#3 One-Eyed Jack
 

 

PRE-PLAY


GM:えー,では何だかんだで3回目となりましたが,ここらで始めさせていただこうと……。
真琴:あー,お腹すいたっ。ご飯食べよう。
一同:…………。
GM:……何でいまさらご飯か。
晟:今までの昼食タイムに何をやっていたのだね君わ。
真琴:キャラ作ってた。あと鳥越のキャラ作りも手伝ってた。
晟:…………。
GM:…………。
真琴:あ,話聞きながら食べてるから,進めていいよ?
ユウキ:……と,いうことなので始めましょう,GM。
GM:さいですか……では前回までのお話なんですけど,ちゃんと覚えてる? 俺は覚えてるけど。
ユウキ:俺はリプレイ読みました。
鵬也:あ,一応俺も。
真琴:あたしも読んだけど,ウロ覚えだなァ。
一同:…………。
晟:……貴様……わざわざプリントアウトまでしてやったとゆーのに……。
真琴:だってパソコン持ってないし。
晟:覚えてこいよ! 覚えて!
GM:……まぁ,それはともかく前回までのお話。えーと市外で「黒衣の男」を捜しにいった一同だが,その男の正体は某楓さんにクリソツな人だった。その男,通称モドキちゃんが遙をさらい,松山家に乱入。そこで光が死んでしまったのだが……。
晟:死んでないだろーが!
GM:え?
晟:だから死んでない! マスターが覚えてないじゃないかっ!(一同笑)
GM:覚えてるよ。一度死んでるじゃないか。
晟:「死んでしまった」じゃないでしょーが! 
ユウキ:えーと,大谷が助けたんですよね?(笑)
真:(隣の卓から)あの,すいません。ちょっと訊いてもいいですかね?
GM:何?
真:何で俺は毎回あんな気色悪い行動に走ってるんですか?
GM:気色悪い行動?
綾:(←隣の卓のGM)さわさわ,さわさわ……とかいうヤツっしょ(笑)。
GM:あれは触診というもので。
真:激しく納得いきません。
GM:悪意はないよ?
真:嘘だ!
GM:ないってば。
真琴:男は細かいことを気にしない……。
晟:この件は細かいことに分類される。
真:されねえ!
真琴:(あっさりと無視)それでさぁ,ユウキが遙に必殺パンチを撃ちこんだ時に……。
ユウキ:遙には撃ちこんでねえよ。
真琴:そーだっけ?
ユウキ:あれはモドキを狙おうとして,ただ巻き込んだだけ(笑)。
晟:モノは言いようですねユウキさん。
GM:でも相殺されたけどな。遙に。
ユウキ:ちっ(笑)。
真琴:……よしよし,だいぶ思い出してきたぞ。んで結局モドキも千葉も逃がしておしまいだったんだな。
GM:そうだな。では,そんなこんなで2週間ばかり過ぎたある日のことですが……。
晟:あ,GM。今回はキャラが3人増えてるんで,自己紹介を。
GM:うい。では沖さんから。
鵬也:えーと,沖鵬也です。
真琴:おっきー?
鵬也:おっきーとか言うな。
清人:おっきー♪
鵬也:おっきーって言うな! 俺はおまえらより年上なんだぞ! 渋いお兄ちゃんなんだぞ!?
晟:おいくつ?
鵬也:26歳っす。シンドロームはブラックドッグ/モルフェウス。コードネームは“ブルーゲイル”です。
晟:ぶるーげいる♪ なみだはらってー♪
ユウキ:ぶるーげいる♪ ひらめくちかーらー♪
GM:なるほど,常にゴーグル着用だと?
鵬也:つけてません。
晟:そもそも何でサ○ン○ル?
鵬也:私,元暗殺者で,今は非合法の運び屋やってるんです。市外と市内で物資のやり取りしてるみたいな感じ? 金さえ出せばUGNでもファルスハーツでも仕事は受けます。
晟:うん。それで?
鵬也:ボクにできることは車の運転です。それとロボットも作れます。そのロボットで体当たりするのが主な攻撃方法です。
真琴:……ロボット?
鵬也:そうです。ボクの〈運転〉技能では車とバイクとロボットを動かせます。
真琴:え? 〈運転〉技能でロボットって動かせるの?
ユウキ:……なるほど,それで○ブング○か。
鵬也:そうなんだ。ハンドルで動くロボットってアレしかないんだ。
一同:(爆笑)
真琴:(まだ首をかしげている)どうしてハンドルでロボットが動くの?
鵬也:動くんです。ハンドルを回すと腕や脚が動いて,銃を撃てたりもします。
真琴:だからどうして?
GM:ダメだ! その辺の理屈を考えちゃダメなんだ!(笑)
真琴:……よくわかんないけど,ハンドルで動くガ○ダムって考えればいいの?
鵬也:まぁそんなもんだね。
真琴:ふーん。変なの。
鵬也:「変」で片付けられたしー!?
GM:(あっさり)じゃ,次。
真琴:名前は君嶋真琴。気づくと大谷と同じ名前ですが,女です。16歳です。
晟:(ぼそっと)君島?
ユウキ:君島?
鵬也:君島?
GM:君島?
真琴:だーっ! 言われると思ったけどーっ!(←すみません,またスクラ○ドネタです……)
清人:……死んだな。
一同:(爆笑)
真琴:だー! 生き残ってやる! 絶対生き残ってやるーっ!
GM:はいはい,いいから続き。
真琴:(ぶつぶつ)えーとシンドロームはエンジェルハイロゥ/ノイマン。UGNチルドレンです。コードネームは“魔弾の射手”。二丁拳銃使いです。デモンズシティができた時に家族を亡くし,さらにファルスハーツに攫われて色々な実験を受け,オーヴァードとして覚醒しました。
ユウキ:なるほど,脳改造される前に脱出したんだな。
真琴:んにゃ。子供思いの大谷さんに助けてもらったの。
GM:そう。大谷ライダーが(笑)。
真琴:子供たちに何をするかぁ!と。
ユウキ:なるほど,力の2号なわけか……。
鵬也:ぶいすりゃーじゃないんだな。

