2024年12月29日

  県市民実行委員会による対県交渉報告

持ちコマ数削減、空調化促進、分教室解消、
教員未配置ゼロ、
インクルーシブ校予算・人員確保、
横浜北東・川崎地域の高校削減見直しを

 11月21日、「くらしと営業を守る神奈川県市民実行委員会」による教育・文化・スポーツ分野に関わる対県交渉(話し合い)が行われました。

 県側から、総務室、高校教育課、教職員人事課、インクルーシブ教育推進課など約25名、県市民実行委員会側から、高校教職員連絡会、神障教組、新婦人、私教連など約20名が出席しました。以下、主に高校教育に係わる内容を紹介します。

教員一人の授業持ちコマ数は、週13コマを上限とすること

 授業持ちコマ数軽減の必要性については考えてはいるが、限られた財源の中、法に規定のない県単独事業による教員配置を行うことは困難という回答でした。

 ただ、インクルーシブ教育実践推進校(以下、インクルーシブ校)など特定の学校には、県単独加配が行われているので、今後も加配を要求していくことが重要であると考えられます。

実験室等の特別教室空調化を早急に整備するように

 すべての特別教室の空調化がいつ完了するのかという質問には、2020年度から利用頻度等を踏まえ視聴覚教室等の特別教室に計画的に設置しており、2024年度で整備対象教室への設置を完了する見込みという回答がありました。

 整備対象教室に含まれていない特別教室があると考えられるので、各校で空調化の進捗状況を把握し、整備を求めていく必要があります。

 体育館の空調化については、その必要性は認識しているが、構造や費用の面で課題が多く、小、中学校には国の補助があるが、高校にはないので国に働きかけていくとの回答でした。

統廃合非活用校を活用して、特別支援学校分教室を解消せよ

 特別支援学校分教室は、もともと5年間の時限措置で5年後に廃止されることになっていましたが、現在も存続しています。その結果、分教室があることで教室の数が不足して、選択科目や少人数授業に支障がでていることを、M高校を例として提起しました。

 そこで、統廃合で非活用となった校舎を特別支援学校に転用することにより、分教室を解消することを求めました。

 それに対して、分教室をもつ特別支援学校は、分教室を設置している高等学校と協議し合意した上で教室等を使用しているので、支障があるということは聞いていないという回答でした。

 また、今後の生徒の推移やインクルーシブ教育の状況なども踏まえていくとして、非活用校を活用することについては明言しませんでした。

県は市町村に対し、
自衛隊への個人情報提供を行わないように働きかけること

 この要求に対し、生徒の個人情報を提供している自治体については、県教委は把握していないとの回答でした。

 県内10以上の自治体が名簿を提出していること、自衛隊員が迷彩服を着て県立高校の校門前で募集活動をしていること、文化祭で自衛隊がブースを設けてPR活動をしていることなどが実行委員会側から示され、個人情報保護の視点からおかしいと思わないのか、県立高校生徒の人権を守る責任があるのではないかなどの意見が出ました。

 それに対しても、県教委はそうした報告をうけていない、承知していないということを繰り返すばかりでした。

年度当初からの教員未配置は極めて深刻
  未配置ゼロを強く求める

 5月1日時点で、県立高校(中等教育学校を含む)において欠員臨任教員(本来正規教員でなければならない定員の欠員分を補う臨時任用の教員)が640名であり、この欠員臨任で補えなかった教員は34名、このうち非常勤講師も配置できず教員未配置となっているのが10人ということが明らかになりました。

 特別支援学校では、未配置教員数が更に多く31人となっています(3面表参照)。

 年度当初からこれだけの未配置数となるのは極めて深刻で、未配置校では教員の負担が増大し、影響は生徒に及びます。未配置を一刻も早く解消するため、教員定数いっぱいまで教員採用試験で採用せよ、3年以上臨任として勤めてきた人を即戦力として採用せよと要求しました。

 それに対して、将来的な年齢構成も踏まえた中期的な採用計画を立てて採用数の確保に努めているという、いつもと同じ回答の繰り返しでした。

 それでは、年度当初未配置がゼロにならないのではないか、年度当初ゼロとするためにどうするのかと追求しました。年度当初ゼロにすべきだとは考えているが、来年度ゼロとは約束できないとの答弁でした。

インクルーシブ校は7学級規模、30人学級にすること
  十分な予算と人員の確保を

 この要求に対して、必要な予算の確保を図っている、特別募集の入学定員(21人)に対して必要な教員加配(教員以外の支援員を含め、2名から最大で14名)を行っているということでした。

 学級規模については、1学年7学級規模を標準としているので、標準を超える学校となることもありえる、また、インクルーシブ校では、一般募集で入学した生徒と共に学校生活を送ることを目標としているので、学級規模は30人ではなく一般の高校と同程度の人数となるという回答でした。

 いろいろな問題に直面するインクルーシブ校の実情をもっと詳しく伝えていく必要を感じました。

中卒者が減らない横浜北東・川崎地域の高校削減を、
「全県バランス」で強行することは、
「県立高校改革実施計画」の原則と矛盾する

 総務室は、「実施計画」の再編・統合による適正配置について、「(中卒)生徒数の動向に対応した学校数・学級数を確保」することなど6つの考え方を1丁目1番地であると認めました。

 その上で、横浜北東・川崎地域で田奈高校と麻生総合高校が3年連続定員割れをしていることについて数字を挙げて示すことにより、「実施計画」に矛盾していないと言いました。しかし、定員割れをした学校を統廃合するとは、適正配置の6つの考え方のどこにも記されていません。

 一昨年秋のV期計画を決めた県文教常任委員会で、当時の改革担当課長が「横浜北東・川崎地域は本来削減できる地域ではないが、T期とU期の計画で1校も削減していないので今回削減することにした」という答弁をしており、これこそが今回の削減の理由です。

 それを説明するために、「全県バランス」という言葉が考え出されました。今回の回答でも「県立高校の適正配置を進めていく上での全県バランスを踏まえる」というように、その言葉が使われています。

 「全県バランス」という言葉が、「実施計画」の適正配置についての箇所に書かれていないことがはっきりした以上矛盾を認め、中卒者が減らない横浜北東・川崎地域の統廃合を見直すべきです。

 また、V期計画以降の県立高校統廃合については保護者・県民の声、中学校をはじめとする学校現場の要望、そしてこれ以上統廃合すべきでないという意見を十分に聞くことが必要です
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