SCENE 14


GM:では大谷のシーンを先に。どこか探したいところとかある?
真:楓のいそうなところ……?
咲耶榎:(ぼそっと)ゴミ捨て場で残飯漁りとか。
紫音:くぅ〜ん,くぅ〜ん(一同笑)。
咲耶榎:おーい,楓〜? 楓ちゃーん?(とゴミバケツのフタを待ち上げるジェスチャー)
GM:そ,それはワビしすぎる! 見てみたい気もするが(笑)。
真:冗談はさておいて。楓は光の来る方向とか,わかってたんですよね。
GM:そうだね。
真:それで,泪や光は楓に気付いてないんですよね。
GM:そうだな。
真:泪からあんまり離れてなくて,なおかつ2人に気付かれなくて,さらに楓のいそうなところというと……このビルの屋上では?
GM:ピンポンピンポーン♪
一同:(笑)
紫音:まさにバカと煙は何とやら(笑)。
咲耶榎:わかりやすいやっちゃなー。
紫音:そういやヤツは1話目からそうだったなぁ。
GM:バカだから。
紫音:バカだからね。
真:(苦笑)で,楓はどうしてんですか?
GM:どうしてるんだろう。月をバックに吠えてるとか(笑)。
咲耶榎:あお〜ん♪
紫音:やっぱバカだから(笑)。
GM:それはさておき,どうする? マジで楓と一騎うちに持ち込む?
真:勝てると思いますよ。
紫音:大谷はね,ダイスの目によっては勝てるんだよ。しかもマスター,弱体化したでしょ。
GM:エンジェルハイロゥ/ハヌマーンからハヌマーン=ハヌマーンにした時点でかなりな(笑)。だってアナタが作ったやつだと鬼のように強いんだもん。
真:では,屋上にあがります。
咲耶榎:あお〜ん♪
GM:それはもういいから(笑)。
紫音:いや,ヤツは吠えてはいないだろう。きっと月をじっと睨んでるんだ。高いところで(笑)。
咲耶榎:給水塔の上で(一同笑)。
真:……楓? 迎えに来たぞ。
GM:では楓,つーか黒い狼は君を見下ろし,立ちあがる。でもって,すっと反対側に飛び降りようと……。
真:楓,逃げるな。
GM:では動きをとめて振りかえる。
真:どうして逃げる。俺はおまえの友達だろ。
GM:(その瞬間,思わずふきだす)
真:……ちょっと!
咲耶榎:そこ,笑ったらかわいそうですよ。
GM:ご,ごめんなさい。つい(笑)。
紫音:どっちかっていうと,「友達」より「友」の方がいいなあ。
GM:「強敵」と書いて「とも」と読めってか?
紫音:所詮ヤツは拳で語り合うしか解りあえぬ男よ(爆笑)。
真:アンタらねえ!
GM:ごめんごめん。
真:でも拳で語り合うしかないってのはアタリかも。
GM:ええ? とりあえず楓は給水塔の上から飛び降りる。君の前にな。で,金色に光る目でじっと君を睨みつけるが……。
真:……そう言えば前に言ったな。
GM/黒い狼:「…………?」
真:おまえじゃ俺は殺せない。俺がおまえを止めてやる,とな。俺には最初からその覚悟がある。おまえはどうだ?
GM:うーん……すると狼だからアレなんだけど……。
紫音:にっと笑ったような気がする,と。
GM:だな。では次のターンで戦闘にいきましょう。

 結局そうなるんだなあ(笑)。
 どうでもいいけど。大谷も最初からやる気まんまんのような気がするんですが……。

 

