SCENE 6


GM:それでは援軍2人を登場させたいんですが……ま,シーンプレイヤーは泪ということにしておいてくれ。君らがマンションに戻ってきて少しすると,玄関の呼び鈴がぴんぽーん♪と鳴るわけだ。
泪:はーい?
GM:じゃあ近場のキルスさん,登場してください。
キルスティン:(いきなり)泪ちゃんお邪魔するわよっ。
泪:え? キルスさん? 一体どうして……。
キルスティン:(無視)ちょっと,光っ!
光:げ,キルス……。
キルスティン:ずかずか入っていって,光の襟首を掴んでがしがし揺さぶります。ちょっと光,あんた磨亜矢がさらわれたって本当なの一体どういうことなのよあんた一体何してたのよええっ!?
一同:(笑)
GM:てゆーか近所迷惑ですな。
泪:あ,あのぉキルスさん,今夜中なのでもう少し静かに……。
キルスティン:だから何よっ!?
泪:な,何って……。
光:……お,おまえ,何でこんなところに?
キルスティン:リヴァイアサンって人から電話もらったのよ。それより磨亜矢がさらわれたってどういうことなのよどういうことどういうことどういうことぉ!?
光:お,落ち着け〜っ!(笑)
キルスティン:これがどう落ち着いていられるってのよええ!?
泪:ちょ,ちょっと。明日香さん寝てるんですから静かにしてくださいよ。
キルスティン:(少し声をひそめて)明日香が?
光:そうだよ。だから少し落ち着いて話聞けよ。
キルスティン:ではどかっと床に座りこんで,光も引きずり倒して床に座らせます。で〜? ど・う・い・う・こ・と・な・の!?(←コワイ)
光:さ,相模原〜!(笑)
GM:えーと,そこへ再び呼び鈴が。
泪:は,はーい。今度は誰かしら〜?
光:逃げるな相模原〜!
GM:えーとドアを開けると,今度はこっちが立っています。
泪:あ,あら? 雨追さん?
雨追:はっ。雨追であります。ご無沙汰しておりました相模原さん。お元気でしたか?
泪:ええ,まあ。と,とにかく中へ入ってください。
雨追:は,では失礼いたします。
泪:今お茶でも淹れますから。でも一体どうしたんですか?
雨追:は,何かトラブルがあったそうで。部長からあなたのサポートにまわるよう,指令を受けました。
泪:それはご苦労さまです。……あら? 光さん?
雨追:やあ松山さん,キルスティンさんもお久しぶりです。
光:…………。
泪:どうしたんですか光さん,その顔。
光:相模原。
泪:はい?
光:おまえんとこ,そんなに人手不足なのか?
一同:(爆笑)
雨追:会った途端にそれですかあなたわ。
光:だってさ,援軍ってこの2人なのか? 単に面倒が増えるだけって言わないか!?
泪:(ぼそぼそ)……こう言っちゃなんですけど,私が上司になれるくらいですからね……。
光:(ぼそぼそ)それは確かに説得力があるな……。
泪:放っといてください。
キルスティン:そんなことはどうでもいいのよ!
雨追:そうです。まずは状況を説明していただきたいのですが,相模原さん。
キルスティン:あんたもどうでもいいのよ!
雨追:…………(しくしく)。
キルスティン:それより磨亜矢は! 明日香は!
泪:だから明日香さんは奥の部屋で寝てますってば。お願いですから静かにしてください。
キルスティン:明日香に怪我はないのね?
光:怪我は全然ないよ。
GM:前回ノーダメージ(笑)。
キルスティン:で? 磨亜矢はどうなったのよ。
光:だから,連れて行かれたんだよ。
キルスティン:神楽と新条ってヤツね? そいつら何者?
泪:何者かはわかっていません。ファルスハーツでもないようですしね。
光:えーと,自分と楓の関係のことは口に出さないんだな?
泪:出さないですねえ(笑)。
光:じゃあ陰でこっそりため息をつこう。
泪:とにかく,彼らの目的は,レネゲイド・ウィルスの暴走を抑える薬を作り出すことで,そのために,明日香さんと磨亜矢さんが必要なんだそうです。
キルスティン:そんなものが本当にできるなら,私だって欲しいけどさ。でもそれ,確かなの?
泪:わかりません。彼らがそう言っているだけですから。
キルスティン:何で明日香と磨亜矢なの?
泪:それもわかりません。……ねえ光さん。明日香さんの血液を,もう一度採取させていただくわけにはいきませんか?
光:それ前回の事件の時に調べたろ?
泪:そうなんですけど,できればもう一度。
光:てゆーか,何で俺に聞くんだ? 本人に聞けよ。
キルスティン:そーよ。何でこんなヤツに許可得なくちゃならないのよ。
泪:もちろん明日香さんにも聞きますけどね。いえ……うーん,何と言うか……。
光:何だよ。
泪:……そうか……光さんは私以上に鈍かったんだっけ……。
一同:(笑)
キルスティン:一体何の話よ。
雨追:全然わかりませんな。
泪:あー,お2人もご存知ないんですよね。
キルスティン:だから何よっ。だいたい,何だってアッサリ磨亜矢を連れて行かれるのよっ。
泪:……はあ。すみません。
キルスティン:あなたには言ってないのよッ!
光:ひょっとして,俺に言いたいのか?
キルスティン:アンタ以外の誰に言えってのよ!?
光:そ,そりゃ,俺のせいだけど……俺だけのせいってわけじゃ……(ぶつぶつ)。
キルスティン:だいたい,磨亜矢が危ないなら何で私を呼んでくれなかったのよ。
泪:だっていなかったじゃないですか。ずっと学校も休んでて。
キルスティン:携帯にかけてくれりゃいいでしょっ。
泪:え? だって私,キルスさんの携帯の番号,知りませんよ?
キルスティン:……教えてなかったっけ?
光:あ,そう言えば俺も知らねーや。
キルスティン:…………。
泪:…………。
キルスティン:……それとこれとは別よ! あんた光のクセに生意気なのよ! あっさり磨亜矢さらわれたくせに!
一同:(笑)
キルスティン:走って追いなさいよ走って! あんたハヌマーンでしょ!
光:だー! 逆ギレてんじゃねーよ!
雨追:まあまあ。で,相模原さん。これからどうしますか?
泪:UGNの車が来るまで待つしかないですよ。それまで,極力身体を休めておかなきゃ。
光:と,人が言ってるのに夜の街をふらふら徘徊してたのはどこのどいつだよ……。
GM:えー,ここで一度シーンをきりますね(笑)。

