#1 Demons City Shuffle
 

 

PRE-PLAY


G M:では,今回は第2部から18年経っているということで,状況説明をさせていただこうと思います。こないだの番外編の通り,3年後にT市が閉鎖されてデモンズシティになりました。ただし,この都市大きくなってます。
晟:大きくって,どのくらい?
GM:結局東京西部・神奈川・山梨の一部に渡るエリアが封鎖されました。で,その中に司政局を中心とした登録市民が住むエリアがあって,これは通称「市内」と呼ばれます。んで,その外周にもまた壁があって,非登録市民とかが住むエリアと隔てられているわけだね。
遙:外側の方は何て言うですか。
GM:とりあえず「市外」かな?
晟:(ぼそっと)てーかそれ,「そのまんま」と言わんか……。
GM:(無視)プレイヤーのみなさんには市内と市外のどちらかを選んでもらいます。とりあえずユウキはすでに外と決まっているんだが。
晟:アレはもう,それ以外の何者でもないわな。
綾:俺は「大谷組織」がどっちにあるかによるなぁ。
晟:市内でしょ。泪とかもいるんだし。
遙:それより「大谷組織」ってなんですか。
晟:名前決まってないんだよね。「大谷組織」カッコ仮名カッコとじ,みたいな。
遙:「大谷探偵事務所」とか?
GM:探偵!?(笑) いや,そーじゃなくて,UGN日本支部の,さらにデモンズシティ支部なんだってば。
晟:UGN日本支部デモンズシティ出張所所長大谷真。もはや何がなんだか(笑)。
GM:UGNデモンズシティ支部でいいだろ,もう(笑)。それはそうと,支部は市内にあるということで,UGN所属の人は市内に設定してください。
晟:それじゃ,ユウキ以外全員市内やん。
尚也:うむ,私もそうだな。
GM:上杉はUGNイリーガルだから,好きな方で構わないけど?
尚也:いや,私もつい近年までは普通の高校生という設定なので,市内にさせてもらおう。
晟:(『デモンズシティ』を読みつつ)あと,これ設定違うところってある?
GM:結局こないだの感染爆発のせいで,オーヴァードと一般市民の比率が3対1になってます。
晟:待て。それはいくらなんでも多すぎないか?
GM:あー,3の方にはレネゲイドウィルスに感染してるけど発症してない人も含みます。
綾:それはオーヴァードじゃなくて,感染してる人としてない人の比率が3対1ってことだね? 3の方にはジャームも含む?
GM:そうですね。いや,つまり皆オーヴァードのことは知ってるので,街中でエフェクト使っても,犯罪に使わなきゃとりあえずOKということが言いたかったのだ(笑)。あと,GPOはでてきません。
晟:(真顔で)ホー○ーだから?
GM:違います(笑)。単にこっちの設定では,魔街の封鎖および治安維持にあたっているのはストレンジャーズなのだよ。
晟:あ,じゃあコネの「GPO関係者」を「ストレンジャーズ関係者」に直していい?
GM:了解です。


GM:あと,前回までのキャラのその後を説明しておこうと思います。まず,UGNデモンズシティ支部に所属してるのがまず大谷。それから紫音,鷹村,泪,雨追。
晟:あれ? 雨追は前回でデモンズシティの外にいるはずなんだが……。
GM:所属してるんだけど,実際は外国で仕事してるんだよ。
一同:何だそりゃっ!?
GM:だって今までもそうだったじゃん(笑)。というわけで雨追は今イ○クということで。
一同:笑えねー!
GM:(無視)あと,お父さんも引き続き大谷んとこで働いてるんだよね?
綾:そう,15年も働いちゃったんだよなぁ(笑)。えーと瀞南寺綾,当年もちまして35歳になりました。
GM:文句なし最年長ですな。てか,ずいぶん他とトシが離れてるなぁ。
綾:まぁ,お子様ーズの父親世代ですからね俺。双子の子供もだいぶ大きくなりましたよ。
GM:それから光ですが,T市が封鎖された時点でサッカー選手をやめてます。今は学校の先生ですね。
綾:何の先生?
遙:体育教師以外何をやれと(笑)。
晟:なるほど(笑)。
遙:ちなみに光と明日香は相変わらず万年常春新婚バカップルでして,その娘はそーゆー家庭の中でほややんと育ってきました。名前は松山遙,15歳なのです。
GM:はいな。で,お子様ーズその2のご家庭なんですが。
晟:お子様ーズ? つまり僕のこと?
GM:そうです。泪は大谷んとこで仕事してるんだよね?
晟:あれは戦闘の役にはたたんだろうから,主に事務方だな。経理とか。
GM:経理なの?
晟:そう。自分んちと旦那んちの両方から金でてるからね。その管理。んで,やっぱり大谷は泪に財布を握られている(笑)。
GM:ひでえですな,アンタ(笑)。まぁ泪はそーゆーわけで市内にいるんだけど,問題は……。
ユウキ:例の鉄砲玉が。
綾:迷子の迷子の楓ちゃんが。
GM:楓はね,今でも大谷んとこに籍はおいてるんだよ。ただし13年前から行方不明。
晟:13年前!? 2歳の息子ほっぽっていくかアンタ!?
一同:(笑)
GM:しょうがないじゃん。アレは永遠の鉄砲玉だから。
晟:そんでその後一度も家に帰って来ないのね?
GM:そう(笑)。
晟:ほほーう……(怒)。
GM:そんなとこでお子様ーズその2,自己紹介を。
晟:はーい。というわけで一応あの2人結婚はしたようなので苗字は新条ですね。新条晟です。それとGM,歳なんだけどさ。
GM:はい?
晟:私,カヴァー高校生でええのん? もし10月がきてないと,14歳になってしまうのだが。
GM:誕生日10月で決定なの?
晟:番外編の時点で妊娠5ヶ月だったから,誕生日は10月か11月なんだよ。
GM:細かいなァ。ちなみにまだ10月にはなってないから,14歳の高校生でいいですよ。デモンズシティの学制なんていいかげんだろうし。
晟:……私が細かいっつーより,アナタがアバウトなのでわ?
GM:(無視)えーと,それと皆さんかなり意外でしょうが,バカップルはもう1組おるんだわ。
遙:誰ですか?
GM:磨亜矢と久島です。
一同:…………。
GM:久島は回復後何故か薬学の道に進みまして,磨亜矢の実家で働いてるんだよね(←磨亜矢さん家も医療関連)。
綾:……えーと。
晟:……それはどんな久島なんだ? 私,正直まったく想像つかんのだが。
GM:あ,ちなみにこの夫婦は封鎖時点ではデモンズシティの外にいましたが,その後封鎖地域が広がるにつれ中に残ったカタチです。
一同:夫婦!?
GM:(無視)最後,キルスティンですが。彼女はデモンズシティにいるんだが,大谷んとこには所属してないんですよ。
遙:じゃあ何してるの?
GM:彼女はですね,何故か司政局や日本政府の高官とコネがありまして。
晟:何故!?
GM:さあ,何故でしょう。とにかく,それで大谷に色々便宜を図ってくれてるですよ。それで……おそらく全員が一番気になってるところなんだろうけど。
一同:はい?
GM:大谷とキルスが……おそらく皆様のご想像通り……(笑)。
晟:大谷・キルス愛人説ですか。
一同:(爆笑)
ユウキ:ちなみに,それは何がどうなってそうなったんだよ。
晟:わかんないんだけど,何故か皆の間でそういう話が広まってましてね(←実話)。
綾:実は意外に似合いだという?
晟:似合いというか,大谷は延々キルスの面倒を見続けてそのまんまなんじゃないかっつー。
遙:でも何故に「愛人」ですか。
晟:あの2人,結婚はしなさそうだから(笑)。
キルスティン:(隣の卓から)ねえ,それってさぁ。
GM:うん?
キルスティン:大谷「が」キルス「の」愛人ってことだよね?
一同:(大爆笑)
真:(←隣の卓のGM)…………。
綾:待て,それは「愛人」か!?
ユウキ:むしろヒモか!?
晟:どうだろう。むしろアッシー+ミツグ+おさんどんみたいな……。
キルスティン:(携帯電話を使うポーズ)「あ,真ぉ? あたし今神楽坂で飲んでるんだけどさぁ,終電終わっちゃったし,タクシーもめんどいから,迎えに来て。じゃっ」
真:…………。
GM:…………。えーと,じゃあそういうことで。
真:……俺に選ぶ権利とかないわけですか。
GM:うーん,マスター的に言わせてもらうとねー。ないね。
一同:(さらに爆笑)

