SCENE 9


GM:さて……では次のシーンなんですが,Xデイになるまでにすることある人いますか? いなければ進めてしまいますが……。
真:(手をあげて)はーい。
紫音:はい,俺も。
キルスティン:あ,ちなみに2人とも解散してから何かするんですか?
紫音:そうだけど?
キルスティン:その前に私,皆に言いたいことがあったんですけど。
真:そういやそんなこと言ってたなぁ。
キルスティン:忘れないでくれよぉ。大事なことなんだよぉ。
GM:とか言いつつピーピングにうつつを抜かしてたのは,どこのどいつだ。
キルスティン:(無視)あのね,私,皆に頼みがあるの。
GM:だからいきなりシリアスになるな!(笑) えーと,じゃあ時間を戻しまして,まだ泪ちゃん家にいるということで。シーンプレイヤーはキルス。
真:ところで相模原さんはどうしてんだ?
GM:泪ですか? さっき「もぉ知りません!」と捨てセリフを残して自室に閉じこもってしまってます。
キルスティン:そうなの? 泪ちゃんにもお願いしたかったのに。
GM:キミ,それはちょっとムシがいいとか言わんかい?
キルスティン:どして?
GM:…………。
一同:…………。
GM:いや,いい。とりあえず話を進めてくれたまへ。

