2017年4月12日


寄 稿

総合的学習の時間「学びの森」 実践報告 (中)

横浜翠嵐高等学校 定時制 岩脇歳文



 前回(133号)の「学びの森実践報告(上)」では、本校定時制の、総合的な学習の時間の単位を落としてしまった生徒と3、4年生の希望者向けに開講されている「学びの森」の授業について紹介した(テーマ1キャリア教育)。今回はその授業で生徒とともに学んだ「平和教育」について紹介する。

テーマ2:平和教育
 平和教育というとたいてい、広島の原爆と東京大空襲が扱われる。学校で行われる平和教育において毎年夏にくり返しそういった動画や話を聞くたびに私は、「なぜ毎年同じような話だけがくり返し紹介されるのだろうか。」と違和感を覚えていた。
 そこで私は、「学びの森」の平和教育では、戦争をどこか遠い、ずっと昔に起こった自然災害のようなものではなく、自分たちのような普通の人が、国や考え方が違うという理由だけで他の人を殺すものだ、ということを生徒に考えてもらうため、次の動画を紹介した。

扱った動画(すべてNHKより)
(1)「日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第3回 “熱狂”はこうして作られた」
(2)「狂気の戦場 ペリリュー~“忘れられた島”の記録~」
(3)「沖縄 よみがえる戦場 ~読谷村民2500人が語る地上戦~」

 私が学びの森を持ち始めた2015年夏、NHKでは戦後70年に関わり、様々な角度から戦争の動画や証言を残す番組を多く製作しており、生徒たちに様々な考えるきっかけを与えた。
  


「狂気の戦場 ペリリュー~  “忘れられた島”の記録~」

 概要:撮影地は日本から3200km離れたさんご礁の島ペリリュー。2万人近い死傷者を出したが戦いの詳細はほとんど語られずにきた。日本政府はそれまでの「万歳突撃」をやめ、本土防衛のために持久戦を行うように命令した。日本軍の兵士はペリリュー島でゲリラ戦を繰り返す。仲間を殺された日本軍、米軍が狭い島の中でそれぞれ憎しみ合い、惨殺し合う様子が、動画と証言によって生々しく紹介されている。


生徒の声


 正解はありません。あなたは戦争についてどう思いますか。自由に書いてみましょう。
       (プリントの問いかけより)

(1)「日本人はなぜ戦争へと向かったのか  第3回 “熱狂”はこうして作られた」より

A:情報を鵜呑みにせず、自分の意見を持ちつつ、考えていきたい。

B:ツイッターで人を傷つけてしまう。言葉には注意したい。


(2)「狂気の戦場 ペリリュー~   “忘れられた島”の記録~」より

A:長期間、緊張感を持ち続けていつ殺されるか分からない状況が続くなんて考えられない。隣を見れば死体の山、戦う理由もなくなったのに、戦い続けていたなんて恐い。

B:殺す相手に直接恨みがあるわけではないのに、戦わなければいけないなんて、戦争になんの意味があったんだろうと思う。


<沖縄戦>
 本校の3年生は例年、沖縄に修学旅行に行くので、平和教育の中で沖縄戦を扱った。残念ながら経済的な理由で半分程度の生徒は修学旅行に行くことができないが、自分のことのように真剣に聞いていた。








画像1 ひめゆりの塔の目の前の防空壕
 ここで住民を守ってくれるはずの友軍により「解散宣言」が出され、畳1枚に1発と言われる激しい砲撃・空襲の中、多くの命が失われた。












画像2 平和祈念公園
 敵の捕虜になることを禁じられた住民の「集団自決」が行われた。








画像3
神高教「平和ツアー」で訪れた辺野古
 沖縄県民に日本の負担を強いる構図は変わっていない。


   






 「人類の歴史は戦争の歴史です。皮肉にも、大量殺戮兵器が開発された2つの世界大戦後の現在は、人類史上最も平和な時代です。これから先の未来は皆さんが作ります。皆さんが祖先から受け取ったものは命と知識です。多くの祖先が命を落とした歴史から学び、同じ過ちを繰り返さないでほしい。」

 授業の最後はこう締めくくった。生徒たちはいつもにも増して、真剣な様子で話を聞いていた。

寄稿  総合的な時間「学びの森」実践報告(上)    岩脇 歳文

寄稿  総合的な時間「学びの森」実践報告(下)    岩脇 歳文

投稿  「県立高校改革実施計画」がめざす学校規模の過大化を憂う   岩脇歳文

投稿  入学者を「選抜」してよいのか    岩脇歳文


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