一同は出発前に,簡単に情報を集めることにする。
わかったのは,その「石」の噂がつい1ヶ月前に広まりだしたこと。そして「発狂」するのは人間とは限らない,ということであった。
遙:人間とは限らない……というと,動物ですか。植物とかも?
尚也:植物には精神がないので発狂も何もありませんが。
晟:動物の「発狂」ってどんなんだろう。具体的に。狂犬病とか? いや違うか?
GM:さて,実際見てみた方が早いんじゃないかな?
ユウキ:つまり昨日の犬っころとか?
GM:それはそうと朝の8時ですが。
綾:(←すでに引率の先生っぽい)これで全員登場してるのかな?
一同:(ユウキ除く)はーい。
綾:おお,約1名出ていない人がいるじゃないか(笑)。
ユウキ:ヒーローは遅れて現れるものなんですよ。
綾:ところで情報屋サンとは連絡とれてるんだっけ?
GM:昨日の夜にとれました。ゲート前にバンが1台用意してあって,君らが近づくと山崎くんが運転席から降りてきますね。「やー,どうもお待たせしました!」
綾:どうも,瀞南寺です。
GM/イサム:「これで全員ですか?」
綾:ああ。乗れそうかな?
尚也:ああ,ちなみに私はバイクに乗ってきているのでそれで後尾につきます。後ろから襲われる可能性もありますからね。
GM:ちなみに山崎くんはそこで「あれー,おかしいなぁ」とか言ってます。
晟:どうかしました?
GM/イサム:「おっかしいなぁ。ここで待ち合わせって言っといたんだけどなぁ」
綾:ああ,例の彼?
ユウキ:はい,じゃあここで登場します。向こうから徒歩でやってきますよ。
綾:……あれか?
晟:あれですかね。
GM/イサム:「おーいユウキ,こっちだこっち! 何遅れてんだよ,おまえは!」
ユウキ:じゃあそう言われたらいきなり走りだします。
GM:え?
ユウキ:おまえが車で迎えに来ないのが悪いんじゃねえかよっ,とぶっとばします!
GM:どっひゅ〜〜〜っ(←漫画のように飛んでいく)。
一同:(笑)
綾:(お空を見上げる)おー……。
尚也:というか生きてるか,アレは。
遙:ぱちぱちぱちぱち。
晟:(小声で)遙ちゃんっ,拍手しなくていいからっ。
遙:ほえ?
GM/イサム:「(復活した)な,何すんだよユウキ!」
ユウキ:うるせえっ!
GM/イサム:「ったくもー,いきなり蹴りいれるヤツがいるか?」
晟:殴られてますけど。
GM/イサム:「え,あ,そう?」
晟:そんなことよりっ。(と,山崎を隅に連れて行く)案内人って,彼なんですか?
GM/イサム:「そうですけど?」
晟:一応,こっちにだって噂は入ってきてるんですよ? 彼,札付きじゃないですか。
ユウキ:ああ?(怒)
綾:いや晟くん,何に対して札が付いてるかによると思うけど?(笑)
GM/イサム:「いやー,そりゃもう,彼は優秀なんで有名ですから!」
晟:それも聞いてますけど,札付きってのはそういうのじゃないでしょ。僕が聞いた噂では,依頼人をぼこり倒したとかぼこり倒したとかぼこり倒したとか……。
GM/イサム:「いやー,彼ちょーっと気難しくてですねー。気にいらない人間をちょっーと殴っちゃったりするんですよねー」
晟:…………。頬,腫れ上がってますけど。
GM/イサム:「ぼ,ボクってひょっとして彼に気に入られてない?」
遙:(そのわきで)どもども,松山遙というのです。よろしくお願いするのです。
ユウキ:ああ?
晟:(すっとんでくる)遙ちゃんっ!
遙:きゅ?
晟:きゅ,じゃありません。彼はね,とっても「ふりょー」な人だから,あんまり気安く話しかけないようにね?
