○ストーリーダイジェスト8(29〜32話)

サブタイトル名及びあらすじ

管理人Tabiの余計なコメント    

第29話「捕らわれのオオワシ」 ゲストキャラ紹介

 クレメンテの元を離れ、ストックホルムの街中をガンの群れを捜して歩き回るニルスとキャロット。見つけることはおろか、情報すらも手に入らず困っていましたが、動物園の動物達なら何か見ているかもしれないと聞いて、動物園に潜入しました。
 しかし動物園の動物達はどれも元気がありません。オリの中の生活に退屈してしまっているのです。困っているとワシのオリが目に入りました。ワシなら目が良いからガンの群れを見ているかもしれません。そう考えて話をしてみると、なんとこのワシ、ゴルゴはアッカ隊長に育てられたワシだと言うのです。
 ゴルゴもガンの群れは目撃していなかったのですが、ニルスはこのゴルゴを脱出させてアッカ隊長たちを追いかけることにしました。そしてかなりの苦労の結果、オリをあけることに成功しニルスとキャロットはゴルゴに乗って飛び立ったのです。

 モルテンの背中からゴルゴの背中へと、一つの区切りになるお話。原作でも勿論存在しているエピソードです。ただし、アニメではニルス達がクレメンテの元を離れた翌日に出会っていますが、原作ではニルスがストックホルムについてから相当の時間が経ってから出会っています。そもそもゴルゴが捕らえられたのが、早くともニルスがガンの群れから離れたあと以降なのですから、かなり時間の流れが違うわけです。しかし、その後の流れは大体同じ。ニルスはゴルゴを助け出し、ゴルゴとともにラプランドを目指します。
 ただ、原作のニルスは前の話のコメントでも書きましたがクレメンテと勝手に家を離れない旨の約束をしています。ニルスはそれを守ろうとするのですが、ゴルゴは半ば無理やりニルスを連れて行くのです。アッカと仲たがいしているので、仲を取り持って欲しいというのが目的なのだと、後にニルスに言っています。
 そして原作とアニメの最大の違いといえる点。アニメではアッカ隊長たちは必死でニルスを捜索し、情報屋のフランクからニルスのことを聞いて初めてラプランド目指して飛び立つのですが、原作では探しているようすがありません。・・・冷たい?(笑
 さて、アニメの方。
 スカンクに遭遇して一発引っ掛けられていますが、動物園のスカンクは臭腺を取り除いてありますからあのような事故は本当は起こりません。
 次にアッカ隊長。たとえワシでも命を粗末に出来ないとのことですが・・・魚達の命はどうなのでしょう?この矛盾は考えさせられるところです。
 それとこれはツッコミではありませんが、グッズ紹介に載せた「NHK完全放映版ニルスのふしぎな旅」に、ニルスはクレメンテの元にいたときに人間に見世物にされるつらさを味わっているので、動物達の気持ちがよく分かるという旨の記述があります。これは是非アニメでも表現して欲しかったですね。
第30話「焼きたてのパンの味」 ゲストキャラ紹介

 長くオリに閉じ込められていた所為でまだあまり飛ぶのが上手ではないゴルゴですが、少しは慣れてきた様子。しかしとても臆病なのにはこまりもの。ニルスとキャロットが食べ物を探すので村に下りてくれるよう頼んでも、なかなかいうことを聞いてくれません。
 どうにか村の近くの森の中に降ろしてもらい、村に向かいますがそこで以前鎖につないできたはずのレックスに遭遇。追いかけっこが始まります。
 どうにかレックスを撒いたニルスたちは、農家の食料小屋に忍び込むことに成功。あまりに多くの食べ物があるので目移りしていると、そこにまたレックスが現れ大騒ぎ。キャロットは既に満腹していましたが、ニルスは何も食べられないまま食料小屋から逃げ出しました。
 そのあと羊飼いの弁当を失敬しようともしますが、これまたレックスのせいで失敗。結局ニルスは空腹のままゴルゴの背中に乗ることになりました。しかしもはや限界。そのときパンを焼く匂いがしてきました。見ると優しそうなおばさんがパンを焼いて、屋外で冷ましています。ニルスはゴルゴに懇願して、近くに下ろしてもらいました。
 おばさんに話し掛けてみると、思っていた通り優しい人の様子。ニルスを妖精だと思ったようですが、パンを貰ってもいいといってくれます。ところがそのとき3度レックスが登場。またも食糧確保を邪魔されてしまいました。
 ゴルゴの背中に戻って飛び立つと、さっきのおばさんがパンを持ってこちらに手を振っています。情けない声まで出すニルスの頼みにゴルゴは勇気を出し、おばさんの手からパンを掴み取りました。
 人間に戻れたら、あのおばさんにもう一度会いたい。感謝の気持ちで一杯になるニルスでした。

