GM:では次のシーン。みーちゃんのシーンです。すっかり日も暮れて,夕食時ですね。ちなみに君嶋は登場しますか?
真琴:登場するけど……あ,その前に,一度本部に帰って状況説明をしたいな。
GM:それは自分のシーンでやってください。てか,帰ってみるとみんな死んでいる,というイヤーなシーンをやりたいんですけどね?
真琴:……今,ひどいことを言わなかったか。
瑚唄:(歌うように)い・や・な・よ・か・ん・が・し・ま・す♪
真琴:ならば連絡をするだけでも……。
水限:連絡しても誰も出ないんだろ。
GM:(にやり)でませんね。
直人:『か○いたちの夜』みたいだな。
瑚唄:実は『かまい達の夜』だったりして(笑)。
水限:おお,私の名前はカマーイというんですよ,って違うから!(笑)
GM:はいはい。それはともかく,「よーしみーちゃん,仕事終わったよー」と美貴さんが来ます。
水限:あれって仕事だったのか。
GM/美貴:「いやそうじゃなくて,看護士の仕事だよ」
水限:ああ。
GM/美貴:「ナースだよ,ナース! ナースのお仕事!」
水限:だから?
GM/美貴:「……ほんっと,反応が薄いよね」
水限:何の?
GM/美貴:「だからさー,なんてーの? 人間としてのお約束があるじゃんよ。みーちゃん,もっと笑わないとひからびてミイラになっちゃうよ?」
水限:にこっ。(と笑う)
GM/美貴:「…………」
一同:…………。
水限:(無表情に)……笑ってみたけど,だから何?
GM/美貴:「…………。いや,もういいよ。とにかくご飯食べに行こう。奢るから」と,いうわけでどこぞの居酒屋です。「やー,みーちゃん飲んでるー?」
水限:俺,未成年だし。
GM/美貴:「あんたさっき25って言ったじゃんよー」
水限:そうだっけ。
真琴:確かに25と言っていた。
水限:……ああ,いたのか。
真琴:さっきからな。
水限:…………。
真琴:…………。
GM/美貴:「え,えーと。真琴ちゃんだっけ? まぁキミも飲みなよ」
真琴:私は正真正銘16歳ですが。
GM/美貴:「じゃ,オレンジジュースね。だったらいいでしょ」
真琴:わかりました。ではいただきます。
GM/美貴:「:…………。
水限:…………。
真琴:…………。
GM/美貴:「(咳払い)……いやー,いいよね,この街は」
水限:何が?
GM/美貴:「なんてーかさ,食料いっぱいあるっての? 配給制ではあるけどさ,それって,金も出さずになんでも食えるってことでしょ」
水限:それが何か悪いのか?
GM/美貴:「別に悪くないけどさ。この食料がどこから来てるのかとか,みんな考えたことあるのかなー,と思って」
水限:俺にはないな。
GM/美貴:「そう? だって,みんなが働いて食べ物作ってるわけじゃないんだよ?」
水限:だから何? 食い物は食い物だろ。
GM/美貴:「いや……いいけど。でもさ。そういうのってみんな考えないけどさ。人の命を無料で食べてるようなもんだよね」
水限:……人間はみんなそうじゃないか?
GM/美貴:「そうかな。普通は働いたり戦ったりして手に入れるもんだよ。何もしないで手に入ったりはしないよ」
水限:…………。
GM/美貴:「この街ってさ。建前上は『ない』ことになってるじゃない? それに,何の生産性もないよね? なのに,みんなが食べていけるだけの食料が,いったいどこから来るんだろう。誰がそのお金を払ってるんだろう」
水限:知らない。誰か得するヤツがいて,そいつが払ってるんだろ。
GM/美貴:「それもあるだろうけどさ……」
水限:あんた,それで何か不満なのか?
GM/美貴:「……私がいたところではさ。一生懸命働いても食べるものが何にもなくて,飢えて死んじゃう子とか,いっぱいいたからね。だから,ここっていいとこだなー,と思って」
水限:…………。
真琴:…………。
GM/美貴:「……みーちゃんさ,この街が解放されない理由とか,知ってる?」
水限:いや。
GM/美貴:「ちゃんと理由があるんだよ。……機を逸したんだよ。だから解放できなくなっちゃった。きっと,これから先もずっとね」
水限:だから?
