○ストーリーダイジェスト9(33〜36話)

サブタイトル名及びあらすじ

管理人Tabiの余計なコメント    

第33話「五羽のていさつ隊」 ゲストキャラ紹介

 北へ急ぐニルス達の一行は、森の中で鳥達がたくさん集まってなにやら話しているのを見つけます。好奇心の強いニルスは、面白そうだと様子を見ていくことにしました。
 鳥達の長を務めているフクロウに聞いてみると、このあたりは鳥が増えすぎてしまったので北への移住を計画し、調査に向かわせた5羽の鳥達の報告を待っているとのこと。ここで待っていれば、ラプランドの様子を聞くことが出来ると知ったニルスは、いっしょに報告を聞かせてもらうことにしました。
 やがて帰ってきたカモメ、ヒバリ、ライチョウ、アビ、ユキホオジロ5羽の報告が始まります。しかしカモメは海があるといい、ヒバリは草原、ライチョウは森、アビは湖、ユキホオジロは山が連なっていると報告。まるで内容が違うのです。共通しているのはラプランドはとにかく素晴らしいところだと言う事だけ。やがて5羽は互いに相手が嘘つきだと言い争いを始めました。
 そこにゴルゴが「みんなやめてよ!」と割って入ります。ゴルゴは鳥達に話し始めました。ラプランドは海だけでもない、草原だけでもない、森だけでもない。この国の素晴らしいところみんなを集めたところなのだと。ではなぜ5羽の報告が違っているのか?フクロウの問いにゴルゴは、それぞれが自分のすみかに沿って飛んでいったからなのだと答えました。
 何はともあれラプランドが素晴らしい事だと分かった鳥達は、今度は誰が移住することにするかでまたもめ始めます。しかしその混乱のドサクサに紛れレックスが現れました。クモの子を散らすようにに逃げ出す鳥達。ニルスも逃げ出しますが、キャロットが逃げ遅れてしまいました。
 レックスはキャロットをいきなり食べようとはせず、いつでも襲える位置においてじっとしています。どうやらキャロットを助けにニルスがくるのを待っている様子なのです。ゴルゴならレックスに対抗できるでしょうが、いつのまにかどこかに行ってしまっていました。とりあえず鳥達にゴルゴを探しに行ってもらい、ニルスは時間を稼ぐことを考えます。しかし正面から行っては勝ち目はありません。そこにモグラが偶然現れました。ニルスはモグラに頼んで、地中からキャロットを助けることにしました。
 痺れを切らしたレックスがキャロットにかぶりつく直前、ニルスはキャロットを救い出すことに成功しました。そのあとモグラの穴を利用してレックスを振り回している間にやっとゴルゴが到着。ゴルゴの姿を見たレックスは一目散に逃げていきました。
 落ち着いたところで、ニルスたちは「一足先に行っているよ」とラプランドに向けて出発します。

 原作でも移住を計画した鳥達が、調査隊をラプランドに送り、更にその報告が違うことでゴタゴタするお話があります。しかしアニメと異なり、この話はニルスがスカンセンでクレメンテのところにいたときにたまたま聞いた話でした。鳥の種類が違ったりしていますが、それはゲストキャラ紹介のほうで。
 一方後半のレックスが絡むあたりは、当然のことながらアニメオリジナル。キャロット救出の為に必死になるニルスの姿が印象的です。鳥達の報告のときに現れたモグラが実は伏線になっていたことも面白い点ですね。
 この話の前半ではラプランドがとにかく素晴らしい事だと紹介され、ニルスは勿論、見ているこちらにも期待を膨らませるようになっています。しかし次の34話ではラプランドの自然の厳しさがテーマになっており、この33話と34話は対になっていると言う事ができます。
 さて、ツッコミ。鳥達が話しているのを見つけたニルスが、しぶるゴルゴに降りてくれるよう頼むシーン。「10分、あ、いや5分だけ」って、ゴルゴに「分」なんて分かるはずもありません(笑
 それともう一つ。鳥の長のフクロウと話していますが、前の話のコメントで触れたようにフクロウは小動物にとっては天敵です!しかしアニメのニルスでフクロウが敵になるのは、最終話も間近い49話だけ。それもアニメ版ニルス最大のピンチのシーンとして登場。今更ですが第4話では、ニルスたちの姿にフクロウが逃げ出すシーンすらあります。奇妙なものです(笑
第34話「太陽と氷の精の戦い」 ゲストキャラ紹介

