討する。 この際、変調方式/符号化方式の採否を含め、送信電力とアンテナ利得との性能配分を行う。伝送レートが高く指向性の高いアンテナが必要になる場合には、アンテナ指向制御の有無を検討し、追尾精度に応じてプログラム追尾か自動追尾かを選択する。このようなアンテナ指向制御を行う場合、姿勢情報と地球局方向が必要であり、姿勢制御系と機器の共用化/信号インタフェースを含めて検討する。
上記の手順により、衛星の通信性能と通信機器構成を決定するが、伝送要求によっては、地球局の設備改修又は新規設置も必要になる場合がある。この場合には、将来的に他の衛星でも継続して使用していける様に、拡張性を考慮して計画する必要がある。

2.通信機の規格化と拡張性
・12OOMHz以上の周波数を使うためには衛星に何らかの姿勢制御機能が伴う必要があります。
・衛星アンテナの条件を入れた回線設計と許容されるリソースに対応する出力に可変設定できる機能を持つことや電源電圧の大きな変動に対して動作する事が望まれます。
 この他、送信機/受信機のスプリアス/感度抑圧特性/EMC特性に留意する事や、なんと云っても搭載アンテナの配置やアンテナ形式選定をどうするかが大きな課題と言えましょう。

<証言5−1−8:地上局WG:アンテナ回りの整備>
Sent: Tuesday, December 18, 2001 10:21 AM
Subject: 地上局26:アンテナ周りの整備について:白子
 地上局関連の討論に対し、気付いたことをコメント。
(・・・本年7月に東大の設備を拝見させていただいたときのコメントに準じています)
・地上局設備のブロック図を準備しておくことは、正確な回線設計の第一歩です。ブロック図の要素をすべて数値で盛り込んでいけば、回線設計の理論値と実際との乖離は実用上無視できるはずです。 また、設備の改善やトラブル解析(多くのトラブルは接続点で発生しがち)でブロック図が有効です。
・地上局の整備で一つ考慮が抜けがちなのが、地上局設備のアンテナ周りです。これは各校の地上局立地条件に依るところ大ですが、、無線機からアンテナまでのケーブルの損失(ロス)を正確に測定、あるいはカタログデータから見積もりましょう。地上局設備のブロック図を、ケーブルや中継コネクタ一個まで含んで正確に記述しましょう。ケーブル類は上記のようにロスを記入しましょう。送信機は、機器出力で電力を測定しましょう。できることなら、アンテナ端での出力を測定できれば(要はケーブルロスを測定)ベストです。
・地上設備の同軸ケーブルは極力短くすること。受信系のノイズフィギュアを見積もってみて回線設計上問題である場合には、アンテナ直下にLNA(ローノイズ・アンプ)を入れるべきです。 ただし、自分の送信波が受信機に回り込んで、感度抑圧やスプリアス妨害を受ける自家中毒もありますし、近隣ののTVや携帯電話地上局加えてアマチュア無線局からの強力な電波との混変調による影響も考えなければなりませんので、アンテナとLNAの間にフイルターを挿入することも留意して下さい。これらの状況把握や改善は実際に地上局をある期間運用(電波の状況は時間帯や、天候でも変わる場合があります)してみて必要に応じて実施して下さい。
・アンテナの構成では、衛星の直上パスで追尾をしないで使える2エレメント程度のターンスタイルアンテナを送受信ともに準備しておくと便利、かつ追尾アンテナの予備としても効果的です。 簡単なターンスタイルアンテナの手作り解説がJARL NEWSのバックナンバーにありますので参考にして下さい。同軸での移相回路などの作り方も載っています。
JARL NEWS 1997年1月号 38頁から43頁「ふじ3号」入門 受信にぴったりのターンスタイルアンテナを作る
 また、人工衛星電波の特性と受信・・・CQ ham radio Jan 1977
http://www2s.biglobe.ne.jp/~gshirako/Jan77-150.pdf
28MHz帯円偏波アンテナの実験・・・モービルハム Jan 1980
http://.biglobe.ne.jp/~gshirako/28MHz-150.pdf
も、併せて参考にして下さい。

                                                                     [トップに戻る]

3.6 東大/東工大研究室での議論−2(2002-1~):モノ作りのポイント伝授−2
<証言6−1−1:東工大CubeSat視察・レビュー>
 東工大CubeSatを視察させていただき、様々な意見交換をした際のコメントを以下に示します。(メモは東工大メンバーによる)
日時:2002 年01 月22 日(火)
場所:石川台1 号館556 号室,屋上,クリーンブース

通信系:
・市販の無線機にはいろいろと余計な機能(たとえば,一定時間立つと電源が切れてしまうなど)がついているが、それらの機能はどうしたのか:⇒無線機の周波数設定等は,EEPROMに書き込んでいるので、電源を入れるたびに周波数が変わってしまうようなことはない。⇒その他の機能についてはソフト的にOFF にしている。
・CWが,出力100mWに対し、消費電力が700mWは効率が悪い。⇒最終段のアンプの効率が悪い。1GHz 帯で最適。しかし、FM の送信機で使われているものと同じ素子を使用している。⇒TCXO の消費電力も大きい。
・CWでは,特性にリニアリティをだすため多少効率が悪くなるが,現在のCWの効率はすこしおかしい。
・どうしてTCXOを使ったか? ⇒ドップラ測位をすることを考えて選択した。
・ドップラ測位する際には,周波数はせいぜい可視時間の10分間程度安定していれば良い。絶対値は必要ない。電波法さえ満足すれば、TCXO は必要ないのでは。(重量,消費電力の問題もあるため)
・EMC(電磁適合性)では周波数を管理することは大変重要なこと。周波数リストではなく、周波数を横軸、レベルを縦軸にとったようなグラフを書いて、常に周波数は管理しておくことが必要。
・発生しているノイズが,放射によるものなのか,配線上の問題で生じてしまっているのか、どこで干渉しているかの検討は、本当は回路設計の最初にすべき事。これによって配置、素子の周波数割り当てを決定する。発生源のシールド、レベルと周波数、スイッチングによる干渉? スペクトラム表示して優先度の低いものから周波数を変更していく。
144MHz 送信機を働かせたときの周波数の様子、潜在的な周波数干渉はできる限り潰す。どうしても、不必要な周波数が出てしまう場合には、その周波数を出している素子自体を変更する必要あり。
・CubeSatの規模では将来的にも9600bps は厳しいだろう.1200bps での効率のよいダウンリンクの仕方を考える。
・やはり搭載しているアンテナが重要。搭載しているアンテナのゲインが大幅に大きくなることはない。明らかにおかしいロスをなくす,ヌル点の消去に専念すべき。
・一般的に温度と入出力レベルは比例関係にある。それぞれの特性を独立に測って、その後、接続して再び特性を測定するべき。
・一般的に電力を食わさないと低温では安定しない.低消費電力の機器は温度特性に注意。
・感度抑圧の測定には、SG を2 つ使った2 信号法を行うのが一般的。抑圧が生じる周波数の範囲なども把握する必要がある。
・基準のアンテナをホイップにしてはだめ、グラウンドプレーンがしっかり取れていないならさらにだめ。ダイポールアンテナとの比較をする。暗室の特性そのものも関係する。
・アンテナパターンとしてはきれいにですぎでは?
・特に、送信アンテナに関してはマッチングが重要。
・LC のマッチング回路必要。
・アンテナをスイッチで切り替えるのは、そこが単一故障点になるので良くない。その点、各無線機に1 本ずつアンテナをつけるのはいい。しかし、マッチングを取るのが当然難しくなる。マッチングがうまく取れない場合は,送信側の2 本をダイポールアンテナにして、2 つの無線機でアンテナを共有するようにするのも良いかもしれない。これはいろいろと試してみる必要あり。
・発泡,スポンジ状のスペーサをいれて小さい基板と,大きな基板は固定するべき。コネクタ部分には接着剤を流さない。コンタミとなったり、接点に流れ込むとまずい。
・同軸はピンが引っ込んだりしないように注意。よく見ながら抜き差しする。
・配線をどう構体に固定するか重要。
・線を表面に載せての半田付けは良くない.出来るだけ何かに絡める。
・無線機は各大学で共通化したものがあった方が良いかもしれない。

電源系:
・DC-DCコンバータ等、方形波で動作しているが,スペック値にあるような周波数以外に高調波がでているので,それが悪さをしているかもしれない。
・GNDなどを広くすることで解決した点は,もっと本質的な問題が残っているかもしれない。
・電圧降下が起こってしまうのは,電源のインピーダンスが大きいからでは?
負荷が変わることによる,電源の特性を把握しておく必要がある.⇒以前,ダイオード部分で遅れることが。
・電源系が他の系に対して追従できているか? インピーダンスが低く供給できているか? 自分のスイッチング周波数と負荷の周波数が重なると注意。 立ち上がりの遅れ特性が電源電圧の遅れの特性となる。 どういう成分の雑音が入っているか? 電源ラインの出力の下駄がセンサに影響。

C&DH系:
・電気的性能の手順確認は実際に行う。(タイマ関係)
・地上試験用のプログラムと、最終的に実装するプログラムを分けている場合には、その取り扱いに気をつける。
・アンテナ展開コマンドは、打ち上げ前の段階ではある種“禁止コマンド”であるが、FM 組み立て後、必ず1 回はやっておかなくてはいけない。
・アップリンクとダウンリンクとのハンドシェイクのような機能はやめたほうがいい。⇒そのような機能はついてない。
・コマンドの送信間隔はどの程度早くできるのか? あまりコマンドの送信間隔が広いと、衛星が姿勢変動している場合に、アンテナのナル点などに入ったりして正常にコマンドが受信できないことがある。 なるべく,コマンド間隔は早くしたほうがいい。

センサ系:
・FMくみ上げ後、センサの出力チェックは必ず行う。 太陽センサなどは、実際に外に出して、太陽光でやってみるほうが良いい。
・センサには応答性などがあるので、衛星の動きが止まっている状態での動作チェックではなく、実際に動かしてみてチェックする。
・ADC リファレンスの作り方に問題がないかどうか。
・センサのリファレンス電圧が大事.ローパスにするか?

