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背景と重なって文字が見づらいという人は、ドラッグして反転させると見やすいはず
'01
ライブ初めをスピッツで。ん〜、スピッツ一色の人生を歩んでいる私にとっての21世紀の幕開けとしてはこの上ないお膳立て!噂では出る・出ないと色々物議をかもしだしていたようだけど、果たして実態は?
先頃東京を襲った白い魔物の残骸がまだ溶けきらない寒空の下を小走りにリキッドルームまで。正月休みでなまけた体に恐ろしく長い階段。ウキウキと緊張とただの運動不足による動機が入り混じった脈拍で、自分の番号が呼ばれるまで我慢、我慢。発売当日に勇んで電話攻撃、ほどなくGETしたチケットでも、番号はそんなに良くなかった為に、もう前の方はすっかり埋まってしまっていて、後ろのカウンタ付近のよく見える位置を獲得。本当はスピッツ見るなら狂ったようにはしゃぎたいんだけど、まぁ、それがメインのイベントでもないし、おとなしくダーリンの顔でも拝みましょう。
今日のイベントはSCUDERIAの石田さんが新しく立ち上げたレーベルの立ち上げ記念イベントで、所縁のあるバンドの集まったもの。スピッツはどこに出るのか?と今か今かと待ちつづけるうち、そんなセッティングも見受けられないままSCUDERIAの登場。あれれ、出ないのかな。もしかしてSCUDERIAのライブ中に呼んで出てくるのかな、と思いながらSCUDERIAの演奏に酔う。かっこいいなぁ、と思っているうちにそのライブも終了。アンコールが聞こえ始めた頃、ようやくステージに変化が。
長時間の直立不動に疲れを見せて座りこんでいる友達に、「キーボードが片付けられました」「マイクスタンドが立ち始めました」「でもギターは石田さんのをチューニング中」などといちいち実況中継。コーラス用のマイクスタンドが立った時点でかなり期待は高まって、それ以上は私も座りこんで残る確率に賭けてみる。
アンコールの手拍子がにわかにまとまり始めた頃、静まったステージに黒いティーシャツに着替えた男・小吉が再登場。
石田さん「メジャーを離れてやって行こうと決めるまでには相当な勇気と自信がなければだめだと思うんですけど、そうでもしないとやっていけない業界だなと思ったんですよ。で、今回我々のやってきた音楽は間違っていなかったんだと証明してくれた人たちがいて、今日偶然楽屋に遊びに来てくれてたんでせっかくだからちょっと演奏してもらおうかということになりました。スピッツのみなさんです」
の紹介と共に沸き立つ会場。多分今日はそんなにたくさんのスピッツファンは押し寄せてはいないと思うんだけど・・・?とすると、ファン以外のオーディエンスにもこんなに歓迎されている姿を見るのは、素直に嬉しいと熱狂的ファンとしては思う。
石田さんの背丈に目が慣れてしまった分、久々に見るメンバーは小柄で繊細なまるで少年のような感じ。そんな印象が手に取るように分かるのか、メンバーもしきりと
テッちゃん「石田さんがでかいんだよ。俺たち普通だよ」
言いつづける。機材のトラブルによく遭うバンドだけど、この日もやたらとローディーさんがステージ上で何やら蠢いていた。マイクの調子がきっと悪かったんだと思う。さすがに場つなぎにもタイムリミットが来たようで、マサムネさんが
「手で持って歌うからいいよ」とこぼしたのを遠巻きながら聞き取った。・・・まではいいんだけど、いったい誰のマイクがそうなって、誰が手で持って歌うというのだ?(まさかマサムネさんじゃあるまい?目の前のボーカルマイクスタンドは元気そうだし、マイク自体もそういったマサムネさんがこぼしたセリフをかすかながら拾っていたしね)
スピッツを迎えるオーディエンスの歓迎の声も冷め遣らぬまま、
マサムネ「じゃあちょっとおまけって感じで(^_^;) やらせていただきます」
と、どんなに熱いラブコールで迎えられようと、マサムネさんの姿勢はまったく崩れることがない(笑)
ワー、という歓声の中
♪春夏ロケット
スピッツの音がこれほど伸びやかでこれほど攻撃的で重厚で、楽しげだったことはないかもしれない、というくらいに、バリバリのギターサウンド。石田さんのコーラスは荒くて(てゆうのは下手って意味じゃなく)、そしてギターの音が激しくて(だからと言って絶対に雰囲気を壊さない)、多分普通の人が”スピッツ”と聞いて思い浮かべる姿はそこには全然ないような。まるで別バンド。ライブに行きまくっている敬虔なファンのみなさんには、ただただ単純に、気持ちいい演奏をしているいつもの彼ら、という印象だろうけど、この音の厚みはただごとではないよ。テッちゃんの笑顔も自然というか、なんていうのか、ちっとも商業的なにおいがしない。好きな人と好きな音楽をたまたまやってます、っていうノリがあって、それがまたオーディエンスにも伝わって、のっけのBUNGEE JUMPからメインのSCUDERIAまで盛り上がりっぱなしだった前の方の人のみならず、割と後ろの方の人までもが突然渡されたプレゼントに意気揚揚と応えていた。さらにそれがまたメンバーに跳ね返って、気持ちいいトランス状態の循環が起こっているような。本当に、ただ愉しい、みんな笑顔〜、ていう幸せの象徴みたいな空間が生まれてた。
えへへへへ、て嬉しそうな、どことなくしまりのない感じの笑い顔で、マサムネさんが後ろを振り返り石田さんと何かを話したな、と思ったら、そのまま力のない感じで
マサムネ「えっと、じゃああの、もう、1曲・・・だけ(えへへへ)」会場:わーーー!
