SCENE 10


紫音:そぉいや,何号室かを訊いてこなかったなあ。
真:表の郵便受けとか見ればわかるだろ。
紫音:どうすんだよ,「大谷」で借りてたら。
一同:(爆笑)
咲耶榎:偽名で借りてるとは思いますけどねえ。
真:…………。なんで俺だけ千葉におちょくられなならんわけですか。
GM:いや,案外今度は「松山」かも(笑)。
紫音:「相模原」かもしれんし。
真:「新条」で借りてたらヤなカンジだなあ。
咲耶榎:ちなみに「姫宮」がないんですけど……。
真:探すな!
GM:いや,ちなみにここってセキュリティシステムがあって,番号入力しないとエントランスが開かないって奴だけどな。
紫音:しまった,いきなり壁ができちゃったなー(笑)。
咲耶榎:え,マンションってみんなそうでしょ?(笑)
真:黙れこの放蕩娘。
GM:で,どうする?
真:どうするって,今から俺に《鍵いらずの歩み》を習得しろとでも?
紫音:《天性のひらめき》を使って番号当てろとか?
GM:ちょっと待てや。何故いきなり非合法活動に走るか。
咲耶榎:え? 《光の衣》は?
GM:管理人さんに訊けばええやろ!(笑)
咲耶榎:冗談はさておき,誰かが来るのを待って後からついて入ればいいんですよ。それが一番手っ取り早いです。
GM:(ちょっと遠い目)わかったよ。それでは住人らしき人がてってってと走ってくる。ランドセル背負った男の子だ。
咲耶榎:あれ? 私,見覚えあります?
GM:ありますね。早馬くんですね。
咲耶榎:えーと,早馬くん?
GM/早馬:「あれ? あ,姉ちゃんの友達ですよね。えーと……」
咲耶榎:咲耶榎です。
GM/早馬:「あ,そうそう,さやかさん。姉ちゃんに何か用?」
咲耶榎:(頷く)
GM/早馬:「ん,いいよ。入って」
紫音:……帰ってきてるのか?
GM/早馬:「うん。どうして? てゆーか,後ろのアンタたちって何?」
咲耶榎:これは兄です。
紫音:「お兄様」です。
GM/早馬:「…………?」
咲耶榎:あ,このバカ兄のことは放っておいていいので。
GM/早馬:「? で,その陰気そうな兄ちゃんは,何?」
真:陰気……。
GM/早馬:「だってココ(眉間)にシワ入ってんじゃん」
真:…………。いや,人間な,ツッコミばっかやらされてると,こうなってくるもんだなんだよ。
GM/早馬:「ツッコミって,アレ? ハリセンで人ひっぱたく人?」
真:そうだな。俺もハリセンを常備したいとつくづく思うよ(遠い目)。
GM/早馬:「よくわかんないなあ。結局なんなの?」
咲耶榎:あー。歩ちゃん,元気? 最近会ってないから,どうしてるのかな,と思って。
GM/早馬:「姉ちゃん? 元気なんじゃないかなあ。彼氏できたみたいだし」
一同:彼氏……。
GM/早馬:「どーかしたの?」
咲耶榎:その彼氏ってどんな人,と訊きたいような訊きたくないような。
真:俺は聞きたくない。
紫音:背が高くて,美形で,黒いコートを着た……(笑)。
真:聞きたくないっつーに。
GM/早馬:「俺はちょっと年上過ぎると思うけどさー。でも姉ちゃんに優しいし。姉ちゃん,男運なかったから,俺としては心配でさ」
紫音:妙にデキたお子様だ(笑)。
咲耶榎:……ところで,弟くんはやっぱり何も知らないんでしょうねえ。
紫音:そりゃそうでしょ。
真:というか,彼にマトモな生活をさせるために千葉と手組んでんじゃないかという気がする。経済的援助のために。
咲耶榎:それくらいのことはわかりますよ。そうじゃなくて,これから私ら,歩ちゃんとそーゆー話をしに行くのに,いいんですかってことです。
GM/早馬:「ねえ,どしたの? 入らないの?」
一同:…………。
咲耶榎:いえ,入ります。
GM:ちなみに表札は「皆藤」になってるよ。
紫音:あら。
咲耶榎:(真を見て)残念ですねえ。
真:何が残念なんだ何が。
咲耶榎:いえ,「姫宮」ではなかったのが(笑)。
GM:はいはい。それはいいけど。早馬くんがインタフォンに「ただいまー」と言うと,「あ,おかえりなさい」とドアが開いて,歩ちゃんが顔だすわけだけど。
紫音:やあ。
GM/歩:「あ,先輩。ちょうどよかったです。上着返そうと思ってました」
紫音:やあ,それは助かるな。寒くて(笑)。
GM/歩:「ところで,これから夕食なんですが,ちょっと皆さんのぶんまでは用意してなくて……」
紫音:いや,それはいいから(笑)。
咲耶榎:歩ちゃん,こんばんは。
GM/歩:「あれ? 咲耶榎ちゃん? どうしたのこんな時間に」
