SCENE 6


GM:えーと運びが悪くて申し訳ないんだが,まだ他の人々は登場待ってください。キルスのシーンです。お誕生会ですね。
一同:はっぴばーすでーとぅーゆー♪
キルスティン:……そうだ! 考えてみれば何でこの2人に祝ってもらわねばならんのだあっ!!
一同:(笑)
GM/楓:「それは俺のセリフだ!」
紫音:でも,結局そういうことになってんでしょ?
GM:だってねえ。楓は何だかんだ言って,アンナみたいなタイプの人には勝てないと思うし。
紫音:だろうね(笑)。
GM:久島に当然否やはないだろうから。ねえ?
村瀬→真二:ご飯食べさせてくれるなら喜んでついていきます。
キルスティン:…………。手作りケーキを前にしてぷるぷる震えています。で,だんだん髪が逆立ってきてます。
GM:クリス○ィンがア○シャになってきてると(笑)。
真二:いやあ,何だかキルスさんには運命を感じるなあ。
キルスティン:…………。
GM/アンナ:「さあ,キルスちゃん,ロウソク吹いて!」
真二:やあ,ロウソクの数が17本! キルスさんは俺と同い年か! いや,俺記憶ないけど同い年な気がするんだよね!(一同笑)
キルスティン:……怒りでロウソクを吹く息さえ震えている……。
GM:で,ロウソク吹き終わるとお母さんと久島は熱烈に拍手するんだけど,楓はこう,いかにも投げやりな感じで(と,ぱん,ぱん,ぱん……と手を叩く)。
キルスティン:……楓。無理しなくていいわよ。
GM/楓:「……ああ。そうさせてもらう」
キルスティン:……あたしはあんたなんかに祝って欲しくないのよ。
GM/楓:「……そのセリフをそっくり返そう」
真二:いやあお義母さん,美味しいですねこのローストチキン!
GM/アンナ:「まあありがとう! ほら,キルスちゃんも楓くんもどうしたの? せっかくのお祝いなんだからいっぱい食べてね! ええと,あなた……」
真二:久島真二です。とゆーか,記憶喪失なんですがそういう名前らしいです。
GM/アンナ:「まあまあ,真二くんね。あなたもいっぱい食べてね」
真二:食べてます。
GM/アンナ:「まあまあ,よく食べるわねえ。男の子はこうでなくちゃね!」
キルスティン:……久島,アンタ……。
真二:とりあえずお義母さんと話してるから。本丸の溝を埋めるために。
一同:(爆笑)
キルスティン:とりあえずサイテーの誕生日って感じ?(怒)
GM:まあそう言うなよ。えーとね,このままギャグやってると他の人が出られないんでね,話をさっさと進めようと思う。食事が終わって,楓が帰ろうとすると,アンナさんが「まあまあ楓くん,もう遅いし,せっかくだから泊まっていったら?」と。
キルスティン:ぎゃああああああっ! やめてええええええ!!(一同爆笑)
紫音:お母さん,確信犯なんでは?(笑)
真二:いやそんな悪いなあ。
キルスティン:ぎっ!
GM/アンナ:「今お布団2組用意するわね。楓くんもいいでしょ? つもる話もあるし。そう言えばご両親は?」
キルスティン:ドーベルマンとともにお亡くなりに。
GM:違わい! えーとそうすると,楓くんは本格的に暗い表情になって言う。「両親は10年前に離婚しました。母とはそれ以来会っていませんし,父も7年前に他界しました」
紫音:あ,そういう暗い設定にしたのか。
GM:したのだ。そういう恵まれない家庭だったので泪ちゃん家に逃避してきてたという設定なのだよ。ま,それはおいといて,話をさっさと進めよう。楓と久島は泊まることになってしまったよ。
キルスティン:イヤああああああァ!!
GM/アンナ:「(にこにこ)あのねあのね楓くん,このパジャマ,主人の使ってたもので悪いけど……」
キルスティン:やぁめてえママ! パパのものをこんな男に使わせないでえ!
GM/アンナ:「えー? でもこの象さんパジャマ,すっごくカワイイのに」
キルスティン:それはパパのお気に入りパジャマなの!
GM/アンナ:「あら,じゃあ真二くんに貸そうと思ってたウサちゃんパジャマは……」
キルスティン:それはもっとお気に入りなの!
鷹村:……つーかお気に入りだったのか?
真:パパ何者?(笑)
真二:ここは押入れからペンギンの着ぐるみパジャマを。
紫音:プチ○ノンのモーモーさんパジャマでも可。
キルスティン:(いきなり)あ,それならいいや。
一同:(爆笑)
GM:ま,まじっすかぁ!?

 形成逆転。
 当ったるか当ったらないかモーモーつーなぎプレゼント♪
 しかし,今の人にわかるのかモーモーさんパジャマ……。

GM/楓:「……待て。おまえ,それを俺に着せる気か?」
キルスティン:うん。
GM/楓:「……久島。おまえが着ろ」
真二:え?
キルスティン:(真二が何か言う前に)あらぁ,久島くんのはこっち。楓くんはこっちのパジャマを着てねぇ?
GM/楓:「…………」
キルスティン:どぉしたの楓くぅん? きっと,とおってもよく似合うわよぉ,このモーモーさんパジャマ♪
一同:(忍び笑う)
GM:(←さすがにちょっとうろたえている)ま,マジで着せるの? 楓に?
キルスティン:楽しいじゃん。
GM:楽しすぎてかえって笑えねえ!
紫音:まあまあまあ。ここでママさんが「まああ楓くん,何で着ないの? とってもカワイイわよ?」とか涙ぐんで言えば断れなくなるから。
GM:そこまでして着せたいかッ!?
紫音:当然です(笑)。
GM:ま,まあこれ以上やると話も進まないしね。では……。
真二:いや,着れば進む。
一同:(爆笑)
キルスティン:さあさあさあ楓くぅん? こっちのお部屋貸したげるから,必ずこれに着替えるのよ? か・な・ら・ず!
真二:キルスさんの好意を無にするのか?
GM:おまえら……(笑)。
キルスティン:で,楓の持ってきた荷物取り上げて部屋に押し込んで扉閉めてバリケード築きます。
GM:……キルス,さては楓いぢめに走る気だな?
キルスティン:うん。だっていぢめ役(←光のこと)がいないんだもん。
紫音:自分がヒエラルキーの一番下にいるのは許せないらしいよ(笑)。
真:これまで一番下だった人間がいないから(笑)。
キルスティン:と,いうわけで,モーモーさんパジャマ着るまで部屋から出さないわよ楓。
GM/楓:「…………」