 気がつかないうちに,どんどんキャラが作られていく大谷。
 遭われ。じゃなかった哀れ。

真琴:話を戻しますと,その後私はUGNで教育され,射撃を教え込まれました。その時の銃の師匠が腕利きだったのですが,今使っている拳銃はその師匠の形見です。シルバーのデザートイーグルなんだよん。
ユウキ:なるほど。……死んだな。
真琴:なぜにっ!?
一同:(爆笑)
ユウキ:安心しろ,おまえの形見の拳銃はちゃんと俺が再構築してやる(笑)。
晟:君島ァ! これが,俺と,おまえの!
鵬也:輝きだあああああー!(笑)
GM:やっぱり死んだな。
真琴:イヤだー!(泣)
清人:……えーと……最後いきます(笑)。鳥越清人です。年は18歳。シンドロームはブラックドッグ/ノイマン。性別は男。
ユウキ:今回って女2人?
鵬也:いや? 女は1人だけだろ?
ユウキ:……ん? あれ?
晟:あの,ちなみに僕も男なんですが。
ユウキ:ああそうか。あまりに女々しいんで忘れてたぜ。
一同:(爆笑)
晟:……何てことを。
真琴:だいたい「あきら」って名前も女の子みたいだしね。
晟:そうかぁ?
ユウキ:それに,こいつの場合は名前云々じゃなくて性格の問題だ。
晟:むー!?
清人:……えー……続けます(笑)。俺は生まれた時からオーヴァードで,しかも覚醒が早かったもので,両親から疎まれて育ってきました。虐待されたというよりは,腫れ物に触るような感じですね。それが嫌だったので早めに自立しようとして色々やってます。
真琴:色々?
清人:こないだまで相棒と組んでスイーパーやってました。でも今はその相棒が死んじゃったんで……ちなみにワークスはスナイパーです(笑)。
真琴:……実は暗いの?
清人:いや,このキャラは「力」を使うのがあまりに当たり前だったので,そのへん深く考えません。仕事が楽になっていいや,らっきー♪ぐらいの感じで。
真琴:決めセリフはラッキー♪で。
清人:まあ,そんな感じです。
GM:では,そんなところで3話目,始めさせていただきたいと思います。

 

