#2 By Lost Ways
 

 

PRE-PLAY


GM:今回は誰もNPC化しなくて,よかったよかった。
泪:(のプレイヤー):そう言えば,光と私以外はメンバーチェンジですね?
GM:というわけで雨追と鷹村は転任ということにして,また新たな部下がやってきます。
泪:……ねえ,いい加減「部下」はやめにしません? 上司が欲しいよあたしゃ。
GM:部下です(きっぱり)。
泪:…………。
GM:まあそう気を落とさずに。今回はあーたが主役です。
泪:はい?
GM:ちゃんと前回ラストの「あのヒト」を出してあげるから(含み笑い)。
泪:え……(汗)。

 

SCENE 1


GM:それではオープニングから。多摩神鳴高校,放課後です。グラウンドではまだ部活をやっている生徒もいますが,教室には全く人気がありません。相模原さんどうぞ。
泪:はあ。
GM:あなたがたは先日の事件の後,まだこの学校に留まっていました。千葉が起こした事件の犠牲者が,茶山明日香1人だけだったため,引き続き警戒にあたっていたわけですね。ところが昨日 ,雨追と鷹村が他の任務のため (←要するにプレイヤー不在),引き上げることになりました。んで,新しく2人の部下を差し上げましょう。
泪:あ,あの。また「部下」なんですか(汗)。
GM:部下です。
泪:(遠い目)今度は扱いやすい部下だといいですねえ……。
GM:そうやってあなたがたそがれつつ窓から外を眺めていると,携帯が鳴ります。UGN日本支部長・霧谷雄吾からですね。
泪:はい,相模原です。どうかなさったんですか局長?
GM/霧谷:「話は聞いていると思うが,雨追と鷹村の後任が決まったよ。大谷真と久島真二。この2人が新たに君の下につく」
泪:…………。
GM/霧谷:「どうかしたかね?」
泪:いえ,ちょっと……あの,局長。また「部下」なんですか?
GM/霧谷:「部下だ。それが何か?」
泪:…………。いえ。別にいいんですけど。
GM/霧谷:「それでは,その2人を明日から君のクラスに転入させるので,よろしく頼む」
泪:ちょ,ちょっと待ってください! そんないきなり!
一同:(笑)
泪:せめて事前に会合の場所をもたせてください!
霧谷:「そうかね? まあ君がそう言うなら彼らに連絡しておこう」と,いうわけで19時に喫茶店の……(考える)。
泪:喫茶店の名前はどーでもいいですから。じゃあ『コスタ・デル・ソル』にしましょう。
GM:こすたでそーる?
泪:こすたでるそる。だからそれはどうでもいいから。

 ちなみに,今回GMのみうりぃ氏は名前にうるさいです。以前にやったPPPで「名前くらい考えてこんかい!」とさんざん突っ込まれたせいらしい。
 詳しくはリプレイ「山奥のしょくざい。」をご覧くださいまし。

泪:(電話をきって)はあ……今度はどんな人が……とか,夕焼けを見ながらたそがれ再開してます。
GM:すると,君は校門の近くに,見知った人影を見つける。
泪:見知った顔?
GM:えーとね,わりと背が高くてすらっとした,クールでいなせな感じの……(笑)。
泪:…………。そ,それって……。
GM:幼なじみの楓くんですねえ。間違いなく(にやにや)。どうします?
泪:一瞬呆然としてから,名を……。
GM:何?
泪:(のプレイヤー)マスター。やっぱ名前は「新条楓」で決定なんですか?
GM:決定です。
泪:こんないかにも新条○輝と流○楓をくっつけたみたいな名前で決定!?
一同:(爆笑)
GM:わかりやすいでしょ。
泪:名前呼ぶ時笑い出しそうなんですけど……(泣)。
GM:やってください。

 ちなみにこの泪ちゃんの幼なじみは,前回のラストでちろっと出てきた彼。もともと泪のモデルに「幼なじみにして想い人」というキャラがいたため,半ば冗談でロイスに設定されたのですが ,某アニメにはまっていた松井とGMがワルノリ。今回から重要NPCに昇格です(あーあ)。
 ちなみに名前はプレイぎりぎりまで決まっておらず,内輪では「緑○光声の男」で通っていたという……(緑川さん,どうもご迷惑を……)。