 だからキルスティン,キミはそういうトコが……。
 私的にはキミのそういうとこは好きだが……。

キルスティン:あのね。みんな霧谷さんから,ユージン叔父さんの抹殺指令って,出されてる?
紫音:……いや?
真:とりあえずそういう話は聞いてないが……何でだ?
キルスティン:あのね,桂子さんが言ってたんだけどね。もし千葉を倒したいなら,一度薬で叔父さんに戻すのがいいんじゃないかって。
真:それでまた千葉に戻る前に殺す,か。なるほどな。
キルスティン:そういう話って,聞いてる?
紫音:聞いてない。聞いてないが,あり得ない話じゃないな。
キルスティン:やっぱそうなの?
紫音:知らね。てゆーかむしろ,UGNに千葉をどうしても倒さなきゃならない理由はないんだぜ?
キルスティン:あ,そうか……。
紫音:だからやっこさん次第だろうな。このまま遠いアメリカのお空へ行っちまうかも知れないし,逆に俺たちに敵対してくることも充分あり得るわけだから。で,もし戦うことになった場合は……。
真:悪いが,俺でも桂子さんの案を採るだろうな。
キルスティン:…………。
紫音:あの薬がそんなに便利かどうかは別だけどな。
真:でも一度ユージンに戻してるだろ。試してみる価値はある。
キルスティン:ちょっと待って。あんたたちも,千葉を倒すためなら叔父さんを殺してもいいと思ってるの?
一同:…………。
キルスティン:私はどうしても叔父さんを救いたいのよ。父さんが死んだのは私のせいだし,こないだはママも助けられなかった。私はこれ以上,家族を死なせたくないのよ。
真:どうやって?
キルスティン:え?
真:ユージン・エヴァレットを助けたいというおまえの気持ちはわかる。でもどうやって? 少しでも方法があるんなら,俺も考えてやらんでもない。何か考えがあるか?
キルスティン:…………。
真:ないだろうな。俺にだってない。皆目わからん。
紫音:とゆーか,ユージンはすでに生きてないと思う。俺は。
キルスティン:それ,どういうイミ?
真:あいつは「自分」ってものを理解できなくなってるんじゃないか,ということさ。それは人間として「生きている」とは言わないだろ?
紫音:確証はないんだけどな。
キルスティン:(GMに)そうなの?
GM:さあ,そういう推測ができるほどユージンと接してないからね君ら。
紫音:接触する前に消えたじゃないか(笑)。
GM:そうとも言うが(笑)。まあキルスよ,ユージンについて聞きたきゃ,千葉にきいてくれ。UGN側にその情報を求めるな。霧谷さんも桂子さんも知らないから。
キルスティン:うーん……。
GM:千葉の真意はさておき,GMとしてはそのために千葉とキルスのからみって作ってるんだわ。今回。
キルスティン:と,いうことは? 一応叔父さんが助かる可能性はあるわけ?
GM:ゼロではない,としか言えんな。
真:(ちらりとGMを見る)ま,そういう手も使えなくはないですが……。
紫音:例の話か? 俺は反対だな。リスクが高すぎる。
キルスティン:……何の話よ。
紫音:それはまだ言えない。口止めされてるんでね。
GM:あー,ちなみに霧谷さんが口止めしてるのは,別にいぢわるとかじゃなくて。
真:わかりますよ。キルスって演技できませんからねえ。どう考えてもコイツから千葉に漏れる。
キルスティン:な,何? 何なの? 何の話?