SCENE 15


GM:では紫音・咲耶榎兄妹のシーンです。灰色の獣がトレーラーに襲いかからんとした瞬間!
紫音:(《プロフェット》の判定に成功)フッ,やっぱりここだったか。
一同:(笑)
GM:ちなみに白い虎さんはトレーラーが停止した時点で泪を背負ってでてくる。
咲耶榎:で,灰色くんはそっちを襲おうとするんですよね?
GM:当然ですね。
咲耶榎:では,黙ってその間に立ちふさがりましょう。
紫音:さらにワーディングもかけておこう。
GM:獣は「予想外だぜ」という顔をしている。
咲耶榎:ちなみに灰色くんって誰なの?
真:だいたい予想はつくんだが……。
紫音:確信は持てない。でも光でも楓でも歩でもないなら遠慮はいらん。
GM:では戦闘に入るとしますか。こっちはイニシアティブ16。
紫音:セットアップに《戦局判断》使いますのでこちらが先です。
咲耶榎:私は一番最後ですね。
GM:了解。では紫音から。
紫音:ではいきなりクリムゾン・レイジをうたせていただく。マイナーで《炎の加護》,《炎神の怒り》《白熱》《ブレインコントロール》で。
GM:避けないからダメージちょうだい。
紫音:ええ? それじゃ……あ,低い。
GM:こちらは《血族》《赤河の支配者》です。(ざらざら)50……60……70……80……98……?
一同:何じゃそりゃ?
GM:いや,マジでまわりすぎただけ。49点まではじくんだけど(笑)。
紫音:無理だっちゅーの。
GM:では反撃,前にでてる方。咲耶榎だな。《鬼の一撃》《銘なき刃》。ちなみに《一角鬼》は使用済……52。
咲耶榎:回避しま〜す。(ころころ)無理なのでダメージください。
GM:えーと,26点。
咲耶榎:防げなくはないけど,死んでリザレクト。HPは3点回復。ところでなんでこの人,防御がブラム=ストーカーで攻撃はキュマイラなの?
GM:一応戦闘に慣れてないという設定があるのでねえ。従者とか使わんし。
真:うわもったいねっ。
GM:だって,小学生なんだもん。
一同:あー……。
GM:それはともかく(笑),なみに光は泪のガードということで不参加です。私が手ェまわんないしね。では咲耶榎。
咲耶榎:えーと……しまった。《完全獣化》すると服が破れるなあ……お気に入りなのに。
真:こんな戦闘になるとわかってるところに,いい服着てくる方が悪いんだろ。
咲耶榎:おや? 今回の取材って戦闘になると予想されてましたか?
GM:さあ(笑)。
紫音:さあねえ(笑)。
咲耶榎:それはさておき《完全獣化》に《一角鬼》。行動終わり。
GM:はいセカンド。行動する人は?
咲耶榎:はい,こっちも。
GM:でも,イニシアティブが高いから灰色くんが先だな。《鬼の一撃》《銘なき刃》《狼牙》で43。
咲耶榎:どうせリザレクトするので避けません。
GM:ではダメージが35点。
咲耶榎:復活。HPは……また3点(笑)。
GM:不毛な戦いだなあ(笑)。
咲耶榎:では《光速の剣》《鏡の館》《全知の欠片》《主の恩恵》《鋼の肉体》です。
GM:な,なんだって?
咲耶榎:だから,《光速の剣》《鏡の館》《全知の欠片》《主の恩恵》《鋼の肉体》。HP回復して《鏡の館》の効果でこちらを攻撃する時にダイスペナルティが3つきまーす。
GM:しまった,遠距離攻撃がないのがイタイな。

 ちなみに咲耶榎がエフェクト使いまくっているのは,侵蝕値を上げたいせいもある(登場判定でまったくあがらなかった)。
 さて次ターンのセットアップ。
 紫音が《戦局判断》を,咲耶榎が《光の衣》《主の恩恵》と《フルパワーアタック》を宣言(やはり影化してアタックか!)。

GM:確か《フルパワーアタック》って,行動宣言が先なんだっけ?
咲耶榎:うん。だから《フルパワーアタック》《主の右腕》《全知の欠片》《ピンポイント・レーザー》《ガラスの剣》《主の恩恵》《獣の力》《銘なき刃》で,消えます。
GM:な,なに?
咲耶榎:もう一回言うのイヤだよ。
GM:わかった。録音してるからいい(笑)。おや? ところで自分は消えて《鏡の館》の分身だけ残るわけ?
咲耶榎:うん。
GM:ひ,ひっでえ〜。
紫音:まあとにかく俺の番ね(笑)。

 紫音のクリムゾン・レイジは達成値46のダメージ36。ところがまたGMが86とかいう出目をだし(←ホントに回りまくっているだけ),ノーダメージ。ほとんど消耗戦の様相を呈している(笑)。
 さらに灰色くんの行動も,分身を1体破壊しただけで終わったのだった。

咲耶榎:というわけでさっき宣言しておいた通り……。
GM:もぉいい。言わんでいい。
咲耶榎:侵蝕率はいっきに21上昇です(笑)。
紫音:そんなコンボ作んなよなあ(笑)。
咲耶榎:そっちはまた避けないんだよねえ。64点。
GM:今度は39点まで防ぐんだけど……25点。装甲値無視。25点かあ……HP半分以下になったな。
咲耶榎:まだ死なない?
GM:“フィーヴァー・ドリーム”で《完全獣化》の特殊バージョンなんですよ。追加HPがでかいの。ではセカンド。そこ,姿は現わしたよね?
咲耶榎:そうなっちゃうな。

 せっかくのチャンスだった攻撃だが,これがほとんど回らない。達成値32。〈避け〉が苦手な咲耶榎は避けずに《竜鱗》でうけてノーダメージ。やはり消耗戦である。
 セットアップ,またも紫音が《戦局判断》,咲耶榎は《光の衣》で隠れる(笑)。

紫音:またダイスが増えてしまった(笑)。達成値は48。ダメージは31点。
GM:ではこっちも……えっ? 回らない! 16点までしか防げない。
紫音:死んだ?
GM:(計算して)ホンのちょっと残ってる。でもあと2点だからなあ。次で死ぬなあ。疲れたから死んだことにしていい?
一同:(笑)
真:そういうのは「ちっくしょー,こんなことでやられるなんてー!」とか言っときゃいいんですよ。
GM:ではそれで撃ちぬかれたことにして……《完全獣化》ってもとに戻るとハダカなんだよね。よかったね,小学生で。
紫音:灰色くん=オヤジ説じゃなくてよかった(笑)。
GM:オヤジ? オヤジは早馬が食べちゃった。
紫音:さらっと言うなあ!(笑)
真:マザーグースはイヤだって言ったのに!
咲耶榎:(ぼそっと)……あの,水を差すようでなんなのですが。もうジャーム化してるなら人間の姿には戻らないのでは?
真:あ,そうかも。
GM:(しばし黙考)いや,違う。そもそもこいつは“フィーヴァー・ドリーム”なのだった。
一同:え?(汗)
真:まさかスライム化?
GM:スライムにはならないんだけど,侵蝕率100パーセント超えた時点でHPが0になると,そのまま死亡なの。
一同:…………。
紫音:死んだ?
GM:死んだなあ。ここで早馬が助かるなら,神楽だって助かってたはずだ。
真:それ,救いなくありませんか?
GM:うーん,でも,そうなっちゃうよなあ。

