#4 The Sleeper
 

 

PRE-PLAY


GM:えー,今回磨亜矢奪還は成ったんですが,神楽が逃げましたね。
泪:(のプレイヤー)「これで終わり」はプレイヤー全員が納得してないんで(笑)。次回から私がGMやらしていただきます。
GM:んじゃ俺はプレイヤーやってもいいの?
泪:そろそろメンバーを変えていきたいな,と思ってたんですよ。だから固定になってた光と泪を外そうと。それと今回,キルスティン主役でいきます。
GM:キルスですか?
泪:主役というか,「あの人」のお守に苦労してもらう役ですけどねー(邪悪な笑い)。
GM:ということは,ヤツは続投?
泪:ですね。それと前回までのNPC,こっちで勝手に設定加えちゃいましたよ。
GM:ええ? 誰の?
泪:それはプレイしてのお楽しみ〜。


GM:ではGMも変わりますし,現在の状況説明から。
一同:はーい。
GM:えー,まずは前回しっかりウィルスに侵蝕されまくって墜ちた光ですが,現在例の抗ウィルス剤を投与されつつ,意識不明の重態です。ちなみに前回言い忘れてたかもしんないけど,光の身体を侵蝕してるウィルスって,ちと特殊なんですよ。
キルスティン:そうなの?
真:千葉のせいでそうなったんでしたっけ?
紫音:いや,アレは元から,という設定だった。
GM:単に変異型なの。で,UGNの医療チームが,現在治療とそのウィルスの研究を行っている。泪および明日香&磨亜矢はそれに参加しているので,今回はお休み。ただし泪ちゃんはツナギ役として使ってよし。特に大谷はいきなり霧谷さんに連絡はとりにくいだろうから。
真:え? いや,そんなことは……。
GM:何をゆーとる。前回勝手に久島を追いかけて,姿くらましてたでしょ。立派な服務規定違反。
真:がーん!
GM:と,いうわけで,今回のメンバーもやっぱり多摩一校で活動してもらうんだが。
キルスティン:また転校生?(笑)
村瀬:めっちゃ目だってますな。
GM:えーと,鷹村は他の任務についてて,そのまま戻ってきたってことでいいでしょ?
キルスティン:やっぱカンボジア?(笑)
鷹村:それは雨追。
キルスティン:そう言えば雨追はどこへ行ったんだろう。やっぱアフガ○スタン?
真:北○同盟に参加してるとか……。
一同:(笑)
GM:ま,まあ時事ネタはやめようね。あともう1人UGチルドレンは,泪たちとは別件で潜入してたってことにしようと思ってたんだけど……ねえ,名前決まった?
紫音:決まりましたよ。久遠紫音です。
GM:……? それ,どうやって書くの?
紫音:久しいに遠いで久遠で,紫に音って書いて紫音。
村瀬:……うぁ。めっちゃアヤシイ……。
GM:売れない同人小説家みたい……。
キルスティン:てゆーか,私は漫才師かと思った。今いくよくるよみたいな。
一同:(爆笑)
キルスティン:くおんでーす!
GM:しおんでーす!
GM&キルスティン:2人合わせてくおんしおんでーす!(笑)
紫音:いや……だから日系2世って設定でさあ,本名はシオン・久遠くんなんだよ。
真:ははあ。それに適当に日本名を当てはめたと。
GM:にしてももうちょっと考えた方が。
キルスティン:やっぱり漫才師みたい。
紫音:放っといてください。
GM:じゃあ久遠紫音は別件が片付いたんで,今回新たにチームに配属されるってことで。
紫音:いいけど,わざわざフルネームで言わなくても。
GM:(無視)最後,村瀬直矢氏は今回新たにUGNから派遣されたエージェントですね。転校生は飽きたんで,今度は学校の先生ってことで。
村瀬:了解です。
真:(ぼそっと)また俺がツッコまなくちゃならんのか……。
村瀬:失敬な。今回はマトモなキャラを演るんですよ俺は(←久島真二のプレイヤーである)。
真:……何かこう,信用ならないんだよな。
GM:別に村瀬がボケなくったって,ボケはいっぱいいるよ。まずキルスがボケでしょ。
キルスティン:失礼な。私のどこが……。
GM:(無視)久遠紫音はプレイヤーがギャグキャラだって言ってるし,今回NPCの「あの人」がボケまくる予定だから。
真:ボケが多いということより,俺以外にツッコミが不在だというのが問題なんですけど(と,鷹村を見る)。
GM:鷹村は「ツッコまない男」ですから。
一同:(笑)
真:ツッコめ。ちゃんとツッコめよ。
鷹村:うーん……(笑)。

