2014年7月5日

投 稿
 

超勤問題は個人まかせにせず、
闘争救援資金は退職時に返金すべき

ー 民間労働組合員からみた教職員組合 ー

民間企業労働者S


 私は民間企業で働くとともに労働組合で労働条件向上のため組合活動を進めてきた者です。

 最近になって教育現場で働く教職員の労働環境が悪化しているとの新聞報道や教職員から直接に話をお聞きしてきましたが、ここで民間労働組合員からみた教職員組合について思った事を述べてみます。

組合は組合員の労働実態を把握し早く解決を

 私たちの労働組合は教職員組合と同じ連合組織の組合でありますが、この連合は1989年に政財界のお墨付きで立ち上げた「比較的に緩やかな全国労働組合組織」です。

 連合組織に加入している私たちの労働組合も会社との労働折衝では全く摩擦熱が生じるようなことはなく、会社の人員整理案などでは原案通りに受け入れて職場の労働組合員がいつも犠牲になってきました。

 教職員組合と県当局のやり取りでも同じではないでしょうか。新聞報道を読んでも平均超過労働時間が80時間以上になっているのに組合は前面に出て組合員の健康を守ってはいないのではないでしょうか。それどころか組合上層部は「超過労働時間の問題は自分たちの力で守るんだ!」と組合員一人ひとりに「自己責任的管理」を迫るようなことを言っていませんか。

 組合員個人では解決が出来ないから組合組織が必要なのでこれでは組合組織の責務を果たしていないのと同じです。組合執行部は早く県と折衝して超過労働時間の問題を解決すべきだと思います。

 民間企業の労働組合では、同じ連合組織下ではありますが、労働協約や就業規則などの面では厳しくチェックしガードをかけています。

 具体的には超過労働時間60時間以上は労使協議で徹底的に話され慢性的な残業にならないよう会社管理者(課長)に対し指導的な指示が出されます。

 労働安全環境でも組合と会社が同じテーブルで協議し、各職場の労働環境や衛生面でも不安全な労働作業や施設などをチェックしています。このように第一に「安全で」、第二に「働きやすい環境で生産をする」ことを目指しています。この大きな2つの柱を職場の中で展開をすることを基本にしています。

闘争救援資金は組織のお金ではなく、個人の積立金だ

 私たちの労働組合でも春闘や合理化案に反対しストを打った場合に労働者の生活を守るために、教職員組合で言う闘争救援資金を積み立てています。

 しかしながら前段でもお話をした通りに1989年以降に連合組織下に入り「闘わない組合」「会社とは摩擦を生じない組合」に変貌してきたことから組合の常任委員会において「闘争救援資金を積み立てる必要はない」という修正動議が出され画期的にも過半数以上の賛成で可決され、闘争救援資金積立金は個人の積み上げた総額の半分のお金がおろせるようになりました。

 教職員組合では闘争救援資金は途中で下ろすことも出来ないし、定年退職時で返却されないとお聞きしましたが民間の労働組合では考えられないことです。

 闘争救援資金は組織のお金ではなく個人の積み上げてきたお金なので退職時は利息を付けて組合員に返すのが当たり前です。

 私たちの労働組合では闘争救援資金として毎月1000円を積み立て、年に一度ですが積立金の残高通知書(本年度までの積立額)が労金から発行されて組合が組合員個人に配布しています((54歳時に30万円下ろした後の通知書を右に掲載しています)。

 ストライキがなければ高卒者(42年間)で退職時に利息も含めて約80万円のお金が返金されます。

 最後になりますが教職員組合の闘争救援資金が本来の目的として、闘争時の生活資金のみに使用され、資金運用では個人のお金であることをハッキリと明記させたうえで単年度決済で誰が見てもわかるよう透明な会計の仕組みにしておくことが大切だと思います。
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