 

SCENE 7


GM:では,舞台は引き続き泪のマンションです。全員登場してください。
一同:はーい。
GM:さて,朝の5時近くなってきたところで,また呼び鈴が鳴ります。
泪:はーい。今度は誰でしょ。
GM:「ちわーす,頼まれてたモンですがー」と言いつつ立っているのはツンツンと逆立てた金髪の,人の良さそうな兄ちゃんである。
泪:えーと,あなたは……。
GM/少年:「あ,あなたが相模原さんですね。僕,局長から頼まれて来ました,日本支部の伊達栄吉と申します〜」
泪:はあ。ひょっとしてドライバーの方?
GM/栄吉:「はいっ,そうです。すいません,遅れちゃって」
泪:遅れたんですか?
GM/栄吉:「僕,車運転するの初めてだったもんで」
雨追:は?
キルスティン:い,今何と言った?
GM/栄吉:「でも,大丈夫ですよぉ」
光:何がどう大丈夫なんだ?
GM/栄吉:「あ,ところで入っていいですか?」
泪:は,はあ。
GM/栄吉:「おっじゃましまーす♪」と彼は靴を脱ぐなり,ぽんっと2頭身になってぴちぴち走ってきます(笑)。
光:……おまえ,親戚に一○零いるか?
GM/栄吉:「そ,そんな。決して○面フラッシュなどはっ」
一同:…………。
キルスティン:(低い声で)フザケてんなら,コロすわよ。
GM/栄吉:「(びくっ)……えー,えーと」と8頭身に戻ります(笑)。
雨追:しかし,ドライバーが運転初めてってのもスゴイですね。
泪:ちょっと待ってください。免許は持ってるんでしょうね?
GM/栄吉:「…………」
泪:…………。
GM/栄吉:「…………。てへ」
一同:「てへ」じゃねーつーの!(怒)
泪:局長に電話します! 今すぐ!
GM/霧谷:「ああ,相模原くんか。どうかしたかね」
泪:どうかしたかね,じゃありません。……何なんですか彼は!
GM/霧谷:「彼?」
泪:伊達さんって人ですよ!
GM/霧谷:「ああ,“雷神”がそっちに行ったか」
泪:雷神?
GM/霧谷:「彼のコードネームだよ。で? 彼がどうかしたかね」
泪:あのですね。彼は「免許を持っていない」と明言しているのですが!?
GM/霧谷:「ああ。……そう言えばそうだったな」
泪:そうだったな,じゃありませんよ!
GM/霧谷:「だが仕方がない。他に手が空いているものがいないんだ」
泪:局長。……うちはそんなに人手不足なんですか!?(泣)
GM/霧谷:「ああ,まあな」
泪:…………。
GM/霧谷:「問題ない。彼はブラックドッグだ」
泪:……偽造免許くらいは持たせてるんでしょうね?
GM/霧谷:「ああ,一応な」
泪:…………。
キルスティン:泪ちゃん,こいつ役にたつの?
泪:知りません。私に訊かないでください(泣)。
GM/栄吉:「大丈夫ですよぉ♪」
光:おまえが言うなおまえが。
キルスティン:わかったわ。そこまで言うからには……。
GM/栄吉:「は,はい?」
キルスティン:役にたたなかったら,コロすわよ。
GM/栄吉:「……(かぼそい声で)だ,大丈夫ですぅ……」
雨追:まあまあキルスティンさん,ここはひとつ彼のお手並みを拝見しましょう。伊達さん,雨追です。よろしくお願いするであります。
GM/栄吉:「よろしくするです!」
雨追:ばっ(と手を差し出す)。
GM/栄吉:がしっ(と握り返す)。
泪:…………。
光:あ,友情が生まれてる。
泪:……今回大谷さんがいないんですよね……私が突っ込まないとダメなのかしら……。
光:俺,弁当でも作ってよ……。
GM:そこ,早速脱力するな。ところで5時近くなってきたので明日香が起きてきました。「おはよーございまーす……」
泪:おはようございます。あのですね,起きたばっかりで悪いんですけど明日香さん。ちょっと採血させていただいてよろしいですか?
GM/明日香:「んー? いいけど,なんでー?」
泪:例の,神楽さんが言っていた新薬の件,本当かどうか確認したいんです。
GM/明日香:「うーん,いいけど,ボクが入院してた時,UGNで採血とかされてるよー」
泪:あ,あれ。そうなの?
GM:そうです。でも,神楽の話を聞く前だから,再検査する意味はあるかもしんないけど。
泪:じゃあやっぱり採血させてもらいます。で,富士に行く前にUGNに立ち寄って検査依頼しておきましょう。
キルスティン:そんなのんびりしてるヒマあんのー?