 …………。
 今にして思うと,楽しかったかもしれないなぁ。
 モーモーさんパジャマな楓。
 ……楽しいかな。
 この時点ではすぐ後にシリアスシーンを控えていたため,着用されるとホントに困ったんだが。
 ……惜しかったかな。

GM:いや,だからいつまでもこんなことやってると,他の人が登場できないんだってば。
真二:だから着れば進むと……。
GM:キミは黙っとらんかい! というわけでモーモーさんパジャマを着るか着ないかはちょっとおいといて,話を進めるぞー。楓は閉じ込められてしばらくすると,ドアをばんばんと叩いて,「いつまで下らんことをやっている! どうでもいいが,俺の荷物を返せ!」
キルスティン:着替えるまで出さないもーん。
GM/楓:「……蹴り破るぞ」
キルスティン:きゃー! ママー! 楓がヒドイのぉ! 家を破壊するっていうんだよー!
GM:だからいつまでやっとんのじゃ!
一同:(笑)
キルスティン:えー? ホントに着てくんないの?
GM:だから話が進まないんだってば(悲)。楓はマジに焦った声で,「ふざけている場合じゃない! いいから荷物を返せ!」
キルスティン:そんなにマジなの?
GM:うん(悲)。
キルスティン:ちっ。仕方ないわねえ。じゃあ扉を開けて荷物ぼーん!と投げつけます。
GM/楓:「……貴様……」
キルスティン:何よ。何か文句あんの?
GM:……もぉいい。楓は黒いケースを取り出し,さらにそこから……ええと,アンプルってわかる?
キルスティン:薬とか入ってるヤツ?
GM:そうそう。それを注射器にセットして,袖捲り上げて……。
一同:…………。
紫音:い,いつからシャブ太郎にっ。
キルスティン:あんた,そこまで堕ちてるとは思わなかったわ……。
GM/楓:「……何の話だ?」
キルスティン:だってそれ,か,か,かくせい……。
GM/楓:「馬鹿か貴様は」
キルスティン:じゃあ何なのよ,それ。
真:実は糖尿病とか……。
一同:糖尿病!?(爆笑)
GM:違う違う違う!(笑)
真:え? でも今糖尿病って若い人でも……。
GM:だからそういう問題でもないって! これはアレ! 神楽が明日香と磨亜矢使って開発した抗ウィルス剤!
キルスティン:そうなの?(楓に)どういうことなのよ,それ?
GM/楓:「…………」
キルスティン:わけわかんねー奴ね。いいわよ。別にあたしはあんたのことなんてどうでもいいし。
GM/楓:「全くだ」
キルスティン:だいたい何なのよ? 今日はあたしの誕生日だってのにぶつぶつぶつぶつ……。
GM:まあまあ(笑)。そこへアンナさんと手伝ってた久島がお布団を運んでくる。
真二:はっ。何でも手伝わせていただきます。
キルスティン:ちょっと待った。ここってお父さんの部屋だったんじゃないの?
GM:多分そうでしょう。普通の日本家屋にそんなに部屋が余ってるとは思えん。
キルスティン:…………(←眉間にシワ)。
GM:(ああ,マジで話を進めなければ)ところでキルス,泪ちゃんに連絡しないの?
キルスティン:え? どして?
GM:泪は楓も久島も探してるんだが(笑)。
キルスティン:そうだっけ。
GM:そうだよ(笑)。楓のせいであれだけ大騒ぎしてるじゃないか。
紫音:迷子の楓ちゃんだから(笑)。
真:探し人。新条楓。年齢17歳,男。
真二:無愛想です。融通がききません。偉そうです。
紫音:まったくだ(笑)。
キルスティン:じゃあ楓に「あんた後やっときなさいよ」と布団を投げつけて,自分の部屋にいきます。で,携帯で泪ちゃんに電話します。もしもし,泪ちゃん?
GM/泪:「あら,キルスさんですか? ごめんなさい,今ちょっととりこんでて……」
キルスティン:まあそう言わないで。今ねえ,とってもステキなお客様が来てるのよぉ。
GM/泪:「はあ」
キルスティン:ふふふ〜。誰だと思う〜?
GM/泪:「誰なんですか?」
キルスティン:ふふふ〜。あなたのイ・イ・ヒ・ト♪
GM/泪:「…………」
キルスティン:あれ? どったの? 泪ちゃん?
GM:ただいま考え中……ただいま考え中……(笑)。
一同:5,4,3,2,1,
GM/泪:「楓がそこにいるんですかっ!?」(絶叫)
一同:(笑)
キルスティン:み,耳が……。
GM/泪:「あ,す,すみません」
キルスティン:てゆーか,おっきな声出すと楓に聞かれちゃうでしょ? アイツ,すぐ逃げるからさ。今夜うちに泊まることになってるから,眠ってる隙に……。
GM:(ころころ)と,いうところで背後のドアがばん!と開いたりして。
キルスティン:ぎゃあ!
GM:つかつかつか。ぷち(笑)。
キルスティン:何すんのよ,あんた!
紫音:それより,一体どこで聞いてたんだ,こいつ?
GM:《アクティブ・ソナー》使ってますんで,階下でも楽々と(笑)。
キルスティン:許せねえ……つーか,そんなことにエフェクト使うなぁ!
GM/楓:「……貴様,何のつもりだ」
キルスティン:何のつもりぃ? あ〜ら,あたしと泪ちゃんは友だちなんだから,あたしがいつどこで泪ちゃんに電話しようとあたしの勝手でしょぉ〜?
GM/楓:「…………」
キルスティン:何よ。何か文句ある?
真:(慌てて)はい。あの,それよりも,久島のことを相模原さんに話しておいてくれないと俺が困るんですが……。
キルスティン:そうなの?
真:そうなの?じゃなくて! 久島のことも探してるんだよこっちは!
キルスティン:だって楓が途中で電話切るからでしょ。……そりゃあたしも忘れてたけどさ。
真:やっぱ忘れてたんかいっ!
キルスティン:(無視)ちょっと楓。あたし,泪ちゃんに久島のこと話さなきゃならないのよ。大事な用なんだから,邪魔しないでよね。
GM/楓:「本当にそれだけか?」
キルスティン:他に何があんのよ。
GM/楓:「顔が笑っている」
キルスティン:え?
GM/楓:「顔が笑っている,と言ったんだ」
キルスティン:……うふふふ〜,そんなことないわよぉ楓くぅん〜。
一同:(笑)
真:はいはいはいはい! いいから電話するなら電話しようね!
キルスティン:じゃあもっぺん泪ちゃんに電話します。
GM/泪:「もしもし? キルスさん? 何でいきなり電話きっちゃうんですか?」
キルスティン:あたしじゃないわよ。楓がきったのよ。
GM/泪:「…………」
キルスティン:それよりもさぁ,大事なこと言えなかったのよ。あのね,今久島真二って奴もウチに来てんのよ。
GM/泪:「えっ!? 久島さんも一緒なんですか!?」
キルスティン:そうなのよ。アレ,泪ちゃんの部下でしょ? 楓がウチに連れてきたんだけどさ,
GM/泪:「え? どうして楓と一緒に?」
キルスティン:え? (GMに)そう言えば何でなの?
GM:……いやあ,肝心なことを訊いてないね,と思ってたんだ。