SCENE 1


GM:では,最初は珍しく晟からです。電話がかかってくるわけだけど……。
晟:あ,GM。僕家出してますけど。
GM:はい!?
ユウキ:でもこいつって年中家出してるようなもんじゃん。
晟:いや,いつもの松山家からも家出してます。だってほら,遙ちゃんにフラれちゃったしー。
ユウキ:ふられた? あれはふられたとゆーのか?
真琴:うわ,めっちゃ打たれ弱ぁ。
ユウキ:てゆーかただの被害妄想!
晟:何とでも言ってください。ちなみに家出先はユウキさんとこです。
ユウキ:はあ!?
GM:ちょっと待て。どうやって市外に出たんだ。
晟:そのへんはホラ,蛇の道は蛇ってことで。
GM:どういう道だ!
ユウキ:モドキが壁をぶっ壊してたから,そこから出たとか?
GM:2週間もあったんだぞ? そんなのは修復したに決まっとる。
晟:じゃあ修復される前。
GM:ん? えーと,じゃああの後,ユウキが家に帰るのと同時くらいということで……。
ユウキ:……ちょっと待て。てめえ,2週間も人ん家に住みついてんのか!?
一同:(爆笑)
晟:ちなみにユウキさんの身辺についてはちゃんと調査済みです。ので,酒粕と新巻鮭をもっていきます。
ユウキ:はあ?
晟:これでゆかりちゃんさえ篭絡してしまえば,ユウキさんの発言権なんてあってなきが如し。
ユウキ:待てやコラ!?
GM:んじゃ結論だけ言うと,ゆかりちゃんと山崎くんに「いいじゃない,ユウくん」「まぁいいじゃねーか」で終わりにされました。
ユウキ:おーい!(一同笑)
晟:ほらユウキさん,石狩鍋ですよー。あ,石狩鍋って食べたことあります?
ユウキ:…………。
真琴:(横から)どうせならちゃんちゃん焼きにしなよー。
晟:いや,石狩鍋。
真琴:おいしいよ,ちゃんちゃん焼き。
晟:石狩鍋。ほら,親睦を深める意味もあるし。
ユウキ:(微妙に疲れ気味)……どーゆー親睦だコラ。
GM/イサム:「おおユウキくん,俺はこーゆーの食べるの初めてだよ!」
ユウキ:……ああ,俺もな。
晟:いやー,すいませんねー。結局料理してもらっちゃってー。
GM/ゆかり:「いえいえ。ほら,早く食べないとユウくんと山崎さんがみんな食べちゃいますよ?」
晟:いえ,ちゃんといただいてます。……あれ,どうかしたんですか,ユウキさん。そんな親の仇を見るような目で鍋睨んだりして。
ユウキ:(無言で晟を睨む)
晟:あ,大丈夫ですよ? あとでちゃんと布団とか運ばせますから。
ユウキ:……んなもん,どっから運んでくるんだよ?
GM:そんなこと言ってると,表にトラックがききー!と止まって,「ちわーす,栄吉っすー!」(笑)
晟:あ,伊達さん,ありがとうございます。いやー,僕枕が変わると眠れないんですよねー。
一同:(爆笑)
清人:ダメだこりゃ。
鵬也:本気でダメだコイツ(笑)。
GM:……まぁそういう生活が2週間続いてるわけなんだけど。
ユウキ:すっげえ迷惑っ!(怒)
GM:俺に言われても困ります(笑)。てなわけで晟,君に通信が入ります。
晟:はい,新条です。ただいま留守にしております。ご用の方はピーという発信音の後……。
GM/大谷:「冗談はそのくらいにしてくれないかな,晟」
晟:なんだ,所長ですか。何かご用ですか。
GM/大谷:「2週間もリハビリして,だいぶ気が晴れただろう。ここらでまた仕事してみないか」
晟:(嫌そう)やー……えー……一応お話だけ伺っておきますけど。
GM/大谷:「今回は,デモンズシティの外に出てもらおうと思ってね」
晟:……どうやって。
GM/大谷:「交通手段はこちらで手配するさ」
晟:……僕,行ったまんま帰って来ないかもしれませんよ?
GM/大谷:「それはないだろう。遙もいるんだし」
晟:むー……それで,「外」の,どこですか。
GM/大谷:「北極海の孤島だ」
晟:……北海道?とボケてみますけど。
GM/大谷:「北極海だ」
晟:…………。
真琴:ひょっとして,雨追2号?(一同笑)
晟:所長。僕がそんなに憎いんですか?
GM/大谷:「いや,別に? 私はただ,君にもそろそろ一人立ちしてもらおうと思って……」
晟:嘘だ。こないだかーさんに3時間イヤミを言われ続けたのを根にもってるんでしょう。
GM/大谷:「…………」
一同:……3時間……?
晟:…………。
GM/大谷:「…………」
晟:…………。
GM/大谷:「(咳払い)まぁ冗談はおいといて,外の世界を知るにはいい機会じゃないか?」
晟:すさまじく特殊で限定的な「外の世界」のような気がしますけど?
GM/大谷:「それもまた経験」
晟:わかりましたよ。それで,何をするんですか?
GM/大谷:「詳しくはこちらから派遣するエージェントに説明させるが,『テンペスト』が狙っている特殊なウィルスの奪還だ。……ああ,それと,君今ユウキくんの家にいるんだろう? 彼にも話をもちかけておいてくれ」
晟:出すんですか? アレを? デモンズシティの外に?
GM/大谷:「なに,問題ない。どうせ今回の任務で,一般人と接触する機会は皆無に近いんだ」
鵬也:……どーでもいいけど,「アレ」とか言われてるよ?
ユウキ:俺には聞こえてねーよ。この場にいねーから。
清人:いたら殴ってる?
ユウキ:たりめーだ。ったく,毎度毎度毎度毎度……。
晟:……僕,2週間のうち何回ユウキさんに殴られたかな。
ユウキ:(サイコロを振る)10回だな。
一同:(笑)
GM:意外と少ないな(笑)。
ユウキ:ゆかりの目のあるところでは手ぇ出せねーからだよ。
鵬也:その場合は,拳を震わせながら我慢してるしかないと(笑)。
ユウキ:あー,ストレス溜まるっ!(怒)
GM/大谷:「まぁ話を戻すと,ユウキくんはデモンズシティの外にいた方が安全かもしれん」
晟:あー,まぁちーちゃんやらモドキやらに狙われてますしね。
GM/大谷:「そういうことだ。戦力にもなるしな。君一人では辛いだろう?」
晟:そんなのは当たり前です。
GM/大谷:「そうだな。というわけで君たちのほかに,こちらから2名つける。それに運び屋。……ああ,一応チームリーダーは君だから」
晟:はあ? 本気で言ってるんですか?
真琴:(横から)いいじゃん。面白そうじゃん。ついでだからたまちゃんも連れて行ってあげなよ。
GM:たまちゃん?
晟:今回から《アニマルテイマー》《ハンドリング》覚えましたんで。ちなみに白いオウムです。
清人:しゃべるの?
晟:しゃべります。んでユウキさんにつきまとってうるさく鳴きます。
ユウキ:ああ?
GM:くーん,くーん,とか?
晟:それじゃ犬でしょうが。そうじゃなくて(甲高い声で)「ダメ人間! ダメ人間! ダメ人間!」
ユウキ:うるせえバカ鳥!
一同:(笑)
真琴:(甲高い声で)ミトメタクナーイ!
ユウキ:羽むしって食うぞ!?
GM:(甲高い声で)オマエモナー!
鵬也:(甲高い声で)毎度,毎度ぉ!
ユウキ:だからうるせえっ!?
清人:……ちなみに,何故ハ○になるの?
晟:さあ……(笑)。
GM:では改めて,たまちゃんの声は三石○乃ということで(笑)。
ユウキ:……アタマ痛くなってきた……。

