2023年2月2日

  県市民実行委員会による対県交渉報告

PC端末無償貸与、欠員臨任解消、高校35人学級などを求める
翠嵐定時制をはじめ、定時制6校の募集停止を見直すこと


 11月21日「くらしと営業を守る神奈川県市民実行委委員会」による教育・文化・スポーツ分野に関わる対県交渉が行われ、「かながわ定通教育を考える会」メンバーも参加しました。

 県側から、教育局総務室、高校教育課、教職員人事課など約25名、県市民実行委員会側から、高校連絡会、神障教組、定通懇談会、小・中学校連絡会、新婦人など約20名が出席しました。

パソコン端末、保護者負担を基本とする姿勢変えず

 県立高校では4〜6万円のパソコン端末を保護者負担で購入させていますが、新たに高額な端末を買わなければならないこと、購入した生徒と貸与されている生徒との分断など、様々な問題が生じています。

 交渉では、公費負担で購入し全ての生徒に無償貸与するように求めました。県は「すでに1校あたり200台のクロームブックを配備している、引き続き保護者負担を基本とした端末準備をお願いしたい」と今までの姿勢を変えませんでした。

欠員臨任がある程度出るのは「仕方がない」という開き直りは、極めて問題

 欠員臨任(教員定数内臨任)の増加が止まりません。今年度は小学校で586名(43人増)、中学校で609名(24人増)です(政令市を除く)。

 昨年の回答で、各学校(小・中を含め)およそ1〜2名の正規教員が不足するように新採用人数を定めていることが明らかになりました。そのため、県全体(政令市を含む)で毎年2000人以上の欠員臨任が発生しています。これを改め、採用試験合格者を増やし、全ての学校に正規教員を定数分配置することを求めました。

 県は、教員の質を確保しなければならず、また学校の統廃合、生徒数の変動などの観点から、教職員配置をすべて正規採用者にすることは困難であり、「ある程度の定数内臨任がでるのは仕方がない」と開き直りました。これに対し、「児童、生徒の教育に責任を持ち、年度当初に正規教員を定数分配置するのが県の責任であり、欠員臨任が出るのは仕方がないというのは問題だ」という抗議の声があがりました。

高校でも、国の進行を待たず35人学級の実現を求める

 3密状態を解消するためにも、国の進行を待たず、高校でも35人以下学級を実施することを求めました。

 他県、特に東北の諸県では35人学級が行われており、秋田県では、工業科、農業科の全て、普通科も7割が実施、その結果入学生の73%が35人学級になっていることが紹介されました。

 しかし、県は厳しい財政状況の下、県単独事業により30人以下学級や高校の35人学級を実現することは困難であり、一部の高校で可能な範囲で少人数学級や少人数学習に向けた取り組みの工夫をしていると答えました。クリエイティブスクール(30人学級)やバカロレアスクール(25人学級)で30人以下を行っている、他は困難というわけです。

翠嵐定時制を募集停止すると外国につながる生徒の支援教育が途絶える

 夜間定時制6校の募集停止は極めて唐突、拙速であり、翠嵐を除く定時制5校については、1学年1学級の単学級校として残すことを求めました。

 2学級規模の生徒が在籍している翠嵐定時制について、外国につながる生徒への支援教育の手厚さとノウハウは、通訳や外国語に精通した経験豊かな人材が長い年月かけて独自のネットワークを構築して形成してきたものであり、神奈川工業定時制に年次進行によって移行・継続できるものではないという声が出されました。

 県は、後輩などのことを考えると年次進行での移行がよく、全ての生徒、教職員の一挙移行は検討していないと答えました。

 しかし、外国籍の生徒のことを考えると、年次進行での移行は兄弟・友達・知り合いの分断を生み、人材・ノウハウの流出につながるという意見が出されましたが、それらについてはまだ検討していないとのことでした。今回の募集停止が、周到な調査や検討に基づいたものでないことが明らかになりました。
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