SCENE 15


GM:では君嶋。君は一度UGNに帰るんだよね?
水限:あ,ゴメン。その前に,ちょっと君嶋に言いたいことが。
真琴:何?
水限:いや,それがさ。ヘンなお姉さんがロボットの絵を見て妙な反応をしてたじゃない? それを君嶋に言ってなかったんだよね。
真琴:そうだっけ?
水限:そうなんだよ。
GM:しゃべらないのはいいんですが,肝心なことすらしゃべりませんなアンタ。
水限:というわけで登場していいかな?
GM:はいはい,わかりましたよ。じゃあ美貴さんの部屋の前まで一緒に帰ってきて,そこで「おいおいみーちゃん,女の子なんだからそこまで真琴ちゃん送ってあげなさいよ」とか言われたことにしましょう。
真琴:必要ありません。それに,彼はあなたの護衛なのですから,
水限:いいから来て。話があるから。
GM/美貴:「そうだ! 行け,犬のごとく!」
瑚唄:ここはオオカミのごとく,じゃないの?(笑)
GM&瑚唄:男はオオカミなのよ〜♪ 気をつけなさい〜♪
GM/美貴:「そういうわけだからさ!」
真琴:どういうわけなのでしょう。さっぱりわかりませんが。
GM/美貴:「人間,暴走した方がいいこともあるってことだよぅ! ほら,今日は満月だしネ! みーちゃんガンバだよっ」
水限:何を。
GM/美貴:「いやん,わかってるくせにぃ♪」
真琴:(ジト目)彼はすぐに戻らせますのでご心配なく。では美貴さん,私はこれで失礼します。
GM:あ,そうだ。ちなみに部屋の中がちらっと見えるんですが,そこには大きな鳥かごがあって,中には黒い大きな鳥がいますね。
水限:(白々しく)それって九官鳥ですよね。
GM:いえいえ,れっきとした鴉ですよ〜?(笑)
真琴:……かわいい鴉ですね。
一同:カワイイか!?
真琴:いや,だって私は動物好きなのだ……。
瑚唄:部屋で鴉を飼ってるあたり,疑問を持とうよ(笑)。
水限:……じゃあそうやってうっとりしているところを,腕をつかんでひきずっていく。
真琴:え? 待て,何をするのだ。
水限:頼みがあるんだが。
真琴:何だ?
水限:これからUGNに帰るなら,さっきのロボットが何だか,調べてきてくれないか?
真琴:美貴さんがあの男に見せられていたものか?
水限:「知らない」とか言ってたけど,反応が妙だったから。
真琴:そうだったのか。
水限:そう。
真琴:今のところ手がかりもないし,調べておいてもいい。しかし,あなたは彼女の護衛だろう。そんなことを調べてどうする?
水限:護衛対象のことは,ある程度知っておいた方がいいものだから。
真琴:わかった。では美貴さんのことをよろしく頼む。
水限:君嶋。
真琴:何だ?
水限:充分気をつけろよ。
真琴:え? 何にだ?
水限:今夜は満月だから。
真琴:……美貴さんもそう言っていたが,それって何か関係があるのか?
水限:満月の日は,人の感情が高ぶるらしい。殺人が一番増えるのも,満月の時らしいな。
真琴:それ,本当か?
水限:さあ。でも,血の匂いがしないか?
真琴:いや……。
水限:(肩をすくめて)ならいいけどな。
真琴:それに……ならばなおさら,私は戻らねばならない気がする。よくわからないが。
水限:そうか。じゃあ気をつけて行けよ。
真琴:ああ。私のことなら心配はいらない。
水限:(頷いて)えーと,では私はここで退場します。
GM:えと,みーちゃんは本当に残りますか? 君嶋についていくという手もありますけど。
水限:うーん,本当は君嶋を見てないといけないんだけどね。楠山美貴の方が気になるから。
GM:お,もしかして好感度大?
水限:全然。あまりにも疑わしいだけ。
一同:確かに。
GM:…………。ではそういうわけで君嶋はUGNに戻りました。かなりバタバタした雰囲気ですね。
水限:(にやり)ほら,血の匂いがしないか?
一同:(笑)
真琴:そういうことかー!?
GM:しませんよ,そんなの。
真琴:しないの? 床に血痕が残ってたりとかは?
GM:しません。……そのために,ちゃんと奥まった会議室使ったんだし。
瑚唄:びみょーに黒いですね大谷さん。
GM:ともかく,あなたが入ってくると,顔見知りの1人が声をかけてきますね。「あっ,君嶋! 今帰ったのか。大変なんだよ」
真琴:何かあったのですか。
GM/UGN職員:「それが,相模原さんと久遠さんと伊達さんが,揃って役員をおろされたって」
真琴:……そんな。
GM/UGN職員:「しかも,直後に防衛隊が乗りこんできて,連行されちゃったんだよ」
真琴:どこへですか。何故防衛隊などが。
