SCENE 6


GM:つぎのシーンは……えーと,お父さん。ユウキは大谷が山崎くんに話つけてくれるからいいとして,お子様ーズを借り出しに行かないと。
綾:(ちょっと嫌そう)また松山さん家に行くわけか。別にいいけど。
GM:ちょうどお子様ーズも学校から帰ってきているころだろう。
尚也:君たち,数学のプリントをちゃんとやらねばいかんよ。
GM:あ,そうだ。言い忘れたんですが上杉くん。
尚也:はい?
GM:君が磨亜矢から依頼受けたのって,実は昨日のことだったのです。
尚也:おや。私は1日何をしていたのだろう。
GM:市内を探していたんじゃないか。
尚也:じゃあ市内にはいなかったんですね?
GM:だって,久島は市内にいたら目立つし。
一同:(笑)
ユウキ:「おっじょおさぁん! ボクといっしょに,夜明けのコーヒーでもいかがですかぁ!」とか言いつつスキップ。目立つ。
GM:30過ぎてもそんなんだから。
晟:結婚したんじゃないのか!
GM:結婚してもそんなんだから。
晟:全くどいつもこいつも……。
尚也:つまり探し人は市外にいるらしいということがわかったのだな?
綾:それは1日の収穫にしては大したものだと思う(笑)。
GM:そんなところで話を元に戻します。
綾:じゃあ松山家に向かいますが……。
晟:(ぼそっと)おやつ時は避けた方がいいですよ?
遙:でも,私たちが学校から帰ってきているころと言いますと,ちょうどおやつの時間なのではと思うのです。
GM:ですな(笑)。
晟:(←甘いもの嫌い)拷問だ……。
綾:いやホントに(笑)。
GM:大丈夫だよ,甘い食べ物は出てこないから。
晟:(ジト目)本当に?
ユウキ:で,甘いあまーいドリンクが出るとかいうわけ?
GM:ふっ,先に言わないでもらおうか。
一同:(笑)
綾&晟:…………。
GM:「やぁ,よく来たな瀞南寺」と光が招き入れてくれるわけなんですが,テーブルの上にはでっかいミキサーがでん,と置いてあります(笑)。
綾:これは,何?(笑)
GM:なんだろう。乳白色の,さわやかないい匂いのする液体なのだが。
晟:……味は?
GM:それは飲んでみないと。あ,ちなみに瀞南寺くん。キミのぶんも当然用意してあるよ。
綾:……わかりました。私が第一の犠牲者となりましょう。
一同:おおっ!?
綾:というわけでイッキにいってみます……が?
GM:そうすると!
綾:そうすると?
GM:なんと!
綾:なんと?
GM:味がしねえ。
一同:(爆笑)
ユウキ:……それ,逆にすっげえ器用って言わねえ?
尚也:わからん……もしや味覚を麻痺させる薬物が混入されているのでは……。
綾:…………。
GM/明日香:(にこにこ)「どうかな,瀞南寺さん?」
綾:ええ,たいへんさっぱりしたお味で。(晟に)とりあえず,甘くないし,まずくない。
晟:じゃあ一口飲んでみますが。
遙:でも,水みたいなんだよね。
ユウキ:違う。水にはちゃんと味がある。何も味のしねえものってなんだ。
尚也:薬物だろう。明らかに。
晟:(遠い目)何でもいい。甘いのより,味がない方がまだまし。
尚也:やめた方がいいぞ。絶対に危険だぞ,そういうのは。
晟:それでもいい。〈耐性〉判定のがまだまし。
GM:そうだね,じゃあ目標値20で。
一同:(笑)
晟:……4。
綾:1個回ったけど,14。
遙:8なのです〜。
GM:(ころころ)そして光もぱたっと死亡。
一同:死亡!?(笑)
GM:他が全滅したなか,明日香ひとりが「え,みんなどうしたの!?」とおろおろしている(笑)。
晟:じゃあ今回のシナリオはこれで終了ですね。
一同:(笑)
遙:そして誰もいなくなった(笑)。
尚也:ちょっと待たんか。私と彼(ユウキ)はまだ生きているぞ。
綾:いや,俺らも殺さないでいただけませんかね(笑)。
GM:大丈夫だって。ちゃんと30分後に目覚ますよ?
ユウキ:十分長いし。
尚也:後遺症が危ぶまれるな。
晟:……ああ遙ちゃん,天国の父さんが手を振っているのが見えたよ……。
綾:だから楓も死んでないし!(笑)