咲耶榎:ん,特に用事があるってわけじゃないんだけど。どうしてるかな,と思って。
GM/歩:「ありがと,普通よ」
真:……あの,フツーに話してるんですか?
咲耶榎:さっき,私と目あってるんですよね。
GM:んー,表面上フツーに見えるけど……〈知覚〉で判定してみて。
紫音:《天性のひらめき》使います……17。
GM:もともと表情の乏しい人なんだけど,それにしても口調が浮ついてるというか,演技をしているという感じがする。
咲耶榎:間が悪いんですよね。お食事時だし,早馬くんがいるし。
真:弟の前では話せないわな。
紫音:ま,ちゃんと自分のやってることを把握した上で演技してるんだろ? それがわかればとりあえず充分。記憶が無いとか多重人格だとかいう可能性もあるからな。
真:じゃあいっぺん出ますか。夕食時だって言うし。
GM:え?
紫音:(小声で)そうなの?
真:(同じく小声で)だって早馬くんがいると,結局何も訊き出せないだろ?
紫音:俺は単に,「保護者ってどんな人?」って訊いてカマかけてみるつもりだったんだけど。
真:保護者って,どうせ千葉狂介だろ?
紫音:それをこの目で見たわけじゃないからなあ。確認はしておくべきかと。
真:2人が一緒に写った写真,見てるだろ。それに下手なことを訊いて彼女がこちらを敵と認識するのはまずい。
紫音:彼女を味方につけようっての? あんまり意味ないと思うなあ。
真:敵にまわすよりいいだろ。
咲耶榎:(ぼそっと)……やだねえ,男どうしでぼそぼそと。
GM/早馬:「てか,あの2人デキてんの? Hな雰囲気?」
一同:(爆笑)
真:……もぉいいっ!
GM:おーい,大谷ー。帰っておいでー(笑)。
咲耶榎:だって歩ちゃん前にして,ずっと2人でぼそぼそやってるんだもん(笑)。
紫音:俺にだって選ぶ権利ぐらいはあるぞぉ(笑)。
真:ツッコミどころが違うわ,そこっ!
GM:まあまあ。それはそうと,早馬くんが「深刻な話なら,俺席外そうか?」と言ってくるんだが。
真:え?
紫音:いや,深刻な話ってほどじゃ……それにこれから夕食なんだろ?
GM/早馬:「んと,その前に届け物しなきゃならないんだ」彼は玄関においてあったでっかい紙袋を手にとる。
紫音:何,それ?
GM/早馬:「(にやりと笑って人差し指を振る)それは,ナ・イ・ショ♪」
紫音:……坊主,男がやっても気持ち悪いだけだぞそれは。
GM/早馬:「いーんだよ,俺まだ子供だから。おっちゃんたちがやったら気持ち悪いかもしんないけどさ」
紫音:お,おっちゃん?
GM/早馬:「なんなら試しにやってみるかおっちゃん? オラ,やってみろよ」
紫音:…………。ゴメンナサイ。
一同:(笑)
GM/早馬:「へッ,わかりゃいいんだよ」
紫音:ちくしょーこのクソガキ。
GM:早馬くんは鼻で笑うとよたよたと去っていく。
紫音:(歩に)……ずいぶんふらついてるみたいだけど,あれ,何?
GM/歩:「大丈夫です。あの子慣れてますから」
紫音:いや,俺が訊きたかったのはそういうことじゃなくて。
真:ごはん。
紫音:は?
真:誰かの夕食なんじゃないか,あれ?
紫音:でも匂いしなかったよな?
GM:いやすまん,私が言い忘れただけ。いい匂いがしてる。
紫音:あ,あれ?(笑)
GM/歩:「とりあえずお茶でもどうぞ。夕食はおだしできませんが。で,お話ってなんです?」
紫音:え? ああ,新しい保護者の人って,よくしてくれてんの?
GM/歩:「してくれてますよ」
紫音:その保護者って,どんな人?
GM/歩:「いい人ですよ。てゆーか,先輩なんでそんなこと訊くんですか?」
紫音:(フッと笑って)そりゃキミに興味があるからさ。
一同:…………。
咲耶榎:はい。メジャーを取り出して,半径3メートル外にこのボケ兄をひきずりだしておきます。
真:皆藤さん,この円の中には入らないように。
紫音:おい。
咲耶榎:ふー。これで一安心。
紫音:何が安心なんだ妹よ。まさかおまえまで俺の悪い噂を信じているわけじゃないだろうな。
咲耶榎:噂なんか信じていません。ただ真実を知っているだけです。
紫音:おいっ。
GM/歩:「(ひとり平然)で? 興味があるって,どのように興味があるんですか?」
紫音:……えっ?
GM/歩:「もしそーゆーイミで興味があるとおっしゃるなら,相談にのりますが」と奥の部屋を指差したりして。
紫音:…………。俺が悪かったデスゴメンナサイ。
真:う,うーむ。手ごわい。
GM/歩:「で,御用はそれだけですか」
一同:…………。