 

SCENE 1


 雨の夜。
 黒いコートを着た青年が,傘も差さずに歩いている。
 白っぽく濡れた金髪から,幾つもの筋が頬から顎へ伝って落ちる。彼はそれを拭おうともせず,ただふらふらと歩いている。高熱に侵された病人のようだ。
 その歩みが,ある家の前で止まった。
 ごく普通の二階建てである。通りに面した窓から,カーテンの隙間を通して灯りが漏れている。女ふたりの楽しげな笑い声に,青年は顔をあげた。
 無表情だった白い面に,ようやくかすかな表情が浮かぶ。
「やっと……やっと見つけた。ずっと捜してたんだよ……」
「捜していたのはこっちだ。実に七年捜した」
 少し訛りのある英語で,背後から声がかかった。
 青年はのろのろと首を巡らす。
 背の高い男が立っていた。黒い傘から覗く顔の下半分が,酷薄な笑みに歪んでいる。
 ぼんやりと見返す青年に,男は言った。
「てこずらせてくれたな,“スリーパー”」

 

SCENE 2


GM:では,最初のシーンは……鷹村だな。
鷹村:はーい。
GM:鷹村と久遠紫音は現在多摩第一高校で監視を続行中なのだが。
紫音:だからフルネームで呼ばなくても……。
GM:(無視)そんなある日のことである。放課後,君がもう帰ろうとしている時,背後で男子生徒の叫び声が聞こえたような気がした。
鷹村:いま校庭にいるんですよね? じゃあ振りかえって,校舎とか見てみますけど。
GM:探すまでもないです。男子生徒が1人,必死の表情で窓を叩いている。
鷹村:…………。
GM:やがてその顔がさらなる恐怖に歪み,彼の姿はぐじゅぐじゅと崩れ落ちていく。
一同:ぐじゅぐじゅと!?
真:げーっ!
キルスティン:ホラー映画だホラー映画だ(←何故か嬉しそう)。
GM:で,鷹村は?
鷹村:んー……どこらへんの教室か見当つけたら,すぐさま駆けあがる。
GM:了解。放課後の教室は人気もなく,まだ騒ぎにはなっていないようだ。で,あなたが中に入ると,そこには制服を着た何かが立っている。
鷹村:何かって?
GM:つまり確かに制服は着ているんだが,青緑のアメーバというかスライム状のモノなんですよ。
鷹村:えーと,これって何?という知識はあるの?
GM:十中八九ジャームだろうと。レネゲイドウィルスに侵蝕されすぎて,バケモノになってしまったオーヴァードのなれの果て。
鷹村:…………。
GM:ちなみにその足元にはぐしゃぐしゃの布切れと化した制服が,ピンク色の液体にまぎれて転がっている。
キルスティン:何故にピンク? それ,人間?
GM:血と肉と臓物と脳漿と体液で,まあピンクな感じじゃないかと。
紫音:あー,赤血球が……。
鷹村:そんな細かく言わなくても(笑)。
真:はいはいはい! グロい話はどーでもいいから! 鷹村はどうなんだよ!
鷹村:え?
GM:いや,「え?」じゃなくて。スライムくんは君に向けてよたよたと歩いてくるんだが……。
真:とりあえず電撃を撃つ!
キルスティン:殴ってみる。
紫音:話しかける。
GM:さあどれだ。とりあえずちなみに彼が手をついた机とかがしゅわしゅわ音をたてて溶けていくんだが……。
真:ちなみにジャームって死なないんで,容赦なくやっちゃって大丈夫ですよ。
鷹村:じゃあ「電撃を撃つ」(笑)。
GM:《雷の槍》《MAXボルテージ》ですね。じゃあ侵蝕率を上げてから判定してください。8以上は10として扱って振り足ししてね。
鷹村:25……に〈RC〉レベル足して29。
GM:3個〈避け〉ボーナスがつくとはいえ……やっぱ無理だな。ダメージどうぞ。
鷹村:えーと,ダイス目で11の,修正足して23。
GM:一撃だな(笑)。では,鷹村の電撃をくらったジャームは悲痛な絶叫をあげつつ,ぐずぐずと崩れていく。
鷹村:…………。
GM:鷹村,どうする?
鷹村:いや,どうするって言われても(笑)。
GM:ぐしゅぐしゅぐしゅぐしゅ……。
鷹村:…………。
GM:ぐしゅぐしゅ,ぴちゃん。
鷹村:…………。
GM:…………。
真:だから! 観察してみるとかその場から離れるとかUGNに連絡いれるとかしろよ!
一同:(笑)
鷹村:いやあ……(笑)。
GM:で,最終的には緑色の液体になって,終わり。なのだが。
鷹村:でもさっき「死なない」って言わなかった?
真:そのはずなんですが……。
GM:これは特殊ケースなんでマスター特権(笑)。で? どうする?
鷹村:じゃあ局長に連絡いれます。
GM/霧谷:「もしもし?」
鷹村:あ,鷹村です。