 原作でも農婦からパンを貰うお話しがあります。しかし原作ではレックス(ずる)は既に物語から退場しており、当然のことながらそれに関わるお話は出てきません。
 さて。アニメの方。
 食べ物に困るお話はこれまでもありましたが、ここまでギリギリになっていたのは初めてですね。「お腹が空いて声もでないよ」って声出てんじゃん!とか言う突っ込みは置いておいて、原作では丸2日何も食べていなかったことになっています。ある本によると人間は水さえあれば1週間くらいは、充分に生きていけるそうですが、そうは言ってもあくまでそれはじっとして体力消耗を控えた場合でのこと。あれだけ消耗が激しいのに2日間も食べていなければ、空腹は相当なものだったでしょう。もっとも「ハムとチーズのサンドにいちごジャムをつける」という彼の味覚は理解できませんが(笑
 またこのシーンでニルスは料理というものにそれなりの知識がある様子。意外な趣味があったのですね。なにを食べるかニルスが迷っているときに、レックスも後ろでどのニワトリにかぶりつくか迷っているというのは、スタッフの心憎い演出でしょう。
 最後に、「人間に戻れたら、あのおばさんにもう一度会ってみたいな」というセリフ。これは原作のニルスとほぼ同じ考えであったことを記しておきます。
第31話「森の妖怪」 ゲストキャラ紹介

 森の中で出会ったウサギの話から、アッカ隊長たちが既にラプランドへ向けて出発していることを確認したニルスたちは、北への旅を急ぎます。
 とある村の上空に差し掛かったとき、ニルスはなにやら楽しそうな行列を見つけました。さらになんだか聞き覚えのあるバイオリンの曲が・・・それはストックホルムであったクレメンテの弾くバイオリンの曲でした。クレメンテが一人になったのを見計らってニルスは話し掛けます。クレメンテの話によると、これから山の上で村人達が集まって年に一度の骨休みとして、みんなでお茶を飲みながらお話し会をするのだというのです。ニルスはなんだか面白そうなので、いっしょに連れて行ってもらうことにしました。
 村人が集まり、やがてお話し会が始まりました。最初はベルカレドという青年のお話しです。
 ベルカレドはちょっと怖いお話しを始めました。
 昔の大晦日の夜の事、近くの村の病人を見舞った牧師が馬に乗って村の森に差し掛かったとき、急に馬がいうことを聞かなくなってしまいました。仕方なく馬のあるくままに進んでいくと、どんどん山奥に入り、ついに頂上近くまでやってきてしまいました。そこで牧師は恐ろしいものを見ました。大きな木に宿った妖怪が森の獣たちを従え、その前に集まった家畜たちの中から獣たちの餌食になるものを松明で示して選んでいたのです。
 やがて牧師の馬も呼ばれました。そして妖怪の松明が近づけられたとき、とっさに聖書を突きつけました。すると妖怪の松明の火は妖怪が宿っていた木に燃え移り、妖怪は滅びてしまったのです。
 ベルカレドはお話しを終えると、そのときの聖書だといって半分焼け焦げた聖書をみんなに見せました。
 次はクレメンテのお話しです。クレメンテはニルスのことを話し始めました。それは決して真実のままではなく、ニルスを金貨10枚で買ったとか、ご馳走を出してあげたとか、自分のことをいろいろ美化してありましたが、ニルスの身の上だけは、ニルスから聞いたありのままを話してしまいました。クレメンテのポケットの中で、ちょっとムッとしながら聞いているニルス。やがてクレメンテのお話しは終わりました。
 村人達はベルカレドのお話しのほうが面白かったし、聖書という証拠もあるとベルカレドに賞品のショールをプレゼントしようとしました。そのときゴルゴがニルスを迎えにやってきます。ニルスはクレメンテの肩に上がって笛をひと吹き。近づいてきたゴルゴに乗り移ると、「今度僕の話をするときには、もっと褒めて話してよ」といって、村人みんなに見送られて飛び去っていきました。
 ニルスの姿を認めた村人達は「クレメンテの話は本当だった」と知り、クレメンテに賞品を贈ることにしました。クレメンテは嬉しいのは勿論ですがニルスにちょっと悪かったかな?と思うのでした。
 一方のニルスは人間の話が分からないキャロットに、クレメンテは自分達をどう話していたのかと聞きます。ニルスは「とっても褒めてたよ」と答えたのでした。

 原作でもこのお話し会のエピソードが存在します。勿論多少の違いがあり、例えばもともと「お話し会」というものがあったわけではなかったり、賞品がネクタイだったりと違いはありますが大きな差はありません。ベルナレド(原作ではベルナード)のお話しも、いくらか違いがありますがあまり変わってはいません。大きく違うのはクレメンテのお話しに関わる部分です。
 原作ではニルスがクレメンテと会ったのは偶然ではありません。スカンセンでのクレメンテとの約束を破ったことをニルスが気にしているので、ゴルゴがクレメンテを探してくれたのです。物陰からクレメンテにも誰にも悟られる事なくお話しを聞いていたニルスは、クレメンテがニルスを自由にしてやるつもりだったのに、その合図を出すのを人に頼んでしまったので、その後ニルスがどうなったか分からないと言っているのを聞くと、お返しに松ボックリを投げつけたのでした。
 これは原作とアニメでクレメンテとニルスの関係が違っているので、当然の違いなのですが、どちらもニルスがクレメンテにムッとするのが同じなのは面白いところです。
 さて、アニメ。
 ニルスを迎えにくる為とはいえ、人間の集団のど真ん中に下りてくるゴルゴ。前の話であれほど人間を怖がっていましたし、この後の話でも人間を怖がる話があります。ちょっと妙なポイントです。
 このようなツッコミよりも注目したいのは、ニルスがキャロットにクレメンテの話のことを聞かれたときの答え。本当はクレメンテのことを美化しすぎ、ニルスのことはそのまんまだったお話だったのに、「俺達のこと、とっても褒めてたよ。」
 実に爽やかです。Tabiよりも人間が出来ているかも(笑
第32話「危ないニルス 山火事だ」 ゲストキャラ紹介

