#2  To Be, or Not to Be
 

 


  I was always embarrassed by the words sacred, glorious, sacrifice and the expressions in vain.
  We had heard them, sometimes standing in the rain almost out of earshot, so that only the shouted words came through ... and I had seen nothing sacred, and the things that were glorious had no glory.
 

 

 

  SCENE 01


GM:えー,では第4部第2回,「上昇原理,下降原理」を始めたいと思います。
水限:(レコードシートを埋めつつ)それって英タイトルある? こないだの“Good-bye, Summer”みたいな。
GM:一応“To Be, or Not to Be”です。
直人:「生きるべきか,死ぬべきか」?
GM:そうそう。あれには色々な訳し方がありましてですね,
水限:……GM,“To be, to be, ten made to be”って訳せる?
GM:えっ? (しばし考え)え? それ,どういう意味なんですか?
水限:「飛べ,飛べ,天まで飛べ」。
GM:…………。
水限:(すました顔でレコードシートを書いている)
GM:…………。おちょくっとんのかアンタわっ!?
水限:いやいや。そんなことは(笑)。
GM:ともかく! レベルアップも終わったことですし,今回はいきなり始めちゃって大丈夫ですね?
真琴:はーい,おっけーでーす。
瑚唄:またマスターシーンからですか?
水限:誰が死ぬかな,誰が死ぬかな……♪


 ある夜。
 暗い部屋の中で,彼は電話をかけた。

『はい。水上でございます』
 2コールで女の声が応えた。
「水上さんですか。大谷です」
『ああ,大谷さん? お久しぶりです』
「ええ……」
 返事もそこそこに,彼は黒いデスクを見つめていた。背後の窓から差し込む光を反射して,天板の表面がぼんやり光っている。
 おぼろげな男の像。
 わずかに顎を引く。
 目があった。
「――――」
『……大谷さん?』
「……いや,失礼。そうですね,2ヶ月ぶりかな。真二とはかれこれ……ああ,真二そこにいます?」
『真二さんですか? ……はい,今日はもう帰宅してますから……かわりましょうか?』
「いや,結構です」
 視線は動かさず,右手で電話機のボタンを押す。
『……真二さんにご用じゃなかったんですか?』
「別に用があるわけじゃないんです。いや,用はあるんですが……」
『……は? あの大谷さん,それってど』
 そこで切れた。
 電子音を何度か確認してから,彼は受話器を置いた。
 男の目は,まだじっと彼を見つめていた。

 彼は立ち上がり,カーテンを引いた。


 同時刻。
「……そうだ。両名の死亡確認を急がせろ。撤退はHタイプを最優先とする」
 男は厳しい目で,燃え盛る炎を見つめていた。暗灰色の空に,傍らに立つ黒い機体の表面にも,不気味なオレンジがゆらめく。
『――アルファ2より入電。水上真二,水上磨亜矢両名の死亡を確認。次の指示を。――』
「こちらも撤退するぞ」
『了解』
 その声に頷きかけ,男はわずかに苦笑した。
「……よくやったな,リヒター」
 赤い電子の瞳は,無言のまま彼を見下ろしている。


水限:それって何? 磨亜矢も久島も死んだの?
GM:ええ,死にましたよ。
瑚唄:(←ホワイトボードに撃墜数?をマークしている)はいはい。久島と磨亜矢死亡,と。
直人:ふむ。これでライバルがひとり減ったな。
水限:……ライバルだったの?(笑)

 

  SCENE 02


GM:ではオープニング。瑚唄からです。
瑚唄:ほーい。
GM:悪夢のような一夜が明けまして,君は市警部の施設にいます。正確には,避難民を収容するために,どこかの学校を接収して作ったものみたいですね。……で。
瑚唄:で?
GM:目の前には例の黄色い人がいるわけですが。
瑚唄:はうわ。いきなりですか。
水限:……ん? 「金色」じゃなくて「黄色」なの?
GM:ええ。バナナ色ですから。
真琴:そうそう。バナナの食べ過ぎですっかり黄色くなっちゃって,って何でだよぅ!?