 遂にラプランドに到着!ゴルゴは大喜びですがニルスとキャロットはおやすみ中。どうやらラプランドの心地よい日差しで睡魔がいたずらをしたようです。ゴルゴは地面の上にニルスとキャロットを置くとどこかへ飛んでいってしまいました。
 やがてニルスは自分の名前を呼ぶ声に目を覚まします。なんと太陽がニルスに呼びかけているのです。太陽はニルスについてくるように言っています。見渡すとゴルゴがいません。仕方なくニルスはキャロットと一緒に太陽を追いかけることにしました。
 しばらく走っているうちに疲れて立ち止まっていると、なんと道端の木が「一緒に太陽を追いかけましょう」とニルスを枝に乗せてくれます。やがて動物やいろいろな植物も加わって賑やかなパレードが出来上がりました。みんなで歌いながら太陽を追ってラプランドを目指し行進します。
 ところが暫くすると段々涼しくなってきました。ふと気がつくと歌声も聞こえなくなっていて、振り返るとさっきまで沢山いた動物や植物達もすっかり減っています。木もこれ以上は進めないと立ち止まってしまいました。木が言うにはみんなラプランドの氷の精が恐ろしくて逃げ出したのだといいます。しかし太陽はどんどん進んでいきます。ニルスは「太陽だけ放っておいてはかわいそうだ」と自分とキャロットだけでもついていくことにしました。
 氷の精、それはラプランドでもっとも恐れられている存在です。太陽はその氷の精に戦いを挑もうとしていたのです。やがて太陽と氷の精の戦いが始まりました。ニルスは太陽を応援しましたが、一進一退の攻防の末、太陽は氷の精に敗北。氷の精はさらにニルスにも襲い掛かります。氷の精の手下の狼がニルスに今にも喰らいつこうとしたとき、ニルスははっと目を覚ましました。どうやら夢を見ていたようです。
 あれは本当に夢だったのかな?そう思いながらゴルゴの背中に乗ってラプランドを進むとやがて懐かしい姿が目に入りました。遂にアッカ隊長のガンの群れに合流する事が出来たのです。

 アニメオリジナルのような雰囲気のお話ですが、実はかなり原作43章「夢」に非常に忠実です。ただ、原作では太陽についてくる生き物がこれ以上ついていけないと立ち止まる地点は、それぞれの生き物の北限を示しており、こうしたところも「ニルス」が地理の副読本として書かれたことが現れています。
 さて、前の話のコメントでも書きましたが、この話は前の話とうって変わってラプランドの自然の厳しさをテーマにしているように思います。夏は生きものの楽園ですが、冬は厳しい寒さに見舞われるのです。
 ほぼ全体がファンタジーの雰囲気のこのお話。特に突っ込みを入れるべき点は見当たりませんが、強いて言うとカカシですね。カラスにとまらせてと頼まれたとき、「さぁどうぞ」と言いながらも飛び跳ねて踊っています。これではとまろうにもとまれません。パレードから去るときも「さて、戻ってカラスを追っ払わなくっちゃ」とカラスへの敵意をあらわにしています。きっとあれは「とまれるものならとまってみろ」ということなのでしょう(笑
 それと、しつこいようですがこの話でもフクロウが友好的です。
 もう一つ、これはツッコミではありませんが、ニルスとキャロットを地面に下ろしたあと、ゴルゴはどこに行っていたのでしょう?私はアッカ隊長達の所在についての情報を集めに行っていたのではないかと考えていますが、如何でしょうか?
 ところでアニメ「ニルスのふしぎな旅」は、この話のようなファンタジーの雰囲気が強いお話もあれば、非常にリアリティーの溢れたお話もあったりします。このファンタジーとリアリティーの微妙なバランスもアニメ「ニルス」の魅力の一つではないでしょうか?
第35話「父を探すガチョウ番の子」 ゲストキャラ紹介