 どうせラプランドに行けば会えるのだから、と安心してしまったゴルゴ。大食らいの彼は食べたいだけ食べると、ニルスたちを置いて散歩(飛?)に行ってしまいました。
 あとに残されムッとするニルス。そんなニルスと別れてキャロットは森の中に食べ物を探しに行きました。
 さてキャロットは森の中でピーターと言うヤマネの子供と知り合いました。すっかり仲良しになったキャロットとピーターですが、キャロットはいつまでも一緒に遊んでいるわけにはありません。キャロットは「今度はニルスと一緒にきます」と言い残して、ヤマネ一家の家をあとします。
 暫く歩いて行くと煙が立ち昇っているのが見えました。どうやら山火事が起きているようです。ニルスがいるあたりが危ないと知ったキャロットは大急ぎでニルスを探しに行きました。
 木の上でのんびり昼寝をしているニルスを見つけたキャロットはニルスを叩き起こします。目が覚めたニルスがあたりをうかがうと、かなり近くまで火が迫ってきている様子。慌てて逃げ出しますが、良い避難路が分かりません。そこにレックスが登場。やけどをしたらしいレックスが川に飛び込むのを見たニルスは川を下っていくことを考えつきました。
 その場にいたほかの動物達とともに避難しようとしたとき、ピーターの両親があらわれました。どうやらピーターとはぐれてしまった様子です。悲しみに暮れるピーターの母親の姿を見たニルスは、キャロットや動物達に川を真っ直ぐ下っていくよう言うと自分の身の危険を顧みず、燃え盛る森に飛び込んでいきました。
 火の海の中、ニルスは木の根元で震えていたピーターをどうにか見つけると、抱きかかえて火の粉を撒き散らして倒れる木の間を逃げ惑います。しかしもはや逃げ場はなく、まだ火が移っていない木を見つけるとその木に登り始めました。
 そのころ森を抜けたキャロットはやっとゴルゴに会う事が出来ました。キャロットはゴルゴに乗って、直ちにニルスとピーターの救出に向かいます。そしてさすがはワシの目。程なく木のてっぺんにいるニルス達を見つけたゴルゴは接近を試みますが、火事による気流の乱れで思うように行きません。
 風に逆らって飛ぶことはできないというゴルゴにキャロットは森を低空飛行で抜け、下からニルス達のところに接近するという方法を提案しますが、火の中を抜けていくことになるためゴルゴは躊躇します。しかしキャロットの「アッカ隊長になんて言うつもりだ」という言葉に勇気を奮い起こし、燃える森の中に突入。遂にニルスとピーターを助け出す事が出来ました。

 原作について触れる前にどうしても入れておきたいツッコミ。
 ヤマネの夫妻、自分達の子供なんだからあなた達も手伝いなさい!全くニルスはキャロットの「ニルス!ピーターが」というセリフによく「ピーターって誰?」と返さなかったものです(笑
 さて、原作でもニルスが山火事に遭遇するエピソードがあります。ただしキャロットが原作には存在しないのですから、当然の如くヤマネの親子など出てきませんし、またゴルゴも原作とアニメでは性格が全く違いますからアニメでの救出劇のようなシーンはありません。単にニルスが山火事に遭遇し危険な目に遭い、落ち着いたところでゴルゴが戻ってきて連れて行くだけです。
 アニメではこの話では親子の愛情や勇気を主なテーマにしていますが、原作では山火事の恐ろしさとそれに立ち向かう人間の姿を中心にしており、こうした基本的な部分の違いが現れていると言えます。
 で、ふたたびアニメ。キャロットが木の上に登って山火事を眺めているシーン。フクロウに気安く話し掛けていますが、本来天敵では?実は原作でも、天敵の動物がそばにいるのに山火事が気になって気が付かないという似たようなシーンがあります。
 それとこの話の見所はなんと言ってもゴルゴが火の中に突っ込んでいくところですね。何かの本に書いてありましたが、製作スタッフにとっても自信作だったそうです。
 あとこれは話の内容と直接関係ありませんが、30話31話と出てこなかったアッカ隊長たちの姿を久しぶりに見ることができます。グスタとラッセの2羽には相変わらず笑わせられます(笑

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