 一同,考え込む。

紫音:ま,まいったなぁ。
咲耶榎:(紫音に)……私はもっとチョクにつっこんでみるつもりですけど。
真:てゆーか今思ったんだが。
一同:はい?
真:俺と紫音が警戒されてんじゃないのか? 咲耶榎ひとりに訊かせてみれば?

 実は,その通りだ(笑)。
 ここで一同,遅れ馳せながら作戦タイム。
 「早馬が夕飯を届けに行った先」に何かがあるとふんだ大谷は,ひとり別行動をとり,彼の後を追うことにする。
 紫音はそれについて皆藤家を辞した,と見せかけてトイレ(笑)に隠れる。「不測の事態に備えます」とは本人談。どうも千葉を意識しての行動のようだ。
 さて,残った咲耶榎が歩とタイマンをはることになったが……。

GM:じゃあその前にいっぺんシーン変えるね。

 

SCENE 11


GM:では咲耶榎のシーンから。で,どうする。
咲耶榎:…………。
GM/歩:「…………」
咲耶榎:…………。
GM/歩:「…………。ところで,美味しい羊羹いただいたんだけど,食べる?」
咲耶榎:あ,いただきます。
GM/歩:「…………」
咲耶榎:…………。
真:……何かしゃべれ。てゆーか,俺のツッコミを待つな!
咲耶榎:いや,そーゆーわけじゃないんですけど(笑)。
GM:ちなみに歩ちゃんは話しかけられない限りひたすら黙るぞ。
咲耶榎:うーん……ねえ歩ちゃん。
GM/歩:「はい?」
咲耶榎:さっき,なんであんなことしたの?
GM/歩:「あんなことって?」
咲耶榎:単刀直入に,さっきの写真を見せます。
GM:写真って,キスシーンの方?
咲耶榎:(頷く)
GM/歩:「これ……」
咲耶榎:ん?
GM/歩:「さっき撮ったんですか?」
咲耶榎:(こくこく)
GM/歩:「……そうですか。で,『こんなこと』っていうのは?」
咲耶榎:怪我した人に,することじゃないなって。
GM/歩:「怪我した人じゃなくてもいいんですけど。別に」
咲耶榎:……例の「保護者」さんに言われてやってるの?
GM/歩:「保護者というか,正確には取引き相手ですね」
咲耶榎:取引きって?
GM/歩:「このマンションとか,生活費用全てその人に出してもらってるんです。その代わりに,彼の手伝いを」
咲耶榎:その「手伝い」が何かって,具体的に訊いてもいいの? ……それとも,あんまり話したくない?
GM/歩:「たいしたことじゃないですよ。声かけてきた人とか,彼の選んだ人とかとセックスするだけです」
咲耶榎:…………。
真:……せめて「寝る」とか言えないですかアンタわ。
GM:(←多少困っている)……いや……これはマジでこういう性格なんだもん。直截すぎるというか……他に何て言えばいいんだ。
咲耶榎:寝る。抱かれる。枕を並べる。
GM:床を共にする。同衾する。契りを交わす。
咲耶榎:契りを交わすは違うと思う。
GM:そうかも。
真:だからそういう話でもなくてッ!
GM:はい,話を先に進めます。「意識のない相手だと,キスだけで済むこともあるんですけど」
咲耶榎:さっきの人とか?
GM/歩:「ですね。……軽蔑します?」
咲耶榎:いや,それ自体は,別に。
GM/歩:「じゃあ他に何か?」
咲耶榎:いや,その「保護者」さん? 何で歩ちゃんにそんなことさせるの?
