G
M:さて,お待たせしました咲耶榎さんです。あなたは一杉さんと一緒に銀杏横丁にやって参りました。一杉さん曰く,「とりあえずさ,調べるだけ調べてみて。何もなくても,ここ美味いヤキトリ屋があるからさ。おごってやるよ」
咲耶榎:わーい。
GM/一杉:「(時計を見て)今4時だから……30分くらい仕事してみようぜ。何もでなかったら,
『白い獣がいた!!…かな?』
で済ませればいいことだし」
咲耶榎:(頷いて)ヤキトリヤキトリ。
真:すでにやる気なっしんぐだし。
GM:ところでホントに車で来てんの?
咲耶榎:来てますよ。何か問題が?
GM:いや,道幅が狭いから……。
紫音:10円玉でき〜〜とかやられても知らんぞっ。
咲耶榎:その時は修理すればいいことです。
一同:うあっ。
紫音:これだからイイトコのお嬢はっ。
真:こっちは雀の涙なボーナスを奪い合いさえしているというのに……。
GM:ま,そんなような話をしながら銀杏横丁を歩いていくとですね。
咲耶榎:蛍光ピンクのワニが。
GM:そういうのは下水道だ(笑)。ちょっとサイコロ振ってみてくれる? 平目で。
咲耶榎:4ですね。
GM:あ,そう。すると30分たってしまったね(笑)。
咲耶榎:……でも,ヤキトリ屋で話を聞くという手もありますし。
GM/一杉:「ヤキトリ屋か」
咲耶榎:ヤキトリ屋ですね。
真:あーもー,こいつらわ……。
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「すんませーん,お客サン,まだ準備中なんすけどね」でもおいしそうな匂いはしてる。店は小さくて汚いけどね。
咲耶榎:気にしません。物珍しそうにあちこち見てます。
GM:これが下々の生活というものか(笑)。
咲耶榎:そうそう(笑)。
真:この女わ……。
GM:そんなことを言われてるとは露知らず(笑),「はいお通しでーす」と。
咲耶榎:何?
GM:野菜スティックにキャベツに味噌と塩。
紫音:結構豪華じゃん。
咲耶榎:ところでおじさん,キャベツの芯って食べられたんですか。
一同:(笑)
真:…………。
紫音:あのー,ここでひとり殺気を放ってる人がいるんですけど(笑)。
咲耶榎:(無視)ところでおじさん。私たち,こういう雑誌の記者なんですけど。
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「はん? 聞いたことねえ名前だなあ。どういう雑誌なんだ,これ」
咲耶榎:(いきなり目を輝かせる)前号の特集記事は,
『世界に満ちた神秘!
逆さアタマのドラえ○んを見た!!…か?』
でした。
一同:(爆笑)
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「…………」
咲耶榎:面白そうでしょ?
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「いや……まあ,ひょっとしたら面白えのかもしんねえけどよ……」
咲耶榎:面白いですって。それはそうと,ここいらに白い獣が現れるって話をきいて取材しに来たんですけど。
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「ああ,その話ね」
咲耶榎:ご覧になったことあります?
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「俺はねえけど,見たって話は聞いたな。この近くに,ヤっちゃんが経営してる『ゴールドスター金融』ってサラ金があってだな。そこの三下が爪か牙かでズタズタにされてたって話だ。もう3人目じゃねーかな?」
咲耶榎:3人ですか。
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「俺の知る限りじゃな。……おう姉ちゃん。トリ皮せんべいな。レモンかけて食うんだぞ」
咲耶榎:こくこく。
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「……うまいか?」
咲耶榎:(激しく頷く)
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「それとウチの特製つくねな。あー……何の話だったかなァ。そうそう,そのゴールドなんちゃらの三下って,正直いけすかねえ連中でさ。一本入ったとこにボロいアパートがあんだけど,そこに昼夜関係なく押しかけてきてよ。近所迷惑だってんだよ」
咲耶榎:ところで,そのアパートって,歩ちゃんの家ですか。
GM:そうですね(にやにや)。
咲耶榎:……おじさん,このつくね,美味しいです。
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「おう,そうだろ。砂肝は塩かけて食いねえ」
咲耶榎:(また激しく頷く)ところでおじさん,その獣って,詳しく見た人はいないんですか。
GM/ヤキトリ屋のオヤジ:「さあ,どうだろうなあ。何でも動きがやたらに速いそうなんで……でかくて白っぽかったってのは,聞いたけどな」
咲耶榎:なるほどなるほど。と,頷きながら,手もとのメモには妙にかわいい白クマさんがいたりして。
GM/一杉:「なるほど……次回は,
『銀杏横丁に恐怖の殺人白クマ現わる!!…のかな?』
だな」
真:それはもぉええから。
咲耶榎:何事もディテールが大事ですから。
GM:さて,そんなことをやっているとだね。
咲耶榎:おじさん,この梅しそ味,ぐーですぅ。
GM:……外で男の悲鳴があがるんだが。
咲耶榎:おや,何でしょう。と言って見に行きます。
GM:「オヤジ,勘定は後で払いに来らぁ」と一杉さんもついてきました。
真:あのー,大谷出ていいですか?
