SCENE 5


 一同は出発前に,簡単に情報を集めることにする。
 わかったのは,その「石」の噂がつい1ヶ月前に広まりだしたこと。そして「発狂」するのは人間とは限らない,ということであった。

遙:人間とは限らない……というと,動物ですか。植物とかも?
尚也:植物には精神がないので発狂も何もありませんが。
晟:動物の「発狂」ってどんなんだろう。具体的に。狂犬病とか? いや違うか?
GM:さて,実際見てみた方が早いんじゃないかな?
ユウキ:つまり昨日の犬っころとか?
GM:それはそうと朝の8時ですが。
綾:(←すでに引率の先生っぽい)これで全員登場してるのかな?
一同:(ユウキ除く)はーい。
綾:おお,約1名出ていない人がいるじゃないか(笑)。
ユウキ:ヒーローは遅れて現れるものなんですよ。
綾:ところで情報屋サンとは連絡とれてるんだっけ?
GM:昨日の夜にとれました。ゲート前にバンが1台用意してあって,君らが近づくと山崎くんが運転席から降りてきますね。「やー,どうもお待たせしました!」
綾:どうも,瀞南寺です。
GM/イサム:「これで全員ですか?」
綾:ああ。乗れそうかな?
尚也:ああ,ちなみに私はバイクに乗ってきているのでそれで後尾につきます。後ろから襲われる可能性もありますからね。
GM:ちなみに山崎くんはそこで「あれー,おかしいなぁ」とか言ってます。
晟:どうかしました?
GM/イサム:「おっかしいなぁ。ここで待ち合わせって言っといたんだけどなぁ」
綾:ああ,例の彼?
ユウキ:はい,じゃあここで登場します。向こうから徒歩でやってきますよ。
綾:……あれか?
晟:あれですかね。
GM/イサム:「おーいユウキ,こっちだこっち! 何遅れてんだよ,おまえは!」
ユウキ:じゃあそう言われたらいきなり走りだします。
GM:え?
ユウキ:おまえが車で迎えに来ないのが悪いんじゃねえかよっ,とぶっとばします!
GM:どっひゅ〜〜〜っ(←漫画のように飛んでいく)。
一同:(笑)
綾:(お空を見上げる)おー……。
尚也:というか生きてるか,アレは。
遙:ぱちぱちぱちぱち。
晟:(小声で)遙ちゃんっ,拍手しなくていいからっ。
遙:ほえ?
GM/イサム:「(復活した)な,何すんだよユウキ!」
ユウキ:うるせえっ!
GM/イサム:「ったくもー,いきなり蹴りいれるヤツがいるか?」
晟:殴られてますけど。
GM/イサム:「え,あ,そう?」
晟:そんなことよりっ。(と,山崎を隅に連れて行く)案内人って,彼なんですか?
GM/イサム:「そうですけど?」
晟:一応,こっちにだって噂は入ってきてるんですよ? 彼,札付きじゃないですか。
ユウキ:ああ?(怒)
綾:いや晟くん,何に対して札が付いてるかによると思うけど?(笑)
GM/イサム:「いやー,そりゃもう,彼は優秀なんで有名ですから!」
晟:それも聞いてますけど,札付きってのはそういうのじゃないでしょ。僕が聞いた噂では,依頼人をぼこり倒したとかぼこり倒したとかぼこり倒したとか……。
GM/イサム:「いやー,彼ちょーっと気難しくてですねー。気にいらない人間をちょっーと殴っちゃったりするんですよねー」
晟:…………。頬,腫れ上がってますけど。
GM/イサム:「ぼ,ボクってひょっとして彼に気に入られてない?」
遙:(そのわきで)どもども,松山遙というのです。よろしくお願いするのです。
ユウキ:ああ?
晟:(すっとんでくる)遙ちゃんっ!
遙:きゅ?
晟:きゅ,じゃありません。彼はね,とっても「ふりょー」な人だから,あんまり気安く話しかけないようにね?
遙:ほえ? でもお母さんが,みんなと仲良くしなさいって言ってたです。それに,「ふりょー」な人にはきっとふりょーになっちゃうくらいかわいそうな事情があるですよ。
綾:……(ユウキに)かわいそうな事情?
ユウキ:…………。
晟:(聞いてない)とにかく,彼に限らず誰かにフレンドリーに話しかけるときは,僕のいる時にすること。いい?
遙:何だかよくわかんないけど,とりあえずわかったのです。
尚也:どっちなんだ。
ユウキ:…………。
綾:(ユウキに)悪いけど,まだ子供だから大目に見てやって?
GM:1つか2つしか違わない気もするけどなー(笑)。
ユウキ:……で,結局何なんだよこいつらは。
GM/イサム:「だぁから,依頼人の方々だよっ。あんまり失礼のないようにしろよな?」
遙:(元気よく手を挙げる)よろしくお願いするのです!
ユウキ:…………。
GM/イサム:「失礼の,ないようにね?」
ユウキ:ああ,わかってるよ。米と野菜と醤油と味噌だろ?
一同:(笑)
綾:えーと山崎くん,だったっけ? 例の石について,他に情報はないのかい?
GM/イサム:「それは別料金になりますけど?」
綾:別料金? ま,UGNもちだからいいけど。それで?
GM/イサム:「えーと,例の石は持ってる人間が発狂するって噂ですけど,別に人間とは限らないようです」
綾:それは知ってる。動物でも,ってことだろ?
GM/イサム:「あ,あれ?」(笑)
綾:それだけ? ……じゃあお金返して。
一同:(笑)
GM/イサム:「い,いやダンナ。他にもっとイイ情報もあるんですぜ?」
綾:何?
GM/イサム:「えー,それはそれで追加料金を払っていただかないと……」
綾:ほほう。今度もカスな情報だったら(と,拳をつくり)……だが,いいんだな?
GM/イサム:「…………。嘘です」
綾:で,情報って何なの。
GM/イサム:「えーとですね。廃ビルの中に巨大な犬がいて,その胸に緑の宝石が埋まってるっていうんですよ」
晟:緑?
GM/イサム:「噂だと,宝石は青・赤・緑とあるそうですよ」
遙:(何故か目をきらきらさせている)カラフルなのです。信号みたいなのです……。
綾:いや,それはいいんだけど(笑)。確かなの?
GM/イサム:「緑色の宝石に関しては確かですねー。犬に宝石が埋まってたって件に関しては,彼がその目で見ましたからねー」 ……ちなみにユウキ。
ユウキ:はい?
GM:君が見たあの犬だけど,別に発狂してたってカンジはしなかったね。
晟:犬なのにわかるもんなの?
GM:真顔でつっこまれると困るんだが。でも正気だったら逃げたりしないでしょ。
綾:逃げることもありますよ?
GM:え? いや,きっと拳を交えたものの直感でわかったんだよ(笑)。
晟:またソレですかい。
尚也:それはともかく,その「発狂する」という噂も本当かどうかわからないわけだしな。
晟:え?
尚也:その石を狙ってるヤツらが,故意に流した噂かもしれないということです。
晟:あ,なるほど……。
GM/イサム:「そういえばですね,最近ここいらにストレンジャーズの姿も見かけるそうなんですよ」
綾:ストレンジャーズって,あのストレンジャーズ?
GM:そうそう。制服きてるわけじゃないんですが,顔を知ってるヤツが,たまたま聞きこみとかしてるのを見かけたらしい。
綾:制服着ないで活動するストレンジャーズって……。
尚也:それだけで十分怪しいですな。
晟:確かに……。

