2025年12月27日

  教職員の97%が定時に帰れず、74%が1時間を超える残業を行う

  「主任(主務)教諭」を設置している東京都が、他県より残業が多い

全教による時間外労働アンケートで深刻な実態が判明

時間外労働解消、主務教諭設置反対の運動構築を


 教職員の74%が1時間を超える残業を行い、教員の4人に3人が土日も仕事をしているという、深刻な実態が時間外労働アンケートで明らかになりました。

 調査は、全日本教職員組合(全教)が4〜7月に実施(9月8日発表)。残業の有無や時間、持ち帰り仕事の有無などが問われ、40都道府県の小中高校、特別支援学校などの教員ら1200人(教諭82%、主幹教諭等7%、事務職1%など)から回答がありました。

勤務時間開始前  94%が朝の時間外労働をしている

 勤務時間開始前に仕事をしている人は全体の94%で、そのうち55%が31分以上前に出勤、61分以上前に出勤している人が16%です。

 その仕事の内容で、最も多いのは「当日の授業や単元の準備」(76%)。「教室整備」(52%)、「校務分掌関係」(48%)と続いています。

 持ち帰り残業については71%の教員がしており、費やす時間は1時間以内が40%、1時間超が31%です。内容は「翌日の授業や単元の準備」が59%で最も多く、「校務分掌関係」が24%、「生徒の提出物やテストの添削・確認」が21%となっています。

定時退勤できない教職員は97%
終業時刻後30分以内で退勤できるのは11%
2時間を超える残業は34%、3人に1人

 教職員全体の97%が定時退勤できていません。定時退勤と終業時刻後30分以内で退勤できる人を合わせても11%にすぎません。定時退勤とあわせ、1時間以内で帰ることができる人は26%で3割に満たず、7割以上の人が1時間超の残業を行っています。

 さらに詳しくみると、91〜120分の残業を行っている人が最も多く、23%で、2時間を超えて残っている人の合計は34%であり、3人に1人は2時間を超えて働いており、3時間を超えている人も1割存在しています。

高校だけを取り出しても、95%が定時退勤できず
  約7割が1時間を超える残業を行う  1時間半を超える残業は36%、4割に迫る
  土日も仕事をしている人は、約75%

 高校については、全体の50%が勤務開始31分以上前に出勤していいます。

 また、勤務時間終了後については、全体の95%が定時退勤できず、定時退勤と30分以内の退勤を合計しても15%にしかなりません。勤務終了1時間以内で帰ることができる人は31%で、7割ほどの人が1時間を超える残業を行っています。

 1時間半から2時間までの残業が20%で最も多く、2時間超の残業を合計すると36%で4割に迫ります。

 土日も仕事をしている人は約75%で、かけている時間で最も多いのは「241分以上」が17%です。121分以上を合計すると42%と4割を超えています。

「主任(主務)教諭」を設置している東京都は、業務の効率化がすすんでいるのか

 今年6月に改定された「給特法」は、主務教諭を創設し、設置することができるとされました。審議の中では、導入の目的として「業務の効率化」が挙げられています。

 「給特法」改定法案の要綱では、主務教諭の職務について「児童の教育等をつかさどり、及び命を受けて学校の教育活動に関し、教諭その他の職員間における総合的な調整を行うこととする・・・・・」と記されています。

 6月5日の参議院文教科学委員会においても、文科大臣は主務教諭について「主務教諭の配置により、学校全体の業務をより効率的に行うことが可能となる」と述べています。

 大臣の発言の通りであれば、主務教諭と同様の職を主任教諭として、2009年度から配置している東京都は、業務の効率化がすすみ、勤務時間が短くなっているはずです。

東京都の時間外労働は、他の道府県より深刻

小学校では、勤務時間終了後121分以上残業している人は、東京都は4割で、他の道府県より約7%高く持ち帰り仕事も、東京都の教諭が他の道府県の教諭より約1割高くなっています。

 中学校では、東京都には定時退勤の人がいませんでした。211分以上の残業で比較すると、東京都の方が他の道府県より5%高く、120分以内に退勤できる人の割合は東京都が最も低く、校内に長時間残って働いています。

 持ち帰り仕事をしている人の割合も、東京都の方が1割以上高く、61分以上で6%高く、長時間労働になっています。

 以上のアンケート結果から、主務教諭と同様の職である主任教諭を設置している東京都の方が、時間外労働が深刻化しているといえます。

時間外労働を解消するために、残業代支給を導入すべき

 改定された「給特法」付則では、2029年度までに教員の1ヶ月の「時間外在校等時間」を平均30時間程度に縮減することが目標として掲げられています。

 その目標を達成するために打ち出されているのは、教育委員会に対して「業務量の管理・健康確保措置実施計画の策定と公表の義務付け」だけです。教育委員会への義務付けは、校長に対する義務付けとなり、残業時間を減らすために、「学校に残るな。早く帰宅せよ」というハラスメントや持ち帰り仕事が増加するのではないかと懸念されます。

 今回の「給特法」改定では、教職調整額を1年ごとに1%ずつ引き上げ、2031年度に10%にするということで、残業代支給が認められませんでした。

 しかし、教員の時間外労働を解消するためには、労基法やILO条約で長時間労働を抑制する制度とされている残業代支給が何としても必要です。

教員の序列化・分断につながる主務教諭設置に反対し、
正規教員増を求める運動の構築を

 給特法」改定による主務教諭が導入されると、賃金の階層構造、教員の差別・序列化がすすみ、教職員の集団的な協力・共同の関係が崩れ、業務の効率化にマイナスとなります。主任(主務)教諭をすでに設置している東京都が、他の道府県より時間外労働が多いことが、それを示しています。

 今回のアンケート調査の自由記述欄において、「現場の声をきいてほしい」、「教員を増やしてほしい」、「少人数学級にしてほしい」、「教育予算を増やしてほしい」などの声が多く挙げられています。

 長時間労働を解消するためには、主務教諭を設置するのではなく、教員の基礎定数増によって、正規教員を大幅に増やすことが必要です。国が責任をもって教育予算を増やし、教育条件整備を行い、少人数学級化を進め、1人あたりの業務量を削減すべきです。

調査から見えてきた平均的な教師像

この調査の各項目で、最も多い回答を抜き出した校種別の平均的な教師像は、次のようになります。

 校種 勤務時刻開始前  勤務時刻終了後  持ち帰り仕事  土日勤務   1ヶ月あたりの時間外労働
 小学校 31〜60分前  91〜120分  31〜60分  0分   88時間
 中学校 1〜30分前   91〜120分  0分  241分以上  71(+α)時間
 高等学校  1〜30分前   91〜120分   0分  241分以上 71(+α)時間 
 特別支援学校  1〜30分前   31〜60分  0分  0分  33時間

全教 <記者発表資料> 「『時間外労働に関するアンケート』結果について」より

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