キルスティン:単に楓がどっかで拾ったんじゃないの?
一同:(爆笑)
キルスティン:え? 違うの?
真:この女わ……。
GM:(脱力している)いえ,「楓がどっかで拾った」のは確かなんですけどね。「どこ」で拾ったかが重要だったんだよ,この場合。
キルスティン:…………。(楓に)ところで,久島ってどうしたの?
一同:(笑)
GM:(さらに脱力している)楓くんはすっげえ冷たい目であなたを一瞥して,さっさと部屋に戻ってしまった。
キルスティン:あ,ちょっと,何なのよアイツ。
GM/泪:「もしもし? キルスさん?」
キルスティン:あ,ごめんね。今さぁ,楓に訊いたんだけど,アイツあたしじゃ教えてくんないのよ。えーと,部屋を飛び出して楓を追いかけます。
GM:え?
真:まだやりますかあんたわ?
キルスティン:(←まだやる気)ねええ楓くん,泪ちゃんにかわってくんないかなあ〜? かわろっか? ねえかわろっか?
紫音:おーい……(笑)。
真:このパターンが続くと,いつまでたっても話が進まないんだが……。
キルスティン:(無視)楓の方をがっ!と掴んで手に携帯握らせて……。
GM:ぷち。
キルスティン:あっ!
真:だからそうなるに決まってんじゃん!(笑)
紫音:彼の行動パターンをそろそろ把握してくれ(笑)。
キルスティン:……むう。ちょっと楓。あんたそんなに泪ちゃんと話したくないわけ?
GM/楓:「今はな」と言って携帯返します。
キルスティン:今は?
真二:ああ……今ここに久島がいたら,「倦怠期か!?」とかツッコめたのに。
一同:(爆笑)
真:おまえも余計なボケかましとんじゃねえええ!
キルスティン:わかったわよ。じゃあ泪ちゃんにはあたしからよろしく言っておくから,と言ってもっかい泪ちゃんへ……。
GM:いや,ちょっと待ってくれ。マジで話が進まないから(笑)。少し話を飛ばすね。今,キルスと楓は部屋で黙々と布団を敷きながら……。
キルスティン:楓,モーモーパジャマは?
GM:だあああああああああ!!
一同:はいはい,いいからいいから(笑)。
GM:勘弁してくれよ,マジでシリアスシーン苦手なんだから! 腰折らないように!
キルスティン:あ,シリアスシーンだったの?
GM:そうしたかったんだよ,さっきから(悲)。えーと,そうやってると,楓はいきなりぼそっと「いい母親だな」と呟く。
キルスティン:えっ?
GM/楓:「…………」
キルスティン:……よくわかんないけど,誉めてくれるのは嬉しいわ。ありがとう。
GM/楓:「別に,おまえを誉めたわけじゃないぞ?」
キルスティン:そんなことはわかってるわよ。何よ,自分の母親誉められてお礼言っちゃいけないの?
GM/楓:「……母親が大事か?」
キルスティン:あたりまえでしょ! あんたはどうなのよ?
GM/楓:「…………」
キルスティン:…………。
GM/楓:「……俺には母親なんていないも同然だったからな」
キルスティン:ああ,10年前に離婚したってヤツ? でもそれまでは覚えてるんでしょ?
GM/楓:「…………」
キルスティン:何よ。自分を捨ててったからって,ママのこと恨んでるってわけ?
GM:……えーと,本当にそう言うのね?
キルスティン:何かまずかった?
GM:いや,別にマズくない。えーと,久島。
真二:はい?
GM:久島は今まで,アンナさんの手伝いしてたんだよね? そろそろ部屋に戻ってきてくれる?
真二:ではついでに枕カバーを持って。
GM:了解。ではキルスと楓に話を戻すと,楓はキルスから視線を逸らしてこう言う。「俺はあの女を母親と思ったことはない」
キルスティン:……ずいぶんな言い方ね。
GM/楓:「…………」
キルスティン:あたしは別にあんたのことに立ち入るつもりはないけどさ。お母さんが何だっての?
GM/楓:「……もともと,結婚当初からろくに家にも帰らず研究三昧だったそうだからな。いないならいないで,俺に何ら変わりがありはしなかった。一生,俺の前に現れないでいてくれればな」
キルスティン:その後,お母さんと会ったの?
GM/楓:「俺の家が,何者かに襲われた日に。父親が死に,俺も重傷を負った。半ば意識を失いかけていた俺に,あいつはいつもの冷たい顔で注射器を押しつけた」
キルスティン:……まさか,それって……。
GM/楓:「そのまさかだ。それが俺がオーヴァードとなった契機。実の息子を,あの女は実験体に使ったわけだな」
キルスティン:…………。
真:(ぼそっと)で,名前は千葉桂子。
GM:……皆さんおわかりでしょうが,今は黙っておいてください(泣)。
真:はい,すみません。話を続けてください。
GM:はい。で,そろそろだな。久島,この辺でドア開けてくれる? キルスはちょっと知覚チェックを。
キルスティン:うん? でも9だよ?
GM:いや,明らかに様子が変なんで9でもわかる。俯いてぶつぶつ言いながら震えている。しかも握り締めた拳から血が滴ってる。
キルスティン:え? ちょっと,楓,手……。
真:ヤバイ!
紫音:暴走だ!
真:楓って衝動なんですか?
GM:「破壊」(笑)。
キルスティン:え? え?
GM/楓:「……そうだ。俺はあの女を母親などと決して認めない。あいつは俺から全てを奪った。家も,家庭も,人間らしい生活も何もかも! あの女さえいなければ,俺はこんな怪物にならずに済んだ!」
キルスティン:ちょっと楓。アンタ変よ。落ち着きなさいよ。
GM/楓:「俺はあの女を許さない……八裂きにしても飽き足らない!」
キルスティン:(焦って)ちょっとやめてよ。部屋壊さないでよ。お父さんの部屋なんだよ。
GM:……ああ。そうだったね。ごめんね。
キルスティン:「ごめんね」じゃなーい!
一同:(爆笑)
キルスティン:ああー! パパの大切な思い出がぁ!
GM:と,いうわけで《電光石火》《さらなる波》《浸透撃》で(と,大量のサイコロを振る)。
真二:うわ,ヤバイヤバイ! 何個振ってんだこの人!
GM:……えーと,64。死ぬかな? 死ぬな。
一同:(さらに爆笑)
キルスティン:え,えーと……。
紫音:避けない方がいいと思う。
真:下手にエフェクト使って侵蝕値上げるだけ無駄。
キルスティン:だってパパの部屋なんだよ!?
真:でも,それだと単体攻撃なんで,部屋は壊れないし。
GM:ああ,そうだね。それなら《獅子奮迅》も加えようか。(ざらざら)で,52点の装甲値無視,とかダメージだしてもあんま意味ないよね。キルス昏倒で,さらに壁が吹っ飛ぶな。
一同:(大爆笑)
キルスティン:鬼ですかアンタわ!
GM:別に意味なく破壊してるわけじゃないよ(と真を見る)。
真:ああ,なるほど。
GM:でもそれは次のシーンね。ここでシーンきります。
キルスティン:何ぃ!? 信じられねーこの男!