 4話に続き,5話でも結局救いのない死人が。
 ひでえマスターだ。
 ただしGMが強制的に殺したに等しいアンナと違い,早馬の場合最初から「救えないことが決まっている」わけではない。シナリオ途中で人を殺したり闘ったりしてる過程で,侵蝕率がカウントされてジャーム化してます。だから(ひでえ低確率だけど)途中で何とか止めることは可能だった。というわけで……話し合いの結果,早馬は結局死んでしまうでしょう,ということで話を先に進めることにする。
(なお,アンナの場合は……6話に続く)

GM:せっかくだから,とことん救いない感じでいこうね。では紫音の攻撃がクリーンヒットして獣が燃えあがるんだけど,その中から子供の悲痛な悲鳴が聞こえる。
咲耶榎:……人間に戻るんですか?
GM:戻ろうとするんだけど,戻りきれない感じで。
紫音:ではその炎の中に向けて,苦しいか?と声をかける。
GM:そんな言葉は聞こえていない。ただ「熱いよ,熱いよぉ! 姉ちゃあん!」という悲鳴が……。
紫音:そうか,じゃあ今連れていってやるよ,と言って……。
GM:演出なんで,侵蝕率・判定その他は免除しましょ。
紫音:それでは,瞬間的に燃え尽きるまで火力を上げます。炎柱がたつような。
GM:では,一瞬まばゆい光が路面を照らし出した後は,黒い灰が舞い散って,終わり,ということですね。何か他に言う事は?
咲耶榎:……何を言えというのでしょう。と言うか,歩ちゃんになんて言おう。
GM:ちなみに泪ちゃんは高熱のせいもあり失神中なんですが,光が彼女を背に乗せたまま歩みよってくる。その口には,少し焦げたオモチャのロボットが……。
紫音:(受け取って)咲耶榎,これ……。
咲耶榎:とりあえず兄を背後から襲って,上着を奪い取ってから人間の姿に戻ります。
一同:(爆笑)
紫音:お,おまえとゆーヤツわー!
GM:ということでシーンを変えようか(笑)。
真:……その前に,新しい車手配しとけ……。
GM:あ,光はワーディングとける前にこそこそ荷台に戻ります(笑)。

 

SCENE 16


GM:さて,問題の大谷・楓戦か。こっちの方がカタはつきやすいと思うんだけどな。
紫音:楓はダメージさえ通れば結構すぐ倒せるからね。
GM:はね返しがコワイだけでそれを乗りきっちゃえば。
真:アレね。アレがやっかいなんだよなあ。
GM:まあ一応ルールというか,諸注意を。楓も“フィーヴァー・ドリーム”保有者だってことは,知ってるよな?
一同:げっ!
真:……そ,それはアレですか。侵蝕率100パーセント超えた時点でHPをゼロにしちゃうと,マジで死んじゃうってことですか。
GM:そう。「気絶させて捕獲する」ナシ。ちなみにまだ侵蝕率は100いってない。50超えてるとは言っておこう。ちなみに特殊技のはね返し攻撃が侵蝕率バカ食いするんで,戦闘中に100超える可能性は大。
真:鬼ですかあんたわ!
GM:……いやあ,あの,一応アナタが楓に負ける可能性の方も,考慮しといてね。
真:……そうすると,どうなるんです?
咲耶榎:楓に食われる(笑)。
GM:いや? たぶん千葉さんに回収されて次回楽しいことに。
一同:(爆笑)
真:だああああ! 絶対勝ったらああ!
GM:おい,待て。一応説得もしろよ。今回は戦闘中の説得にアクションは費やさないというルールで。ただしあんまり長々とはやらない,というかタイミングをはかってね。
真:了解です。
GM:はい,では1ターン目から。イニシアティブは楓だな。では《マシラのごとく》《電光石火》《さらなる波》《浸透撃》。
真:いきなりかい。
GM:戦闘長引かせる方が侵蝕率アブナイと思うんだよなあ。でも《ブレイン・シェイク》とか《アースシェイカー》とかいかないから(笑)。遠距離攻撃とか特殊攻撃のたぐいは今回獣化してるからナシ。そのかわり《完全獣化》で【肉体】がロクでもないことになってるけどね。えー……74。であと73の72。
一同:(笑)
真:回避はするだけ無駄なので,“ウェイク・オブ・ザ・デッド”を使います。ダメージください。
GM:(←実はダイスの多さで半泣き)1回目が56点。2回目が63点。3回目が74。
真:なんじゃそりゃあ!
紫音:(←隣で見ていた人)いや……これは単にGMの出目が……。
咲耶榎:(←計算を手伝っていた人)3回目なんて10が6個あるんですけど?
真:あのなあ……えーと……。
咲耶榎:とりあえず死んでおけば?(笑)