 嗚呼,大谷が報われる日はいつか(←すげえ他人事っぽい)。

 

SCENE 1


GM:と,いうわけでとりあえず第3部を始めたいと思います。
一同:(拍手)
晟:……長かったね。
GM:長かったね。
遙:長かったですね。
GM:……これからも長いんだよ,きっと。
一同:(笑)
GM:一応3回で終わるつもりだったんだけど,どうもそうなりそうもないし。
晟:そうなんだ?
GM:今回の話はほんのさわりだけになりそうなので。
遙:どれくらい続くですか? 5回とか6回とか?
綾:10回くらいになったらオンラインですな。
GM:その方が楽かもしれない(笑)。
晟:そりゃリプレイ書く方は楽だが……。
GM:それはともかく,シーンプレイヤーはお父さんから。お父さんは普段どうしてるの?
綾:大谷のトコ手伝ってますよ。
GM:他には何もやってないっけ?
綾:後は家。家事やってる。もう大学も卒業したし,定職得たしね。タマにバイトやったりもするけど。
GM:では今はUGNだね。
晟:UGNのDC支部って,どんなもんなわけ。
GM:見た目は4階建てくらいのちっこいビル。でも中身は詰まってる。
一同:中身は詰まってる!?(笑)
GM:てゆーか,上より地下の方が階数多い(笑)。
綾:それ,違法建築じゃ……。
GM:デモンズシティだからいいのだ。
ユウキ:金はどこから出てるんです?
GM:泪んとこと楓んとこと磨亜矢んとこ。
晟:あと日下グループから物資の横流しがあるんだなきっと(笑)。結構金集まってそうだなあ。
GM:最初DC編の設定考えた時には,大谷が資金繰りにひーひー言ってるハズだったんだけどねえ。
綾:いや,大谷「は」金に困ってるんだよ。
一同:(笑)
晟:組織が困ってなくても,大谷「は」金に困ってる(笑)。
尚也:哀れな……。
遙:さっき大谷さん,「いいんです,俺は部下の給料がきちんと出れば」とかゆってたですよ。
綾:いい上司だ。
尚也:上司の鑑だ。
GM:うーん,でもねー。部下より給料が低いのは何でなのかなー,とか(笑)。
ユウキ:うわ,ひっでえ。
綾:でもそれって誰のせいなの? アンタがピンハネするからじゃないの?
GM:(←紫音プレイヤー)な,なぁんのことかなぁ? ワタシは何も言ってないデスよぉ?
一同:(爆笑)
綾:あー,ここきちんとリプレイに書いてやらないとダメですね(笑)。
GM:書くな,そんなこと。それはそうと,君が書類仕事とかしてると,内線がかかってくる。
綾:はい?
GM:(渋い声で)「ああ,瀞南寺くんか。すまないが,ちょっと来て欲しいんだがね」
綾:え? ちなみに誰?
GM:あなたのよく知ってる,ここの一番偉い人。
綾:ああ,久遠紫音か。
GM:何でだ!(笑)
晟:(横から)てかGM,大谷の口調が違うんですよ。大谷なら瀞南寺って呼び捨てで,「すまんがちょっと来てくれるか」とかですよ。
GM:大谷も15年の歳月で成長したですよ。
晟:(疑わしそうな目)……成長?
GM:そう。色々とオトナになったの(笑)。
綾:まぁそれはともかく(笑),えーと,はい。何かご用ですか,所長?
GM/大谷:「すまんが,10分以内に私のところに来てくれないか」
綾:10分? ちなみにどこ?
GM:最上階。最上階のフロアは応接室がいくつかあって,他は全部大谷の執務室とかなんだよ。
晟:へー。広くていいねえ。
遙:今までの待遇とはえらい違いだ(笑)。
GM:そりゃ一応「長」がつくからね。
綾:でも本人そのスペースに慣れてなかったりして……一体何をしていることやら。
ユウキ:洗濯とか?
一同:洗濯っ!?(爆笑)
GM:何故洗濯だよ!
ユウキ:いや,何となく。
晟:例えば,酔っ払ったキルスがブラとかパンティとかほっぽらかしといてるとか……。
遙:うわあ!(笑)
綾:何,その涙がちょちょぎれそうな生活!(笑)
晟:「おまえ,下着くらい片付けろよ。恥ずかしくないのかよ!」「えー,面倒くさいー。真洗っといてー」とかさ。目に見えるようじゃん。
GM:う,うーん。目に見えてしまうなぁ(笑)。いや,本当は本とかファイルとかで壁が埋め尽くされてて,大きさの割には狭く見える部屋なんだけどね。
綾:ふーん? とにかく,瀞南寺綾,入ります。
GM:するとキミの目には,部屋じゅうに張り巡らされた洗濯ロープの幻影が見えた。
一同:(爆笑)
綾:お,おや?(笑)
GM:すると割烹着に三角巾をつけた大谷が現れた。っていや,冗談だけどさ(笑)。
綾:あんまり冗談に聞こえないからやめてください(笑)。
GM:では話を元に戻します。「早かったね。その辺に座ってくれないか」
綾:はい。
GM/大谷:「早速だが,君は市外に出たことがあったかな」
綾:ないわけじゃないですけど? 数えるほどですが。
GM/大谷:「実は市外の,それもスラム化した地区に,変な噂が広まっていてね。その調査を頼みたい」
綾:調査……ですか。
GM/大谷:「詳しいことはよくわからない。あくまで噂なんだ。何でも,最近市外で巨大な宝石が出回っているらしい」
綾:宝石?
GM/大谷:「が,その石を手に入れた者は,例外なく発狂して死ぬんだそうだ」
綾:どっかで聞いたような話だなあ(笑)。
GM/大谷:「単なる噂として片付けてしまうには,少々気になるところがあってね。君に調査隊の指揮を任せたい」
綾:俺……ですか。
GM:他にベテランいないからね。支部に所属してるオーヴァードのうち,大谷はトップだから基本的に動けない。雨追は例によって外国だし,紫音は支部に所属してるんだが常駐じゃない。
晟:どこほっつき歩いてるんだ。言ってみろ(笑)。
GM:(無視)泪は事務方だし,楓は行方不明。キルスはそもそもここ所属じゃないし。あとは栄吉くんとか(笑)。
綾:光は?
GM:あれはイリーガルだもん。
ユウキ:アレと明日香は性格的に問題がある。
一同:(爆笑)
遙:ひどいことを……。
ユウキ:任務中にラブコメされてたまるか。
GM:あとは鷹村だけど,あれも集団行動が向くタイプじゃないしな。そうするとすでにキミしかいないという(笑)。
綾:わかりました,是非私がやらせていただきます(笑)。ちなみに,調査隊ってことは誰か他にいるんですよね?
GM/大谷:「ああ,優秀なイリーガルを1人選定してあるから,君が話をつけてくれ」
尚也:私のことですな。
GM:そうです。「それと……そうだな。そろそろ『彼ら』にも実戦を経験させてもいいと思ってね」
綾:あー。お子様ーズですか。
晟:僕ら,実戦経験ゼロなのです。
遙:初陣なのです。
綾:ひょっとして,お守も任務のうちですかい(笑)。
GM/大谷:「まぁそういうな。いつかはやらなきゃならないことなんだからな。ああ,それともう1人,地元の人間を想定してるんだが……」
綾:市外の,ですか?
GM/大谷:「そうなるな。道案内は必要だろう?」
綾:そりゃそうですけど……どういった人物で?
GM/大谷:「さて,彼の情報はほとんどない。まだ少年で,何でも屋を営んでいて,非常に優れたオーヴァードだということぐらいしかな。ただ,彼の仕事の仲介をやってる人物とは割と連絡がつきやすいから,まずはそこから調べてみてくれ」
晟:(ぼそっと)……『何でも屋』ってねえ……(笑)。
GM:えー,ではそんなところでシーンを変えます。

