GM:ではシーン・プレイヤーは鷹村。
鷹村:結局千葉に接触しに行くんだろ?
真:そう,おまえが交渉。……しゃべれるか?
一同:(笑)
鷹村:うーん……(笑)。
紫音:俺はフォローしないからね。あの女は苦手(笑)。
鷹村:俺だって苦手だよ。接点ないし。
真:あ,接点あるんじゃないか? だって鷹村,あのスライムもどきを見てるだろ? しかも千葉桂子はそれを回収してるんだから,その辺からつっこんじゃっていいんじゃないか?
鷹村:直に訊いちゃっていいのかなあ。
真:もうここまできたら強引にいくしかないだろ。
紫音:でないとあの女,マジでガードが固すぎる(笑)。
GM:ところで楓は戻ってきた方がいい?
紫音:うん,いた方がいい。
GM:では,楓は戻ってきて「薬はUGNに届けてきた」と言う。
鷹村:楓,性格違うなあ……。
真:はいはいはい。確かに性格違うよ。それはいいから,おまえは仕事しろ。
鷹村:いやあ……。
真:「いやあ」とか言うな! しゃべれ! 動け!
鷹村:うーん。では,まずノックします。
GM/桂子:「はい?」
鷹村:すみません。少々お話があるのですが,入ってよろしいですか?
GM/桂子:「……どうぞ」というところで,他に登場しているのは久遠紫音と大谷,それに楓だよね?
紫音:とりあえず外に待機して耳ダンボ状態。
GM:了解しました。では,鷹村さん,どうぞ。
鷹村:ども,失礼しまーす……。
GM/桂子:「あら? えーと,あなたは……」
鷹村:2年C組の鷹村です。ちょっとお話がありまして。
GM/桂子:「話? 言っておくけど,人生相談ならのれないわよ」
紫音:あ,先にクギ刺されてるし。
鷹村:いや,人生相談とかじゃないんですけど。
GM/桂子:「だったら何の用? 忙しいの。手短にお願いするわ」
鷹村:えーと……。
紫音:そしたら次は恋愛相談!
GM:おい!
村瀬:先生,好きです!
GM:こら,そこも!
紫音:年上の方が好きなんです!
鷹村:……えー……。
紫音:見かけが若けりゃオッケーです!
一同:(爆笑)
真:正気に返れアンタら!
GM:鷹村がしゃべれないだろ!
鷹村:えーと……先生,その試験管の中身,なんですか?
GM/桂子:「何でそんなことを?」
鷹村:それ,あのスライムですよね。それが溶けるところも,見てましたよね。
GM/桂子:「ああ,アレね」と問題の試験管を振ってみせる。「これがどうかしたの?」
鷹村:何のためにそれを採集したんですか?
GM/桂子:「私は大学でレネゲイド・ウィルスの研究をしているの。そのための症例集めといったところね」
鷹村:でも,そのために人が死んでますよね。
GM/桂子:「だから? 私に何か訊きたいことがあるの?」
鷹村:実はレネゲイド・ウィルス……いえ,“フィーヴァー・ドリーム”によって,色々と問題が起こっています。
GM/桂子:「…………。それで?」
鷹村:端的に言うと,“フィーヴァー・ドリーム”についてあなたが知っていることを教えて欲しいんです。
GM/桂子:「……何故あなたはその話を?」
鷹村:俺がUGNの一員だからです。
GM/桂子:「それじゃレネゲイド・ウィルスについての知識はあるのね?」
鷹村:ある程度なら。
GM/桂子:「そう,それで? “フィーヴァー・ドリーム”の何が訊きたいの?」
鷹村:まずは,感染した人間を救う方法です。今,俺たちの仲間が“フィーヴァー・ドリーム”に感染して昏睡状態にあるんです。
GM/桂子:「そう。……少し長い話になるわよ」
鷹村:話していただけるんですか?