地上局系:
・今後は、地上局のグレードアップが必要。⇒JAS-2 などのCWを受信しても、S メータの振れがあまりよくない。
・Sメータの1 メモリは3dB 程度なので、Sメータがあまり振れないというのは、ケーブルのロスだけではない可能性が大。必ず実測し、どこでロスしているか測定すべき。
・アンテナのロスを測定する。SG 等の機器をJARLで貸していただくか?
・ケーブル長80mは少し異常。430MHz帯が弱い。
・アンテナ,ケーブルロス,プリアンプの増幅率等の測定。(もう一段かませる事も考える)
・性能が良いとサンノイズの測定ができる。(GHz 帯のキャリブレーションはサンノイズを使っている)
・地上での受信感度抑圧は運用に一番効いてくる。
・アップリンク50W,ブースターを頭につける。それがノイズ発生器にならないよう注意。
・ハイパワーでも使用可能なフィルタをつける。アンテナの種類によってはマッチングが取れていない場合がある。
・オスカーハンター4 本スタックは電流が外に多く流れる.スタックの効果をみるには、まず1 本だけの場合を試してみてはどうか。
・定量的に測定すれば色々見えてくるはず。
・144MHz 帯にプリアンプがついているが、今後、144MHz 帯をアップリンクとしてのみ使用するなら、とりはずしたほうがいい。
・430MHz 帯には、プリアンプがもう一つ必要かもしれない。
・ケーブルの特性などは、SG を使うことで測定可能。アンテナ自信の特性把握は、遠くにハンディの無線機を持っていって送信してみるなどすることで大まかには把握できる。
・ターンスタイルアンテナはあったほうがいい。自作。.
・周りに高い建物が少なく,環境としては良すぎ、逆にいろいろなところからノイズが入ってしまう心配もある。

その他全般:
・ノイズ対策にコンデンサは万能ではない.数メガで自己共振してしまう。
・多層の基板は全く問題ない。構造・熱・機構
・気球実験初期はロケットの搭載品の試験等によく使われていたが、どの試験の場合も低温側にいっていた。その際には、ヒータをいつも用いていた。最近は機器が多くて自己発熱が大きい。CubeSat の場合は、自己発熱が小さいので当然冷えるので保温が必要。
・熱真空試験は何度もやれるものではないので,恒温層試験を繰り返し行うべき。
・エッジがナイフエッジ,面取りした方が良い.壁の肉抜きは必須.Cube の重量から考えると,構造系の重量削減は重要.肉抜きが良いとは限らないが,無垢である必要はない.
・セルの6 割の接着面積があれば良いのではないか。
・皿ねじの締り具合はなべ等に比べてばらつきが大きい。ザグリの精度との関係に注意。
・2mmΦねじでで3ヤマは最低限必要。長い方が良い。アルミだと数回でヤマは崩れる。
・モータ部のネジは緩まないよう注意。シャフト止めは2 点。単なる表面接触は怖いので、多少ザグっても良い。モータの線が硬すぎる。
・電池ボックスの壁は肉抜きする。ボックス自体は金属である必要はないかも.熱との兼ね合い。
・質量,電力管理を先にして、設計に入る。
・内部機器の動作チェック用の回路等はなるべくシンプルな方がいい。また、最終チェックの項目として、電波が正常に送信されるかどうか等の通信機のテストもしたほうが良い。
内部機器の動作チェック用回路などは、他の大学のCubeSatと共通しているものではないので、必ずバックアップを持っていく必要がある。 無線機動作の確認には大掛かりなものではなく、ハンディの無線機のようなもので良い。
・動作試験をする際には,試験台をしっかり作って、その上で常に動作させるようにするべき。そうすることで、衛星のハンドリングがしやすくなる。今後,CubeSatに太陽電池を貼ることを考えると、ハンドリングのしやすさは重要。
・クリーンルームは整理整頓すべき。常に心がける。心がけが大事。
・機器の組み立てや、回路など、様々なところで各系のクロスチェックが必要。
・フラックスの除去が不十分な回路がある。取れたことをしっかりと目で確認することが必要。本当に取れたのか他の人にチェックしてもらう必要もある。一般的に、衛星がある程度の期間宇宙空間で動いてしまえば(宇宙空間になじんでしまえば)、結構ながい期間動作するもの。このような場合、半田のフラックスが衛星の寿命を縮めてしまうことが多い。
・すべて日本で機能チェックをしっかり終わらせ、P−POD収納状態で輸送すべき。向こうではフルコンフィグレーションの試験はしないように、日本でしっかりやっとくべき。

基板チェック:
・ジャイロの温度を均一にするためにはったアルミテープははがれやすそうなのでやめたほうがいいかも。
・コネクタの接触不良はないか? ⇒これまではなかった。重量的にはもったいない。
・センサ基板だけソリタンが乾いていない。接着剤、コーティングの条件を決める。個人差がでないように。
・印象として半田が多い。抵抗の中で金属皮膜抵抗は線と本体の接続部が弱い場合もある。
・半田は表まで出て来る必要はなく、表から見てスルーホール内に見えていれば良い。
・インターフェイス基板のコネクタは半田部分が隠れるので要注意。一度、壊してチェックしてみると良い。
・表面実装素子は半田がやはり多い。ひげになっている部分がある。
・半田よりもリード線同士の方が接続は強い。折り曲げてでもリード線が良い。
・ソリタンの使い方で、絶縁と固定は別に塗る。先に固定。その後全体をコーティング。
・電源のリード線の切り方が曲がっている。多少長い。その分、全体的に半田が多い。
・半田メッキがされていない部品は先にしておく。
・取り付け部の熱抵抗に注意。高い抵抗値(1M)の高抵抗はトリミングする所で細くなるので切れやすい。できるだけ使わない方が良い。半田付けは練習する。

<今後の緊急課題>
・重量管理。
・半田付け練習。
・無線機コネクタの吟味。
・線にテンションがかからないよう柔らかめのものを用いる。
・線は端子に絡める。半田はあくまでも電気的接続点。
・オレンジコネクタの線(例)は外側に力がかかる。(外側を長めにする)
・コネクトする方向を考えた線の長さの調整。根元を紐でしばる。
・標準のコネクタ取り外し工具を探す。
・構体は加工の面取りを指定した方が良い。
・使えないソーラーセルを融通してもらって、振動試験した方が良いかもしれない。

<証言6−1−2:東大次期CubeSatへのアンテナ情報提供>
Sent: Friday, February 01, 2002 10:56 AM
Subject: Re: Antenna
東大Cubesat。  白子@SSC-soho/1 Feb 2002です。
 JAS-2はじめ小型衛星搭載アンテナに関する論文等はまとまっては情報入手できないかもしれません。一昨年度の東工大宇宙特論でも少し触れましたので思い出しながら、以下に、参考になりそうな関連文献等を紹介しますのでそれらを起点に勉強してみて下さい。
尚、宇宙機システムにとっての通信系、その中でもアンテナはシステムの形状やミッションと密接に関連しますのでシステム検討の初期からアンテナを検討することは大切なことです。

<衛星通信・アンテナ技術一般>
飯田尚志編著 衛星通信 4章通信系ハードウエア オーム社
遠藤敬二他  アンテナ工学 10.2衛星搭載用送受信アンテナ 総合電子出版社

<人工衛星電波の特性>
白子 人工衛星電波の特性と受信について CQハムラジオ Jan 1977
白子の個人HP
http://www2s.biglobe.ne.jp/~gshirako/am-sat.html
に衛星電波等の偏波ほかについて、古い報告ですが掲載してあります。・・・温故知新
・人工衛星電波の特性と受信・・・CQ ham radio Jan 1977
・28MHz帯円偏波アンテナの実験・・・モービルハム Jan 1980
 JASシリーズ搭載アンテナ単独では論文は発表していないと思います。
・JARL JAS-1ガイドブック 4.3節アンテナ CQ出版
には、ターンスタイルアンテナの電力分配にはストリップラインを用いたウイルキンソン型電力分配器やケーブルによる位相差給電をしたことを簡単に記述しました。(白子執筆)
・JAS-2では-1とは基本的には変わり有りませんが一組のターンスタイルアンテナに2台の送信機を接続するためにラットレース型ハイブリットを使用しています。詳細はJARL技術研究所で調べられるでしょう。
・JARLnews 「ふじ3号」入門 電波をよりよくとらえるには 6 1997
には、JAS-2を含めアンテナを中心にした衛星電波の特徴を解説。・・・白子原稿支援
 大変古く簡単な論文ですが、衛星開発の初期の研究を学会に報告しましたが、昭和44年度電子通信学会全国大会予稿集
・白子他 人工衛星搭載用VHF帯小型給電回路
には136MHz帯の各種(ケーブル、集中定数、ストリップライン)給電回路の比較をしてあります。また、
昭和45年度電気四学会連合大会予稿集
・斉藤成文 白子他 衛星搭載用アンテナの輻射パターン
では、初期の科学衛星のアンテナの研究結果を概説してあります。
この他、記憶になりますが、米国大学(スタンフォード大他)での小型衛星の論文(HP)を細かく探すとヒント(上記に類した程度ですが)が有るはずです。
いずれにしても、通信システム/アンテナを理解/自分の”手で考える”ことが大切でしょう。

<証言6−1−3:RF回路の参考書情報提供>
Sent: Tuesday, March 05, 2002 7:16 PM
Subject: RF回路の参考書fm白子
東大CubeSat。  白子/5 Mar 2002です。
取り急ぎ、参考書を、共にCQ出版社です。・・・巣鴨駅のJARLの隣のCQビルに行けばいろいろあります。必見
・現場技術者実践シリーズ 改訂 高周波回路設計ノウハウ 吉田 武著
・単な用語集 現代ハム用語集

                                                                     [トップに戻る]

3.7 UNISEC2002WS講演(2002-12~):宇宙実証と周波数確保
<証言7−1−1:宇宙実証の重要性と周波数問題を概説>

 UNISEC Workshopが2002年12月20、21日@東京工業大学大岡山キャンパス百年記念館フェライト会議室にて開催され、UNISECの主要活動の一つである“周波数問題等”をアピールする、講演の機会を頂いた。
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招待講演:白子悟朗(SSC(Shirako Space Consulting)技術士:航空・宇宙部門)
講演題目「誰にもチャンスの軌道上実証への道− 周波数の確保−」
梗概:学生諸君の手作り衛星やロケットの実験には電波の使用は不可欠です。宇宙業務用周波数・アマチュア無線周波数の何れを使用するにしても、国際通信条約や電波法を遵守した諸手続きによる無線局免許取得、打上った衛星の国際登録に関わる事等は万国共通の手続きをして頂きたい。多くのアマチュア無線家は諸君の衛星等の電波追跡支援を楽しみにしています。無線局開設の重要性や周波数使用の留意点を概説します。
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要旨;
・軌道上実証の原点:
 “宇宙を侮らないことへの戒め”
 “宇宙で使うモノは宇宙で検証”・・・ノウハウの密度が違う、・・・地上検証等も併用
 “実証された成果は使い込む”・・・例:「つばさ」成果の教育活用
 “宇宙教育や夢追求の実践の場”
 
・誰にもチャンスの軌道上実証へ−宇宙へのハードルを下げるための環境整備−
 “H-UAやM-V等による軌道上実証機会の早期実現”
         ↓
  *継続的な軌道上実証計画の推進
  *打上の公募や登録制の確立
  *周波数の確保
  *衛星保持・分離機構の整備
  *衛星技術のカタログ化と情報公開
         ↓
 学生衛星等、アマチュアに門戸の開放−教育・夢−  ← 2006年からH-UA相乗り衛星公募が始まった