GM/UGN職員:「さぁ,そこまでは知らないよ。しかも,まだ続きがあってさ。松山さん,いるだろ。あそこの家が爆破されたって」
真琴:…………。
GM/UGN職員:「まったく,今日は何て日だよ……」彼はふいにぐったりと口を閉ざし,座りこんでしまいます。
真琴:……すぐに所長室に向かいます。所長はいるんですか?
GM:はい。所長室に入るとですね,大谷が仕事をしています。いつにも増して疲れ切った表情でうすね。「ああ……君嶋か。何か用か」
真琴:所長。お話は伺いました。いったい何があったのですか。
GM/大谷:「紫音たちのことか? ああ……本部から指令がくだったのさ。あいつらを解任しろってね。組織に対する背任行為が立証されたそうだ」
真琴:……それは確かなのですか。
GM/大谷:「残念ながら,ね。俺も信じたくはないが……証拠は全てあがってる」
真琴:重ねてお聞きしますが,その証拠とは確かなものなのですね。
GM/大谷:「ああ……」
真琴:……信じられない……紫音さんたちが……。
GM/大谷:「それと,松山もな」
真琴:松山夫妻はご無事なのですか。家が爆破されたと聞きましたが。
GM/大谷:「……2人とも焼死だそうだ」
真琴:…………。
GM/大谷:「……いっぱい死んだよ。あっという間に,な……」
真琴:所長……。
GM:さて,そこで村崎さんが「所長,例の件調べがつきました」と言って入ってきます。大谷は「ああ,参ったな……」とか言いつつ,彼が持ってきた書類を広げ始めます。「ああ,君嶋。もういいかな」
真琴:え?
GM/大谷:「悪いが,まだやらなきゃいけないことが残ってるんだ」
真琴:……わかりました。私は例の調査を続行していてよろしいのですね?
GM/大谷:「ああ,頼むよ」
真琴:……所長。
GM/大谷:「うん?」
真琴:あまり,気を落とさないように……というのも変ですが……。
GM/大谷:「……ああ。ありがとうな」で,村崎さんが「ほら,行くぞ」と君を促します。では,退出するということでいいですね?
真琴:…………。
水限:(ぼそっと)そして,扉が閉まった後に……。
真琴:かっかっかっか!と笑う大谷が?
一同:(爆笑)
GM:しません! 何じゃそりゃ!?
真琴:いや,だってわかりませんよ? あの大谷さんはマフラーの色が違う偽者かもしれない。
瑚唄:せめて「にやり……」にしましょうよ。ねえ。にやり。にや〜り。
GM:せんわ! 話を続けますよ! 所長室を出ると,村崎さんが話しかけてきます。「君嶋,他の病院のことだがな」
真琴:はい。何かわかりましたか。
GM/村崎:「爆破事件が起こった病院には,いずれもシェルター機構があった。爆破されたのはボイラー室と電気系統,そしてシェルター。なるべく人のいない時間帯を狙っているため,死傷者は少ない。青梅総合病院とまったく同じだな。十中八九同一犯だろう。
真琴:「時計屋」ですか。
GM/村崎:「おそらくな。デモンズシティには大きな病院があと3つあるが,シェルター機構を持っているのは水上記念病院だけだ。そして,水上記念病院で時計屋らしい男を見かけたという証言がある」
真琴:…………。
GM/村崎:「急いだ方がよさそうだな。これからすぐに向かおう」
真琴:その前に,ひとつよろしいですか?
GM/村崎:「なんだ?」
真琴:これこれこういうものです,と例のロボットを描写してですな。こういうロボットに見覚えはありませんか?
GM:うーん。〈知覚〉。
真琴:何!? また〈知覚〉か!?
水限:この人もね。信用しちゃいけない人なんだよね(笑)。
直人:PC以外は全て敵だと思え。
瑚唄:そうですか? PCの中にも敵がいるかもしれませんわよ?(笑)
真琴:とにかく《天性のひらめき》を使って17だが。
GM:(ころころ)ふっふ。27!
真琴:何ぃ?
GM:そういうわけで何にもわかんなかった,と。では水上記念病院に向かうってことでOKですか?
真琴:ロボットについては,何も調べられませんか?
GM:UGNのライブラリには存在しませんね。ギルドとか防衛隊関係の人にあたらなければなりませんが,村崎さんは「そんな時間はないぞ?」と言いますよ。
水限:……まぁ,ウチらがあえて知らなくてもネタはだいぶ上がってるんだ。ほっといてもいいんでない?
GM:うーん。PC同士の情報交換ができてませんからねえ。どうしよ,このままずっと出会わなかったら(笑)。
瑚唄:そろそろ水上記念病院で合流すると思いますから,大丈夫ですよ。
GM:じゃ,その前にもうちょい情報を渡しておきますか……とりあえず,君嶋のシーンはこれできりますね。