 さて,そんな話を聞きながら目的地へ。
 赤と青の宝石については,はっきりした目撃情報はないらしい。「青い宝石を持っていたヤツが,やはり発狂して死んだらしい」という噂が出回っているのみである。
 ちなみに持ち主が死んだあと宝石はどうなってしまうのか,については,「いつの間にか消えてなくなってしまう」とのこと,怪談ノリである。
 その間晟もストレンジャーズが動いている件について情報を集めるが,何もわからず。セキュリティの厳重さから,「結構重要機密っぽい」ということがわかったのみだった。

GM:さて,昨日の廃ビルの前ですね。彼は例によって,「じゃあ俺,ここで待ってますから!」と(笑)。
綾:あー,君にそういうことは期待してないけど,せめて車はちゃんと見ておいてね?
尚也:私のバイクもです。
遙:じゃあこれも持っててくださいです!
GM/イサム:「え?」
遙:お母さんの作ってくれたお弁当なのです! ちなみに皆戻ってくるまで食べてはダメなのですよ?
GM/イサム:「え,えーと,了解しやした……」
綾:悪いけど,てきとーに頼むよ(笑)。それじゃ行こうか。
GM:さて,ビルの中。相変わらず真っ暗。
晟:綾さん,懐中電灯持ってきてますけど。使います?
綾:じゃあ1本彼(ユウキ)に持ってもらって,君は……。
遙:というわけでれっつごーなのです!
晟:遙ちゃんっ! いきなり入らない!
遙:懐中電灯は持ってるですよ?
綾:いや,そうじゃなくてね(笑)。じゃあ先頭はユウキくん。お子様ーズを中にして,俺は最後尾につくから。
GM:ちなみにユウキ。昨日ここにきた君にはわかるんだけど,何か雰囲気が違うね。
ユウキ:どう違うんです?
GM:殺気……というほどのものじゃなくて,もっと曖昧な……悪意というか,そう,禍々しい感じがするかな。
ユウキ:ちっ……ヤなカンジがしやがるな……。
綾:ここには誰か住んでるわけじゃないんだよね?
ユウキ:住んでてもおかしくはないんだが,例の犬っころが住みついてるからな。
遙:犬がいるですか?
ユウキ:言っとくが,おまえさんの想像してるような犬じゃねえぞ。
遙:どう違うですか?
ユウキ:とにかくデカイ。
遙:ゴールデンレトリバー?
晟:グレートピレネーズ。
ユウキ:……おまえら,俺にケンカ売っとんか?
晟:いや,一応僕は真面目に聞いたんですけどね。ピレネーズくらい?
GM:○吉さんくらい?(笑)
ユウキ:いや,てーかそのピレネーなんたらってどのくらいだ?(笑)
晟:(手で大きく丸を描く)このくらいですけど……。
ユウキ:あー,そんな大きさだったかな。でも,何かこー,普通の犬と違ったぞ。
晟:え? 具体的には?
GM:さて,そんなところで殺気を感じます。
一同:早っ(笑)。
晟:えーと,懐中電灯消した方がいいですかね?
尚也:いや,こうなったら同じだろう。視界は確保した方がいい。
GM:では,暗闇に光るものがぽつぽつと。君らの四方に。
綾:囲まれたか……とりあえずお子様ーズは真中にね。
晟:(ユウキに)その「犬」ってコレのことですか?
ユウキ:ああ。ったく,学習能力のないヤツらだ。
GM:んで,例のお犬さんズが4匹でてくるんだけどねー。君が昨日見たのとはちょっと違うねー。
ユウキ:え? デカくなってるとか?
GM:んにゃ,ピレネーズなサイズ。ただし色々変形してる。
一同:は?
GM:普通犬に角は生えてないよなー,とか,何で爪と牙がそんなに発達してるのかなー,とか。
ユウキ:ええ?
遙:(横で)おばあさん,おばあさんのお口は何でそんなに大きいの?
晟:それはね,おまえを美味しくいただくためさ(笑)。
綾:余裕やなキミら。
GM:囲まれてるんだからね? とりあえずこっちのイニシアティブ値は全員17。
綾:うわ早ぁ!?
尚也:問題ありません。私,エフェクトいれて24になります(笑)。
