神経因性膀胱とは

 
   排尿障害もしくは蓄尿障害が、神経学的な原因によってもたらされた場合に、「神経因性膀胱」と呼びます。排尿障害や蓄尿障害は物理的な因子でも起こり、男性の前立腺疾患や女性の腹圧性尿失禁は物理的因子なので、これにはあてはまりません。  
         
   多発性脳梗塞などの急性期では、最高中枢である大脳皮質前頭野が障害を受けるため、統制と尿意が失われます。逆に、数ヶ月すると皮質化の下位中枢抑制の傷害のため、無抑制の尿失禁がしばしばみられます。また、痴呆症などの大脳皮質萎縮が進行すると、尿意はあるものの判断などの統制がとれなくなります。  
         
   横断性脊椎損傷などでは、上行脚・下行脚とも犯されるため、尿意が消失すると共に、膀胱・括約筋部尿道は仙髄を最高中枢として、独立した反射を行うようになり、この際、膀胱充満により反射性に膀胱は収縮するがその尿流が刺激となって、括約筋部尿道も収縮するため、円滑な排尿が起きなくなります。(排尿筋ー括約筋協調不全:DSD)
 糖尿病では、自立神経が障害されるため、やはり低活動性の神経因性膀胱となります。
 その他、様々な障害で排尿障害および蓄尿障害は起き、これらを総称して「神経因性膀胱」と呼びます。
 
         
   大事な事は、排尿障害や蓄尿障害がみられたら、年のせいとか、前立腺のせいとかに決め込まず専門医を受診してみてください。