 しかし,その時。
 休憩中だった隣の卓のGMが遊びにきた時点で,戦況は一転したのだった。

隣の卓のGM:この《がらんどうの肉体》と《赤河の支配者》って解釈違いませんか?
一同:は?
隣の卓のGM:これ,確か《赤河の支配者》でダメージ半分にした後に,《がらんどうの肉体》で打ち消しできますよ。
一同:(慌ててルールブックを読み出す)……ホントだ。

 何の解釈が違っていたかというと,大谷の“ウェイク・オブ・ザ・デッド”は「《がらんどうの肉体》でダメージを打ち消せなかった場合《赤河の支配者》で軽減する」だったのだ。正確には解釈違い,というより「それはあまりに強すぎる」ということで無意識にブレーキが働いていたものらしい。だってこのコンボ,(状況にもよるが)70前後のダメージなら悠に消せるんですもん。
 なお,渡桐さまのご指摘により,このコンボはやはり成立しないことがわかりました。現在エラッタで両エフェクトのタイミングが「本文」になり,組み合わせ不可になったそうです。
 しかし,この時点ではこのコンボは成立しております。
 そういうわけですっかりパワーゲームになってしまった大谷VS楓戦は……。

GM:ちょ,ちょっと待て! それじゃ,90くらいまでダメージ消せちゃうじゃないか!
真:だってルールブックにそう書いてある……。
紫音:(苦笑)俺もね,神楽とか楓とか無茶な敵が相手じゃなきゃ,この手の便利過ぎるコンボは禁止すべきだと思うんだけどね。
咲耶榎:今は相手が相手だからなあ(笑)。
GM:う,うぁ……これじゃただのパワーインフレじゃないか。じゃ,今の全部防いだ?
真:侵蝕値が問題なんですけど……嘘だ。このコンボじゃ6しか上がらねえ(笑)。
一同:(笑)
真:(ころころ)2発目が3点通った。3回目は全部消した。
GM:この調子でちくちくと削っていけってか? いや,その前に楓が堕ちるわい(笑)。
真:(大真面目に)楓,帰って来い。おまえは皆に愛されている。
GM:説得力がねーわ!
一同:(大爆笑)
紫音:いや,その前にちょっと待て。「誰が」楓を愛してるって?
咲耶榎:「皆」って具体的に誰のこと?
GM:泪ちゃんだけじゃないの?(笑)
真:お母さんにも愛されてるでしょ。
咲耶榎:それと大谷?
紫音:大谷,是非「俺の愛を受け取れぇ!」と言って攻撃するんだ!(笑)
真:いやそうじゃなくて! とにかく俺の番ですね!? HP27の下僕つくります。終わり。
GM:おーい。ターン数かけないでくれ〜。
真:いや? 次でいきますよ。何せこっちにはタイタスが(笑)。
GM:あー,そうかよ(笑)。それじゃセカンドアクション。こっちはしないけど……。
真:はい。セカンド宣言します。マイナーで従者に攻撃力27の《赫の剣》を作らせます。でそれを俺が受けとって行動終わり(←注:GMツッコミ。《夜魔の領域》をいったい何と組み合わせたんだねキミわ)。で最後に説得です。楓,桂子さんはおまえを実験動物なんかに思っていない。あれは多分,おまえを助けるためにやったんだ。
GM:うーん……すると,ここで動きを止める,のかなあ?
真:あとひと押し? やっぱ泪のことで責められるのが一番効果的ですかね。
GM:うーん,まあ泪ちゃんからすれば,こうやってほいほいいなくなられる方が,暴走の危険云々よりよっぽどつらいってことなんでしょうけど(苦笑)。
真:でも,それは俺が言うことじゃないっすからね。ではこうしましょう。これから渾身の一撃を行いますので,楓がそれを受け止めきれるかどうかで勝負を決めると。
GM:またそういうデンジャラスなことを……まあいいでしょう。楓はキャンセルです。
真:ではここで久島のタイタスを昇華。クリティカル値を6にします。で《ブラッドバーン》《血族》で……92!
GM:ちょ,ちょっと待てよぉ……ここで回避したら怒るよな?
一同:怒る。
紫音:つーか,それはいくらなんでも無理だと思う。
GM:はいはい,わかりましたよ。でははね返し攻撃……つーか《真空の楯》という名前はあるんだけどね(笑)。
真:(←10D10+40……っておい)ダメージ97点!
一同:おいおい……。
GM:……あのさ。タイタス使ってもいい?
一同:使うの!?
真:そりゃ確かにダメージ全快とかありますけど! NPCがそれ,アリですか!
GM:うーむ……。

 ……NPCがタイタス使うのがズルイってこと自体は知ってますよ。
 いえ,単にね。
 ここで楓が《真空の楯》を使うと侵蝕値100超えるんですよ。
 つまりその97点はどう考えても「死ぬ」というんだけど……。

GM:……ではクリティカル値が6ということで。
真:マジですか!
GM:では《真空の楯》《電光石火》で……(ざらざら)ただいま計算中……ただいま計算中……(笑)。
紫音:また回りまくってるこの人は(笑)。
真:あの,俺もリザレクトかからないんですけど!?
GM:(ごろごろのごろ)……105。
一同:こらこらこら!(爆笑)
GM:だって20個振って16個回ったんだもん。
真:なんじゃそりゃ!
咲耶榎:えーと,それはどうなるの?
真:俺に97点跳ねかえってくるの(泣)。
GM:だって大谷,さっきのコンボで消せるだろー?(笑)