GM/霧谷:「ああ,鷹村か。何かあったか?」
鷹村:ああ,実はですね。教室で生徒が1人ジャーム化して襲いかかってきました。
GM/霧谷:「それで? 回収したのか?」
鷹村:とりあえず向かってきたんで電撃撃って,えーと……。
GM:殺っちゃいました,と?
鷹村:殺っちゃいました(笑)。
一同:(笑)
鷹村:いや,もちろん言葉は選びますけどね。
GM/霧谷:「では気絶したジャームを回収してくれ」
鷹村:はい。
GM:…………。
鷹村:…………。
真:だから! どう回収するつもりなんだよ!
一同:(爆笑)
村瀬:水筒に詰めて持っていく,とか?
鷹村:それはかなりイヤだな……。
GM:いや,あのね? 普通ジャームはHPがゼロになっても気絶するだけで,今回みたいに溶けてなくっなっちゃうケースはないわけ。だから鷹村から状況を説明してくんないと,霧谷さんは「回収して」としか言えないわけなんだが。
鷹村:ああ,そういうことね。(淡々と)局長,実はジャームが液体化してしまったので,回収できません。
GM/霧谷:「そうか。何とかサンプルとして持ちかえれないか?」
鷹村:水筒か何かに詰めて?
GM/霧谷:「あるいはペットボトルでもいいぞ」
鷹村:溶けちゃうと思いますよ。
GM/霧谷:「それもそうだな」
鷹村:…………。
GM/霧谷:「…………」
鷹村:…………。
GM/霧谷:「……では,専用の容器を持っていかせよう」
鷹村:了解しました。それまで待機します。
真:……何つーか,こう……。
キルスティン:ヘンな会話(笑)。
GM:ところで久遠紫音のオープニングって用意してないんだ。ここらで登場してくんない? 容器持って。
紫音:それはいいんだけど,だから,何でフルネームなの?
GM:その方が呼びやすいから。
紫音:何でだよ(笑)。
キルスティン:じゃあ「くーしー」と略すとか。
真:それじゃ久島真二と変わんないだろ!(笑)
紫音:だからね,普通に「紫音」と呼んでくれれば……まあいいや。それじゃ鷹村が教室でたそがれてるとこへ,入り口に寄りかかりつつ……。
GM:あ,ちょっと待ってください。実は,入り口のところに1人の女性が立っているのですよ。
紫音:ほほぉ?
GM:年のころは20代後半。白衣を着ていて,黒髪のショートカットにピアス。いわゆるクールビューティーなすこぶるつきの美女だ。
村瀬:おお,女の子センサーが働くか?
紫音:働きそうですねえ。その人に見覚えは?
GM:じゃあちょっと知覚チェックしてみて。
紫音:《天性のひらめき》使っていい?
GM:……そこまでするか。
紫音:(ころころのころころ)ええと,45。もうバッチリって感じ。
一同:(笑)
GM:それじゃあねえ,あなたはその人をどこかで見たことがあると思った。いや,どこかで見たことのある誰かにひどく似ていると思った。
紫音:んん?
GM:とりあえず今わかるのはそれだけ。後はシーンが進んだら教えてあげよう。彼女は教室の中をじっと見ているようだ。鷹村は今のところ彼女に気付いた様子はないが……鷹村さん,知覚チェックを。
鷹村:19。
GM:それじゃ,鷹村もその女性に気付いた。
紫音:何も言わずに見てるの?
GM:そう。ちなみに,久遠紫音は美人にはチェックいれる人だよね。
紫音:美人でなくてもチェックはいれます。
GM:あ,そう。えーとね,じゃあこの人は3年の選択生物の非常勤講師である。名前は千葉先生。
一同:また千葉ぁ!?
紫音:ふーん? 下の名前は?
GM:下の名前までチェックいれるの?
紫音:当然じゃん。
GM:あ,そう。では名前は桂子。千葉桂子さんです。
真:そして本名は千葉狂子に違いない(笑)。
GM:違います(笑)。で,鷹村は女の人チェックする趣味はないよね?
鷹村:ないです。
GM:では,この学校の教師だな,ということが何となくわかるくらい。彼女は身を翻して去っていこうとしますけど。
紫音:追いはしません。で……えーと,竹村さんだっけ?(笑)
鷹村:鷹村だ。
紫音:あ,そうだっけ? とにかく,局長に頼まれて容器とスポイト(←?)持ってきてやったぜ。
鷹村:そうか。これなら溶けないな。
紫音:…………。
鷹村:…………。
紫音:ちっ,しまった。
鷹村:何が?
紫音:カメラ,持ってくればよかったぜ。
鷹村:……ふーん。何を撮るの。これ?
紫音:こんなスライム撮ってどうすんだよ。
村瀬:かみ合ってない2人だなあ……(笑)。
GM:えー,ではこんなところでシーン変えます。

