「森林と市民を結ぶ全国の集い」(2000.9.15〜17)

                                  9/16分科会  9/17全体会

「森林と市民を結ぶ全国の集い」
 パネルディスカッション  日時:2000年9月15日(金)
                 場所:代々木・青少年オリンピック会館

□持続可能な社会と森林・林業の役割(熊崎実)

・21世紀の課題、持続可能な社会の実現。
・20世紀は森林破壊の世紀。62億ha→半分になった。自然の森林はもっと少ない。

・木材の3つの利用。バイオマスが有効。
・森林の役割が変わってくる。
・日本は世界中から木を集めている。日本の中で生産した木を消費していない。
 良く持ちこたえていた。最高利用の状態から、使わない森林へ。
 エネルギーを輸入するようになった。大気汚染、世界の森林破壊へ。
・ワンセット主義は不要?輸入に頼れば良い。
 木材生産の縮小は、日本の森林の維持不可能につながる。
 これからも化石エネルギー、木材が世界から供給されるか。

・20世紀後半の延長上に21世紀はない。持続可能な社会への移行。
・世界から、木材、化石エネルギーは、無尽蔵に集まらない。
・日本国内の森林、木材、林業の建て直し。

□自然を守るというのはどういうことか(守山宏)

・雑木林。春植物。氷河時代の生き残り、夏の日差しに弱い。
 北側斜面、春先に日が入る、5月になると日陰となる。
 カタクリ、10年間で花を咲かせる。
・房総、照葉樹林のシイとカシ。でも、カタクリが密かに生き残っている。
 花粉分析、40〜50km/1000年で移動。照葉樹林。5000年前、落葉広葉樹が多い。
・氷河期後1万年前から、欧州では牧草地、日本では雑木林が南方系の進出を防いできた。

□森林にづいての市民意識の変化にづいて(内山節)

・公害、危機意識の発露。1970年代。
 過渡期の考え方、このままだと人間が駄目になる、自然を守らないと、、
 一方、自然と人間を守るための新しい発想、1980年代、自然を守るための
 人間の役割は?自然と人間の関係はどうあるべきか。関係論的視点。
・森と関わる新しい生き方の模索。
・東京にいる時の森。上野村にいる時の森。異なる。
 イノシシ、膨大に増えた。イノブタ化による多産化?キツネの減少?
 ササを刈る、下草刈り、イノシシも歩きやすくなる。余所の畑へ迷惑をかける。
・現象の複雑化、森林資源の開発からどういう関係になるか。
・かつては、10月末からツル切り日。カヤ刈り日。枯れ木には所有権はない。
 入会権的ゆるやかな村のルール、生きている木のみ所有権。
 共同的な世界を作って森を守ってきた。
・これからは、流域、森を共同的な世界を作って守っていくことへ。
・科学や技術の発達により森林が守られるのではなく、基本的な軸は森とともに
 暮らしている人たちの技から。
・進歩が守ってくれるのではなく、記憶を蘇させることから始まる。
 新しい今日の世界に再構築する。
・薪で生活する、森と一緒に生活していた記憶を呼び覚ます。
 新しい共同体の創出の模索。

□パネルディスカッション

・所有と管理の分離、共同の場としての森。
・今、山を持っている意味、分かりにくなってきている。
 これから誰が管理するか。地域、共同で管理せざるを得ない。
・子ども達が都会に出ていくと、残されたのはお年寄り。放置されていく。
 日本だけ、木材生産が落ちている。
・管理放棄森林の、第三者への管理委託等々。

・所有者と、管理しようとするボランティア側の信頼関係作り。
 ボランティア側からのアプローチ。所有者側からのアプローチ。
 所有者側を信頼される方策。   (地主、行政)
・森なのか、不動産なのか。バブル後は、不動産にはならないことが明らか。
・所有者側が、森の持っていきたい将来を明らかにする必要あり。公示の責任。

