200×年5月16日23時00分。
岩原都知事が在日米軍に災害派遣要請。米軍出動。
200×年5月17日01時00分。
陸上防衛隊所属特別犯罪鎮圧特化部隊,通称ストレンジャーズがT市包囲を開始。
200×年5月17日06時15分。
米軍による空爆が開始される。
画面の中,美しい火花が舞っている。
昨日までは誰も想像すらしなかった光景。その向こうには彼のよく知る街があった。
「……1ヶ月前,ストレンジャーズは新型の対オーヴァード兵器を導入」
彼はテレビの前で頬杖をつき,言った。
「あれって気化爆弾の一種ですよね」
「…………」
「いくらぐらいするもんなんですか? ま,繁盛なさってて結構なことです」
「…………」
「……何人死んだかな」
男は黙ってリモコンでテレビを消し,立ちあがった。彼はその後姿を見送っていたが,ノブに手がかかったところでぽつりと言った。
「ひとつ伺ってもよろしいですか,ミスター・ライト?」
「何かね?」
「あなたは『人間』をどのように考えておいでで?」
「私は人間をどうとも思わない。何故なら,私も人間だから」
振りかえった男は,初めて幽かに笑ったようだった。
「人間について他人より多少多くのことを知っていればいい。それで商売ができる」
「…………」
「だが,君はどうかな?」
黒いコートを着た男は黙ったまま座っていた。閉ざされたドアを見つめる黒い瞳が,遠くの炎を映したように,仄かな燐光を帯びている。
200×年5月20日08時12分。
ストレンジャーズによる包囲網の完成。
魔の都市――デモンズシティの出現である。
“Intermission//Degradation Rites,” End. And see you next age...
※末筆になりますが,今回のシナリオ作成にあたっては,「私立経済学園」の霞様に全面的なご協力をいただきました。改めて御礼申し上げます。
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