 

SCENE 3


G M:はい,では次は大谷〜。大谷は前回からずっと久島を追ってるんだけど,結局逃げられた。どうします? UGNに戻るもこのまま1人で探すも,あなたの自由ですが……。
真:あー……やっぱ局長には連絡しにくいですね。相模原さんの携帯に連絡します。
GM/泪:「はい,もしもし?」
真:あ,相模原さん?
GM/泪:「その声,大谷さんですか!? 今までどこに行ってたんですか!?」
真:久島を追ってたんですよ。ずっと。
GM/泪:「あ,そうなんですか。そうですよね……それで,久島さんは?」
真:一度は追い詰めたんですけどね。逃げられました。
GM/泪:「そうですか……あ,はーい,ちょっと待ってください,今行きまーす!」
真:相模原さん?
GM/泪:「あ,ごめんなさい。実は今,こっちも取り込み中なんですよ。光さんが大変なことになってて」
真:松山に何かあったんですか?
GM/泪:「詳しくはまだ調査中ですけど,変種のレネゲイドウィルスに感染して意識不明の重態なんですよ」
真:そうですか……ところで局長は? 今連絡とれますかね。
GM/泪:「とれると思いますよ。大谷さん,ちゃんと連絡いれてくださいね? 局長,心配してましたよ」
真:死人は死にませんよ。と言ってきります。で,局長に連絡いれます。
GM/霧谷:「久しぶりだな。無断でどこへ行ってたんだい?」
真:あー,それはお詫びします。すみません。ずっと久島を探してたんですよ。
GM/霧谷:「そうか。それで,久島は?」
真:まだ見つかりません。
GM/霧谷:「そうか。それは仕方ないなあ。ところで大谷。鷹村は知ってるな?」
真:はあ。
GM/霧谷:「ついさっき彼から連絡があったんだが,多摩第一高校でまた妙な事件が起こったらしい。君はまだあそこに在籍していることになってるから,明日から監視任務に復帰してくれ」
真:了解しました。病欠だということにして,診断書を作っておいてください。
GM/霧谷:「わかった。詳しいことは鷹村に訊いてくれ。ああ,それと住居なんだが,君と久島のアパートは引き払ったので……」
真:え? 俺の荷物,どうしたんですか?
GM/霧谷:「相模原くんのところに預けておいたぞ」
真:…………。
GM/霧谷:「まずかったか? 合鍵も持ってるんだろ? 当分あそこに居候しててくれ。相模原くんは今研究室に泊まりこみだし,ちょうどいいだろう」
真:いや……いいんですけどね,別に……とりあえず,これから本部に向かいますんで。
GM/霧谷:「ああ,そうしてくれ」と,いうわけで,本部に向かう途中なんですが……ちょっと知覚チェックを。
真:知覚ですか?
GM:対向車線ですれ違う車があるんですよ。そこに乗っている人物を認識できるかどうか……あ,ちなみに2人いるんで,達成値によっては片方しかわかんないかも。
真:(ころころ)うっ。17は,ひょっとして低いですか。
GM:いや,大丈夫です。では,とあるタクシーとすれ違った時である。あなたはその後部座席に2人の少年が座っているのに気付いた。1人は楓。1人は久島である。
一同:ええっ!?
キルスティン:何でヤツらが一緒にいるの?
村瀬:俺も知らないよ(笑)。
真:……えーと,《伸縮腕》で殴ります。
鷹村:おいおい。
GM:あのー,国道でそれなりに車行き来してるんですけど……それにタクシーの運転手さんのこととか,考えてます?
真:…………。
紫音:らしくないなあ,大谷(笑)。
真:まあ,それくらいキレてたってことで。では我に返ってバイクをスピンさせ,対向車線につっこんで追います。
GM:〈運転〉の判定は……まあいいか。ではここでシーンをきります。