GM/歩:「それが一番確実だとか言ってましたけど」
咲耶榎:何に対して「確実」なの?
GM/歩:「さあ……」
咲耶榎:知ろうとは思わないの?
GM/歩:「……あまり詳しく知らない方がいいですから。こういうことは」
咲耶榎:処世術だね。
GM/歩:「ですね」
咲耶榎:ちょっと話を変えましょう。さっきの人はなんで怪我してたの?
GM/歩:「それも知りません。千葉さんに連れてこられたらすでにああだったんです」
咲耶榎:それってよくあることなの?
GM/歩:「はい。その方が私も体力使わなくて済みますし。……意識のない場合は注射でもいいそうなんですが,千葉さんはその方が手っ取り早いし面白いからとか言って」
真:あのヤロウ……。
紫音:陰で何考えてんだよぉ,と頭抱えます。
咲耶榎:……歩ちゃんはそれでいいの?
GM/歩:「とりあえず生活に支障なくなりましたし。私も……弟も」
咲耶榎:…………。
GM/歩:「ところで,そろそろ弟が帰ってくるんですけど。まだ何か訊きたいことが?」
咲耶榎:その保護者さんって連絡とれる?
GM/歩:「無理です。いつも向こうから連絡が来るので」
咲耶榎:えー,目をじーっと見て,嘘ついてるっぽいところ,あります?
GM:〈知覚〉じゃないか。
咲耶榎:わーお,知覚かぁ。3D6平目かぁ。
GM:(ころころ)うーん,こっちは8。
咲耶榎:8……いや〈知覚〉1レベルあるじゃん。9。
GM:するとねえ……こちらから千葉に連絡がとれないというのは本当。さっきのヤンキーくんがなんで怪我してたか知らないというあたりでは嘘ついてるような気が。他にもついてるかもしれませんけど。
真:やっぱ,すげえ嘘つきじゃありませんか?
GM:嘘つきだよぉ。しかも桂子さんより強情だ。
紫音:あ,俺も聞いてるんだから判定できるじゃないか。《天性のひらめき》使って……17。
GM:では追加情報。ヤンキーくんが重傷を負った理由について,彼女は確かに何か隠している。
紫音:自分がやったか,あるいは下手人を知っていてかばっているか。
GM:恐らく後者ではないかと思われる。それと,彼女が千葉に協力するのは,単純にお金の問題だけでもないような気も。
紫音:まさか……。
咲耶榎:好意じゃないでしょうね。
GM:男女の恋……ではないような……共犯意識というか,同情というか。そういった感情面はさておき,千葉の彼女に対する取引き材料は,金銭援助だけではないだろうと。
一同:…………?
GM:あかん,かえって混乱したな(笑)。
紫音:混乱した,というより……。
真:かばってるのが,灰色くん(←灰色の獣)だったらどうしよう。
GM:さぁねぇ。で,咲耶榎ちゃん他に何か訊くことは?
咲耶榎:……歩ちゃん,幸せ?
GM/歩:「前よりは」
咲耶榎:その,保護者さんのことだけどね……。
GM/歩:「私,あの人があんまり『いい人』じゃないって,ちゃんと知ってますよ」
咲耶榎:…………。
GM/歩:「でも取引き相手としてはいいんです。約束は守ってくれるし」
咲耶榎:約束?
GM/歩:「それは,内緒です」
咲耶榎:…………。
GM:さて,他になければそろそろ次のシーンに移らせていただいてよろしいでしょうか?

