2024年4月29日

  自衛隊員募集のために、自治体は
        18歳・22歳のプライバシーを国家に捧げている!

軍靴の足音が教育現場にまで

元民間労働組合役員 沢崎 三郎

 

 廊下に耳を当ててみてください。廊下の向こう端から軍靴の音が聞こえてきませんか。
心して耳を当てねば、教職員、管理職など現場の責任者の誰にも何も聞こえませんよ。

 小誌「ニュース」164で、安倍晋三首相(当時)が19年の自民党大会で「自衛官募集に自治体は協力的でない」と苛立ったことを書いたが、彼は06年12月、前文に「この(憲法の)理想の実現は、教育の力にまつべきもの」とあった教育基本法を教育国家統制法ともいうべき新教育基本法に改悪した張本人である。

 彼の「苛立ち」はどんな意図からくるものか容易に推察できる。今日ほとんどの自治体が他愛なくこれに呼応している。

 

自治体の本旨の一つは「住民自治」では

 これは戦前の徴兵制度のシステムとして、役場の兵事係が名簿や必要書類を国家に奏上していたこととよく似ている。

 現憲法下ではこの弊害を一掃する一つとして、第八章「地方自治」を新設、地方自治法はこれに立脚して生まれ、その本旨の一つは「住民自治」である。

 にもかかわらず、自治体が市民に全く知らせないで市民の個人情報を自衛隊に渡していることに問題がある。加えて、その個人情報を渡さないようにと市民の申し出があっても、受け付ける仕組みがないことだ。事実上の海外派兵等の任務が課されるようになった現今の自衛隊に、若者の名簿を渡すべきではない。

本県の各自治体は
「提供認めず・閲覧認めず」はゼロ

1〕対象者を抽出し名簿を提供する
 横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・小田原市・海老名市・南足柄市・湯河原市
 * 下線部の自治体は個人情報提供の除外申請が出来る。但し横浜市は24年度から。

2〕対象者を抽出した名簿の閲覧を認める
 鎌倉市・三浦市・秦野市・伊勢原市・座間市・平塚市・葉山町・中井町・大井町松田町・山北町・開成町・箱根町・真鶴町

3〕対象者を抽出せず名簿の閲覧を認める
 藤沢市・茅ヶ崎市・逗子市・厚木市・大和市・綾瀬市・愛川町・寒川町・大磯町・二宮町・清川村

4〕名簿提供・同閲覧も認めていない ――→ なし

教育の現場で
戦闘用迷彩服での自衛隊員募集は許されるのか

 この自衛隊員募集の動きが、筆者の生活圏でみられる事象を報告しておこう。

  21年3月、県立厚木商業高校では「職業説明会」として学校側から自衛隊に要請、1年生男女10数名を一室に集め、数人の自衛隊員が対応している。

 また22年7月には県立寒川高校の正門で,顔を黒く塗った戦闘用迷彩服の複数の自衛隊員が隊員募集を呼びかける記事が地元タウン誌に掲載されている。

 自衛隊が国論二分している中で、招請して一般の職業紹介同様に教室で説明会をしたり、教室へ通じる正門で募集活動を許可する――、学校責任者は校長室で「誠実」でいられるのだろうか。訊ねてみたい。

 戦争はわかりやすくは準備されない。戦争は正面ではなく背後から迫ってくるものである。
ある元組合幹部の生き方から考える ― 労組とは  労働組合の「誤作動」は、社会を「失速」させている 
・超勤問題は個人まかせにせず、闘争救援資金は退職時に返金すべき

自衛隊募集のために、18歳・22歳の市民名簿情報を自治体が、本人や住民に知らせないまま自衛隊・国に提供している!

                  

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