 

SCENE 2


GM:さて,その『何でも屋』サンだけどね(笑)。新規キャラその1,どうぞ。
ユウキ:はーい。草薙ユウキ,16歳です。
晟:(のプレイヤー,いきなり大爆笑)
遙:え,何? 何?
晟:何じゃその安直極まりない名前は!(笑)
ユウキ:いいじゃないスか! この際だから楓に倣ったんですよ!
晟:倣うなあんなもんに!
GM:(←名付け親)悪かったねえ……(笑)。
ユウキ:俺は保志○一朗のホームページまで行って調べてきたんですよ!?
晟:調べるな!
キルスティン:(隣の卓から)そんなのいちいち調べなくたって,「キラ・カズマ」とかでいいじゃん。
ユウキ:あれはヤマトが苗字だろ!
GM:いやそういう問題ちゃうし(笑)。てーか,話元に戻していいか?
綾:ちなみにシンドロームは?
ユウキ:エンジェルハイロゥ/キュマイラです。
晟:キュマイラ/ハヌマーンじゃないの?
ユウキ:エンジェルハイロゥの方が使いやすいんですもん。
晟:キュマイラ/ハヌマーンにせよとちゃんと書いてあるのに。
ユウキ:どこに?
晟:『デモンズシティ』の17ページに。
GM:だからアンタもそういうヤバいこと言ってんじゃねえ!(笑)

 注:何がおかしいのか全くわからなかった人へ。
 楓はモデルが緑○光さんがCVをやってた某Rさんだったので,新条○輝+流○楓=「新条楓」になりました。
 ユウキはモデルが保○総一朗さんがCVをやってた某Kさんなので,草薙○+相○祐希=「草薙ユウキ」になったそうです。
 ちなみに『デモンズシティ』の「縛られぬ魂」がKさんそっくりで,「正義の執行者」がRさんそっくりだというのは多分松井の気のせいなので気にしないでください。

綾:(しらっと)あれは「リスペクト」とか「オマージュ」とか呼ばれるものなのでいいんですよ。
一同:…………。
GM:(気を取りなおして)で,君は何でも屋っつーことで,色々な仕事を引き受けて暮らしてるんだな。
遙:何でもやるですか。
ユウキ:やるよ。
綾:(いきなり)すいませーん,ドブに財布落としたんですけど,拾ってきてくれませんかー?(笑)
ユウキ:あァ? 自分でとってこいや!
一同:(笑)
綾:何でもやってねーじゃん。
ユウキ:そんな金にならなそうな仕事はやりません。それに,仕事は「親友」が全部とってくるんですよ。
GM:えーと,親友の名前なんだっけ。
ユウキ:山崎イサムです。
晟:またそのまんまな名前を……。
ユウキ:ほっといてください。ちなみに8歳の女の子と一緒に暮らしていてます。名前は遠野ゆかりです。
晟:…………。

