「森林と市民を結ぶ全国の集い」分科会・暮らしのまわりの緑・林(2000.9.16)

                              9/15オープニング  9/17全体会

「森林と市民を結ぶ全国の集い」
 第一分科会「暮らしのまわりの緑・林を考える」 日時:2000年9月16日(土)
                              場所:代々木・青少年オリンピック会館

□朝岡幸彦(東京農工大・農学部助教授、環境学習・農民教育論)
・環境教育への危機感。身近な問題、住んでいる地域と結びつけて考えない。
 学校が地域と切れている。
・農業の機械化、近代化。マニュアル化。篤農家の消滅。
・鬼頭修一、生身と切身。全体を考えることが出来なくなっている。
 かつては干潟にたくさんの人が入っていたが、干潟から切れてしまった。
・林業業者と都市の中で関心を持った人だけの限られた層の関心。
・学びの過程から、身近な森を守っていくことにつながる。
 学習のない活動、裏付けのない活動は成功しない。社会教育。

□「都市の緑を守る」宮崎啓子(東大農場・演習林の存続を願う会)
・東大農場演習林の移転と広域スポーツ公園計画。
 1992年「存続を願う会」を結成。
・定例月例観察会(雨、風、雪にも関わらず)、調査会、観察会報告書、
 会誌「森と農場」。
・都市計画マスタープラン(H12)で緑の核の位置づけ。
・都市計画道路が課題。
・北多摩自然環境連絡会。北多摩の緑が減っている。
 多摩みどりのまちウォッチング、都市計画道路問題。
 「都市の樹林を守るため相続税・固定資産税の猶予のできる制度の創設をすすめる請願」
  1995年。
・東京都、公園倍増計画。でも生産緑地、雑木林、谷戸は減ってきた。
・市民行政協働のみどりのまちづくりシンポジウム。
・練馬、体験農園(指導している)、相続税猶予の適用。国分寺、「農」。

□「都市の農業と雑木林の係わりを知る」
  皆川和子(国分寺・くらしとまちをデザインする講座)
・光公民館で1996年より講座。国分寺崖線(ハケ)を中心とした自然、
 環境、景観の保全をテーマとして扱う。立川市〜国分寺〜大田区、30Km。
・1年目、ハケの探索マップ。玉川上水、砂川上水。生活遺産、樹木等。
・2年目、ハケの自然と生活の環境を学ぶ。残したい景観とは?
・3年目、ハケの暮らしと緑を守る。日野市の保全。緑マスタプラン。
・4年目、ハケのくらしと緑を守る・市民として何が出来るか。自然・環境、政策・運動。
・八王子市の都立小宮公園、皆伐更新が見事。15年目が美しい。
・野鳥調査、植生調査−高木/亜高木/低木調査。
・屋敷林、ケヤキ、シラカシ(防火)を混植。
・緑を残す意味を考える、関心を持ってもらえるイベント、子どもたち。
 ボランティア募集、農家との対話、税制変更。
・280年前からの農家もある。
・相続税対策で平地林が売られる。都の財政危機で金はない。
・いかに市民、子どもたちに大切さ分かってもらうか。
・国分寺は全て市街化区域。都は緑地を残そうとしてはいない。

□「住民の手で雑木林の植生を守り継ぐ」
  宮島和朗(東大和市狭山緑地雑木林の会)
・トトロの森の一部、狭山丘陵。多摩湖・狭山湖/ダム。14.5ha。
・コナラ主体の林。50年ぐらいの木が多い。
 昔は20年毎に切っていた。それが50年放置されていた。
 弱い木は枯れていく。照葉樹林が入ってくる。
 散策路以外はシラカシ、アラカシ、ヒサカキ、竹、アズマネザサ。
・東大和市が「保全管理ボランティア」を募集。現在70名。
・「潤いと学習の場として」次の世代に引き継ぐ。
・皆伐ではなく択抜でやっている。玉原のブナ林の様子を目標に。
・萌芽更新をやったが芽が出ない、日当たりが悪い? 実生か?
・メンバの大部分は植物、昆虫が大好き。
 20〜30%は活動することが楽しい。子どもたちへ引き継ぐこと。
・貴重な植物を盗掘からどう護るか。
・炭焼き。近所からの苦情もある。大谷石の窯。密閉と保温。
・シイタケ作り。
・子ども、雑木林探検隊、昼と夜。カブトムシ、クワガタで子ども集め。
 バナナの皮をむかないでトラップを作る子ども。
 汚れをいやがる子ども、アブもこわがる。
 木を切る体験。子どもの真剣の顔、目。
・竹トンボ作り。親子を対象にイベントを組む。親も自然から切れた世代。
・自然の良さ、人間との係わりを体験する場、インタプリター。
・萌芽、実生、植え替え。
・全労連80万、都みどり・・・、補助金を集める。会費は無し。
 義務感ではなく、楽しむことが出来る人だけ歓迎。
 安全管理についてはきつく言う。
  環境市民の集いで店を出す、カンパも4万ほど集まった。

(お昼)