 

SCENE 4


GM:ではようやく主人公ですねー。
キルスティン:主人公という名のいぢめられ役……。
GM:はっはっは。ところでキルス,誕生日いつ?
キルスティン:はい!?
GM:いや,単にね。決まってないなら今日が誕生日でもいい?
キルスティン:はあ。別にいいけど。
GM:では,ですね。今日は本当は部活があるんですけど,お母様のアンナさんがご馳走を作って待っているので,早めに切り上げて帰ることにしたですよ。
キルスティン:ママの名前って決まったの?(←キルスティンはロイス「母親」を持っていた)
GM:うん。アンナ・アストリッド・ビョルク。
キルスティン:長いなあ。
GM:ちゃんとスウェーデン人っぽい名前にしたぞ。それはそうと,君が帰ろうとしていると,剣道部員が君を呼ぶ。「キルスちゃん,校門のとこで誰か呼んでるよ」
キルスティン:誰って誰が?
GM/剣道部員:「んーとね,結構美形の男の子と,何だかぽーっとした男の子。でね,その美形の方が相模原さんか松山くんか大谷くんか,それでダメなら仕方ないからキルスちゃんでいいって言うから」
キルスティン:…………。ぷち。
一同:(笑)
キルスティン:(にこやかに)ふーん,そっか,ありがとう。行ってみるよ。それじゃまた明日ね〜。とにこにこしながら手を振って別れます。
紫音:でも青筋浮かんどりますな。
キルスティン:……あのヤロウ……(←コワイ)。
GM:で。校門前には仏頂面の「あの人」と,ぽーとした見知らぬ少年がいるわけだ。
キルスティン:それって久島だよね。
GM:です。
キルスティン:私,久島のことは知らないよね。
GM:泪ちゃんの部下だから名前くらいは聞いたことがあるけど,顔までは知らない。……というわけで村瀬さん。悪いんだけど今だけ久島やってくれる?
村瀬:(←繰り返すが真二プレイヤー)はあ? いいけど……敵にまわった久島ってどんなんだろう。我ながら想像つかんのだが。
GM:心配するな,私にもそんなの想像つかんわい。大丈夫。久島記憶喪失だから。
村瀬→真二:はあ!?
一同:(爆笑)
GM:とりあえず説明しとくけど,久島は自分に関することだけ一切忘れるタイプの記憶喪失です。自分の名前もダメ。そのかわり知識とか一般常識とかは覚えてても……あ。いや。そもそも久島に一般常識ってなかったか。
真二:ひでえこといいますな,あんた。
GM:(無視)あなたが唯一覚えているのはひとりの少女のことだけだ。年のころは12歳くらい。金髪をおさげにしてて青い目,優しげな感じ。
真二:それって,白人の?
GM:そうです。自分でもよくわからないのだが,あなたはその人のことをずっと探しているのだよ。わかった?
真二:いや,わかった?と言われても……だいたい俺は何でここにいるんだ?
GM:わからない。記憶喪失だから。
真二:それもわからんのか!
GM:そう。君はとある見知らぬ場所に記憶を失って立ってたんですよ。そしたら今隣にいるエラっそーな男の子が君をここまで引っ張ってきたのだ(笑)。ああ,名前は楓が教えるだろうから知っててもいいよ。
真二:では,俺の名は久島真二というらしい(笑)。
GM:とにかく今はキルスだ。楓ちゃんは腕組みしたままキルスをじろっと。
キルスティン:同じく腕組みして睨みつけます。
GM/楓:「…………」
キルスティン:…………。
GM/楓:「…………」
キルスティン:…………。
紫音:ヘビとマングースみたいですな。
一同:(爆笑)
GM:どっちがヘビでどっちがマングースだよ?(笑)