 

SCENE 12


GM:さて,大谷のシーンなんだけど……「早馬くんを追う」と宣言したのが遅すぎたよな。当然あたりに姿は見えない。
真:それはわかってます。だから,玄関とこで早馬くんを待ちます。
GM:玄関って,どっちの? 歩ちゃんの部屋の? それともエントランス?
真:エントランス,の外。マンションの前。
GM:了解。それでは少し時間は遡ります。だから咲耶榎と紫音はまだ登場不可ね。大谷,〈知覚〉判定。
真:俺〈知覚〉は苦手なんスよ……ああ,ダメ。3。
GM:ああ,そうか。それでは不意打ち。
真:ええ!? いきなりそうくるか楓のヤツ!?
GM:だからその先読みはやめろってのよ。ちなみに灰色の獣だが。
真:楓でしょ?
紫音:(ぼそっと)いや……そうかなあ……。
GM:とにかく背後から爪でズビシと攻撃だ。(ざらざら)あ,あれ? これだけ振って何故1個も回らないの?
真:友情ですよ。
GM:はいぃ?
真:暴走していても,心のどこかで俺を覚えているのですよ。
GM:そ,そうなの?
紫音:(またもぼそっと)楓なら覚えていてもやりそうだけどなぁ……。
GM:前回「遠慮は無用だな」とか言ってたしねえ……うーん……12。
真:それって下限値以下じゃないの?
GM:いや,下限値よりは上。
真:(ころころ)うぁ,それでも防御できん。
GM:大谷の場合,問題はダメージなんだよな……11点とか言ってみるけど(笑)。
真:それは後でいつでも治せるので,とりあえず平然と見返します。
GM:向こうはさらに襲いかかかろうとしているけど。
真:……楓。
GM:向こうはまったく聞いていない様子である。何もしないなら襲ってくるので,ここから戦闘に入ろう。先手は,またこっちだよな? (ころころ)今度は47。
真:うーん……いっぺん死んでリザレクト。
GM:そっか。戦闘シーンなので即座に復活か。ダメージは37点。
真:死ぬ前にHP18点使用して《赫き鎧》を作ります。それで死ぬのでリザレクトして9回復。さらに37点ダメージが19点通るのでまた死亡。これで侵蝕値が70いきました。
GM:割りこみでマイナー使うのはアリかなあ(笑)。てゆーかあまりイミがないような気もするが。
真:俺もバカをやったような気がする(笑)。
GM:まあいいや。そっちの行動は?
真:殴る。
紫音:殴るの?(笑)
真:《赫き剣》使ったら殺しちゃいますよね?
GM:さぁ,どうだろう。
紫音:とゆーか,さっきマイナーアクション消費したから《赫き剣》は不可。
真:あ,そうか。では《血族》《ブラッドバーン》《伸縮腕》で。いかん,結構本気な気がする(笑)。
紫音:ホントに友情ドラマやる気あんの?(笑)
真:えーと……(ごろごろ)ご,57?
一同:おいおい(笑)。
咲耶榎:友情もへったくれもありゃしない(笑)。
GM:(考えて)避けない。そのままダメージください。
真:33点。
GM:(ころころ)防ぎきった。
真:げ。またはね返し?
GM:いや? 攻撃したのが治っていく感じ。
紫音:再生?
GM:そんな感じ。さて,どうしよう。こうやって戦っていてもキリがないような気がするなあ。
真:マスター,話しかけるにも1アクション必要ですか?
GM:長さによります。とりあえず話してみ?
真:(静かに,低く)止めてやるのは俺の役目だったか?
GM:……は?
真:……え?
一同:…………(気まずい沈黙)。
紫音:(横から)だからさぁ。こいつ,楓じゃないんじゃないかと思うわけ俺は(笑)。
真:え,えーと,何かこう,〈知覚〉とかでわかりませんか? 一度拳を交えたもの同士,共感のようなものが。
GM:(何を言い出すんだ何を……)それはまぁ,わかると思うけど。楓なら,ダメージは再生するよりはね返そうとするだろうね。
真:今,暴走してるっぽい?
GM:いや,正気だよ?
咲耶榎:殺意バリバリ?
GM:うーん,殺意はあると思う。さて,話を先に進めよう。大谷,もっかい〈知覚〉を。