 

  SCENE 16


GM:ではみーちゃんのシーンです。
水限:あいよ?
GM:みーちゃんはですね,君嶋を送って美貴さんの部屋へ戻ってきました。が,美貴さんがいませんね。
水限:あ,そう。ちなみに鴉は?
GM:鴉もいない。
水限:そう。じゃあ今のうちに家捜ししようか。
GM:……あー,ちなみに机の上には「すぐ戻るから待っててね! 4649!」と書かれたメモがあったりもしますが。
水限:そんなの知らない。家捜しします。
GM:そ,そうですか。では〈知覚〉で振ってみてください。
水限:《炎神の怒り》《ブレインコントロール》を使って(ころころ)……42ですが?
GM:では,ベッドの下にですね,小さ目のトランクがあります。中身はほとんど空なんですが,いくつか残ったパーツとかを見る限り,戦闘服っぽいですね。
水限:それで思い出していいのかな。直人さんと話してる時,軍事訓練を受けてる人間っぽい反応をしてたとか。
GM:そうですね。まぁタダの看護士ではないんじゃないですか。
水限:それだけ? もうちょっと物的証拠はない?
GM:うーん,他には……いや,もう終盤ですし,あったことにしちゃいましょう。奥からホルスターが出てきました。防衛隊守備部が使っている規格ですね。
水限:わかった。じゃあそんなところで君嶋に連絡をとる。
真琴:え? では登場します。……もしもし?
水限:ああ,君嶋? 江藤だけど。
真琴:どうかしましたか。美貴さんは?
水限:いない。
真琴:は?
水限:いなくなった。いや,逃げたのかな。
真琴:逃げた? 逃げたとはどういうことだ?
水限:どうも防衛隊の人間らしいな。
真琴:……防衛隊?
水限:単に被害者ってわけじゃないんじゃないか。だから怪しいと,即座に決めつけたものでもないけどな。
真琴:いや,待て。防衛隊……防衛隊か……。
水限:どうかしたのか?
真琴:詳しくは話せんが,こちらにも少々トラブルがあってな。どうやら,防衛隊が一口かんでいるらしいのだ。
水限:そうか。護衛対象もいなくなったことだし,一度合流したいな。今どこにいる?
真琴:水上記念病院に向かっているところだ。
水限:じゃあすぐ行く。ちょっと待ってて。
GM:ではみーちゃんは君嶋と合流するということでいいですね? ではシーンを変えます。