GM:んじゃ戦闘ということで,その前にシーンを変えますね。

 

SCENE 6


晟:あ,聞き忘れてたんだけど,緑の宝石は?
GM:こいつらにはくっついてないね。
ユウキ:そういや,親玉っぽかった残り1匹がいねえな。
GM:ちなみにエンゲージはユウキと犬さんA,綾とB,尚也とC,そしてお子様ーズとDだ。
綾:そこ,2人で何とかなりそう?
晟:んー,まぁ何とか。
尚也:ということは,範囲拡大しても入るのは1匹だけなんですな。では《電光石火》のみで殴ります。(ころころ)27。
GM:避けられん。
尚也:では3D+5で……。
ユウキ:あれ,素手じゃないんすか?
尚也:金属バットでフルスイングしてるんですよ。
ユウキ:どんなんだ,それは!?(一同爆笑)
晟:ホントだ,ちゃんとアイテム欄に「金属バット」って書いてある……。
尚也:野球が趣味ですから。
綾:いや,それはかなり違くないかキミ?(笑)
尚也:(淡々と)ちなみにダメージは18点。で,私も《電光石火》で2点ダメージを受けます。
GM:それは結構イタイな……でも昨日より耐久力あるし。
ユウキ:いったい何があったんだ? (ころころ)こっちは15。
GM:また素で殴ってんの? (ころころ)でも避けられないなぁ。
ユウキ:(ころころ)でもダメージは10点。
GM:装甲値有効だよね? それはほとんど痛くない。ではこっちの攻撃。(ころころのころころ)10,12,10,13。低いなー。
ユウキ:避けた。
尚也:《アクロバット》で避けました。
綾:俺は《復讐の刃》使うから後にまわして。そこ,どっちが前に立ってる?
遙:私,〈回避〉は持ってるですよ?
晟:ダメです。遙ちゃんを前になんて立たせませんよ。
ユウキ:でもおまえ【肉体】1だろ?
晟:RC避けがありますから。《幸運の守護》《絶対の空間》で28。
GM:ぐはー。
綾:じゃあ《復讐の刃》と《銘なき刃》で28。でこっちのダメージが20点。
GM:こっちは(ころころ)8点(泣)。
綾:8点? それは《軍神の守り》で,きんっ。
GM:(計算して)それじゃお犬さんはふっとんで倒れる。……んだけど,むっくり起き上がって,またその姿が変形していくね。
晟:あれ。リザレクト?
GM:うん,そんな感じ。しかも,ごきごきっ,ってな感じで突起とかでてきて,リザレクトすればするほど強くなっていくみたいな。
尚也:……まずいか?
晟:攻撃を加えたら加えるだけってことですかね。
綾:うーん,まぁリザレクトにも限りがあるし,やるだけやってみるしかないだろう。
遙:はーい,それじゃ私の番なのです!
晟:あ,支援かけるからちょっと待って。
遙:ほえ?
晟:《要の陣形》《戦乙女の導き》《リプレイコマンド》《領域調整》で,遙ちゃんと自分と……んじゃユウキさんかな。とりあえず。
ユウキ:何したの?
晟:次のメジャーアクションにダイスボーナスが2個。それとセカンドアクションです。ただしセカンドフェイズには攻撃しか行えませんのでご注意ください。
ユウキ:え? 俺,一応《狼牙》持ってるよ?
尚也:私の方がよかったですな。
晟:あ,あれっ? すいません,次からそうします。
綾:それはいいけど,キミ,侵蝕値大丈夫?
晟:侵蝕値20超のコンボを作った人に言われたかないですが。
綾:(←ちなみに咲耶榎のことです)だから今回は侵蝕値控えめのキャラにしたんじゃないか(笑)。
晟:ま,今回は初陣ってことなんで,まだ戦い方がよくわかってないんですよきっと。それにせっかくだから《狂戦士》使いたいし。
GM:んなこと言って初回から堕ちたらシャレならんぞアンタ。
真二:(隣の卓から)なぁに,それもまたいいもんだぞ?
晟:アンタにだけはそゆこと言われたかないわいっ!
一同:(爆笑)
真:(←隣の卓のGMだってば)だぁら,他所様の卓の邪魔してんじゃねーつってんのにテメーは!
真二:えー。