 余談だが,真琴プレイヤー(=キルスプレイヤー)はその日,誕生日プレゼントをもらっていた。
 冷凍バナナだった。
 さすがに1本ぶんだったが。


瑚唄:それはそうと,ワタシ従者で登場してもよろしいのかしら?(笑)
真琴:はん? 従者で私の前に出ようなんていい度胸だわね。
瑚唄:(トランプを表にして)……と,いうわけで本体です。
GM/キルスティン:「瑚唄,アンタ……」
瑚唄:すかさずお母様からいただいた鼻眼鏡をかけます。(妙な声音で)エ? コウタッテダレノコトデスカ?
GM:じゃあ持ってた雑誌でイヤんなるくらい殴られてから……。
真琴:(横から)え? 別に殴らないよ。普通に話するよ?
GM:普通にか!? え,えっと,じゃあすげえ冷たい目で「アンタそれ何の真似?」とか言うくらいかな。
瑚唄:うーむ。ではしぶしぶと外します。
真琴:(横から)え? 何で外しちゃうの?
瑚唄:外したらあかんかったですか!?(笑)
真琴:せっかくだからつけていようよ。がんばろうよ。
水限:(さらに横から)このシナリオじゅうつけてるんだよねえ?
GM:がーっ! あんたらはもう口出さんでええわっ! ともかく瑚唄! 
瑚唄:はいはいキルスおばさま。何でしょう。
GM/キルスティン:「何でこんなところにいるわけ?」
瑚唄:そういうおばさまこそ,何故ここに?
GM/キルスティン:「仕事に決まってるでしょうが。ま,あんたが何をしていようといいんだけどね。……いいんだけどね!?」
瑚唄:わーい。(と,バンザイなポーズ)
GM/キルスティン:「ザけてんじゃないわよ。あんたに何かあったら,あたしゃ咲耶榎になんて言えばいいのよ」
瑚唄:挨拶の仕方も忘れてしまったのですね。こんにちは,ご機嫌いかが?で通じますわ。
GM/キルスティン:「…………」
瑚唄:…………。
GM:……首根っこひっつかんで,咲耶榎にもかましたという伝説のウメボシ攻撃を。
一同:(爆笑)
瑚唄:(棒読み)ああっ,アタマが割れるように痛いデス。
GM:ちなみに成長して威力があがっているので,ヘルメットも砕きますよ! ぐりぐりぐりぐりっ!
直人:いつまでやっとんじゃ。
水限:此度もGMの必死のボケが痛々しいですな。
GM:主に誰のせいですかい。(咳払い)「まったく,ユージン叔父さんも大変なときだってのに……」
瑚唄:(ヘルメットを脱いで)あの人がどうかなさったんですか?
GM/キルスティン:「え? だって叔父さん,こっちの病院に入院してるでしょ?」
瑚唄:え? そうだったんですか?
GM/キルスティン:「あ,知らなかったの? ともかくそういうことなのよ。真が部隊出してくれるっていうから,私はこれから迎えに行ってくるわ」
瑚唄:はあ。行ってらっしゃいませ。
GM/キルスティン:「あんたは真んとこに顔出してきなさいよ? いいわね?」と言ってそのへんの広告の裏にガリガリと地図を書いてくれます。
瑚唄:(棒読み)わー,字ぃ汚ぁーい。なんてことは口が裂けても言えませんがぁ。
GM/キルスティン:「…………」
瑚唄:ではキルスおばさま,息災と親愛と再会を祈って。
GM:……えー,では持っていたショットガンで血反吐吐くまでタコ殴りにしてから,またカツカツと部屋を出ていきます。
真琴:(憮然と)……ねえ,ちょっといい?
GM:はい?
真琴:キルスさぁ,35になったんだったらもう少しオトナらしくふるまってくれよ。
水限:え? あれ,オトナになるんだ?
GM:なるんだ?
瑚唄:うーわきっつー。
真琴:おまえら……。
GM:えー,そういうわけで瑚唄のオープニングはこれで終わりです(笑)。瑚唄はキルスにロイスをとってね。