 このネタ,全部が全部わかる人は,それはそれですげーですな。

GM:(咳払い)では,ある日のこと。君が住んでいるあばら家に明るい声が響き渡る。「ゆっうきくーん! 仕事もってきたよー! おっしごとですよー! あれー? いないのかなー?」
ユウキ:(扉を蹴り開ける)朝っぱらからうるっせー! 何の用だよッ!?
GM/イサム:「だからぁ,仕事だってば」
ユウキ:ああ? ったく,面倒くせえなぁ。
GM/イサム:「どうせ金ないんでしょ? ほらほら,稼げるうちにバーン!と稼いでおかなくっちゃ。ねえゆかりちゃん」
晟:(←いきなりゆかりちゃん)ユウくん……ちなみにお米も野菜ももうないんだよ?
一同:(爆笑)
ユウキ:だっ,だから,これからたんまり稼いでくるんだよっ。
晟/ゆかり:「そんなこと言って,こないだもこーんなお札1枚だけだったよ? こないだのその前もたんまりとかゆって1枚だったよ?」
ユウキ:ぐっ……。
GM/イサム:「ゆかりちゃーん,いっつも苦労するねえ」
晟/ゆかり:「仕方ないです。ユウくんは掃除も洗濯もお料理も何もできないダメ人間ですから」(爆笑)
ユウキ:てめえら……。
GM/イサム:「ゆかりちゃーん,本当にコイツはダメ人間だけど,俺がついてるからだーいじょうぶだよー♪」
ユウキ:おまえがもうちょっとマシな仕事もってくりゃ済むことなんだよッ!(殴る) ともかくゆかり,行ってくるからな。留守頼むぜ。
GM:ではそういうことで,彼のバギーで目的地に向かいます。
ユウキ:ちなみにその目的地ってどこなんだよ。
GM:君んちから少しいったところに,まぁ放棄された住宅とか廃ビルとか集まってるとこがあってね。
ユウキ:誰か住んではいるんだろうけどな。
GM:君んちも似たようなもんだしな(笑)。車はそんな廃ビルの1つに停まります。
ユウキ:ここに何があるんだ?
GM/イサム:「何でも,このあたりにすげえデッカイ宝石が出回ってるって話なんだよな」
ユウキ:マジかよ?
GM/イサム:「マジマジ。ただしその宝石って,手に入れたヤツはみーんな発狂して死んじまうって噂なんだよな」
ユウキ:……俺に発狂して死ねと?
GM/イサム:「(ひらひらと手を振って)だーいじょうぶ,ユウキくん強いから」
ユウキ:てめえ……。
GM/イサム:「そのかわり,手に入れれば数ヶ月は悠々暮らせるぜ? おまえ,いつまでもゆかりちゃんをお腹すかせたままにしちゃ,不憫だろ?」
晟/ゆかり:「ユウくん……米と野菜と,あとお味噌も……」
一同:(笑)
ユウキ:わーったよ! 米と味噌と醤油と野菜! 行ってやろうじゃねえか!
GM/イサム:「さっすがユウキくん,頼りにしてるよ!」
ユウキ:ああ,ああ,行きゃいいんだろ行けば!
GM/イサム:「ちなみにこのビル,ジャーム化した動物とか住みついてるって話で,俺じゃ危なくて入れないんだよ」
ユウキ:…………。俺がとってくりゃいいんだろ。
GM/イサム:「そうそう。じゃ,俺は襲われないように向こうにいるから。がんばってねー」
一同:(笑)
GM:というわけで彼は退場(笑)。君はそのビルの中に入るわけなんだけど,中は真っ暗。こーゆー廃ビルの中に浮浪者とか住みつくのもよくあることだけど,人が暮らしている気配はない。その代わり……。
ユウキ:その代わり?
GM:周囲から,殺気を感じるね。あとは犬の唸り声とか……。
ユウキ:ったく,しょうがねえなァ。くるならさっさとかかってきやがれ。
GM:すると闇夜で目がきらーんと光って,巨大な犬?らしき影が四方からとびかかってくる。さて,戦闘なんだが……。君のイニシアティブ,異常に高かったよなァ(笑)。
ユウキ:19です。
一同:(爆笑)
遙:何じゃそれは!
ユウキ:エフェクトとらずに経験点ほとんど能力値につっこんでますから。
晟:やはり殴るしか能のない男か……(笑)。
ユウキ:ほっといてください。とりあえずエフェクト使わずに殴ってみます。(ころころ)19です。
GM:避けられるかそんなの。
ユウキ:しかしダメージが……2!? 2って何だ!?(笑)
晟:え? 何でそうなるの?
ユウキ:素手だけだから−5されるんですよ。
晟:やはり殴るだけではダメなのでは。
ユウキ:次からエフェクト使いますよ。へい,反撃してこいや。
GM:ちくしょー余裕だなぁ(笑)。ではこっちの攻撃が(ころころ)16の,8の,8の,10。
ユウキ:(ころころのころころ)全部避けた。
GM:エフェクト使わずにそれかよっ!?
尚也:【肉体】10とか言ってる時点で勝負は見えていると思うのだが。
GM:というわけで戦闘省略(笑)。では4匹のお犬さんはあっという間に追い散らされてしまいました。が。
ユウキ:が?
GM:その奥から,さらに強力な殺気が。すると,今追っ払った犬どもがその背後へと逃げ込んでいく。
ユウキ:へっ,親玉のお出ましかよ。
GM:出てきたのは,おや? これ本当に犬か?と言いたくなるゴッツイ形状の犬だ。そしてその胸には,何故か緑色に光る石が埋め込まれている。
ユウキ:イサムのヤロウが言ってた宝石ってのはアレか……。
GM:ちなみにこの犬,強そうよ。少なくともタダの犬ではないぞ?
ユウキ:悪いがこっちも生活がかかってるんでな。マイナーで《完全獣化》,それから《ピンポイント・レーザー》に《全知の欠片》で攻撃。
晟:(ルルブを読みつつ)へーっ,今度《ピンポイント・レーザー》って組み合わせが「すべて」になったんだ。
尚也:そうですね,強いですよ。
綾:てか,ハヌマーンの立場がどんどん無くなっていくよな(笑)。
ユウキ:でもこっちもダメージ減りますからねえ……って低い! 7点!
GM:の装甲値無視か。でも,それじゃ死なないな。じゃあ反撃……(ころころ)ううっ,回らない。12。
ユウキ:(ころころ)素で避けた。
GM:うーん。そうすると,明らかに向こうはひるんでる。そろそろ逃げたいなー,みたいな。
遙:尻尾がお腹に回っているんですね(笑)。
ユウキ:(考えている)ここで逃がすのもバカみたいだが……生活もかかってるんだが……。
GM:どうする?
ユウキ:……うーん。いい,逃がしてやるか。
GM:そうですか? では,犬さんズは5匹そろって逃げ出します。あたりからは嘘のように殺気も消えるね。
綾:でも米に味噌に野菜は?(笑)
GM:えーと結論からいうと,他には何も見つからなかった。
一同:(笑)
GM:やっぱりさっきの犬が持ってた宝石が,お目当ての品だったらしいね。
ユウキ:…………。
綾:その時,君の耳には幻聴が……。
遙:ユウくん……お米とお味噌と醤油と野菜がないよ?
晟:油もないよ? パンもないよ? 水だってないよ?
ユウキ:だー! 外野うるせー!
GM:ところで君がとぼとぼビルから出てくるとだね。「やーユウキくん,首尾はどーだい?」とバギーでくつろいでる彼がいるね(笑)。
ユウキ:とりあえず殴る!
GM/イサム:「な,何すんだよユウキ!」
ユウキ:うるせえっ!
GM/イサム:「うるせえって……あ,首尾はどうだったんだよ? ちゃんと手にいれてきてくれたんだろうな?」
ユウキ:ねえよ。
GM/イサム:「は?」
ユウキ:ねえったらねえ。何度も言わすな。
GM/イサム:「おかしいなあ……ホントに何もなかったのか?」
ユウキ:……犬っころが何匹かいただけで,他には何もねえよ。
GM/イサム:「あーっ,その犬だよ! その犬が宝石持ってただろ!」
ユウキ:…………。
GM/イサム:「あれ? ユウキ? どったの?」
ユウキ:うるせえ! 別の仕事ねーのかよ!
綾:あっ,もう逃げた(笑)。
晟:基本的にアタマがないので,うまくごまかせないみたいですね。
ユウキ:だから外野はうるせえっ!
GM/イサム:「ユウキくーん? つまり,失敗したってことなのかなー?」(笑)
ユウキ:…………。
GM/イサム:「あーあ,ゆかりちゃん何て言うかなぁ。報酬高かったのになー。今回もまた『ダメ人間』だねユウキくーん?」
ユウキ:べ,別の仕事ないのか? 本当にないのか?
GM/イサム:「うーん,今んとこはないねー」
遙:そして耳には幻聴が。
晟/ゆかり:「ユウくんの甲斐性なし! ダメ人間!」
一同:(爆笑)
ユウキ:がー! あんなところで変な仏心だすんじゃなかったーっ!
綾:大丈夫だよ,そのうち仕事もってきてあげるから(笑)。
GM:ではその時を待ちつつ,ここでシーンを変えます。