・宇宙システムと電磁波・電波
 宇宙システムと電磁波・電波による通信・リモセンは不可分。特に無線通信技術は、宇宙と地上を含めたシステムの中枢神 経/臍の緒に相当する役割と、広く衛星通信として社会の安全性と豊かさを身近な存在となっている。一方、電波の周波数は、人類にとって有限の資源で、干渉他で、万国共通のルールを持って使用することが約束されている。宇宙活動のための周波数は、宇宙業務として周波数割り当て、さらにはアマチュア無線周波数使用区分で衛星用途が配分されている。アマチュア業務とは“金銭上の利益のためでなく、専ら個人的 な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究”となっている。
 *周波数使用の留意点
  +国際法・電波法等の遵守
  +法手順に則った無線局免許手続きや国際登録手続
  +不法電波発射の厳禁
 *宇宙教育:マネジメント教育の一環としての無線局申請等
 *周波数確保のためのUNISEC活動への提言・・・WGの設置等
 *アマチュア無線愛好家との共生とJARL支援の期待
  +インターネットによる地上局ネットワークの構築は技術研究目的の一つとして調整が必要?
        ↓
 *2003年8月にUNISECでは“周波数確保”の重要性を理解し、「UNISEC周波数WG」がスタートしました
   
JA6XKQ武安義幸氏編「アマチュアの無線と衛星」
 *主管庁の積極的な指導が始まり、免許申請等の手続きが円滑になってきました

   →総務省・電波利用ホームページ;周波数の国際調整について http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/process/freqint/

                                                                     [トップに戻る

3.8 国内での無線局免許確保(2003-1~):ウルトラCの免許申請
 東大/東工大CubeSatの打ち上げは、半年後の2003年6月末に再設定されましたが、何とか日本での無線局免許を取得してもらうことを、両校に強く進言し、JARL、JAMSAT有志と共に実現に向けた応援をしました。その経過のハイライトから今後の無線局免許取得のヒントを理解しいていただければと思います。
<証言8−1:我が国初の学生衛星は日の丸無線局での運用をアピール!>
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お尋ね:Cubesat無線局申請状況?fm白子
東大/東工大CubeSat。 白子@SSC-soho/31 Oct 2002です。
 あちらこちらで、皆さんの手作り衛星が話題になり嬉しい限りです。東大Cubesatが年末には? また、東工大Cubesatは来春には打ち上げられるのではないかとの噂を耳にします。そこで、両Cubesat(地上コマンド局含む)の無線局免許についてはどのようになっているのでしょうか。
 Cubesatスタート時点から、お話ししたり、東工大の講座でもの無線局申請手続き、および無線局落成検査(打上前)は、どの様な状況か気になるところでアマチュア無線周波数を使用するにしても、国際通信条約や電波法を順守し、それなりの諸手続きと検査、そして首尾良く打上った衛星の国際登録に関わる事等は万国共通の手続きが肝要と申し上げてきました。両Cubesatが日本初の学生衛星として登録されることを念じてのお尋ねです。
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東大CubeSat。  白子@SSC-soho/1 Nov 2002です。
 無線局免許取得に関するご苦労の様子やアメリカでの申請中はわかりました(“東大CubeSatのCall Signの登録に関しては周波数をアメリカ側でAMSATと交渉してとっていただいた流れで、スタンフォード・東大の共同開発の衛星という形で米国で申請してくれています。もちろん、日本で申請して取れればいいのですが、総務省とかけあっても、「国際的なことなので、総務省としては何もできない」、「前例はありますか?」の一点ばりで短期には取得できそうになかったので、上記のような手をとりました。ハムをやっておられる某先生が、こうすればできるかもしれない、というアイデアを出して交渉していただいているはずですが、応答はなく、たぶん難しいことだった”との事)が、基本的には手続きの手順は日米には大きな差はないと思います。但し、免許がおりるスピードは簡素化されて早いかもしれません。 打上までに、まだ時間もあるようですので、日本で正規な手続きで申請をしては如何でしょうか?
 何れにしても主管庁に書類を出さなければ、UNISECでの活動など先に繋がりませんので再考をお勧めします。 JASでの申請の方法の紹介や総務庁対応の直接的なアドバイスは日本アマチュア無線連盟で頂けると思います。
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 東工大CubeSat。 白子@SSC-soho/6 Dec 2002です。
 早速ですが、JARLから、東工大Cubesat無線局免許申請について動き出されたことをお聞きしました。M先生には過日本件の優先度を上げるとのお気持ちをお伺いしていましたが早速学生の皆さん方が行動に移されたこと大変うれしくメールを差し上げる次第です。東大Cubesatも是非続いて/同時にことを動かされることを念じています。
 アマチュア衛星にはJASの前例がありますし、書類申請をすることがことの始まりですので辛抱強く、後続のプロジェクトのためにも頑張って下さい。微力ながら応援させていただきます。JARLも同じ気持ちの筈です。
 UNISEC2002WSでは、宇宙活動にとって無線局免許申請についてボタンの掛け違い(unisecwgより・アマチュア帯域で,大学が優先して使用できる周波数を確保・プロ用の帯域で,大学が専用に使用できる周波数を確保どちらにしろ問題があって,なかなか方向性が見えてきません。また日本でのこういった免許関係は非常に面倒で,また対応が遅いと聞いています。←これは誤解:”優先/専用、非常に面倒”)が無いように理解して貰うような主旨で話をさせていただきたいと思います。また、JARLにも出席いただくようお願いしていますので具体的な対応はサポートしていただけると思います。
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東大/東工大CubeSat。  白子/27 Jan 2003です。
JARLより、先生方とJARL面談の連絡がありました。私もオブザーバーとしてお話を聞かせていただきます。
なお、JARLが先のJARL企画WGで、CubeSat支援を決定された折に、JARL内部から”アマチュア無線界が応援するからにはCubeSatには是非とも成功して欲しい。JASの経験からも、CubeSat関係者には万全を期して貰いたい”との話があったと聞いています。
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[CubeSat-RR] [東工大・東大]無線局予備免許がおりました!    6 May 2003
 予備免許という段階まできました。東工大衛星局(JQ1YCY),地上局(JQ1YCZ)、東大衛星局(JQ1YCW)、地上局(JQ1YCX)です。
早ければ来週,遅くとも再来週には落成検査ということで、非常に短い期間で免許申請が進みましたのも,ひとえに1月以来の先生、学生方のご努力の賜と敬意を表すると共に、JARL等との良い連携の成果とお慶び申し上げます。

 さて、この数日、IARUへの周波数コーディネーションでご努力されておられるところですが、正規ルート(IARU)で話を進めることで宜しいと思います。 追加のアドバイスとしては、周波数コンフリクトの有無を自主的に調査して、その結果をIARU・アドバイザーH氏へアッピール。万一、コンフリクトの場合には、その回避策の提案も合わせて行なえば思います。既に、アマチュア業務としてのライセンスが下りているという既成事実が有りますので問題はないのではないのでしょうか。残された時間の中で正攻法で進めるのがよいと思います。以上はJAMSAT有志のOさん、Tさんのアドバイスでもあります。

 今回の無線局申請の手順は極めて変則であり、これを良い教訓として今後の衛星開発では十分な手配をしていただくよう啓蒙していただければ幸いです。両Cubesat無線局免許発給は、遅ればせながらの手続きでしたが、多くの教訓を残せ、今後の同様な衛星開発に生かすことが関係者のご厚意に報うことだと思います。更に、両衛星がアマチュア無線衛星通信の活性化にも貢献することを念じています。

 いよいよ打ち上げです。 6月30日の打ち上げ前には、アマチュア無線界の応援を受けるべく、ぜひ、AMSAT_ANSへの両校Cubesatの投稿を期待します。併せて、JAMSAT-BBへの投稿も。
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3.9 打上/運用準備での心構え(2003-2~):
 学生によるCubesatの初めての打ち上げは異国の地で行われることになりましたので、事前準備ならびに射場での作業に対していくつかのコメントを発信し、学生諸君はじめ関係者へのサポーター応援としました。
<証言9−1;サポーター応援を緊張に繋げる>
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N先生@東大、M先生@東工大。   白子@SSC-soho/11 Feb 2003です。
まずは、先日のコロンビア号事故に対し、7人の宇宙飛行士のご冥福をお祈りしたいと存じます。宇宙時代の教訓として生かす事が、殉職した7人の宇宙飛行士への供養になると緊張するところです。
早速ですが、CubeSat打上準備が佳境に入っていると拝察いたしますが、また幾つかコメントさせていただきます。

1.打上げ前確認について
JARL訪問時にお話をしました、打ち上げ前に一層の万全を期す目的で、CubeSatの研究・開発の結果、今後の準備の確認の場を設けては提言させていただきました。どの様な内容で確認したらよいかのガイドラインを作ってみましたので添付してお届けします。参考になれば幸甚です。実施のタイミングは、全ての開発作業が完了し、かつロシアへの出荷前までで、万一の追加作業が出来る時間を考えると3月下旬〜4月上旬頃まででしょうか
2.アマチュア無線家への広報:
1)JARL支援を頂けることになったことを、東大・東工大CubesatHPでPRしては如何でしょうか。
2)日本AMSAT(JAMSAT)への協力要請は為されたでしょうか?

CubeSat打上げ前確認の私案:白子@SSC       2003/02/11
CubeSatの打上げに万全を期すために、確認する事柄について以下列記します。
<打上前に当たって白子の信条:天命を信じて人智を尽くす>
T.確認の目的:
 次のことを確認することを目的とします。
・CubeSatのハードウエア/ソフトウエアが完成していること
・計画した試験が正しく実施され、CubeSatの機能・性能が完成していること
・射場作業の準備が整っていること
・運用作業の準備が整っていること
その結果、
・射場に搬入して打上作業に移行して良いことを確認
なお、確認の結果、
・打ち上げ前に追加で確認する事項が発生した場合は、万難を排して実施すること

U.確認の方法:
 東大/東工大CubeSatチーム相互のクロスチェックに加え、できれば数名の有識者の参加を得て行うことを勧奨します。

V.確認事項:
 確認のためには、文書に以下の内容を簡潔に包含していることが望ましいと考えます。
1.確認の目的
2.CubeSatの概要
1)研究・開発の目的
2)研究・開発の経緯・・・経緯の概要、研究及び開発・試験スケジュールなど
3)ミッション概要・・・ミッション概要とサクセスクライテリアなど
4)CubeSatの外観・・・概観図、三面図、内部分解図、完成写真など
以下、5)構成、6)主要諸元、7)質量、8)機器消費電力、9)研究・開発のベースライン文書(研究・開発のための目標/仕様に準拠した文書)
3.研究・開発目標と研究・開発結果の対比・・・目標に対し、合否や数値で判定する
4.CebeSAT FMの研究・開発結果
1)システムの結果
1−1)概要
・設計審査会等での懸案事項の対処や設計変更等の概要
・システム試験フローと試験結果の概要
1−2)電気系試験結果
・試験内容と実施経過と結果の概要・・・特にソフトウエア試験や運用模擬の試験も含む
1−3)機械環境試験結果
・試験内容と実施経過と結果の概要
1−4)熱環境試験結果
・試験内容と実施経過と結果の概要・・・設計結果との対比や、軌道上温度予測を含む
1−5)その他の試験
・試験内容と実施経過と結果の概要
2)サブシステムの結果
・構成サブシステムの試験結果の概要・・・各サブシステム・構成コンポーネントの試験項目と結果の概要:サブシステム試験マトリクス や各性能目標と結果の対比、通信回線解析、電力収支解析など
5.運用計画:
・管制局準備状況やアマチュア無線家への情報公開についてなど
6.ロケットインタフェース:
・インタフェース項目の整合性確認結果など
・今後の予定
7.プロジェクトの管理状況:
1)研究・開発に供した、成果の文書類の状況・・・計画、設計、結果等の文書保管状況
2)信頼性に係わる状況・・・使用部品・材料のリストや評価試験結果など
3)品質に係わる状況・・・製作・試験における作業記録や不具合などの処置状況。特に不具合や設計変更した内容の概要
4)安全に係わる状況・・・留意事項と結果の概要
8.射場作業・運用作業への移行の準備:
1)射場での作業計画の概要と準備状況
2)運用計画に則った作業計画に概要と準備状況・・・電波干渉時の無線局停波も含む
9.公官庁への許認可:
1)無線局免許申請等の準備状況・・・状況、今後の予定
2)ロシアへの輸出手続きの準備状況・・・状況、今後の予定
10.まとめ:
1)射場・運用への移行に係わる確認事項のまとめ
2)研究・開発の成果のまとめ
付録:・・・今後の作業や運用に際し、いつでも閲覧出来るようにしておく
1)CubeSat及びサブシステム毎の製作図面集
・・・総組立、機器配置図、機器接続図、センサー配置図など
2)部品・材料リスト
3)サブシステム・コンポーネントのカタログおよび機器毎の目標と結果の対比
4)研究・開発報告など
以上