 リプレイ書きながら思ったんだが。
 話進めようぜ,みんな。

綾:俺,まだ仕事の「し」の字も言ってないんですけど?
GM/明日香:「あら? でもまだたくさんあるんだよ?」
一同:…………。
GM/明日香:(にこにこ)「ほら,遙も晟くんもおかわりは?」
晟:いやっ,僕宿題ありますから!
遙:はいなのです! 一緒に行くのです!
晟:じゃあ綾さんそういうわけで!
遙:ではでは!
綾:おいこらちょっと待てや! 仕事だってば!(笑)
GM/明日香:「あら,どうしたのかしらねえ? じゃあ瀞南寺さんはおかわりします?」
綾:だから話進めますからね! で松山さん。今度も遙ちゃんと晟くんを連れて行きたいんですけど。

 ちなみに明日香は台所に引っ込みながら,「やっぱり裏庭に生えてる雑草とか入れちゃったのがマズかったのかなぁ……」とか呟いていた。

GM/光:「うーん,大谷が言うことだからまぁいいけど……晟くんはともかく,遙は心配でしょうがないよ」
綾:僕はたまに晟くんも心配ですけどね。……遙ちゃんとは違う意味で。
GM:うーん,光が「心配」だというのも違う意味だからね。
晟:そうなんだ?
GM:うん,ただの過保護の親バカ。遙が天然だから心配だということではないんだよ。
綾:いやそこを心配しようよ。
一同:(爆笑)
GM:あ,あれ? ボク間違ってた?(笑)
綾:とにかく,また彼らの面倒は僕がみますから。
GM:「うん,信頼してるよ瀞南寺」と,いうあたりで2階のお二人に説明しに行ってあげてください(笑)。
遙:私の部屋で宿題してるのです。
綾:(ノック)瀞南寺だけど,いい?
遙:はい,どうぞなのです。
綾:宿題? 何やってんの?
晟:それが,授業中に伊達さんから何度も何度も電話かかってきちゃってこの有様なんですよ。よく言っといてやってください。
綾:言うのはいいけど,脳に届くかどうかは保証しないよ。で,何の宿題?
GM:「人生とは何ぞや」について作文を書きなさい。
尚也:数学の宿題ではなかったのか!
一同:(笑)
GM:きっと先生は2人を見ていて,人生について深く考えさせられずにはいられなかったんだよ(笑)。
綾:何を書いてるの? いきなり抽象画とかで答えてないだろうね?(笑)
遙:私ですか? 「人生をより楽しむための百か条」について書いてるのです。
晟:僕は「男として家庭には責任を持つ生き方をしたい」とか書いてます。
GM:恨んでやがるし。
晟:(目が冷たい)当然でしょ。
綾:明日までには終わるんだろうね?
晟:それは大丈夫ですよ。で,仕事の話なんですけど,黒衣の男を捕まえに行けとしか聞いてなくて……。
綾:その通りだよ。
晟:その黒衣の男が誰かとか,ちょっとは情報集まってるんですか?
綾:いや,その情報は俺たちが集めるの(笑)。
晟:(ジト目)その任務は根本から問題がありませんか?
綾:俺もそう思うけどさ,とりあえずやるだけやってみようということで。
晟:(ジト目)情報は「黒い服を着た男」ってだけなのに?
遙:でもあきちゃん,その人市外でストレンジャーズさんたちとお話ししてるですよね?
晟:そうみたいだけど?
遙:市外で高そーできれーなお洋服を着た人は,目立つと思うです。
晟:ああ,それは確かにそうだね。だけどさ遙ちゃん。
遙:ほえ?
晟:その発言は,微妙に失礼じゃないかな。特に彼(ユウキ)に対して。
一同:(笑)
ユウキ:俺はこの場にいねえよ。だから何も聞いてねえ。
遙:ほえ〜。
ユウキ:いたら蹴り飛ばしてるがな。
遙:ほえ〜!?
綾:はいはい,この場にいない人間との会話はおいといて。で,俺の考えとしてはね。例の情報屋サンに潜伏場所を紹介してもらって,取引場所候補を3日張ってみる。それでダメなら他の手を考えるだけだし,そうやって張ってれば何か他の情報が手に入るかもしれないしね。
晟:いいですけど,張るって……野宿ですかぁ。
GM:一応山崎くんは廃ビルとか用意してくれますよ。屋根はある(笑)。
遙:わーい,お泊りなのですー。
晟:嬉しそうだね,遙ちゃん。
遙:(←嬉しそう)とりあえずお鍋とー。電気釜とー。
晟:いや電気釜はかなり違うから。
ユウキ:んなとこに電気通ってねえって。
遙:ほえ? では飯盒と……。
一同:それもダメ!(笑)
ユウキ:火焚くな! 煙でバレるから!
遙:ほえ〜?
綾:(何かをこらえるような表情)とりあえずこの面子で話しあってても何の進展もないだろうから。頭数そろえよう。上杉に電話します。
GM:じゃあ尚也は登場するように。
尚也:はい,喫茶『北風』ですが?
綾:ああ,瀞南寺だ。仕事なんだけど,いいか?
尚也:仕事ですか……とりあえず概要をうかがってもよろしいですか?
綾:じゃあ,かくかくしかじか。
尚也:そうですか(←話が早いなぁ)。実は私,これから市外で人探しをしなければならないのです。あなたがたのお手伝いをすることで市外に出られるのならば,こちらからお願いしたいところなのですが。
綾:ああ,いいよ。じゃあ協同戦線ということで。
尚也:わかりました。
GM:では,そんなところでシーンをユウキに戻したいと思います。

