SCENE 16


GM:では,残った2人にシーンを戻そう。えーと……片方は何故か線路を飴にして遊んでますが(笑)。
尚也:…………。
遙:(←すっげえ楽しそう)えーと,えーと,さっきはおリボンだったから今度はハートなのですー。
尚也:……一応後方を警戒しておこう。
遙:ほらほらなおちゃん,ハートなのですよ? かわいい? かわいい?
尚也:(頑なに)後方を警戒しています。
GM:ほう。すると君は背後で何が起こっているか見ていないのだね?
尚也:私は何も見なかった(笑)。
GM:(にやり)するとだね,遙。君の隣で「やあ,なかなか上手だね」という声がする。
遙:(思わず)ありがとなのです! ……あれ? ちなみにどなた?
GM:えーとね,わりと背の高いお兄さんがいつの間にか隣に立ってます。君より2歳くらい年上かな。
晟:……2歳? てーことは,17歳?
GM:(にやにや)そう,17歳。ちなみに君のよーく知っている人によーく似ています。
遙:この人?(一同,そろって尚也を指差す)
GM:(がっくり)いやそーでなくて。
遙:だって,私の知ってる人によーく似てるということは,なおちゃんの弟さんじゃないですか?
GM:いや,もっとよーく知ってる人。
遙:ほえ?
一同:…………。
晟:……ひょっとして,僕?
GM:はい,その通りぃ〜♪
晟:…………。
遙:ほ,ほえ?
晟:……え,えーと(汗)。
GM:(さらににやり)晟くん,君確か楓にクリソツって設定なんだよね。
遙:えーと? 私って楓の顔知ってましたっけ?
GM:会ったことはあるはずでしょ?
晟:会ったことがあっても3歳じゃ記憶が曖昧ですよ。
GM:はっ,しまったっ(笑)。
晟:13年前に出奔したっきり帰って来ないんだよね,あンの馬鹿親父は〜?
遙:(←フォロー)でもでも,多分写真とかで見たことあるですよ。お父さんとかお母さんが見せてくれてるです。
GM:そうだな,その方が都合がいいかな。何せこのお兄さん,17歳時の楓とぜーんぜん変わってないんですよ。
遙:ほえっ? どゆことですか?
晟:(ぼそっと)ああ,何かどんどんイヤな予感がしてきたぞ……。
ユウキ:つまりここの家系って全員若作りだと?
一同:(笑)
GM:無茶言うなー!(笑)
ユウキ:いや,わかりませんよ。あの母親にしてこの息子ありかもしれない。何せオチが単なる若作り!
晟:だぁら,悪かったって言ってんでしょ!(笑)
綾:ま,とにかく話を元に戻しましょうよ。ちなみに,遙の知る限り楓はちゃんと年とってんですか?
晟:一応老けにくい家系って設定はあるけど,いくらなんでも17のまんまということはないはず。
GM:そうですね,写真で見比べたこととかあると思うけど,ちゃんと年とってますよ。
綾:写真ったって,モーモーさんパジャマの写真じゃあ仕方ねーよな。
晟:何故わざわざモーモーさんパジャマの写真になるか!(笑)