 

  SCENE 03


GM:はい次。みーちゃん。
水限:あ,私? ……ちょっと待ってね。
GM:どうかしました?
水限:いや……うん。テンション下げなきゃな,と。
一同:(笑)
水限:え? 何? 何で笑うの?
真琴:いやいや。私も自分のシーンに備え,必死にクールダウンしてるところだ。
GM:いや,あのねえ。プレイヤーはもうちょっとテンション上げていきましょうよ,あんたら。
水限:難しいこと言うなあ。
GM:ともかく! あなたは今夢を見ているところであります。いつも見る,けーちゃんが死んだ時の夢だ。胸に大きな穴を空けたけーちゃんが倒れている。……どうしてこんなことになったんだろう。
水限:なったんだろう? よく思い出せないな。
GM:しかし,だんだんに思い出せることもある。みーちゃんとけーちゃんはですね,リカ先生に言われて,ある男の暗殺を請け負ったんですよ。名前は久我原宗明(そうめい)。
水限:そー……なんだって?
GM:そうめい。宗教の宗に明るい。
水限:それって「むねあき」じゃないの?
瑚唄:愛称はむねぴー。
直人:いや,きっと愛称はむねむねだな。
真琴:それって,胸がたわわだってことか?
瑚唄:いや,銃弾をも防ぐ大胸筋なんだ!
一同:(爆笑)
水限:ああっ,ぴくぴく動いてるよ! ぴくぴくと!(笑)
GM:胸にこの大胸筋を入れてたおかげで助かったんだ,ってストプラネタもわかりにくいからやめなさい! ともかく,こやつはお坊さんなんですよ。だから「むねあき」じゃなくて「そうめい」なんです。年齢は48歳。もともとファルスハーツにいた人です。脱走したんですけどね。
水限:ほう。
GM:脱走の経緯からすると,どうも防衛隊のスパイだったらしいということがわかりました。そこで,暗殺任務がくだったわけです。
水限:裏切り者は消せ,とな。ところが?
GM:わかりやすく言ってしまうと,返り討ち。
水限:なるほど。
GM:彼の攻撃を受けて,あなたは昏倒しました。で,最後に覚えているのは,止めを刺そうとした久我原と自分の間に割って入ったけーちゃんの姿です。
水限:……じゃあ,なんで俺は無事だったんだ?
GM:何故でしょうね。で,もうひとつ夢を見ます。子供のころの,もうおぼろげにしか思い出せないくらい昔の夢です。あなたは廊下に座りこんで泣いています。いったい何が悲しかったのかももはや思い出せない。唯一覚えているのは,泣いている君に黙って近づいてきて,キャンデーをくれた小さな女の子です。あれは,誰だったでしょうか。
水限:……なるほど。じゃあそんなところで目を覚まそう。
GM:放送がかかっています。「水限くん。水限くん。生徒指導室まできてください。繰り返します。……」
水限:のろのろと起き上がる。で,口の中だけでぼそっと「そうか……あれは,慧じゃなかったな……」と呟く。
GM:はい,ではそんなところでみーちゃんのオープニングは終わり。久我原にロイスをとっておいてください。

 