□園田安男(NPO法人森づくりフォーラム)
・参加する人は多いが旗を振る人は少ない。
・持続の難しさ。企画、仕掛けづくり。マネジメント。広がり。
・公的機関のバックアップの後の、自主的活動をどう展開するか。
・森林業者、行政への市民の参加。

□参加者から
・群馬県)亀井さん。平地林も充実させていただきたい。
・小平市)ほずみさん。みんなが学ぶ場づくり。
・府中)田中さん。武蔵五日市。
・東京農大。里山保全と農との係わり。
・小平)森を楽しむ会。フィールドが欲しい。
・姫路)中島さん、ボランティアスタッフ。箕面で自然教育。
・国分寺)渡辺さん。なんかしないといけないという気持ち。自然観察会。
・国分寺)鈴木さん。屋敷林程度。
・川崎)竹中さん。川崎聖地早野、新治川、道志村。王禅寺近くの公園、
 20年たって、手入れがされていない、非行の場。町内会で整備したい。
・大阪。松下グリーンボランティア。鶴見緑地公園のクリーン活動。観察会。
・三和みどり基金)林田さん。環境教育と緑地保全。「木の本」。
 埼玉県久喜、林が少ない。残された2000坪の自然を保全したい。
・八丁堀)いしわたさん。これから興味を持って活動していきたい。
・奈良)吉田さん。奈良県緑化センター。森林面積8割。都会の人の認識?
・岐阜県林業短期大学)長谷川さん。40年行政側。森づくりを進める会。
・森林クラブ)水島さん。群馬県、奥丹沢。スギとヒノキ。
・竹井。
・大阪)重本さん。箕面山麓保全検討委員会。市街化調整区域。
 パートナー事業だが山林所有者の参加がない。シンクタンクで事務局。
・相模原)西田さん。近隣の緑地を歩いて見る会。1991〜講座。
 多くの住民が関わらないと護ることが出来ない。なかなか広がらない。
・国分寺)山本さん。ヨーロッパ旅行で落差を感じる。移住も。桃源郷願望。
・横浜)花と緑の協会)岩谷さん。行政の中で現場の楽しさ。飛鳥田市政。
 ボランティアによる森づくりが事業に入ってきた。勉強したい。
・国分寺)伊藤さん。製糸工場に勤めていた。
 採算性、北米の人件費は高いが、日本より安い。
 米国、尾根沿いに道がある、1/8を計画的に伐採。
 35年前、メーカとしてコスト追求。昭和39年、都の調整区域の提案に対して
 地主は地価低下で受け入れなかった、今、ハケにも住宅化。
・滋賀大津)藤岡さん。湖北の山にブナを植える会。6年前、琵琶湖渇水。
 保水、100本の川。3年半前、琵琶湖博物館、市民講座。500万前。
 草の根ハウス、世界湖沼会議。生活排水、工場排水。珍しく県行政が真剣。
 一部の人が関心を持つのみ、かつ老齢化。ぜひ来て下さい。
 小さな時に田舎、山の体験がある人は山に戻る。子どもの体験が必要。

・皆川さん、勉強から実践に取り組みたい。
・宮崎さん、東大の農学、林学、交流がない。一つの地図もない。
 行政も縦割り。市民活動も縦割り化、専門化している。
 補間するのは市民の役割。都のレッドブック、19種。
・宮島さん、親を引きずり出すことが良い。親の力を見せる。
  炭、知的障害者ショップで売る。
 ダイオキシン、ゴミ問題。新聞も県が違うと拒否。
 自然を守ること、ゴミ問題、子どもの教育、セットで考える。

□きっかけは行政の働きかけ。今の博物館、公民館との関係は?

・国分寺、今年も講座継続を無理してお願いした。
 公民館での活動は制約がある。でもやっていく自信がない。
 目的化もやっていかないといけない。農家との交流を第一にしたい。
・講座のコーディネータの朝岡さん。担当(菊地さん)が継続していた。
 前職場で10年間、農を考える講座をやってきた。
 公民館の講座では、保全の活動体は難しい。サークル支援へ。
・緑を眺める人は多いが、中に入る人は少ない。講座、社会教育が契機になれば良い。

・宮崎さん。過去のいきさつを忘れた人も出てきた。神経質にならないで
 おおらかに行政の変節を受け入れる。
・いいかげんな情報は流さない。ニュースソースははっきりさせる。
・市の方が聞いて「嫌だな。」と思うだろうなことは言わない。
 親しきなかにも礼儀あり。他都市のことを良く言わない。
・公民館、印刷機が使えることが一番のメリット。

・宮島さん。狭山丘陵の博物館、自然観察などの活動に重なる。
 会議室使用、倉庫も借りている。自然の知識もありがたい。ギブ&テイク。
 管理は環境課、4年前にボランティアを募集。
 今は3代目の課長、逆に環境課と連携を求めつつある。特に情報発信。
 市民が集まってこない。市民に理解される雑木林じゃないと駄目。
 市の広報に定期的にのっけてもらいたい。
 公民館、竹トンボキャッチ講座。郷土意識を持ってもらいたい。

□園田さん。東京都の保存林、沢山ある。環境局、条例変更を検討中。
 市民の保存林への係わりの道を開く。事例の共有化があると良いね。

(休憩)