 実はこれも間違い。
 《真空の楯》の跳ね返しダメージに対しては全ての防御行動は無効。でなきゃ《カウンター》より弱くなっちまわぁ。

真:(ころころ)消した。消しました。
一同:おおー。
GM:さて,そんなところで1回戦闘きっていいですか?
真:あァん!? 久島のタイタスまで使ったのに帰ってこないってどう言うわけだ!?
GM:帰ってはくるよ。そうじゃなくて,このまま戦闘続けるとマジで楓が死ぬんだよ。昏倒とかいうんじゃなくて,マジに(笑)。では演出的に,風で両者ともに弾き飛ばされたということで。楓は自分も壁にたたきつけられて,受身はとってるんだけど,そのままうずくまってる。
真:では自分も起きあがって,そっと近寄ってみます。
GM:地面に伏せたまま,じっとあなたを見上げますが……。
真:しゃがんで頭をぽんぽんと叩いてみますが,抵抗します?
GM:ちょっと嫌そうな顔はしてるけど(笑),特には。
真:なあ楓。もう気がすんだろ。帰って来いよ。
GM:では頭を撫でられたまま,ふいと横を向く。
真:……すぐには約束できないが,戻す方法はあるさ。それに,おまえが泪さんを傷つけるようなことは絶対させない。こうやって逃げ回っているより,その方が絶対いいはずだ。そうだろ?
GM:そういうことは,あんなガチンコ勝負をやる前に言って欲しかったなあ……。
真:そっちだって思いきしやる気だったくせに。
GM:では,横を向いたまま下を向こう(笑)。
真:それは承諾とみていいんですね?(笑)
紫音:まったくこいつわ。
GM:さて,ここで一度シーンをきります。

 

SCENE 17


GM:では紫音と咲耶榎。ちゃっちゃといこうね。
咲耶榎:はい,ではちゃっちゃと。あの後,UGNに車手配してもらって,泪ちゃんと光くんを送り返した後は,やっぱり大谷を探すと。そういうことですよね?
紫音:だな。
GM:それではさっきのビルの近くまで来たところで,屋上で騒ぎが,ってなとこですね(笑)。ではそのあたりからシーンを始めましょう。2人がやってくると,屋上はなかなかヒドイことになってますな。多分大谷と黒オオカミくんは並んでへたばってるんだ(笑)。
紫音:おーお,お盛んなことで。
真:何がだよ……。
紫音:(GMに)そこの狼が楓だと言うことは,見ればわかりますかね?
GM:オオカミくんは紫音をじろっと見て,うっとおしそうに目をそらします(笑)。
紫音:なるほど,やっぱり楓ちゃんか。またなんかかわいくなったなあ。
GM:すると楓がぴくっと耳をたてて,紫音に向かって唸り声を上げます。
真:おまえはなあ,どうしてそう楓を挑発するようなことばかり……。
紫音:違うよ。後ろだよ。と言って振り向かずに肩越しに指指すんだけど……いなかったらマヌケだなあ(笑)。
GM:大丈夫だよ。いるよ。
咲耶榎:え? 誰? 誰?(笑)
真:……千葉。
GM/千葉狂介:「いやあ,面白いものを見せてもらいましたよ,大谷くん。楓くんも意外に不甲斐ないね?」
真:おまえもいっぺん死んでみるか?
GM/千葉狂介:「私としては,君も是非,手に入れたくなってきたんだが・……この際だから楓くんと一緒に私のところに来ませんか?」
紫音:……なあ楓。おまえアイツのところに行きたいわけ?
GM:オオカミくんは毛を逆立てたまま千葉を睨んでいる。
紫音:……だよなあ。大谷は?
真:俺は死者の代理だ。おまえがどんな条件を出してくるかは知らないが,未来につながらないおまえの頼みなど,絶対にきくものか。
GM/千葉狂介:「私の望み……ですか。あなたは私について,いったい何を知っているとおっしゃるので?」
真:……だいたい想像はつくがな。
GM:本当にそうですか? そんなマスターでさえ把握していないものを(笑)。
真:おい。
GM/千葉狂介:「これは笑ってしまいますな。はっはっは」
紫音:はっはっは。わかるわけないじゃないか,おまえみたいなキ○ガイの考えなんて。
GM/千葉狂介:「ほう?」
紫音:わかってほしかったら,今度からはもっとわかりやすく行動するんだな。
GM/千葉狂介:「わかりやすく……ですか。難しいな。私が……いえ,私たちが生き残るためだと言えばいいかな」
紫音:充分わかりにくいよ。
GM/千葉狂介:「おや……それは困った」
真:少なくとも,おまえの言う「私たち」は「俺たち」とは絶対に違う。俺たちは人間で,人間を守りたいと思っている。でもおまえは……。
GM/千葉狂介:「あなたがたと人間は,本当に同じものですか?」
真:……ああ。そうだ。
GM/千葉狂介:「ふふふ……さてどうしようかな。私が欲しかったのは本来松山くんなんだが……今回は楓くんをいただいて行こうかな?」
咲耶榎:はい。それを聞いて楓くんが動こうとする前に,彼の前に立ちふさがっておきます。
真:楓。おまえは動くなよ。それ以上力を使うな。
紫音:(一見のんびりと)……そういう大谷も,ヤバイんじゃないの?
真:もうこうなりゃ堕ちるのは覚悟だ。そうなった時は……頼む。
紫音:俺が堕ちてなきゃね。
GM:というわけで《ポイズンフォッグ》《抗いがたき言葉》《天性のひらめき》なのだが。
一同:そうくると思ったよ!(怒)
GM:何を組み合わせたか内緒ね。それではオープンダイスで……あ,あら?
一同:…………。あの,その10の数は,なんですか?
GM:(ころころのころころ)50……60……70……80……91,を〈意志〉で抵抗……。
一同:回しすぎじゃアンタわ!
真:それは無理! 無理だって!
咲耶榎:それは《御使いの声》《全知の欠片》使ってOK?
GM:認める。タイタスもOK。てゆーか,まあ,今回千葉は君らには手は出さないので……。
咲耶榎:でも楓ちゃんには出すんでしょ!?
真:こっちが楓連れ戻すのに,どれだけ苦労したと思ってんだ!
紫音:そっちが大人しくひいてくれればいいんじゃないのか!?