 

SCENE 7


GM:ではユウキ。君は家に帰ってきてダラダラしています。そこへ山崎がやって来て「おーいユウキ,いるかー? 今ヒマかー?」
ユウキ:ああ? いるよ。ヒマだよ。それがどうした。
GM/イサム:「仕事だよ,仕事! 今度もまたがーっぽり稼げそうな仕事だよユウキくん!」
ユウキ:何の仕事だよ。
GM/イサム:「ほら,こないだたっぷり報酬くれたトコ? あそこがまた市外で何かやるらしくってさ。人手が欲しいんだとよ」
ユウキ:ふーん。
GM/イサム:「えーと仕事内容だけど,ビル街跡で行われる取引を張って,『黒い服を着た男』を捕まえること」
ユウキ:潜伏とか俺の得意分野じゃねーけど,いいのか?
GM/イサム:「とりあえず受けといたら? いつ荒事になるかわかんねーんだし」
ユウキ:あー……ヒマだから別にいーけど……。
GM/イサム:「犬の散歩も失敗したことだしね」
一同:(笑)
ユウキ:わーったよ! やりゃいいんだろ,やれば!
GM:ところでユウキくんや。君が外に出てくると,まぁた砂が降ってきます。
ユウキ:見まわしてみますけど,またなんもなしですか?
GM:そうですね,変わったことは何もありません。ただし,君の右腕にいきなり激痛が走ります。
ユウキ:…………!?
GM:その痛みは一瞬だけです。しかし,右手を見ていると,皮膚が硬化している。
ユウキ:なんじゃこりゃ……?
GM:(にやり)何でしょう。短いですが,君のシーンはこんなところで。

 