 ……だんだん,収拾がつかなくなってきたぞ(笑)。

尚也:だから,話を戻そうといって脱線させちゃいけませんよ瀞南寺さん。
綾:はい,すいません。進めてください(笑)。それとさGM。
GM:うん?
綾:楓ちゃんの服装って,ひょっとして,黒?
GM:ぴんぽんぴんぽーん♪
晟:うっきゃーっ! やっぱりーっ!
GM:髪は烏の濡れ羽色よ(笑)。
遙:(首をかしげ)えとえと……あきちゃんじゃ,ないよねぇ?
GM/楓?:「あきちゃん? ああ,晟のことか。違うよ」
晟:(じたじたしている)うにゃあああっ! 「あきら」とか呼ばないでえええっ!
遙:えっと……あきちゃんの親戚の方ですか?
GM/楓?:「親戚? どうかな。彼と俺は,そうだな。むしろ……」
晟:うきゃーっ! 私は何も聞きたくなーい!
GM/楓?:(構わず)「そう,兄弟といった方がいいんじゃないかな」
晟:(←ある意味楽しそうだ)うにゃあああああっ!
綾:そこ,何だかよくわからんがとにかく少し落ち着きなさい(笑)。
尚也:ええと……私はそろそろ背後の異変に気づいていいんだろうか……(笑)。
GM:そうですね。君が振り向くと,黒衣の少年が遙のすぐ隣に立っている。その顔は,コレ(晟)を少し大きくしたような感じかな。
尚也:……誰だ,おまえは。
GM/楓?:「名前ね。そうだな……新条楓とでも名乗っておこうか」
遙:ほえほえ!? でも,それは楓くんのお父さんの名前では……。
晟:(絶叫)楓の親の名が楓でどーするー!
一同:(爆笑)
ユウキ:それを言うなら「あきちゃんのお父さんの名前」だろが!
遙:はううっ! すいません,今の素で間違えましたー!(笑)
綾:遙も混乱してるみたいだな。気持ちはわかるが(笑)。
遙:やりなおしー! それはあきちゃんのお父さんの名前ではないのですかー!?
GM/楓?:「そうだね。でも,俺の名前でもある」
晟:(さらに絶叫)にゃああああああっ!
GM:で……っておい。晟。
晟:にゃ?
GM:遙が混乱するのはともかくとして,君はさっきから何をやっているのだね。
晟:うう……だって……。
GM:言っておくが,こーゆー設定を最初に考えたの,そっちだぞ(笑)。
晟:いや……てゆーより……。
GM:ん?
晟:その顔と声でその口調,やめてくんないですか!? 死ぬほど気色悪いっすよ!?
一同:(爆笑)
晟:怖いよー! 気持ち悪いよー!(泣)
GM:そこまで言うかアンタ。
晟:だって楓の顔した千葉がしゃべってるみたいだよー!
遙:えーと,えーと,よくわからないのですが,それで結局何のご用ですか?
GM/楓?:「すまない,君を混乱させるつもりはなかった。とにかく,俺は君を迎えに来たんだよ」
遙:って,え? 迎えって,どうしてですか!? どこにですか!?
GM/楓?:「どこ? さてね,来ればわかるよ」
遙:ほえー!?
尚也:(嘆息)……そろそろ話に入っていいだろうか。
GM:じゃあ一応君の方をちらっと見て,「ああ,ごめん。いたのか」と。
尚也:意図的に無視するな。その娘に何をする。
GM/楓?:「連れて帰るのさ」
尚也:どこにだ。勝手なことを言うんじゃない。その子にはちゃんと家もあるんだぞ。
GM/楓?:「説明してあげたいところだが,俺にも時間がない。ここでさよならだね」と言って……。
尚也:投げる。
GM:は?
晟:……ひょっとして,魔球を投げるんですか?
一同:(笑)
尚也:そのために〈射撃〉技能を持ってるんですよ私は。
GM:では一応振ってみてくれる? 多分間に合わないと思うけど……。
尚也:では〈射撃〉《電光石火》で……いかん,13だ。
GM:ふむ,では2人が消えた後にボールが通りぬけ,壁にめり込むね。
尚也:……というか,消えた? どうやって消えたのだ。
GM:さてね〜♪
綾:でたぞ,摩訶不思議エフェクトが(笑)。
ユウキ:は! 熱光学迷彩か!
GM:違います(笑)。投球ポーズとってる間に逃げられたんじゃないの?
晟:(両腕を振り上げ)はっ。
尚也:ワインドアップしない! 誰がそんなマヌケな真似しますか!
晟:魔球を投げるのはマヌケじゃないんですか(笑)。
尚也:私は最大限の努力はしているぞ。それに今のは何をやってもどうせマスターの演出だ。
綾:それを言っちゃあ……(笑)。
GM:(咳払い)あー,いいかね。そこでちょっとそこの回想シーンに入るのでシーンを切ろう。
晟:え? 僕?
GM:そうです。君,確か2年前に1週間ばかし行方不明になってたんだよな?
晟:です。実は謎の集団にさらわれて,殺されそうになったところを助けてもらったのです(笑)。
GM:よりによってアノ人に。
晟:そう,例の「黒いおじさん」に(笑)。そこで出生の秘密とか吹き込まれちゃった。
GM:「君はご両親の本当の子供ではない!」ってヤツですね。ではそのシーンである。