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Sent: Sunday, June 01, 2003 11:01 AM
Subject: Cubesat:CUTEコメントfm白子
> CUTEプロジェクトの皆さん。  白子@SSC-sohoです。
いよいよ今月末ですね。
HPで最新のCUTE/分離機構の状況を拝見しました。コメントを箇条的にメモします。
*コメントは人為的過誤防止の観点からです。
1)疑似分離信号を供給しているリード線の取り出し口、及びリード線の引き回しをCUTEと反対側に引き出し/引き回して下さい。 また、分離機構の底板(ロケット固定板?)にタイラップ等で固定して、万一線が引っ張られても取り出し口等に外力が加わらないようにしておくと良いでしょう。
2)分離信号はロケット側からのフライトケーブル/コネクターを通して受けて動作することを、フライトまでに必ず実行して下さい。・・・図面だけでの確認では駄目。
 ロケット側の分離信号やロケット側のフライトケーブルで分離機構のコネクターと接続してのend to end試験は是非実施することが肝要です。 昨年のH-UA-2/DASH分離失敗は重要な教訓です。
3)ロケットフェアリング開頭時の動圧や空力加熱の影響がCUTEにとって問題ないことを評価しましたか?
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Sent: Tuesday, June 03, 2003 3:09 PM
Subject: Cubesat:総合動作の確認ほかfm白子
東工大、東大Cubesatの皆さん。  白子@SSC-sohoです。
 両校Cubesatの作業状況をHPで拝見する限り、総合試験としての衛星の動作確認は、
東大:1週間連続試験(02/2)、最終シーケンス試験(02/10)
東工大:センサー試験(PFM?02/1)、最終試験(03/5)
を実施したと理解します。
さて、この他にも皆さんなりに、運用シーケンスやコンテンジェンシ等を想定した総合試験を実施したことと拝察いたしますが、以下の動作を確認したかお尋ねします。
1)ロケットに引き渡す直前での電池充電から、少なくともノミナルで打ち上げられた場合の、電池の自己放電を見込んだ状態での分離や最初の衛星の起動が正常に行われることの確認はしましたか。
2)軌道上で電池が枯渇又はオープン故障した場合を想定して、太陽光が太陽電池に当たった時には衛星からの電波発信が行われること、及び正常な電力供給されれば正常な動作をする事の確認をしましたか。 出来れば、温度を変えて(低い温度条件で)の動作確認は? また、今年2月時点で両校の先生方他に添付のメモを送りましたが、既に打上間近になり時間的な余裕もないとはおもいますが、セルフチェックの参考にして下さい。
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Sent: Saturday, June 14, 2003 8:51 PM
Subject: Cubesat:CUTEコメント2fm白子
CUTE@東工大の皆さん。  白子です。
 ご苦労様です。2日後にはロケット側に引き渡すようですね。 13日付でCUTEーHPにアップされた作業状況写真を拝見し、以下に念のためコメントです。
1)前回のCUTEコメント/回答の確認です。
・分離装置・電子回路BOXからの試験用ケーブルは、打ち上げ時には取り外すのではないかと勝手に想像していましたが写真を見る限りまだ着いていて粘着テープで固定されているように見られますが、このまま打ち上げるのですか?
 ・・・黒い線がBOX上部からBOXの側面を這って底板におりていますが何の線ですか? また、テープ以外の固定(タイラップ等)はしてありますか?
・射場に運んでから、ロシア側の分離信号とフライトケーブルを使用しての分離動作確認試験は実施しましたか? 実施しない場合のエビデンスは明確になっていますか?
2)作業状況写真を見る限り、粘着テープが多用されています。
・打上迄の環境や打ち上げ時の環境、特に温度に対して十分な接着力が確保されていることを確認してありますか?
・また、気泡抜きのピンホールは明けてありますか?
・ノンフライトの粘着テープは、確実に外した事を記録にとって有りますか?
 ・・・一番上の写真の四本柱の内の3本の底面の粘着テープは?
・・・粘着テープが分離力に影響しない貼り方になっていることを念のため再度確認下さい。
3)分離機構の底板の中央に赤い線?が粘着テープで固定されているようですが、何の線ですか? このまま打ち上げるのですか? 電気配線だとすると端末処理はどの様になるのですか?
4)射場作業から打上準備の最終段階までの間の、フライトアイテム/ノンフライトアイテムの管理(記録)を確実にして、フライトコンフィギュレーションに過誤がないことを確認して行って下さい。
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-----Original Message-----
Sent: Sunday, June 22, 2003 11:44 AM
Subject: Cubesatコメント6:広報等 & お願い fm白子
東大Cubesat、東工大Cubesat。  白子です。
 両校Cubesatの皆さんには、ロシアでのロケット搭載を終えられたこと、ご苦労様でした。
作業経過では忙しい中、コメントに対する報告を逐次頂き恐縮です。この後はロケットが予定通り打ち上げられ、皆さんの計画通り両Cubesatが軌道上で産声を上げられることを念じています。
打上まであと僅かになりましたが、地上局の整備や衛星の追跡/運用の訓練に万全を期するよう期待します。
 そこで、広報に関するコメントをさせていただきます。
・両校Cubesat-HPはそれなりに整備され、アマチュア無線家がCubesat電波観測をするための情報も掲載され始めているようですが早急に最後の整備をして、広く広報をすることが肝要です。
・HPでは、電波観測の為の情報提供他に、打上直前、当日の出来る限りリアルタイムの進捗状況の掲載や、軌道情報、電波観測した結果の報告先などを明らかにする事が必要でしょう。
・また、広報はJAMSAT-ML、AMSAT-ML、UNISEC-ML他に継続的に最新情報とHPの紹介をすることが良いと思います。
・そのために、両校共に広報担当者には負担がかかりますが多くのアマチュア無線家の協力を得るためには必要なこととして体制上で明確にして、積極的に行動することが肝要と考えます。
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Sent: Saturday, June 28, 2003 12:24 PM
Subject: Cubesatコメント7:打上・運用の心構えfm白子
東大/東工大Cubesatの皆さん。  白子です。
 L-2の段階となり、打上関係/運用関係の準備も予定通り進んでいることを、両校プロマネ、先生方からのメールや広報情報等で確認させていただいています。先ずは、皆さんの今までの努力に敬意を表します。
そして、いよいよの局面に対し、その努力が報われるよう、更に気を引き締めると同時に、打上当日以降の慌ただしい日々のために、今の内に各人の体調を整えておくことをお勧めします。
 さて、これからの局面に対しては、それぞれ準備が整いつつあると拝察します。 しかし、過信は禁物ですが、絶対成功させるのだ!との思い入れで、今までやってきたことを反復しながら、より慎重に事を進めることを勧奨します。予期しなかったことが発生した場合にも、思いつきでアクションを起こさないこと、そのためには、これからの重要なイベントに対する人の配置(キーパーソン)を再度チェックしてみて下さい。コンテンジェンシへの対応は、全て人の的確な判断よる事になりますので、”報(告)・連(絡)・相(談)”の流れが要となります。
 特に、軌道上Cubesatからの電波の受信は、必ずしも両校管制局とは限りません。国内外から正確性を欠く情報も含めて多くの情報が入ってくるでしょうから、その受け口と情報の的確な分析、現状把握の流れが混乱を起こさずに出来るようになっているか再度確認してみて下さい。
また、広報の方についても、コンテンジェンシーが起きた場合でも、事態の内容はともかく、事の成り行きは淡々と広報する事をお勧めします。・・・世界中の皆さんは皆さんからの情報を期待していますし、公式な情報が無い場合には憶測が一人歩きします。
 打上当日の両校管制室への入室制限についても一考されたし。但し、そのためには外部からの来訪者に対するサービスルームを用意することも必要でしょう。もう一度、管制室の整理整頓を! 何かの拍子にケーブル一本も引っかけることがないように。出来れば、管制室に入る人は全員イスに着くことを勧めます。・・・立っていると何となく動きたくなりますので・・・
どうぞ、体調を整えて下さい。そして、先輩方や多くの協力・応援者に素晴らしい報告が出来るよう期待しています。
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3.10 打上とアマチュア局の応援(2003-6~):
<証言10−1;アマチュア無線界への情報提供と協力要請>
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東大/東工大Cubesatの皆さん。  白子です。
いよいよですね。広報他へのコメントです。
・JAMSAT-BBへの両校の広報、およびAMSAT-BBへの東工大の広報(東大の広報は未確認)により、両Cubesat他の今回の打上に対する関心が高まりつつ有るのを実感しています。
・さて、打上直後の両Cubesatからのダウンリンクの周波数/モード(CW)について、再度広報しては如何でしょうか? 折角、待機して貰っていてもFMやパケットモードでは、まず確認出来ないでしょう。
*周波数についても、それぞれの公称周波数±ドップラ変化幅±当面想定される温度範囲での周波数変化幅を加味した、受信周波数範囲の提供。 打上後は、実際に受信した周波数から割り出した軌道上周波数を広報するのがよいと思います。
・FM/パケットのモードの実施に当たっては改めて、広報すること。
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Sent: Monday, June 30, 2003 9:01 PM
Subject: Cubesat:今ライブをみていますfm白子
Cubesatの皆さん。  白子です。
いよいよですね。
これから時間が許す限りHPで両校の状況をワッチさせていただきます。管制室のライブは臨場感絶大ですが、皆さんの言動が全て判りますので、多少要注意ですね。
今までやってきたことを信じて、あわてずに!
成功を!
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Sent: Monday, June 30, 2003 11:55 PM
Subject: Cubesatビーコン周波数
JAMSAT-bbの皆さん。  JG1LDV白子です。
待望のCubesatの打上が予定通り進行しているようです。分離後の東大/東工大Cubesatからのビーコン受信をよろしく御願いします。
ビーコン周波数の公称値は各CubesatのHPで掲載されていますが、
東大:436.8475MHz
東工大:436.8375MHz
で、±ドップラー±発信器変動がありますので、上記周波数を中心に多少掃引してみて下さい。
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Sent: Tuesday, July 01, 2003 9:23 AM
Subject: Re: CubeSat
N、M先生。  白子です。
東大/東工大Cubesatの軌道上での動作確認が出来たことご同慶の至りです。昨晩以来、久しぶりにワクワクしながら経過を見守っていましたが、今朝の6時のパスでは私も東大Cubesatの電波を直接受信できました。
今後の推移を如何に活用されるかが、宇宙工学教育の本命と理解しますので先生方/学生諸君の一層の奮起を期待しています。
先生方には何時も辛辣なコメントを差し上げていながら、誠意をもって対応していただき感謝しています。今後も両校の計画や後続の学生衛星の発展に微力ながら応援させていただきたいと思いますがお付き合いいただければ幸甚です。
昨日から今回打上の各衛星のミッションとアマチュア無線業務との関係についてAmsat-bbで白熱した情報交換がなされています。両校の計画については概ね理解されているようですが、QuakeSatとCANXについては極めて批判的な意見が出ております。今回の両校Cansatがアマチュア無線局として開設できた条件を十分精査して、今後の衛星開発における無線局申請在り方の教訓にされることを念じています。
 尚、報道各紙では今回の計画がトピックス的に扱われ/今後も話題となると思いますが、以前から申し上げています製作費と学生さん方の投入工数、関係機関からの試験器材等の有形無形の支援などを加味した妥当な投入資源情報が報道されることを期待しています。また、国内外の多くのアマチュア無線家が受信レポートを提供してしてくれていますこともよろしく。
ご多忙な折に、早々にご報告いただき深謝です。 学生諸君によろしく。
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Tuesday, July 01, 2003 12:48 PM
Subject: [unisecwg] 宇宙からのCubesatの囁きを聞いてfm白子
東大/東工大Cubesatチーム、UNISECの皆さん。
白子/UNISEC賛助会員です。
今朝方、両校Cubesatが宇宙で元気に囁き合っているのを手持ちの受信機で聞いて我が事のように感動しました。本プロジェクトに直接・間接に関わった皆さん、私もその一人ですが多くの応援者の皆さん共々お祝いと感謝を申し上げます。
軌道上のCubesatは、これからが宇宙で多くの試練に遭遇するわけですが、今までの宇宙を想定した物造りを中心の教育から、本来の宇宙での宇宙工学教育を実践することになります。先は長いですが、これからの数日を特に注目させていただきますので、体調には気を付けて、もう一頑張りして下さい。
両校Cubesatがアマチュア無線衛星として免許されたことで、国内外の多くのアマチュア無線家が追跡局となって絶大な支援を下さいました。これからも事ある毎に協力して貰うわけですが、アマチュア無線家にとっても有意義なアマチュア無線衛星であるように、引き続き衛星運用に関する情報提供やアマチュア無線家も参加できる実験の企画も一考です。
さて、UNISEC参加校には、両校に続いて宇宙を目指すプロジェクトが多くありますが、両校が体得した体験や教訓を効果的に生かしつつ、新たな事柄にも挑戦をされることを期待しています。敢えて申し上げますと、今回の両校Cubesatは主管庁/JARL/JAMSAT等の理解と協力により、アマチュア無線業務を目的とするアマチュア無線の衛星局として免許されました。皆さんが企画する衛星のミッションによってはアマチュア無線業務に適合しない場合がありますので、計画の早期に主管庁との調整に入る事を勧奨します(UNISEC WS2003招待講演参照)。
今後も、引き続き皆さんの宇宙への挑戦を微力ながら応援させていただきます。
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Sent: Friday, July 04, 2003 4:09 PM
Subject: Cubesat:JAMSAT-BBへの投稿2fm白子
Sさん、Kさん。  白子です。
ご苦労様です。
両衛星は、共に生きた教材となって皆さんの勉学に供せられていると同時に、多くのアマチュア無線家が協力し、また楽しんでいるところです。
JAMSAT-BBへの投稿は極めて有効・重要ですが、中途半端な投稿をすると多くの方々に混乱を与えると共に、予期しない方向に針小棒大な展開がなされる場合が危惧されます。
現在も、東大Cubesatの軌道要素/投稿者についての話題がJAMSAT-BBに流れています。
両校からのJAMSAT-BBへの投稿に当たっては制限するものではありませんが、皆さんにとって好意的なアマチュア無線コミュニティとの関係を維持するために、次のことに留意することをお勧めします。
・東大/東工大Cubesatチームの公式投稿は、担当者を決めて(・・・今までは、東大からの投稿は:複数。
・ 東工大は、?)は如何でしょうか? 代理の方がする場合には代理とするか?
さらに、投稿アドレスは両校ドメインのアドレスを使うこと。また、投稿者が両校のメーンバーで有るか否かは、両校のHPで確認する方が多くお出でになりますので、HP上のメンバーリスト(情報)は最新版に更新しておくことをお勧めします。・・・卒業者や新入者の入れ替えなど一部に未処理あり?
以上の対処を早急に取られることを、よろしく御願いします。
このコメントの由来は、JAMSAT-BB上でのやりとりを確認いただければ判りますが、東大Cubesatの軌道要素に関する情報が輻輳したことが端を発しています。
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Sent: Friday, July 04, 2003 7:13 PM
Subject: [jamsat-bb:13337] 宇宙からのCubesatの囁きを聞いてfmJG1LDV白子
JAMSATメンバー、BB読者の皆さん。 JG1LDV白子です。
 6月30日に首尾良く打ち上げられた、東大/東工大のCubesatが宇宙で元気に囁き合っているのを、手持ちの受信機で聞いて我が事のように感動しました。当BBでも、本当に多くのアマチュア無線家の皆さんからの受信報告やご指導、激励を頂いており素晴らしいことだと感激しています。
 本プロジェクトに直接・間接に関わった皆さん、私もその一人ですが多くの応援者の皆さん共々お祝いと感謝を申し上げます。
さて、軌道上のCubesatは、これからが宇宙で多くの試練に遭遇するわけですが、学生諸君にとっては、今までの宇宙を想定した物造りを中心の教育から、本来の宇宙での宇宙工学教育を実践することになります。併せて、両校Cubesatがアマチュア無線衛星として免許されたことで国内外の多くのアマチュア無線家が追跡局となって絶大な支援を下さっています。これからも事ある毎に協力して頂くわけですが、アマチュア無線家にとっても有意義なアマチュア無線衛星であるように、引き続き衛星運用に関する情報提供やアマチュア無線家も参加できる実験の企画がなされるよう期待します。
 打上後4日過ぎた、両校それぞれの管制局では、初めての手作り衛星を、初めて運用すると云った体験をしているところです。大変な緊張と、既に4日4晩それぞれ10数名の学生達が不眠不休で、精神的・体力的にもほぼ限界に近い状態だと思います。衛星の軌道情報や動作状態を早く広報しなければならないとの責務も感じ、本BB上でも必ずしも整理無いままの情報が投稿されたことにより、受信等に協力し、楽しみにされているアマチュア無線家の方々に混乱を与えている状況も見られますが、何れ、衛星運用が定常化されるに中で整理されることとなりますので、上記の現場状況もご理解いただき、末永く応援いただけるよう応援者に一人としてお願いいたします。
我が国初の学生衛星への応援メッセージとアマチュア無線家の皆さんへのお願いを込めて。
BEST 73
de JG1LDV
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Sent: Friday, July 04, 2003 8:58 PM
Subject: Cubesat:ハンディ機での受信報告fm白子
東大/東工大Cubesatチーム。  JG1LDV白子です。
ご苦労様。東大XIの信号が大変強くなりCUTEとほぼ同じ感じで受信できます。FMはかなり強力です。内部温度の上昇で送信機も復活したようですね。良かった、良かった!
少しずつ休息時間を確保して下さい。
以下に、ハンディ機による両Cubesatダウンリンクの受信報告2を大雑把ですが連絡します。
東大XI
受信時間:( 年 月 日 時 分)
2003年7月5日16時20分前後
・CWを確認・・・適度な信号強度、但し、多少濁り音
・FMを確認・・・適度な信号強度
2003年7月5日18時00分前後
・CWを確認・・・適度な信号強度、但し、多少濁り音
・ FMを確認・・・適度な信号強度