GM/桂子:「……結論から言うと,感染した人間を救う方法は,ないわ」
鷹村:ない?
GM/桂子:「ない,と言うか,レネゲイド・ウィルスに感染した人間を救う方法が見つかっていないのと同じでね。RNAを遺伝子の基礎とするものは,突然変異を起こしやすいの。例えば,ある抗体が作られてしまったら,それに見つからないように他の細胞に擬態するとかね。特に,レネゲイド・ウィルスにはその傾向が顕著で,特効薬が作れない」
鷹村:…………。
GM/桂子:「ともかく,そういうことよ。ある個別の症例にたいして対処療法をとるのが精一杯。一度感染してしまったら,ジャーム化しないように騙し騙しやっていくしかないの」
鷹村:それは仕方がないことです。俺らもいつもやっていることですから。でも,昏睡状態というのは……。
GM/桂子:「実際に診てみないとわからないけど,身体が侵蝕を防ごうと防御措置をとっているのではないかしら。“フィーヴァー・ドリーム”の症状は人によって千差万別だけど,ひとつだけ共通点があるの。それはウィルスの活性化が通常のレネゲイド・ウィルスに比べて速いことよ。だいたい,1.5倍から2倍というところかしらね」
鷹村:それじゃ,昏睡状態から脱する方法はないんですか?
GM/桂子:「症状を詳しく調べて,抗ウィルス剤を定期的に投与すること。それで,回復するという保証はないけれどね」
鷹村:……わかりました。あともうひとつ。こないだのスライムみたいなのも,“フィーヴァー・ドリーム”に感染していたそうです。
GM/桂子:「ええ,そうね。そうみたいね」
鷹村:あのウィルスが,この学校中に広まるということは,あり得るんですか。
GM/桂子:「ゼロとは言えないけど,ほぼあり得ないわ。“フィーヴァー・ドリーム”の発症率は非常に低いの。いえ……言い方が悪いわね。レネゲイド・ウィルスがさらに突然変異を起こしたのが“フィーヴァー・ドリーム”。確かに『起こりやすい』とはいったけど,あそこまで激烈な変異体はそうそう現れたりはしない。実際,レネゲイド・ウィルスが自然に変異した例は,厳密に言えば1人しかいないの」
鷹村:どういうことですか?
GM/桂子:「多分,今までに発見された発症例は,すべてその人物の“フィーヴァー・ドリーム”を直接体内に投与された例なのよ。……もっとも,あなたがたの仲間だという人に関しては,データがないけれどね……」
鷹村:その他のデータを,あなたが全て持っているということなんですか?
GM:桂子さんはそこで少し黙る。さて,扉の外なのだが。
真&紫音:はい?
GM:楓が唇を噛み,いきなり扉を開こうと……止める?
紫音:いや,止めない。
真:同じく。
GM:では,楓はそこですぱあん!と扉を開いて,「それじゃあ,貴様は何故そんなものを俺に投与したんだ!?」と怒鳴ります。
鷹村:…………。あんたが,こいつに“フィーヴァー・ドリーム”を注射したのか?
GM/桂子:「……私は科学者だわ」
真:え?
GM/桂子:「最高のケースで実験をしてみたいと思うのは,当然ではなくて?」
一同:うぁッ。
紫音:……アンタ,なかなかイイ女だよな。つきあうのはまっぴらごめんだが。
GM/桂子:「私もあなたとつきあう気はないから結構なことね。それより何? こんなオバサンでも守備範囲外と見なしてもらえるとは思ってなかったわね」
紫音:いや,だってアンタ外見若いから。
鷹村:何で歳とってないんだ?
GM/桂子:「歳は普通にとってるわよ。私は45になるわ。それが何か?」
紫音:だから,何で外見若いの?
GM:半ば体質と,女は化粧である程度化けます。
真:……それだけ!?
