GM:神楽なんですけどねえ。実はターン数のリミットがあったのですよ。
一同:えー!?
GM:もうちょっとダメージ与えられていればねえ。
キルスティン:だって突っ込んでったら「足手まといだ」とか言ったじゃん!
GM:だから遠距離から撃つとか楓のサポートをするとかさ。
キルスティン:どっちもできないんですけど。
GM:遠距離攻撃くらい覚えた方がいいと思う。でも今回に関しては,光がなかなか必殺技をださないのが……。
一同:…………。
光:え!? 俺のせいか!?
キルスティン:しかも最後の最後でコケるし。
光:それはダイス目のせいだー!
キルスティン:そのダイスを振ったのはおまえじゃー!
泪&雨追:確かに(笑)。
光:おまえら,俺に恥ずかしい説得を任せておいてそれかー!
GM:まあまあ。そんなわけで,神楽さんの姿はすっと回りの風景に溶け込んで消えてしまった。それを「神楽!」と怒りの咆哮を発した楓ちゃんが追う。
泪:か,楓!? ちょっと,どこへ行くの!?
GM:聞いてないって(笑)。
泪:…………。
雨追:しかし何ですなあ。神楽を取り逃がし,新条氏まで見失ったとなると……。
キルスティン:まさかホントにバッドエンド!?
GM:磨亜矢奪還を果たしたので,完全にバッドというわけではないと思うが。
光:あ! それより明日香は!
GM:磨亜矢が半泣きで「明日香ちゃん,明日香ちゃんしっかりして!」と呼びかけているが,返事がない。
泪:脈はあるんですか!?
GM:んー……ごく微弱,というところですかね。
泪:こ,これはマズイですよ。
キルスティン:とにかく救急車呼ぼう。
雨追:それはマズイです。UGNに迎えに来てもらいましょう。
泪:伊達さん,まだこの近くに待機してるはずですよね。
GM:とか君たちがわたわたしていると,「それじゃ間に合いませんよ」と声がかかる。
泪:誰です? まさかと思うけど……。
GM:黒いコートのあの人だ(笑)。
一同:ま,また厄介なのが……。
GM:でも,この中で千葉に会ったことのある人っていないよね。
一同:あ,そう言えば(笑)。
泪:前回大谷さんと久島さんの前にしか姿現わしてない……。
GM:仕方ないから気障に一礼して名乗ろう(笑)。「初めまして,ですかな? 私は千葉狂介と申します」
光:千葉? え? 明日香の主治医の……。
キルスティン:あのプリンセス野郎? でも,似てないんだよね。
GM/千葉:「あんな小者のことはどうでもよろしい。私の名などもどうでもよいのですよ。肝心なのは,茶山明日香さんが今,生と死の端境にいるというこだ。違いますか?」
キルスティン:じゃあアンタ,明日香を助ける方法を知ってるっていうの?
GM/千葉:「何故彼女が目覚めないかおわかりですか? それは,彼女があなたがたオーヴァードよりヒトに近いからですよ」
泪:それは明日香さんと磨亜矢さんの,例の特質のことですか?
光:だから,どういうことだよ。
GM/千葉:「彼女のウィルスはある一定の侵蝕値に達すると増殖を停止する。すると,どうなるかわかりますか?」
光:まさか……肉体の再生も止まるのか?
GM/千葉:「その通りです。だからもうじき彼女は死にます」
光:……どうすれば助けられる?
GM/千葉:千葉は光を見て愉快そうに笑い,ひとつのアンプルを取り出す。「これを飲ませなさい。そうすれば,彼女は『普通の』オーヴァードとなる。ウィルスさえ活動を再開すれば,あとは傷など勝手に治してくれますよ」
泪:待ってください。それはつまり,明日香さんもまた暴走するようになってしまうということですよね。
GM/千葉:「もちろん。こういうことにはリスクがつきものですよ。で,どうします? 私は無理強いなどいたしません。人として死なせてやるのも,あるいは彼女のためかと思いますしね」
キルスティン:ふざけんな! 明日香のことバケモノみたいに言わないでよ!
光:オーヴァードだろうが何だろうが,明日香は明日香だ!
GM/千葉:「結構。それではこの薬をお使いなさい」
泪:……その言葉,信用していいんでしょうね?
GM/千葉:「これを飲めば彼女は助かる。飲まねば助からない。本当ですよ?」と千葉はにこりと笑って立ち去ろうとする。誰か追う人は?
光:放っとけ,あんなヤツ!
キルスティン:明日香,しっかりして! この薬,飲んで!
GM:だから意識がないんだってば。
光:じゃあどうすんだよ。
GM:それ,本気で訊いてる?(にやり)
光:……え……。
雨追:……なるほど(にやり)。
泪:……そういうわけですから,光さん(にやり)。
光:……お,おまえら,まさか……。
GM&泪&雨追:まさかも何も,お約束でしょ?
光:う……。
キルスティン:ちょっと待った! 何よそれ! 光! 明日香にヘンなことしたら承知しないわよぉ!
泪&雨追:はいはいはいはい,邪魔しないのねー(とひきずっていく)。
キルスティン:だー! 明日香が,明日香がー!
泪:と,いうわけで光さん。キルスさんは抑えときますから。
雨追:心置きなく,どうぞ。
光:おまえら……。
キルスティン:明日香ー!
GM&泪&雨追:はいはいはいはい,静かに静かに。
光:…………。おまえら,向こう向いてろ! いいな!
一同:はーい(笑)。
GM:ところでそこのラブコメ男さんや。ちょっと訊きたいんだけど,侵蝕率はどうなった?
光:えーと……134……?
思わず静まり返る一同。
キルスティン:それ,ヤバくないの?
光:最後の必殺技でかなり増えちゃったんだもん(泣)。
泪:ロイスいくつですか?
光:7つあったけど,水上をタイタスにしてたんで,6つ。
泪:あ,それなら何とか……。
光:(ころころ)……あ。
一同:……ちょっと待たんかあっ!(笑)
光:…………。
真二:(のプレイヤー,隣の卓から)え,何? また新たなる犠牲者が出たって?
泪:だから,嬉しそうに言うのやめてください!(笑)
雨追:(慌てて)例の新薬,相模原さんがデータ転送してましたよね。あれは利用できないのですか?
GM:えー?
雨追:そこを何とか。
GM:でも,どっちにしろ今回のシナリオは終わりなんだけど。
泪:もしかして,キャンペーンもこれで終わり?
GM:あ,そうだねえ。
キルスティン:だって,神楽は?
GM:逃がしちゃったのはそっちでしょ。
キルスティン:納得いかーん! 続けろー!
GM:えー……俺,いいかげんプレイヤーやりたいんですけど。
泪:……よござんす。私が次からマスターやったりましょう。
一同:おお!?
泪:だって泪ってNPCでもそんなに困らないキャラだし。
GM:それを言っちゃあ……(笑)。
と,いうわけで,次回からは松井GMでお送りいたします。
光:で,その時俺は入院中なんだろうか……(笑)。
その通りです(笑)。
「あれは……あの男は,なんだ?」
原因不明の昏睡状態に陥った光。
一方,彼のいない学校にも,新たな悪夢が忍び寄る。
キルスティンが17歳の誕生日を迎えたその日。
彼女のわずかに残された幸せ。
舞台の裏で眠っていた男が,それを無惨にも打ち砕く。
Next, “The Sleeper,” see you later.
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