□宮崎さん。国有財産の再編成がない間は、、、
        緑地保全の方針が出されて当初の目的は達成。
 行政より、さらに閉鎖的な大学。土日は閉鎖、花見で開放。
 市と東大とのつなぎ役として動く。役職のレベル合わせ。
 トウモロコシ迷路、募集したら800名。もっと農業とか生産とか、、、
 東大がどう考えているか、環境としての役割も考えて欲しい。
 会誌が出すことが大切。簡単でも良いから出すことが大切。

 北多摩。環境学習リーダ、都2005年までに500人目標。
 みどりプランへの参画。

 農学部は一大地主。市民からの活用は大事な視点。独立行政法人化の動き。
  1)売却/転用して郊外に土地確保。
  2)地域と深く結びつきを求めて、支援者を求める。
 都市計画は工学部。大学の中でも問題視している人はいない。

 月に2回、1日と15日、林作業もしている。萌芽更新、落ち葉掃除。

□岐阜林業短期大学→森林アカデミー。市民開放路線。
 土日の対応、作業許可のライセンス。お上の意識からの脱却。
 大学側のネットワークも必要になってきている。
 県側も市民参加に慣れ出した。

□世界湖沼会議、来年滋賀で2回目。1回目、市民参加が各国へアピール。
 今回、各国から市民も一緒に参加。市民ネット、学生ネットも。

 琵琶湖一周にかがり火。木材をどうするか。ボランティアとの衝突。
 公民館学習に関わってきた人のところに情報が集まってくる。
 間伐、徐伐とは違う。保全と、一般林業は、文化が違う。

□森林クラブ、水島さん。林野庁、単一林、70〜80年、貸します。
 売却して利益は山分け。世代へ引き継ぐ。14年前、子どもキャンプ。
 スギ、ヒノキから、サクラ等を植えるようになった(秘密)。
 分収造林。昭和30年までは良かったが、今は切ると赤字。
 国、自治体が観光造林。今は公団造林。自治体、公社造林。
 赤土に保全のための名目だったか。アクセスも不便。実践先行。

□実践の中から必要に応じて学習。経験的につながりの中で学習。
 壁をのりこえる時には専門家が必要。自然面、行政面。
 いろんなグループの連携が必要となる。自己完結にならないように。
 絶えず学習を意識しないといけない。学校教育より社会教育の方が自由。

 リタイヤした人が集まると、いろんな体験を持った人が集まる。
 コーディネータ、リーダが大事。使命感がありすぎ浮いてしまいがち。
 それをどう抑えて進めるか。

 都市林。身近にあって自然に親しむ。文化を残すことにもつながる。

 4年やってきて自信が出てきた。親子を取り込むことを計画。

□勉強して手足が動かない人、動きたい人、一匹狼でタッタと切る人。

□子どもを自由に遊ばせたい。でも危険、管理。

□森林ボランティア。生業としている人の森林感、都市住民の森林感は違う。
 受け入れる側も迷っている。プロになりたい、健康のため、保全のため、
 いろんな目的のボランティア。

 リーダがしっかりしているとまとまる。何かの原因でリーダ不在になると
 バラバラになる。リーダの後継を育てているか。

 いろいろ言う人には、「そうですね、一緒にやりませんか。」
 勝手に植えられた木は、作業時に切ってしまう。
 炭焼きへの苦情、、どう対応するかが今の課題。

□県有林、将来像がない。ボランティアまかせ。
 施設を作るために切る。植林するために切る。

○生業とするために真剣に育ててきたが、経済的に成り立たなくなったこと
 の喪失感。ボランティアも安易な参加は拒絶することも。

 山と、農業と、都市の消費者。結びつけば。

 国分寺、農業ボランティア。市民農業大学で研修して農家へ。
 農家でボランティアを受け入れるところは少ない。森林も。

□群馬県、ボランティアに助成金を出す。組織化を促す。
 飲み食いでも良い。自立するかどうかはこれから。
 300団体×10万×7事務所。公共事業に比べると安い。

□竹井。行政の責任。自発的奉仕。

□朝岡さんのまとめ。
 ・問題が出ているということは、市民が関わることにようになった証拠。
  林業、農家の仕事に、都市住民が関わるようになった。
  昔のような山林、雑木林の関わり方を復活するのは不可能で、新しい形を産み出す過程。
 ・実践で解決できないのは制度面で解決していくもの。NPO、NGO。
 ・河川の行政がここ5〜6年変わってきた。
  山林も単一林から許容へ。行政の変化をとらえるべき。
  行革で金をしぼり、安上がり行政のためのボランティア。
  行政だけで管理することから、市民参画へ。
 ・NPO、運動から事業の担い手へ。
 ・保全派、レジャー派、生業派、健康派。
  白神山、青森側、秋田側で微妙に対応が違う。
  人が入ることが必要、入り方の工夫が必要。
  コントロールして市民が入る人数を制限する。行政よりNPO。
 ・農、林、ボランティア間がネットワークを作ること。

以上 文責:竹井

                              9/15オープニング  9/17全体会

トップへ
トップへ
戻る
戻る