真:多分キルスティンがヘビ。
鷹村:楓がマングース。
キルスティン:そんなことはどーでもいいのよ。(楓に)何なのよ,あんた。何の用?
GM/楓:「(久島を指し)……この男は知っているか?」
キルスティン:知らないわよ。誰,こいつ。
GM/楓:「こいつは……」
真二:(横から)いや,俺は生まれる前に君を知っていたような。
GM:おい(笑)。
紫音:ちなみにキルスティンってカワイイの?
キルスティン:黙っていれば西洋人形的な美少女という設定なのだ。
真二:生まれる前から愛してました!
一同:(爆笑)
真:……殴りに行ったろかコイツ……。
GM:大谷はまだ登場不可です(笑)。
キルスティン:ちょっと楓。何なのよこいつわ。
GM:さすがの楓も一瞬自失したようだ(笑)。「……とにかく,こいつは久島真二といって,UGNのエージェントで,泪の部下だったヤツだ。ただ今は自分のことを何ひとつ覚えていないらしい」
キルスティン:記憶喪失ってヤツ?
GM/楓:「ああ,そうだろうな」
キルスティン:で? そいつを何であたしんとこに連れてくんのよ。言っとくけど,今泪ちゃんも光も大谷くんもいないわよ。
GM/楓:「それは知っている。仕方がないからおまえにした」
キルスティン:…………。なるほど。
GM/楓:「そういうことだから,後を頼む」
キルスティン:がしっ。
一同:(笑)
キルスティン:待ちなさいよ。頼むじゃないわよ。あたしにどうしろっていうのよ。
GM/楓:「泪か誰かに預ければいいだろう」
キルスティン:あんたが直接預けりゃいいじゃないの。
GM/楓:「そんな時間はない」
キルスティン:あたしにだってないわよ。
GM/楓:「そうか。おまえならばどうせ暇だろうと思ったのだが」
キルスティン:ヒマじゃないわよ。
GM/楓:「十分暇に見えるが?」
キルスティン:ヒマじゃないって言ってんでしょ。で,結局どうしろっていうのよ。
GM/楓:「何度も言わせるな。UGNに引き渡せばいいだろう。とりあえず放りこむだけでもいい」
キルスティン:だから,何であたしなのよ? 自分で連絡とればいいでしょ?
GM:楓はUGNにツテないですよ。
キルスティン:泪ちゃんに電話すればいいじゃん。
GM:え? それはホラ……。
キルスティン:(いきなり邪悪な笑い)ふーん,あ,そぉ? ねえ楓くーん? 『泪ちゃんに』連絡してあげようかぁ〜!?
一同:(爆笑)
GM/楓:「……貴様……」
キルスティン:あらぁ? だって久島くんって泪ちゃんの部下なんでしょぉ? 泪ちゃんに連絡するのがスジだと思うけど,どぉお? ねえぇ楓くぅーん?
GM/楓:「…………」
紫音:あ,あのぉ,助け舟だしてよろしいでしょうか?(笑)
GM:すまん,ここはまだ登場不可。
キルスティン:あらぁ? どぉして泪ちゃんに連絡して欲しくないのかなぁ,楓くぅん?(←まだやってる)
真二:ひょ,ひょっとしてこいつって彼女いるの?
真:だからそういう問題かおのれは!
真二:いや,これは重要な問題だ。てゆーか俺にはこれは重要なのだという記憶がある!
GM:ねーよ(笑)。てゆーかまた話が混線してるぞ。
キルスティン:(←でもまだやってる)えー? 楓の彼女ー? あのねー,UGNに戻れば会えるからよく見てみたらぁ? 相模原泪ちゃんっていう,このナニサマ男にはもったいないくらいカワイイ彼女だよぉ?
GM:えー,そのセリフの間に,楓はくるっと背を向けて立ち去ろうと……。
キルスティン:がしっ。