 

  SCENE 17


直人:さて,そろそろ合流ということでよろしいのかな?
GM:いや,あと1シーン。例の機械,ギルドに引き渡すんですよね?
直人:そうだな。ではアブドルに連絡して,取りに来てもらおう。
GM:では直人さんのシーンです。アブドルに電話をするんですね? では「ハロウ!? アイムアブドール! イエスアイアムスピーキング!」くらいな勢いでつながります。
直人:(←どうとも思っていないらしい)アブドルか。上杉だ。実は,かくかくしかじかの場所に重要なブツがある。確認してくれ。
GM/アブドル:「ふーん。で,時計屋は?」
直人:ヤツか。ヤツは爆破事件の犯人ではない。真犯人をこれから捕らえにいくところだ。
GM/アブドル:「へー。どうせアレでしょ? ヤツの身内とかいう話デショ?」
直人:それは……。
GM/アブドル:「あー,わかったわかッタ。ボクは何も聞かなかった。君もナニも言ってナイ。これでイイね? はい,話は終わりネ」
直人:……ふん。ひとつ貸しを作ってしまったな。
GM:もちろん,後でちゃんと返してもらいますヨ〜? それはそうと,「そうそう,キミタチ,これから水上記念病院に行くンだよね?」
直人:さすが耳が早いな。
GM/アブドル:「ナラもひとついいことを教えルよ。UGNとファルスハーツのエージェントが,そっちに向かってルみたいヨ?」
直人:やはり,ファルスハーツも一枚かんでいたか。しかし,何故UGNと手を組んだ?
GM/アブドル:「ン〜,ボクの勘だとネ,どうも色々おかしイんだナー。いいンだけどサ。UGNの上の方が,チョットね〜? どうする? ナシつけておきたいなら,そうシトクよー?」
直人:ギルドがUGNと事を構えたくないというなら,そうすればいい。私も積極的に彼らを敵に回す気はない。
GM/アブドル:「わかった,コッチも好きにやらせてもらウヨ。じゃ,行ってらっしゃ〜イ。あ,瑚唄さん。これからも我が商会をよろしくお願いしますネ〜!」 えー,ではそんなところでシーンをきりますね。

 