 ちなみに何故○ロ(しかも2代目)ネタが出たかは定かではないんですが。
 多分松井がプレイ当日,GMの誕生日プレゼントに「ピンクちゃん」を差し上げたからでしょう……。

GM/大谷:「というわけで,ユウキくんにもよろしく伝えておいてくれ,あ,報酬はいつもの通りだから」と通信オフ。
晟:……ユウキさん,そういうわけなんだそうですけど?
ユウキ:……どういうわけなんだよ。
晟:仕事です。
ユウキ:報酬は?
晟:えーと,米と野菜と調味料一式と,あと今回は奮発して肉がつきます。
真琴:牛1頭ぶん(笑)。
ユウキ:引き受けてやってもいいけど,で,何やるんだよ?
晟:何でも,今度は北極海の孤島に行くみたいですよ。
ユウキ:ほっきょくかいぃ?
晟:あ,北極海というのはですね(と,世界地図を広げて)北極を中心にぐるりとこのあたりですね。
ユウキ:んなとこにどうやって行くんだよ。
晟:僕も詳しくは知りませんが,運び屋さんがいるみたいですよ?
ユウキ:ふーん……まぁいいや。引き受けてやるよ。引き受けるのはいいんだけどな。
晟:何ですか?
ユウキ:その鳥どーにかしろよ!
真琴:(甲高い声で)オマエモナー!
一同:(爆笑)
晟:(甲高い声で)ダメ人間! ダメ人間!
清人:(甲高い声で)ミトメタクナイ,ミトメタクナーイ!
ユウキ:…………。
GM:さらにドツボにはまりそうだから,黙って耐えた方がいいと思うけど……。
ユウキ:…………。
GM:と,いうわけで晟とユウキのオープニングはこれで終わりです(笑)。

 