 

SCENE 17


「これは使いものにならない。処分しよう」

 そう言われた。
 目が覚めて,第一声がそれとはあんまりである。
 頭越しに,見知らぬ男たちが話している。白衣とか,軍服。そろって忌々しそうな顔。貴重なデータが検体が胚がどうとか言う。

「なんでこんなに歪みがでてるんだ。もう手遅れじゃないか」
「他と育ち方が違うからだろう。ずいぶん甘やかして育てたって話だから……」
「何てこった。てめえのペットにするために産ませたわけじゃないんだぞ」
「コイツを処分するとして,母親はどうする?」

 何と返事があったかは,もう覚えていない。今となってはどうでもいいことだ。


「家に帰りなさい」と男は言った。
 まず思ったのは,どうやって帰るんだろう,ということだった。無理やりさらわれてきて,ここがどこかもわからない。ポケットには一銭もない。緊張と空腹で身体はろくに動かない。挙句に服も身体も髪も血まみれ。いくら市外でも,こんな格好で表を歩いたら大騒ぎだ。そしてふと男を見上げると,その真っ黒なコートには一点の染みもないのだった。「私は殺してません」とか真面目な顔で言われたら,世間の人はうっかり信じるだろうか。案外そうかもしれない。世の中は色々と間違っている。
 麻痺した頭で,折り重なる死体の山を見つめる。数が多い。それは,周囲にいた白衣やら軍服やらの男たちだけではないのだった。
 自分が殺されたような気がした。
 自分が。自分より幼い自分が。自分より年をとった自分が。
 写真でしか見たことのない男に,そっくりの男が,青年が,少年が,それはもう,しつこいくらいに何人も。
「……全部殺してしまったんですか?」
 何故かそう訊いていた。自分だけが残されたわけも,あまり深く考えられなかった。男ははいともいいえとも言わなかったが,
「そうですね。……あなたはいつか,自分の兄弟に出会うことになるでしょうね」
 それからもう一度,「帰りなさい」と言った。


GM:そういうわけでDロイス「複製体」を差し上げよう(笑)。
晟:……どうも。しかし,本体が楓だと,もらえるのってハヌマーンのエフェクトでしょ? オルクス/ソラリスでもらってどうするかっつー。
GM:えーとね,これあげる。《クロックアップ》。
晟:それって「変異種」のエフェクトじゃなかった?
GM:特殊設定だから。「変異複製体」みたいな?(笑)
晟:またそれかいっ!(←この人は他人のことは言えない)
綾:ま,それはそうと俺ら合流していいのかな?
GM:では,遙以外は登場してOKです。
遙:ほえー。
晟:あ,遙ちゃん! 遙ちゃんがいない! 尚也さん,遙ちゃんはどうしたんですか!?
尚也:それが……すまない。黒衣の男にさらわれてしまったのだ。
晟:がーん!! なあんてこったあああっっ!
綾:はい,そこで騒いでないで衝動判定をどうぞ(笑)。
晟:(ころころ)成功。えーと2D10を振って侵蝕値を……おや?
GM:どのくらい上がった?
晟:……5しか上昇せんぞ?
一同:衝撃少ねえし!(笑)
遙:(←何故か楽しそう)いえーい♪
綾:えーと,一応,すぐ助けに行かねば!という心が衝動を押さえこんだということにしておこうか(笑)。
尚也:とにかく,私がついていながら申し訳ない。
晟:そうだ! で,いったい何があったんですか!?
尚也:それは,君によく似た男が……。
晟:がああん!(一同笑)
綾:ダブルショーックって感じだな。もう1回衝動判定するか?(笑)
GM:いや,とりあえずもういいよ。トリプルショックがあったら考えてもらうが。
晟:そ,それで,その男って30くらいでしたか? それとも……。
尚也:いや,君より2,3歳年上だったな。
綾:(白々しく)おや? 君兄弟いたっけ?
ユウキ:(白々しく)オヤジが他所で子供つくってたんじゃねえの?
晟:……うずくまって吐いていよう。
尚也:おいおい,大丈夫か?
晟:う……それが,黒衣の男だったんですね?
尚也:どうやらそのようだ。ちなみにその男,新条楓と名乗ったぞ。
一同:(爆笑)
晟:げほごほげほげほ!
GM:早速トリプルショックか!
綾:さあ,衝動判定をどうぞ!(笑)
尚也:で,その男,君の親戚か何かではないのか。
晟:違いますぅ!
尚也:違うのか? では新条という姓の君に偶然よく似た男か?
晟:尚也さんがいじめるー!(笑)
ユウキ:楓だか親戚だかなんだかしらねえが,で,結局どうすんだよ。
晟:そうだ! それで遙ちゃんはどうしてさらわれたんですか!?
尚也:それは俺も知らん。迎えに来たとか言っていたが……。
GM:さて,そこで前回の千葉のセリフを思い出してみよう!
綾:「黒衣の男に気をつけろ」?
晟:確か光と楓がどうとか……。
尚也:始まりがどうとか言ってなかったか?
GM:いやそれじゃなくて……誰も覚えてないの?
綾:そこらへんにリプレイあるだろ。探せー(笑)。
GM:おまえらなあ……。
ユウキ:うん? よく考えてみりゃ,俺は覚えてなくていいんだよ。気絶してたんだから。
一同:(爆笑)
GM:そういう開き直りかたもアリかよぉ(笑)。
綾:(リプレイを見ていた)ひょっとしてこれ? 鍵とか扉とか。
GM:そう! それである!
晟:ロー○ス島で聞いたようなセリフだな。
GM:いちいちやかましい。
遙:(読み上げる)「『鍵』は,舞台にあがった。あとは『扉』だけだ」……。
晟:そんなー! 遙ちゃんに鍵を差し込むなんて,そんなオトナなー!
一同:(一瞬の間)
GM:……このドアホー! どさくさにまぎれて何を抜かすかー!
綾:おいこら,ジーク(←PPPリプレイの彼)が憑依してるぞ! お祓い連れて来いや!
晟:だって遙ちゃんがー!(泣)
ユウキ:ええい,うるっせえ! 動くのか動かねえのか,どっちなんだよ!
尚也:(冷静に)……はいはい,とりあえずクールダウンクールダウン。

