2023年10月28日
不要・不急な業務の削減、正規教員の大幅増
教職調整額を維持したうえで、残業手当を支給せよ!
8月末、中教審特別部会は長時間労働是正の緊急提言をまとめ、国基準を上回る授業時数の改善、行事の精選、サポートスタッフの拡充などを提起しました。
しかし、教員の授業コマ数の削減や正規教員の大幅増などについては触れず、「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の見直しについては、政府の骨太方針を踏まえ「議論を深めていく」と述べるにとどまりました。
対校長・対県交渉で、業務の削減と正規教員増を
文科省が4月に発表した2022年度の教員勤務実態調査における持ち帰り残業を含む勤務時間は、下記の表のように長時間となっています。
持ち帰り残業を含む勤務時間
平日 土・日曜日 週当たりの勤務時間 高校教諭 10時間36分 3時間00分 50時間00分 こうした長時間労働を解消していくためには、まず学校現場で教員の仕事を精選し、不要・不急な業務を洗い出し、組合(分会)で校長交渉を行い、そうした業務を削減していくことです。
それとともに、学校現場だけでは解決できない、アンケート調査など県依頼の仕事については対県交渉を行い、減らしていくことが必要です。さらに、対県交渉では県独自の教員加配を要求して、正規教員を増員することが重要です。
国に対しては、正規教員の定員を定める義務標準法などの「定数法」の改善を求めていかなければなりません。
また、労働基準法やILO(国際労働機関)条約で、残業手当支給が長時間労働を抑制する制度とされていることを踏まえ、残業手当を公立学校の教員にも支給させることが必要です。
教職調整額を維持したうえで、残業手当の支給は可能
9月中旬、経済協力開発機構(OECD)は、日本の教員給与が加盟国の平均を下回り、比較できる36カ国・地域の中では、オーストラリアや韓国より少なく、23番目という低さであることを示し、待遇面への戦略的投資によって教職の魅力を高めるべきだと指摘しました。
教員給与については、一般公務員給与に比べて高い時期がありました。1974年に、公立学校教員の一般公務員に対する給与優遇を定めた教員人材確保法が成立し、教員給与の25%増という大幅増額が行われました。しかし、その後の行革などによって現在、給与優遇はほぼゼロに近い水準になっています。
1971年、「給特法」案が国会に提出された際、社会党、日本共産党、公明党が「労働時間が無定量になる」として、「教職調整額(給料月額の4%)を維持したうえで、残業代を支給する」とする修正案を提出しました。しかし、この修正案は否決され、政府案通りに「給特法」が成立しました。
この時の野党修正案に見られるように、教職調整額の支給が残業手当を支給しない根拠にはなりません。教職調整額を維持したうえで残業手当の支給は可能です。
教員給与を増額するとともに、残業手当を支給することは、学校現場の要求であり、今の教員志望者減少に歯止めをかけることにつながります。
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