GM:いや,ちょっと待ってください。さて,2人が悲鳴の聞こえた方へ走っていくと,男女の話し声がする。
咲耶榎:おや,先客(←野次馬さん)ですか?
GM:女は「またですか? なんか,下手な鉄砲数撃ちゃ当たる,みたい」と言っている。
一同:は?
GM:それに対して甘い男の声が,「残念ながら,その通りなのさ」と答えています。ちなみに女の子の声はあなたに聞き覚えあり。歩ちゃんです。
咲耶榎:2人に気付かれないようにこっそり覗いてみます。〈隠密〉で判定ですか?
GM:一杉さんが一緒なので難しいような気もするが,とりあえず達成値出してくれ。
咲耶榎:(ころころ)28です。
GM:そりゃ高いな……(ころころ)うーん。それでも気付かれたな。
咲耶榎:(驚いて)えっ? 歩ちゃんが?
GM:いや,連れの方。とりあえず情景描写だけしておこうか。まず,路面に多摩神鳴高校の改造制服を着た……。
真:クールでいなせなあの男が。
GM:違います。ってーか,なんでやねん。
真:え? 違うの?
紫音:楓は制服の改造とか絶対にしないよ。
GM:転がってるのはいかにもなヤンキー兄ちゃんだって。頭スキンヘッドにタトゥーの。
真:(←何か深読みをしたらしい)あ,あれ?
GM:そいつが血塗れで転がってるんだけど,歩ちゃんがそのそばにかがみこんでキスしようとしている。
咲耶榎:はいぃ?(笑)
紫音:それは,なんかヤな状況だなぁ。
GM:ヤな状況はさらに続くぞ。その傍らに立っているのは,背の高い黒いコートの男だ(笑)。
真&紫音:う,うあっ。
咲耶榎:でも私はカオ知らないからなあ(笑)。とりあえずコレ,事件ですよね?
GM:写真撮るの? 隠れたまんまで?
咲耶榎:うん(笑)。
GM:じゃあ,まあ,ホントにしちゃいますね,キス。でもってそこで男が歩の肩を叩いて,「どうやら邪魔が入ったようだ」と言います。歩ちゃんが顔を上げて,君と目が合う。
咲耶榎:…………。
GM:彼女は困ったように笑うと,男とともに路地裏へと去っていきます。追いますか?
咲耶榎:うーん,それも何だか危なそうだし。とりあえず,ヤンキーさんの方は?
GM:虫の息,というところかな?
咲耶榎:では,携帯で救急車を……。
GM:はい,それではここから大谷と久遠紫音は登場OKとします。
一同:は?
GM:君の背後で,獣の唸り声が……。
咲耶榎:えっ?
GM:のっそりと姿を現わしたのは,メタリックな灰色の毛並みを持つ獣。まあ異形なんだけど,雰囲気としてはライオンに似てる。大きさも普通のライオンくらいね。
咲耶榎:それってけっこデカいですよね。
GM:近くで見ると迫力でしょうね。ちょうどその時,あなたの隣にいた一杉さんがくずおれる。
咲耶榎:…………。
GM:さて,登場したい人,いないの?
真&紫音:はいはい,登場します!
GM:では,路面にはいまだ血塗れの学生,倒れている壮年の男,その隣には美少女が巨大な獣と対峙している,と。
真:咲耶榎と獣の間に割って入ります。
紫音:同じく。でもって,獣の目を見て,こっちに対して敵意があるか察知できる?
GM:うーん,ちょっと難しいかな。ああ,《天性のひらめき》使えばOKです。
紫音:(ころころ)あや……7だ。
GM:そりゃよくわかんない。でも敵意はある気がする。
紫音:そうなの?