 ……今聞き返してみるとなんて収拾ついてねえプレイだ……。
 そしてごめんなさい。一番大騒ぎしていたのは間違いなくワタシです……。
 (かなり謝っておこう……)

綾:(気をとりなおして)それで上杉,遙ちゃんたちがどこへ行ったか,わかるかい?
尚也:何せ消えてしまったからな。ただし,どんなエフェクトを使ったにしろ,そこまで効果範囲が広いとは思えない。
晟:そんなもんですか?
尚也:例えばどこにでもテレポートできるようなものなら,今までにいくらでも遙をさらうチャンスはあったわけだからな。
晟:じゃあ,まだこの近くにいるってことなんですか?
尚也:多分な。まぁ多分市内に行ったんじゃないかと思うんだが……。
GM:とか言ってる間に,どかーん,どごーん,と爆発が起こったりするわけなのだが……。
綾:どっちから?
GM:市内の方からだね。
尚也:やっぱりな。行こう。
綾:晟くん,走れるか?
晟:うー,何とか……。
ユウキ:面倒なので襟首引っつかんでぶら下げていく。
晟:はにゃっ!? せ,せめて小脇に抱えるなり肩にかつぐなりー!
ユウキ:……身長体重いくつ?
晟:ん? えーと164センチの48キロ。
ユウキ:じゃあ大丈夫じゃねえか。おらおら行くぞ!
晟:あうー,あうー!
GM:(苦笑)えーと……とりあえず君らがそうやって走っていくと,天井と奥が崩れてる。
綾:天井?
尚也:多分,ヤツが市内への壁を破ったんだろう。その衝撃で天井が崩れたとみるべきだろうな。
GM:説明ありがとう(笑)。んで,その奥からはう〜〜というサイレンが聞こえてきます。
綾:市外から侵入者が入れば,当然サイレン鳴るわけだよな?
GM:ここまであからさまな侵入者ならね。ちなみに境界を越えたところはやっぱり地下なんだけど,君らを誘うように破壊の跡と騒ぎが続いていたりしてね(笑)。
綾:って,罠ってこと?
尚也:だとしても,行くしかなかろう。
ユウキ:罠なんて,ハマってから踏みつぶしゃいいんだよ!
晟:(ぼそっと)そりゃ,ユウキさんだけですよ……。
ユウキ:ああ!? 何か言ったか!?
晟:何でもありません! てゆーか,もう下ろしてくれていいんですけどー!
ユウキ:じゃあ自分で走れ!
GM:はいはい,ではそんなところでシーン変えまーす。

