2023年11月29日

  自衛隊募集のために、18歳・22歳の市民名簿情報を

自治体が、本人や住民に知らせないまま
自衛隊・国に提供している!

元民間労働組合役員 沢崎 三郎

 

 個人情報が商品化するにつれ、プライバシー防衛に個人も社会も神経をとがらせるようになっている。そうした昨今だが、これに逆行するように、自治体役所が青少年のプライバシーを自衛隊や国に文書や電子媒体で提供をしている……?!これはどういうことだろうか。
 
 

戦争準備の導火線を「遺産」とした故安倍晋三首相

 セクハラ・パワハラ・自殺の増加に加え、米国の世界戦略に深く組み込まれていく自衛隊の実態が、隊員の外国での戦死を連想させてゆく――、これで通常の応募状況を期待するのは、むしろ不自然だろう。

 ところがである。この事態に19年2月、安倍晋三首相(当時)は党大会で「募集に自治体の6割以上が協力を拒否している」と不満をぶち上げた。この改憲論者の姿勢が、いまの事態の契機となっている。

自衛隊法で、地方自治法や生徒・青年の基本的人権を踏みにじっていいのか

○ 20年12月 ― 市区町村長は住民基本台帳の一部を提出できると閣議決定

○ 21年 2月 ― 防衛省と総務省が、自衛隊法、同施行令、住民基本台帳法を根拠に、同台帳に記載の18歳と22歳男女の「住所・氏名・生年月日・性別」情報を各市区町村長に文書や電子媒体で提出するよう通知。まさに地方自治の独立性を一蹴するファシズムである。

海老名市も自衛隊法に屈服  北海道3市では6万人の個人情報を提供

 私の住む海老名市でも19年3月段階は市議会や市民団体に対し「自衛官募集の対象者情報は文書や電子媒体の提出は行わない」としていたが、一転今年の三月、防衛省・総務省の「通知」通りの措置で情報提供に踏み切った。

 そのために、所管課を市民相談課から危機管理課(自衛隊関係OB含む4名在籍)に移行させる態勢をとったことである。これでは中央がその実を上げるための遠隔操作態勢(リモートコントロール)ではないか。

 緊急に教職員組合は県下の実情を調査すべきである。因みに22年度の北海道3市の実情をあげておこう。

  札幌市 (対象者―満18〜満22 31591名)(提供数―同 31589 提供率 ほぼ100%)
 旭川市 (対象者―満 18〜満22  5234名)(提供数―同 5234 提供率 100%)
 帯広市 (対象者―満 18〜満22 23179名)(提供数―同 23179 提供率 100%) 計 60002名分

 突然制服姿の自衛隊員に訪問された祖父は、びっくり仰天したという報道がなされている

教育現場と地方自治体の無自覚が、青少年とその家族・市民を怯えさせている

 これは戦前の臨戦態勢の復活ではないか、戦前と違い、今日は安保法制による米国の世界戦略に深く組み込まれた従属体制での事態ではあるが。

 にもかかわらず教育現場のこの静けさはなんだろう。本来の業務と取り澄ましたような公務員の落ち着きはどこから来るのだろう。人員不足を来(きた)している「合理化」は、多忙のもとに「考えない、考えられない」教員、職員づくりが目論(もくろ)まれているのではないか、、、、シッカリシテホシイ!! 

 公教育も自治体行政も、立憲民主制国家の礎(いしずえ)の上に成立していることを忘れてはならない。

 2人の孫を持つ私は、孫たちの個人情報が「お上」にルーズに提供され、「召集令状」につながっていくのではないかと、湧いてくる怯(おび)えと怒りの気持ちを抑えがたく思っている
ある元組合幹部の生き方から考える ― 労組とは  労働組合の「誤作動」は、社会を「失速」させている 
・超勤問題は個人まかせにせず、闘争救援資金は退職時に返金すべき
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