真&紫音&GM:…………。
キルスティン:だー! 何だコイツらー! 気になるじゃないかー!
咲耶榎:ちなみにキルスティンさん。私も何のことかさっぱりわかりませんから大丈夫です。
キルスティン:何が大丈夫なんだー!?
真:(ため息)話を元に戻すぞ。とにかくおまえがユージンを助けたいというのは,止めない。できる限り協力もする。ただし,優先順位ってものがある。
キルスティン:優先順位?
真:俺と紫音の最優先目的は,ファルスハーツから光や茶山たちを守ること。それから千葉がちょっかいかけてくるようならそれを阻止する。
紫音:アンタの叔父さんは優先順位としてはかなり低いよ。だいたい,ユージンを助けることは,イコール千葉と完全に敵対することなんだからな。
キルスティン:…………。ごめん。
真:千葉に関して言えば,一番いいのはヤツの企みだけつぶして,ヤツ自身には手は出さないってことなんだ。リスクはでかいし,だいたい倒してもたいして意味はない。
キルスティン:でもアイツが諸悪の根源ってわけじゃないの?
紫音:いや? 違うだろ。
咲耶榎:やってることは愉快犯的ではた迷惑ですけどね。諸悪の根源かどうかは……。
キルスティン:え? でもさぁ,歩ちゃん使って“フィーヴァー・ドリーム”まいたりしてるし……。
GM:ま,千葉についてはGMだってよくわかっていないので。
一同:おい!
GM:そうは言うが,アナタだってちゃんと設定考えてなくない?
紫音:(←しつこいようだが前回GMの人)多少は考えてあったぞ。
GM:ホントに「多少」じゃないかあんなん。
紫音:とゆーか俺は千葉をラスボスとして使うつもりはなかったぞ。ラスボスは神楽のつもりだったんだ(笑)。
GM:ぐ……。
真:なんかそういう先行きの不安を煽るようなこと言わないでください(笑)。
紫音:ま,話を元に戻すとだ。千葉はもちろん放っておくとロクなことしない。ただし,UGNとしては,こうむるリスクを計算にいれれば,どうしても叩いておかなきゃならないってことでもない。あんだすたん?
キルスティン:……つまりUGNとしては,叔父さんを助ける気はないってわけ?
紫音:そりゃそうさ,UGNは組織なんだから(と真を見る)。
真:おまえの友達としての俺らは,おまえを助けるぞ。やれる限りはな。
キルスティン:……ありがと。
紫音:一応釘はさしとくぜ。俺たちがユージンを助けるのはあくまで「おまえの叔父さん」だからであって,本人には何の義理もないからな。もし咲耶榎や松山たちがそのせいで危険にさらされるようなことになったら,俺はあっさりユージンを見捨てる。わかったな?
キルスティン:そんなことになったら,私が千葉を殺すよ。
紫音:“フィーヴァー・ドリーム”を使ってか? それもオススメしないけどな……。
真:(咲耶榎に)あんたとしてはどうなんだ?
咲耶榎:(肩をすくめて)さあ? これからその当人とデートする立場の人間としては,どうなんでしょうね。
キルスティン:…………。
咲耶榎:ここで考えてたって仕方ないですよ。私も,あの人と話してみなけりゃ,自分がどうするのかわかりません。
GM:(苦笑)というか予想外に長くなったな,このシーン。そろそろ変えるぞー。いい?
キルスティン:いいんだけど,うーん……。
GM:とりあえず,考えていてくれ。シーン変えます。

 