 

SCENE 18


G M:では少し時間を戻して,遙だ。君は強制テレポートに付き合わされて,気がつくと目の前には瓦礫の山がある。つまり,かつての地下鉄は,ここで崩れて瓦礫に埋まっているわけで,その向こうは市内だ。んで楓が「少し下がっていてくれるかな」と言う。
遙:ほえっ?
GM:君の目の前で瓦礫がどごーん!と音をたてて吹っ飛び,その衝撃で天井ががらがらと崩れてゆくわけだ。
一同:あーあ……。
GM:ちなみに楓は君をひょいっと抱き上げると,空いた穴の中に突っ込んでいく。
遙:(思わず猫ポーズ)にゃっ!? ど,どこへ行くですか!?
GM/楓?:「君のよく知っているところさ」
綾:イヤミな言い方だな……。
尚也:当然,あたりはガンガンにサイレンが鳴り響いているわけですね?
GN:もちろん。しかし楓は全く意に介さず,遙を抱えたまま走り出す。そりゃあもう,尋常じゃないスピードだ。
綾:え,エイト○ン?
晟:奥歯に仕込んだ加速装置が!
GM:ちゃうわ! 単に身体機能がアレなだけだ!
ユウキ:まぁ,ハヌマーンはいってるからな……。
尚也:あの消えっぷりは,エンジェルハイロゥもはいってそうだぞ?
晟:これが楓なら,確かにエンジェルハイロゥ/ハヌマーンなんだけど……ま,楓ならね。
GM:楓だよ?
晟:嘘つけ! その性格はどー見ても楓ではないわ!
GM:しかし,これも楓であることも確かなのだよ(笑)。さて,そうやってぐんぐん街中を走り抜けていくうちに,何だか見覚えのある景色になってきました。
遙:ひょっとして,ウチに近づいているですか。
GM:そうですな。
遙:え,えーと,えーと,この状態ってエフェクト使えますでしょうか。
綾:使えるよ。
晟:(小声で)やっちゃえやっちゃえ。
遙:で,では《ブリザードブレス》《ブレインコントロール》を……。
GM:しかし,君がそういう素振りを見せると,(いきなり低い声で)「やめてくれるかな,そういうことは」
遙:びくう!?
GM/楓?:「……すまない,言い方が悪かったな。こちらとしても,君を傷つけたくはないんでね」
遙:あうぅ……。
晟:……あのさぁ。
GM:何だよ?
晟:しつこくて悪いが,マジで気色悪いぞアンタ。
GM:何言ってんだ,俺だってすげえ苦しいんだよ!
一同:(爆笑)
GM:今回も恥ずかしいぞー! 苦しいぞー! 自分で墓穴掘ってるぞー!
綾:(遠い目)ま,他人を苦しめるためにはまず自分からと言うし……。
GM:言わん言わん。さて,想像通り松山家にご到着〜,なのだが,何故か家の前にあからさまにアヤシイ黒塗りベンツが停まっている。
遙:ベ,ベンツ!?
GM:「まぁ,しばらくここで休んでいてくれ」と彼が後部ドアを開けると,そこには黒い服を着たあのお方が「やあ,お待ちしておりましたよ」と(一同笑)。
綾:ち,ちーさん?
GM:(頷いて)ちーちゃん。
遙:……え,えーと,えーと,えーと,
GM:君がパニクっている間に,背中をぽーんと押されて。
遙:はうわ!?
GM/楓?:「じゃあ,後はよろしくお願いします」
遙:お,お願いされるですかー!?
晟:(暗い声で)……ワタシはあの後遙ちゃんに言い聞かせましたよ。アノ人は怖い人だからね? 怖い人だからね!?と……。
遙:にゃーっ,にゃーっ,出してくださいいぃ!
GM:(非情に)ばたん。
遙:え,えーと,えーと,それは開けようとしますが……。
晟:(壁を両手で引っ掻くポーズ)かりかりかりかりかりかり……。
ユウキ:小動物かよおまえは!?(一同爆笑)
遙:ちょっと待ってください! いくらなんでもそんなことしません! せめてがちゃがちゃがちゃ!にしてください!
晟:ご,ごめん。なんか遙ちゃんってそういうイメージで……。
綾:いやすまん。俺もそういうイメージだった(笑)。
遙:違いますですー!
GM:別にがちゃがちゃでもカリカリでもいいんだけど,そんなことやってるとちーさんが後ろからぽん,と肩に手を置くよ。
遙:びくう!(笑)
GM/千葉:「まぁまぁ,落ち着きなさい。何もとって食うわけじゃないんだし」
遙:あ,あうー,あうー?
GM/千葉:「……ああ,ただここから出るのはやめてくださいね? 私が彼に怒られちゃいますから」
遙:え,えーと,えーと……。
GM/千葉:「それに,あなたはこれから起こることを見ない方がいいかもしれませんよ?」
遙:ど,どういうことですか?
GM:千葉は少し悲しげに微笑んで,黙っている。
遙:そ,そういうこと言われると,エフェクト使ってでも出ようとしますが……。
GM:んじゃ君の首の後ろをくっ,と。
遙:にゃっ!?
GM:かくっ,って感じですね。はーい,シーン終了ー。
一同:(笑)
遙:すいませーん,落とされましたー(泣)。
尚也:は,早……。
綾:まあね,ちーちゃんに会ってしまった時点で運の尽きとゆーか(笑)。
遙:運の尽きなのですかー!
GM:さぁ,どうでしょう。とにかくシーン変えまーす。