 

SCENE 3


GM:では新規キャラその2,上杉尚也くん,どうぞ。
尚也:(淡々と)上杉尚也,男,16歳です。ハヌマーンのピュアブリード,コードネームは「ホワイト・トルネード」。どうぞよろしくお願いします。
一同:お願いしまーす。
尚也:ちなみに趣味は野球です。
一同:野球!?
尚也:(やはり淡々と)はい。和也という双子の弟がいました。
晟:あー……。
綾:それオチですか。
GM:弟さんはやはり交通事故で(笑)。
尚也:そうです。しかし,その遺体が何者かに盗まれたのです。しかも,弟はオーヴァードとして覚醒・蘇生していた。そこで,私は弟を「拉致」した組織を追うため,他のオーヴァードとの接触に努めているのです。
GM:それでたまにUGNイリーガルとしても働いてるわけやね。
尚也:ちなみに魔球を投げます。
一同:…………。
GM:……えー,そういうわけですんで。君はUGNの仕事をしていない時は喫茶店でバイトしてるんだよね? じゃあそこから。
尚也:はい。ではスナック『北風』で。
一同:北風ぇ!?(笑)
GM:寒い! 寒すぎる!
遙:しかも何故スナック!?
ユウキ:せめてバーにしません!? ワビシサ大爆発ですよ!?
GM:BGMにロシア民謡とか流れていそうな雰囲気だわ。
晟:(陰々滅々と)かなしーみのふゆはーゆきーわがおーもいもえあーがる♪
綾:だからって歌わんでもいいから。
遙:(陰々滅々と)うえのはつのやこうれっしゃおりたときからー♪
綾:それはロシア民謡ちゃうし。
尚也:まあそんな雰囲気の中で黙々とシェーカー振ってます。
一同:どんな店だ。
尚也:(←ぜんぜん動じない)モスコミュールでも作ってましょう。
GM:え,えーと,じゃあカウンターの中に店の主人のおっちゃんとかいるわけだけど。「なっちゃん,最近調子はどうだい?」
尚也:調子?
GM/マスター:「カっちゃんのことさ。何か情報は手に入ったかい?」
尚也:いや,まったく。市内はくまなく探したんだがな。
GM/マスター:「そうか……」
尚也:ひょっとしたら,もう市内にはいないのかもしれないな。
GM/マスター:「そうなると厳しいな……何か足がかりがあればいいんだが」
尚也:いざとなれば,もぐりこむ手段はいくらでもあるさ。
GM/マスター:「なっちゃん……」
尚也:心配しないでくれ。マスターに迷惑はかけない。
晟:(ぼそっと)何かここだけ世界が違う……。
綾:(ぼそっと)晟くん,これが正しいダブルクロスの世界というものだよ(笑)。
GM:さて,そこでドアベルがからんと音をたてる。そこ,登場してください。
綾:あ,俺?
尚也:(淡々と)いらっしゃいませ。お一人ですか? 何になさいます?
綾:あ,じゃあブレンドを。
尚也:かしこまりました。
綾:……それと,仕事があるんだが。
尚也:ええ。確か……瀞南寺さんでしたね?
綾:とあるものを探しに行くんだ。少々危険なことになるかもしれんので,君の力を借りたい。
尚也:報酬は,いつも申し上げている通りです。何か新しい情報でも?
綾:(GMに)えっ,報酬それなの? 金じゃなくて?
GM:もちろん金も渡すけど,メインは情報。
尚也:お金には困ってませんしね。……情報がないのでしたら,お引受けいたしかねますが?
綾:(考えて)弟さんの情報はないが,市外に行く仕事だ。市外で情報収集したことはまだないだろう?
尚也:…………。
綾:通行許可はこちらで申請する。興味はないか?
尚也:わかりました。まずはお話だけ伺いましょう。
GM:じゃあ,かくかくしかじかで,スラムに「人を発狂させるという宝石」を探しにいくという仕事だね。
綾:それと,ちょっと事情があってうちとこの新人2人のお守も入るけどね。
尚也:……いいでしょう。お引き受けいたします。
綾:助かるよ。じゃあ明日,支部に来てくれ。
晟:(ぼそっと)……あのー。外野からすみませんが。
尚也:何でしょう?
晟:尚也さん,おいくつなんで?
尚也:先ほど申し上げましたが。16歳です。
晟:うわ暗っ!?
一同:(笑)
綾:いや,それを言うなら大谷もあれで17だし(笑)。
遙:大谷とこれとじゃ,老け方のニュアンスが微妙に違うような。
尚也:(淡々と)去年の事故が起こるまでは私もこんなではなかった。
晟:そうなんですか?
尚也:(淡々と)そのころは熱血高校球児でした。
晟:…………。
GM/マスター:「でも,よかったじゃないかなっちゃん。これでカっちゃんの情報も少しは手に入るかもしれないよ」
綾:仕事に支障がない程度なら,個人的に動いてもらうのはかまわないし。
尚也:ええ,それは条件に入っているはずです。
GM/マスター:「でも気をつけてくれよ。なっちゃんなら心配いらないかもしれないが……」
尚也:ありがとうマスター。少し留守にするが,よろしく頼む。
GM/マスター:「わかった。瀞南寺さん,なっちゃんのことをよろしく頼みます」というところでシーンをきっておこう。
晟:あのー,ところで幼なじみの女の子は出ないんですか?
尚也:(きっぱり)出ません。
ユウキ:まあ出たところでねえ。「北ちゃん」じゃねえ(笑)。