SCENE 8


GM:では,例の集合場所。全員登場するだろうから特にシーン・プレイヤーは定めません。今度は真面目に来ててくださいねユウキくん。
ユウキ:はーい,じゃあ来てまーす。
綾:では,いつもの集合場所にみんないるのかな?
GM:あ,ちなみに栄吉くんもいます。
晟:何故。
GM:そりゃ,お泊りのために食料とか寝袋とか運んできたですよ。「えーと皆さん,所長から伝言がありまーす!」
綾:何?
GM/栄吉:「『死なないでね』。以上です」
一同:…………。
綾:……それだけかな?
GM/栄吉:「あ,それと例の黒衣の男について,新たな情報が入ったそうです」
綾:どんな情報?
GM:えー,1枚のカラー写真です。遠目から何とか隠し撮りしたかな,というぼやけた写真ですが,とりあえず私服の男たちが何人か集まっていて,その中央に,遠目からでも目だつ黒ずくめの人物がいます。周囲は廃ビル群のようですね。「この私服たちはやっぱりストレンジャーズみたいですねー」
晟:調べたんですか?
GM/栄吉:「はいな。でも,こいつらはどーでもいいです」
晟:(思わず)いいんかい。
GM:君らにとってはな。んで,尚也くん。その周囲の男たちの中に,君によくにた人物が混ざっているような気がする……かな?
尚也:……む。
GM:遠目なので他の人にはわからないのだが,君の双子としての確信はそう告げているのだ。
尚也:どんな確信なのかよくわかりませんが,まぁいい。あ,それと皆さん。
一同:はい?
尚也:こんな男を見たことがありませんか,と行方不明の水上氏の写真を出しますが。
遙:あ,久島さんだ。
晟:久島さんじゃないですか。
綾:久島だな。
ユウキ:久島だ。って俺は知らねーんだけど。
一同:(笑)
尚也:えーと……皆さんの知り合いなのか。しかも久島って誰だ。水上じゃないのか。
晟:あ,久島は旧姓なんです。今は水上。
遙:お母さんの親友の磨亜矢さんと結婚したのです。久島さんがどうかしたですか?
尚也:うむ,何でも家出して行方不明らしいのだが。
晟:(あっさり)ああ,そうなんですか。
尚也:……彼を探し出すのが私の今回の仕事だったりするのだが。
GM/栄吉:「あ,依頼人ってひょっとして磨亜矢さんスか? あの人も心配性だなぁ」
尚也:あなたがたは誰も心配ではないのか。
綾:(手を振って)あれは心配するだけ無駄。
晟:あの人が真実の愛を追い求めて姿を消すなんてよくあることだし。
一同:(笑)
尚也:結婚しとるのではないのか!
GM:そうだね。不思議だね。
晟:結婚したことがすでに世界の七不思議ですね。
ユウキ:……まぁいいや。おい山崎。
GM/イサム:(←いることになったらしい)「え?」
ユウキ:(写真を放って)おまえテキトーに探しとけ。
GM/イサム:「はいいいぃ!?」(一同笑)
ユウキ:あンだよ。どーせおまえがココにいたってしょうがねーだろうが。
GM/イサム:「そ,そりゃそうだけどさ」
尚也:しかし,我々は市外に情報源を持たない。捜索などはあなたにお願いできるならば助かるのだが。
遙:それに,磨亜矢さんのことですから情報屋さんにもちゃんとお金払ってくれるですよ。
GM/イサム:「そ,そっか。じゃあがんばろうかな。じゃあこっからの案内はユウキに任せるぞ」
ユウキ:(投げやりに)あーはいはい。がんばってこいよ。
GM/イサム:「……もうちょっと,心のこもった励ましが欲しいなぁ」
ユウキ:あん? 何が欲しいって?(と,指を鳴らす)
GM/イサム:「……じゃ,行ってきまーす」
一同:弱っ。

 さて,廃ビルのひとつにやってきた一行。
 食料や寝袋を運び込み,お泊り準備おっけー。

GM:あ,ちなみにユウキ。また空から砂が降ってきた。
ユウキ:あ? まぁ古いビルだからな。埃だろ埃。
GM:ついでに激痛も走るが。
ユウキ:ああ?
GM:ちなみに今回も一瞬だけっす。さて,一応この辺の説明をしておこうね。ここはT市封鎖時に放棄されたビル街のひとつです。ちょうど市外の集落と集落の間にあって,ショートカットになるから人通りはないわけではない。治安は悪いから,女子供は通らないけどね。何せボロボロの建造物がいくつも陰を作っておるわけでして,何が棲んでるかもわからない。実は,ひそかにヤバい取引が行われてるかもしれないしね。
尚也:夜密会するには最高の場所というわけだな。
GM:そうです。さて,何かやりたいことある?
綾:うーん……とりあえずユウキにこの辺のこととか聞いてます。
ユウキ:今GMが話した内容っぽいですな。
尚也:とりあえず待ちの体制なのでは?
遙:じゃ,探索行ってくるですー。
綾:あ,いってらっしゃい……ってちょっと待てい。
一同:(笑)
遙:ほえ?
綾:う・ご・く・な。大人しくしてなさい。
遙:ほえ……。
晟:はーい遙ちゃん。ここに座布団敷いたから,座ろうねぇ。
遙:座るですか?
晟:はい,お茶(笑)。
遙:うー……。
綾:これから順繰りに見張りしてかなきゃなんないんだから,今は大人しくしようね。さて,では屋上に見張りを何人か用意して,あとはメシ作るなり休憩するなりしようか。
尚也:ダイス振って,高い方から地上警戒班,待機,一番低い人は寝てる,というのはどうです?