  SCENE 04


G M:次は直人さんです。直人さんもとりあえず同じ施設に来ていて,さてどうしようかと思っているわけなのですが,(アカルい声で)「あーア上杉サン上杉サン。こんなところにイたですカ」
直人:なんだ,アブドルか。どうかしたのか?
GM/アブドル:「気がついてル? 携帯が,通じなクなってるのヨ」
直人:なに,本当か?と,慌てて自分の携帯をとりだしてみるが。
GM:圏外になってますねえ。「アナタが考えた通りニなりまーしたネ」
直人:何のことだ。
GM/アブドル:「トボけるのナーシ。……街全体に宣戦布告。それから情報封鎖。防衛隊時代,何度もシミュレートしたんだろ?」
直人:なんだ。知っていたのか。
GM/アブドル:「マーネー。こう見えてもワタシ,歴史学者だからね?」
直人:そうか。ネクロノミコンの執筆は進んでいるのか。
GM/アブドル:「はっはっは。2年前に脱稿したんだけどネ〜? 見た編集者が全員発狂しちゃってね〜?」
直人:(頷いて)それは大変だな。
水限:……で,今の話はどこからどこまでが本当なんだ。
GM/アブドル:「はっはっは。いヤー,困ったもンだ」
直人:で,何をしに来たんだアブドル。私の過去をいじくりまわして遊ぶ気じゃあるまい?
GM/アブドル:「いやいや,そんなそんナ。タダの趣味ヨ。それよりお仕事お仕事」
直人:この緊急時に依頼か?
GM/アブドル:「だっテアナタ,他にナにもすることナイでしょ?」
直人:そんなことはない。私にだって,護るべき家族が……い,いる,んだぞ?
一同:…………。
真琴:……なに,今の。
水限:どうかしたんですか? あ,そう言えば奥さんに逃げられたんでしたっけ?
直人:そんなことはない。
真琴:別にいいじゃないですか。ほら,コーヒーが恋人だし。(←?)
直人:そんなことないってば。そうじゃなくて,うちの家族の中で私が一番弱いというだけの話なんだが。
真琴:孝太郎は?
瑚唄:あれが最強。
一同:(爆笑)
直人:(皆が笑っているなか,ぶつぶつと)そんなことはないぞ。……ないってば。
GM/アブドル:「(咳払い)ま,そんなコトはどーダッテいいのよ。ファルスハーツの一ノ瀬リカって知ってル?」えーと〈情報:魔街〉〈情報:裏社会〉で。
直人:20。
GM:では知っています。FHチルドレンの管理をやっている人で,あの組織の中では極めて穏健派。以前ギルドでも仕事を受けたことがありますが,まぁそんなに扱いづらい人ではないと。「彼女がネ,アナタのことを雇いたいみたいなのヨ」
直人:ファルスハーツが,私をか。話を聞いてみねば何とも言えんが。しかし,何故私だ?
GM/アブドル:「さーネ。向こうがキミをご指名なんだもノ」
直人:ふむ,私も必要以上に有名になってしまったようだな。
GM/アブドル:「そうそう,前から訊きたかったんだけどサ。アナタは,どうしてこの街に?」
直人:(肩をすくめて)色々あったんだ。それだけさ。
GM:ではアブドルは同じように肩をすくめて去っていきます。アブドルにロイスをとってくださいね。
直人:とりあえず「不信感」を表にしておこう。
GM:あ,この人うさんくさいですけど人は裏切らないんですよ。
直人:そうなのか?
GM:(朗らかに)裏切った相手は全部死んでますから。後腐れのない人しか裏切らないんですよ。
直人:……ああ,つまり弱みさえ見せなければいいということだな。
水限:今回,弱みを見せられないNPCが多いよなぁ。
GM:ふっふっふ,それがいいんじゃないですか。では,直人さんのオープニングは終了です。

 