 

SCENE 19


GM:では,他4名。君らは大穴をくぐって,さらに地上に出てきた。そこはもう市内だ。当然だが,騒ぎはまだ拡大している。
綾:その辺の人に,どっち行った!?って訊けば,あっち!って返ってくるんだろうな。とにかく追おう。
GM:では騒ぎを追うように走っていくと……晟が一番先に気づくよな。このまま行くとだね……(笑)。
晟:綾さん,どうもアイツ,松山家に向かってるみたいなんですけど。
綾:それは俺も気づくわな。うーん,どんどんイヤな予感が……。
GM:さて,松山家に到着。ちなみに,さっきのベンツとかはもういませんね。
遙:はにゃー! 助けてー!
晟:でも,この場合はとりあえず家に入ろうとするだろうな,知らないんだから……。
GM:うむ。そこでだ。家の中からぴかーっ,と閃光が走るぞ!
晟:え,何!?
尚也:何か爆発したか!?
綾:まさか,光と明日香のラブラブパワーが!
一同:(爆笑)
晟:コウくん!(笑)
綾:明日香ぁ!(笑)
ユウキ:おまえら,ウルト○マン○ースにでも変身しとれ!(怒)
尚也:大変だ,お菓子の家が崩壊していく……。
ユウキ:お菓子の家でもないわっ!
綾:いや,その表現はある意味間違ってないと思うが(笑)。
GM:とにかく,中に入るんだね? では,ダイニングキッチンに光と明日香,そして楓がいる。
晟:楓……。
GM:もとい,楓モドキ。
一同:(笑)
綾:楓ダッシュ?
遙:楓,カッコ仮名カッコとじ?
GM:いや,楓モドキ。略してモドキだ(笑)。モドキちゃんでもモドキくんでも好きなように呼んでくれ。さて,光は明日香をかばうように立っているが,血のしたたる脇腹を押さえているね。
晟:光さん! 明日香さん!
GM:光は相手から目を離さないんだけど,明日香は君たちの方を見て,「逃げて!」と叫ぶ。
綾:えーと,では……。
GM:すまん,ここからマスターシーンなのだ(笑)。
綾:ビジュアルっすかー!?(笑)
GM:光は明日香を後ろに突き飛ばすようにすると,モドキに殴りかかる。が,重傷のため動きが鈍い。光の拳は一応ヒットするんだが,反撃をくらって弾き飛ばされる。モドキちゃんはまったく涼しい顔だね。
晟:うーん……そうすると……多分「貴っ様あ!」とか叫ぶんだろうなぁワタシ……。
GM:だろうな。まるでその声が引鉄になったかのように,光が「……楓ぇっ!」と叫んで立ちあがるんだが,拳の回りの空間がぐにゃりと歪む。
晟:やめろ松山,その力を使うな!
綾:……松山?
晟:……とか叫ぶのかな。
GM:叫ぶだろうね。
晟:でも光くんの必殺技は出ちゃうんだ?
ユウキ:あの命中判定がないという恐怖の必殺技が(笑)。
遙:ダメージはアレだったけど,実はすごく強いんだよね(笑)。
GM:はい,強いですよ。もっとも,楓の前でも,空間が湾曲してたりするんだけど……。
一同:出たー! はね返し攻撃だー!
GM:結果どうなったかというと,まずモドキちゃんの左腕が消失する。
綾:消失ぅ!?
GM:そう,消失。別に血は流れてないの。で,光の周囲を黒い闇が取り巻いたかと思うと,彼はバッタリと倒れてしまう。で,明日香が,