SCENE 2


GM:では次,運び屋さん。電話がかかってきます。
鵬也:はい,運送屋「ブルーゲイル」ですが?
GM:「やあ,“ブルーゲイル”。ひさしぶりだね」と君のお得意様の一人である,UGNの大谷所長の声が。
鵬也:ああ,あんたですか。で,今度はどんな仕事です?
GM/大谷:「人間を運んで欲しい」
鵬也:「ほう。で,どこに」
GM/大谷:「北極海だ」
鵬也:(しばし沈黙)……正気か?
GM/大谷:「正気だとも。こんな仕事,オーヴァードの運び屋である君にしか頼めない」
鵬也:いちおう話は聞いておくが,で,その運んで欲しい人間というのは?
GM/大谷:「全員オーヴァードだ」
鵬也:ほう。それは中々楽しめそうな仕事だな。で,そいつら何者なんだ?
GM:そうすると,ファックスで4人のデータが送られてくるわけなんですが。
鵬也:なあ大谷さん。俺には,こいつらがみんなガキに見えるんだが……。
GM/大谷:「そうだな,上は18歳,下は14歳だ」
鵬也:……正気か?
GM/大谷:「正気だとも。彼らはこう見えても有能なエージェントだ。それに,君のような経験豊かな人間がついてくれると助かる」
鵬也:つまり何か? 俺は子守り役か?
晟:(ぼそっと)……ああ,言ってしまったかその言葉を。
鵬也:は?
晟:言わない方がよかったと思いますよ。綾さんの二の舞になりたいんですか?
鵬也:え?
GM:認めたからには子守りをしてもらおう。はい,決定〜。
一同:(笑)
鵬也:おーい(笑)。
GM/大谷:「報酬はいつもの倍額払おう」
鵬也:む。……それは,子守り代込みということか?
GM:それと,危険手当込み(笑)。時と場合によっては戦闘もしてもらうから。
鵬也:むう。まぁ,いいだろう。
GM/大谷:「日時は明日,正午に3番ゲート前だ。君は操船はできたかな?」
鵬也:うーん,まぁできないこともないですがね。
GM/大谷:「ほう,それは頼もしい限りだ」
鵬也:ホントは船舶免許とか持ってないんだけどね。
一同:(笑)
真琴:それ,大丈夫なの?
鵬也:大丈夫。いざとなったらモーフィングしてハンドルつけちゃえば済むことだし(笑)。
晟:そういう問題か?
鵬也:ハンドルのついているもので私に運転できないものはない!(笑)
晟:返す返すも,そういう問題なのか?
ユウキ:てか,ここから北極海まで船で行こうってのかよ。俺はその方が気になるが。
清人:(ちょっと遠い目)何週間くらいかかるんだろう。
ユウキ:ひと月かかるんじゃねー?
真琴:そもそも何で飛行機じゃないの?
GM:船の方がデモンズシティ脱出が簡単なのだ。色々あって。
鵬也:で,何で近場じゃなくて日本支部の人間が行くの? デモンズシティの人間が行くの?
ユウキ:デモンズシティって太平洋側だぞ。北極海行くのってすげえ遠回りだぞ。ロシア支部とかが行った方が早いんじゃないだろうか。
鵬也:ロシアのオーヴァードってどんなんだろ。見てみたい気はするな(笑)。
一同:…………。
GM:それはまぁ。色々あるんだよ。
鵬也:色々って何だよ?(笑)
GM:では,そんなところでシーン変えます。

 

SCENE 3


GM:では,次は君嶋の方からいこうか。君,UGN所属なんだよね? というわけで任務だ。
真琴:ええ。大谷さんにはとても恩があるので,謹んで従いましょう。
GM/大谷:「うん,彼のサポートをしてもらいたい」と晟のプロファイルを渡します。
真琴:私は晟のことは知ってるんですか?
GM:知ってるんじゃない? 有名人だし。
晟:……どういう風に有名なんだ。
ユウキ:あまりにも女々しい,とかか?
真琴:ああ,わかった。いつも幼なじみだとかいう女といちゃいちゃしてて,周りが目にも入っていないやつか。
一同:正しい(笑)。
晟:何てことを!
ユウキ:そのまんまじゃねーか。
晟:イヤっ! 光と一緒にしないでぇっ!
ユウキ:うるせえ黙れ!
GM/大谷:(無視)「まあ,君と年も近いし,気が合うのではないか?」
真琴:そう……ですかね。
GM/大谷:「そう……だといいなぁ」(笑)
晟:アンタら……。
真琴:所長がそうおっしゃるなら善処します。で,私は彼をサポートして何をすればよいのでしょうか。
GM/大谷:「うむ,君には北極海の孤島に行ってほしい」と資料をばさっと。渡航ルートとかね。ちなみに赤でポイントが示されてるんだけど,地図上には何もないね。
真琴:これは……地図に載っていないのですか。
GM/大谷:「そうだ。16年前,その存在を抹消された」
真琴:16年前というと,デモンズシティができたのとほぼ同時期ですね。そこで何が行われているのですか。
GM/大谷:「まだ未確認なのだが,その島には新種のレネゲイド・ウィルスが眠っているらしい」
真琴:ほう……。
GM/大谷:「しかもこのウィルスを『テンペスト』が狙っているという情報もあるのだ」
真琴:テンペストって何でしたっけ。
晟:在日米軍の中の,オーヴァードのみで構成された部隊ざます。
真琴:それって結構手段選ばないタイプのヤツだな。
GM:超タカ派っす。
真琴:ブッ○ュがそのままヘッドにいるよーな部隊なんだな?
GM:それはどうかしんないけど(笑),ともかく,その部隊が調査に向かったというのだ。君の任務はまず第一に,そのウィルスがヤツらの手に渡るのを防ぐこと。持ちかえってくるのがベターだが,不可能な場合には……。
真琴:消去・抹殺ですね。わかりました。
晟:(ぼそっと)あのさぁ,ウィルスをどうやって持ちかえるの? どうやって消去するの?
GM:どういう形態で存在してるかわかんないからなぁ。何とも言えん。
晟:それ,まさか感染して帰ってこいってことじゃ……。
GM:はっはっは。まさか。
晟:…………。
GM/大谷:「……まぁ,困難な任務だと思うが,よろしく頼む」
真琴:了解しました。では,きちんと礼をして退出します。
GM:では,君嶋のシーンはここで終了です。