 ラプランドに無事到着したアッカ隊長達ガンの群れとニルスにゴルゴ。ガンたちは営巣の準備に大張り切りです。ところがそこに人間が近づいてきました。営巣地を人間に知られることは好ましくない為、ニルスはゴルゴに乗ってその人間に話しに行くことにしました。
 ところが近づいてみると、その人間達はあのオーサとマッツの姉弟。小さい姿を見せるのにやや抵抗を感じますが、妖精だと言い張ることにして話し掛けることにしました。
 聞くと二人のお母さんが亡くなり、それから家を出てしまったお父さんを探しているのだというのです。可哀想に思ったニルスは、二人のお父さんを探す手伝いをしてあげることにしました。その親切ぶりに「ニルスにそっくりなのに性格が全然違う」という言葉を吐かれ、顔をしかめながらも・・・。
 近くにいたトナカイに相談に相談し、ラップ人の村に連れて行ってもらうことにしたニルスと2人の姉弟。やがて到着したラップ人の村を覗いて見ると、一人だけスコーネ地方の服を着た人がいます。ニルスの報告を受けた二人は大急ぎで走りより、その服を着た人がいるというテントに入りますが、中にいた人に怪訝そうに見つめられてしました。どうやら人違いだったようです。がっかりして崩れ落ちる二人を気の毒に思ったそのテントの家族はとりあえず二人に食事をさせてやることにしました。
 一家の主人で、スコーネ地方の服を着ていたラップ人セルカはテントの外でニルスからわけを聞くと、何か考え込んでいます。どうやら何か心当たりがある様子。そこにやってきたマッツから二人のお父さんハンスのことを詳しく聞いたセルカはどこかに出かけていきます。ニルスとキャロットはこっそりついて行くことにしました。
 とある湖のほとりでしょんぼりと釣りをしている男にセルカが話し掛けます。
「相談があるんだが。うちは娘一人きりで、男の子が一人いればと妻と話したもんだ。実は先ほど母親を失い、父親に捨てられた姉と弟が訪ねてきたんだ。そりゃとっても可愛い子供たちでねぇ。なぁに姉の方はほかの家でもらってくれるさ、兄弟がばらばらになっちまうが飢え死にするよりはましだろう。本当は父親に相談すればいいんだが、どうせもうこの世にはいないに決まっている。生きていれば娘と息子をほったらかしにしておくわけがないものなぁ。」
 そうセルカが話すうちに男の目に涙が溢れてきました。この男こそオーサとマッツの父ハンスでした。働く気力すら失っていたハンスは、セルカに頼んで食べ物と服を交換していたのです。
 ニルスはハンスの姿を確かめると大急ぎでオーサとマッツに知らせました。しかし二人はトナカイの橇でこの村を去ろうとしていました。もうお父さんのことを諦めてしまったのです。ハンスも走ってきますが、このままでは間に合いそうにありません。とっさにニルスはずっとついてきていたゴルゴに橇を止めさせました。こうして遂に父と子供たちは再開を果す事が出来たのです。
 喜び合う家族の姿に、自分の両親のことを思い出すニルスでした。