晟:コウくーん!
GM:はい,毎度ありがとう(笑)。明日香の悲鳴が響き渡ったところで,君たちは我に返る。てゆーわけでマスターシーンは終了。
一同:はーい。
GM:それと晟,さっき君は妙なことを口走ったんだが,そんなことはまったく覚えてないね。
晟:お,おや? 僕はいったい何を,ってそんなことはどうでもよくて! 光さーん!
GM:モドキちゃんは君の行動を妨げず,一歩後ろに下がる。で,「ま,今日はこんなところか……」と呟き,さっと身を翻そうと……。
尚也:待てぃ!
GM:すると楓モドキは振りかえり,にやりと笑って「『待て』は今日2度目だな」と言う。んでふっと消える。
一同:うわ,ヤなヤツっ!
ユウキ:ちいいいいっ! ヤな逃げ方しやがってえ!
晟:(ぼそっと)あ,とりあえずその辺のものにあたっといていいですよ。
遙:なんであきちゃんが許可だしてるですか!
一同:(笑)
晟:(遠い目)いやあ,だって僕にあたられても困るし……。
ユウキ:(←ホントに暴れている)人を馬鹿にするだけ馬鹿にして逃げやがって!
GM:ばきーん,どかーん,ばこーん(笑)。
尚也:まぁ,元から壊れてるけどな,家……。
遙:だから,さらに壊さないでくださいですー!
GM:とりあえず囚われの人は黙っているように。で,光なんだけど,心臓が止まってるっぽいぞ?
一同:それを先に言えよっ!(笑)
遙:お,お父さーん!
晟:い,一応《ヨモツヘグリ》《癒しの水》でかけてみるけど,効く?
GM:えーと,それってHP回復?
晟:えーと,[気絶]もしくは[昏睡]を回復だけど。それと《癒しの水》でHP回復。
GM:じゃ,効かない。
晟:てことは[死亡]かー!?
遙:にゃーっ! お父さんがー!
綾:いや,落ち着け! これはマスターの「尋常な手段じゃ回復しません」宣言とみた!(笑)
GM:さあ,どうでしょう(笑)。
綾:というわけで俺は大谷に連絡。困った時の大谷頼みだ。
GM:じゃあ,すぐに車が来ることにしよう。それはそうと,明日香が大変に取り乱しているのだが……。
晟:はっ,それもそうだ。明日香さん明日香さん,落ち着いてください!
GM/明日香:「コウくんが,コウくんがー!」
晟:まだ死んだって決まったわけじゃ,
GM/明日香:「きゃーっ,コウくんが死んじゃったよー!」
一同:(笑)
晟:だから違います! 落ち着いてください!
ユウキ:それはほっといて俺はヤツを探そう。
晟:おーい!(笑)
ユウキ:だってもうその辺目に入ってませんから(笑)。とりあえず高いところに登ってヤツを探す!
GM:た,高いところ?
尚也:いや,先ほどの行動でわかったのだが,奴のテレポートはかなりの近距離しか跳べない代物らしい。今なら見つかる可能性が高い。
GM:わかった,ではここでシーンを切ろう。お父さんは大谷に連絡して,光をUGNに連れていく。晟は明日香をなだめる。ユウキは外にでてモドキちゃんを探す。尚也は?
尚也:私は彼と一緒に外に出る。
GM:了解。ではシーンを切ります。