泪:色々わからないことが多すぎますからね,今回……すいませんけど,明日香さん。
GM/明日香:「うん……」
キルスティン:明日香,大丈夫なの?
GM/明日香:「うん? ボクは平気……」
光:でも元気がないな。
キルスティン:明日香,元気だして。一緒に磨亜矢を取り戻そうよ。
GM/明日香:「(急に元気)うん,わかった! ボクがんばる!」
キルスティン:そうよ! 磨亜矢を助けるのよ!
GM/明日香:「うん,行こう!」
泪:あ,あの,行こうってどこへ……。
GM/明日香:「(聞いてない)コウくん,行くよ!」
光:え? あ,でも今弁当詰めようと。
GM:すると明日香はどこからかコンビニの袋やら風呂敷やら探してきて,がっさがっさがっさ。「はい」(渡す)。
光:……ども(受け取る)。
GM/明日香:「さあ行くよコウくん!」
一同:(笑)
光:お,おーい。
泪:ちょっと,明日香さんってば! どうやって行く気ですか!
GM/明日香:「あ,そうかぁ。……走って行くとか?」
泪:行きません。
キルスティン:……ちょっと明日香,ところで何でさっきから光の手引っ張ってるのよ。そんなヤツ,関係ないじゃん。いや,関係ないってことはないけど……ぶつぶつ……。
泪:何が言いたいんですかキルスさん。
キルスティン:だってさー。何となくなんだけどさー。明日香ってば光を妙に特別扱いしてない?
泪:不満なんですか?
キルスティン:あたしだっているじゃん。あたしだって磨亜矢のこと助けに行きたいのに。
泪:いや,ですからね。それは,ほら……。
GM/栄吉:「それはさー,単に明日香ちゃんが光くんのこと好きなだけでしょう」
一同:(一瞬の沈黙の後,爆笑)
キルスティン:えーっ! 何それーっ!
光:…………。
GM:明日香は顔真っ赤にしてうずくまってしまいました(笑)。
光:……えーと……。
泪:伊達さんっ! あなたには,デリカシーってもんがないんですかっ!?
GM/栄吉:「……てへ?」
泪:「てへ」じゃありません「てへ」じゃ!
キルスティン:泪ちゃんそんなヤツのことはどうでもいいのよ! 明日香,光なんかのどこがいいのよ!?
GM:だから真っ赤になってもじもじしてるってば(笑)。
光:えーと……まだ思考停止中。今のは,何?
GM/栄吉:「えー,だからね,明日香ちゃんが光くんのことを……」
キルスティン:アンタうるさい!
泪:(同時に)伊達さんは黙っててください!
GM/栄吉:「……うきゅ」
キルスティン:ああー! 明日香がおかしくなっちゃったー!
泪:おかしくなってはいませんってば!(笑)
雨追:(のんびり)いやあ大変ですなあ。はっはっは。
泪:あなたも「はっはっは」じゃないでしょ!?(泣)
雨追:(へーぜん)ところで,まだ行かないんですか。時間がないとか言ってませんでしたか。
キルスティン:それとこれとは別っ。あんた,これ見て何も思わないの?
雨追:はあ。……私に何を思えと?
キルスティン:…………。
雨追:…………。
キルスティン:だー! こんなの納得できなーいっ!!(絶叫)
GM:さて,キリがないのでシーンを変えてよいかな?(笑)
キルスティン:あ,すいません。ロイスって今結んでもいいですか?
GM:ん? ああ,そうだね。堕ちたくなけりゃ,なるべくロイスは結んでおいた方がいいよ。
キルスティン:じゃあ明日香に結びます。
GM:他には?
光:……楓に結んでいい?
GM:そこにきたか(笑)。いいけど,何でとるの?
光:あ,ちょっと待って。考えておきます。
泪:私は明日香さんに結びます。「友情」と「嫉妬」でポジティブが表。それと,今のうちに買い物したいんですが。
GM:買い物?
泪:単に演出なんだけどね。ベストポケットとかワルサーTPHとか。そういうちっちゃい銃。
GM:いいですよ。購入ポイント高かったでしょ?
泪:10です。……判定は成功。ところで,他に欲しいものある人います?
キルスティン:防具とかは?
泪:いやファンタジーじゃないんだから。あんまり目立つのはやめましょうね。雨追さんは?
雨追:私ですか? 特に武器はいらないような気もしますが……。
GM:雨追は遠距離攻撃専門だし,いらないでしょ。
雨追:ですね。余計なものを持って事故を起こすのも嫌ですし。ナントカに刃物ともいいますし。
GM:自分をよく知っているのはいいことだ……(笑)。