GM:そうすると,獣は君をじろりと睨みつけ,身を翻す。
真:逃がす気はない。《伸縮腕》で殴ります。
GM:イニシアティブはこっちが上だと思うんですが。逃げる場合って〈運動〉で対決でしたっけ。
真:あー,それは逃げられるなあ……19です。
GM:こっちは26。逃げられましたね。
真:逃げ足の速いヤツだな……。
GM:ところで,遺留品があるんだけどさ。安物のペンダント。
真:ペンダント?
GM:言い忘れてたけど,前足に光るものがくっついてたんですよ。それが逃げる時に鎖が切れて落ちたわけ。紫音と咲耶榎には見覚えがないはず。大谷は……あったっけ。
真:相模原さんがつけてたヤツですよね。見たことあります。それが楓にもらったものだってことも知ってます。
紫音:それって今,楓が持ってたよね?(←3話で泪が楓に渡している)
GM:と,いうのを大谷が知ってるかなんだけど,ま,知っててもいいよな。
真:……楓?
紫音:何? 楓がどうかしたの?
真:……いや……。
真二:(いきなり隣の卓から)やった! とうとうアイツも向こう側の世界へ!
一同:(爆笑)
真:だぁら,他所の卓の邪魔してんじゃねーよてめーわっ!
いつになっても久島をツッコミ続ける大谷であった。
どうして隣の卓で聞き耳たててるんだろう……(笑)。
真:ところで,そこの女性なんだが……。
紫音:で,咲耶榎を見て,おや?という顔になります。
咲耶榎:紫音を見てやば!という顔になります(笑)。
紫音:何でおまえがここにいるんだ?
咲耶榎:そこのヤキトリ屋でお食事を。
紫音:いや,そーゆーことを訊いてるんじゃなくて。てゆーか今ごまかしただろおまえ(笑)。
咲耶榎:え? 別にごまかしてません。つくねがすごく美味しいんです。
紫音:だからごまかすな。おまえ,こういう危ないことに首突っ込むなって言ってるだろ。
真:えーと……。
紫音:ああ大谷,紹介する。こいつは俺のマイスウィート☆シスターだ。
咲耶榎:「俺の」と「マイ」がかぶってますお兄様(笑)。
真:……つまり何か? やっぱり脳がアメーバだと?(笑)
紫音:失敬な。つまり,記憶操作する必要はないぞと言いたいのさ。
真:そうじゃないだろ。(咲耶榎に)あんた,UGNに協力してくれるのか?
咲耶榎:銃殺はイヤです。
一同:(笑)
真:アンタにまで命令権はありませんって(笑)。むしろ,こうやって巻きこまれたら後が危険なんで,安全のために一緒に行動して欲しいってのもあるんですが。
紫音:だってさ。
咲耶榎:はあ,まあ,今回だけならということなら構いませんが。
紫音:で,結局何でここにいるわけさ。
咲耶榎:バイトなんです。
紫音:まだあのアヤシイ雑誌やってんのかよ。
咲耶榎:アヤシイとはなんですか。あの獣が今回のネタなんです。ところでお兄様,さっき妙な2人連れが……。
紫音:2人連れ?
GM:(横から)あの……ちょっといい?
一同:はい?
GM:そろそろ,ヤンキーくん息ひきとっちゃうけど,いいの?
一同:(爆笑)
咲耶榎:おにーさま,忘れてましたけどこの人死にそうです。
紫音:ああん? そんな顔面神経痛その4のことなんてどーだっていいんだよ。
咲耶榎:よいのですか。ふーん。
真:おまえらなあっ!
咲耶榎:(あくまで平然と)ちなみに救急車はすでに呼んでます。そろそろ来てもいいころですね。
真:…………。とりあえず,今のうちにこいつらの身元も確認しておこう。
GM:学生の方は,ま,名前はどうだっていいんだけど,『ブリッツクリーク』のメンバーだね。男は……そうだなあ。ポケットを探ると,『んむ』の名刺が出てくるね(笑)。
真:(紫音を見る)
紫音:まあ,何の因果かコイツ『んむ』編集部でバイトしてるらしくってな(笑)。
咲耶榎:何故かそれを聞いてオオイバリしてます。
真:……あー。今のでおまえの位置付けはだいぶ決まった。
一同:(笑)
GM:さて,そんなとこでシーンをきるか。 |