 そして久島と大谷はいつになってもこんなんだなァ……(笑)。
 
遙:それじゃ今度こそ私の番なのです! マイナーで《炎の加護》して《ブリザードブレス》《ブレインコントロール》なのです。ちなみに範囲攻撃なのです。
ユウキ:おい,それもしかして晟にあたらんか?
GM:今度「範囲」攻撃って対象選べるようになったんだよ。
晟:でもどうせエンゲージ内には敵1人しかおらんのでは?
遙:そう言われましても,どうせ《ブリザードブレス》しか持ってないので仕方ないのです(笑)。で,27なのですけど。
GM:(ころころ)避けられませーん。
遙:14点なのですが。
GM:装甲値ひいて,それなりかな。
綾:そんじゃマイナーで《破壊の爪》。あとは《オウガバトル》。21。ダメージは《破壊の爪》で7点足して(ころころ)27点。
GM:うう……こっちもリザレクトだなぁ。ではセカンドアクション。
尚也:さすがに殴るだけではダメなのでは?
ユウキ:しょうがないから,マイナーで《一角鬼》を起動。んで殴る。
遙:やっぱり殴っているだけなのでわ?
ユウキ:いやだって侵蝕値が。俺だけ前に戦闘してんですよ。……えーと,19。
GM:(ころころ)結局1回も避けられてないんですけど。
ユウキ:ダメージ14点では?
GM:えーと,ここもリザレクトだな。
遙:おいらさっきと同じ〜。(ころころ)35です〜。
GM:避けられるもんかそんなのっ。
遙:でもダメージが低いです〜。13点です〜。
GM:…………。
晟:えーと,リザレクトしたのってどれなの?
GM:全部リザレクトしたんだってば(泣)。
晟:じゃあ《要の陣形》《絶対の恐怖》《抗いがたき言葉》《領域調整》で,どれでもいいから3体。(ころころ)低いなァ。19。
GM:高いよ。
晟:あ,ちなみに〈意志〉で抵抗だからね?
GM:〈意志〉ですか!? 一番弱いところをついてきやがったな!?
晟:だって《絶対の恐怖》ってそれぐらいしかアドバンテージないんですもの。
GM:(ころころのころころ)全員抵抗できましぇーん。
晟:(ころころ)じゃあ14点の装甲値無視。
GM:死んでしまったってばさ。
晟:あ,あれ。《抗いがたき言葉》が無駄になってしまった。
綾:だからエフェクトの使い過ぎだよ(笑)。
ユウキ:知りませんよ。俺,絶対ここは前哨戦だという気がするんだけどなァ。
GM:ふふふのふ。
遙:その笑いは何ですか。
綾:あ,親玉かな?
尚也:そんな感じだな。
GM:えーと,ユウキは一番最前線につっこんでたというイメージあるんだけど,いい?
ユウキ:まあそうでしょうね。
GM:それでは君の目の前に! 上から何かが降ってきます。
ユウキ:は?
GM:ずしぃぃ……ん,と地響きをたてて降り立ったのは! 忠○さんの3倍はあろうという巨大犬だ!
ユウキ:きょ,巨大な○吉さん?
一同:(爆笑)
綾:(遠い目)ほら,グレートピレネーズは目が優しいでしょ?
GM:つぶらな瞳よ?(笑) ちなみに胸元には例の宝石があるけどね。
ユウキ:けっ,やっぱてめえかよ。余計な仏心出すんじゃなかったぜ。
晟:(ぼそっと)ああ父さん,変わり果てた姿に……(笑)。
GM:違うわ! 何故そうなる!
晟:いや,うちの父ならそーゆーことになっててもおかしくはないかと。
綾:ああ,なるほどね。
GM:納得するなそこ! とにかく,エンゲージが変わります。ユウキが親玉。そんで後ろから新たに3匹降りてくるので。
一同:ええ?
GM:後ろの人たちはエンゲージ一緒でよいやな。大きいののところに行きたい場合は判定してくれ。それでは,巨大獣がイニシアティブ24なんだが……。
尚也:私も24ですよ。プレイヤー優先ですよね?