泪:…………。じゃあ窓から身を乗り出して,「楓!」と叫びます。
GM:校門ですからねえ。届きません。……と,思いきや,彼はふと顔を上げます。一瞬目が会ったような気がします。
泪:楓,待って!と慌てて走り出します。
GM:でも彼はその前に,すっと踵を返して立ち去ろうとしてますが。
泪:でも走ります。それで机にぶつかって転びます。
光:んなお約束な(笑)。
GM:で,お約束ですがやって来てみると彼はいませんよ。
泪:校門の前で呆然としてます。頭に黒板拭き乗っけたままで。
一同:(爆笑)
GM:では,君が頭を真っ白にして突っ立っていると,同じクラスの荒川くんが,「ど,どうしたの,相模原さん……」と。
泪:(ぼー……)楓……。
GM/荒川くん:「さ,相模原さん?」
泪:はっ。あ,す,すみません荒川さん,何でもないんです!
GM/荒川くん:「何でもないって……その黒板拭きは?」
泪:(頭に手をやって)えっ? い,いやだ私ったら。何をやってるんでしょう。
GM/荒川くん:「な,何をやってるんだと言われても……」
泪:ほ,ホントに何でもありませんから。それじゃ荒川さん,失礼いたします!と彼の手に黒板拭きを押しつけて,逃げます。
一同:(笑)
GM/荒川くん:「ちょ,ちょっと相模原さん!? この黒板拭きどうすんのさ! ねえ,ちょっと!」と,いうところでシーン変えます(笑)。

 

SCENE 2


GM:さて,松山である。君は前回の事件からUGNの協力者になってるんだけど,とりあえず今のところ仕事はないみたいだ。泪もヒマしてるくらいだし。
泪:明日香さんは?
GM:明日香は治療と訓練を終え,今は松山と同じ立場です。彼女も仕事はまだないっす。
光:じゃあ部活に励んでますね,俺らは。
GM:では,そんなある日の放課後である。片付けも終え,着替えに行こうとしている君の前に,やはり部活が終わったところらしい明日香と磨亜矢が現れる。
光:あれ? 茶山さんに水上さん,今部活終わり?
GM:ちなみに,前回以来,明日香は君に好意を抱くようになっているのだ(笑)。
光:ほえ?
一同:いよっ,ラブコメ男!
泪:やっぱり「I LOVE YOU」と白い糸で刺繍されたハチマキを(注:『キャプ○ン翼』の松○光くんネタである)。
GM:ないない。でも呼び方が前回までの「ヒカルくん」から「コウくん」になってる。
一同:(笑)
光:いや……マジで「コウ」のが本名なんだけどなあ。皆「ヒカルちゃん」って呼ぶんだもん。相模原も「ヒカルさん」だし。
泪:えっ。ヒカルさんが本名じゃなかったんですか?
光:……別にいいけどね,何でも。
GM/明日香:「あのね,コウくん。よかったらボクたちと一緒に帰らない?」
光:ちなみにコイツはわかってないからなあ。(気楽に)うん,じゃあ今着替えて来るから。
GM/明日香:「うん,ボクたちも着替えなきゃならないからさ。校門のとこで待ち合わせしよ」
光:そういうわけで着替えに行きますが。
GM:はい。では,そこで衝動判定を。
光:えっ?(ころころ)とりあえず成功ではあります。
GM:そうですか。それでは君は何とか破壊衝動を抑えこんだ。
光:今のは……オーヴァード……?
GM:そこへ「コウくん?」と声がかかる。
光:え?
GM/明日香:「まだ着替えてなかったの?」と,とっくに着替え終わった明日香と磨亜矢が。気がつかないうちにかなり時間がたっていたらしい。
光:あ。ご,ごめん,すぐ着替えてくるよ。
泪:はい。と,いうところで登場してよろしいですか?
GM:いいけど,君まだぼーっとしてんの?
泪:はい。廊下でいきなり光にぶつかって,そのままへろへろとよろけて壁にぶつかって倒れます。
一同:(笑)
光:さ,相模原……?(汗)
泪:(がばっ)はっ! す,すみません光さん。ちょっと考え事をしていたものですから!
光:いや,ぶつかったのは俺もだからいいけど,大丈夫か? 何かあったのか?
泪:え? ど,どういうことです?
光:いや,その頭。
泪:え? ああ,これは黒板拭きを頭に落としてしまいまして。
光:頭に落とした……?(汗)
泪:実はこれから人と会う予定があるのですけど,どうしましょう。
光:……洗ってった方がいいと思うぞ,俺は。
泪:そうですね。それでは,私は一度家へ戻ってシャワーを浴びてきます。
光:と,いうか相模原,マジで送っていこうか?
泪:いえいえ,そんなとんでもない。私はほら,こんなに元気です(と,体操を始める)。
光:…………。マジで大丈夫か?
泪:いえ,大丈夫ですっ。でわっ。
GM:と言いながら,消火栓の角に頭を。
泪:はうっ(一回転して倒れる)。
光:相模原! と,とりあえず駆け寄って抱き起こします……
GM:お約束な展開で悪いんだけどさ。そこへ君が遅いんで様子を見に来た明日香が,角を曲がって現れたりして。
光:(冷や汗)え。あ,いや,茶山さん,これは,
GM/明日香:「……コウくんのバカァーっ!」
一同:(爆笑)
光:いやちょっと茶山さん,違うって,ちょっと!
泪:(むっくり)う,うーん……あら,今のは明日香さん? どうかしたのかしら。
光:…………。いや,何でもない。相模原,やっぱ俺,送ってくよ。
泪:いえいえ,とんでもないです!(わたわた)
GM:とわたわたしていると通りがかった荒川くんに見事な裏拳が。
泪:ああっ。ごめんなさーい!
真:いい感じにごすっと。
真二:テンプルのあたりを。
泪:あああ……。ど,どうすれば……。
光:相模原。とりあえず落ち着け。俺,荒川を保健室に連れてくから。
泪:えっ? そ,それなら私が,
光:いいから待ってろ。ここで待ってろ。な?
泪:はい……。