SCENE 10


GM:では紫音ですね。やりたいことは?
紫音:局長に“カプリース”のことを調べてもらう。
キルスティン:カプリースってどういうイミ?
GM:「きまぐれ」って意味です。それはそうと,“カプリース”については調べてくれる。「その代わりと言っては何だが」
紫音:何だよ?
GM:霧谷さんはケース入りのライフル弾を君に渡す。
紫音:……これって,まさかユージン用の抗ウィルス剤が仕込まれてるとかじゃ……。
GM/霧谷:「勘がいいな」
紫音:桂子さんがキルスに余計なことを言ったみたいなんだよ。それはそうと,これで千葉を狙撃しろとでもいうわけ? 俺,自信ないぜ?
GM/霧谷:「単に保険といったところだろ。私としても,みすみすキルスティンくんを死なすようなことになっては目覚めが悪いのでね」
紫音:…………。
GM/霧谷:「ええと,ああ,“カプリース”ね。今転送されてきたぞ」
紫音:速いな。
GM/霧谷:「(含み笑い)結構有名人なんだよ,彼女は」
紫音:彼女? 女?
GM:えーと通称“カプリース”。名前は澤之井泉水。
紫音:何ぃ? 名前までわかっちまってんのか?
GM:その名前で学校行ってるとか働いてるとかじゃないだろうし,本名かどうかは知らんけど。年齢は17歳。
紫音:顔写真とかはあんの?
GM/霧谷:「いや,さすがにそれはないが,後ろ姿くらいなら……」と,霧谷さんが小さい写真を見せてくれる。そこにはやたらにちびっちゃい女の子が,黄色いレインコートを着て,幼稚園児のような黄色い帽子を……。
紫音:ああん? なめとんのか?(一同笑)
GM:彼女はちょっと立場が変わってましてねえ。つまり囮専門。騒ぎを起こすだけ起こして,その間に本命が動く,という……(笑)。
紫音:どーりで目立つ格好してやがると思ったら……。
真:で,コードネームが“カプリース”なわけね。
GM/霧谷:「ただし侮るのも禁物だぞ。そういう『囮』のくせに,まだファルスハーツからきられてない,というのはそれだけ優秀だからだろうな」ちなみに直接戦闘系ではなくサポート系だという報告もきてる。
紫音:なんかゴッツイ能力増強をやってくるとか。
GM:ま,そんなカンジ。……あ,言い忘れてた。“カプリース”が写真の中で,誰かの腕をつかんでいるようです。その腕はほんとにちょこっとしか写ってないんだけど,パジャマを着ているようだ。
紫音:パジャマ? ……そのパジャマに見覚えは?
GM:(にやり)あなたにはまったくないな。
真:……ん? それはもしかして……。
GM:(にやり)
真:やだ! 俺やだ! もぉアイツとは関わりたくない!
キルスティン:?
紫音:(←気づいた)そうか,このパジャマに見覚えあるのってキルスだけか。
GM:(にやにや)そうですね。キルスだけだな。あと楓にも見覚えはあるかもしれんが……。
紫音:でも俺がそんなこと思いつくわけはないしな。何だ? 病人か?とか思ってるだけなんだろうなあ(笑)。
キルスティン:え? 何? 何?
GM:ではそんなところでシーン変えたいと思います。

 

SCENE 11


キルスティン:パジャマ着た人? 誰のこと?(←まだ言ってる)
GM:(無視)えーと,大谷はどうするの?
真:UGNに行くんですよ。
紫音:え? “カプリース”の情報ならゲットしたぞ。
真:そーじゃない。……おまえ,ファルスハーツに松山達が狙われてるってこと,全然話してないじゃないか!
紫音:あ,そう言えば。
真:そう言えば,じゃないよ! それが一番肝心だろ! おまえまで何やってんだよ!
紫音:えー,でも局長いつも「人手がない」の一点張りだからなあ。どうせ俺たちで何とかするしかないし。
真:(眉間にシワ)……そういうわけで都築京香が動いているんですけど。
GM/霧谷:「そうか……くるものがきたという感じだな」
真:狙われるとしたらまず松山。それから茶山と水上さんでしょうね。
GM/霧谷:「(にっこり)ちなみにうちには人手がないので……」
真:最後まで言わんでいいです。俺が例によって例のごとくしきりますから,経費くらいちゃんと出してくださいね。
GM/霧谷:「(にこにこ)いやあ,君はホントに優秀な人材だなあ」
真:…………。えー,それから千葉から妙な招待状がきてます。姫宮咲耶榎と,それからキルスに。
GM/霧谷:「……何でまた」
真:俺も正直理解できないんですが,何でもヤツ,パートナーというか嫁さん探しやってるみたいですよ。
GM/霧谷:「そりゃまたシュールだね」
真:気楽に言わんでくださいよ。
GM/霧谷:「そんなこと言ったって,そんなのこっちとしては対処のしようがないだろ? 恋愛は当人の自由,とか言われたらそれまでだし」
真:すげえヤな恋愛ですな。
GM/霧谷:「種族保存の本能と思えば,純粋なのかもしれないよ?」
真:そういう戯言はやめてください。……それでですね。まずはファルスハーツに狙われるであろう3名,それから千葉にコナかけられてる2名。この5人を1ヶ所に集めてしまおうと思います。この面子なら,戦力の一点集中にもなりますしね。具体的には,千葉が指定してきた遊園地を使いたいんですが,どうです?
GM/霧谷:「妥当だね。それなら3人に電話しといた方がいいんじゃないか?」
真:そうですね。ちょっと夜分遅くですけど……。