 それは確かに嫌だな……。

 

SCENE 1


GM:では次,そこのお子様ーズだが……どっちにするかな。まとめてでもいい?
綾:いいんじゃないでしょうか。
晟:まとめてでいいですよ。僕はどうせ遙ちゃんとこに入り浸ってるんだし。
遙:そうなのですか?
晟:あんまり家に帰らないようにしてるんです。
GM:してるんですか。
晟:してるんです。だってあの人何かと面倒なんですもん。
GM:面倒って,アンタな(笑)。
ユウキ:どうも「食傷」気味らしいぞ(笑)。
綾:では,その頃の泪さんの心境をどうぞ。
一同:(笑)
晟:(←泪プレイヤー)……心境,と言われてもなァ……。
綾:(甲高い声)晟ちゃんが〜,晟ちゃんが帰って来ないの〜(笑)。
晟:伊織パパちゃうわっ。
GM:えーそれはともかく,では放課後ということで。
遙:はーい。(かわいい声で)晟ちゃん,晟ちゃん,あのね……。
晟:(いきなり)遙ちゃん,それは違う。
遙:ほえ?
晟:呼び名は「あきちゃん」にするって決めてたじゃないか。
一同:決めてたのかよっ!(笑)
遙:(のプレイヤー)そ,そうでしたっけ?
晟:(のプレイヤー)第3部の予告編を書く時に決めたでしょうが。
綾:てか,変なトコ細かいなぁ(笑)。
GM:てか,マスターも知らないところで決めてるし。
ユウキ:それ以前に,なんて恥ずかしい名前で呼び合ってるんだこいつら。
晟:(無視)そういうわけで僕のことは「あきちゃん」と呼んでくれ遙ちゃん。
遙:じゃあやり直しします〜。
GM:はいはい。それじゃ……。
遙:(かわいく)ねえあきちゃん,今日の夕飯何がいいですか?
晟:んー,そうだなー。昨日はパスタだったから,今日は肉じゃがとかが食べたいかなー。

 一同,机に突っ伏す。

尚也:…………。
綾:こ,こいつら……。
ユウキ:でやがったなバカップル2号。
遙:(聞いてない)わぁい,それじゃお母さんに頼んでみるねっ。
晟:あれっ,遙ちゃんが作ってくれるんじゃないの?
遙:えっ,私が作っていいですか!
晟:僕はそのつもりだったんだけどなぁ……遙ちゃんの手料理が食べたいんだし。
遙:えっ,本当ですか!? 嬉しいですう!
晟:肉じゃがと,そろそろ菜の花が美味しい季節だから,辛子合えとかもいいかな。
遙:はい,がんばりますです!