 

SCENE 3


GM:さてお待たせしました。真と真二です。君たちはですね,霧谷さんから辞令を受けて,相模原さんの部下として多摩神鳴第一高校に赴任することになりました。
真:こっちは相模原さんのことはどういう風に聞いてるんでしょう。
GM:それなりに有能で良識派とは言われている。ただし君らの上司なんぞになってるのはただのコネ(笑)。
真二:そんなのはどうでもいい。結構美人だと聞いているぞ。
真:あぁ?
真二:真,俺は決めているんだ。今度の仕事で俺は彼女をつくる!
一同:(笑)
真:……おまえ,相手は一応上司だぞ。
真二:もちろん,せっかく共学校に編入するんだから,そこで色々と選ぶぞ。
真:(噛んで含めるように)これは,仕事だ。わかってるか?
真二:今から自己紹介の仕方とか考えてるぞ。やっぱり第一印象って大事だからな。バク転しながら教壇にあがっていくとかどうかな。それか,一回転してぴしぃ!と決めてみせるとか。なあ ,どう思う?
真:…………。
GM:えー,ところで住居はUGNに手配してもらうわけなんだけど,同居でいいよな?
真:できれば別の……。
真二:もちろんそれでおっけーです。もう分担も決めてあるんだ。俺が掃除と洗濯でおまえが料理。今日の夕食もよろしくな。
真:ちょっと待たんか。何故そうなる。
泪:でも掃除や洗濯はやるって言ってるわけだから……。
光:いやあ,それって1週間に一度,とかじゃないの?
真二:うむ。1ヶ月ぐらい放っておくと,ヤツは見るのもイヤになって仕方なくやってくれるんだ。
真:絶っっ対に別々にしてくださいっ!(一同笑)
GM:さてさて。話を戻すと,その日の午後,霧谷さんから指令が入る。「相模原が君たちと事前に会合の場をもちたいそうだ」
真:はあ。そりゃそうでしょうね。
GM/霧谷:「19時に駅前の喫茶店『コスタ・デル・ソル』で待ち合わせということで。突然で悪いが,行ってくれないか?」
真:わかりました。ところで久島との同居のことなんですけど,
GM/霧谷:「じゃ,そういうことで」
真:待ったらんかい。
GM/霧谷:「そうは言うが君,UGNも資金不足なのだよ」
光:そうなの?
泪:そう。だから出資者の娘は大事(笑)。
GM/霧谷:「相模原くんのところに2人で住んだらどうかね? 雨追と鷹村が使っていた部屋が空いているはずなのだが」
真:それで彼女に何かあったらどう責任とるんですかアンタ。
GM/霧谷:「そこはそれ,君が同居しているわけだし。じゃ,そういうことで」がちゃん。
真:…………。
真二:で,局長なんだって?
真:ああ,何でも相模原さんが事前に俺たちと会っておきたいそうだ。(GMに)ところで今何時くらいですか?
GM:そうだね,6時30分くらいにしておこうか。
真:と,いうわけでそろそろ出るぞ。
真二:ああそうだな。ついでに夕飯の買い物だ。今日は何を作るんだ?
真:だぁら,何で俺が飯を作ることになっとんのじゃ!
真二:全然聞いてないぞ。回る練習とかしてるから。
真:……絶対飯なんぞ作ってやらん。
真二:やっぱり回転はこう!かな。おまえどう思う。
真:…………。
GM:それは回りながら歩いているわけなのかい(笑)。
真二:そう。
光:道を? 回りながら?
真二:そうだってば。
真:……離れて歩けないかな……。
GM:ところで,そうやって回りながら歩いてるんだよね。
真二:うん。
GM:そうすると,君はいきなりどん,と誰かにぶつかってしまう。小さく声があがる。女の子だ。
真:そら見ろ,この阿呆!
GM:ちなみに君らは彼女を知っているぞ。
真:え?
GM:どこで見たことがあるかというと,相模原泪の報告書。あの事件の際マークされていた1人,水上磨亜矢だ。