  SCENE 05


GM:はい最後。君嶋。突然ですが,君は途方にくれてイモを剥いています。しかも体育館裏でぽつねんと。寂しく。
真琴:……何故。
GM:避難場所が元学校だったってのは言いましたよね? 君はあのあと当然大谷んとこに行こうとしたわけですが,もうとにかく現場は大混乱ですからね。あちこちをタライ回された挙句,「ああ,もうここでイモでも剥いててくれ! どこもかしこも手が足りないんだ!」ってな感じです。
真琴:それならばせめて調理場で。
GM:だってあなた,包丁持つと血の雨が降るタイプの人間でしょ?(笑)
瑚唄:だって【社会】いくつ?
真琴:……1。
GM:ほらね。
瑚唄:ホロリ。この歳になって,ジャガイモの皮も剥けないなんて。ホロリ(笑)。
GM:ちなみに,包丁があまりに危なっかしかったので,見かねた誰かさんがピーラーを貸してくれました。
水限:でも,動かす方向が逆だったりするんだよな。「何故剥けないのだ。これは皮を剥く道具ではなかったのか……」とか言って。
真琴:……おかしい。刃が回転するだけではないか。
一同:(笑)
直人:君は本当にノイマンかね?
真琴:人間,誰にでも得手不得手はあるということなのだ。
GM:そんなわけであなたが寂しくイモの皮剥きをしているところへ,大きいアゲハ蝶が飛んできます。それを見てあなたは昔こんなことがあったな〜と思い出すわけです。そう,あれはあなたが7歳の時……。
真琴:6歳にしてくれ。
GM:……どう違うのかよくわかりませんが,別に6歳でもOKです。ともかく,その頃あなたは師匠にボチボチ戦闘訓練を受け始めておりました。もちろんエアガンとか使ってですけどね。んである日,遮蔽をとりながら相手に接近する,という訓練を受けていたとき,あなたが隠れていたところに大きな蝶が飛んできました。
真琴:そう,何故かはわからないが,あの頃の私は蝶が怖かったのだ。声もなく隠れていたところから飛び出す。
GM:追いかけてきますよ。どうもあなたが気にいったようです。ひらひらひら……ひらひらひら……。
真琴:(←ちび)怯えて走り回り,思わず……えーと,もう名前バラしてもいいですね。リヒター・グリュンシュトロムくん当時16歳の元に駆け寄ります。で,背後に隠れます。
GM/リヒター:「……訓練にならない。離れろ」
真琴:…………。黙ってひしっと足のあたりにしがみつきます。
GM/リヒター:「アレは別に害はない」
真琴:…………。ますますひしっと。
GM/リヒター:「……指をたててみろ」
真琴:……?
GM:するとリヒターは意外に優しくあなたの手をとって,人差し指をたてさせます。そこへ,蝶がひらひらと飛んできて,留まります。
真琴:…………。
GM/リヒター:「昆虫毛鱗翅目アゲハチョウ科キアゲハ,学名Papillio macharon hippocrates……」
一同:……はあ?(笑)
GM/リヒター:(構わず)「英名old-world yellow swallowtailと呼ばれるものだ」
真琴:…………。え,えっと?(笑)
直人:GM,そんなのいちいち調べたのかね。
GM:もちろんです! ちゃんと敵データにキアゲハってありますからね! ほらほら!
水限:(GMに渡された紙を読み上げる)……「こんな場所でもたくましく生きる,見た目に似合わずタフなやつである(笑)。」……。
真琴:あ,アホなことを……。
瑚唄:今直人さんの顔が,遙が線路を溶かして遊んでる時の尚也さんの顔と同じになってますよ?
直人:……私は多くを語るまい(笑)。
GM:はっはっは(←何故かオオイバリ)。
水限:……ここに「(笑)」が入ってるあたり,まだ覚悟が足りねーな。
GM:く,くそおッ!?
一同:(爆笑)
GM:ともかく! リヒターは無表情のままぽんぽんとあなたの頭を叩いていいます。「……大丈夫だ。危険はない」