東工大CUTE
2003年7月5日16時20分前後
・CWを確認・・・適度な信号強度
・FMを確認・・・適度な信号強度
2003年7月5日18時00分前後
・CWを確認・・・適度な信号強度
手持ちアンテナの偏波面を合わせると、大凡10秒周期で偏波が回転するのを感じる
受信位置:(東京・目黒)35.6100N、139.6789E
地上局の構成:受信機:ALINCO DJ-X20、アンテナ:携帯型3エレ八木アンテナ
受信した感想:
東大XI:
・CUTEに遅れて飛行している
・受信した信号は、昨日までと違ってCUTEとほぼ同様に入感。
但し、CWはキャリアが濁っている感じは同じ、FMはかなり強力
東工大CUTE:
・概ね、CUTEの送信機/アンテナの規模に応じた信号として聞けた
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Sent: Tuesday, July 08, 2003 11:18 AM
Subject: Re: 東大CubeSat現状報告
Eさん@東大、JARL Kさん。  白子です。
お早うございます。
XIも皆さんの思いが通じ、JARLの絶大な支援やアマチュア無線家の応援を頂きながら、概ね安定期に入ったようですね。そろそろ、皆さんの体調のことを考えると、全パス運用対応から、緊急時を除き、可視条件の良いパスのみでの重点的に運用をお勧めします。
公表された温度テレメには基準電圧の変化により補正換算が必要のようですが、原因については地上バックアップ機(X)を用いて、実際に検証してみましたか? また、ダウンリンク周波数が数KHz高い方にシフトしているとHPで発表されていますが、送信機の周波数VS温度特性のデーターが有れば、大雑把ですが送信機の内部温度を大凡推定できるでしょう。その他、電源電圧他のテレメデータ等とも比較しながら、適切な補正換算を公表して下さい。あわてて何回も修正することはありません。・・・軌道情報のように
私の予想では機器の動作等による局所的なヒートアップは別として、内部温度は概ねー20〜0°C位と思いますが? また熱容量が小さいので、日照/日陰変化、機器の動作モード等により各温度テレメの変化は大きいと思いますので大きな幅の管理で衛星運用の目途をつけるのがよいでしょう。先ずは、アマチュア無線局の正式免許交付を期待しています。
Sさんに:
宇宙開発委員会への報告文を拝見しました。XIはアマチュア無線のための衛星として位置付けられていることを念頭に置いた広報が肝要でしょう。AMSAT-BBでも継続して話題になっていますが、注意して下さい。(・・・告知文の一部修文も含み) また、JARLはじめ多くのアマチュア無線家(コミュニティー)との良好な関係で衛星の運用が出来ていることも継続して念頭に置いてください。
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Sent: Wednesday, July 09, 2003 3:43 PM
Subject: [CubeSat-RR] Re:CUTE-Iにアマチュア局正式免許
Kさん@東工大、Eさん@東大。  白子です。
無線局正式免許の発給の報告有り難うございました。関係の皆さん、おめでとうございます。既に、両校HPで確認させていただいていましたので安堵していたところです。
皆さんの努力と、JARL(特にKさん)の絶大なる支援、総務省の好意的な理解、JAMSAT有志(Oさん、Tさん)の適切なアドバイスで、綱渡りでしたが首尾良く、学生手作り衛星のアマチュア無線衛星が実現したことは宇宙工学教育としても後世に残る快挙と思います。しかしながら、今回はアマチュア無線局として実現できましたが、今後の学生衛星計画に当たっては、ミッションと無線局の種別を十分検討した上で、適切な申請をすることが肝要ですので、UNISEC等の活動を通じて同じ志を持つ他校の皆さんを含め、議論して行きましょう。
私個人としては、両校Cubesatが外国のアマチュア無線局のコールサインで宇宙を飛ぶことは何としてでも回避させたいとの思いで、先生方や皆さんに強く提言し、結果的には実現しましたが、今回の事態はあくまで緊急対応と理解して下さい。そして、今後の運用に当たっては、アマチュア無線局で有ることを常に念頭に置き、広くアマチュア無線家の理解や応援を得られやすい環境づくりを広報等で維持して下さい。その中で、皆さんの教育としての多くのミッションを実現する事を念じています。今後、それらの成果を国内外で多く発表する事になりますが、両校Cubesatはアマチュア無線衛星であることを宣言して置くことが肝要でしょう。・・・諄いですが本末転倒にならないように。