遙:ほえ? でもお母さんが,みんなと仲良くしなさいって言ってたです。それに,「ふりょー」な人にはきっとふりょーになっちゃうくらいかわいそうな事情があるですよ。
綾:……(ユウキに)かわいそうな事情?
ユウキ:…………。
晟:(聞いてない)とにかく,彼に限らず誰かにフレンドリーに話しかけるときは,僕のいる時にすること。いい?
遙:何だかよくわかんないけど,とりあえずわかったのです。
尚也:どっちなんだ。
ユウキ:…………。
綾:(ユウキに)悪いけど,まだ子供だから大目に見てやって?
GM:1つか2つしか違わない気もするけどなー(笑)。
ユウキ:……で,結局何なんだよこいつらは。
GM/イサム:「だぁから,依頼人の方々だよっ。あんまり失礼のないようにしろよな?」
遙:(元気よく手を挙げる)よろしくお願いするのです!
ユウキ:…………。
GM/イサム:「失礼の,ないようにね?」
ユウキ:ああ,わかってるよ。米と野菜と醤油と味噌だろ?
一同:(笑)
綾:えーと山崎くん,だったっけ? 例の石について,他に情報はないのかい?
GM/イサム:「それは別料金になりますけど?」
綾:別料金? ま,UGNもちだからいいけど。それで?
GM/イサム:「えーと,例の石は持ってる人間が発狂するって噂ですけど,別に人間とは限らないようです」
綾:それは知ってる。動物でも,ってことだろ?
GM/イサム:「あ,あれ?」(笑)
綾:それだけ? ……じゃあお金返して。
一同:(笑)
GM/イサム:「い,いやダンナ。他にもっとイイ情報もあるんですぜ?」
綾:何?
GM/イサム:「えー,それはそれで追加料金を払っていただかないと……」
綾:ほほう。今度もカスな情報だったら(と,拳をつくり)……だが,いいんだな?
GM/イサム:「…………。嘘です」
綾:で,情報って何なの。
GM/イサム:「えーとですね。廃ビルの中に巨大な犬がいて,その胸に緑の宝石が埋まってるっていうんですよ」
晟:緑?
GM/イサム:「噂だと,宝石は青・赤・緑とあるそうですよ」
遙:(何故か目をきらきらさせている)カラフルなのです。信号みたいなのです……。
綾:いや,それはいいんだけど(笑)。確かなの?
GM/イサム:「緑色の宝石に関しては確かですねー。犬に宝石が埋まってたって件に関しては,彼がその目で見ましたからねー」 ……ちなみにユウキ。
ユウキ:はい?
GM:君が見たあの犬だけど,別に発狂してたってカンジはしなかったね。
晟:犬なのにわかるもんなの?
GM:真顔でつっこまれると困るんだが。でも正気だったら逃げたりしないでしょ。
綾:逃げることもありますよ?
GM:え? いや,きっと拳を交えたものの直感でわかったんだよ(笑)。
晟:またソレですかい。
尚也:それはともかく,その「発狂する」という噂も本当かどうかわからないわけだしな。
晟:え?
尚也:その石を狙ってるヤツらが,故意に流した噂かもしれないということです。
晟:あ,なるほど……。
GM/イサム:「そういえばですね,最近ここいらにストレンジャーズの姿も見かけるそうなんですよ」
綾:ストレンジャーズって,あのストレンジャーズ?
GM:そうそう。制服きてるわけじゃないんですが,顔を知ってるヤツが,たまたま聞きこみとかしてるのを見かけたらしい。
綾:制服着ないで活動するストレンジャーズって……。
尚也:それだけで十分怪しいですな。
晟:確かに……。
さて,そんな話を聞きながら目的地へ。
赤と青の宝石については,はっきりした目撃情報はないらしい。「青い宝石を持っていたヤツが,やはり発狂して死んだらしい」という噂が出回っているのみである。
ちなみに持ち主が死んだあと宝石はどうなってしまうのか,については,「いつの間にか消えてなくなってしまう」とのこと,怪談ノリである。
その間晟もストレンジャーズが動いている件について情報を集めるが,何もわからず。セキュリティの厳重さから,「結構重要機密っぽい」ということがわかったのみだった。
GM:さて,昨日の廃ビルの前ですね。彼は例によって,「じゃあ俺,ここで待ってますから!」と(笑)。
綾:あー,君にそういうことは期待してないけど,せめて車はちゃんと見ておいてね?