 

SCENE 7


G M:ああ,しかし長いシーンだったなあ(笑)。でも鷹村や久遠紫音はちょっと待っててね。大谷です。時間を少し戻しまして,本部でとりあえず雑多な用事済ませたとこなんですけど。泪ちゃんから電話がかかってきます。
真:あれ? はい,大谷ですが?
GM/泪:「あ,大谷さん? すみませんけど,今どこにいます?」
真:え? 本部ですよ。
GM/泪:「キルスさんの家って知ってますよね?」
真:はあ。住所だけなら。キルスティンがどうかしましたか?
GM/泪:「実はですねえ。落ち着いて聞いてくださいよ。キルスさんとこに,楓が久島さん連れて来たみたいなんですよ」
真:……はあ!?
GM/泪:「えーと,私にもよくわからないんですけど,キルスさんから電話でそう言われたんですよ。でも,その電話が何故かぷちぷちきれるので……」
真:新条がきってんじゃないですか?
GM/泪:「私もそう思います」(笑)
真:それで? 俺に引き取りに行けってんですか? いいですけど,俺,久島を追ってるのももちろんですが,新条とも相性悪いですよ?
GM/泪:「楓と相性のいい人間ってあんまりいないから大丈夫ですよ」
一同:(笑)
キルスティン:ならアンタが来いよ!
GM:だから泪ちゃんは今手が離せないんだって。それ以前に泪が行ったら楓が逃げる(笑)。
真:それはわかってますよ。俺が行きますよ。しかし,あんたも因果な男にホレましたな。
GM/泪:「放っておいてくださいッ!!」(一同爆笑)
真:では,バイクでキルスの家に向かいます。
GM:すると,2階の壁がどぉん!と吹っ飛ぶわけやな(笑)。
キルスティン:(まだぶつぶつ言っている)信じらんねーよあの男。許さねえ。絶対復讐してやる。
GM:はいはい,気絶している人は黙っているように。
キルスティン:弁償しろ。家建てなおせぇ!
真:はいはい。壁って,穴が開いたんですよね。ではそこからよじ登って瓦礫の中を覗いてみます。自分的にはあれは久島か?とか思っています。
真二:あれ? ところで俺ってどうなったの?
GM:すまん。久島は今回チョイ役なので,あれで登場終わり。
真二:はーい。
真:何ぃ!? せっかくここまで来たのに!
GM:だって敵に回った久島って想像つかないんだもん(笑)。それはそうと,ボロボロになって気絶しているキルスがいて,その横にジーンズとTシャツ姿の楓くんがちょこんと正座しています。
一同:何じゃそりゃ!?(笑)
キルスティン:反省しやがれ反省しやがれ頭に1トンの重石をのせて!
真:はいはい,あんたは黙ってるように。
キルスティン:ばけやろー! 早く起こせー!
真:(無視)えーと,楓をじーっと見てみます。
GM:楓は何やら頼りなげな感じであなたをぼーっと見返します。
真:えーと,新条?
GM/楓:「……『新条』?」
真:…………?
GM:えーとね。キルスそろそろ目を覚ましていいよ。
真:では抱え起こして揺さぶります。おい,生きてるか?
キルスティン:……ああ……ええと,あんた誰……?
真:俺はUGNの大谷だ。
キルスティン:ああ,あんたが大谷……。
真:えーと,《カンビセスの籤》を使います。これで全回復しました。
キルスティン:あ,ありがと……はっ! ママ! ママは!?
GM/アンナ:「ママは大丈夫よ〜。一体何があったのぉ〜?」
キルスティン:よ,よかった。
GM/アンナ:「キルスちゃんこそボロボロ……楓くんと真二くんは無事なのー?」
キルスティン:……楓……かぁえでぇ! ああんたねええええ!
GM:でも楓は「この人何を怒ってるんだろう?」という目でぽーっとあなたを見ていたりして(笑)。
キルスティン:…………。何これ。
真:……おまえ,自分の名前は言えるか?
GM/楓:「……名前……」
真:思い出せないのか。
GM/楓:(首を縦に振る)
真:年齢は?
GM/楓:(首を横に振る)
真:わかった。とりあえず今は何も考えなくていい。
キルスティン:……何,こいつ。まさか記憶喪失?
真:どうやらそうみたいだな。
GM/楓:「記憶喪失……僕が……そうなんですか?」