 基本的に後方の戦闘は1ターン目とあまりかわらないのでちとはしょる。
 尚也は《電光石火》のみで殴りつづけ,早速1匹を撃墜。
 遙は今度こそ4体に《ブリザードブレス》《ブレインコントロール》。1匹撃墜。
 晟は「じゃあ今度は攻撃から抜けますので」とユウキ・尚也・遙に《領域調整》《リプレイコマンド》をかける。
 お父さんは相変わらずのカウンター戦法。省侵蝕値当社比4分の1である。
 んで結局結論からいうと,セカンドアクションをほとんど使わずに勝利してしまったのだった。 ちなみに被害は遙が攻撃をくらったのみ。実は遙と晟はエンゲージを離脱していなかったので(そらそうだ),やっぱり白兵攻撃の対象になってしまったのだな。

尚也:いや,ちなみに私も《電光石火》のダメージは受け続けているのですが。
晟:そんなの大したもんじゃないでしょっ。遙ちゃん〜,今《癒しの水》かけるからね〜。
遙:(←残りHP4)はいです〜。

 では,少々時間を巻き戻しまして……。

GM:ではユウキよりこっちが早いな。では巨大犬の両前足がぴかーっと光を放ちまして,攻撃。キミにはその足がかき消えたように見えたね。
晟:それは何? ハヌマーンっぽいとか,エンジェル=ハイロゥっぽいとか?
GM:さてね〜。(ころころ)50といってみる。
ユウキ:うえっ。それは素直にリザレクトした方が早そうだなぁ。
GM:(ころころ)35点というと?
ユウキ:リザレクトして,3点回復。何だこれ,いきなり強くなってないか?
綾:親玉だからでしょ。
GM:じゃ,君には今の攻撃が見えなかった。んで吹っ飛ばされてリザレクトかな?
綾:え? ってことはエンゲージ変わるの?(笑)
GM:ん? いや,変わんないなぁ。そうだなぁ,ふっとばされたというより,はたき落とされたというか……。
一同:(爆笑)
尚也:……あーあ。
綾:まさしく調子にのりかえされてるなァ。
ユウキ:このケダモノめえ! 恩を仇で返しやがって! こっちもエフェクト使います!
GM:あ,その前に〈RC〉チェックしてみてくれる?
ユウキ:はい? (ころころ)14ですが?
GM:ふーん……わかった。とりあえずは何も起こらない。
ユウキ:んじゃまず《完全獣化》して,《ピンポイント・レーザー》と《全知の欠片》で攻撃。(ころころ)29。
GM:(ころころ)避けた。
ユウキ:何ぃ!?
GM:ちなみにこっちもセカンドアクションね。(ころころ)今度は30。
ユウキ:《ゆらめき》《全知の欠片》……ダメだ,届かない。
GM:それはダメージ出すまでもなくリザレクトだよな。
綾:(のんびりと)おおー,何だかいい勝負になってきたじゃん。
ユウキ:何ノンキに言ってやがんだよ!?
綾:だって君,手ェ出したら怒るだろうに。
ユウキ:たりめーだろ。んじゃこっちのセカンドアクション。
GM:あ,その前にまた〈RC〉チェック。今度は達成値+5していいから。
ユウキ:は? (ころころ)えーと,13ですが。
GM:……低いな。
ユウキ:〈RC〉なんて普段使いませんもん。じゃあさっきと同じ組み合わせで(ころころ)げえ!? 16!?
GM:そんなんじゃかすりもせんわな。
尚也:こっちはもう大丈夫そうだし,助けに入った方がいいのだろうか。
綾:いや,まだいいんじゃない? 侵蝕値いくつになった?
ユウキ:70超えましたな。
GM:おお,いい感じだ(笑)。さて,犬さんの番なんだが,今度は両足が光ったかと思うと,ずーんと地響きが。
遙:ほえ〜? 何ですか〜?
晟:イヤな予感がするんですけど……。
GM:突然地震が〜。みなさん〈運動〉で判定してね〜。