 

SCENE 4


GM:最後,鳥越のシーンなんだけど……この「依頼人」の「佐々木さん」ってどういう人?
清人:どういう人って……仕事もってきてくれる人。今はその人を通して仕事受けてます。
GM:なるほど,仲介屋さんなんだな。では,その佐々木さんが言うには,「ひとつ仕事を頼みたい」
清人:はい,何でしょう?
GM/佐々木:「今回はUGNがらみの仕事だ。何でもデモンズシティの外へ行って仕事をするので,人手が欲しいらしいな。それも戦闘力のある,オーヴァードのな」
清人:デモンズシティの外ですか? どこで?
GM/佐々木:「北極海だ」
清人:…………。はっ?
GM/佐々木:「だから,北極海だ」
清人:(やはりしばし沈黙)何かこー,普通あり得ないような任務ですね。
GM/佐々木:「うむ,滅多にはない任務だな。しかもそこで『テンペスト』とやりあう可能性もあるらしいぞ」
清人:はあ……。
GM/佐々木:「えーと,君が組むことになるUGNのメンバーだが」とがーっとデータが送られてくる。とりあえず晟とユウキ。
ユウキ:ちょっと待て! 俺はUGNになった覚えはない!
GM:こないだ,仕事ならいつでも受けてやるって言ったじゃん。
ユウキ:そうは言ったが,UGNに入るとは言ってない!
晟:そういうことはね,きっとユウキさんの知らないところで話が決まっているんですよ。
ユウキ:何でだよ!?
鵬也:裏で山崎が契約書交わしてんだな,きっと。
清人:つまり売買契約書?
ユウキ:…………。
清人:えーと……続けます(笑)。佐々木さんの頼みならやりますけど……こっちも生活かかってるんで……。
GM:では短いけど,ここでシーンを切ります。

 

SCENE 5


GM:では次のシーンで早速全員登場だ。次の日,市内と市外を隔てるゲートの前である。
晟:で,集まってどうするの。
GM:うむ,そこからおっきーの車に乗って港へ行くと,一隻の黒い船が停まっておるですよ。
鵬也:おっきー言うな。それはそうと,これに乗って行けばデモンズシティから出られるのだな?
晟:具体的にどーやって? ストレンジャーズも警戒してると思うんですけど。
鵬也:それはそれ,蛇の道は蛇ってヤツだろう。
真琴:どういう道なんだろ……。
ユウキ:どんな道だろうと,襲ってくるヤツはみんなぶっ飛ばせばいいんだよ!
晟:そりゃ,ユウキさんはそれでいいかもしれませんけどね……。
鵬也:ま,その辺は深く考えても仕方あるまい。それより,物資などはもう積み込んであるのだろうな?
GM:うむ,燃料も食料も水もばっちりだ。必要最小限だけどな。
鵬也:船の大きさは?
GM:クルーザーよりちと小さいくらいかな。
鵬也:よし,行くぞ洟垂れども。
一同:…………。
鵬也:誰も返事しないしー!?
真琴:私はさっさと乗りこんでしまっているが。
鵬也:何でチームワークのない!(笑)
ユウキ:ウダウダ言ってねーで乗りこむぞ,おっさん!
鵬也:お,おっさん!?
清人:じゃ,いこっかー? えっと,君が新条くんだっけ?
晟:そうです。よろしくお願いします。
鵬也:何かすげえ疎外感を感じる……。