 一同,一瞬凍りつく。

キルスティン:か,楓ちゃん?
GM/楓:「『楓』……それが,僕の名前なんですか」
真&キルスティン:……ぐッ!(←気色悪かったらしい)
鷹村:何で性格違ってんの?
紫音:ん? それはね(笑)。
GM:言っとくがアニメネタじゃないぞ。……そうなんだってば。

 もうわかってる人にはわかってるしわからない人にはわからないだろうから細かい説明は省くが,某アニメにおける楓のモデルの人は,記憶喪失になって性格が変わるのである。さわやか少年になるのである。一部視聴者(特に女性ファン)は喜んだらしいが,松井やみうりぃ氏含む大多数はあまりのサムさに身悶えしたとか。
 ……閑話休題。
 アニメネタじゃないんだってば。これはホント。
 記憶喪失ネタは,むしろ久島を登場させたかったためである。
 『敵にまわった久島』をどうしても想像できなかったため,いっそ記憶をとばしてしまえと。
 安直かい? 安直だな。そうだよな(ヤケ)。

真:と,とりあえず,相模原さんに連絡いれます。
GM/泪:「はい? あ,大谷さんですか? 楓と久島さん,どうしました?」
真:あ,えーと,久島は今いないみたいです。どこへ行ったのか……。
キルスティン:それは,あたしもわかんないよね?
GM:気絶してたからね。そのかわり楓が,「あの,それはひょっとして,さっきまでここにいた人のことですか?」
キルスティン:そうよ。あんたが連れてきたんだけど。
GM/楓:「そうなんですか? あの,彼なら『真実の愛を探しにいく』と言って出て行ってしまいましたけど……」
一同:(爆笑)
真二:俺って……そうだったのか……(笑)。
真:あ,あんのヤロウ……。(楓に)ええと,どっちに行ったかまではわからないな?
GM/楓:「ええ……すみません」
真:い,いや,いいんだ。おまえのせいじゃないから。おまえ,他には何も覚えてないんだな?
GM/楓:「はい……あ,ひとつだけ覚えていることがあります。金髪の優しそうな女の子です。僕は……ずっとその人を探していたような,気がして……」
真:それは誰なんだ?
GM/楓:「すみません。それはわからないんです」
真:よくわからんが,とにかく今は余計なことは考えんでおけ。
GM/泪:「あの,大谷さん? どうしたんですか? 誰と話してるんですか?」
真:あ,すみません相模原さん。あのですね,久島を取り逃がした以上に厄介なことが起きてるんですよ。
GM/泪:「は?」
真:新条が記憶喪失みたいなんです。
GM/泪:「……はあ!?」
真:どうやら自分の名前まで覚えてないみたいで,全生活史健忘ってヤツじゃないですかね。
GM/泪:「……え,ええと,ど,どうしましょう」
真:いや,どうしようったって,とりあえずはどうしようもないんじゃないですか?
GM/泪:「え,いや,でも,私がそっちに行って,あ,でも今は光さんが,あ,でも」
真:だからあんたも落ち着きなさいって。
GM/泪:「す,すいません。とりあえずそこ,警察来ますよね。楓を連れて,私のマンションに行っててくれませんか」
真:ああ,そうさせてもらうつもりでした。てゆーか,俺,相模原さんとこに住めって局長に言われてんですが……。
GM/泪:「それは全然構いませんよ。すみません,私もこっちが片付いたら急いで行きますから!」と,いうわけで……。
真:(ため息)ええと,夜分お騒がせして申し訳ありませんが……。
GM/アンナ:「あ,私はキルスティンの母でアンナと申します」
真:そうですか。俺は……ええと,UGNって言っちゃっていいの?
キルスティン:あたしはちゃんと言ってると思う。
GM:キルスがオーヴァードとして生まれた時点で勉強もしてるし,問題なし。
真:ああ,では,UGNの大谷真です,と自己紹介します。
GM/アンナ:「まあ,いつもキルスがお世話になって」
真:いえ。ところでこの惨状なんですがね。ご存知ないかもしれませんが,彼もオーヴァードなんです。どうやら,こいつが暴走してこうなったらしい。
GM/アンナ:「あら……でも,楓くんはいったいどうしたの?」
真:よくわかりません。暴走の影響かもしれませんが,記憶を失っているようです。
GM/アンナ:「まあ! 真二くんに続いて,楓くんまで記憶喪失!?」
真:……そうだったんですか? とにかく,精密検査をしてみないと何とも言えませんので,新条はこちらで預からせていただいてよろしいですか。
GM/アンナ:「ええ,お願いいたします」
真:それとキルスなんですが……。
GM/アンナ:「キルスちゃん。キルスちゃん,あなたも一緒に行きなさい」
キルスティン:ママ……。
GM/アンナ:「大丈夫よ。ここはママが何とかするから」
キルスティン:ママ……ごめんなさい……。
GM/アンナ:「あら,どうして謝るの?」
キルスティン:…………。でも……。
GM/アンナ:「大丈夫よ,警察にはママが上手いこと言っておくから!」
一同:こらこら!(笑)
キルスティン:ま,ママ,それはちょっと違う……。
真:上手いこと言うとかよりですね,俺らのことを黙っててくれれば,後はUGNで何とかしますから。
GM/アンナ:「あら,大丈夫ですわ。謎のウサちゃん怪獣がやってきたとか上手くごまかしますから!」
真:ガス爆発ぐらいにしといてください! てーか何口走ってんですかアンタわ!
紫音:あんたマジボケですか!?(笑)
GM:では,ここいらでシーンを変えるということで……。
キルスティン:あ,ママ。ママに訊き忘れたことがあったんだけど。
GM/アンナ:「ん? なあに?」
キルスティン:ママって,楓のお母さんと知り合いだった?
GM/アンナ:「ええ,そうよ。ママの弟がね,楓くんのお家にちょっとお世話になってたことがあったの」
キルスティン:あのね,楓のお母さんって……何やってる人? 何て名前?
GM/アンナ:「新条桂子よ。えーとね,大学の先生だったの」
キルスティン:何か研究してたの?
GM/アンナ:「……うん,ちょっとね。レネゲイド・ウィルスの研究をしてたの」
キルスティン:そっか……。
真:おい,キルス,いいか? 警察が来ないうちに逃げ出すぞ。
GM:はい,というわけで今度こそシーン変えまーす!