GM:それだけだよ。いやあ,単なるミスディレクションとして出したんだが,そんな深刻に考えてもらえるとは思わなかった(笑)。
村瀬:なんだ。絶対妖怪の一種だと思ったのに。
一同:(笑)
真:はいはいはい! それはともかく,楓の気持ちも少しは考えてやるべきだと思うんだよな俺は。
GM:うーん。楓は怒りに震えてるんだが,いつものように直接暴力にも訴えられない心境だわな。まあ,誰か抑えてやってくれ(笑)。
紫音:ま,そんなにカッカすんなよ。ああいう女にはな,怒って疲れるだけ損だぜ。
GM/楓:「…………」
紫音:それより,確かめておきたいことがあったんだ。
GM/楓:「……確かめたいこと?」
紫音:はい。と,言いつつワーディングかけます。
GM:うむ。そうすると,おっかさんは倒れてしまうな。
村瀬:あ,なんだ。普通の人間か。
紫音:そんな気はしてたけどね。(楓に)ほら,あんたが殴ると,単に殺しちゃうだけだと思うけど。
GM:楓は倒れた桂子さんを見下ろして,困惑の表情である。
キルスティン:(いきなり)あーっ,この場にいたかったぁ!
真:黙れ! おまえは単に楓いぢめをしたいだけだろが!
紫音:とにかく,今のうちにデータ収集データ収集〜♪
GM/楓:「何をしている」
紫音:今のうち,研究データは全部いただいとこうと思ってさ。
GM/楓:「ここに全てがあるとは,限らないと思うが……」
紫音:そんなこたあ先刻承知さあ。もらうだけもらって,後はこの人拉致らせてもらうしかないね。あんたには悪いけど。
GM/楓:「好きにすればいい。俺には関係ない」
紫音:別に手荒な真似はしないって。美人だしさあ。
GM/楓:「俺には関係ないと言っているだろう!」
真:落ち着け楓。……なあ,すまんが,少し席を外してくれないか。
GM/楓:「……ああ。そうさせてもらう」と,楓くん退場。
紫音:さて,楓が退場したらおっ母さんをふんじばろうかね。
一同:(笑)
GM:いや,何も縛らなくても……普通の人なんだし。
紫音:だってその方が楽しいし!
真:こらこらこらこら!
紫音:それはまあ,冗談として,ちゃんと縛り終わったらワーディングといて目を覚まさせます。
GM/桂子:「…………」
紫音:さあて,洗いざらいしゃべってもらおうか?
一同:(爆笑)
村瀬:どっちが悪役だ!
真:しかも何となくヤらしいし!
GM:だいたい,しゃべれってこれ以上何をしゃべらせようってのさ? この人,めっちゃ素直に色々教えてくれてると思うんだけど?
紫音:ちっ。
GM:何が「ちっ」なの? ねえ何が!?
真:まあまあ。とにかく,話を進めましょう。千葉桂子は気がついたんですね?
GM/桂子:「……あなたたち,これは犯罪よ」
紫音:アンタのやったことは犯罪じゃないってのかい?
GM:犯罪じゃないんじゃないか?
紫音:え? そうなの?
GM:多分……はっきりこの人が手下したのって,楓に“フィーヴァー・ドリーム”を注射したことぐらいだし,それも今の法律に照らし合わせて罪になるかっつーと,微妙なとこだな。
真:薬事法は?
GM:そもそもレネゲイド・ウィルスって薬事法にひっかかるのか?
キルスティン:あームカつくぅ!
真:はいはいはい。そうですね,俺たちのやってることが犯罪だってのは認めます。だが,それを裁く人間もこの場にはいません。
GM/桂子:「私をどうしようっていうの?」
真:我々は“フィーヴァー・ドリーム”の専門家が欲しいんです。つまり,あなたが。
GM/桂子:「…………」
真:だが,その前に訊きたいことがあります。“スリーパー”をご存知ですよね? 13年前,あなたと神楽が日本に亡命させたオーヴァードです。
GM/桂子:「ユージンのことね? 彼が何だっていうの?」
真:彼の所在をご存知ですか?
