土壌汚染区域、評価 0 円 (朝日新聞2003/2/16朝刊)
担保の土地 滋賀銀方針
浄化完了まで
土壌汚染対策法が15日から施行されたのに伴い。滋賀銀行(本店・大津市)は、法的に土壌汚染区域と指定された既存担保の土地評価額を、浄化が完了するまで「0円」に下げることを決めた。取引先の企業などに土壌浄化を促す狙い。評価額が汚染発覚で下がるのを未然に防ぐため、有害物質を取り扱う工場などの土地を新規担保としない方針も決めた。
全国銀行協会は、こうした措置を調べてはいないが「聞いたことがない」としている。
国内では、不況による経営合理化や製造拠点の海外移転などで工場を閉鎖して土地を売却する企業が多く、マンションなどに転用された跡地から土壌汚染が見つかる例が増加。これを受け、同法は昨年5月に成立した。
同法では、見つかった場合、都道府県知事が管理台帳に「指定区域」として記載、公示する。併せて覆土や拡散防止など人への健康被害をくい止める処理を土地の所有者らに求めている。しかし、土壌の完全浄化まで義務付けておらず、汚染土壌が残っている限り「指定区域」として記載される。
滋賀銀は、融資先には土壌浄化への取り組みを促し、応じない場合は貸付利率の引き上げや新規担保の提供などを求めていく。さらに水質汚濁防止法で定められた有害物質を取り扱う工場などの土地を一覧表にし、各店舗に通知する。表に記載のある土地は原則、新規担保として取得しない。
同行審査部企画グループ課は「琵琶湖を抱える地銀として、顧客に環境問題を啓発するのは社会的使命。これからは、企業も環境への配慮なくして生き残ることが難しい時代だ」と話している。