 

SCENE 8


GM:はいっ,運びが悪くて大変申し訳ございませんでした! 待ちぼうけを食ってたお三方でございます。とりあえずシーン・プレイヤーは……。
真:順番からいうと鷹村。
鷹村:あ,そうなの?
GM:久遠紫音じゃなくて?
真:鷹村,シーンプレイヤーにでもならないとしゃべらないじゃん!
一同:(笑)
鷹村:うーん……(笑)。
真:おまえ,少ししゃべれよ(笑)。
GM:はい,じゃあシーンプレイヤーは鷹村。あと,村瀬は登場を要請する。
真二→村瀬:はーい。
GM:では状況を説明しよう。一夜明けて,まだ始業時間より早い時刻である。UGNのメンバーズは,顔合わせのため,村瀬のところに集まることにしたのだった。
鷹村:どこに。
GM:だから村瀬のところに……。
鷹村:だから,どこに行けば村瀬に会えるのかがわかんないんだけど。
GM:それは……あれ? そう言えば村瀬って結局何の先生なの?
村瀬:あ,まだ決めてなかったな。
GM:じゃあ用務員さんにしよう。用務員室使えるし。
村瀬:用務員さんは「学校の先生」じゃないと思うんだけど。
GM:細かいなあ。
村瀬:いや全然細かくないし。わかったよ。いいよ保健室で。秘密基地に改造できるし。
GM:いやそれもよくわかんないんだけど(笑)。そもそも男は保険医になれないっしょ。
紫音:グリーン○ッド……。
キルスティン:ハレのち○ゥ……。
村瀬:え? でも俺の学校って男の保険医いましたよ?
真:そりゃ男子校だからだよ。
村瀬:がーん!
鷹村:女の子のことは女の先生しか診られないってあるからね。
村瀬:むうう。じゃあきっと男女両方いるんだよ。
GM:んな馬鹿な(笑)。
村瀬:しかし,そうなるともう秘密基地に改造はできなくなってしまったな。
GM:だから何故改造するか!
真:おい。なあおい。今回はマトモなキャラをやるんじゃなかったのか?
村瀬:今回は普通ですって。
鷹村:何となく入りづらいんだけどなあ……。
村瀬:そんなことはない。眼鏡かけて白衣きた普通のお兄さんがいるだけだ。
真:おまえが言うとアヤシイんだよ!
鷹村:…………。まあいいや。じゃあ保健室くるまでは普通の生徒のフリして来て……ちわーす,鷹村です。えーと……。
GM:……生理痛?(一同笑)
紫音:ダメだ! それを言っちゃダメだ!(笑)
GM:え? ダメ?
鷹村:いいけど,お約束だなあ……。
村瀬:え? 男キャラじゃなかったの?
鷹村:男ですよ。
紫音:男だけど生理痛なんだよ(笑)。
鷹村:まあお約束だから(笑)。
村瀬:よし,いいだろう。男として生まれたからには不可能を可能にしなければならないからな。
一同:(爆笑)
鷹村:そういう問題なのか?
村瀬:将来の夢はお嫁さんかい?
鷹村:まあそういう冗談はさておいてだ。
村瀬:そうだな。まあかけたまえ鷹村くん。それともベッドに寝るか?
鷹村:……椅子でいいです。
村瀬:他の2人はどうした?
鷹村:俺は知らない。そのうち来るんじゃない?
紫音:はい,そのタイミングで登場します。(だるそうな声で)ちわーす,世話になりまーす。
村瀬:おや。いらっしゃい。
紫音:すいませーん,朝から生理痛で気持ち悪いんすけどー,ちょっと寝かしてくださーい,と言って勝手に布団にもぐりこみます。
キルスティン:こいつら……。
村瀬:鷹村くん,彼も生理痛らしいんだが,ベッドが空いていないんだ。もしよかったら彼と一緒に寝てくれないか。
鷹村:結構です。
村瀬:君はもう具合はいいのか?
鷹村:いやそうじゃなくて。これ,顔合わせじゃなかったんですか?
真:ではそこで登場します。すみません,大谷です。遅れました。
キルスティン:あ,じゃああたしも登場しようかなあ。
GM:いいけど,あんたら楓はどうすんの?
キルスティン:あ,そうか……。
真:お家でお留守番じゃないんですか?
GM:1人で置いとくの? あの状態の楓を?
真:う……(笑)。
キルスティン:泪ちゃんは戻って来なかったの?
GM:来てないね。
真:ああ,でもどっちにしろ学校には連れてくるしかないんじゃないですか? 霧谷さんに連絡はとってるだろうから,楓の転入届偽造してもらって。