一同:(笑)
GM/楓:「…………。離せ」
キルスティン:離さないわよ。どさくさに紛れて逃げようとしてもそうは問屋がおろさないわよ。さあ今この携帯で泪ちゃんに連絡しなさいよ連絡しなさいよ連絡しなさいよ。
GM/楓:「…………」
真:GM,やはりキリがないように思うのですが(笑)。
GM:ですねえ(笑)。でも,そこで新たな人物が現れるのですよ。「キルスティンちゃーん!」という声とともに,金髪の美女が。
キルスティン:あれ,ママ?
GM:そうでーす。ところで久島さんや。あなたの記憶にある面影の女性は,この人に似ているような気がするなあ。
紫音:お母さんっていくつ?
GM:35。
キルスティン:そんな若いの?
GM:母親の胎内にいる時に感染したって言ったのはキミやろ。この年齢がギリギリの線だよ。
真二:で,美人なんだよね。
GM:キルスとタイプ違うけどね。ちょっとぽややんで,優しそうで,家庭的で,いかにもお料理のうまそうな。
真二:(駆け寄るポーズ)お母さん!
一同:(爆笑)
キルスティン:いつからキサマの母親になったかぁ!(怒)
GM:いや,これは義母の方のお母さんじゃないのか?(笑)
キルスティン:なお悪いわ!
GM/アンナ:「あ,キルスちゃん,ママ,買い物しすぎちゃったの。持ってくれる?」
真二:ははっ。何なりと。
GM/アンナ:「あら,あなたは?」
真二:はじめましてお義母さん。私,実はキルスティンさんの……。
キルスティン:あ,何でもないのよママ荷物重かったでしょさっさと帰りましょうね!
GM:ところで,アンナさんはふと首をかしげて楓を見ている。
キルスティン:え?
GM/アンナ:「あなた……もしかして新条楓くん?」
一同:ええ!?
真:何故に知り合い!?
紫音:ちょっと待て。俺も知らないぞそれは(←前回GM)。
GM:教えてないですから(笑)。アンナさんは「あら,楓くん,ひょっとしておばさんのこと覚えてない?」
キルスティン:楓は?
GM:「?」という顔をしている。で,アンナさんは「そうよねえ,楓くん,あの時まだ4つか5つくらいだったもんね」と。
キルスティン:ま,ママ,こいつと知り合いなの?
GM/アンナ:「そうよ。13年も前のことだけどね,ママ,楓くんのおうちにご厄介になってたことがあるの」
キルスティン:ええ?(汗)
GM/アンナ:「そうだわ! 今日は買い物しすぎちゃったし,楓くんも呼んでパーティーしましょう!」
キルスティン:えええぇっ!?
一同:(爆笑)
キルスティン:(←滝汗)え,えーと楓をちらっと見てみるけど。
GM:楓も「ええっ!?」という顔をしている(笑)。
紫音:そりゃそうだ(笑)。
キルスティン:ま,ママ。それはやめようよ,てゆーかそれだけはやめて。
GM/アンナ:「(←聞いてない)まあ今日は素敵な日ね! キルスティンちゃんのお誕生日に楓くんが来てくれるなんて……あら,ところであなた,お名前は?」
真二:はあ,実は記憶喪失でして。
GM/アンナ:「まああ」
真二:そこの親切な人に連れてきてもらったんです。
GM/アンナ:「まああ,そぉなの。それじゃ美味しいものいっぱい食べて,はやく治さなきゃね! あなたも是非いらっしゃい!」
キルスティン:えええええっ!?
一同:(さらに大爆笑)
GM:では,いいかげん長くなってきましたので,こんなところでシーンきろうと思いまぁす♪
キルスティン:ちょ,ちょっと! 結局どうなったの! ねえ!?
GM:(無視)はい,では次のシーン〜♪