真二:ちなみに,彼女って美人ですよね。
GM:美人です。おさらいすると,磨亜矢はストレート黒髪の和風美人。明日香はポニーテールの活発美少女。
泪:そして一人称は「ボク」(笑)。
真二:ヤな設定だなそれ。
一同:(笑)
真二:特に「ボク」とか言ってるあたりがもうダメダメって感じ?
GM:悪かったね(笑)。
真二:それはしかしプレイヤー発言であるからして,キャラクターとしての久島真二は当然チェック入れます。やあお嬢さん,大丈夫ですか。
真:……おまえがぶつかったんだろが。すまん,この馬鹿が迷惑をかけた。
GM/魔亜矢:「いえいえ,ぶつかったのは私もですし」
真二:ちなみに彼女って制服着てますか?
GM:ですね。多摩第一高校の制服です。
真二:(いきなり)君,多摩一校の生徒?
GM/魔亜矢:「ええ,そうですけど?」
真二:実は俺,転校生なんだ! 明日からよろしく!
GM/魔亜矢:「そうですか。何年ですか?」
真二:2年。
GM/魔亜矢:「あ,私もです。ひょっとしたら同じクラスかもしれませんね」
真二:そうなるといいなあ!
真:……いきなりなごむな,そこ,と後ろからケリを入れます。
真二:はう。いったい何をする。
真:おまえこそ何をやっとんのじゃ。
真二:こういうのは第一印象が大事なんだぞ。
真:この第一印象は最悪とか言わんか,おい?
GM/魔亜矢:「仲がいいんですね」と彼女はにこにこ笑っている。
真:この状況が何故そう見えるんだ……。
真二:わかる? 実は俺たち寝食をともにする親友なんだ!
GM/魔亜矢:「わかります。いいですよね,そういうの。私にもそういう友達がいますし」
真二:その友達って美人?
真:訊くな,馬鹿者!
GM:……えーと……君がそう聞く前に,後ろから「磨亜矢!」と声がかかる。立っているのは30代前半程度の男で,結構いい男だ。
真二:む。俺の敵だな。
GM:何故敵だ。
真二:彼女のいそうな奴はみんな俺の敵だ。
GM:あ,そう……(笑)。とにかく,磨亜矢は君たちに「それじゃこれで」と頭を下げ,「明日学校で会えるといいですね」と微笑みかけて去って行く。
真二:あ,ちょっと待……。
GM:はい,そこでですね。衝動判定を行ってください。
真二:え?
真:…………。こっちは成功です。
真二:とりあえずこっちも。ところでこの衝動判定ってどういう時に起こるんですか?
真:精神的なショックを受けた時,あるいはオーヴァードが力を使ったのを見た時とか……もうひとつ,可能性としては,誰かに衝動が起こるほどの殺気を向けられたか……。
真二:つまり?
真:近くにオーヴァード,いや,ジャームがいるかもしれないな……。
真二:とりあえず周囲を探ってみますけど。
GM:いや,とりたてて怪しいものはないようだね。
真:今の男か,それとも……。
光:というか,くるくる回った挙句に2人して周囲見まわしてるあんたらが一番怪しいよ。
一同:(爆笑)
真:…………。
真二:いや,でも俺周囲の目とかはあまり気にしないし。
真:おまえは黙っとれ。とりあえず,襟首掴んで引き摺って行きます。
真二:いや,それもかえって目立つと思うぞ真。
真:…………。
GM:ところでもう着いていいのかな。喫茶店,えーと……こるですた……。
泪:『コスタ・デル・ソル』ですってば。ちなみに私はすでに身なりを整えて席に座っています。
GM:ではここで登場ということで。
泪:ですね。でもってぼーっとしてコーヒーに砂糖を入れているところです。(手振りで)1杯,2杯,3杯,4杯……。
真:おい……。
GM:彼女のコーヒーはすでに砂糖が入りすぎて半固体になってます。で,通り過ぎるウェイトレスがそれを不気味そうに見ている(笑)。
真:近寄って,そっと手を掴んで止めます。