  SCENE 18


GM:では,クライマックスシーンとなります。みなさん侵蝕値は?
直人:92だな。
水限:うわ,8がでた! こっちもかなり厳しいな。
真琴:私が一番厳しいだろう。もう96だぞ?
水限:うわ,それは……。
瑚唄:で,私が60なんですけど。
一同:何故。
瑚唄:何故でしょう。私の方が訊きたいですよ(笑)。
GM:シーン少なかったか?
瑚唄:登場判定が軒並み低かったんですよ。ま,何とかなるでしょう。それより,我々の配置を教えてください。水上病院のどのへんからスタートですか?
GM:えーと,前庭ですね。例のアイオーンと呼ばれる機体が音もなく建物から出てきたところです。
瑚唄:うわお。それはまずいな。
直人:急ごう。まだ間に合うかもしれん。
GM:ちなみに,茂みのところにですね,時計屋が倒れています。
直人:だいじょうぶか,時計屋!
真琴:……すいません,ちょっと確認させてください。私ら,今どーゆー状況にあるんでしょう。
瑚唄:同じ場所に,ちょっと違う方向から同時に現れた,という感じではないですか?
水限:それはいいんだけどさ。……初対面なんだよね。
一同:(笑)
真琴:(白々しい口調で)いや,わかりませんよ? ■■■■のところで写真とか見ているかもしれない。
水限:(同じく)あ,なるほど。私も資料とか見てるなら,瑚唄が■■■■と■■■に似ているとかわかっていいのかなぁ。
GM:……アンタら,わざとやってますね?
真琴&水限:なーんのことかなー?(笑)
瑚唄:そのへんはリプレイでカットしてくれるんでしょうね?
直人:あー,で,話を続けようか。結局,我々はお互いのことがまったくわからないんだな。
GM:そうなりますね。あ,そうだ。実は,到着にはちょっと時間差があるんです。君嶋&みーちゃん組がちょっとだけ先ですね。というわけであなたがたは,「時計屋」と呼ばれる人物が倒れているのを発見しました。
真琴:む? おまえは時計屋だな。何があった。
GM/時計屋:「……ああ……おまえ,誰だよ……」
真琴:私はUGNの者だが,
GM:その瞬間に村崎さんが銃を引き抜き,時計屋を撃ちます。
真琴:……え?
水限:しまった。それは,止めることはできないですよね?
GM:誰も警戒するって言ってないですからね。
真琴:いや,だって……しませんよ。私は。
水限:すまん,警戒しておくべきは私だった。てゆーか村崎が同行してるってことをすっかり忘れてたよ(笑)。
真琴:うーむ。では,驚いて振り返る。いったい何をするんですか。
GM/村崎:「……何をする,か」
真琴:下された命令は確保のはずです。何故撃ったのですか。
GM/村崎:「…………」
水限:(ため息)撃たれたものはしかたない。その時点で,君嶋と村崎の間に割って入ります。……君嶋,少し下がった方がいいぞ。
真琴:……どういうことだ。
水限:こいつはおまえと違う命令を受けてたんだろ。
真琴:違う命令?
GM/村崎:「君嶋くん。その,君は少し,何ていうのかな……鈍いんじゃないのか」
真琴:…………。
GM/村崎:「大谷氏の教育がよかったんだろうね。人を信頼するのはいいことだ。が,時と場合にもよるよ。君はもう少し,世の中のことを学んだ方がいいね。できれば,だけどね」村崎はそのままゆっくりと後ろに下がります。
真琴:……待て。と,銃口を向けますが。
GM/村崎:「私を撃つのか? 命令を受けなきゃ何もできない君が?」
真琴:……これは現場の判断だ。おまえを確保する。
GM:ほほう。えー,そこで彼の背後からアイオーンがまた現れます。
水限:ふーん。UGNは防衛隊と組んだのか。
GM/村崎:「ああ。15年は長すぎたな」
真琴:……どういう意味だ。
GM/村崎:「君が知る必要はない。……君らに良識と正義があるならば,ここで黙って死ぬべきだ」
真琴:言っている意味がわからない。私は……。
水限:君嶋,そうじゃない。おまえは要らないんだ。
真琴:なに?
水限:UGN……大谷真にとって,おまえはもう必要ない。どうもそういうことみたいだな。
真琴:……なんだと。
GM:村崎は何も言わない。言わないが,否定はしないな。では,そんなところで後続組,どうぞ。
直人:(頷いて)……昔から,良識と正義を口にする人間がロクなものであった試しはないな。
GM/村崎:「ふん。ひさしぶりだな,上杉」
直人:おまえも相変わらずだな。16年ぶりか。
GM/村崎:「そうだな。時間が経つのは早いものだ」
直人:……楠山美貴はどうした?
GM/村崎:「彼女は任務遂行中だ」
直人:なるほど,中だな。
瑚唄:(手を挙げて)すいません。直人さんが話しているうちに時計屋さんの様子を見たいんですが。もう事切れていらっしゃいます?
GM:いや,まだです。でももう長くはないでしょうね。
瑚唄:それは,《癒しの水》とか通用するレベル?
GM:いや,しないレベル。てゆーかもう死んでもおかしくないのに,気力だけで何とか保っているといいますか。つか,死亡フラグはたった。
水限:最期の言葉を言うとか。最期の義務を果たすとか。
GM:後者かな。とりあえずどうします? 村崎は「俺は今,ここでおまえらとやりあうつもりはない。ここで引かせてもらおう」と言ってますが。
直人:大人しく行かせると思うか?
