紫音:そぉいや,何号室かを訊いてこなかったなあ。
真:表の郵便受けとか見ればわかるだろ。
紫音:どうすんだよ,「大谷」で借りてたら。
一同:(爆笑)
咲耶榎:偽名で借りてるとは思いますけどねえ。
真:…………。なんで俺だけ千葉におちょくられなならんわけですか。
GM:いや,案外今度は「松山」かも(笑)。
紫音:「相模原」かもしれんし。
真:「新条」で借りてたらヤなカンジだなあ。
咲耶榎:ちなみに「姫宮」がないんですけど……。
真:探すな!
GM:いや,ちなみにここってセキュリティシステムがあって,番号入力しないとエントランスが開かないって奴だけどな。
紫音:しまった,いきなり壁ができちゃったなー(笑)。
咲耶榎:え,マンションってみんなそうでしょ?(笑)
真:黙れこの放蕩娘。
GM:で,どうする?
真:どうするって,今から俺に《鍵いらずの歩み》を習得しろとでも?
紫音:《天性のひらめき》を使って番号当てろとか?
GM:ちょっと待てや。何故いきなり非合法活動に走るか。
咲耶榎:え? 《光の衣》は?
GM:管理人さんに訊けばええやろ!(笑)
咲耶榎:冗談はさておき,誰かが来るのを待って後からついて入ればいいんですよ。それが一番手っ取り早いです。
GM:(ちょっと遠い目)わかったよ。それでは住人らしき人がてってってと走ってくる。ランドセル背負った男の子だ。
咲耶榎:あれ? 私,見覚えあります?
GM:ありますね。早馬くんですね。
咲耶榎:えーと,早馬くん?
GM/早馬:「あれ? あ,姉ちゃんの友達ですよね。えーと……」
咲耶榎:咲耶榎です。
GM/早馬:「あ,そうそう,さやかさん。姉ちゃんに何か用?」
咲耶榎:(頷く)
GM/早馬:「ん,いいよ。入って」
紫音:……帰ってきてるのか?
GM/早馬:「うん。どうして? てゆーか,後ろのアンタたちって何?」
咲耶榎:これは兄です。
紫音:「お兄様」です。
GM/早馬:「…………?」
咲耶榎:あ,このバカ兄のことは放っておいていいので。
GM/早馬:「? で,その陰気そうな兄ちゃんは,何?」
真:陰気……。
GM/早馬:「だってココ(眉間)にシワ入ってんじゃん」
真:…………。いや,人間な,ツッコミばっかやらされてると,こうなってくるもんだなんだよ。
GM/早馬:「ツッコミって,アレ? ハリセンで人ひっぱたく人?」
真:そうだな。俺もハリセンを常備したいとつくづく思うよ(遠い目)。
GM/早馬:「よくわかんないなあ。結局なんなの?」
咲耶榎:あー。歩ちゃん,元気? 最近会ってないから,どうしてるのかな,と思って。
GM/早馬:「姉ちゃん? 元気なんじゃないかなあ。彼氏できたみたいだし」
一同:彼氏……。
GM/早馬:「どーかしたの?」
咲耶榎:その彼氏ってどんな人,と訊きたいような訊きたくないような。
真:俺は聞きたくない。
紫音:背が高くて,美形で,黒いコートを着た……(笑)。
真:聞きたくないっつーに。
GM/早馬:「俺はちょっと年上過ぎると思うけどさー。でも姉ちゃんに優しいし。姉ちゃん,男運なかったから,俺としては心配でさ」
紫音:妙にデキたお子様だ(笑)。
咲耶榎:……ところで,弟くんはやっぱり何も知らないんでしょうねえ。
紫音:そりゃそうでしょ。
真:というか,彼にマトモな生活をさせるために千葉と手組んでんじゃないかという気がする。経済的援助のために。
咲耶榎:それくらいのことはわかりますよ。そうじゃなくて,これから私ら,歩ちゃんとそーゆー話をしに行くのに,いいんですかってことです。
GM/早馬:「ねえ,どしたの? 入らないの?」
一同:…………。
咲耶榎:いえ,入ります。
GM:ちなみに表札は「皆藤」になってるよ。
紫音:あら。
咲耶榎:(真を見て)残念ですねえ。
真:何が残念なんだ何が。
咲耶榎:いえ,「姫宮」ではなかったのが(笑)。
GM:はいはい。それはいいけど。早馬くんがインタフォンに「ただいまー」と言うと,「あ,おかえりなさい」とドアが開いて,歩ちゃんが顔だすわけだけど。
紫音:やあ。
GM/歩:「あ,先輩。ちょうどよかったです。上着返そうと思ってました」
紫音:やあ,それは助かるな。寒くて(笑)。
GM/歩:「ところで,これから夕食なんですが,ちょっと皆さんのぶんまでは用意してなくて……」
紫音:いや,それはいいから(笑)。
咲耶榎:歩ちゃん,こんばんは。
GM/歩:「あれ? 咲耶榎ちゃん? どうしたのこんな時間に」
咲耶榎:ん,特に用事があるってわけじゃないんだけど。どうしてるかな,と思って。
GM/歩:「ありがと,普通よ」
真:……あの,フツーに話してるんですか?