誰かが鳴らしたギターの音から私が推測した通りの
♪放浪カモメはどこまでも
そして私はこの日初めて、待ち焦がれていた瞬間をこの目で見た!湧き上がった前の方の人が、ダイブをしている!慣れた感じできれいにくるくる転がっていくダイバーたち。あそこにいたらどんなに楽しかっただろう、とちょっと悔しい気持ちをも噛み締めつつ、なんだかどうしていいか分からない嬉しさをなぜだかちょっと意地になりながら抑えて見ている自分。シークレットじゃなきゃ、あり得なかった光景が、その大興奮と一緒にちょっとした寂しさを連れてきた。残念ながらスピッツファンの人だけだったら、ダイバーに遭遇するという素敵な出来事にはありつけなかったと思うから。
本当に目の前できれいにくるくる回るダイバーの姿を見て、メンバーはどんな気持ちだろう。私はこんなに興奮しているけど、メンバーは? そりゃあステージを威嚇するかのように空を蹴りつつ移動しているタムタムも、本当に嬉しそうにめっちゃ笑顔全開で石田さんとのコラボレーションを楽しむかのようなテッちゃんのギタープレイも、いつもより見やすい位置で髪をふり乱して叩いている崎ちゃんも、みんな楽しそうだし興奮しているように見えるけど、実際はどれくらいの印象なんだろう。あー、聞いてみたい。
石田さんがいつまでも激しく暴れまくるタムタムに寄ってきて、向かい合いながらギターをかき鳴らす。負けないぞ、とばかりにタムタムもそれに合わせてベースを唸らせる。石田さんだって、本当に楽しそう。さっきのSCUDERIAの演奏の時だって、かっこ良かったけどここまでキレたプレイはしてなかったから。こんな、信頼しあっている音楽家同士のコラボレートって、セッションって、見ている側も鳥肌たつね。
曲が終わると、
マサムネ「どうもありがとう!」と言って去っていく。
石田さん「夢がかないました」
と素敵な一言を残してライブ終了。
興奮の冷めぬまま取り残された会場の人々の中には、今のこのお祭り騒ぎを一瞬夢か幻でも見た後のような方針した面持ちで反芻している人も少なくなかった。
あっという間。でも、こんなライブを見せられたら、やっぱりこの愛は不滅ね、なんて思わざるを得ない。最近ではよくイベントに参加するスピッツだけど、大体いつも夏のイベントだってこういったちょっとしたシークレットゲストみたいな感じの参加だって、いつものワンマンライブと内容がそんなに違わなかったりするのが常だったけど、たまにはサポートのキーボード抜きでもう1本ギタリストを加えたフォーメーションで演奏するのも面白いんじゃないかしら、と思った。色んなことやって欲しいな。音楽好きな人たちには。見る側としても、いつも新しい発見ができて、その方が楽しい。そしたらどこまででも行けそうな気がしない?
じわじわと、ゆったり迸る興奮の波を抱きつつ、この幸せで5月までスピッツに合えない自分を慰めながらレポを書いている私。なんだかライブを見ている時より、こうして思い返している今の方が興奮しているような・・・。もっと素直にはしゃいでも良かったなとちょっとした反省も含めながら。でも大丈夫、まだスピッツは続くから。また会えるもんね。