泪:……あら? あなたは……。
真:砂糖の摂りすぎはよくないですよ。
泪:(はたっ)い,いやだ私ったら,一体何をやってるんでしょう。ごめんなさい,いつもはこんなじゃないんですけど,最近ちょっとごたごたがあって,それでちょっと考え事をしてまして ,それで……
真:いえ,いいです。わかりましたから。(ウェイトレスに)すいません,コーヒー3つ。それとこのコーヒーは下げてください。久島,おまえもコーヒーでいいよな?
真二:(くるっと回って)始めまして,相模原さん!
一同:(笑)
泪:は……?
真:(真二をおしのけ)こいつのことは気にしないでください相模原さん。
泪:え,えーと,久島さんですよね?
真二:はい,久島真二です。久しい島に真実は二つ!と書きます。
泪:真実は二つ……?
真二:そしてこいつが俺の親友の大谷真です。
真:ただの同僚です。
真二:(聞いてない)僕らのことは,真ちゃんその1,真ちゃんその2と呼んでください!
真:黙ったらんかいっ!
光:ちなみに,どっちがその1でどっちがその2なんだろう(笑)。
真二:それは俺が「真二」だからその2だ。
泪:あー,なるほど……。
真:話を戻しましょうねっ! ……改めまして,今回あなたの部下として派遣されました大谷真です。で,こいつが久島真二です。
泪:初めまして,相模原泪と申します。上司といっても形だけで,私はまだ経験の浅い若輩ですし,色々ご面倒をおかけすることもあるかと思います。どうぞ,よろしくお願いします。
真:いえ,とんでもないです。ところで,早速で申し訳ないんですがね。水上磨亜矢,ご存知ですよね。
泪:ええ,もちろん。
真:彼女がレネゲイドウィルスに感染しているという可能性はありませんか?
泪:……何故です? 大谷さん,どこかで彼女と会ったんですか?
真:ついさっき,街中で。ウィルス感染者の気配を感じました。
泪:え?
真:特に彼女が,と決め付けるのは早計です。彼女と一緒にいた男かもしれないし,街中でしたから,周りにいた他の誰かかもしれない。ただ,彼女は前回の事件でもマークされていましたよね。
泪:そうですね。あの時は計画が大掛かりだったわりには犠牲者がひとりだけで,まだUGNは警戒を解いていないんです。それに,こう言っては何ですが,磨亜矢さんは明日香さんに最も近しい友人ですから……。
真:用心に越したことはないですね。
泪:彼女と一緒にいた男性というのも気になりますね。そちらも調べる必要がありそうです。
真:ま,それは明日彼女に直接訊いてみてもいいでしょう。
泪:……えーと,そのことなんですけどね。(GMに)この2人って,2人してうちのクラスに転校してくるんですか?
GM:そうです(笑)。
泪:絶対アヤシイと思うんですけど……。
真二:……ところで,話終わった?
一同:(笑)
真:おまえわ……。
真二:だって2人で深刻な話してんだもん。
真:おまえも! 一緒に仕事するんだぞ。わかってんのか?
真二:もちろんです相模原さん。とりあえず転校時の自己紹介とかは完璧ですから。
泪:はあ……ところで,おふたりともどちらに住んでらっしゃるんですか?
真二:俺ら同居してます。家事分担もばっちりですから!
真:おまえは黙ってろ。
泪:もしよかったら,うちにいらっしゃいませんか? 学校にも近いですし,雨追さんと鷹村さんが使ってた部屋が空いてますから。
真二:あ,そうですか?
真:それはダメです。
泪:え? どうしてですか?
真:色々と危険ですっ。
泪:え? 何が危険なんです?
真二:まあまあ,せっかくそう言ってくれてるんだから,いいじゃないか真ちゃんその1。
真:おまえは黙ったらんかいっ!!
GM:えー……キリなさそうなんで,シーン変えるねー(笑)。
泪:はい……。