真:だから〈知覚〉は……お? 回った。25。
GM:(ころころ)でもこっちの〈隠密〉が高いな。
真:まさかまた不意打ちですか!?
GM:キミがいつもやってることだろ。影化して完全奇襲してまた影化とか(笑)。
真:ゲームが違うわっ。
GM:(構わずころころ)えーとね,またものかげから黒い影がすっと飛びかかってくるわけだけど。
真:はいはいはい,達成値ください。
GM:ただし,灰色くんにね。
一同:はい?
GM:黒い……形態的になんだろ。狼にしとくか。そいつが体当たりして灰色くんを大谷の前から弾き飛ばし,自らは飛び退る。と,いうわけで灰色,黒ともにエンゲージから外れたとして扱うね。
真:もしかして……。
咲耶榎:こっちが楓?(笑)
紫音:そのような気がする。
真:ミスディレクション多くないか!?
GM:全然多くない。灰色くんがペンダント持ってたくらいや。
紫音:てゆーか,先入観があっただけと思う。俺は楓ではないと思ったよ。でもそうすると白い獣が誰だかわかんなくなるんだが……。
GM:(……この人もこの人でどう考えてるんだ?)それはともかく,灰色くんはじろりと黒い獣を睨んだ後,身を翻して逃げようと……。
真:逃がしませんって。
GM:ほぉ? また〈運動〉で勝負するか?
真:だああああ……あ,いや,待て。単に遠距離攻撃すればいいだけじゃないか。《伸縮腕》でつかまえます。
GM:どっちを?
真:え?
GM:だから,黒と灰色とどっちを? 両方いっぺんは無理よ。
真:(考えて)……えーと,じゃあ灰色。(ころころ)よっしゃ,回りまくってます。63。
GM:掴まれてしまいましたねえ。……あれ? こういう場合,力比べはどう判定すればいいの? 振りほどくには?
紫音:振りほどくには〈運動〉で対決。
GM:おや? また〈運動〉? それはこっちが勝つのではないか?
真:違いますよ。正確には1行動を費やして〈運動〉で判定なんです。
GM:うん。だから?
真:え? だから,その隙に楓が捕まえてくれるのではないか,と……。
GM:誰がそんなことを言った?
真:……違うの?
GM:黒い獣は大谷の背後を顎でしゃくると,そのまま身を翻して逃げようとします(笑)。
一同:(爆笑)
真:こ,こんボケがあッ!! どこまで世話やかすんじゃ!!(怒)
咲耶榎:まぁねえ。
紫音:楓だからねえ(笑)。
真:こらァ楓! 逃げるなあ!
GM:逃げるって(笑)。
真:力を貸して欲しいなあ,と痛切に目で訴えてるんですが!?
GM:じゃあ少し逡巡するそぶりを見せて……やっぱり大谷の背後を指して,自分は逃げる(笑)。
真:…………。
GM:で,どうする? 楓が指した方を見るか,そのまま灰色くんと戦闘続行するか……ちなみに灰色くんの次の行動は,振りほどいて逃げる,だと宣言しておくからね。
真:……楓を説得するという選択肢はないんですか?
GM:難しいなあ。ヤツにはヤツなりに身を隠していたいという理由があるからねえ。
真:その姿を相模原さんに見られたくないだけでしょ?
GM:いや,それ以前に暴走が深刻。で,大谷どうする? 黒か,灰色か?(笑)
真:(頭を抱えている)黒。黒だよなあ,悪いけど。灰色を離す。
GM:(にやり)では灰色は逃げた,と。あ,それでもうひとつ選択肢を増やしてあげるね。後ろから獣の吠え声が。
真:え?
GM:振りかえると,街灯の下に白い獣が立っている。とりあえず襲いかかってくる気配はないようだが……いや,というかやたらお行儀良く立ってるぞ(笑)。
真:……もしかして,松山か?
GM:こくこく。
紫音:あ,あれ? そうなの?
GM:だから,紫音はどうだと思ってたの?
紫音:俺ねえ,光が灰色だと思ってたんだよ。
GM:なして?
紫音:だって白い獣が泪を攫っていったのを,灰色が追いかけてたわけで……。
咲耶榎:それねえ,多分灰色が襲ってきたから,とりあえず泪さん連れて逃げたんだと思いますよ。
紫音:……そう言えば,磨亜矢もそんなようなこと言ってたな(笑)。