GM/村崎:「俺の知っている上杉直人なら,行かせるさ。ここで俺に割ける時間はないだろう?」
直人:……ふん。そんなところだな。
GM:では彼はひょいとアイオーンの肩に飛び乗ります。で,退場してよろしいですね?
真琴:私は待て,と言って銃を向けますが……。
水限:だったら身体で君嶋を遮るけど。
直人:そんなことをしているヒマがあったら,彼女を止めるんだ。時計屋,おまえの娘は止めてみせるぞ。
GM/時計屋:「……ああ……」
直人:よし,行くぞ。
一同:…………。
水限:って今誰に言った?
一同:(笑)
直人:ふむ。私の「行くぞ」の対象は瑚唄までだな(笑)。
瑚唄:私はもちろんそのつもりですけれど……。
真琴:…………。
水限:君嶋。ここで彼女を止めないと,ここが爆破される。
瑚唄:それもそうですけどね。直人さん,時計屋さんは爆弾を解除できるのは自分だけだとおっしゃってましたよね? どうします?
直人:うむ。爆弾を持って帰れればいいのだがな。
瑚唄:爆弾も時計屋さんも,そこまで保たないのじゃないかしら。
直人:じゃあ時計屋を連れていくしかないな。時計屋,行けるな?
GM:彼はかすかに微笑む。
直人:よし。ではそこの君,時計屋を運んでくれ。
水限:(頷く)
直人:で,君は……UGNのエージェントだな?
真琴:そうだが。
直人:ふむ。今はどうだ? 事と次第によっては,おまえの同行を断らねばならない。
真琴:……今の時点では判断不能だ。だが,病院が爆破されるというのは放っておけない。
直人:そうか。なら,今はUGNのことは忘れろ。それでいいな。
真琴:……それには答えない。黙って走り出す。
GM:わかりました。では,病院のロビー。吹き抜けになっているので天井も高いです。そこに黒いカラーリングのアイオーンがずらり。あと,白くて大きいのが1体います。で,その足元に美貴さんがいますね。「みーちゃん。すぐ帰るってメモ,見なかったのかな?」
水限:黙ってホルスターを投げ出す。
GM/美貴:「……あーあ。まずいモノ置いてっちゃったな。でもみーちゃんもさぁ,女の部屋を勝手に漁るもんじゃないよ? そう教わらなかった?」
水限:知らない。あと,時と場合にもよるんじゃないか。
直人:そういうことだな。さて,大人しくしてもらおうか?
GM/美貴:「ふーん。お父さん,連れてきちゃったんだ。あのさ,お父さんは狙わないから,下ろしてくれないかな」
水限:言う通りにしよう。壁に寄りかからせておく。
GM/美貴:「そうそう,いい子だね。さて,どうしよう。今回は誰も巻き込まずに爆破できそうなんだけど,黙って行かせてくれないかな?」
直人:そういうわけにはいかないだろう。
瑚唄:だいたい,本当に巻き込まないという保証はあるんですか? 最低でも,すでに1人は殺してますよね? それもあんな小さい子を。
GM/美貴:「そうかもね。でも,やめないよ」
瑚唄:はっきり言っておきましょう。あなたのしていることは間違いです。
GM/美貴:「君たちから見ればね。でもね……この街自体が間違ってるんだよ」
瑚唄:……呆れましたわね。あなたもこの街に踊らされてきた人間の1人でしょうに。それとも,あなたがた防衛隊は,命令ならどんなことでもなさるのかしら?
GM/美貴:「基本的にはね。でも,私は納得した仕事しかしないよ。お父さんに教わった通りにね」
瑚唄:納得ね……。
GM/美貴:「もし,この街がこのまま存在し続けたら。いつかは,この街の存在が,オーヴァードの存在が,世界に知れる日がくる。そしたら,何人の子供たちが死ぬと思ってるの。……私,君にそう言ったよね 。ね,水限くん」
水限:…………。
GM/美貴:「最低でも,12億だよ?」
水限:だから?
GM/美貴:「……『だから』?」
水限:それ,俺には関係ない。
GM/美貴:「そう。君,本当にわかって言ってる?」
水限:何を?
GM/美貴:「君みたいな人間に,世界は滅ぼされるってことだよ!」
水限:そうかな。俺が何をしようとするまいと,別に何も変わらないと思うけど。
GM/美貴:「私は護る……滅ぼさせやしない! そのために,君たちをここで殺すよ」
水限:そう。好きにすれば。(と,直人を見る)
直人:ふむ。おまえが防衛隊員として任務を遂行するというなら,これ以上の議論は無用だろう。私もこれ以上聞き苦しい口上に付き合いたくはない。それとも,まだ何か言うことがあるのか?
GM/美貴:「あと1時間で街全域に放送が流れる」
直人:ほう?
GM/美貴:「日本政府は,この街の廃棄を決定した。1人も生かして帰さない」
真琴:…………。それは,本当か?
直人:(頷いて)15年前からあった抹殺計画だ。まさか本当に発動するとは。
真琴:美貴さん。本気で,そんなことを言っているのですか?
GM/美貴:「冗談でこんなこと言えやしないよ」
直人:15年前からその構想はあった。だが,オーヴァードとの戦闘はリスクが高すぎた。シミュレーションでは,何度やっても勝てなかったからな。なのに何故今さら。
GM/美貴:「これがあれば,勝てる」
直人:それはおまえたちの切り札というわけか。何人のブラックドッグを殺した。
GM/美貴:「……この,楓シリーズはね,」
真琴&水限:(突然)……あははははははは!
GM:…………。なんですかアンタたちわああッ!?