 結果,綾&ユウキ組が地上警戒,遙&晟組が待機,尚也は就寝(笑)ということになった。
 自分で言うのもなんだが,お子様ーズを組にしていいのかね?
 さて,欠伸をかみ殺しながら見張りにつく警戒班だが……。

GM:開けたところを誰かが歩いていくぞ。
綾:お?
ユウキ:なんだ,ようやく事件かよ?
GM:まだ暗くてはっきりとはわからないけどね。
綾:え,ちょっと待って。ノクトビジョンくらい用意してあるでしょ?
GM:ないよ。
綾:ない? 夜間の見張りだってわかってるのに?
GM:そもそも,支部においてない。
綾:す,ステッキー(笑)。
ユウキ:何でだよ? 金あるんじゃないのか?
綾:たぶん「き」のつく人が軒並み壊したんじゃない?
晟:何でもかんでもキルスのせいにするんじゃありませんよ(笑)。
GM:間違ってないけどね。
晟:ないのか!
GM:いや,半分持ってったのは「し」のつく人。残りを壊したのは「き」のつく人。
綾:おまえらー!(笑)
GM:とにかく,ノクトビジョンはないったらない。というわけで暗くてよく見えない。服も黒っぽいけど,黒衣かどうかはわからない。君たちにはその独特な歩きかただけが目につくね。
綾:は? 歩き方?
GM:独特の,そうだな……まるでスキップを踏んでいるような……。
晟:どんなんだっ。
GM:ちなみにお父さんには見覚えがある。
綾:俺? 俺に見覚えがあるというと……例の黄色いレインコートのアレとか……(←6話に登場した泉水のことらしい。てか,お父さんは会ったことないだろーが)。
GM:いや,その付属品。
一同:…………。
綾:(ユウキに)……ちょっとここで待っててくれる?
ユウキ:あん?
綾:晟に連絡します。あーもしもし,こちら瀞南寺。上杉いる?
晟:さっき寝たばかりですよ。
綾:起こしてくれる? お目当てのが来たって言って。
晟:(一瞬黙る)……お元気なんですか,久島さん。
綾:うん,スキップ踏んで歩いてるし,元気なんじゃないかな(笑)。
遙:なおちゃーん,起きてくださいです! ぱしぱしぱし!
尚也:痛い痛い痛い! 何をする!(笑)
遙:起きるですよー。久島さんが来たですよー。
尚也:久島? 私はそんなヤツ知らんぞ。
晟:さっき言ったじゃないですか。水上真二さんのことですよ。
遙:ですよー!
尚也:(←起きた)何? 水上真二だと?
晟:そうみたいですよ。(綾に)ところで,何しに来たんでしょうね,あの人。
綾:さぁねえ。そんなことより,問題は上杉を1人で行かせるかどーかなんだけど。
尚也:何か問題が?
綾:一応顔見知りが行った方がよくないかな。君ら2人がいきなり顔合わせたって,ねえ(笑)。
GM:お互いに「むっ,怪しい奴め!」って感じだな(笑)。
晟:じゃあ僕が尚也さんについて行きます?
ユウキ:多人数で動いた方がバレやすくねえか。
綾:だいたい君,〈隠密〉苦手なんじゃないのかね?
晟:僕に【肉体】と【感覚】基準の判定は期待しないでください(笑)。
遙:じゃあ私が行くですか? あきちゃんよりは【感覚】高いですよ?
晟:いやそれはちょっと待って。
遙:何でですか?
ユウキ:おまえが行ったら隠密になるもんもならんだろうが!
遙:むー?
綾:わかったわかった,じゃあ俺が行って……。
晟:ちょっと綾さん,リーダーが持ち場離れてどーすんですか。

 一同,しばし喧々囂々。

尚也:(手を上げて)いや,ちょっと待ってくれ。そもそもあなたがたは黒衣の男とやらを探しに来ているのでしょう。まだ目標を発見していない以上,戦力を分散するのはよろしくない。
綾:実は久島が黒衣の男だったりして。それはないか(笑)。
晟:そのオチはあまりにあまりだなぁ(笑)。
ユウキ:でも,こんなとこに,しかもこんな時間に,市内の人間がのこのこ出歩いてんだろ? 何かワケがあるんじゃねえの?
晟:いや,ないんじゃないかな(あっさり)。
綾:ないと思う。
尚也:……一体,どういう人物なのだ,彼は。
遙:(にこにこ)会ってみればわかるのです!
尚也:……ともかく,関係があると確証がつかめているのでない限り,あなたがたが動くことはない。もしこれで黒衣の男を逃がしてしまったら,鯵を釣り上げて鯛を逃すようなものだ。
ユウキ:久島は鯵かい。
GM:結構高級じゃんか。
晟:じゃあ,皆さんにご意見伺ってみましょう。久島を魚に例えると?
GM:ゲソ?
綾:……バクテリア?
一同:魚じゃねー!(爆笑)
GM:てか,食べ物から脱落してるし。
晟:ひでえ……(笑)。
尚也:いや,もうゲソでもメザシでも何でもいいのだ(笑)。私が言いたかったのは,皆さんはまず黒衣の男に集中すべきだということだ。彼は私一人で追う。
綾:わかったけど,何かあったら連絡してくれよ。
GM:ではここでシーンを変えて,シーンプレイヤーを尚也に移します。