GM/桂子:「知らないわ」
真:本当ですか?
GM/桂子:「本当よ。神楽さんなら知っているかもしれないけど」
真:では,“スリーパー”についてあなたが知っていることを話してくれませんか?
GM:「……そこのファイルを開けてちょうだい。写真が入っているでしょ」
紫音:ほいほい。これかい?
GM:写っているのは優しげだが弱々しい白人の少年です。キルスティンにも似ているが,やっぱりアンナさんとは明らかに肉親と思わせる。「彼の名はユージン・エヴァレット。あまりにも特殊な能力の持ち主だったため,彼が持つレネゲイド・ウィルスは“フィーヴァー・ドリーム”と名づけられた」
真:どう特殊だったんですか?
GM/桂子:「他者に擬態して,その能力を使うの。それも意図的にではなく,ほぼ無意識に」
一同:…………。
真:それって……。
紫音:ひょっとして,久島で,楓で,今キルスになってる……。
村瀬:(小声で)今は私でーす。
一同:(爆笑)
GM:(笑いつつ)それは次のシーンでやってくれ。それで?
真:はっきりとはわかりませんが,“スリーパー”は今,俺らの仲間んとこにいるような気がします。
GM/桂子:「それで?」
真:科学者として,興味はありませんか?
GM/桂子:「私は科学者だけど,ただの人間でもあるわね」
真:それで?
GM/桂子:「私の危険は,考慮してくれないわけ? いえ,そんなことより,結局あなたがたは私に何をさせたいの?」
真:ギブ・アンド・テイクですよ。あなたは,“スリーパー”の研究をしたいでしょう?
GM/桂子:「別に」
真:(GMに)……そうなの?
GM:そうだと思うよ。“スリーパー”の研究を取引材料にするのはどうかなあ。この人,もう自分独自のペースで研究進めてるわけだし。いや,というか,無理にギブ・アンド・テイクで取引を申し出る必要は特にないんじゃないか?
紫音:俺ら,この人拉致っちゃってるしねえ。
真:まだ拉致ってないぃ!
鷹村:でも脅迫はしてると思うけど。
真:…………。
GM:君はN◎VAのやりすぎなんだよ(笑)。まあ,このシーン長くなったし,ちゃっちゃと進めよう。そこで,こんこんというノックの音が。
一同:…………(思わず黙る)。
GM:「すいませーん,千葉先生ー! いらっしゃいませんかー?」
紫音:……誰?
GM:学校の先生A。「すみませーん! 千葉先生! ……おかしいわねえ。確か,こちらにいらしたはずなんだけど」
紫音:桂子さんの口ふさぎます。
真&鷹村:…………。
GM/先生A:「千葉先生! ……すみません。千葉先生,こちらにはいらっしゃらないみたいです」
一同:…………。
GM:すると,「いや,構いません。また寄らせていただきますよ」という男の声が。大谷には聞き覚えがある。
キルスティン:……神楽ぁ!
GM:その通りだ(笑)。
真:立ちあがって……。
紫音:やめろ。今ここで騒ぎ起こすのはマズイだろ。
真:…………。
紫音:二兎を追うもの一兎をも得ずだ。俺らにとっちゃ,この女の方が大事だよ。
真:すまん。……その通りだ。(桂子へ)彼は何の用で?
GM/桂子:「知らないわ。しばらく,連絡もとってなかったし」
紫音:てゆーか,アンタは神楽とグルじゃないわけ。
GM/桂子:「何をもってグルというかは知らないけど。たぶん,仲間とは言えないんじゃないかしら? 敵でもないけど。どっちかと言えば互いに無関心な知人といったところね」
紫音:まあいいか。とりあえず今は信じましょ。
GM:では,そんなところで村瀬さんへシーン戻そうかね。それまでに頭の中整理しといて。私は大分ごちゃごちゃしてきたわ(笑)。 |