2025年1月23日
専任教員の大幅増を最優先すべき、
それなしの残業手当支給や教職調整額引き上げは、
問題解決にならない
11月、財務省の諮問機関である財政制度等審議会は、公立学校教員の給与の改革案を示しました。残業代の代わりに一律支給されている教職調整額について、「働き方改革」が進むごとに支給額を増やす仕組みを導入し、5年程度かけて現在の4%から10%へ段階的に引き上げるとされています。
一方、文科省は早くて2026年度から13%に引き上げるよう求めています。
財務省案、専任教員増なしの業務縮減を
財務省は調整額を引き上げる条件として、授業以外の業務を削減して時間外勤務時間を減らすことなどの「働き方改革」の進展を提示し、その上で時間外勤務の全国平均が国の目標値を下回れば、翌年度の調整額を段階的に上げるというもので、進展がなければ引き上げを見送るとしています。
調整額引き上げの条件とする
「働き方改革」が順調に進めば調整額は2030年度に10%に達し、時間外勤務も月20時間まで減る想定となっており、10%に達した後は「教職調整額の制度」を廃止し、残業代の支払いに移行することも検討するとされています。
また財務省は、文科省が課題とする教員不足については、教員の増員ではなく、業務の縮減を優先すべきとしました。
しかし、正規教員の増員なしに授業以外の仕事である不登校やいじめに対する指導、部活動や保護者対応の業務などを縮減することが難しいことは、この間の「働き方改革」で明らかになっています。
文科省案、教職調整額の引き上げを求めるが
文科省は、教職調整額4%が1966年時点の月8時間程度だった残業時間に基づいており、現在(22年度)の実態(小学校で月41時間、中学校で月56時間)とは隔たりがあり、教員の処遇を改善して、なり手不足を解消するためにも、26年度から13%に引き上げるよう求めています。
正規教員増や残業手当支給はなし
阿部文科大臣は、財務省案では「真に必要な教育指導は行われなくなる恐れがある」、「学校教育の質の低下につながる」などと主張しています。
しかし一方では、文科省は専任教員増や残業手当支給には否定的です。
教員定数標準法を改正し基礎定数を増やし
長時間労働になっている主な原因は、教職員の定数を定めている標準法が学校5日制に対応しておらず、少ない定数基準になっていることです。
専任教員を大幅に増やすことを最優先に
文科省は、「教員定数を増やしても持ち授業時数の減少のためには用いられない可能性がある」として、専任教員を増やし教員一人が受け持つ授業時数に上限を設定せよという要求を退けました。
神奈川県内の公立学校現場では、教員不足と教員未配置数が2024年5月1日の段階で下表の数値になっています(小、中、高は政令指定市を除く。特別支援学校は市立を含む)。
欠員臨任教員数 欠員臨任で補えなかった臨任数 補えなかった総数 非常勤講師数 未配置数 小学校 551 146.5 136.5 11 中学校 621 88 77 11 高校・中等学校 640 34 24 10 特別支援学校 384 59 28 31 「このままでは学校はもたない」、「公教育は崩壊する」と言われるほどの長時間労働と教員不足・教員未配置の問題を解決するには、教員一人当たりの仕事量を大きく減らすことです。
そのために、教員の定数を定めている標準法を改正し、専任教員を大幅に増員することを最優先すべきです。その上で、教職調整額を条件なしで一気に13%に引き上げるとともに残業手当を支給することが必要です。
・長時間労働を解消し、教員不足を解決するためには専任教員を大幅に増やし、残業手当を支給することが必要
・不要・不急な業務の削減、正規教員の大幅増 教職調整額を維持したうえで、残業手当を支給せよ!
・「給特法」の教職調整額を10%以上に増額しても、長時間過密労働は解消しない
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