 

SCENE 5


GM:ややこしくって悪いけど。次は村瀬です。
真二→村瀬:はい。
GM:霧谷さんから連絡があります。「悪いが,またひとつ仕事を頼みたいんだ」
村瀬:はあ。何でしょう。
GM/霧谷:「多摩神鳴第一高校は知ってるな? あそこでまた妙な事件が起こったらしい」
村瀬:と,言いますと?
GM/霧谷:「その場に居合わせた鷹村の話では,襲ってきたジャームを攻撃したら,液体化してしまったそうだ。今分析中だが,どうも変異型のレネゲイドウィルスによるものでは,と思われる」
村瀬:変異型?
GM/霧谷:「ああ。恐らく“フィーヴァー・ドリーム”と呼ばれるものだな」
村瀬:何です,それ?
GM/霧谷:「『何か』はまだわかっていない。つまり,何と言ったらいいかな……もともとRNAウィルスには突然変異を起こしやすく,中でもレネゲイドウィルスは非常に変異体が多彩であることが知られている。我々はレネゲイドウィルスを便宜上9つのシンドロームに分類しているが,どうやっても分類できないものも存在する。今のところ稀だがね」
村瀬:よくわからないんですが……つまり,そういう「分類できない」ウィルスを“フィーヴァードリーム”と呼んでるんですか。
GM/霧谷:「ああ,その通りだ。最初にこの名がつけられたのはアメリカで20年前に発見された症例だが……後は便宜上,この名が使われている,といったところかな」
鷹村:でも何でフィーヴァードリーム?
キルスティン:そもそもそれ,どういう意味?
真:熱夢?
GM:まあそうだけど,つまりは高熱に侵された際に見る悪夢だと思っていただければOKっす。
紫音:なるほど。『サタデーナイ○フィーバー』ではないと。
村瀬:ゴーゴー喫茶でフィーバーでもないと。
真:正気に返れあんたら!

 てゆーか,ゴーゴー喫茶ってあんた……。
 確か村瀬プレイヤーは松井より5つは年下だったはずなんだが……(滝汗)。

GM/霧谷:「ちなみに松山くんだがね」
村瀬:松山光ですか? 彼が何か?
GM/霧谷:「彼が感染しているのも“フィーヴァードリーム”だと思われる。まだ確証はないがね」
村瀬:では,私はその調査にあたればよろしいのですか?
GM/霧谷:「それと,引き続きあの学校の監視だな。現在,多摩一校には鷹村と久遠が潜入している。それと,大谷真が復帰する予定だ。君には彼らの指揮にあたって欲しい」
村瀬:それはかまいませんが,またえらく大人数ですな。
GM/霧谷:「我々が何故多摩一校に執着するかには理由がある。ひとつには今言ったとおり“フィーヴァードリーム”が発見されたこと。ひとつには千葉京介が生徒の多くにウィルスを注射した惧れがあること。もうひとつは」と言って霧谷はある女性の写真を出してきます。知的な感じのかなりの美人で,年のころは20歳くらいだと思われる。
村瀬:あれ,この人は……。
GM/霧谷:「彼女の名は千葉桂子。医学・生物博士で,何とレネゲイドウィルスを専門に研究していた学者だ」
鷹村:千葉桂子……。
真:……レネゲイドウィルスの研究って,まだ一般的に認められてないんじゃないですか?
GM:だから変わりものの学者なんだよ。ちなみに,霧谷さんの言うことにゃ元は大学の助教授なんだが,1年前,教授のポストを蹴って多摩一校の非常勤講師なんぞになってる。
村瀬:…………。
GM/霧谷:「千葉京介が付近の大学病院に赴任したのも同じ時期だな」
村瀬:ハッキリ言って果てしなくアヤシイですな。
GM/霧谷:「そう言ってくれるな。彼女を見落としていたのは確かに我々のミスだ」
村瀬:この人って,千葉の妹か何かですか?
GM/霧谷:「いや,姉だ」
キルスティン:はい。それって,1話の方の千葉ですよね?
GM:そうです。
村瀬:ところで,これって何年前の写真です?
GM/霧谷:「20年前だ。今はどんな風に変わっているかはわからないが」
村瀬:じゃあ今は40くらい?
GM/霧谷:「そういうことになるだろうな」
紫音:あれ? でもさっき千葉桂子は20代後半って言ってなかった?
鷹村:言ってた。
GM:(にやにや)
村瀬:ついでに彼女のマークもやれ,と?
GM/霧谷:「その通りだ。なに,あの学校をマークしていればそのうち彼女に行きつくよ」
村瀬:そのワリにゃ1年間見落とされてた気もするんですが。
GM/霧谷:「はっはっは。質問がなければ,これで失礼するよ」
村瀬:あ,3人の資料ください。
GM:では端末に送られてくるです。鷹村,ツッコまない男。久遠紫音,ナンパ男。大谷,ツッコミ男。以上です。
一同:(笑)
村瀬:まあとりあえずおっけー。
鷹村:おっけーなのか……?(笑)
紫音:だからいちいちフルネームで呼ぶなと……。
GM:はい,では,ここでシーンをきりまーす。