晟:え,それって《アースシェイカー》?
綾:あれって対象が「1体」だったはずだけど?
GM:例によってマスター裁量な《アースシェイカー》です(笑)。よってシーン攻撃だよん。(ころころ)35。
晟:そんなの最初から無理だから判定しないよ〜ん。
綾:《天性のひらめき》で回避。
尚也:侵蝕値に余裕があるので《電光石火》《アクロバット》で……回避しました。
遙:侵蝕値に余裕はないですけど《炎神の怒り》《ブレインコントロール》だけ使うです〜。(ころころ)わーい,回ったのです!
ユウキ:んで,肝心の俺が回ってないんだよ!
一同:(笑)
晟:そんなこと言われてもなァ……。
GM:じゃあ達成値−4のダイスペナルティ−1を受けてくださいな。
ユウキ:ええい,あんまりイタクはないがうっとしいわっ。(ころころ)達成値25のダメージ15点,装甲値無視!
GM:んー,まだまだですなぁ,と前足でこう(お顔を洗うポーズ)。
ユウキ:がー! ムカツクー!
綾:こっち終わったから交代しようか?(笑)
GM:で,〈RC〉チェックは? 達成値今度はプラス10で……あ,マスター裁量で《アースシェイカー》のペナルティも受けなくていいから(笑)。
ユウキ:ん? 19ですが?
晟:(ぼそぼそ)で,さっきから何なんですこれって?
綾:(ぼそぼそ)きっと賢者のピー!関連だよ(笑)。
GM:そこ,妙な先読みしてんじゃない。えーと,19ね。目の前の緑の宝石,それは犬の鼓動に合わせるように明滅している。君は自分の鼓動が,だんだんそれとシンクロしていくのに気づいた。
一同:はい,おめでとう(笑)。
綾:賢者のピー!決定だね。
ユウキ:(汗)それは,えっと……何?
GM:だから,緑色の石がぴっこんぴっこん光っているのと,君の心臓がどっくんどっくんいってるのが……。
ユウキ:それって,か,カラータイマー?
一同:逃避してんじゃねえよ(笑)。
ユウキ:逃避はさておき,一体化してるんですか。
GM:してますねえ。そこで(ころころ)侵蝕値13点プレゼントです(笑)。
ユウキ:いらねー!(笑)
GM:えーと,それで侵蝕値いくらになった?
ユウキ:(計算して)ちょうど100です。
GM:なるほど(にやり)。
ユウキ:ち,ちなみに,ちょうど100ってリザレクト発生するっけ?
綾:リザレクトは99までですよ(笑)。
ユウキ:でええええっ!?
GM:あー,ちなみに君,得意技はやっぱりパンチだよね?
ユウキ:はあ。
GM:自慢の拳は右かね,左かね。
ユウキ:え? ええっと……。
晟:(ユウキより早く)右。
ユウキ:あんたが即答ですか!?
晟:だってトコトン倣うつもりなんでしょ?(笑)
GM:なるほど(笑)。では,君の右手が急に痛み出します。
ユウキ:(←右手を抑えて苦悶してると思いねえ)がああああああっ!
綾:おお,ノってるノってる(笑)。
遙:ノリがいいのですねえ。
GM:んで,そうやって傍観してる人たちにはわかるんだけど,空中に光る砂が振りまかれたような気がした。
遙:砂?
尚也:モルフェウスですか?
GM:まわりの壁とかがぱきんぱきん!と音をたててえぐれていきます。そして彼の右腕が一瞬光となって消えた!
一同:ええ?
GM:そしてその光の粒が再び彼の右腕に集まり,その後にはまるで甲冑のような……。
晟:ちょっと待たんかいっ! それじゃまるっきりそのまんまじゃないかっ!
一同:(爆笑)
ユウキ:そこまでまんまですか!? そこまでやりますか!?
GM:(大笑いしつつ)んで,その右手の甲に緑色の宝石が埋まってたりするんですが。
ユウキ&晟:だからまんまだっつーんだよッ!!(←ほとんど絶叫)