・新しい形の用水入会。上流と下流の自治体間、山林の維持管理。
・下流の水を使う人は、水を作る必要がある。

・山地メッシュ、動物。筑波。

・自然エネルギー、バイオマス。石油の価格が下がり、20年の空白。
 木材、エネルギー効率が良くない。かまど、〜10%の利用。炭ハ20%。
・まきストーブ、15%→75%。触媒利用。コジェネ、80%。
・インド等、化石燃料に頼らず、電気、ガス利用の可能性。バイオマス。
・米、電気買い取り強制、バイオマスによる電気は買い取る義務。
・自然エネルギー促進法。
・木材、石炭の2/3のエネルギーがある。山の自然の循環。林業の再生。
・大型動物が山奥で暮らしにくい。皆刈がなくなったから。山火事もない。
 順番に切っていく、新しい技術。いろんな動物が住みやすくなる林業。生態系。

□会場から

・バイオマス、輸入の方が安い。何らかの工夫が必要。
・間伐材の利用、手間がかかる。経営が成り立たない。
・なぜ6000kmの向こうから木材がやってくる。なぜ。世界の森林資源は?

→スウェーデン、20%をバイオマス利用。20年前、コスト高、山を裸にする。
 今は1/3にコストダウン、システム化。理念が必要。木しかなかった。
 21世紀は目標を作っていかないといけない。
 化石燃料の価格も下がる、発電効率も向上。でも、CO2が増える。
 米、そこに政策的役割がある。
 スウェーデン、炭素税があり、木材が一番安くなる。
 21世紀は自然エネルギーの時代、政策。哲学が必要。持続可能な社会を作る。
 目先にとびつく、省庁ごとにバラバラにやる、統一性がない。
 炭素税が有効。コストダウンの努力の継続を。

→完全自由化、米は不利になる。
 コウノトリ、一つがいで4万/1日、買い切れない。1000羽。価値の再計算。

 山林に対して、新たな付加価値を作り出す。

 市場メカニズム、金がない人を切り捨てるシステム。
 フィリッピン、薪もない貧しい人もいる、でも日本へは材木が集まる。
 大国だけが使ってしまうことは正常ではない。
 CO2排出量は考慮していない。日本はこのシステムを変えていかないといけない。

・森林組合。現場の切実な問題を話したい。現場の参加者が少ないのにびっくり。
 日本大学とツリーハウスを作り始めた。里山文化の交流。
 現場の人たちへの呼びかけは、どういう方法が有効か。
・昭和30年代に拡大造林したが、公的資金を返す手段がない。困っている。

→共通の理念をもてる分野、地域の中での理念。
 人工林の適正比率、地域差がある。
 自然的適正、地域で管理する技術、能力があるか。
 上流、下流、地域差。
 共通的にもてる課題に対する理念、地域個別の理念、併存させていく努力。

・江戸時代は焼き畑→コナラ林、江戸中期からは稼ぎ山化、スギ・ヒノキ。
 今は、蛇の一匹もいない、経済価値もなくなってきた。

□ふたたび3者から

□内山さん
・市民参加の森づくり。市民側、規模が大きくなる。行政も変化。所有者も。
 弱点、これからの森、どうやって一緒に守っていくかというところからではなく、
 林業が成りたたくなってから、破綻という原因からの始まりだった。
・木質バイオマス、新しい林業形態の可能性。
・森、田、畑、農薬、除草剤、、どうしたらよいか分からない。
・行政、拡大造林の頭で市民参加を考えている。

□守山さん
・記憶の回復。里山、人間の係わりがあった。そこを出発として考える必要あり。
・都市近郊の森、間隔がある。鳥が運ぶ植物が増える。
 都市には、ハリギリ等大きな実をつける。ヒヨドリぐらいしか運べない。

□熊崎さん
・木造建築の勘からの脱却。教育の場での活動。森を分かる人も少なくなった。
 人材作りが必要。学校を作った、森と関わらない人が集まるが、現場の人は
 参加してこない。都会の人は関心が高いが、山の若い人は逃げたがる。
・山の人々に、森林の価値を知って欲しい、学んで欲しい。
・バイオマス、経済的に回るシステムを作っていきたい。

・森づくりも多様な人が関わる方が良い。
・森林所有者の参加は少ない。
・環境教育、消費生活の教育が大切。

以上 文責:竹井


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