咲耶榎:さっき,私と目あってるんですよね。
GM:んー,表面上フツーに見えるけど……〈知覚〉で判定してみて。
紫音:《天性のひらめき》使います……17。
GM:もともと表情の乏しい人なんだけど,それにしても口調が浮ついてるというか,演技をしているという感じがする。
咲耶榎:間が悪いんですよね。お食事時だし,早馬くんがいるし。
真:弟の前では話せないわな。
紫音:ま,ちゃんと自分のやってることを把握した上で演技してるんだろ? それがわかればとりあえず充分。記憶が無いとか多重人格だとかいう可能性もあるからな。
真:じゃあいっぺん出ますか。夕食時だって言うし。
GM:え?
紫音:(小声で)そうなの?
真:(同じく小声で)だって早馬くんがいると,結局何も訊き出せないだろ?
紫音:俺は単に,「保護者ってどんな人?」って訊いてカマかけてみるつもりだったんだけど。
真:保護者って,どうせ千葉狂介だろ?
紫音:それをこの目で見たわけじゃないからなあ。確認はしておくべきかと。
真:2人が一緒に写った写真,見てるだろ。それに下手なことを訊いて彼女がこちらを敵と認識するのはまずい。
紫音:彼女を味方につけようっての? あんまり意味ないと思うなあ。
真:敵にまわすよりいいだろ。
咲耶榎:(ぼそっと)……やだねえ,男どうしでぼそぼそと。
GM/早馬:「てか,あの2人デキてんの? Hな雰囲気?」
一同:(爆笑)
真:……もぉいいっ!
GM:おーい,大谷ー。帰っておいでー(笑)。
咲耶榎:だって歩ちゃん前にして,ずっと2人でぼそぼそやってるんだもん(笑)。
紫音:俺にだって選ぶ権利ぐらいはあるぞぉ(笑)。
真:ツッコミどころが違うわ,そこっ!
GM:まあまあ。それはそうと,早馬くんが「深刻な話なら,俺席外そうか?」と言ってくるんだが。
真:え?
紫音:いや,深刻な話ってほどじゃ……それにこれから夕食なんだろ?
GM/早馬:「んと,その前に届け物しなきゃならないんだ」彼は玄関においてあったでっかい紙袋を手にとる。
紫音:何,それ?
GM/早馬:「(にやりと笑って人差し指を振る)それは,ナ・イ・ショ♪」
紫音:……坊主,男がやっても気持ち悪いだけだぞそれは。
GM/早馬:「いーんだよ,俺まだ子供だから。おっちゃんたちがやったら気持ち悪いかもしんないけどさ」
紫音:お,おっちゃん?
GM/早馬:「なんなら試しにやってみるかおっちゃん? オラ,やってみろよ」
紫音:…………。ゴメンナサイ。
一同:(笑)
GM/早馬:「へッ,わかりゃいいんだよ」
紫音:ちくしょーこのクソガキ。
GM:早馬くんは鼻で笑うとよたよたと去っていく。
紫音:(歩に)……ずいぶんふらついてるみたいだけど,あれ,何?
GM/歩:「大丈夫です。あの子慣れてますから」
紫音:いや,俺が訊きたかったのはそういうことじゃなくて。
真:ごはん。
紫音:は?
真:誰かの夕食なんじゃないか,あれ?
紫音:でも匂いしなかったよな?
GM:いやすまん,私が言い忘れただけ。いい匂いがしてる。
紫音:あ,あれ?(笑)
GM/歩:「とりあえずお茶でもどうぞ。夕食はおだしできませんが。で,お話ってなんです?」
紫音:え? ああ,新しい保護者の人って,よくしてくれてんの?
GM/歩:「してくれてますよ」
紫音:その保護者って,どんな人?
GM/歩:「いい人ですよ。てゆーか,先輩なんでそんなこと訊くんですか?」
紫音:(フッと笑って)そりゃキミに興味があるからさ。
一同:…………。
咲耶榎:はい。メジャーを取り出して,半径3メートル外にこのボケ兄をひきずりだしておきます。
真:皆藤さん,この円の中には入らないように。
紫音:おい。
咲耶榎:ふー。これで一安心。
紫音:何が安心なんだ妹よ。まさかおまえまで俺の悪い噂を信じているわけじゃないだろうな。
咲耶榎:噂なんか信じていません。ただ真実を知っているだけです。
紫音:おいっ。
GM/歩:「(ひとり平然)で? 興味があるって,どのように興味があるんですか?」
紫音:……えっ?
GM/歩:「もしそーゆーイミで興味があるとおっしゃるなら,相談にのりますが」と奥の部屋を指差したりして。
紫音:…………。俺が悪かったデスゴメンナサイ。
真:う,うーむ。手ごわい。
GM/歩:「で,御用はそれだけですか」
一同:…………。
一同,考え込む。
紫音:ま,まいったなぁ。
咲耶榎:(紫音に)……私はもっとチョクにつっこんでみるつもりですけど。
真:てゆーか今思ったんだが。
一同:はい?
真:俺と紫音が警戒されてんじゃないのか? 咲耶榎ひとりに訊かせてみれば?
実は,その通りだ(笑)。
ここで一同,遅れ馳せながら作戦タイム。
「早馬が夕飯を届けに行った先」に何かがあるとふんだ大谷は,ひとり別行動をとり,彼の後を追うことにする。
紫音はそれについて皆藤家を辞した,と見せかけてトイレ(笑)に隠れる。「不測の事態に備えます」とは本人談。どうも千葉を意識しての行動のようだ。
さて,残った咲耶榎が歩とタイマンをはることになったが……。
GM:じゃあその前にいっぺんシーン変えるね。 |