 ……冷静になって考えてみると。
 『ス(ピー!)』が放映終了してからどのくらい経ったと思ってるんだ(笑)。
 ひきずってるなぁ,このネタ……(←もちろん松井も張本人の1人である)。

遙:え,えーと,何がそのまんまなのですか?
ユウキ:アル○ーでしょ。
綾:だからア○ターって何?
ユウキ:アルタ○ってのは精神力を使って物質を変換する能力ですよ。
GM:つまりモルフェウスのモトネ……。
綾:(すかさず)ああ,つまり「リスペクト」なんですね(笑)。
晟:(咳払い)とりあえず話を進めませんかね。
GM:えーと,ユウキはもう一度〈RC〉チェック。目標値10で。
ユウキ:(ころころ)成功してます。
GM:ではその瞬間に,犬の胸についてた宝石の光が消えます。そんで,犬の大きさが急激にしぼんでますね。気がつくと,だいたい柴犬くらいの犬がぱったり地面に倒れてる。ちなみに,それは他の犬の死体も同様です。んでユウキ。
ユウキ:はい?
GM:君はそこでばったり倒れてくれ。
ユウキ:よ,よくわかんないけど,ばったり。
一同:(笑)
GM:さて,これは他の人たちの見た光景ね。彼の右腕の甲冑,つーか篭手みたいなのが砂と化して崩れ落ちていきます。後に残ってるのはほとんど無傷のユウキですね。
綾:あれ。宝石は?
GM:さあてねえ。ちなみに元の石の持ち主だった犬はむっくりと起き上がると,仲間の死体を見て悲しそうに「キャインキャイン」と鳴いて,廃墟の奥に駆け込んでしまいます。
晟:あ,行っちゃうの?
GM:追い討ちするの?
晟:そんなんじゃないけど,《アニマルテイマー》で使おうかなーと。
GM:何でもかんでも物欲しそうにしてんじゃありませんっ。
尚也:とにかく,戦闘は終了ですな。彼は?
GM:起き上がる気配は見せませんねえ。
晟:どうしよう。《ヨモツヘグリ》かけたほうがいいのかしらん。
ユウキ:(←倒れている)やめてくれっ。これ以上侵蝕値があがると還れなくなるっ(笑)。
遙:あきちゃーん,ちなみに私は残りHP1なのです〜(←《炎神の怒り》なぞ使うからだ)。
晟:あ,じゃあ《癒しの水》を……。
尚也:その前に安全なところに移動して,状況を整理した方がよくないですかね。
GM:いや,両名ともちょっと待ちなさい。
一同:はい?
GM:その時,頭上に連なる鉄骨のあたりから声がするのだ。「皆さんがんばったようですが,ボロボロですね。私でよければ治して差し上げましょうか?」
晟:(即座に)あんたは出てこんでいいっ。
一同:(爆笑)
GM:……アンタなあ。
綾:いや,でも俺も出てきて欲しくない(笑)。
ユウキ:できれば俺も(笑)。
遙:あきちゃんあきちゃん,誰なのですか? アレが生き別れのお父さん?
晟:違いますっ。いくらなんでもウチの父はあそこまでヒドクはありませんっ。
綾:例の黒いコートのおじさんだよ(笑)。
尚也:えーと,キャラクターとしては知ってる人?
GM:いや,知らないよ。てゆーか,誰も知らないんじゃないか?(笑)
綾:一応後姿だけは見たことがある(笑)。
GM:ん? それと晟は知ってたんだっけ?
晟:一応ロイス結んでますしね。
GM:しかし……あんたロイス欄に「黒いおじさん」とか大真面目に書くなよ(笑)。
晟:だって名前は知らないって設定なんだもの。
遙:で,結局誰なのですかあきちゃん?
晟:…………。
GM:ともかく黒いコートに身を包んだ長身美形なお兄さんの登場だ。えーと,綾はUGNの資料とか見てるだろうからチェックしていいよ。
綾:じゃあ〈情報:UGN〉で,(ころころ)15でわかる?
GM:有名人だしなァ(笑)。じゃあUGNのブラックリストに挙げられてる千葉狂介さんその人ですね。
尚也:その人ってファルスハーツなんですか?
GM:いや,どこの組織にも属さず,UGNはおろかファルスハーツのブラックリストにも挙がっちゃうような人だ。んでお父さんや。君が彼の後姿を見たのって何年前だっけ?
綾:あれは15年前かな?
GM:その頃から全然変わってませんね。いや,もちろん君が見たのは後姿だけだったけど,UGNの資料とかにある写真とも,全然変わってませんな。