 

SCENE 9


GM:では,久島追っかけシーンです。彼は通りをスキップ踏んで進んでいきます。
尚也:本当にスキップしながら進んでるんですか?
GM:普通に歩いているつもりなんだよ本人は。客観的に見るとスキップしているようにしか見えないというだけで。
尚也:「いうだけで」って……。
GM:で,ある路地のところにくると,すっとサイドステップで中に入っていきます(笑)。
尚也:追いかける。
GM:すると,姿が見えないね。
尚也:おや?
GM:ちなみに。路地にビルの入り口とかは見当たらない。
尚也:…………?
ユウキ:あ,ちなみにその路地って細いですか? ビルとビルに挟まれてるんですよね?
GM:狭いよ。何で?
ユウキ:間違いない。三角跳びだ。
綾:ええ!?(笑)
遙:いくらなんでも,そんな無茶な……。
GM:君が首をかしげていると,後ろですたっ,という音がする。
尚也:は?
GM/真二:(厳かに)「ふ。伸身2回転宙返り」
一同:(爆笑)
GM/真二:「さて,怪しい男め! 君は誰だ!」(びしい!)
晟:怪しいのはおまえだ!(笑)
ユウキ:こいつも変わってねえ。ぜんっぜん変わってねえ!
尚也:……私は,あなたの奥さんに頼まれて,あなたを探しにきたものです。
GM/真二:「え,何で?」
尚也:何でって,浮気してないかどうか気にしてらっしゃるんじゃないでしょうか。
GM/真二:「う,浮気!? このボクが!? そんなことするわけないじゃないかっ!」と言いながらくるくる回転してます(笑)。
尚也:……そういうことは,家にお帰りになったうえで,ご自分で奥様におっしゃってください。
GM/真二:(携帯を取り出す)「ぴぴぴっ。あ,磨亜矢? ボク。うん,浮気なんてしてないよ,じゃあねっぷつっ」
一同:(笑)
尚也:…………。今,自分で切りませんでした?
ユウキ:それ以前に,市外って携帯つながらないんじゃ?
GM:うん(笑)。
尚也:(何かをこらえるような表情)……いや,そーではなくてですね。
GM/真二:「そうではなくて,何だ。じゃあ君はボクの敵か!?」
尚也:何でそうなるんですか。ですからね,あなたが連絡もせずにほっつき歩いているから心配なさってるんですよ。
GM/真二:「誰が?」
尚也:誰って,奥様が。
GM/真二:「そっかー,心配かけちゃってるんだー」
尚也:いやそりゃ心配でしょうよ。
GM/真二:「でもちょーっと探し物をしに行っただけなんだよ?」
尚也:何を探しに行ったら3日家をあけられるんです。
GM/真二:「石」
尚也:石?
GM/真二:「うん,ボクの研究にとーっても役にたちそうな,石。昼休みに探しにでたらさー,なかなか見つからなくて」
尚也:そんなもん昼休みに探さんでください(笑)。いや,それは結構ですが,とにかく家に帰って奥様を安心させてあげてください。
GM/真二:「そっかー。そうだよね。磨亜矢も心配してるよね。じゃあボク帰るよ」と彼はまたスキップを踏んで去っていきます。
尚也:…………。
晟:(ぼそっと)ちなみにその方向は?
GM:うん? だから,あっち(と,来た方向と逆を指差す)。
一同:(爆笑)
尚也:ちょっと待ちなさい!
GM/真二:「何だよ,家に帰るって行ってるじゃないか」
尚也:家はあっちでしょうが。
GM/真二:「ううん,あっち」
尚也:嘘つかんでください。そっちは市外です。
GM/真二:「いや,あっち。ちょっと寄り道して,それから家に帰るから」
尚也:寄り道せんで帰りなさい!(笑)
GM/真二:「うるさい子だなァ。おじさんはね,今忙しいんですよっ」
尚也:いったい何に忙しいんですか。
GM/真二:「だから,石。石を探すの」
尚也:だから家に1回帰るって言ったでしょうが。
GM/真二:「帰りますよ。石見つけたら」
尚也:だから家に1回帰ってから探せばいいでしょうが。この3日間というもの,風呂に入りましたか髭剃りましたかちゃんと飯食いましたか着替えや食料は持ってきましたか寝る場所はちゃんと確保してるんですか!?
GM:だまって伸びきった顎鬚をぼーりぼりと掻いている(笑)。
尚也:そらご覧なさい。
GM/真二:「うーん,ほらボクさー,ひとつことに熱中すると,他のこと何も考えられなくなっちゃうからさー」
尚也:だったら家に帰ることに熱中してください。
GM/真二:「うーん,そうかぁ。わかったよ」
尚也:帰ってくれますか?
GM/真二:「うん。わかった。じゃああと1時間ね」
尚也:いやちょっと待ってくださいよ!
一同:(爆笑)
遙:もはやエンドレス(笑)。
晟:エンドレスだ(笑)。
ユウキ:もういいからぶん殴って拘束した方が早いんじゃねえの?
綾:どうせ話して通じる相手じゃないんですよ。だいたいわかったでしょ?
尚也:(頷いて)どこぞの白い連中と話した方がまだましだ。
一同:(大爆笑)