 

SCENE 8


GM:それでは,これから皆揃って行動するだろうし,特にシーンプレイヤーは決めません。では,栄吉っちゃんの車に乗って出発するところから。
泪:ちょっと気にかかるんですけど。
光:何? 弁当はできたぜ。
泪:いえそうではなくて。誰が助手席に乗るんでしょうね。
光:…………。
キルスティン:当然,光が乗るのよね?
光:……わかったよ。俺が乗るよ。乗りゃいいんだろ。
雨追:紳士ですな松山さん。
GM/栄吉:「えーと,皆さん,さり気にヒドイこと言ってません?」
泪:だって,免許持ってらっしゃらないんでしょ?
GM/栄吉:「大丈夫です。運転は得意です!」
光:……そうかなあ……。
GM:いや,テクニック自体はなかなかなのです。
光:信号無視するとかスピード違反とか?
GM:信号を見ていないというか他の車が見えていないというか歩行者も見えていないというか。
一同:ダメじゃん!(笑)
光:それはもちろんスピードも……。
GM:違反に決まってんじゃん。普通道路を高速並みのスピードでぶっ飛ばしてるよ。
泪:伊達さーん! あ,あのー制限速度をー!(泣)
光:必死で弁当抑えてます〜!
キルスティン:どうしてUGNの職員ってこんなんばっかりなのよー!
雨追:(←ひとり平然)あなたも一応その端くれだと思うんですが。
GM:と,いうわけで,T市から4時間かかる距離を2時間で走破してしまいました(笑)。
一同:…………。
雨追:いやあ,彼は素晴らしい人材ですね,相模原さん。
泪:……本気で言ってるんですか雨追さん……。
雨追:もちろんです。普通,T市からここまで2時間では来られません。見事なドライビング・テクニックだ。感服いたしました。
泪:そりゃ,確かに早かったですけどね。でも早ければいいってものでもないと思うんですが。
GM/栄吉:「いやあ,そんなに言われるとテレちゃうなぁ。と,いうわけで到着しましたよ〜」
光:弁当は無事かなあ。どうでもいいけど……。

 さて,にこやかに手を振る栄吉を残し,一行は山道を登る。

GM:すると向こうの方に,白い大きな建物が見えるね(と,紙に図を書き始める)。まず,でっかーい建物があってね(と巨大な長方形を書く)。正面に3つくらい入り口があります(と長方形の一辺に3つのドアを書く)。で,君たちのいるところから建物までは2キロくらいで,
一同:2キロぉ!?
GM:(平然と)そう2キロ。んでもってでっかーい敷地に,こうまばらに木が生えているわけだ(と,余白部分に小さい丸をぽつぽつと書いていく)。
一同:…………。
GM:と,いうわけだけど,わかった?
光:……これを,どうしろと?
GM:さあ。それはこっちが訊きたいよ。で,どうするの?
一同:…………。

 一同,しばし頭を抱える。

キルスティン:これは,何? つまり見つからないようにこの丸(←木)に隠れながら行けってことなの?
泪:……無理でしょ,それは。
光:つーか間抜けすぎ(笑)。
雨追:ほとんど「だるまさんが転んだ」状態ですな。
泪:だいたい何でこんなにまばらに木を植えてるんです?
GM:さあ。
光:さあ,とか言われてもなあ(笑)。