綾:…………。
ユウキ:(ぼそっと)いやわかんないっすよ。千葉桂子の前例がある。
一同:(笑)
ユウキ:ただの若作り! いや,あのオチは衝撃的でしたなァ。
晟:悪かったな(笑)。
GM:ち,ちなみに千葉さんは若作りじゃないからね?
綾:いや,それはイヤ過ぎるから……(笑)。で,あんた千葉さんなんだよな?
GM/千葉:「ええ,その通りですよ」
綾:UGNのブラックリストであんたの顔を見たよ。一体何の用だ?
GM/千葉:「先ほど申し上げた通りですよ。苦戦なさったご様子なので,治療してさしあげようとね」
綾:はいそうですか,と治療してもらうわけにもな。何されるかわからんし。
遙:(横からへろへろした声で)ちなみにどなたかは存じませんが〜。ここは危ないですよ〜。
一同:(爆笑)
晟:は,遙ちゃん……。
遙:(←HP1なのでへろへろ)危険な犬さんとかもいましたし〜。退避した方がよろしいかと〜。
GM/千葉:「(にっこり)心配してくださるのはありがたいんですが,私なら問題ありませんよ」
遙:そうなんですか〜? ひょっとして強いんですか〜?
晟:(声が半泣き)遙ちゃん! いいから黙って!
遙:ほ,ほえ〜?
綾:(咳払い)とにかく,あんたの世話になるつもりはない。悪いが帰ってくれ。
GM/千葉:「帰れ,と言われても……何の手土産もなしに帰ってもねえ?」
尚也:だいたい,あなたは何をしにここに来たんだ。
GM/千葉:「私もあなたがたと同じ。例の石が目当てですよ」
一同:…………。
GM/千葉:「だが少々遅かったようだ。すでに石は彼のものになってしまったようですね」
綾:あれは……一体何なんだ?
GM/千葉:「さてね。帰れとおっしゃるので,帰りますよ」
綾:…………。
GM/千葉:「そうそう,ひとつだけ忠告して差し上げましょう。私と同じ,黒衣の男に気をつけることです」
綾:黒衣?
GM/千葉:「そう。特にそこに倒れている彼には気をつけてあげた方がよろしいでしょうね。恐らく,これから狙われるのは彼でしょうし……」
尚也:あなたのように,あの石を狙っている人間が他にもいるということか?
GM/千葉:「(にっこり)私としては,この件にこれ以上関わらないことをお勧めしたいところですが」
綾:それはユウキくんを見捨ててということか?
GM/千葉:「それはあなたがたが決めることでしょう。ただ私としてはそうしてほしいですね。そうすれば,あなたがたと戦わずにすみます」
晟:(ぼそっと)嘘ばっか。
GM:ええ,明らかに戦いたがってますねこの人。
綾:そーゆーのは他所でやってくれ,他所でっ。
尚也:それはそうと,あなたにひとつ訊きたいことがある。
GM/千葉:「はい?」
尚也:上杉和也という名を聞いたことはないか。
GM/千葉:「上杉……というと,ああ,彼ですか」
尚也:知っているのか!?
GM/千葉:「ええ,噂に聞いただけですが……彼に何か興味がおありで? 上杉尚也くん?」
尚也:…………。知っているなら教えてくれ。和也はどこにいるんだ?
GM/千葉:「生きていますよ。市外にいます」
尚也:市外の……どこなんだ。
GM/千葉:「さあ,そこまでは私もね」
尚也:こいつ……知っててなぶってるのか,本当に知らないのか,どっちなんだ。
GM/千葉:「(にやり)ちなみにそこのお嬢さん」
遙:ほえ?
GM/千葉:「お父さんはお元気ですか?」
遙:ほえ〜? うちのお父さんは……。
晟:飛びかかって口ふさぎます!
遙:むぐー!?
GM/千葉:「そうそう,新条くんもね」
晟:…………。
GM/千葉:「お父さんはどこにいらっしゃるのかな?」
晟:…………。黙って下を向きます。
綾:もういい,いいから帰ってくれ。もう用はないんだろ?
GM:すると,千葉は少しうつむいて自嘲気味に笑います。「『鍵』は,舞台にあがった。あとは『扉』だけだ」
一同:…………。は?
GM:んで,闇に呑み込まれる様にすっと消えます。
晟:……うーん,相変わらずだこの人……(苦笑)。
ユウキ:けっ,なぶりやがって。しかも俺気絶中だから何も言えねえし!
一同:(笑)
GM:じゃあ長くなっちゃったし,ここでシーン切りますね。