 

SCENE 4


GM:とりあえず松山のシーンね。で,どうする?
光:ちょっと早めに学校来ようかなあ。よくわかんないけど,昨日のは俺が悪かった,気がする。茶山さんに謝らないと。
泪:別に光さんは悪くないんですけどね(笑)。
光:いや,でも,一緒に帰ろうと約束したのをすっぽかしたわけだし。
真:義理堅い奴だなあ。
光:と,いうわけで朝練のあと,早めに着替えて教室で明日香を探すけど。
GM:明日香は磨亜矢と談笑してる。とりたてて普段と変わった様子ではないみたいだけど。
光:あ,あの,茶山さん。
GM/明日香:「あ,コウくんだ。おはよー」
光:お,おはよう。あのさ,昨日のことだけどさ。ごめんな,何か妙なことになって。
GM/明日香:「え? ううん,いいよ。ごめんね,ボクも妙な誤解しちゃって。それより,泪さん昨日どうかしたの?」
光:いや,俺もよくわからないんだけど,昨日は何か変だったな。えらくぼーっとしてたし。
GM/明日香:「気分が悪くなったとかじゃないんだ?」
光:いや,違うだろ?
GM/明日香:「そっか。よかった」(にこにこ)
光:……茶山さん,もしよかったら今日一緒に帰らないか?
GM/明日香:「えっ?」
光:昨日すっぽかした詫びにさ,何かおごるよ。
GM:明日香はすっげー嬉しそうに「う,うん。嬉しいな……」ともじもじしている。
真:(ぼそっと)……うーん……まさにハイスクール・ラブコメ……。
真二:けっ。許せねえぜ。
泪:別に明日香さん狙いじゃないんでしょ?
真二:彼女のいそうな奴,できそうな奴は皆俺の敵だ!
GM:はいはい(笑)。ところでそろそろHRですね。泪は登場してください。それと,担任の先生が「あー,今日は新しいお友達を紹介するぞー」と言っているので……。
真:やめんかいっ!(一同笑)
真二:いいじゃないか,お友達。俺はとりあえず女子のお友達だけでいいんだが。
真:おまえわ……。
GM:ええとさっきのは冗談として(笑),「転校生を紹介するぞ」と言っているので,2人とも登場してね。では,まず自己紹介を。
真:……大谷真です。よろしく。
GM:それだけ?
真:そんなもんでしょ。
真二:サービス精神に欠ける奴だな。俺はバク転しながら教壇の上にだん!と飛び乗るぞ!
一同:(爆笑)
真:お,おまえ……。
真二:(やたらめったらに明るく)やあみんな! 俺の名前は久島真二! 久しい島に真実は二つ!と書いて久島真二だ! よろしくな!
真:…………。
真二:ちなみに女の子の友達募集中だぜ!
真:やめんかあっ!(蹴る)
真二:何をする真ちゃんその1!
真:その呼び方はやめろと言っとろうがっ!
光:え,えーと(笑)。
GM:教室内はオオウケ,ではなく,さすがに全員呆然としている(笑)。
光:えーと,同じく呆然としてから相模原を見てみるけど。
泪:頭抱えて苦悩してるに決まってます。あああ,もぉ……。
光:その様子で,UGNのお仲間なんだろうな,と勘づく。こいつらって,どうしてこうなんだか……相模原といい雨追といいコイツらといい……。
真:俺まで仲間にせんでくれっ。