 と,怒りもあらわにサイコロを振り出した一同だったが……。

GM:お,おや?
真:あれ。
紫音:……なんか……70超えそう……あ,80いった……。
咲耶榎:こっちもいった! 94!
GM:嘘!?
紫音:あと1回回れば……10! 全部で96!
一同:(大拍手)
GM:……ま,まじか?

 マジだった。
 世の中,そういうこともある。

真:ちなみに,俺はもうボロボロなんで最初から振ってないんですけどね(笑)。
GM:大谷ひとりオトしたところでなあ(笑)。一応「千葉なら皆を助けてくれるぞ!」とか思ってみる?
真:それはあまりにも嘘くせー!
紫音:「私のつくる楽園を見てみませんか?」とか?
真:それはいいから俺を抑えてくれ(笑)。
紫音:では頚動脈締めてぽっきり。
真:締めるな!
GM:楓が後ろでガンガンと壁を叩いてますが。
紫音:ん〜? ロープぅ〜? なんのことかなぁ〜?
GM:貴様はー!……とは言えないので。吠えてる(笑)。
真:いいから,助けに入れ!
GM/千葉狂介:「あの〜,もしもし〜? 一応,私を無視しないでいただけますかな?」
一同:オマエなんか無視だ。

 しくしく(泣)。

GM:まあそれはさておき(笑)。千葉はマジで感心した表情で,「驚いたな……ずいぶん強固な意志をお持ちのようだ」
紫音:アンタも味な真似をしてくれるな。俺たち兄妹じゃなきゃ,耐えられなかったぜ。
咲耶榎:こくこく。
GM/千葉狂介:「わかりましたよ。今日はここで退きましょう。その代わりに……」と彼は1通の手紙を紫音に投げる。
紫音:では気障にぴっと指で挟んで止めてやろう。
GM/千葉狂介:「それを彼女に渡してくれませんか?」
紫音:彼女?
真:(←さっきのチョークスリーパーで正気に戻った)キルスか?
GM/千葉狂介:「そうです。……ああ,別にこの手紙自体に仕掛けはないので,ご安心を」
紫音:ふーん? これを彼女に渡す見返りとして,あんたはどうしてくれるわけ?
GM/千葉狂介:「見返り……ですか。何か欲しいものでもおありで?」
紫音:二度と俺たちに関わるな,に決まってんじゃねーか,ボケ。
GM/千葉狂介:「はは,これは一本とられましたな。あなたはなかなか面白いことを言う」
紫音:面白がってくれなくてもいいから,マジで手ひいてくれるとありがたいんだがな。
GM/千葉狂介:「……それはまた今度,ゆっくり話しあいましょう」と言って……退場!
咲耶榎:あんたはどこぞの政治家か。
GM:痛みに耐えてよくがんばった!
一同:(笑)
GM:では,エンディングに移りたいと思います。

 