 以下,ほのぼのと(笑)会話が続くこと数分。

ユウキ:……だから! 人に突っ込まれるのを待つなそこのバカップル!
一同:(爆笑)
GM:えーと……何というか,親に輪をかけてダメっぽいんですけど。気のせいですか?
晟:いくらなんでも松山夫妻よりはマシだと思うんですが。
遙:(頷いて)普通だよねえ。
GM:普通かよ。てゆーか,それが日常の会話なんだな,あんたら?
晟:ですね。
遙:(同時に)はいです。
綾:……ダメだこりゃ(笑)。
ユウキ:とりあえずぶん殴っておきたい。殴っておこう。殴っていい?
晟:まあそれはおいといて,遙ちゃんって料理得意なんでしょ? そういう設定じゃなかった?
綾:いや? ステキらしいよ?
晟:……ステッキー?
遙:です(笑)。
ユウキ:【社会】1かよ? 滅多に出ないファンブルも出せそうだな。
遙:ですです。でもとっても「作りたいっ!」という想いはいっぱいなのです。
晟:そうなんだ。
遙:そうなんです! そういうわけで作ってもいいですかあきちゃん!
晟:うん,またの機会にね。
一同:(笑)
遙:(ふくれている)むー。
ユウキ:むー,じゃねーつーの。
綾:マジでダメだこりゃ。
GM:えー,そういう会話をしながら,彼女の家に帰るわけなんだが……ん?  何か表現がおかしいな。
尚也:「彼女の家」に,「帰る」……。
GM:ヒジョーにいかがわしい響きにしか聞こえないのは何故だろう(笑)。
晟:やめてくださいよ。まだ14歳なのですよ,僕は。
遙:私は15歳なのです。
晟:まぁいずれはと思ってますが。
一同:思ってるんかいっ!?
晟:(真顔)まだまだ先の話です。遙ちゃんは僕の天使ですから。
遙:ほえ?
一同:…………。
GM:と,とにかく「松山家」に帰ってきたわけだ。そうすると,「あ,2人ともお帰りなさい」とバカップル1号の片割れが。
晟:ただいま,明日香さん。
遙:ただいまなのです!
GM/明日香:「おかえりなさい♪ ふたりとも,いいコにしてた?」といいつつ2人の頭をナデナデと(笑)。
晟:あのー明日香さん,僕ら,一応高校生なんですが……。
遙:はい,いいコにしてましたー!
一同:(笑)
晟:…………。
GM/明日香:(にこにこ)「晟くんは?」
晟:…………。ええ。そりゃあもう。
GM/明日香:「そっかー。それじゃおやつ用意してあるから,キッチンに来てねー」
晟:あ,はい……。
遙:あきちゃんあきちゃん,手を洗いに行こー!
ユウキ:幼稚園児かよおまいらっ!?(爆笑)
晟:…………。
遙:行かないですか?
晟:そ,そうだね,遙ちゃん。手をちゃんと洗わないと,バイキンがいっぱいで大変だもんね。
遙:はい! 洗面所にれっつごーです!(駆けてゆく)
晟:…………。
綾:つ,疲れそうな生活だね。
晟:いいんです。遙ちゃんは僕の天使ですから。
ユウキ:まだ言うかおまえは。
晟:それに,ここんちで育てばああなって普通ですよ。
綾:キミそれに汚染されててええんか?(笑)
GM:ではそういう「ここんち」の描写なんだが(笑),リビングに来るとまぁたお馴染みの人が,「おう,2人ともお帰りー」と。
晟:ただいま,光さん。
遙:ただいまです!
晟:あれ,光さん今日学校は?
GM/光:「今日は早退」
晟:……いいんですか?
GM/光:「いいんじゃないかなぁ。今日は体育の授業ないしさ」
晟:うーん,平和だなァ……。
GM/光:「(急に声のトーンが高くなる)それに,今日は明日香がケーキ焼いてくれるって言うしさっ!」
綾:結局そこかいアンタ!(笑)
ユウキ:変わってねえ。ぜんっぜん変わってねえ。
GM:そんでもってキッチンではチーン♪という音が高らかに響き渡り,光くん御自らがケーキを運んできてくれます。ちなみにホール36センチだ(笑)。
晟:(←プレイヤーが辛党である)さ,36?
GM:(にやにや)光が「どれくらい食べるー?」とナイフをとりだしてますが。
晟:あ,あの,僕1切れで……。
GM:「おー,じゃあ1切れなー」と言いつつ,4分の1カット。
一同:(爆笑)
晟:光さん光さん,それ「1切れ」っていいませんっ。
GM/光:「何言ってんだ,そんなことじゃ大きくなれないぞ?」
晟:砂糖とバターで大きくなりたくありませんよっ。
遙:えー,でも「1切れ」は「1切れ」なのですよ?
晟:…………。
遙:ちなみに私は2切れくらい食べるです。お母さんのケーキはおいしいのです!
GM/光:「ちなみにまだまだ沢山焼きあがってくるからな!」
晟:…………。
遙:あきちゃん,食べないですか? おいしそうですよ?
晟:そ,そうだね遙ちゃん。とってもおいしそうだね!
ユウキ:無理せん方がいいと思うぞ。
綾:晟くんは甘いの平気なわけ?
晟:あんまり得意じゃないです(泣)。
GM:ちなみに松山家のケーキはここの家庭と同じくらいに超絶甘々ですが?
晟:……〈耐性〉とかで振っていい?
一同:(爆笑)
晟:ちなみに【肉体】1です(笑)。(いっころ)7。
GM:あー。かなりキッツイですな。がんばってのたうちまわってください(笑)。
綾:砂糖が! 口から砂糖が溢れる!(笑)
ユウキ:(ぼそっと)しかしなァ。
晟:はい?
ユウキ:コレに甘んじてでも帰りたくない家庭って,どんなよ?
晟:ウチの家庭の事情は気にしないでください。
綾:聞きたいような,聞くのが怖いような……。
遙:(←光プレイヤー)いやあ,明日香のケーキは本当においしいなあ! 世界一だよ!(笑)
ユウキ:おまえは黙っとれこの元祖ラブコメアン!
GM:さて,例によってキリがなさそうなので話を進めましょう(笑)。そんなタイミングで玄関のベルがぴんぽーん♪と鳴るわけですが。
遙:あっ,私出てくるですぅ! どちらさまですか,がちゃっ。
一同:早っ!?
晟:(←慌ててとんでくる)遙ちゃん! ドアは外にいる人を確かめてから開ける!
遙:ほえ?
晟:ほえ,じゃありません! いつも言ってるでしょ!
綾:(←その来客)……えーと遙ちゃん,ひさしぶりだね。
遙:あっ,綾さん! おひさしぶりなのです! ちょうど今お母さんがケーキを焼いたところなのです! 是非食べていってほしいのです!
綾:け,ケーキ?(笑)
晟:あっ綾さん,ちょうどいいところに!
綾:やあ晟くんもひさしぶり……。
晟:ケーキ食べてくださいケーキ! おいしいですよケーキ!
綾:ええ!?
晟:とか言いつつ自分のとこから3分の2くらいとって綾さんに!
綾:速攻かよ! 速攻ケーキかよ!
一同:(爆笑)
尚也:(←冷静に登場)で,結局何なんですか,この家庭は。
GM:何と言われましても,いつもこんなんです(笑)。
ユウキ:すでに殺しても治らないレベルです。
綾:えー,まぁとりあえず話を先に進めよう(笑)。お久しぶりです松山さん。
GM/光:「おー,ひさしぶり。今日はどうしたんだ? あれ,それに後ろの彼は?」
綾:彼はイリーガルで,ちょっと今回仕事につきあってもらうんですよ。
尚也:上杉尚也です。よろしく。
遙:(横から)あっ,なおちゃんだ! こんにちはなのです!
尚也:…………。あ。
一同:(笑)
晟:……遙ちゃん,知り合い?
遙:(←ちなみに尚也にロイスを結んでいる)なおちゃんはクラスメートなのですよ。
尚也:(淡々と)彼女は俺の右斜め前3列目に座っている女だ。
晟:ん? 遙ちゃんと同じクラスということは,僕とも同じクラスだよな。ということは僕も知っていることは知っているのかな?
GM:別にロイスなくたって知り合いなのは構いませんよ。
尚也:(淡々と)彼は私の前の席に座っている男だ。
一同:(笑)
晟:そうだったのか(笑)。(白々しい声で)やあ,君は後ろの席の上杉くんじゃないか。
尚也:(同じく白々しい声)そうです。テストを集める時,いつも君にテストを渡している上杉です。
晟:そうそう,プリントが配られるとき,いつも僕が手渡している上杉くんだね。
尚也:その通りです。
ユウキ:……だから一体何だってんだよ!?
一同:(爆笑)
晟:いや,だから多分それ以外の会話がないんだよ(笑)。
遙:お互い「前の席の人」「後ろの席の人」という認識しかないのですね。
尚也:ちなみにあなたも私にとっては「右斜め前3列目の人」という認識しかないのだが。
遙:でもなおちゃんは私のクラスメートでお友達のなおちゃんなのですよ?
GM:まぁどういう上杉くんかはこの際おこう(笑)。「で,イリーガルってことは仕事の話なわけ」
綾:ええ,そうです。それで……。
GM/光:「まぁそれはともかくケーキ食べない?」
一同:(笑)
綾:話を進める気はあるんですかアンタ!

