拡大する土壌環境ビジネス
−土壌汚染対策法が施行−

建設業界先行、ガス業界も参入 −潜在需要は13兆円ガスエネルギー新聞2003/2/26)

 15日の土壌汚染対策法の全面施行を受け、土壌環境ビジネスが活発化している。「土壌環境ビジネスの市場規模は現時点で500億円程度。同法の潜在的対象となる土地は約50万カ所で、それに必要な調査・浄化作業等による潜在市場は13兆円に上る」(環境省の外郭団体、土壌環境センター)との見込みからだ。新ビジネスチャンスの開拓を目指し、多くの業界が新市場で動き出した。(高濱 玲子)

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 都市ガス業界で特に土壌環境事業に注力しているのは、東京ガス・エンジニアリング(TGE)と大阪ガスエンジニアリング(OGE)だ。両社ともに親会社の社有地で実施してきた土壌調査・浄化作業等で計画・実務を担当し、技術とノウハウを蓄積してきた。石炭を原料に都市ガス製造していた旧工場跡地では総水銀などが検出されるケースが多かったため、両社の得の意分野は重金属調査・浄化作業。よって、全国の都市ガス事業者らがメーンターゲットとなる。
 TGEは昨年から土壌環境事業の全国展開を開始。行政報告等に関するアドバイスといったソフト面から実際の調査・浄化処理等のハード面まで対応している。今後は土壌事業関連の顧客情報の入手に加え、浄化技術のベストミックスや浄化後の土地資産運用といった提供サービスの充実に向けて、建設・不動産会社など他業種との事業提携も必要だとしている。
 OGEは昨年、環境工学コンサルタント・日本基礎技術と共同で土壌・水環境対策事業コンサルタント会社「アースクリエイト」を設立した。浄化後の土地活用を念頭に置いた浄化計画を提示するほか、金融機関・法律事務所と提携し、近隣住民対応策も提案する。
 最も早い段階から土壌環境ビジネスに力を入れてきたのは、建設・不動産業界だ。土壌汚染状態によって「不動産鑑定で資産価値が下がる」との懸念から、90年代前半に着手、ノウハウを積んできた。例えば清水建設は既に調査業務700件強、処理業務350件程度の実績があるという。
 現在の土壌環境事業の在り方として主流となった「コンサルティングから浄化作業、修復後の監視までのトータルサービス」に取り組み始めたのも同業界だ。今では浄化後の土地売買等まで面倒をみるサービスや独自の工法技術提供等にも取り組んでいる。
 竹中工務店は13日、「汚染土地の対策・活用提案プログラム」を開発したと発表。汚染状況に応じた浄化方法の選定、対策費用・期間の算定、事業収支を予測し、浄化後の最適な土地活用を提案する。大林組は同社だけが日本で所有権を持つ工法を活用、地中に高圧空気を送り込み微生物を活性化させて自然浄化している。
 一方、新規参入者は総合的顧客をサポートするため、同・他業種と手を組みサービスの多様性・専門性の充実化を図っている。
 その一例が、土壌環境新会社のランドソリューションだ。同社は昨年、不動産関連会社・証券会社・銀行・損害保険会社などにより共同設立された。有機塩素化合物の浄化を得意とする栗田工業、重金属の分別・浄化技術を有する同和鉱業、土地売買後に土壌汚染が検出された場合の補償保険を販売する損保ジャパンなどが協力しており、顧客からは「各専門スタッフによるサポートが好評だ」という。
 経済状況が厳しい中、工場跡地等を含む遊休不動産を保有する企業の多くは、将来的に再開発・売却しようと考えている。しかし、土壌汚染対策法の施行による調査・浄化、さらに不動産評価基準の改定・施行で不動産鑑定時の土壌汚染調査も義務付けられ、土地売買や再開発への影響を懸念して足踏みしている。
 土壌汚染地の評価は金融機関による不動産担保評価、公共用地取得・処分、減損会計、固定資産税評価等にも関連し、これらに目をつけたビジネスが拡大しつつある。13兆円市場で勝者になるには、土壌から土地へ視点を移したビジネス展開が必要だ。今後は他企業と協力関係を結び、コンサルタントから調査・浄化作業、浄化後の土地活用まで総合的に対応するスタイルが主流になるだろう。


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