 付け加えておくと,霧谷氏が「脱走」か「誘拐」かで迷っていたのも,「どっちが」光だかはっきりしなかったせいである。

GM:(意地悪く)で,どうする? 黒はその隙に逃げようとするが(笑)。
真:……マスター,そんなに俺をいぢめて楽しいですか?
GM:えー? いぢめてないよぉ(笑)。
紫音:ここは光についていった方がいいような気がすんだわ。楓の場合,抵抗されたらまたややこしいことになる(笑)。
真:わかった,わかりましたよ。
GM:では黒も逃げた,と。白は大人しく待ってます。
真:えーと,松山?
GM:こくこく。
真:相模原さんは一緒か? 案内できるか?
GM:白くんは頷く。ちょっと焦ってる様子だ。
紫音:そろそろこっちも合流できない?
GM:ちなみにこの時間帯がちょうど咲耶榎の話が終わったあたりやね。じゃあ一度ここでシーンをきります。

 

SCENE 13


GM:では咲耶榎・紫音組で。ぴんぽーんとベルが鳴って,早馬くんが帰ってきました。
真:あ,あれ? 俺ずっとマンションの前にいたんですけど,姿見ませんでしたよね?
GM:ちなみに,ここわりと大きいマンションなんで,裏に非常階段とかあるのね。
真:が,がびーん。そりゃそうだ。
GM:訊かなかったから言わなかった(笑)。んで,歩ちゃんが「おかえりー。どうだった?」と言うと,「んー,熱もだいぶ下がったみたい」と答えている。
咲耶榎:誰の?
紫音:たぶん相模原嬢のでしょうな。ちなみに早馬に不自然なところはありませんか?
GM:え? 例えば?
真:俺の返り血がついてる,とか(笑)。
GM:いや……特には。それでどうする? まだ話したいことはある?
紫音&咲耶榎:いえ。合流したいです。
GM:では話をさっさと進めまして……真と白くんなんだけど,(ころころ)白くんが振りかえって「誰か来たぞ」というゼスチャーを。
真:ん? あ,いい。あれは味方だ。ちょっと待っててくれ。
GM:では紫音と咲耶榎だが,闇夜に目立ちますねー白い獣。
咲耶榎:おお! アレこそが!
GM:いやホッキョクグマじゃないから。
咲耶榎:ちっ。
真:はいはいはい! そんなことはどーだっていいから,走るぞ!
紫音:何でー?
真:人が来たらマズイだろ! って,そうだよな,松山。
GM:こくこく(笑)。
紫音:でもこれじゃ意志疎通が大変だからさぁ。《ドクター・ドリトル》を使おうと。
GM:あ,そんな便利なモンがあったの?
紫音:あったんですよ。(ころころ)抵抗はしないよね? で,何が言いたいのかな?
GM/光:「だからあ! このカッコじゃ目立つから,急いでくれって言ってんの!」
一同:(笑)
紫音:だそうです。
真:だぁら,最初っからそう言ってんだろ!
咲耶榎:はいはい,アナタもバカ兄にツッコんでるヒマあったら走りましょうね〜。
GM:では,光に案内されて1分も走らぬうちに,とある工事中のビルに辿りつく。周囲に機材建材がないのを見ると,バブルがはじけた後に放っておかれたというパターンらしい。
紫音:で,松山だっけ? ここには何がいるんだ?
GM/光:「相模原だよ」
紫音:それはわかってたけど,それだけか?
GM/光:「うん。てゆーか,他に心当たりあるの? 俺も相模原の側から離れられなくて,周囲見てまわったわけじゃないんだけど」
紫音:いや,知らないならそれでいいんだが。
真:松山,おまえ獣化解けないんだな?
紫音:(同時に)おまえ,いつからワンころになった?
GM/光:「……ばうわう! ばうわう!」
一同:(笑)
GM:しゃがみこんでしっぽでのの字書いてます(笑)。
真:急ぐんじゃなかったのかあ!!
GM:えー,では作りかけと思しきフロアに,何故かきちんとしたベッドがおいてあって,そこにパジャマ姿の泪が寝てる。「あ,あれ? 大谷さん?」ちなみに赤い顔してます。
真:……まだ熱下がってないんですか?
GM/泪:「現在38度です〜」
真:何で連絡してくれなかったんですか。本部大荒れですよ。
GM/泪:「いやー,意識戻ったのが今朝なもので……しかも端末どこかに落としちゃったし……」
真:なるほど。
GM/光:「俺が連絡とろうと思ったんだけど,この姿じゃどうしようもなくってさ」