 ちなみにこのケーキネタはこの後10分くらい(推定)続いた。
 本当にどーゆー家庭だ(いや松井はケーキ嫌いなんで,何か想像するだけで吐き気が……)。

尚也:(←でも結局食べている)これは「甘くて美味しい」というより,「甘すぎて有害物質」と評した方がいいのでは。
遙:お砂糖いっぱい入ってるですから。
尚也:(淡々と)砂糖がいっぱいというか,砂糖以外の成分が本当に含まれているのだろうか。まぁブラックコーヒーと一緒に食せばよいのかもしれないが。
晟:あ,そう? ちなみに僕は自分のぶんをちょっとずつ薄切りにしてキミのお皿へのっけてますが。
尚也:(じっと皿を見つめ)……何故減らないのだ。
綾:気づけよ!(笑) いや,そうじゃなくて仕事の話なんですってば。実はですね,松山さん。
GM/光:「何?」
綾:そろそろ遙ちゃんや晟くんにも,実戦を経験させたいという所長の意向なんですが……。
GM/光:「えっ,この子らに?」
遙:えっ,私たちもお仕事ですか!
綾:うん。遙ちゃんはどうだい?
遙:是非やってみたいです! 楽しみです!
晟:楽しみ,って遙ちゃん……(綾に)それって,危険じゃないんですか?
綾:危険は危険だよ。でもそんなこと言ってたらいつまでたっても現場にだせないって大谷さんがさ。
晟:ええ,それはそうなんですが……。
GM/光:「ちなみにどんな仕事なの?」
綾:えーと,市外にとある噂の真偽を確かめにですね……。
GM/光:「市外!?」
晟:(ほぼ同時に)市外ですか!?
綾:え,あ,いや,そうなんだけどね。
遙:えっ,市外ですか! すごいです! 私,一度市外に行ってみたかったです!
綾:いや,あの,そんなに目を輝かせて言われても困るんだがね(笑)。
遙:だって私,「噂好きの友人」から色々話を聞いてたです! きっととっても楽しいところなのです!
綾:え,あの,噂好きの友人? 誰?
遙:コネに「噂好きの友人」があるのですよ。その人から聞いたです。
尚也:なるほど。私か。
一同:(爆笑)
綾:あんただったのか!(笑)
ユウキ:根暗のくせに何故噂好きだ! どんなキャラだそれは!
尚也:いや,私は〈情報:噂話〉を持っているので。
晟:で,一体遙ちゃんにどーゆー噂を吹き込んだんです!?(怒)
尚也:私が嘘八百を言ったのか,彼女の頭の中で180度変換されたのか,そこは微妙なところだと思うが。
GM:どっちなの?
尚也:(淡々と)両方じゃないですか?
晟:まったく,遙ちゃんの交友関係にはもっと目を配っておかねば……。
ユウキ:そこはそこで保護者風ふかせてんじゃねえよ。
遙:(←ひとりで暢気)あきちゃん,市外なのです! すごいです! 感激です!
晟:感激じゃありません!(怒)
遙:ほえ?
晟:遊びに行くんじゃないんだよ!? 怪我したらどうするのっ!
遙:ふ,ふえ?
GM/光:「そうだぞ遙,市外ってのは,とおっても,怖いところなんだよ!? お父さんはとーっても心配だよっ!?」
一同:(爆笑)

 ……伊織パパ?

綾:……えーっと(笑)。
ユウキ:……何かどんどん腹がたってきたんだけど俺……(笑)。
GM/光:「(聞いてない)遙はただでさえぽーっとしてるんだから,市外なんか行ったら大変だよっ」
綾:いや,ちゃんと僕が面倒みますから。
GM/光:「君のことは信用してるよ。でもほら,この子ってばさー」
遙:でもでもお父さん,危険じゃないお仕事なんてないと思うですよ。
尚也:(ぼそっと)いえ,それはあると思いますが?
遙:それに,綾さんもあきちゃんも一緒です! 大丈夫なのです!
GM/光:「いや,俺もね? 経験積ませるのはいいことだと思うけど,でもいきなり市外ってのはなあ……」
遙:(じー……っと光を見つめる)
GM/光:「遙……どおしても,行きたい?」
遙:こくこくこく!(激しく頷く)
GM:じゃあ光はがっくり肩を落としながら明日香の方を見るんだけど,
晟:(←いきなり明日香)大丈夫だよコウくん,可愛い子には旅をさせろっていうじゃない。
一同:(笑)
GM:人の台詞をとるな。いやその通りなんだけどね。「わかったよ。お母さんもいいって言ってることだし,そんなに行きたいなら行っておいで」
遙:わあいです!
晟/明日香:「そのかわり遙,体には気をつけるのよ」
遙:はいですお母さん!
晟/明日香:「ちゃんと胃腸薬とバンドエイドを持って行くのよ?」
ユウキ:いやだから薬のチョイス違うし!
一同:(爆笑)
ユウキ:旅行に行くんじゃないんだから! 胃腸薬もってってどうすんだよ!
GM:じゃあかわりに風邪薬を(笑)。
尚也:(淡々と)怪我なんてレネゲイドウィルスですぐ治りますよ。
綾:(苦笑)で,晟くんは納得したの?
晟:遙ちゃんが行くっていうなら僕はかまいません。ただ……。
綾:ん?
晟:うちの母も承知してる話なんですか?
綾:(しばし沈黙)……うーん……いや,知らないと思うなァ。
晟:……この際だから,黙って行きません?
綾:俺もそうしたいのはヤマヤマだけど,倫理的にまずいだろ(笑)。仕方ないから電話してみます。
GM:では「はい,新条です」と泪さんが。
綾:あ,どうも,瀞南寺ですけど。
GM:「ああ,瀞南寺さん。お久しぶりです……」(黙る)
綾:?
GM:(晟プレイヤーに)やりにくい。代わって。
一同:(笑)

 キャンペーンも長くなると,こーゆーことが多々ありますね(笑)。
 泪は楽だと思うんだけどなァわりと。
 ちなみに「一番やりにくい」キャラで松井とみうりぃさんの意見が一致したのは大谷。
 意外かもしれないけど。

晟:えー,では気を取りなおしまして(笑)。「あ,瀞南寺さん。お久しぶりです」
綾:あ,はい。あの,早速なんですけど。
晟/泪:「はい?」
綾:実は,今回の仕事に晟くんを連れて行こうと思ってるんです。
晟/泪:「晟を……ですか」
綾:ええ。そろそろ実戦経験を積ませたいという所長の判断なんです。
晟/泪:「……大谷さんが?」
GM/光:「(背後でぼそっと)相模原ー。『大谷さんひどいっ』とか言っちゃダメだぞー」
綾:(甲高い声で)大谷さんひどいです! 楓に続いて晟まで私から奪っていくのね!
一同:(爆笑)
晟/泪:「…………」
綾:いや,彼女の心の声を代弁してみたのですが,いかがでしょう(笑)。
晟/泪:えーと,ではたっぷり1分間くらい沈黙があって。
GM:うわ長っ?
晟/泪:「(白々しいくらいにこやかに)そうですか。晟のことよろしくお願いいたしますね,瀞南寺さん」
綾:……では,よろしいんで?
晟/泪:「よろしいも何も,晟が決めることですもの」
綾:はあ。
晟/泪:「(にこやかに,しかしドスのきいた声で)それと光さんに余計なことは言わないように,と言っておいてくださいね?」
一同:(笑)
綾:…………。
晟/泪:「それじゃ瀞南寺さん,そのうち夕飯でも食べにいらしてください。出海くんと湊ちゃん(←綾ん家の双子の名前)もご一緒にね?」
綾:は,はい。それじゃ失礼します。
一同:…………。
GM/光:「……怒ってた?」
綾:まあ,それとなく。
GM/光:「……俺,逃げた方がいいかな?」
綾:知りませんよ,そんなの。(晟に)そういうわけでOKだそうだから。
晟:はあ……。
遙:OKですか! それじゃ早速出かけるですよ!(と駆け出す)
晟:(引き止める)遙ちゃん! どこへ行く気なのかな!?
綾:(頭を抱えている)えーと,今日はもう遅いから出発は明日ね。明日8時に3番ゲート前に集合。わかった? じゃあ今日は解散!
GM:じゃあここでシーン変えます。