SCENE 18


GM:というわけでおめでとう。GMの意に反し,泪も光も楓も全員無事でした!
一同:というか,とられてたまるか!
GM:はいはい(笑)。ではまず……咲耶榎はどうする? 紫音と一緒にやっちゃう?
咲耶榎:むー……歩ちゃんとはサシで話したいですんですがねえ。
GM:紫音は最後ギャグでおとしていいの?
紫音:本来そういうキャラのはずなんだよなあ(笑)。OKです。
GM:えーと,あとで大谷のエンディングに登場願うかもしれませんので,よろしく。では紫音のエンディングですが,霧谷さんから電話です。
紫音:あ,局長? まあ,聞いてくださいよ。
GM/霧谷:「なんかいいことあったか?」
紫音:えー,それでは今回の働きについて誇らしげーに語ってですね。……ボーナスはずんでくれますよね,局長?
GM/霧谷:「そうだな。大谷のぶんまわすか」
紫音:よっしゃー!
真:おまえらー!
GM/霧谷:「問題ない,問題ない。大谷にはそのかわり『楓くんを治してやるから』って言えばいいんだ」
紫音:では現ナマは俺の方に!
真:(ひとり壁際で歌っている)騙されーてつかまされーて苦労だけー♪ 悲しくーてせつなくてさみーしくてー♪
一同:(爆笑)
紫音:(朗らかに)大谷ならお金より友情を選びますよ!
咲耶榎:お兄様は?
紫音:俺は金額だ。
GM/霧谷:「そうか。それじゃ大谷のぶんのボーナス,5000円をそのまままわしてやろう。よかったな」(笑)
一同:安っ!
真:(何やらまた壁際で歌っている……)
紫音:局長っ。ちょっと局長。栄吉くんのドライバー代よか安いってどういうことよ。俺,命かけてんだけど!?
GM/霧谷:「んー? いや,病院の修繕費がね……」
紫音:それ俺のせいじゃないし!
GM/霧谷:「あ,相模原くんにまわせばいいのか?」
紫音:そうしてよ。あの人たちのせいなんだから!(←もちろん泪のせいでもない)
GM/霧谷:「そうだな。じゃ,修繕費を相模原くんにまわして,ボーナスは1万円だな」
紫音:嘘をつけー! 修繕費はたったの5000円かよ!
咲耶榎:ベニヤ板1枚(笑)。
GM/霧谷:「あ,そうだ。頼まれてた例の顔面神経痛なんだがね」
紫音:話そらすな。
GM/霧谷:「まあ聞きたまえよ。桂子さんの診断だと,確かに“フィーヴァー・ドリーム”に感染はしているが,発症はしないようだ。それで,桂子さんが言うには,『もういいかげん私をひっぱりだすのはよしてくれ』とのことでね」
紫音:……それで?
GM/霧谷:「彼女を説得してくれないか? 楓くんのこともあるし」
紫音:勘弁してよ。俺,あの人苦手なんだから。
GM/霧谷:「ああ,じゃあこうしよう。ボーナスだす条件はそれな」
紫音:……しょうがねえなー。
一同:(笑)
GM/霧谷:「じゃ,そういうことで」ぷつっ。
咲耶榎:でも,それ,説得終わったら1万円とかそこらなんでしょ?(笑)
真:(←帰ってきた)……あのぉ,俺,今深刻に疑問に思ったんですが。
GM:はい?
真:そのボーナスだと,大谷っていっつも5000円とか1万円で動いてるんですか?
GM:まさか。今のは霧谷さんの冗談でしょ。
真:……ホントに?
GM:…………。ホントに。
真:何だ!? 今の間は何だ!?
GM:はい,ではそんなとこで紫音のエンディングは終わりでーす(笑)。
紫音:マジにギャグでおとされたなあ……。

 

SCENE 19


GM:では咲耶榎のエンディング。まず,一杉さんから電話がかかってきます。
紫音:そう言えばそんな人もいたねえ(笑)。
咲耶榎:私はお見舞いに行くつもりでしたよ。ところで,一杉さんはなんて?
GM/一杉:「おう,咲耶榎か……なんか,気付いたら病院にいたんだけど……写真,どうなった? 撮れたか?」
咲耶榎:はいっ,撮れました! 白も灰色も。
GM:えっ? 光も撮ったの?
咲耶榎:撮ったけど,そのへんはそれはまあ(笑)。ちゃんと編集しますよ。
黒を撮り損ねたのが残念です。
真:やめんかい。
咲耶榎:それで,一杉さん,具合はどうですか?
GM/一杉:「具合は悪かないけど,どうも記憶が曖昧で……あの獣って,どんなカカチしてたっけ,とか……」ちなみにUGNの記憶操作があったらしいな。
紫音:おまえ,ちゃんとボヤけた写真だせよ。
咲耶榎:ボヤけてるかな? ボヤけてないかな?くらいに。いかにも合成しましたってカンジで。ところで話の流れ的に金星会とかブリッツクリークのこととか全然調べなかったけど……。
GM:あれは早馬ですね。
咲耶榎:うーん,そうだよねえ。
GM:で,歩ちゃんのとこに行くんだよね。
咲耶榎:……そうですねえ。彼女,何か変わった様子は?
GM:うーん。一見,ないようには見える。ただその前に,千葉がいるんだよねえ。
一同:…………。
GM:ああ,もう攻撃とかはしないから。
紫音:つまり事情は全て千葉から聞いた後,と。
真:「じゃあ私は席を外そうか」とか言って去っていくんだろうな。
咲耶榎:ではハイヒールを履いているので,すれ違いざまに足を踏んづけてやろう。
紫音:いやそれマジで痛いんだけど。
咲耶榎:だって皆さん,そうして欲しいでしょ?
真&紫音:それは確かに。
GM:では千葉は苦笑だけして去っていく。で,歩ちゃんは無表情のままじっと座っているわけだけど。
咲耶榎:そっと焦げたロボットを差し出します。
GM/歩:「……ありがとう」
咲耶榎:ゆっくりと彼女を抱きしめて,頭を撫でます。
GM:彼女は無表情のまま,黙って涙を流します。
咲耶榎:ごめんね……。
GM/歩:「咲耶榎ちゃんのせいじゃ……ないから。それは本当にそう思ってるから」
咲耶榎:うん……。
GM/歩:「というか……謝らなきゃならないの,本当は私の方なんですけど……」
咲耶榎:それももういいよ。だって……もう,やめるんでしょう。
GM/歩:「うん……そうします」
咲耶榎:あの……言いにくいんだけど……。
GM/歩:「生活費のことだったら,気にしないで。千葉さん,このまま面倒みてくれるっていうから……」
咲耶榎:…………。
GM/歩:「……心配?」
咲耶榎:そりゃ……。
GM/歩:「あの人,約束は守る人だから……心配,ないと思います。……あのね」
咲耶榎:うん?
GM/歩:「そう言えば,千葉さんがこんなこと言ってました」
咲耶榎:え?
GM/歩:「これ……ヨーグルトなんですけど。中にビフィズス菌って入ってますよね」
咲耶榎:入ってるねぇ。
GM/歩:「それって,善玉菌って呼ばれてますよね」
咲耶榎:呼ばれてるねぇ。
GM/歩:「でもビフィズス菌自体は別に善でも悪でもなくて,自分のやりたいようにしてるだけ。それが結果的に人間の役にたってるから,人間が『善』って呼んでるだけだって」
咲耶榎:…………。
GM/歩:「ん。それだけです」
咲耶榎:それ……どういう意味なんだろう。
GM/歩:「私にもよくわかりません……でも,何となくわかる気もするかも,とかね……ねえ咲耶榎ちゃん」
咲耶榎:はい?
GM/歩:「私を助けてくれたように……千葉さんも……助けてあげてね……」
咲耶榎:…………。
GM:まあ,そういうわけで。そこは次回。
咲耶榎:あのー。私にいったいどうしろと。
GM:だから,次回。
咲耶榎:GM,そこはかとなく逃げてません?
GM:さーて次は大谷のシーンだ〜♪
咲耶榎:それはともかく,千葉にロイスとっていい?
紫音:あ,俺もとっておこ。