 というわけで取るものもとりあえず出航する一行。
 ……ええんか,こんなずさんな船旅で……。

鵬也:それではさっそく船長室へ。あ,私形から入る人なんで,まずは船長用のキャップをかぶります。
一同:(笑)
鵬也:それにレイバンのサングラス,海泡石のパイプだ。何なら《マシンモーフィング》で作ってもいいぞ。
GM:うーん……(笑)。
清人:ある意味カッコいいけど。ちょっと遠巻きにして見たくなったりもする(笑)。
晟:ユウキさん。アレは,何ですか?
ユウキ:知るか。おまえらの雇う人間にロクなもんはいねーってことだろ。
晟:……ユウキさん,その中に自分も含まれてるってわかって,
ユウキ:ばきぃ!(殴る)
一同:ツッコミ早っ!(爆笑)
晟:何でいちいち殴るんですか!?
ユウキ:うるせえ。俺はおまえの対処法を学んだんだ。
晟:はあ。
ユウキ:無視するか,皆まで言わせず殴るかだ。
晟:ひ,ひどい! ひどすぎる!
ユウキ:うるせえ! いつも一言多いんだよ,おまえはよ!
晟:まったく,殴れば済むと思ってるんだから……(ぶちぶち)。
真琴:(いきなり)おまえが新条晟か。
晟:は? あ,いや,そうですけど。
真琴:そうか。私は所長からおまえの護衛を頼まれた,君嶋真琴だ。よろしく頼む。
晟:あ,はい。よろしくお願いします。
真琴:時に,私はおまえを何度か支部で見かけたのだが,私のことを覚えているか?
晟:いえ……。
真琴:ふむ。そうだろうな(と言ってくるりと踵を返す)。
晟:……何だ,あれは……?
真琴:……というわけで晟にロイスをとっておくぞ(一同笑)。
晟:だから,何でみんなしてそういうセコいロイスの取り方するんですか……。
ユウキ:だから言ったろ。所詮,おまえらUGNは変人の集まりだ。
晟:だから,その中には当然あなたも含まれて,
ユウキ:俺はUGNじゃねえ!(殴る)
晟:はう!
鵬也:……つーか,ホントにツッコミ早いな(笑)。
GM:慣れたんだろう。一言多いのが周囲に2人もいるから(笑)。
真琴:(いきなり)そうか。おまえが草薙ユウキか。
ユウキ:あ? 俺に何か用かよ?
真琴:今回同行することになった君嶋真琴だ。よろしく。
ユウキ:おう……。
真琴:というわけでおまえにもロイスを取っておこう。
一同:(笑)
ユウキ:……おい。
晟:マジで,何なんだこの人……。
真琴:だってこの2人にはロイスをとっておいた方が面白いでしょうが。
GM:だからって速攻で2つロイスとるか? まあいいけど。
鵬也:やっぱりついていけないものを感じてしまう俺。……もう年なのだろうか。
清人:友好的に接してくれれば友好的に応じるつもりだけど?
晟:ああ,じゃあここで一応ご挨拶を。えーと,あなたが運び屋さんですね?
鵬也:うむ,あんたが新条晟か?
晟:はい,そうです。今回はよろしくお願いします。
鵬也:うむ,俺は沖鵬也だ。よろしくな。
真琴:(甲高い声で)オマエモナー!
一同:(爆笑)
鵬也:……空耳か?
晟:あ,いえ(笑)。これは僕のペットのたまちゃんです。よろしく。
鵬也:ふむ。確かにこういう長旅では,肉も用意しておきたいところだが……。
晟:ペットですってば。いきなり食さないでください。
鵬也:いや,てか,メンチ?(笑)
ユウキ:あんまり肉はなさそうだよな。
晟:だーかーらー!
GM:(甲高い声で)ミトメタクナーイ!(一同再度爆笑)
清人:う,うるさい……(笑)。

 ……余談だが,松井が電池まで持ってきたにも関わらず,その日たまちゃん,もといピンク○ロは稼動しなかった。電池カバーがドライバーを使わなければ開閉できないようになっていたからである。
 真琴プレイヤーによると,「あんまりうるさいんで,最終手段として電池引っこ抜く人が多いらしいよ。だからその予防策としてそうそうカバーは開けられないようになってるんじゃない?」
 ……実際,本当にうるさい,らしい(笑)。

