雑司ヶ谷の古書店○往来座を訪れました クリハラ冉
お盆の夕方、中右史子さんとふたり、雑司ヶ谷の古書店往来座を訪れました。往来座は、池袋から明治通りを雑司ヶ谷方面に10分ほど歩いたところにあるすてきな古本屋さんです。 春、「えこし通信」を置いていただけるお店をさがしているなかで往来座を知りました。猫が歩くホームページの表紙にひかれて(この猫、いろんな声で鳴きます)目をとめました。そして雑司ヶ谷という土地ならではの特設棚「池袋モンパルナスの人たち」「雑司ヶ谷に眠る人たち」を設けていることなどを知り、ここに置いていただけたら!と思ったのです。 通りに面したガラスケースには、画集や詩集の他、ももいろのワンピースを着た猫の人形も展示されていました。吉行理恵さんの本『ねこ・ねこ・ねこ!』を手にしてわたしたちが喜んでいると、「なんて幸せなの! ずっとさがしてたのよこの本。こんなことってあるのね。」という声がして女の人が嬉しそうに一冊の本を買って行きました。 往来座には「えこし通信」のほか、中村先生のえこし文庫『現代詩研究』シリーズ、『諸註という書物』、『文学の彼方へ』とDVD『ある闘牛士の死』、そして中右史子第一詩集『夏の庭』を委託させていただきました。ひとつひとつ透明なセロファンでカバーをかけていただいて、みなさんの手にとられる日を待っています。 往来座からの帰り、鬼子母神に立ち寄り手を合わせました。大きな桜やけやきの大木に触れながら歩きました。遠く花火の音がしていて、夕飯のにおいが参道を漂い、どこからともなく猫たちや蛙があらわれてきました。大都会のなかですっぽりとそこだけ時空が切りはなされたかのようでした。 2006.08.13 |
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*くりはら なみ 『江古田文学』金子みすゞ特集を責任編集。評論「人間という名の喩」(『現代詩手帖』2004.11月号)ほか。近代女性詩人研究。 |
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