 ――ちなみにGM,妙に親切に誘導しているようだが……。
 ファルスハーツから狙われる可能性があるのは4人いる。
 その4人を全員遊園地に集められるとちょっと困ったことになったので,「光と明日香と磨亜矢」と言われたのをいいことに,GMは残る1人から気をそらそうとしてたりする。

真:ではその場でまず光に電話します。
GM/光:「あ,大谷? 久しぶり。何,こんな時間に?」
真:ああ,すまん。おまえ,明日何か用事あるか?
GM/光:「えーと,明日香に映画に誘われたんで行ってくる」
真:……映画?
GM/光:「うん,『ぶつ切りポリー』とかいうの。変な題名の映画だよな」
真:(眉間にシワを寄せつつ)じ,実はだな松山。その映画館で今晩火事があったんだ。
GM/光:「えっ,そうなのか?」
真:そうなんだ。だからおまえ,何か別のことに茶山さん誘ってやれ。
GM/光:「でもさっき通りかかったけど,何にもなかったよ」
真:…………。
GM/光:「あれ? おかしいなぁ。じゃあ映画館に電話して……」(笑)
真:あー! ところで松山!
GM/光:「な,何?」
真:実は俺,新聞屋から遊園地のチケットを2枚もらったんだ。でも俺には行く相手もいないし,やるよ。茶山さんと行ってこい。
GM/光:「え,いいのか? じゃあ来週の日曜……」
真:がー!
GM/光:「な,何なんだよさっきから」(笑)
紫音:……てゆーか大谷よ。素直に事情を話すという選択肢はないのか?(笑)
GM:ダメですね。この人N◎VA症候群だから。
キルスティン:何それ。
GM:何事もわざわざ小細工しないと気がすまない人っす。あるいは「情報は金になる」を合言葉に,得た情報を必要以上に抱え込む人のことを言います。
真:…………。
GM:(意地悪く)で,どうする?
真:えー……松山よ。俺は思うんだが,おまえから茶山さんを誘ってやろうという気はないのか?
GM/光:「うん,だから来週誘うよ?」
真:そうじゃない!
GM/光:「何が」
真:とにかく明日だ! いいから行け! ぐだぐだ言うな!
一同:(笑)
キルスティン:チケットの期限が明日までって言えばいいじゃん。
咲耶榎:『ぶつ切りポリー』は女の子と観る映画じゃないだろ,とか色々あるでしょう。
真:…………。(気をとりなおして)とにかくだな。やっぱりこういうのは,おまえがセッティングして,茶山さんを誘ってあげなきゃだろ。
GM/光:「何で?」
真:何でじゃない! おまえ,そこんとこわかってないだろ。これはデートなんだぞ?
光:…………。
真:松山?
光:(裏返った声で)これ,デートだったのか!?
一同:おい!(爆笑)
紫音:このラブコメアンが!
キルスティン:おまえなんかラブコメ星に帰れ!
真:(眉間にシワ)と,とにかくだな松山。いっつも茶山さんに誘ってもらって,それで申し訳ないとか思わんのか? そもそも彼女はおまえが寝てる間,ずーっと看病しててくれてたんだぞ?
GM/光:「え……でもそのお礼とデートってまた別じゃ……」
一同:そうじゃなくて!(笑)
真:もぉいい! おまえは黙ってこのチケットを受け取って,茶山さんを誘え! わかったか!(怒)
GM/光:「わ,わかったよ。じゃあちょっと明日香に訊いてみるから,また後でかける」
真:(電話を切り,深々とため息)
GM/霧谷:「大変だね君も」
真:そのすっげえ他人事みたいな言い方やめてくれませんか? ……そういや局長。
GM/霧谷:「ん?」
真:結局俺のボーナスどうなったんです?
GM/霧谷:「(突然遠い目)夕日がキレイだな……」
一同:(笑)
真:日はもう暮れてますが。
GM/霧谷:「青空がキレイだ……」
真:だから夜ですって。
GM/霧谷:「星空がキレイだ……」
真:だからここ屋内ですから!
紫音:こんなにこの場所は星が近いというのに……(笑)。
真:がー! てめえまでボケてんじゃねええ!
GM/霧谷:「それはそうと大谷,水上さんにも電話しなくていいのかい?」
真:……あんたどうあっても俺にボーナス払わない気ですな。
GM/霧谷:「朝焼けがキレイだ……」(笑)
真:…………。もぉいいです。磨亜矢さんに電話します。
GM/磨亜矢:「はい,水上ですが?」
真:あ,大谷です。あの……突然なんですが,明日何かご予定あります?
GM/磨亜矢:「明日ですか? 友達の家に遊びに行く約束してますけど」
真:…………。ぐふう。
一同:(笑)
GM/磨亜矢:「あの? どうかしました?」
真:い,いえ。……あ,あのぉ,その予定キャンセルできないですか?
GM/磨亜矢:「(ちょっと疑わしげな声)どうしてです?」
真:……あ,いや。これには深い事情がありまして……(汗)。
紫音:これはやっぱり,光と明日香の初デートを見物しに行こう,とかゆって(笑)。
真:いや,彼女はそんな意地の悪いことをする人じゃないだろう。……俺が素直にデートに誘うというのはダメなのか?
GM:(それは「素直」か?)……大谷よ。
真:はい?
GM:こう言っちゃなんだが,それ断られるのがオチだと思う。
一同:(爆笑)
真:…………(←さめざめと泣いている)。