 

SCENE 20


GM:ラスト。大谷ですね。しかし……UGNに向かって歩いていくんだろうか。でかくて黒い,まあものすごく無理をすれば犬に見えなくもない狼を連れて,てくてくと。
真:…………。
GM:しかも会話がないし! やったぞ大谷,好きなだけ恥ずかしいことを言うんだ! 楓は答えなくて済むし!
真:……アンタねえ。
GM:冗談はさておき,楓は前科があるので,光よりは治療が簡単なんですよ。では楓の治療が済んだところから始めますか。あの母と子がむっつりと向かい合ってるあたりで(笑)。
真:(ため息)……先生?
GM/桂子:「何よ?」
真:アンタ……こういう時ぐらい優しくしてやろうとか,思いませんか?
GM/桂子:「ガラじゃないわよ」
真:あのね……お母さん。
GM:桂子さんはじろっとあなたを見た後,「……この年になったらね。そういうのはもう他にやってくれる人がいるのよ」と言って,あなたの手にアンプルとカルテを押しつけます。それでいきなりがらっと扉を開けると,ばたばたと逃げていく足音がするわけだ(笑)。
真:……転ばんといいんだけどなー……あの人。
GM:で,桂子さんは退場。楓は診察着とか着て,またそっぽ向いてんだろうな。
真:それはいいんだけど,《がらんどうの肉体》って皮膚や筋肉は傷つくんですよね。俺の方が痛々しいような……。
紫音:包帯だらけだぞ。たぶん楓は獣化が解けた後で,傷ひとつないはずだ(笑)。
GM/楓:「(ぼそっと)……悪かった」
真:……それはいいって。俺も了解の上でやったことなんだから。
GM/楓:「…………」
真:……今回は,しんどかったな。
GM/楓:「だから,悪かったと……」
真:俺じゃなくて,おまえがな。
GM/楓:「……俺は……今回のことは,本当にすまなかった。ただ……」
真:ただ?
GM/楓:「このままだと,また同じことが……」
真:頭ひっぱたきます。
GM/楓:「…………。痛い」
真:おまえな。同じことを何度も何度も言わすなよ。同じ苦労を,また俺にしろってのか?
GM:……すると楓はこてんとベッドに横になって,毛布を頭からかぶってしまいます。で,「今度は,もう逃げない。約束する。だから,少しひとりにしてくれないか……」
キルスティン:(隣の卓から)おまえは今泣いていい! 泣いていいんだ〜!
GM:うるさい! それがやりたきゃ次回やれ!
真:はいはいはい! それはともかく,俺は黙って部屋をでます。
GM:そこで大谷のシーンは終わりです。終わりなんだが,最後に紫音。
紫音:はい?
GM:キルス宛ての手紙,読む?
紫音:……人様の手紙なんだが。でもこれは……。
真:読んでおかないとなあ……。
GM:では遊園地のチケットが1枚入っています。
一同:はあ?
GM:文面。「もし決心がついたら,1週間後の夜8時にここで会いましょう。K.C」以上。
紫音:……なんか最後に見たくないもんをみてしまったような……。
キルスティン:(隣の卓から)え? 何?
GM:それもまた次回,ということで(笑)。



「あなただけは連れていかない。……そう決めたんです」

 千葉狂介――彼の気まぐれなメッセージ。
 それが伝えるいくつもの秘密。
 いくつもの謎。
 そして警告。
 今まで水面下にあった,もうひとつの脅威が動き出す。
 そして,『彼』の望むものは……。

Last Episode, “Half Past Dead,” see you later.