 白状せいよGM。
 実はあんまり深く考えてなかっただろ(笑)。

GM:で,どうすんのさ? いつまでもここにこうしてたって,結局は見つかるだけだと思うけど。
雨追:と,いうわけで相模原さん,ご指示を。
泪:えっ? そんな,そう言われても……私は実戦指揮は専門外なんですよ。前は大谷さんにやってもらってましたしね。誰か他の人にお願いできませんか?
キルスティン:他って誰。
泪:え? 光さんとか?
キルスティン:(←すっげえ嫌そう)ええ〜?
泪:じゃあ雨追さんは?
キルスティン:それは言語道断。
雨追:そもそも私は手足(=兵隊)ですので,上官のたてられた作戦に従うのみです。
泪:しかし,この状態で作戦と言われても……。
キルスティン:考えるだけ無駄なんじゃないの?
光:と,いうわけだ。行くぞ相模原。
泪:はいぃ?
光:そうやってごちゃごちゃやってるなら,俺は1人でも先に行く!
キルスティン:ちょっと待ちなさいよ。あんた抜け駆けして磨亜矢を助ける気!?
泪:あの,抜け駆けとかそういう問題じゃ……ちょっと,聞いてます?
光&キルスティン:聞いてない(笑)。
泪:…………。
雨追:(平然と)で,どう致しますか。このままだとおいていかれますが。
泪:行きますよ。行くしかないじゃないですか(泣)。
GM:つまり,全員で直進するわけなのね。そうするといわゆる警備員を格好をしたおじさんたちが10人ばかし……。
光:このまばらな木にどうやって10人隠れてた?
GM:(無視)「ここは通すわけにはいかん!」と揃って構えをとります。
雨追:何かあからさまに雑魚っぽいですな……。
キルスティン:ああ,ちなみにワーディングはかけながら進んでますが。
GM:無駄無駄ァ。いくら雑魚とはいえ,それくらいじゃ誰も寝ないです。では,戦闘に入りましょう。こっちのイニシアティブは10です。ひょっとして,泪以外全員そっちが先という気もするが……(笑)。
雨追:えーと,まずは私からですな。
泪:ここは攻撃力よりも,人数をできるだけ減らす方法をとった方がいいと思います。トループは耐久力が低くても,攻撃力はあなどれませんからね。
雨追:は,了解しました。では,《破壊の光》《全知の欠片》で(ころころ)25です。
GM:何ぃ? いきなりかあ? それで,どれを狙ったの?
雨追:えーと,《破壊の光》は対象が「範囲」だそうですが。
GM:あ,それエンゲージひとつ丸々入るってことね。つまり敵全員(笑)。えーと25は避けられないのでダメージください。
雨追:えーと,じゃあ15点ですねー。
GM:すでに半分削られてるんですけどぉ(笑)。
光:それでは《鬼の一撃》《銘なき刃》《獅子奮迅》で。これって「周囲」攻撃なんですけど,どれくらい範囲に入るんですか?
GM:……(憮然と)4人くらい(注:本当は光と同エンゲージにいる全員が攻撃対象となる)。
泪:1ターンで終わっちゃうんじゃないですか?
GM:うーん。実は,明日香の攻撃にも《獅子奮迅》入るんですよね。
一同:(笑)
GM:(ころころ)そらみろ。光が削ったぶん明日香が倒しちゃったじゃん。
雨追:おお。息があってますな。カップル攻撃ですな。
泪:内助の功ですね光さん(←違う)。
光:ええ?
キルスティン:あー,そこのバカップルは放っておいて,ちなみに私も《ガラスの剣》《全知の欠片》《獅子奮迅》で攻撃したいんですが。
GM:また《獅子奮迅》!?

 ハヌマーンばっかり揃っているからである(今から考えてみると,明日香に神楽と楓もハヌマーンな気がするんですが……)。
 で,結局全体攻撃+《獅子奮迅》の3連発で,雑魚ーずはボロボロのが2人残っただけとなったのだが,しかし……。 

GM:くそぉ,とりあえず俺たちはただでは死なん!ということで,前に出ているのは?
光&キルス:はーい。
GM:じゃあ2人に1回ずつ攻撃。光は……8(泣)。キルスティンが……おや? 28とかいってるけど,避けられる?
キルスティン:ええ?
光:俺は避けたけど……(汗)。
泪:何かエフェクト使わなきゃまず不可能ですよ。
キルスティン:ええと,避けに使えるのってない?
泪:(キルスのキャラクターシートを見て)ない……。
GM:え? ホントにないの?
泪:ないですね。《全知の欠片》はあるんですが,組み合わせられる避けのエフェクトがないんです。だから〈回避〉技能で避けるしかないですよ。
キルスティン:(ころころ)でるわけないと思う。
GM:じゃあダメージ14点。生きてる?
キルスティン:……マイナス2です。
雨追:ま,まさかいきなり!?(笑)
光:開始早々の雑魚キャラで。警備員で。
キルスティン:う,うっそぉ〜!?
泪:いや,侵食率100%はいってないでしょ? 即座にリザレクトがかかりますよ。
キルスティン:あ,そうかぁ。じゃあ7点回復です。
泪:そこへ私が《癒しの水》《ファクトリー》で……20点回復しました。
GM:そう,それじゃ次のターンに……。
雨追:すみません。《光速の剣》を使います。私のセカンドアクションです。
GM:…………。
光:ちなみに,俺も《狼牙》を宣言すればセカンドアクションになるんだけど。
GM:…………。
泪:やっぱり1ターンキルなのでわ?

 その通りであった。

GM:うーん,やっぱリザレクトないとザコ弱いなあ。
雨追:はっはっは。ざっとこんなものですな。
GM:よし。……次からもっと強くしよ。
一同:何ー!?(笑)
光:そんないいかげんなことでいいのかー?
GM:あんまり歯ごたえなさすぎてもつまんないでしょ?
キルスティン:(小声で)あの,今そのザコの攻撃で死にかけたんですが……。

 

