と・思うが

FRAMEWORK(天才プログラマー カー氏による究極的統合ソフト)のその後 そしてインドの凄さ そして今

FRAMEWORK(FW)については、別項で触れたが、AshtonTateがボーランド社に吸収合併される前年(1991年)に、実はFWII + と言うプロジェクトが存在していた。 
既にMicroSoft社からはOffice構想が出ており、”一つの統合ソフト” vs ”マルチソフトによる統合的な機能の提供”との対立 軸が出てきてた。 因みに、このフレームワー クの良さを理解する多くのサポーターがおり(どちらかと言うとMSに批判的であ り、しかも複雑系がわかるプログラマー達 等々)、また専門雑誌にも私はしばしば登場し、FW の優位性を声高に吹聴してい た事もあり、後にMSの社長となった阿多氏(当時はMSのマーケティングの課長、現在ソフトバンク)と専門誌でのディベートの 記録が今も残っ ている。 当時は、DOSのパソコンの箱としての性能を考えると、一つにコンパクトに纏まったFWに軍配が上が るとの流れをつくる事ができていた。 だからMSの社内で”富 田をどうにかしろ”との話が出たとも聞く(真相は不明だが)。 た だそん中で、FWの表計算機能が専門ソフトであるLotus123と比較し、一つの大きな機能上の欠如を指摘さ れていた。 それ は罫線を引く機能が無いとの事。 かのLotus123でさえも、日本で販売を始めた時に、罫線機能が存在せず、その事が販売 の大きな障害になったと、当 時の菊池社長からお聞きした事があった。  それで、MSの次はLotus攻略を考えていた私は、 FWへの罫線追加の要求書を米国の本社に提出した。 勿論、罫線追加で Lotus123のマーケットを奪取するとの内容で。 
天才カーの居る、本社の開発からの返事は簡単だった。 罫線追加には膨大なLineのコードを書く必要があり、当時のDOSの 640Kとの限定的なスペースで収まる事は有 り得ない。 既にFWがその領域をほぼ使い切っており、残りのスペースどころ か、全ての領域を使っても無理との絶望的な反応であった。 
ところが、その半年後、私のReporting Lineであった Peter Boot副社長から奇策が提案された。 ”トミタサン、本社の開発は 無理と言っていたが、付き合い始めたインドの 開発会社が出来ると言っている” とのBig Newsだった。 費用は5千万円、  当時、私の日本のオペレーションだけでも年間にマーケティング費用だけでも2億円近く使って いたから、5千万円はLotusに勝 つ為のマーケティング費用と考えても割安だった。 ただし、本当にDOSの限定があり、元々の開発者が無理と言っている事 を、当時はまだ わけのわからない存在であったインドの会社が開発できるのか? それの方が問題だった。  しかしながら、 米国で新発売をしたdBASEIV(ディービエースフォー)が バグ 問題で売り上げが落ち、dBASEIII+ で善戦していた日本が起死 回生のFWII+を成功させれば・・・との気持ちで、このプロジェクトにGoをかけた。 その結果、1991年の10月 に見事、FWII+ (罫線バージョン)が完成し、Namingも FRAMEWORK ”EZ Works"とし初期ロットの製造に着手した(当時はシンガポールに 生産センターを保持していた)。  11月、この製品が私の手元に届いた。 しかし既に、ボーランド社への合併話が具体化する 中で、この世紀のソフトは葬りさられてしまった。 ボーランドにとっては、dBASE とその販売能力のみが買収の理由だったから である。   

多分、世界で一個しかない、私が保有するパッケージの写真をご覧いただきたい。 そこには罫線の機能が輝かしく明記され ている。 タイミングの問題もありBORLANDの 名前が後印刷されている。 

ここまでが、富田のインサイドストーリーだったのだが、今日、この文章を書く際に、Yahooで FRAMEWORKIIで検索をかけた、 そしたら何と、現在でもこのFRAMEWORKを開 発し続けている仲間達がおり、現在はFRAMEWORKVIIIになっている。 開発言 語であったFREDも生きており、やはりこの究極のコンパクトさ、各機能が完全にIntegrateされ ている事の意味を理解する人達 が居た事を知り、人は捨てたものじゃないと感銘した。 M&Aで、利益率の視点で簡単に捨てられてしまった技術の中に、本当 に環境とか人 間を考えた素晴らしい技術がある事は自明の理だと思う。 いや、むしろM&A Hagetaka に拾われた技術の方 がより良い人間の生活、人間の社会に根ざしていない、虚飾 に包まれた、騙しテクノロジーであるとまで考える今日この頃で あったから、この素晴らしい技術をAshtonTate無き、今も追求、発展させている人達の存在の発見は感動 だ。  きっと今後 の”使い切り撲滅” ”現資源の超有効活用” とのテーマの中でいつの日かこのFRAMEWORKERが本当の日の目を見る時が くるように思う。 

ここがフレームワークの現存サイト 
http://www.framework.com/ 




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