GM/美貴:「キミたちはどうなの? ずうっとこの街にいて,それでいいの?」
水限:いいも悪いもないな。ここで生まれたんだからしかたない。ソマリアだろうと,デモンズシティだろうと,みんな同じだろ。
真琴:……私は,この街の人々を守るだけだ。
GM/美貴:「この街の人々がどんな人でも?」
真琴:…………。(←黙々と食べている)
GM/美貴:「ふーん。ま,いっか。ね,この街が解放されたらどうなるかとか,考えたことない?」
水限:ない。
GM/美貴:「…………」
水限:ないよ。だから?
GM/美貴:「いや,まぁいいけどね。……あのね。外の世界にこの街があるって情報が流れちゃうとね。オーヴァードの存在もね,バレちゃうんだって」
水限:オーヴァードって,外では秘密にされてるのか。
GM/美貴:「そうだよ。私もソマリア行くまでは知らなかったもの。でね,もしオーヴァードの存在が明らかになると,困ったことになっちゃうんだよ」
水限:…………。
真琴:…………。
GM/美貴:「戦争になっちゃうんだってさ。特に,中央政府の統制がとれてない国では,パニックが起こっちゃうからね。きっと,たくさんの人たちが死んじゃうね。アメリカは,そうなったら最低でも人類の20パーセントが滅びるって言ってる」
水限:…………。ひとつ訊いていいか。
GM/美貴:「ん? なにかな?」
水限:だから何?
GM/美貴:「何って……えーと,だから,君たちは一生ここだね,って。それってどう思う?」
水限:別にどうも?
GM/美貴:「……そう」
水限:というか,そっちはどうなんだ?
GM/美貴:「…………。ん。いや,だからさ。八方塞がりで,困ったねって思って」
水限:だったら,そんなこと言ったってただの愚痴だろう。
GM/美貴:「あー,うん。愚痴だね愚痴。愚痴ってゴメン。でも酔っ払いって愚痴るもんなんだよ。てか,みーちゃんも真琴ちゃんももっと飲みなよ」
真琴:飲んでますが。
水限:……すいません,生中もう一杯。(←結局飲んでいたらしい)
GM/美貴:「:…………。
水限:…………。
真琴:…………。あなたはどうしたいんですか。
GM/美貴:「ん?」
真琴:困ったと,そう思っているだけですか。
GM/美貴:「私が望むことはね……うん,ちっちゃい子が,1人でも多く死なないで済めばいいなあって。妹が1人いるんだ。外にいるから,もう二度と会えないんだけどね,今,重い病気でね。……私,ウチの妹が助かればいいなあって。ただそれだけ」
真琴:つまりは,このデモンズシティに使われているお金で,「外」の人を助けたいと。そういうことですか。
GM/美貴:「この街に,どれほどのお金が使われてるか知ってる? 年間5,000億だよ? それだけあれば,どれだけの人が助かるだろうね」
真琴:…………。
水限:どこかで戦争が起これば,それくらいすぐ吹っ飛ぶよ。
真琴:……まぁ,そうだがな。
GM/美貴:「……ん。そうだね。今日はもう帰ろう」
真琴:いえ。有意義なお話を聞かせていただきました……。
直人/店員さん:(いきなり)「ありがとうございまーす。お会計,12,350円になりまーす」
GM/美貴:「だー!? なんでそんなことに!? お,お姉さん今月ピンチかもー!?」
真琴:ちなみに,私は自分のぶんはすでに払っているのだが。
GM/美貴:「……キミもヤな子供だね」
水限:君嶋,ちなみに俺のぶんはいくら?
真琴:5,365円だな。
GM/美貴:「つか,みーちゃんアンタいつの間にそんなに飲んでるんだよー!?」
水限:ビール好きだから。じゃ,はい。5,365円。
GM/美貴:「アンタは払わなくていいんだよ! 奢るって言ったんだから!」
水限:…………。
GM/美貴:「な,なんだよぅ?」
水限:おまえは慧には似てないな。
GM/美貴:「は? 誰それ?」
水限:…………。
GM/美貴:「なに? なんなの?」
水限:別に。
GM/美貴:「なんなんだよ,もぉ!?」えー,てなところで,シーン変えていいんでしょうか。
水限:いいんじゃないでしょうか。……しかしなぁ。
GM:はい?
水限:暗いねえ。
ホントにねえ。
ちなみに「…………」の部分は本当に全員黙っている。何だかね。
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