 白い連中=謎の白装束集団のこと。
 収録当時(2003年5月3日)の話題。果たしてアップされる時にはどーなっていることやら。

晟:やっぱり誰かついていった方がよかったかな? 変わりないかな?
綾:誰かって誰? ここに遙呼んできてみろ,激しく収拾がつかないぞ。
遙:いやー,すでに収拾つかなくなってる気もするですけど。
尚也:わかりました,じゃあこうしましょう。とにかく一度家に帰って奥様と話をする。そしたらあなたが石を探すのを私が手伝います。
GM/真二:「うーん,でもなぁ。次に来た時なくなってるかもしれないし……」
尚也:じゃあ私が探しておくというのはどうです? いったいどういう石なんですか。
GM/真二:「うん,この先の廃ビルに,緑色に輝く宝石があるという噂で……」
一同:(ユウキを見る)
ユウキ:あんだよ。俺ぁ何も知らねえよ(笑)。
綾:ああ,まあ君は気絶してたからね(笑)。
尚也:(ため息)その石でしたら,もうそこにはありませんよ。
GM/真二:「なぁんだってえ!?」と叫んで大仰に倒れます。きりきりばたーん。
一同:(爆笑)
尚也:……あのですね。私実はその石の在り処を知っているんですよ。
GM/真二:(復活)「なぁんだってえ!? 君,教えてくれるよねえ!?」
尚也:ひとつ条件があります。
GM/真二:「なんだい?」
尚也:家に帰ってください。
GM/真二:「…………。今,教えてくれない?」
尚也:ダメです(笑)。
GM/真二:「……わかった。ボクは帰るよ」
尚也:今度こそ,帰ってくれるんでしょうね?
GM/真二:「うん,帰る。今度こそ帰る。そのかわり!」
尚也:はい?
GM/真二:「君も,逃げるなよおおおおー! よおおー,よおー,よー……」(←エコー)
尚也:ちょっと待ったっ! 一緒に帰ってくれるんじゃないのか!?
一同:(爆笑)
GM:いや? したたたー,と走って行っちゃったよ。今度は市内の方向だけどね(笑)。
尚也:追いかけます!
GM:あ,そう? じゃあ〈運動〉で判定ね。ちなみに久島は〈運動〉8レベルあるよ。
尚也:何ですかそれは!
GM:いやぁ,カレ,普段からバク転とかムーンサルトとかしながら暮らしてる人だから……。
尚也:人生選択間違ってませんか?

