2024年12月11日

  自衛隊員募集のために、自治体は
        18歳・22歳のプライバシーを国家に捧げている!  第3弾

ついに 奈良市の高校生が
自衛隊への名簿提供は憲法違反と訴える 

元民間労働組合役員 沢崎 三郎

 

 「ニュース」164,166号で、この無謀な事態を告発、訴えてきたが、今日、全1,741自治体の65%にあたる1,139自治体で情報提供を行っていて、違法行為は止まない。

 こうした下で、ついに奈良市の18歳の高校生が、個人情報の違憲性とそれによる精神的損害の賠償を求めて訴訟に踏み切った。保護者もその社会性を逸脱した行政行為に怒り、支援する会が対応する13人構成の弁護団がその訴訟意義を訴えている。

 

この違法行為を「公益性」とうそぶく、
被告―国・奈良市の強権ぶり

 これは対象とされる現役高校生が原告となって、国と奈良市を被告として訴えた前代未聞の訴訟である。この国の若者 ― 青少年を社会的にも法的にも軽んじてきた広くみられる後進性がこの侵害行為にもみられる。

 被告が「自衛隊の募集という公益性がある」とこだわりなく言える点にもよく示されている。プライバシーや意志判断を侵害され、身の危険にさらされるかもしれないことが「公益性」でまとめられるのでは、これは立憲主義国家ではなく強権国家である。

 国は個人情報保護の基本的人権である憲法第13条のプライバシー権を侵害していること、また自治体は住民基本台帳法第11条により個人情報を閲覧させることは市町村長の判断であるが、「提供できる」とは書かれておらず、明らかに違反しているのをご存じないのか。そんなはずはない。

 

「戦争できる国づくり」に、
自衛隊員の定員割れは、大変な「障害」

 国はとりわけ、安倍、菅、岸田,そして新首相石破の四代の首相で、アメリカ戦略をふまえて「戦争国家づくり」のため安保法制や「安保3文書」で法整備し、「抑止力」と称して南西諸島の基地増強を進めている。

 この6月に改定された地方自治法もあれこれ名目をつけて先の趣旨で改悪されている。この法の前提となるのは、現憲法に新設された第八章「地方自治」で、戦時体制を一挙に構築できた旧憲法の是正から、地方分権的な国家を目指し設けたものである。

 次に手堅くいきたいのは自衛隊の数量・質の充実だったはずである。ところがそれどころか約1万6千人の定員割れが生じており、現在のなりふり構わない「募集対策」となっているわけである。

教え子を戦場に送らない」という主張は、
今どうなっているのか

 高校でも大学でも、その生育や成長を期して接している教職員は、この大切なはずの生徒・学生がこんな「無礼な扱い」を受けているのをご存じだろうか。そうでないとしたら迂闊だろうし怠慢だろう。ご存じだとしたら事態の本質の洞察力や職務の回避を責められねばならない。

 かつて日教組が掲げた主張「教え子を戦場に送らない」は、今日の連合日教組には期待しようもない。なぜならナショナルセンター「連合」は、その足場を国家政策に置いているからである。

 かと言って、「無礼な扱い」を受けている教育的働きかけの対象である生徒・学生を見殺しにするのは、職務の背信行為である。それは、「教育の軽視」の点で、パレスチナ自治区ガザで60万人以上の若者が教育の機会を奪われている事態の是認に繋がると思うからである。よく考えてほしい。

 戦争とは、実直で誠実な取り組みのような面差しで、「常識的に」準備されるものである。

自衛隊募集のために、18歳・22歳の市民名簿情報を自治体が、本人や住民に知らせないまま自衛隊・国に提供している!

自衛隊員募集のために、自治体は18歳・22歳のプライバシーを国家に捧げている! 軍靴の足音が教育現場にまで
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