GM:了解。しかし転入生の多い学校や(笑)。
真:制服は俺の予備がありますから。
キルスティン:じゃあ,私は楓連れて,少し後から来ます。
GM:(ぜ,全員登場する気か?)はいはい。
キルスティン:(がらっとドアを開ける)先生,生理つ……。
村瀬:ベッドふさがっておりまんがな。
一同:(笑)
真:生理痛って伝染病だったのか……。
村瀬:また生理痛かい? いやあ,この学校はチャレンジャーが多いね。
キルスティン:あたしは女よ。だいたい,何で男が生理痛になってんのよ!
紫音:それはお約束ってことで理解してくれよ(笑)。
鷹村:(ぼそっと)あのさあ。
GM:はい?
鷹村:さっきから生理痛の話しかでてなくて,全然話が進まないんだけど。
一同:(爆笑)
GM:では,話を元に戻そうね(笑)。
キルスティン:で,何で直矢兄ちゃんがここにいるの?
村瀬:やあキルスちゃん。今日からこの学校に赴任して来たんだ。
キルスティン:何で保険医やってんの?
村瀬:いけないかい?
真:はいはいはい,いいから,ドア閉めろよあんた。
GM/楓:「あの,これはいったい……」
真:はいはい,おまえさんも入った入った。
GM/楓:「? は,はあ……」
鷹村:ところで,そいつは?
真:え? ああ,こいつは新条楓だ。
紫音:例の重要参考人の?
真:そうなんだが,今記憶を失ってる。
村瀬:ふむ。それは困ったな。
真:本部も松山のことでごたごたしてるらしくて,とりあえず俺とキルスが預かってる。
村瀬:うむ,それはよろしく頼む。
GM:なお,久遠紫音さんや。
紫音:なんだい?
GM:冒頭の判定の追加情報。千葉桂子なんだが,誰に似てるか思い出した。
紫音:楓に似てるんでしょ?
GM:そう。ただし久遠紫音が見たのは相模原泪の報告書にあった写真。それに似てたの。だから思い出すのに時間がかかったわけ。
紫音:了解。それはいいんだけど,いいかげんフルネームは……。
村瀬:とりあえず,顔合わせを始めようか。
紫音:あんたが俺たちのボスなんだろ。
村瀬:ボスというか,まあ,今回君たちの指揮をとらせてもらう。村瀬直矢だ。よろしく。
真:大谷真です。よろしくお願いします。
紫音:久遠紫音でっす。
鷹村:えーと……。
キルスティン:(いきなり甲高い声で)ええ? 何で直矢兄ちゃん,いつの間にUGNに入ってんの!?
村瀬:うん,何の因果かこういうことになってしまってね。
キルスティン:そうなの? あたしも今UGNに協力してんのよ。
鷹村:えー……。
真:はいはいはい! 思い出話はあと! 鷹村がしゃべれないだろ!
鷹村:いや……どうも。鷹村隆一です(笑)。
真:それだけか!
鷹村:いやあ……。
真:しゃべれ! しゃべれよ鷹村! おまえがシーンプレイヤーだぞ!
鷹村:うーん。
真:おまえ,あんまりしゃべらないとぬらりひょんになっちゃうぞ(笑)。
紫音:鷹村具合でも悪いの? 痔? 便秘?
村瀬:生理痛が重いんだ,きっと。
紫音:生理痛なら俺のが重いよ。
鷹村:いやもう生理痛ネタはいいよ(笑)。とりあえず,今回は上司の話を聞きにきたから。別に俺がしゃべらなくても。
村瀬:うむ。と,いうわけで今回の任務だが,まずは千葉桂子の監視だ。
紫音:あの美人サンな先生だね。
真:千葉桂子……新条桂子か。
GM:……ん? 待て。何故そんなことを知っている?
真:違うんですか?
GM:そうだよ。そうなんだけど,千葉桂子イコール新条桂子ってのは,知らないはずっしょ?
真:(考えて)……あ,いや。ちょっとそう思っただけで……。
村瀬:そうか。実は,彼女は楓くんの母親なので,
GM:だーかーら! 何故それを知っている!?
村瀬:あ,あれ? (考えて)そうだ。俺も知りません。ちょっと情報が錯綜してます。
キルスティン:私はママから楓のお母さんが千葉桂子だって聞いたよね?
GM:聞いてねーよ!
キルスティン:あ,あれ?
紫音:え,えーとね。楓の母親が千葉桂子だって情報はまだ誰も持ってないと思う。唯一俺が,千葉桂子と楓がソックリだって「ピンときてる」だけで。
一同:…………。