尚也:私のバイクもです。
遙:じゃあこれも持っててくださいです!
GM/イサム:「え?」
遙:お母さんの作ってくれたお弁当なのです! ちなみに皆戻ってくるまで食べてはダメなのですよ?
GM/イサム:「え,えーと,了解しやした……」
綾:悪いけど,てきとーに頼むよ(笑)。それじゃ行こうか。
GM:さて,ビルの中。相変わらず真っ暗。
晟:綾さん,懐中電灯持ってきてますけど。使います?
綾:じゃあ1本彼(ユウキ)に持ってもらって,君は……。
遙:というわけでれっつごーなのです!
晟:遙ちゃんっ! いきなり入らない!
遙:懐中電灯は持ってるですよ?
綾:いや,そうじゃなくてね(笑)。じゃあ先頭はユウキくん。お子様ーズを中にして,俺は最後尾につくから。
GM:ちなみにユウキ。昨日ここにきた君にはわかるんだけど,何か雰囲気が違うね。
ユウキ:どう違うんです?
GM:殺気……というほどのものじゃなくて,もっと曖昧な……悪意というか,そう,禍々しい感じがするかな。
ユウキ:ちっ……ヤなカンジがしやがるな……。
綾:ここには誰か住んでるわけじゃないんだよね?
ユウキ:住んでてもおかしくはないんだが,例の犬っころが住みついてるからな。
遙:犬がいるですか?
ユウキ:言っとくが,おまえさんの想像してるような犬じゃねえぞ。
遙:どう違うですか?
ユウキ:とにかくデカイ。
遙:ゴールデンレトリバー?
晟:グレートピレネーズ。
ユウキ:……おまえら,俺にケンカ売っとんか?
晟:いや,一応僕は真面目に聞いたんですけどね。ピレネーズくらい?
GM:○吉さんくらい?(笑)
ユウキ:いや,てーかそのピレネーなんたらってどのくらいだ?(笑)
晟:(手で大きく丸を描く)このくらいですけど……。
ユウキ:あー,そんな大きさだったかな。でも,何かこー,普通の犬と違ったぞ。
晟:え? 具体的には?
GM:さて,そんなところで殺気を感じます。
一同:早っ(笑)。
晟:えーと,懐中電灯消した方がいいですかね?
尚也:いや,こうなったら同じだろう。視界は確保した方がいい。
GM:では,暗闇に光るものがぽつぽつと。君らの四方に。
綾:囲まれたか……とりあえずお子様ーズは真中にね。
晟:(ユウキに)その「犬」ってコレのことですか?
ユウキ:ああ。ったく,学習能力のないヤツらだ。
GM:んで,例のお犬さんズが4匹でてくるんだけどねー。君が昨日見たのとはちょっと違うねー。
ユウキ:え? デカくなってるとか?
GM:んにゃ,ピレネーズなサイズ。ただし色々変形してる。
一同:は?
GM:普通犬に角は生えてないよなー,とか,何で爪と牙がそんなに発達してるのかなー,とか。
ユウキ:ええ?
遙:(横で)おばあさん,おばあさんのお口は何でそんなに大きいの?
晟:それはね,おまえを美味しくいただくためさ(笑)。
綾:余裕やなキミら。
GM:囲まれてるんだからね? とりあえずこっちのイニシアティブ値は全員17。
綾:うわ早ぁ!?
尚也:問題ありません。私,エフェクトいれて24になります(笑)。
GM:んじゃ戦闘ということで,その前にシーンを変えますね。 |