真:そりゃそうだろうな。
紫音:この肉球じゃね(笑)。
咲耶榎:ぷにぷに。ぷにぷに。
GM/光:「…………」
紫音:で,そうなったのはいつからだ?
GM/光:「気付いたら」
紫音:と,いうことは? 昏睡状態から覚めた時点からからか?
GM/光:「そうだよ。それからずっともとに戻れなくてさ。どうしようかと思ってたら灰色の獣が襲ってきたんで,とりあえず相模原連れて逃げたんだ」
紫音:当然灰色の正体なんて,わかんないよな?
GM/光:「わからない」
真:自分が何でそうなったかも,わかんないよな?
紫音:え? 光はもとから“フィーヴァー・ドリーム”もってなかった?
GM:(あ,もう“フィーヴァー・ドリーム”ということになっている……)いや,確かにもともとだけど,この獣になっちゃうのに関しては,後から。
紫音:……後からって何?
GM:え? それは……。
咲耶榎:目が覚めてみたらベッドの隣に歩ちゃんがいたとか?
一同:(笑)
GM:い……いや,それは明日香がコワイんで。
紫音:輸血とかにしときましょう。一応純粋培養ヒーローなんだし(笑)。
咲耶榎:おや? すると,まさか楓が泪の前に出てこられない理由って?
一同:(爆笑)
紫音:あああああ……それは楽しすぎる……(笑)。
GM:一応輸血ということにしておくか? 真相は千葉さんのみが知る,だが(笑)。
咲耶榎:つまり闇の中。
真:はいはい! とにかく,まずはUGNから大きめの車を送ってもらおう。トレーラーかなんか。それで,とりあえずアンタらを安全な場所に確保しとかないと。
GM/泪:「あ〜……それとですね〜,私よく覚えてないんですが,ここにいる間世話をしてくれた人がいるので,その人に連絡とらないと〜」
真:……それって小学生くらいの男の子? それとも高校生の女の子?
GM/泪:「えーとそういう姉弟ですが,大谷さんご存知なんですかぁ?」
咲耶榎:それ,私のクラスメイトなんです。だから,こっちから言っておきます。
GM/泪:「あ〜,どなたか存じませんがありがとうございます〜」
紫音:とにかく局長に連絡とろう。
GM:はい,えーと特に霧谷さんに用事がないなら,時間とばして泪と光を運んでしまいたいと思うのですが。
紫音:おう。とっとと退場してくれ。
GM:えー,では栄吉くんが「ちわーす!」とやって来て(笑),2人はUGNのトレーラーに乗せられました。
紫音:いつものように,手っ取り早く頼む(笑)。
GM/栄吉:「あい,さぁ!」
真:おーい……一応,病人がいるってことも忘れるなよぉ……。
GM/泪:「まったくですよぉ(泣)」
紫音:さて。あの2人は片付いたので,あと俺たちがどうするかだが。
真:黒と灰色を探す。でも情報ないよな(笑)。
咲耶榎:いきなり待ち状態に入っちゃいましたね。
GM:(考えて)確かにそうだ。では,泪と光が乗った車が襲われます。
一同:はいぃ!?
GM:君たちがビルの外で見送っていると,そんなに行かないうちにエンジンが火を吹くわけだ。で,襲いかかっている獣の姿がある。
真:どっち?
GM:灰色。で,光が泪を背に乗せたまま,燃えるトレーラーから飛び降りた。栄吉くんも無事脱出したけど,戦闘は不参加ね。ややこしくなるから。
紫音:それはいいんだけど,マスター。
GM:はい?
紫音:そんなに派手に爆発したんなら,ワーディングしても騒ぎになっちゃうよね?
GM:それは当然ですな。消防車とかもでてきますね。
紫音:俺たちとしてはこうなることは充分予測できるので,灰色の獣が襲いかかってくる直前に,《プロフェット》で登場することはできませんか?
一同:(拍手)
GM:なるほどなぁ。そりゃ道理だ。認めよう。では爆発は起きてない。それで,紫音と一緒に登場するのは誰?
真:そりゃ全員……。
GM:あー,大谷くん,キミは待ちたまえ。
真:げ。
紫音:出やがったな(笑)。
GM:このままヤツを放っておくと,シナリオの最後で間違いなくジャーム化なんだが……。
真:わかった,わかりましたよ。じゃあ俺は「ちょっとヤボ用がある」と言ってこの場に残ります。
GM:はい,では一度シーンを変えます。