 ただいま,考え中(笑)。

鷹村:すいません,激しく混乱しています。
GM:ですね。……いやすまん。私も混乱してきた。

 毎度ですが,「誰が何を知っているか」ってのは混乱しやすいですな。しかも管理統括すべきGMがすでに混乱してるんじゃ,話にならん(泣笑)。
 とりあえず,全員で各人の「知っていること」を整理してみたり。

@共通して持っている情報:
 現在,松山光は病院で昏睡状態にある(だけ,だよな……)。
A鷹村:
 液体と化して消えた特殊なジャームを目撃している。また,それを黙って見ていた不審な女性がいた。その女性はこの学校の教師である。
B紫音:
 同じくジャーム(ただし液体化した後)を目撃している。それを見ていた女性は千葉桂子という名前の非常勤講師。彼女は新条楓に非常によく似ている。
Cキルスティン:
 楓と「記憶喪失の」久島に会っている。
 楓が抗ウィルス剤を使っているのを目撃している。彼は7年前,母親にレネゲイド・ウィルスを注射されてオーヴァードとなった(その経緯から,母親を激しく憎悪しているらしい)。また,母親の名前は新条桂子で,レネゲイド・ウィルスを専門に研究している学者。13年前,アンナが彼女の家に滞在していたことがあったらしい。
D真:
 楓が久島と行動していたのを目撃。ただし彼は久島に会っていない。
 楓の母親の名は新条桂子。彼女はレネゲイド・ウィルスの研究者で,キルスティンの母,アンナと知り合いらしい。
E村瀬:
 鷹村が倒したジャームは“フィーヴァー・ドリーム”に侵されていた。これは9つのシンドロームには分類できない,レネゲイド・ウィルスの変異種である。松山光の昏睡の原因もこれ。
 千葉桂子はレネゲイド・ウィルスを専門に研究している医学・生物博士である。彼女は千葉京介の姉。また,千葉京介が付近の大学病院に赴任する(つまりレネゲイド・ウィルスをばらまきだす)のと同じ時期に,多摩第一高校の非常勤講師になっている。

 ……はっきり言って,各人の持っている情報にえらい偏りがありますな。これはマスターの責任だー。ひーん。
 さらに,見事にすっぽ抜けている情報がひとつある。
 楓と久島が何故一緒にいたか,である。
 これを訊くべきはキルスだったぞ。モーモーさんパジャマにこだわっている場合ではなかったぞ(笑)。

村瀬:……やっぱり,新条桂子イコール千葉桂子ってのは誰もはっきりとはわかりませんな。
紫音:ま,そうなんじゃないかってのは見当つくけどね。
真:レネゲイド・ウィルスを研究してる人ってのはそうそういないはずですから。
GM:まあそうなんだけど,あんたは新条楓の母親だろう!とツッコんだところで,何の解決にもなってない(笑)。
村瀬:そうなのだ。我々がマークせねばならないのは,彼女が千葉京介の起こした事件と何らかの関わりがあるのではないか,ということだ。
真:彼女はオーヴァードなんでしょうかね。
村瀬:さあ。それは考えてなかったな。プレイヤー的には,そんな気もするけど。
真:鷹村,久遠,おまえらワーディングはかけなかったのか?
紫音:ああ。そう言えばそうだな。
真:そうすれば一般人かオーヴァードか判断できたのに。
鷹村:うーん,まあね。
真:まあねじゃなくて(笑)。
鷹村:(のプレイヤー)いや,私が知らなかったから,それ。
真:あ。
村瀬:まあ済んだことは仕方なかろう。とにかく,我々は彼女をマークする。それと,他にも“フィーヴァー・ドリーム”に感染したジャームもしくはオーヴァードがいるかもしれん。注意するように。それと大谷くん。
真:はい?
村瀬:きみは楓くんの保護もよろしく頼む。彼はUGNにとって重要な人物らしいからな。
真:それはもちろんですよ。
キルスティン:直矢兄ちゃん,あたしも協力してんのよ。あたしも楓の面倒みるわよ。
村瀬:ああ。よろしく。
キルスティン:楓,この人,直矢兄ちゃん。あたしが昔世話になった人なのよ。ちゃんとご挨拶してね〜。
GM/楓:「はい。よろしくお願いいたします」
真:…………うッ!(←やっぱり気持ち悪いらしい)
キルスティン:ふふふーん♪ 直矢兄ちゃん,この子は楓〜。とってもかわいらしくて優しい子よぉ〜。
GM:……いいけど,キミ,いつまで楓いぢめを続ける気だね。
キルスティン:お父さんの部屋をぶっ壊してくれた恨みが晴れるまで♪
真:やめろよ! この楓はマジで気色悪いんだから,あんまイジるな!
村瀬:しかし,俺はモトを知らないからなあ。
紫音:こういう性格の少年なんだ,と思ってるよ(笑)。
鷹村:同じく。
紫音:うーん,しかし似てるなあ,と思いつつじーっと。
GM/楓:「あの,僕の顔に何かついているんですか?」
紫音:いやあ? キミって,ホントに美人だよね〜。
一同:(爆笑)
真:男男男! こいつは男だ! 何をトチ狂っておるか!
鷹村:おまえ,そういうシュミがあったのか。
紫音:いやあ? そういうワケじゃないけど〜。と,言いつつ,楓の耳元でささやきます。
一同:おいおい!?
紫音:……キミのお母さんって,美人だよね〜。
一同:あ,何だ。そういうことか。
紫音:何だと思ったんだね,キミたち。
キルスティン:え? だって今のささやきの内容は聞こえてないから,やっぱこいつはこういうシュミが,と思ってますよ。
紫音:俺は女の子ひとすじです!
真:はいはい! もうここでこのシーンはきりましょう! いいですよね!?
GM:いや,私にというより……。
村瀬:鷹村に訊いてくれ。シーン・プレイヤーなんだから。
鷹村:……え?
真:てーか,しゃべれ! しゃべれよ鷹村!
一同:(爆笑)
鷹村:いやあ……。