さて、両校Cubesatの今後の諸手続の留意事項ですが、
・宇宙物体の国際登録手続き
・アマチュア無線衛星として、AMSAT-OSCARの番号の発給手続き
等が緊急性は有りませんが、処置が必要でしょう。
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Update
3.11 東大/東工大CubeSatの使命を考える
<証言11−1:周波数、費用(コスト)意識>

Sent: Wednesday, July 09, 2003 8:18 PM
Subject: Cubesat:東大/東工大衛星の使命を考えるfm白子
N先生/Sさん@東大。
M先生/Kさん@東工大。
白子です。
両校Cubesatの運用がその後も順調に推移していることは、ご同慶の至りです。
今後の推移を如何に活用(宇宙実証を含め)されるかが、宇宙工学教育の本命と理解しますので先生方/学生諸君の一層の奮起を期待すると共に、引き続く計画や同じ志を持つ他校にとっての手本になられることを念じています。

両プロジェクトの皆さんは、開発段階の緊張感とは違った運用の緊張感をこの一週間余持続し、さぞかし気力・体力共に疲労困憊と拝察いたします。衛星の方も皆さんの面倒見で、軌道上の居心地も定まった時期と思いますので、そろそろ人間の方のメンテナンスをして下さい。
さて、私事になりますがCubesatとの出会いを2000年の暮れにM先生@東工大から「東工大大学院・宇宙特論:通信技術」で頂き、それ以来、先生方、学生諸君と微力ですがお付き合いをさせていただき、今回の快挙に遭遇できたことは、宇宙開発生活40余年の中でも極めて大きな出来事で、特に21世紀の宇宙開発を担う人材の教育現場で実現されたことは、私の宇宙ボランティア活動で標榜する「宇宙をもっと身近に!」の中でも、最高の局面と感激するところです。

両校Cubesatの快挙に接し、その使命を考えるとき、「鉄は熱い内に打て」の思いで、またまた2つばかりコメント/提案させていただきます。
Update
1.学生衛星と無線局について(別題;学生衛星とアマチュア無線)
私が、Cubesat計画をお聞きした時点から、国内無線局申請を強く進言したのは、私個人として学生方の苦労した衛星が外国のアマチュア無線局のコールサインで宇宙を飛ぶことは何としてでも回避させたいとの思いからです。結果的には国内のアマチュア無線局として実現しましたが、今回の事態はあくまで緊急対応と理解して下さい。そして、今後の運用に当たっては、アマチュア無線局で有ることを常に念頭に置き、広くアマチュア無線家の理解や応援を得られやすい環境づくりを広報(情報公開が基本)等で維持して下さい。その中で、皆さんの教育としての多くのミッションの実現を念じています。
今後、それらの成果を国内外で多く発表する事になりますが、両校Cubesatはアマチュア無線衛星であることを宣言して置くことをお勧めします。
既に、UNISEC理事会でも話題にしていただいたようですが、今回の両校Cubesatのアマチュア無線局免許発給が、ウルトラC以上の離れ業で主管庁の理解とJARL/JAMSATの協力で実現し、国際的にも何とか村八分になることもなく推移していますが、これで、今後の学生衛星がアマチュア無線衛星として認められるかというとそうではありません。
昨年のUNISEC WS2002でも概説させていただいたように、宇宙へ挑戦するためには無線局の在り方について十分な理解と準備が必要と云うことです。
今後の学生衛星の無線局は、”アマチュア無線局ありき”の姿勢から脱皮することも肝要です。学生衛星計画に当たっては、衛星のミッションと無線局の種別を十分検討した上で、適切な申請をすることです。これらを適切に行動するには法的な手続きと関係機関の理解・支援が必要で、両校はすでに貴重な体験をした訳ですので、今後はUNISEC等の活動を通じて同じ志を持つ他校の皆さんを含め、議論して行きましょう。出来れば早い時期に、一例として、アマチュア無線衛星との接点として、有識者でアドバイザリー・パネル(仮称)をUNISECの中に形成して、そこで今回の経緯を含め意見交換するなども一法と考えています。
 この課題につきましては早々にUNISECでも取り上げていただき、UNISEC周波数WG勉強会(M先生@日大リーダー)の第1回目が開催される運びとなり、今後の活動に大いに期待する。
Update
第1回勉強会(2003年10月18日開催)でアマチュア無線の立場で教育/研究ミッション衛星プロジェクトでの周波数リソース問題を講演されたJA6XKQ武安義幸氏の承諾をいただいて講演資料を公開いたします。

講演資料;New JA6XKQ武安義幸氏編「アマチュアの無線と衛星」
内容構成
1.社会の一員としての衛星プロジェクト−国際社会、人間関係、放棄紳士協定、慣習/マナー
2.バンド防衛と国際性
3.国際的に村八分にならないために
4.今回のCUBESAT打上に対するアマチュア無線界の反応
5.教育/研究ミッションとアマチュア無線ミッションの相違点と融合
6.周波数コーディネーションの手続き
7.3分間ディベート実技 −あなたの衛星プロジェクトは、何故、アマチュア無線バンドを使用するのか?


併せて参照
 *総務省・電波利用ホームページ;周波数の国際調整について http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/process/freqint/
   →UNISEC 情報情報リンク_周波数取得;総務省・免許申請手続き等
 *アマチュア衛星へのOSCAR(オスカー)番号の付与→OSCAR Numbers Policy


 ここで小型・超小型衛星の目的・役割を使用(割当)周波数を根拠に3つに分類しておきたい。
a)アマチュア衛星;もっぱらアマチュア無線周波数を使用し、広くアマチュア無線家等にも情報公開し運用する(衛星開発者とアマ無線家がともに享受する)
b)研究衛星;もっぱら研究用周波数を使用し、限られた用途で運用する(衛星開発者と研究コミュニティーに限定)
c)商用・事業用衛星;もっぱら商用・事業用周波数を使用し、商用・事業用途で運用する(事業者に限定)
即ち、学生衛星のほとんどはa)アマチュア衛星であるため、情報公開・広報が大切であることを理解されたい。

2. 学生衛星の価格(トータルミッションコスト:TMC)表現について
報道各紙では今回の計画がトピックス的に扱われ/今後も話題となると思いますが、以前から申し上げています”製作費”についてですが、学生さん方の投入工数(インハウス費用:衛星製作+運用関連を含む)、関係機関からの試験器材等の有形無形の支援などを加味し、更に打上・地上局設備等の費用を含めた妥当・適切な投入資源(私はトータルミッションコスト:TMCと表現させていただきます。)の情報が公表・報道されることを期待しています。
・・・部品等の調達費用だけが“開発費用”との表現で一人歩きするのは誤解を招きませんでしょうか?・・・
(参考:私が調べたLEO/小型衛星(〜数百kg規模)の衛星群のTMCから算出した、単位kg当たりの価格は、ごく一般的な単機能な衛星の場合、大凡600〜800万円です。さて、両校Cubesatはどの様に試算されるでしょうか?)
につきましては、関連する多くの報道内容を拝見する限り、残念ながら先生方のお考えを理解するに至っておりません。多くの報道からは、
・製作費(製作費の内容が判りませんが)が、報道によって東大が約100万円〜180万円、東工大が約150万円〜300万円と報道先によって違っている
・また、打上費用を含めた費用は両校合わせると約1000万円との表記もある
・ある一報道だけ、学生諸君の貴重な投入工数が延べ8万〜10万時間と示された
・多機能・高性能が要求された衛星と学生衛星が同一視されている表現が多い
また、これらの報道に対し、多くの方から個人的にお問い合わせを頂きますが、その都度、私の理解を超える範囲であることからコメントを差し控え、両校をご紹介しています。

少なくとも、100万円〜300万円と言う数値だけが、皆さんの快挙である”Cubesat”の代名詞にならないよう願うと共に、先にコメントさせていただきました、”トータルミッションコスト:TMC”として、
計画から運用・評価=衛星開発費(資材費+工数)+試験費(資材費+工数+試験器材費)+打上費(ロケット経費+分離機構資材費+工数+旅費)+運用・評価費(地上設備経費+工数)+・・・
など、有形・無形の貴重な費用の積み上げが、後に続くプロジェクトや学生方の教育的資産になると信じますので適正な積算と公表を期待するところです。
先生方/学生諸君のお考えも有ろうかと思いますが、機会ある毎に議論し、整理・公表されて、皆さんの快挙が一層生かされることを願うばかりです。
                                                                     [トップに戻る]

4.次への伝承
<打ち上げ一周年記念講演会での講演要旨 2004年7月10日 他>
 両校CubeSatの1才の誕生日、おめでとうございます。
 一周年記念講演会では、皆さんの日々の努力と継続した研鑽に敬意を表しに集まった、多くの応援団と一緒に素晴らしい一時を過ごさせていただけたことに感謝を致します。 折角、講演の機会を頂きましたので、いつもながら辛口で、「もう一つのCubesat物語・・・老宇宙技術者のCubeSatへの思い入れ」をと思いましたが、進行係の巧みなペース配分にはまり(?)終始、甘口になってしまいました。 いずれにしましても、両校のCubeSat開発・運用の成果は高い評価が得られるもので、それ故に期待される、両校の使命は、
1)宇宙実証の成果を公開する使命
2)体験・経験・教訓を伝承する使命
3)社会の一員としての衛星プロジェクトの布教(あなただけで、衛星を作り、打ち上げ運用出来ますか、 その成果を誰と共有するのでしょうか、 国境の無いリソース(宇宙空間、周波数他)を享受する衛星プロジェクトは、社会(国際社会)の一員としての責任)が有るのではないでしょうか)
 さらに、これからの宇宙工学教育への期待として、
1)コスト意識(学生諸君の貴重な投入工数がプロジェクトをささえる)
2)徹底した試験での検証・評価(宇宙を侮らない、確実なモノ作り)
3)安全意識 等への取り組みが注目されます。
 これからも、教育の場での宇宙開発が、皆さんの経験・体験・教訓が引き継がれ、手創り宇宙工学教育の文化が生まれることを、応援して行きたいと思います。


5.おわりに
 本ページを締めくくるに当たり、10年余に及ぶ学生衛星との交わりと期待をこめた想いをFAQ形式でまとめてみました。 手作り衛星の製作を志す皆さんの参考になれば幸いです。
1.なぜ、学生衛星か!