SCENE 9


泪:えーと,次は私も前に出ますので,そのつもりでお願いします。
光:大丈夫なの?
泪:だって光さんもキルスさんも避けのエフェクト持ってないんですもん。ハヌマーンなんだから《見切り》くらいあってもいいと思うけど。
光:次に取ります(笑)。
GM:次があればねえ(邪悪な笑い)。
光:はう。
雨追:ところで相模原さん。それより重大な問題があります。
泪:はい?
雨追:このまま直進してもよいのでありますか。自分としては,やはりもう少し作戦を練った方がよいかと。
泪:いや,それはそうなんですけどね。すでに手遅れという気が(笑)。
雨追:(あっさり)それもそうですな。では参りましょう。
泪:…………。それでいいんですか雨追さん……。
光:こうやって考えてる間に水上さんが危ないんだ!
キルスティン:そうそう! 行くよ泪ちゃん!(と引きずっていく)
泪:…………(←引きずられていく)。
GM:で,結局直進するわけなのね。それではやはり目の前に……。
泪:また警備員たちが?
GM:いや,今度はもっと上級なので,MIBちっくな黒服が10人。
光:(疑わしげに)それって上級なの?
GM/黒服たち:「なめるな小僧! 倒された同胞の恨み,我らが代わって晴らしてくれるわ!」
雨追:(終わりまで聞かず)というわけで《破壊の光》《全知の欠片》《高速の剣》で……24です。
GM:あっ!(笑)

 というわけで今回も光・明日香・キルスの全体攻撃(正確には周囲攻撃)によりまたばかばかと削られていく黒服たちである。
 しかし,今回はダメージがいまいち走らず……。

GM:あっ,やった! 今度は4人残った!
雨追:ぬう。しかしここをしのぎきれば,セカンドアクションで撃墜できますな。
GM/黒服:「そううまくいくと思うな! 我らは3人揃うと必殺技が使えるのだ!」
一同:ほおお?
光:あのー,それだと1人余りませんか……。
キルスティン:(←面倒くさそう)なんだっていいから早くしてよー。時間がないんだからさー。
GM/黒服:「ふっ,言ってくれたな小娘! 見よ! 我らの必殺技!」
泪:はいはい。で,結局何するんです?
GM:えーとね,まず3人がばっと対象を囲むんですよ。
光:それで?
GM:んで同時に3方向から拳を構え,「うりゃー」と攻撃をね。
光&泪&キルスティン:アホかあっ!(爆笑)
光:うりゃー,って何ですか,うりゃーって!
泪:それってもしかしてデルタアタック……(笑)。
GM:そうかもしんない(笑)。
キルスティン:つきあってられんわ!
雨追:(と,一同がぶつぶつ言っている中で)いや,すばらしい攻撃です。感服しました。
一同:…………。
光:こいつわ……。
泪:そういうものなのですか雨追さん……。
雨追:ひとつの作戦をチーム一丸となって遂行する。見事なる連携です。
泪:…………。
GM:ま,まあとりあえずこっちの攻撃ね。余った方は光。それと必殺技は……お,泪にいったな。
泪:あら?
GM:……おおっ,ころころ回るぞ。34とか言っちゃうぞ! 今度こそスーパーピンチか!?
光:相模原!
泪:いえ,まだ何とか。《命の盾》《ファクトリー》《ポイズンフォッグ》(注:プレイヤーのミスである。《ファクトリー》は受動タイミングで使用できない)で……35!
一同:おおーっ!(拍手)
GM:あれ。運動神経鈍いんじゃなかったの? ひらりと避けられてしまったが。
泪:いや,そうじゃないです。このエフェクトって,虫とか小動物が身代わりになってくれるって書いてあるんですけど。
キルスティン:あ,そりゃひっでえ。
GM:忍法変わり身の術とか(笑)。
光:霧が晴れたと思ったら,そこには1本の木切れが。
泪:いや,そうじゃないな。霧が晴れると,そこにはズタボロになった楓ちゃん人形が。
一同:(爆笑)
GM:スケール1/16(笑)。
泪:いや,ぬいぐるみでしょ。8頭身フィギュアはイタすぎます。
キルスティン:どっちだってええわい! ンなモン持ち歩いとんのか,この女!
雨追:相模原さん! はっ,これは! 相模原さんではない!
光:そりゃ違うだろ(笑)。
泪:雨追さん,私はここです。大丈夫です。
雨追:は,変わり身の術を使われたのですね! 相模原さん,お見事です。
泪:でも,大事な楓人形がボロボロです。これがないと私は夜眠れないのに……(笑)。
キルスティン:一生やっとれ!
GM:はいはい,抑えて抑えて。次,最後の人〜。
泪:特にすることないですねえ。んーと,セカンドアクションしたい人は?
キルスティン:はーい。
泪:では《アクセル》をキルスさんに。(ころころ)7なので,かかりました。