 だから素直に事情を話せばいいのに。
 恐るべきN◎VA症候群(笑)。
 で,結局大谷は磨亜矢に事情を全て打ち明け,彼女の協力をとりつけることに成功したのであった。

GM:そこで光から電話がかかってきます。「あ,松山だけど。明日香はいいって。喜んでた」
真:そうだろ。とにかく,俺が明日の朝チケット届けてやるから。
GM/光:「あれ? おまえらって一緒に来るの?」
一同:だーかーらー!(爆笑)
キルスティン:こいつ,ハチマキに「I Love you」って刺繍あっても,絶対気付かないぞ!
咲耶榎:気付かないどころか,読めなかったりして……。
キルスティン:「あれ? 『I』と『you』の間の単語は何だろう」とか言うぞ!
GM:「あれ? こんなところにしつけ糸が残ってる。とっちゃえ」とか(笑)。
紫音:……うーむ。光ってそこまでオバカだったか……?(笑)
真:(頭抱えまくり)あのな。おまえ,茶山さんのこと,キライか?
GM/光:「何で? 好きだよ?」
真:だから,デートなんだってば! 2人きりで行かんでどうする!
GM/光:「あ,あれ? グループ交際でもなくて……」
一同:中学生かおのれはッ!(怒)

 

SCENE 12


GM:ラブコメアンは放っておいて話を進めよう。キルスティンと咲耶榎,当日までいっちゃっていい?
咲耶榎:いいです。
キルスティン:私も。
GM:では次の日に……。
咲耶榎:(ふと)待った。ひとつ忘れてた。
GM:なに?
咲耶榎:歩ちゃんに連絡とります。
一同:(笑)
咲耶榎:せめて一言,謝ってくれたってバチはあたんないですよね?
GM/歩:「はい,皆藤ですが……」
咲耶榎:歩ちゃん? 咲耶榎です。
GM/歩:「あ……こんばんは……」
真:あっ,やっぱり気まずそうだ(笑)。
咲耶榎:あのー,今日の約束の件なんですけど。
GM/歩:「……ごめんなさい」
紫音:あっ,先に謝られてしまった(笑)。
GM/歩:(相変わらず外野がうるさい……)「えーと咲耶榎ちゃん,ものすごく迷惑だった?」
咲耶榎:え? 別にそんなことはないけど……。
GM/歩:「デートのことだけど」
咲耶榎:うーん,何と言うかよく知らない人だし……あ,知らないわけじゃないか。危害加えられたりもしたし(笑)。
GM/歩:「大丈夫よ。千葉さんって色々悪いこともするけど約束は破らないから」
咲耶榎:そういう問題じゃないような気がするんだけど(笑)。と言うか,何がどう間違って千葉さんと私がデートするハメになるのか,今でもピンときてないんだけど。
GM/歩:「人生って,一期一会よね」
咲耶榎:だからそういう問題じゃないし。
GM/歩:「がんばってね,明日」
咲耶榎:(思わず)うん,がんばる。
一同:何を。
咲耶榎:何を……あれ,また流されてないか私!?
GM/歩:「じゃ,そういうことでよろしく。おやすみなさい」
咲耶榎:(思わず)あ,おやすみ……じゃなくて,だから,何をよろしくするの? ねえ?
GM:もう電話切れてますがな(笑)。
真:結局,今のは何だったんだ?(笑)
紫音:千葉と違う意味で,彼女も謎な人だ……。
咲耶榎:(受話器を見つめて)やっぱり不安になってきた。私流されるだけ流されて,とんでもない方向に進んでないだろうか。
紫音:何を今さら。
咲耶榎:…………。
紫音:まったく困ったもんだねえ。
咲耶榎:……とか言って,私を売ったのはどこの誰なんですか。
紫音:ん〜? 聞こえんなぁ〜(笑)。
GM:はいはい。そういうわけで,このシーンって終わりにしていいの?(笑)

 

SCENE 13


GM:えーと,まだやりたいことのある人?
真:あ,俺は楓と話しておきたかったんですけど……。
GM:ああ,じゃあそのシーンね。今は真夜中。楓はまだ起きているみたいだ。
紫音:遊園地のガイドブック読んでたり(笑)。
GM:さぁ……どぉかなあ。とりあえず自室のベッドに目開けたまま寝転んでるよ。
真:……眠れないのか?
GM/楓:「いや,そういうわけじゃない」
真:明日出かけるんだろ。早く寝ろよ。
GM/楓:「……それで思い出したが,貴様ら趣味が悪いぞ」
一同:(笑)
真:(苦笑)ま,みんなおまえが心配なんだよ。
GM:(ぼそっと)そうかなあ……。
キルスティン:え? 心配だよ?
真:はいはい,キミは黙っているように。
キルスティン:何でさー! あたしは本当に心配してるのにー!
真:(無視)で? あの件は本当なのか?
GM/楓:「あの件?」
真:あと1年,という話さ。
GM/楓:「誰から聞いた?」
真:経緯はよく知らんが,千葉がな。
GM/楓:「そうか……」
真:で,どうなんだ?
GM/楓:「俺にはよくわからん。わからんが,医者の話では今のところそういうことらしいな」
真:そうか。じゃあ,何か方法を考えよう。
GM/楓:「…………。おまえは,人のことになると途端に前向きになるな」
真:そうか? 死人が死んだって意味なんざないからな。
GM/楓:「…………」
真:ああ,そんな顔するな。別に死にたいって言ってるわけじゃない。まだやり残したことはたくさんあるしな。
GM/楓:「……俺も別に死にたいわけじゃない」
真:そうだろ? じゃあ明日はゆっくり休んで,明後日から助かる方法を考えたらいいんだ。
GM/楓:「助かる方法,か……」
真:そうだ,おまえ明日はケンカするなよ。
GM/楓:「喧嘩? 俺が誰と喧嘩すると言うんだ」
真:千葉とか,その他色々だ。おまえすぐかっとなるじゃないか。
GM/楓:「…………」
真:自覚がないとは言わせんぞ(笑)。
GM/楓:「…………」
真:とにかく,女の子連れでケンカするのは最悪だからな。
GM/楓:「…………。もう寝る」
真:おう,早く寝ろよ。おやすみ。
GM:え,えーと? ところでこのシーン,何がしたかったの?
真:え? 一応,楓との友情話をやりたかっただけで……。
一同:…………。『友情』?
真:…………。
GM:(しらじらしく)えー,ではそういうことなんでシーン変えたいと思います(笑)。