真琴:……ところで晟。それは何だ?
晟:だから,僕のペットです。オウムです。
真琴:(呟くように,遠い目で)そうか。ちなみに私は,動物好きだったりするのだ……。
晟:榊さんですかアンタは。
真琴:(頷いて)いとおしげな目で見つめていよう……ただし表情は無表情だ。
晟/たま:(小首をかしげて)「……ゲンキ,ゲンキ?」
真琴:……ああ,私は元気だ。おまえはどうだ?
晟/たま:「オマエモナっ!」
真琴:そうか,おまえも元気か。よかった……ちなみにおまえ,名前は何ていうんだ?
晟/たま:「タマ,タマ!」
真琴:そうか,たまか。私は君嶋真琴だ。よろしく……。
晟/たま:「オマエモナ,オマエモナー!」
真琴:うん……仲良くしてくれると嬉しい……。
晟/たま:「毎度,毎度ぉ!」
ユウキ:……いつまでやっとんじゃてめーら!
一同:(爆笑)
清人:本気でうるさい……(笑)。
ユウキ:しまいにゃむしって食らうぞこのバカ鳥が!?
真琴:(ぼそっと)やめろ,たまにひどいことをしないでくれ……。
GM:ミトメタクナイ,ミトメタクナーイ!ってたまちゃんネタは大概にしよう(笑)。ではそうこうしながら航海は続く。途中寄港して食料を買いこんだりしながら,1週間ばかりたったある夜である。そろそろ目的地に近づいてきた。
晟:いやフツーもっとかかると……。
GM:特別製の船だから。
晟:毎度毎度それかいっ!?
清人:あのね,それだけ超スピードで走ってる船って,内部の人間に負担かかるんじゃないの?
GM:(あっさり)それもそうだな。では〈耐性〉判定を。
一同:おーい!(笑)
GM:だって当然揺れるから,船酔い判定ね。あ,運転してる人はいいよ? 酔わないから。
晟:だから【肉体】の判定は……って1! ファンブル!?
鵬也:おう,あまりに出ないので存在すら忘れ去られるダブルクロスのファンブルが!
晟:私も初めて見ました。てか,酔った〜!(笑)
真琴:一応9だけど……ダメ?
GM:目標値は10。ユウキと鳥越は? 成功? じゃ,酔った人はこっから2日間,全ての判定にダイスペナルティ1ね(笑)。
真琴:ひー! そんなことなら《天性のひらめき》使えばよかったー!?
晟:(←半死体)そうですね……てか,どーしよーもない僕にこの判定はあんまりだ……。
鵬也:鍛え方が足りんからだ。
晟:……そういう沖さんは?
鵬也:【肉体】2。
晟:たいして変わらんやんけ。
清人:【肉体】2。
真琴:【肉体】1。
GM:なんだ,一部を除いてみんな貧弱なんだ(笑)。
ユウキ:【肉体】12。
真琴:そんな人外魔境のことなんて誰も訊いてないよ。
鵬也:うむ。
ユウキ:…………。
GM:ではそんな夜だが,やはり真っ暗だな。星は出ているが。ところで,操船してる人,およびデッキにでている人は?
一同:はーい。
GM:何だ,全員なの?
ユウキ:部屋にいてもすることないしな。
清人:同じく。
晟:僕は船酔いがひどいので外の空気吸ってます……。
真琴:私は晟にくっついているたまにくっついて,酔いを紛らわせていよう……。
鵬也:俺は操船ね。言うまでもないけど。
GM:じゃあ全員〈知覚〉で判定してくれ。こっちも対抗で(ころころ)16以上の人は?
鵬也:成功した。北の海は俺の海〜♪とか鼻歌歌ってるぞ。
GM:それはよくわからんが,とにかく船長だけが反応したんだな。周囲は真っ暗闇,何の灯りが見えるわけでもない。音も波と風の音しか聞こえない。しかし,それでも君は,近くに他の船がいるのを感じたぞ。
鵬也:む……距離はどのくらいだ。
GM:50から100メートルかな。ちょっとよくわからない。でも,だんだん近づいてきてる。
鵬也:ではぱかっと伝声管を開けて,(渋い声で)おい起きろ,お客さんだぞ。
清人:お言葉だけど,みんなデッキにいるよ?
鵬也:はう! 仕方がないので窓から首出して叫びます。……何かすごく釣り船ちっくだぞ?
一同:(笑)
晟:(大儀そうに)……何だいすーちゃん。
鵬也:誰がすーちゃんか。てゆーかおまえはハマちゃんか。
晟:……ちょっとしたアメリカンジョークじゃないですか……。
鵬也:あれは邦画だ。ってそれはどーでもよくて! お客だとゆーておろうに。
真琴:む,客とは,例のアメリカ軍か? 周囲を見渡してみるが……。
GM:とりあえず,何も見えないね。……まだ。
真琴:まだ?
清人:とりあえず,警戒体制をとろう。銃を引き抜きます。
GM:ではそんなところで,1回シーンを切ります。
真琴:あ,ちょっと待った!
GM:何?
真琴:今のうちに,たまにロイスをとっておきたいのだ。
一同:何故そーなる!(爆笑)
真琴:な,何故って,私は今かなりたまと仲良くしてたぞ? ちなみに表は「幸福感」だ。
GM:いきなりはーとうぉーみんぐな物語になっても困るのだが……(笑)。
清人:とゆーか,晟やユウキとよりよっぽど仲良くしてたよね(笑)。
真琴:そうか,晟ではなくたまにロイスをとればよかったんだ!
晟:あなたねえ!
GM:ま,まぁそのへんは好きにしてくれていいけど。ではあらためてシーンを変えるよ。