 しかし,キルスに行動順が回る前に,またよーしゃなく雨追が全体攻撃で黒服の皆さんを撃墜。結局今回も1ターンキル。

GM:何だ,全然ダメだなあ。必殺技まで出したのに。
雨追:はっはっは。
GM:……よし。もうちょっとデータ修正しよ。
一同:またー!?(笑)
泪:何でまた。
GM:いえ,早くスーパーピンチに陥ってくれないと,登場できない人が1人いるんですけど。
一同:(笑)
泪:まさか危機に陥るまで待って助けに現れる気ですか(笑)。
GM:そうそう(笑)。
キルスティン:ほっとけ,あんなヤツ。行こ行こ。
GM:あう。行ってしまったのね。では楓は木の陰から淋しく君たちの後姿を見ているのだね。
泪:明子ねーちゃんですかあんたわ。
光:しかし悲惨だよね。そうやって後を追って来てみると,地面にはズタボロの楓ちゃん人形が落ちてるわけだ。
一同:(爆笑)
キルスティン:一行が去った後で,「泪……これは,どういうことだ?」と呟く楓ちゃんが(笑)。
光:そしてその人形をそっと胸のポケットに……。
GM:しないしない。で,どうする? 入り口まではあと200メートルくらいだけど……。
光:直進。
キルス:とにかく直進。
雨追:(泪に)だそうです。
泪:…………。もう,好きにしてください……。
GM:ええと,それじゃあこっちもそろそろ嫌になってきたけど,第3弾の雑魚ーずが。
雨追:完全に質より量の世界ですな。
光:人海戦術ともいう。
雨追:まあいいでしょう。今回も1ターンキルしてさしあげましょう。
GM:ちなみに今度は4人。そのかわりサブマシンガン持ってるけど。
一同:ええ!?
雨追:《破壊の光》《全知の欠片》に,こんどは《ピンポイント・レーザー》を足します。その間に……。
光:相模原,キルス走れ! 中に入るぞ!
泪:は,はいっ!
雨追:(ころころ)今度は21です。
GM:(ころころ)うーん。ダメージちょうだい。今度は防護点無視だよね。イタイなあ。
雨追:でもダメージは低くなります。12点で。
GM:いや,こいつらは防御固めてたんで,そっちのがイタイんだ。
光:あ,そっちイニシアティブはいくつ?
GM:9だね。
光:じゃあキルスが先じゃない?
キルスティン:ええ? もう走っちゃったよ。とにかく入り口のドアを……。
GM:鍵かかってるって。
キルスティン:刀で叩き壊す!
GM:ええ? まあシリンダー錠なんで,簡単に壊れることにしようか。で? 光は?
光:《鬼の一撃》《銘なき刃》《獅子奮迅》! 32!
GM:あ,もうダメージいいっす。それで倒れたでしょう。しかし木の陰から新手が……(笑)。
キルスティン:光! こっち! 中に入るわよ!
GM:では,全員で中に入ったということでいいんだね? じゃあ(とまたマップを書いて)入ってすぐのところに階段,それから左右に廊下。
光:……やっぱ,また上?
雨追:でも正面階段から上がるのはやめた方がよいのでは。
キルスティン:とりあえず1階調べてからにしようよ。
GM:えー,ちなみに背後から追手が迫っているんですが。
キルスティン:えっ? えっ?
雨追:で,どうします,相模原さん。
泪:と,とりあえず左手の法則! 左に進みましょう!
GM:あ,そう。だだーっと左に走ると突き当りが右に折れてるけど。
泪:ひ,左手の法則〜!
光:相模原,それ左手の法則ちゃう……。
泪:じゃあ右手の法則〜!(笑)
キルスティン:というか,迷路でもないのに左手の法則使ってどうすんの?
光:単に一周するだけなんじゃ……。
GM:で,後ろからマシンガンのたたたたた……♪という音が。
一同:わーっ! とにかく走る!

 と,いうわけでひたすらわたわた走る一同。
 作戦たてるという言葉を知らない。まるで知らない(笑)。

一GM:えーと,そこに曲がり角が……。
泪:左手の法則〜! ひたすらまっすぐ〜!
光:だからそれ左手の法則じゃねーって!(笑)
泪:じゃあ曲がって調べてみますか?
光:いや,とりあえず外周から攻めてみようぜ。
雨追:しかし,それこそ一周するだけなのでは……。
GM:で,また曲がり角があるけど。
キルスティン:ひたすらまっすぐ〜!(笑)
泪:左手の法則〜!(笑)
光:ええい,しつこい!

 そしてさらに2つの曲がり角を素通りする一行。
 あっという間に突き当たりに辿りつく。

雨追:やっぱりこのままだと一周しますな。
GM:曲がって,すぐのところにドアがあるけど?
キルスティン:じゃあそこに入る。
GM:鍵かかってるよ。しかも今度は電子キーで。
キルスティン:叩き壊す!
GM:だから,電子キーだとゆーとんだろ!(笑)
光:扉も鉄製ですよね?
GM:うん。しかもスライド式。
雨追:しかし,ひょっとしてこれは,当たりなのではと。
光:当たり?
雨追:これだけ厳重にロックされた部屋に,何もないということはないでしょうからな。
キルスティン:エフェクトとか使って,ドアごと叩き壊せない?
GM:うーん,じゃあ判定してみてください。しかし一応鉄のドアですからな。それ相応の達成値は必要ですよ。
キルスティン:どのくらい?
GM:そうだねえ,達成値というか,ダメージで30点は出してもらわないと……。
キルスティン:(考える)うーん……。
光:それ,無理っぽくない?
泪:このパーティー,全体攻撃は豊富なんですが一点集中型がいないんですよね。
GM:一点集中型の典型はNPC化しちゃうしね(笑)。ところで,そうやって悩んでいると,「いたぞー!」という声とともに,今度は前からマシンガン持った黒服さんたちが大勢押し寄せてくるよ。
一同:あー,うっとぉしい!
キルスティン:一体何人雇ってるわけよ,ここ?
GM:さあ(笑)。人数なんて特に決めてないよ。
雨追:(ふと)おや? しかし考えてみると,内部警備にあたっている人間ならば,カードキーとか持っているのでは?
光:あ,確かに。
泪:と,いうことは?
キルスティン:奪っちゃえ奪っちゃえ!(笑)