 

SCENE 5


GM:では真のシーンに入りましょう。とりあえず授業は何とか滞りなく終わり,昼休みです。何かする?
真:弁当買って,相模原さんを誘います。
真二:おおっ!?
真:馬鹿者,そんなんじゃない。仕事するんだよ。
真二:何故俺を混ぜてくれないんだ。
真:(冷たく)おまえがいるとまとまるもんもまとまらなくなる。
真二:いいよ。俺,そこいらの女の子に片っ端から声かけて断られてるから。「やあ,俺転校生の久島真二! 学校を案内してくれないか?」とか。
真:…………。
光:しかし,すでに断られることが前提なあたり……(笑)。
真:えー,ところで,先に松山にも声をかけておきたいんだが。
光:はい,じゃあ登場します。
真:よぉ。こないだは迷惑をかけたな。
光:…………。あんた,相模原の仕事仲間?
真:ああ。彼女は俺の上司だ。
光:ところで,さっきのアレは……(笑)。
真:……信じられないだろうが,アレもUGNのエージェントだ。
光:いや,あんたの前任にもやっかいなのがいたから(笑)。
真二:(聞いてない)俺は転校したてで友達がいないんだ! さびしいんだよ!(笑)
光:(苦笑)ところで,今度は何の仕事だ?
真:ああ,おまえも知っておいた方がいいだろうな。実は,水上磨亜矢をマークしている。
光:……水上さんを? まさか彼女まで。
真:まだそうと決まったわけじゃない。用心に越したことはないからな。何もなければそれでいい。
光:ああ,そうだな……。
泪:では,そこで登場します。大谷さん? 光さんも,どうかしたんですか?
光:相模原。今回の仕事のこと,こいつから聞いてた。
泪:そうですか……でも光さん,あくまで用心のためですからね。千葉の事件の犠牲者が少なすぎる,という日本支部の見解なんです。
光:いいけど,あんまりヘンなことに水上さんを巻き込むなよ。
真:ところでちょうどいいから,おまえも付き合ってくれないか。
光:え?
真:この時間,彼女らがどこにいるか知ってるか?
光:ああ,昼休みはバスケ部の連中と一緒に屋上で昼飯食ってる。
真:とりあえず,探りをいれてみたいんだ。おまえや相模原さんが一緒の方が怪しまれないだろ?
光:……まあ,いいけど……。
GM:では,屋上に行くわけね。そこでは光の言う通り,女子バスケ部のメンバーが食事している。
光:あのさ,ちょっといい?
GM/明日香:「あ,コウくん。それと,えーと」
真:大谷真だ。よろしくな。
GM/明日香:「うん,よろしく。みんなご飯食べにきたの?」
光:うん,まあね。
GM:てな感じでしばし雑談が続く。で,どうする?
泪:でも関係なさそうな人もいるし,あまり突っ込んだ話はできませんよね?
真:(考えて)磨亜矢に話しかけます。ところで,昨日はうちの馬鹿がすまなかったな。
GM/磨亜矢:「いえいえ,とんでもない。そう言えば久島さんは?」
真:置いてきた。あいつがいると話が混乱するんだ。
GM/磨亜矢:「いえいえ,そんな」とにこにこ(笑)。
光:妙に曖昧な笑みだな。
泪:否定も肯定もしていない(笑)。
真:…………。ところで,つかぬことを訊くけど,昨日一緒にいたのって誰?
GM/磨亜矢:「え?」
真:あ,悪い。言いたくないならいいんだけど。
GM/磨亜矢:「いえ,そんなんじゃありませんよ。あれは私の叔父なんです」
真:へえ。かっこいい叔父さんだな。何やってる人?
GM/磨亜矢:「中小企業の役員だそうですよ」で,明日香が「神楽宗時って,財界では結構有名人らしいよ」と。
泪:神楽宗時。
真:偉っそうな名前だな。
光:いかにもボスキャラっぽいよね。
GM:うるさいなあ……(笑)。

 さて,他にはとりたてて収穫もなく(真二の収穫も同様),時間は放課後へと進むのだが……。