 原作ではキャラクター事典でも触れたようにオーサとマッツのお話はアニメと違い、かなり暗い内容です。
 マッツのお葬式の夜、オーサの前に小さな少年が現れ、お父さんの消息を知らせてくれます。この少年がニルスです。オーサは少年の言うことに従い、お父さんがいるという村を訪ねます。あとはアニメと概ね同じようなかたちでセルカがハンス(ヨン・アッサルソン)に話し、娘と父は再会を果します。
 さて、アニメ。
 二人のお父さんを探すとき、ニルスがまず先行偵察などしていますが、小さい分圧倒的に機動力が不足しているニルスがどうしてその役割を負うのでしょう?まぁ、小さくなっているニルスが普通の人間でもかなわないはずのキツネの足と競争していい勝負なのですから、今更指摘するほどの事でもありませんが。
 また、これも指摘するほどの事ではありませんが、あまりにもご都合主義的にお父さんのことを知っている人を見つけられるというのもなんとも(笑
 あとこれはアニメ本編には関係ありませんが、34話の終わりに流れた予告編のバックのアニメの最後のシーン、この話のなかには存在しません。見た方ならお分かりでしょうが、あまり品の良くないシーンですからカットされてしまったのかもしれませんね。
第36話「鳥たちの恋」 ゲストキャラ紹介

 ラプランドはいまや生き物にとって最高の季節を迎えようとしています。モルテンとダンフィン、グンナーとイングリットはそれぞれに巣づくりで大忙しです。
 その姿を眺めている2羽のオスがいます。グスタとラッセです。その気のなさそうな素振りをする2羽ですが、どうやらどちらも群れで結婚できる唯一のメス、スイリーが気になっているようです。
 そのときスイリーの悲鳴が響き渡ります。ほかの群のフレンチというガンが、嫌がるスイリーに強引に求婚していたのです。スイリーにいいところを見せるチャンスだと、まずはラッセが飛び掛りますがあっさりやられてしまいます。そこにグスタが乱入、暫く格闘した後フレンチを追い払ってしまいました。
 すっかり自信を無くしたラッセにニルスは同情。未だ駄目と決まったわけではないのだから、とメスのガンはどういったオスが好きなのか、ダンフィンやイングリットに聞いてみることにしました。
 2羽はそろって「優しいこと」が一番大事といいます。それを聞いたキャロットは「ラッセは群れの中で一番優しいオスだもの」と元気付けます。そんな話をしているとスイリーとグスタがやってきました。結婚がらみの話をしていると知ったグスタは大張り切り。スイリーの重大宣言があるなどと群のみんなを呼び集めてしまいました。
 スイリーは照れながらも「既に心に決めた殿方がいる」などと思わせぶりに話し始めます。そして「たくましくて強い・・・」などというものですから、ラッセは完全に失望。群を飛び出してしまいました。
 スイリーが選んだのは自分だと思い込んでいるグスタをほったらかしにして、スイリーもモルテンもみんなでラッセを追いかけます。やがて闇雲に飛んでいたラッセは岩山に激突。目を回しているラッセの傍らに降り立ったスイリーは自分が選んだのはラッセである事を告げます。
 卒倒するグスタをよそに、アッカ隊長はほっと胸をなでおろしました。

 この話は当然のことながらアニメオリジナルストーリーです。
 原作では到着時には既にカップリングが一通り終わっており、卵を抱いているツガイもいる様子です。
 さて、ニルスがなぜかラッセに恋愛指南をしているのに非常に違和感を感じるのですが(笑、それはさておきグスタはいい根性をしていますよね。あれだけのことをして、大恥かいて結局群に居続けているのですから。群をとても愛しているということなのでしょうが。
 それにしても、フレンチの登場はいかにも「お約束」ですね。見事なタイミングで現れ、完璧に役をこなして追い払われていきました(笑。現実世界でも、あれくらい「お約束」が綺麗に決まると楽なのですが。
 ところでご覧のように、結局スイリーを射止めたのはラッセだったのですが、この話よりも前の話の中でもスイリーとラッセがそこそこ仲の良さそうにしているシーンがいくつか見受けられます。これは伏線だったのでしょうか?

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