真琴:…………。ではじーっとリヒターの顔を見上げてから,こっくりと頷きます。
GM:そんなところで……女の子の叫び声が聞こえてきて,あなたは回想から我に返ります。「チョウチョやだ,チョウチョやだ!」7つくらいの女の子が駆けてきます。右手で大きなウサギのヌイグルミをひきずっていますね。
水限:(突然)お姉ちゃんチョウチョ! チョウチョいやだぁ。
真琴:…………。え,えーと?
水限/女の子:「チョウチョの粉に触るとかぶれて手が真っ赤になっちゃうって,お母さんが言ってたぁ」
GM:言ってない言ってない(笑)。
真琴:いや,それは……嘘だ。
水限/女の子:(かわいく)「……嘘なの?」
真琴:では少し昔の自分を懐かしむように笑って言います。……大丈夫,あれは怖くない。
水限/女の子:「でも……」
真琴:ほら,指をたててごらん。
水限/女の子:「指?」
真琴:そうだ。(と人差し指をたてる)
水限/女の子:「……こう?」(と指をたてる)
GM:……って中指をたてるなアンタわあっ!?
一同:(爆笑)
GM:演るなら真面目に演ってくださいよ,真面目に!
水限:ははは,すまん。つい,な(笑)。
真琴:(咳払い)いや,それは違う。人差し指を……。
瑚唄:(親指をたて,ぐいっと下に向ける)
GM:そうでもないわあっ!?
直人:……その当時,上杉家では。
GM:はあ!?
直人:……こらぁ和也,蝶はバットで打ってはいかん!
一同:(再度爆笑)
水限:えー,だって兄ちゃんも蝶はバットで捕るって言ってたよ!(笑)
直人:どうやって捕るんだ,どうやって!
瑚唄:じゃあ兄ちゃんみたいにボールを投げてブチ当てるのはいいのかよぅ!(爆笑)
直人:何ぃ!? 尚也,ちょっとここに来なさい! 野球を悪用してはいかんといつも言っているだろう!(笑)
GM:いいから。いいからアンタら。……てゆーかっ,続けていいのかあッ!?
水限&瑚唄&直人:はいはい,どうぞー?(笑)
真琴:(忍耐強く)……人差し指を,たてるんだ。な? と,女の子の人指し指をたてさせます。
GM:(ぜえはあ)す,すると,そこに蝶がひらひらと留まります。
水限/女の子:(←まだ続行中らしい)「お,お姉ちゃん,指食べられちゃうよぅ!」
真琴:いや,大丈夫だから。何の危険もない。……ほら,よく見るとかわいいだろう?
水限/女の子:「…………。うん」
GM:えー,ではそんなところで蝶は飛んでいってしまいます。「……お姉ちゃん,ありがとう。あの……おイモ剥いてるの?」
真琴:ああ,そうだが?
GM/女の子:「剥くの,下手なんだねえ」
真琴:あ。……確かに。
一同:(笑)
GM/女の子:「美沙,手伝ってあげる」
真琴:あー。……その,君に訊くのもなんなんだが,これの使い方がわからなくて……。
GM/女の子:「お姉ちゃん,それ持ち方が違う」
真琴:そ,そうか?
GM/女の子:「そうだよ。美沙,ちゃんと知ってるよ。美沙のお父さんとお母さん,お料理屋さんなの。美沙もお手伝いするんだよ」と,彼女は上手にイモを剥き始めます。
真琴:(←何かを悟ったような顔つき)な,なるほど。そう使うのか。
水限:……ちなみに,まさかその子,苗字楠山だったりしないよね?
GM:しませんよ。なして?
水限:だって美沙って……それに美貴さん,妹いるっていってなかった?
GM:いや,本当に関係ないです。この子は木村美沙といいます。えーと,とりあえず彼女にロイスをとってください。
真琴:……とりたくないなぁ。
GM:なんで!?
水限:……そりゃあなぁ。
瑚唄:……後でタイタスになるって言ってるようなもんじゃん。
真琴:あ,あの子……ぼ,僕は,守れなかっ……!(笑)
水限:当然髪の毛はツインテールだな(笑)。
GM:……え? なんですかそれ? ワタシヨクワカリマセンヨ!?
真琴:本当か? 私の目を見て言えるか?
GM:えー,ではそんなところでオープニングは終わりです(笑)。