 と,いうわけで珍しくも喜び勇んでザコ戦に臨むPCたち。ところが……。

雨追:あっ,すいません! 失敗しました!
一同:えっ?
雨追:出目が腐りました。下限値以下なので,不発です。
キルスティン:何ィ!?
泪:うぁ。なかなか出ないですよ「下限値以下」って。
雨追:す,すいませ〜ん。
光:しかし,雨追が失敗したとなると,1ターンじゃ削りきれないんじゃ?
GM:だろうね。しょうがないので,明日香が気張るしかないですな。
キルスティン:……まさか明日香まで妙な力があるわけじゃないでしょうね。
GM:妙な力はあるんだってば(笑)。ただ今回使うのは,ただのサラマンダーのエフェクト。
泪:あれ? 明日香さんってサラマンダーだっけ?
GM:ハヌマーン/サラマンダーだったのだよ。実はね。キュマイラ/ハヌマーンだと思われていたようだが……。
光:だって1話で獣化してたのは?
GM:あれはまた別なの。それはそうと(ころころ)よしよし。明日香が放った炎で,黒服さんたちを一網打尽にできました,と。
光:お,おやぁ?
キルスティン:明日香ってそんなに強かったの?
雨追:だったら何で今までやらなかったんだという気が……。
GM:それは何故かというとですね(ころころ)えー,明日香はいきなりがっくりと膝をついてしまいました。
キルスティン:明日香!?
光:明日香,どうした!
GM/明日香:「ご,ゴメン。大丈夫だよコウくん」と,口では言っているんだが,肩で息して,立ち上がれないみたいだ。
キルスティン:すぐに助け起こします。
雨追:キルスティンさん,それはダメです。
キルスティン:何で。
泪:まあまあキルスさん。それはそれで,あれはあれです。
キルスティン:泪ちゃん,あんた最近意味不明よ。
光:と,やってる脇で,明日香大丈夫か,と肩を貸して立ちあがらせます。
キルスティン:あ,こら! あんた勝手に……。
泪&雨追:まあまあキルス(ティン)さん,ここは光(松山)さんに任せましょう(笑)。
GM:せっかくだから抱き上げるくらいすればいいのにねえ?
泪:ねえ。
光:(無視)……ところで,明日香の具合はどうなんです?
GM:よくはなさそうだ。それと,明日香もヤバいんだが,またどこかから足音と怒声が聞こえてきていたりして。
雨追:カードキー,カードキー。
キルスティン:倒れてる奴らの背広とかひっかきまわしてみますけど。
GM:実は全部明日香が燃してしまったので……。
キルスティン:…………。
GM:……嘘です。ちゃんとあります。
キルスティン:最初から出せばいいのよまったく。
泪:それで,扉は開くんですか?
GM:ぴんこん♪と音がして,ちゃんと開きました。
光:とにかく中に入る。
雨追:でもって,入ったら扉を閉める。
GM:では,扉の外から「くそっ,ヤツらどこへ行った!」「おいっ,誰か倒れているぞ!」「ちっ,あっちに逃げたか!」という声が聞こえてきて,次第に足音も遠ざかっていきます。
泪:ベタな……。
雨追:まあお約束ですな。ところでこの部屋は?
GM:はいはい(とマップを書き足していく)。結構広い部屋で,奥にまたスライド式の扉がひとつ。ちなみに室内ではテープ式のデータリールがいくつも,かたかたと音をたてて回っています。
泪:情報はいくらでも欲しいんですけど……。
GM:リールから直接情報を読み取る術を知ってるならね。
泪:ですよねえ。
雨追:相模原さん,とりあえずこの部屋に用はないようです。後でここを制圧したら,専門の者に詳しく調査してもらえばよいのでは?
泪:そうですね。そうするしかないですよね。
光:相模原,それはいいけど明日香は?
泪:あ,はいはい。……でも明日香さん,傷を負って倒れたというわけじゃありませんよね?
GM:単に消耗してるカンジ。
泪:能力の使いすぎ? でもそんな症状は聞いたことないし……。
GM/明日香:「大丈夫だよ泪さん。少し休めば元に戻るよ」
光:…………。
泪:まあ,とにかく休んだ方がいいというのは確かだと思います。しばらくオーヴァードの力も使わないように……。
キルスティン:でも休むにしても,ここじゃすぐ外があの廊下だしね。もう少し奥に入った方がよくない?
GM:んーと,じゃあここでまたシーンを切ります。
泪:あ,ところで。
GM:はい?
泪:誰もツッコまないようなのでツッコんでおきたいです。光さんに。
雨追:あ,実は私もツッコんでやろうと思ってました。
光:えっ?
雨追:とうとう呼び方が変わりましたな。
泪:すでに「明日香」と呼び捨てですね。
一同:(爆笑)
GM:明日香,消耗しつつも嬉しそうです(笑)。
雨追:いやあ,青春ですな。はっはっは。
キルスティン:光……。
光:な,なんだよ。
キルスティン:……アンタ,明日香に何したの?
光:「何した」って何だぁ!(笑)