2023年12月15日

  県市民実行委員会による24年度向け対県交渉報告

生理用品の個室配置、教員未配置・定数内臨任解消、 横浜北東・川崎地域等の高校削減と定時制6校の募集停止の見直しを


 11月8日、「くらしと営業を守る神奈川県市民実行委委員会」による教育・文化・スポーツ分野に関わる対県交渉が行われました。

 県側から、教育局総務室、高校教育課、教職員人事課など約25名、県市民実行委員会側から、高校教職員連絡会、神障教組、県義務制教職員連絡会、新婦人など約20名が出席しました。
 

生理用品をトイレ個室に配置すること
個室配置など柔軟な対応も可との県回答

 生理用品がトイレ共有スペースにだけ置かれているのでは、一度個室を出なければならず利用しにくいという生徒の声を聞いています。昨年度のやり取りでは、「誰が個室に配置するのか」などの話がありましたが、保健委員の女子生徒などが配置すればよいので、個室配置をすすめてほしいという要求を出しました。

  県の回答は、生理用品は基本的に共用部分に配備することを推奨しているが、生徒のニーズ等に応じて、個室にも置くなど、柔軟な対応を可としており、配置する人については学校対応とのことでした。

ある程度の定数内臨任はやむを得ないとの県回答
 今後も教員未配置は続くのでは

 5月1日時点で、県内公立学校(政令市を除く)において小学校102人、中学校44人、高校11人、特別支援学校77人、教員が不足していたことが明らかになりました。

 県は、正規教員を少なめに採用し、各校1〜2名の臨時任用教員(定数内臨任)で賄うことを基本方針にしているため、本来計画的に任用できる産休や育休の代替教員を確保できず、未配置という教員不足が生じています。

 このため、一人の教員が同時に2クラスを(一つのクラスはオンラインで)教えるなどということが起こっており、未配置を一刻も早く解消するために、正規教員の採用を大幅に増やすことと教員定数いっぱいまで合格者を出すことを要求しました。

 また、教員採用について、長年臨任として働いている人は教員としての資質、職務遂行能力を評価されて毎年任用されているのだから、その資質、能力を採用試験において加点する評価を行うべきではないかとの声が出されました。

 しかし、県は学校統廃合、生徒数の変動等による将来的な定数減などの観点から、教員定数をすべて正規教員にすることは困難であり、ある程度の定数内臨任はやむを得ないという従来の態度をあくまでも変えませんでした。

 長年臨任を行っている人に「優先権」を与えることはできない、大学推薦やカレッジ特別選考者は、大学やカレッジでしっかり指導をうけてきているが、臨任者はそうした指導をうけていないこともあり、2次試験の面接点が低くなるという回答を行いました。

 なお、このやり取りに先立って、「先読み加配」(学期当初からわかっている産休・育休予定者の代替教員を学期当初から配置するための加配)を、2023年度は県立高校で18名、特別支援学校高等部で7名配置したことが示されました。

中卒者が減らない横浜北東・川崎地域の高校削減を
1期とU期で削減してこなかったからという 「全県バランス」で説明されては
地域の生徒・保護者は納得できない

 「県立高校改革V期計画」で10校統廃合(5校削減)案の一つとなった横浜北東・川崎地域については、3人の方が問題点や疑問、反対意見を出しました。

 この地域では、公立中学校卒業予定者が今と比べてほとんど減らないこと、現在でも1 学年 9 学級以上の過大規模校が数多く(23年度で14校)存在しており、この地域で1校削減することは今まで以上に過大規模校が増えることにつながるという指摘がなされました。

  昨年秋の県文教常任委員会で、当時の改革担当課長は「横浜北東・川崎地域は本来削減できる地域ではないが、T期とU期計画で1校も削減していないので今回削減することにした」という趣旨の答弁をしています。

 県は、今回もT期及びU期において統廃合していない地域であり、適正配置を進めていく上での全県バランスを踏まえ、志願者が少ない状況が続いている田奈高校と麻生総合高校を統廃合し新校にしていく必要があると判断しましたと回答しました。

 今回の「県立高校改革実施計画」の基本となる「全体計画」には、県立高校の適正配置について、「公教育保障の観点から、生徒数の動向に対応した学校数・学級数を確保」と書かれており、T期とU期で統廃合していないからV期には行うという「全県バランス」という言葉は「改革計画」の「全体計画」や「各期計画」のどこにも書かれていません。

 また、麻生総合高校と田奈高校に在職した教員が、この両校への志願者が少なくなったのは、県が予算や人員を減らし続けてきたことが原因の一つであると指摘しました。

募集停止とされた2学級規模校は、 1学級規模校として残せ 
外国につながる生徒の多文化共生教育で
実績豊かな 翠嵐定時制の募集停止見直しを

 「県立高校改革V期計画」では 、定時制6校(2学級規模5校と3学級規模1校)の募集停止が発表されました。

 「県立高校改革実施計画」の基本となる「全体計画」には、定時制の学校規模について「夜間定時制は、1学年2学級以下の規模を標準として」と記されており、1学年1学級規模も標準といえます。

 全国各地では、夜間定時制は1学年1学級規模として残されており、2学級規模5校の夜間定時制については、募集停止ではなく、1学年1学級規模の定時制として残すことという要求を出しました。

 特に、伊勢原定時制と秦野総合定時制が募集停止になると、秦野などに自宅がある生徒は厚木清南高校か小田原高校の定時制まで通わなければならず、通学が難しくなる恐れがあります。

 県は、活力ある教育活動と学校運営を円滑に展開できるよう、進学を希望する生徒が通学可能な範囲に定時制課程を維持することとし、適正配置を行うことにしました。全国的には、夜間定時制が1学年1学級の学校が多いことは承知しているが、1学級規模校は専任教員の数が少なくなり、行事や部活動をはじめとする教育活動に対して教員の負担が多いので、神奈川県では難しいと従来の主張を述べるのにとどまりました。  

 2学級規模の生徒が在籍している横浜翠嵐高校定時制では、外国につながる生徒への生活支援、日本語教育、多文化共生教育などを20年以上にわたって積み重ねてきました。

 神奈川工業定時制に普通科を設置することで移行・継続できるものではないという声は、神奈川新聞の社説や記事、そして東京新聞の何回にもわたる記事で指摘されてきました。

 翠嵐定時制の募集停止については、教職員だけではなく、広く識者、県民からの声を聞き、一旦募集停止を見直し、今後については時間をかけて検討すべきであると求めました。

PC端末無償貸与、欠員臨任解消、高校35人学級などを求める 翠嵐定時制をはじめ、定時制6校の募集停止を見直すこと(23年度向け対県交渉)

高校統廃合見送り、少人数学級実施、教員増員を求める(21年度向け対県交渉)

トップ(ホーム)ページにもどる