 久島の人生選択はともかく,尚也は〈運動〉《電光石火》で果敢にアタック。
 したのだが,18対20で惜しくも破れてしまったのであった。
 ……なんだかなぁ。

尚也:で,でもこれで依頼は達成したのか?
晟:まぁ,たぶん……(笑)。
綾:あとで電話で確認した方がいいね(笑)。

 

SCENE 10


GM:では,見張り組にシーンを戻すわけだけど……眼下をものすごいスピードで駆け抜けていくひとりの男が(笑)。
一同:おおー(笑)。
晟:……尚也さん,仕事終わったのかなあ。
綾:さあ……(笑)。
尚也:そこへぜえぜえ息をきらせて走りこんできます。い,今の男は!
晟:市内の方へ走って行きましたけど?
尚也:そ,そうか。なら大丈夫だろう。
GM:途中で目的忘れてなきゃいいけどね(笑)。
尚也:ちなみにあの男はたぶん,まったく関係ないぞ。
一同:(笑)
綾:それだけは収穫あったわけだね(笑)。
GM:あ,ちなみに残った君らの収穫なんだけど,真二しか見つからなかったね。
ユウキ:つまりゼロじゃねえかよ!(一同爆笑)
尚也:ああ,そう言えば。依頼達成したのだから,封筒を見てもいいのでは?
綾:てか,今まで本当に開けてなかったのね。
晟:律儀だなァ。
尚也:で,中に何が入ってるんです? さっきのと同じ写真とか言ったら,怒りますよ。
GM:似たような写真ではあるけど,ただしずっと大きいし,画像も鮮明だよ。
一同:おお!?

 俄然,やる気をだす一同。
 とりあえず尚也のところに集まって,作戦会議。

GM:とりあえず和也だけど,この写真ならばはっきりとわかる。本人に間違いないね。
尚也:そうか……。
綾:例の黒衣の男は?
GM:残念ながら,後ろ姿のままだ。もちろん,画像は良くなってるけどね。
晟:(ふと)あのさ。その男って背高いの?
GM:千葉ほどは高くない。でも,高い部類に入るね。
晟:痩せてる? てゆーか,すらっとした感じ?
GM:うん。
晟:髪の色は? 茶色っぽいか,黒髪かってことだけど。
GM:黒。というか,烏の濡れ羽色(にやり)。
晟:…………。
遙:あきちゃん,どーしたのですか?
晟:いや……うーん,気のせいだと思うんだけど……。
尚也:あ,それと皆。
一同:はい?
尚也:頼みがある。私とウリふたつの男を見たら,是非知らせて欲しい。
晟:ウリふたつだったら,どっちが尚也さんなんだかわからないのでは?
一同:(笑)
尚也:……服で区別すればいい。同じ服を着ていることはまずないはずだ。
ユウキ:着替えたらどうすんだよ。
綾:着替えた瞬間に間違えるぞ。特に遙は。
GM:(カワイイ声)あ,見つけましたです! 捕まえましたよー。なおちゃん? なおちゃんどこですかー,って本人だっちゅーの(笑)。
遙:(のプレイヤー)……あのー,どんどん勝手にキャラ作られているような気が……。
GM:そういうキャラにしか見えないんですけど!(笑)
尚也:と,とにかく,この緑のスカーフをしている方が私だから(←「アスコットタイ」くらい言ってくださいよ尚也さん)。
綾:敵も同じスカーフつけたらどーするんだよ。
晟:敵はスカーフの色が違うんだな,きっと。
ユウキ:(即座に)それはマフラー!
晟:え? ダメ?(笑)
ユウキ:ダメ。マフラー。歌にもあるでしょ,「あっかい〜,まぁふら〜♪」と。
GM:(小声で)あっかい〜,まふりゃお〜♪
ユウキ:(即座に)それはノリダー!
一同:(爆笑)
GM:てか,ツッコミ早っ!(笑)
晟:わかった,君の仮面ライ○ーにかける情熱はよくわかったから,とりあえず話を元に戻そう(笑)。
遙:で,なおちゃん,その人は誰なのですか? 双子さんですか?
尚也:(頷く)私には生き別れの弟がいて,名を和也という。彼は1年前,交通事故で死亡したはずだったのだが,その後病院の霊安室から姿を消したのだ。
晟:霊安室っ!?
尚也:(淡々と)そうだ。そして,その後杳として行方が知れん。
綾:んで,君はずっと弟さんを探してきたってことだな。それは所長から聞いた。
尚也:写真のこの部分を見てくれませんか。わかりにくいが,これが和也だ。私にはわかる。
綾:弟さん,ストレンジャーズに入隊してたってのか?
尚也:わからない。しかし,この写真を見る限り,その可能性もある。
遙:(しみじみと)そうなのですか……。
GM:では,ここでいったんシーンをきろう。