@学生達の衛星開発に初めて携わったときの率直なご感想> (学生でも高度な技術を持っていると思われたか、それとも、> やはりまだまだ衛星と呼ぶには厳しい点があると思われたか、> どのようなご意見をお持ちになったか、その時に思われたことを) 

 宇宙を専門とする技術士の宇宙教育応援の一環として東大・東工大でのキューブサット(CubeSat)開発の試みを、宇宙通信に関する特別講義を手始めに応援しました。 ご承知の通り、衛星と言っても、その役割、機能、規模等多種多様です。 教育の場で学生諸君が挑戦する衛星という点では、何も国の計画としてや商用衛星を目指すわけではないのですから、身の丈にあった目標を立てることに無理がなければ不可能と言うことはありません。

 
指導者と学生諸君が持つ熱意・覚悟(気持ちだけでなく、自分たちで何を勉強し、どの様な行動が、役割分担が出来るか等々)を具現化するためにどの様な応援が自分に出来るか(特に時間的な面と協力出来ること出来ないこと等)を見極めた上で、お付き合いしました。

 さらに、宇宙からの自分たちの星(衛星)の囁きを聞き感動して欲しいと念願し、応援しました。 私にとって、学生諸君との衛星作り(衛星搭載用通信機器)は初めてではなく、1980年前後から2つのプロジェクト(一つは国際協力でアメリカのアマチュア無線衛星(オスカー8号のJモード中継器)、もう一つは日本のアマチュア無線衛星ふじ)での経験から、彼らに何が出来るかを品定めするのではなく、彼らのパワーを思う存分発揮するためのアドバイスがポイントでした。

A「ちょっと手厳しいことを言ってしまった」と思われたことはありますか?ある場 合、どのようなご指摘をされたのですか?

 この様な手作り衛星を機会に、打上げ環境や軌道上で遭遇する宇宙環境を侮ることなく、原理原則を学び、モノ作りの原点(直ぐには壊れない物を作る)、論理的展
開・工学的アプローチや費用意識などマネジメントを体験し、やることはきちんと、だめなものはだめとの倫理観を滋養する等、学校教育や個人スキル等の総合力を発揮しては如何かと、 一寸盛り沢山の注文を機会ある毎に言い続け、ポイントをアドバイスしてきたつもりです。

 学生諸君の設計の技術的な「見落とし」等を指摘し、改善方法をアドバイスすることで、少しでも成功を応援することであり、若い人の柔軟で想像力のある斬新なアイデアを、古い頭で否定しないように努めてきました。 また、宇宙システムとって不可欠な通信技術の重要性を指導(講義や設計・試験等)したり、簡単には死なない設計;ロバスト・サバイバビリティを前提にすること(BAT枯渇からの立ち上げ動作や、電源電圧や温度の動作幅の拡大、小型・高密度実装ならではのEMC;電磁適合性対策)、簡単には壊れない物づくり等の重要性を力説しました。

B長く宇宙開発に携わってこられたからご覧になって、> 「学生が人工衛星開発に成功する」という事実は、どれぐらい衝撃的な> ことなのでしょうか?また、学生が人工衛星を開発することは、日本の宇宙開発にどのような影響を及ぼすと思いますか?

 学生諸君と指導教官に加え、有形無形の多くの応援、協力があってこのようなプログラムが実現できるのだと云うことを、学生諸君が体験してくれ、この経験がこれからの人生に何らかのインパクトがあると思います。
 形の上では、自分たちの衛星が宇宙に有ると云うことですが、人造り?が出来と云うことではないでしょうか 日本の宇宙開発への影響?と云う観点では、あまり意識していませんが、多くの人の宇宙への関心に繋がってくれればと思います。

C彼らが、成功した一番の秘訣は何だと思われますか?

 学生諸君/指導教官や応援者・協力者が、利害関係を持たずに実現に向けて熱心だったと云うことではないでしょうか。 学生衛星のドラマ主役学生諸君に有って、応援者はその実現に向けてクールに付き合うことも、夢の実現の一端かもしれません。  そして今後は、さらに学生諸君を主役にした活動を推進し、そして、彼らに続く若人のためにも、NPOUNISEC意義、存在が注目されると思います。

2.宇宙教育への想い

>D将来の
UNISECのあり方への想いは?

 宇宙教育が、教育の原点であるである?人材を継続して輩出する繰り返しに、進歩的な指導を加味して時代の要求に即した教育ポテンシャルアップする環境と、プロジェクトを継続することの必要性からベンチャーな起業を試みる環境を配することに 熟慮することが肝要と思います。
 大学等の宇宙教育の範疇をどのように捉えるかにもかかってくると思いますが、白子個人としては、
a)大学等の宇宙教育では一研究室等での人材教育に徹していただき、基礎知識や原理原則の習得、学生の身の丈にあった実践的体験としてのプロジェクト体験、且つ、先輩から後輩への伝承とデーターベースの蓄積・更新等、教育上の継承が第一と思います。

b)教育的であったプロジェクトが進んでくると、ビジネス傾向のプロジェクトが台頭してくる事は必然ですが、これをいつまでも一研究室で消化しようとすると、学生本来の教育のマンパワーが費やされることになります。 このようなプロジェクト体験が宇宙教育であるとするとプロジェクトに課せられた制約の中では、上記の本来の教育が二の次になることもあり、それを危惧し、留意すべきことがあるのではないかというのが持論です。

c)よく、サレー大が引き合いに出されますが、衛星開発をビジネスとしているのはSSTLであってサレー大の宇宙教育そのものではないと思います。言い換えれば、産学連携としてサレー大の宇宙教育の体験現場としてSSTLに深く学生が関わることはあると思いますが、人材教育としての宇宙教育はサレー大として立派にやっていると思います。ゆえに長く続くのではないでしょうか。SSTL初期に1987年のIAFでマーケッティングの関係者と面談したことがありますが、当時のイギリス宇宙産業界が低迷しサレー大学の宇宙工学専攻の卒業生の就職先が無かった打開策としてビジネスモデルを構築しSSTLとしたと聞きました。
 UNISECの将来を考えるときには、人を育てることと、プロジェクトを支援することになるのかのバランスを熟慮するのも一考と提起させていただきました。

d)もう一つの課題は、世の中でセンセーショナルな話題になっている割には、直接的な財政(資金)の支援や協力が少なく、一層の力をつけようにも資金難で埋没するか、または、停滞する中で本来の教育的志向の学生衛星が、あらぬ方向に脱線するのではないかと危惧さえ覚えます

>E学生の宇宙教育ミッション(学生ロケット打ち上げや、学生衛星)で許される失敗と許されない失敗! ←前出>Aに関連

 宇宙に挑戦することは貴重な機会ですから、学生の宇宙教育のミッションだからという甘えは捨て、できる限りのことは全て行うという姿勢は大切なことです。
 技術はウソはつきませんが、技術は人がなすものです。 一寸考えれば失敗することが明らかなことで失敗するのは単に手抜きや馬鹿げたことで許されることではなく、失敗するにしても、考えに考え抜いた末に宇宙で試みた結果、やむなく起きてしまい、猛烈な反省とともにその対策を全力で行う、というプロセスが大事です。
 さらに、学生の宇宙教育ミッションとそうではないミッションの区別をはっきりさせ、対処することも肝要と思います。この辺をどのように方向付け、指導するかが問われるところでしよう。

>F国内外における超小型衛星等の打ち上げや計画が盛んになっていますが、現状をどのように感じていますか?

 貴重な打ち上げ機会と軌道に、学生衛星はじめ、多くの超小型衛星が打ち上げられていて(Jun 2003~Feb 2009で40機以上)、宇宙へのハードルが低くなる印象を持
ちます。 反面、その総括は今後の動向・推移を見守りたいと思いますが、以下のような懸念を感じます。 学生宇宙工学教育ミッションのみならず宇宙システムにチャレンジする皆さんは、宇宙を侮ることなく真摯に取り組んで結果を出し、感動することを期待したいと思います。
懸念事項;
・宇宙システムが遭遇する環境(打上げ〜軌道上運用)や、メンテナンスが出来ないシステムとしての要件を満たしているか
・宇宙開発へのハードル/敷居を下げる挑戦の意図を誤認していないか(安易になっていないか)
・物づくりを甘く見ていないか(まずは地上で完全に動作するものが作りこまれているか・・・確実な物づくり)
・計画立案、実行に覚
悟が出来ているか(スケジュール、マンパワー、コスト、リスク)
・先人・先達の教訓が生かされ(情報開示も)、広く理解・反映されているか   ← 第三者のアドバイスや応援の受け入れが大切
・開発・運用の経験を積んだ皆さんの使命は;
 1)宇宙実証の成果を公開する使命
 2)体験・経験・教訓を伝承する使命
 3)社会の一員としての衛星プロジェクトの布教(あなただけで、衛星を作り、打ち上げ運用出来ますか、 その成果を誰と共有するのでしょうか、 国境の無いリソース(宇宙空間、周波数他)を享受する衛星プロジェクトは、社会(国際社会)の一員としての責任)が有るとおもいます。

 等々

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6.参考
6.1 文献

・衛星設計入門 衛星設計コンテスト実行委員会監修 茂原・鳥山著 培風館
・宇宙システム概論ー衛星の設計と開発 茂原著 培風館
・JAS-1ガイドブック JARLアマチュア衛星委員会著 CQ出版
・航空宇宙工学便覧 航空宇宙学会編 丸善
・マイクロサットシステムとその実現手段 升本著 日本ロケット協会
・キューブサット物語 川島著 エクスナレッジ
・マイクロサット開発入門 東北大学超小型衛星開発チーム著 東北大学出版部
 寸評;チーム主体は経験豊富なプロであり小型衛星普及への思いが詰まっている。本著のモデルになっているSPRITSATの軌道上顛末が教訓として追補されることを期待したい。
人工衛星の”なぜ”を科学する NEC「人工衛星」プロジェクトチーム著 株アーク出版
・人工衛星をつくる 宮崎康之著 オーム社