 唐突に切れる緊張の糸。

GM:何で笑うの!? ねえ何で!? せっかくここまできたのに! この触れれば切れるような緊張感をどうしてくれる!
真琴:(笑い転げている)い……いや……だって……。
水限:(同じく笑い転げている)な,何よ,そのネーミングは……。
GM:……わかった,わかりましたよ! じゃあKシリーズ! これでいいですね! 話続けますからね!
瑚唄:はいはい。しかし,一度切れた緊張の糸は,中々元には戻りませんなぁ(笑)。
直人:じゃ,緊張の糸が切れたところで言っておこうか。
瑚唄:はい?
直人:さっきの15年前からとか何とか,全部私が勝手に言っただけだからね。
一同:おーい!?(再度爆笑)
瑚唄:すげえ! あんたすげえや!(笑)
水限:あれだけ真に迫っていたのに! 実はテキトー言ってたんですかい!?
直人:(へーぜん)や,でもあんなものだろう?
GM:(脱力している)……いや,確かにそんなもんですけど……。
直人:はいはい。というわけで続けますよ。
一同:…………。

 直人さんっていったい……(遠い目)。
 深く疑問を投げかけつつ,続き。


直人:何のことはない。大勢の人間を生かすために一部の人間を殺す。それだけじゃないか。
GM/美貴:「そうだよ。私は99人守るためなら,1人を殺すよ。1匹の羊を探して,99匹の羊を犠牲にするような真似はできない」
真琴:何故そんなことを。何故,どちらも救えないと決めつける。
GM/美貴:「何度シミュレーションしても,むだだったから。それで全員仲良く死ぬより,はるかにマシだと思うからよ」
真琴:そんな馬鹿な。あなたは……。
水限:ちょっといい?
GM/美貴:「何かな?」
水限:さっき,議論はもう無用だとかいってなかった?
直人:そうだな。これ以上時間を稼がれても困る。
GM/美貴:「そうだね。じゃあ,始めようか」 と,いうわけで戦闘に入ります。