6.2 URL
SSCnote.-HP:宇宙技術者の心得
SSCnote.-HP;宇宙開発提言・宇宙開発と倫理観
SSCnote-HP;原点;アマチュア衛星・・・足跡の記録集
宙の会;論壇
UNISEC
UNISEC 情報情報リンク_周波数取得;総務省・免許申請手続き等
→総務省・電波利用ホームページ;周波数の国際調整について http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/process/freqint/
UNISEC Cubesat物語
東工大Cubesatサイト
東大Cubesatサイト

7.付記

7.1東工大・大学院宇宙開発応用特論:「実践的宇宙通信技術」
第1回講義レジュメ;宇宙通信概論と宇宙技術者の心得
第2回講義レジュメ;通信系設計概要
第3回講義レジュメ;小型衛星通信機器の実際

7.2衛星システム設計における信頼性確保の基本的な考え方
 
SSCnote;宇宙開発・提言;私見:JAXAへの置き手紙 − 衛星開発力の回帰 (9 Nov 2005)、より抜粋
1)衛星開発の評価活動からの提言

 旧NASDAアクションプログラムの一環として立ち上げた衛星開発の評価活動は、SELENEWINDSGPM/DPRGOSAT等の新規プロジェクトの技術者が心掛けるべき設計等に内在するプロジェクト・リスクの識別・評価・改善を、側面的にかつ客観的な立場でリスク評価を行い、開発プロジェクトが限りなく低リスクになる様にアドバイスを含めた勧告をしている。現に、これらのプロジェクト関係者とは厳しくも良好な関係が築かれており、いずれ素晴らしいプロジェクト成果と人材が輩出されると信じている。
 また、(MDS-1:軌道上ミッション達成)、(DRTS:軌道上運用中)、ALOSETS-[は、概ね製造段階からの特別点検と言う形で関与しており、打ち上げ前までの作業において、先行きリスクとなる兆候を識別し、やるべき事はきちんとやる精神を貫き、プロジェクトの完成度を上げるべくアドバイスを続ける事が肝要である。
 評価活動の経緯から、軌道上不具合の撲滅の観点から以下に示す共通的な幾つかの提言(以下に箇条書)が出来る。尚、衛星開発はJAXA(旧NASDA、含む:共同開発や研究の外部機関)と衛星メーカとの契約によって実行されるから、ここに提起した問題はJAXA自身(含む:共同開発や研究の外部機関)の問題、JAXAが衛星メーカを指導監督する場合の問題、衛星メーカ自身の問題が含まれていると言及しておきたい。
 a) 技術の継承・蓄積の問題
 b) “End-To-End試験”の発想の転換
 c) 人為的設計過誤撲滅への更なる取り組み
 d) コンフィギュレーション設計の重要性に対する再認識
 e) リスク管理に関する発想の転換
 f) “物造り”マインドの醸成
 g) ソフトウエア評価検証の徹底
 
h) 衛星統合化設計への対応
 i) 大型柔軟構造衛星の高精度指向制御技術
 j) 設計基準・作業標準の遵守と適宜・適正な維持改訂
 k) “実績”と言う言葉の落とし穴
 l) 充実した設計審査資料の元で、シッカリした審査の実施
 m) サバイバル性の強化

2)信頼性管理や技術力についての私見:
a)技術開発が、経験の積み重ね(人、管理技術)を次にフィードバックし確実な開発に繋げ、さらに環境の変化に柔軟に対応し、持続的な発展をし続けるものであるという観点からJAXA(旧NASDA)を見ると、事業範囲拡大によって手が回らなくなったり、必ずしも修得しきれていない技術を確立したことにして、次々に新しい技術に手を着けたことで、必要な開発環境に対応できていない面があるのではないか
b)管理技術の維持(職員・企業への教育を含む)・改訂・改善が、必ずしも開発環境変化に応じられていないのではないか
c)信頼性(管理)活動を、予防的(リスク低減)な管理活動と言う観点で見ると、開発現場(プロジェクト)と乖離した存在になっていないか吟味してみることが肝要 →管理活動は、組織全体の活性材になることが望まれる
d)企業への責任委譲が、企業自体の自信過剰?やお任せになったりして、“品質重視:品質は工程で
作り込む”や“PDCAをまわす”など“当たり前の(やるべき)ことをきちんとやる”等のことが、お座なりになっていないか
eISO9001を標榜するのならば、品質・信頼性に係わる機能組織の責任・権限の明確化と諸管理規定・手順等の維持・改訂・改善を含む再整備が急務ではないか

3)「確実な衛星開発」についての私見:
a)技術を束ね、弱い要素技術を補うシステムエンジニアリング
b)技術開発には多様性(重複性)も必要、必要以上の集中化、または開発路線を既成化すると固定化し、発展や修正が阻害されることがある
c)有限のリソースの中での宇宙開発は、確立した技術の徹底した活用と、挑戦的な新規技術の使用に当たってのリスクの受容のバランスが大切である
d)技術は、1,2度の成功で確立した技術と言えない。同じ技術を繰り返し使用して、データ・管理の積み重ねが必要である。昨今の“実績がある”と言う開発計画・設計は、限定された地上での評価や数少ない軌道上動作を盲信し、かつ、実際の設計者不在や設計変更を行った、確立されていない技術が横行しているのが実態
e)“宇宙を侮ること無かれ”、未知の要素の有るものについては、設計のためのデータ取得、あるいは、その設計の確認のための試験を必ず実施すべきである。そのためにコストがかかるが、リスクとコストのトレードオフを意識し、状況によってはリスクを受容する考え方を方針とする事もあり得る。
f)宇宙実証衛星計画もMDS-1だけで立ち消え状態となっているが、軌道上実証の原点は、“宇宙を侮らないことへの戒め”、“宇宙で使うモノは宇宙で検証・・・ノウハウの密度が違う”、“実証された成果はトコトン使い込む”ことであり、復活と継続化を期待
g)コストダウン、短期開発、性能の向上の代償として、リスクが高くなる事を認識すること。技術開発の効率化・コストダウンの限界を誤認することは手抜きにつながる


7.3宇宙開発を応援する気持ち
 宇宙開発を応援する私の気持ちを紹介したい。

<毎日新聞・2000年2月8日(火)朝刊−オピニオンワイド・みんなの広場−投稿掲載文を転記('00/2/13)>
”宇宙開発は謙虚に!そして大胆に!!” 技術士 白子 悟朗 61 東京都目黒区

 「21世紀は宇宙時代」との思い入れで、わが国宇宙開発に応援メッセージを送りたい。
 通信、地球観測や宇宙科学など、人類にとって宇宙技術は不可欠。国力としても宇宙開発と宇宙産業は不可分関係で、先端的・継続的な努力が必要である。さらに21世紀の主人公である子供たちに宇宙時代実現の夢を託すためにも宇宙開発を謙虚に、かつ大胆に進めたい。
 宇宙システムではH-IIロケット打ち上げ連続失敗のように、すべてが一瞬で無に帰する。謙虚にその教訓を生かすのが世に応える唯一の道である。 併せて効率化・原価低減の限界を誤認することは手抜きにつながる。携わる者が、愛着と使命感をもってヤル気を出せる環境づくりと”やることはきちんと、だめなものはだめ”などの倫理観の自覚が求められる。
 そして、国民・社会の声を反映した大胆な宇宙ビジョンを得意な技術・分野で立案・実行することが宇宙文化創造につながる。

 
★ 皆さんからのご意見・反響等を要約
   ・国民理解は本音、リスクのアピール努力が必要
   ・国の技術開発とは何かを常に追求せよ
   ・連続失敗.物作りの軽視の風潮,が根底では製造技術上の問題を懸念.技能のソフト化急務
   ・宇宙の規模になると,馴れ合いでは済まない

< 私なりの永年の宇宙開発への取り組み姿勢(信条と意志)>
 ・宇宙(環境)を侮らず
 ・宇宙システムの臍の緒は通信
 ・技術はウソをつかない
 ・現場主義
 ・技術・信頼性文化は人の絆 (信頼と倫理観、人づくりで継承と伝承、そして発展)

 ・リーダー観;我をもって和となす

< 宇宙開発と倫理観 >

7.4 わが国の周回衛星の寿命と電力システムへの私見(追補版;pdf)

7.5−1 より確かな衛星開発・利用への思い 2012(pdf)
7.5−2 より確かな衛星開発・利用への思い 2013(pdf)
7.5−3 より確かな衛星開発・利用への思い 2014(pdf)

7.6 宙の会論壇にリンク 小型衛星No.8;学生衛星の確かなモノづくりに期待


7.7 図解;学生衛星の確かなモノづくりに期待-衛星設計コンテストからの飛躍-(pdf)


7.8 アマチュア衛星・学生衛星等との交わり備忘録;手作り衛星の応援活動
 「衛星設計コンテスト」
2002-2014年現在 第10~22回 実行委員
1999-2001年 第7~9回 審査委員
1993~1998年 第1~6回 実行委員支援

 「大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)
2011年 東工大「TSUBAME」レビュー会2011 参加
2010年 東北大「雷神、雷神2」レビュー会;Ustによる応援
2010年 UNITEC-1救出計画;MLによる応援
2006年 第4回総会関連企画:OB/OG-現役懇談会コメンテーター参加
2005年 次期大学衛星設計評価会 参加;東工大「Cute-1.7+APD」、東大「PRISM」/「S310実験」
2004~2005年 CubeSat誕生一周年記念講演(10 Jul 2004)/キューブサット物語(23 Mar 2005)
2002年 UNISEC-WS2002招待講演;誰にもチャンスの軌道上実証への道ー周波数の確保ー&コメンテーター
2001,2002年 UNISATプロジェクト(衛星)審査委員
2000~2003年 東工大/東大Cubesatプロジェクト応援(東工大大学院・宇宙特論 特別講師;通信技術、審査会、製作等指導)
・元個人賛助会員

■ アマチュア衛星活動(JG1LDVを開局)
1980年~現在 アマチュア衛星”ふじ1,2,3号”の開発に参加(JARLアマチュア衛星委員歴任) /JAS-1ガイドブック他
1978年 JAMSATのオスカ−8号搭載中継器開発に参加
1976年 2m同好会/JARLの富士山頂・擬似衛星による、通信実験に参加
・JARL会員
・元JAMSAT会員(~2010年)、国際協力アマチュア衛星P−3D・SCOPE プロジェクトにアドバイス
Update
7.9 小型・超小型衛星の確かなモノづくりへの思い -蓄積技術・経験を生かし、新世代に伝承する(温故知新)-

7.10 JA6XKQ武安義幸氏編「アマチュアの無線と衛星」


7.11 宙の会論壇にリンク 宇宙ゴミをどうする 6.超小型衛星の宇宙デブリ対策雑感(2006.6.9)
Update
7.12 日本の小型・超小型衛星の足跡(顛末)-(pdf)
New
7.13 小型衛星論シリーズNo9(SSC版) 小型・超小型衛星の近年の傾向と展望(pdf)

7.14 「ふじ」誕生30周年;我が国のアマチュア衛星事始めと「ふじ」が遺したものpd

7.15 超小型衛星打ち上げロケットSS-520-4の顛末を追跡する


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