SCENE 6


GM:じゃあ晟のシーンです。まず,侵蝕値から。
晟:(いっころ)えーと,45になりました。
ユウキ:(ぶつぶつ)いいよな,45に「なりました」とか言ってるヤツは。
遙:私,まだ41なのですよ?
GM:ユウキって基本侵蝕値いくつだっけ?
ユウキ:46ですよ。つーか何ですかソレ!?
晟:いいじゃないですか,どうせ231までリザレクト効くんだし(笑)。
ユウキ:だぁら,帰って来られなくなるっつっとんに!?
GM:いいじゃん,最終回なんだし。どうせ終わったらNPCだし(笑)。
ユウキ:NPCはいいがジャーム化はイヤだっつーねん!?
晟:心配いらん。おまえがもしジャームになったら,俺が責任をもって殺してやる。
遙:もしもし? そういうアナタも,その危険性が大なのでわ?
晟:まぁな。しかし,「もし俺がバケモノになったら俺を殺してくれ」とかお互い約束し合うほど信頼関係がないしな。
ユウキ:これっぽっちもないな。そんなどっかのゲームのどっかのシーンみたいなことはしません。
遙:それ,どのゲーム?
GM:(咳払い)それはともかく。で,君はどうするね。
晟:そうだな。……俺は鉄砲玉体質なので,考え事をしているうちに,いつの間にか外に出てしまっているんだろう。
遙:それ,鉄砲玉というよりフーテン体質なのでは。
晟:そうとも言うな(笑)。
GM:では,廊下に出たところで,ばったりと蒼に会います。「何だ,晟か。帰ってきてたのか?」
晟:……それは,さすがにぽかんと口を開けている。
GM:一応,蒼のことも説明したよ?
晟:うん。ではしばらく硬直して……そうか。おまえが蒼か。
GM:それじゃ向こうも「?」って顔をする。「どうした晟。何か悪いものでも食べたのか?」
晟:いや,そういうわけじゃないんだが……かくかくしかじか,なわけで,「晟」と言われても俺は困るのだが……。
GM/蒼:「デタラメな身体だな」
一同:(笑)
晟:好きでこういう身体になっているわけじゃない!(笑)
遙:デタラメな身体というか,デタラメな性格と言うか。
ユウキ:デタラメな設定だろ。
GM:デタラメな人格じゃないの?
晟:やかましわっ。
GM:ちなみに蒼はにこりともせず,「そうだな,その気持ちは俺にもわかる」と言います。「ちなみにおまえ,こんなところで何をしている? 外へ出る気だったのか?」
晟:いや,そこまで深く考えてなかった。この部屋だと落ち着かないので,他でゆっくり考え事をしようと思っただけだ。
GM/蒼:「そうか。悩み事があるなら,聞こうか?」
晟:え?
GM/蒼:「戦いに手を貸してやることはできないが,悩みを聞いてやるくらいならできる」
晟:あ,いや……そう言ってくれるのは,非常にありがたいのだが……。
GM/蒼:「何だ?」
晟:おまえの顔を見ていると,その,何だか非常に落ち着かないんだが……。
一同:(笑)
GM/蒼:「そうか,まぁそうだろうな。正直,俺もそう思う」
遙:(ぼそっと)これさぁ……3人揃ったら,うっとぉしいだろうねえ。
晟:ほんとにねえ。いや,自分で言うのもなんだが(笑)。
ユウキ:んで,3人揃ったら泪は誰を選ぶだろうねえ。
晟:それは楓でしょう。
GM:そんなもん?
晟:そりゃそうさ。だって晟と蒼なんて,泪にとっては楓の身代わりでしかないもん。
一同:ひでえ。
GM:(咳払い)それはともかく,蒼は「そうか,あまり離れなければ咎められはしないだろう。好きにするといい」と言って,それきり興味を失ったように歩いていきます。
晟:あ……すまない,ちょっと訊いてもいいか?
GM/蒼:「何だ?」
晟:泪はここにいるのか?
GM/蒼:「まだ会っていなかったのか? 上の階にいるが」
晟:そうか。……あ,いや。そうか。彼女は今,俺の母親でもあるんだよな。
GM/蒼:「そうだが,それは表現がおかしくないか?」
晟:そうだな。その,つまり,どうしたらいいかよくわからなくて……一度会っておくべきなのか,会わない方がいいのか……。
GM/蒼:「俺の個人的な意見を言わせてもらえれば,会わない方がいいと思う。混乱するだろう,お互いに」
晟:そうか。そうだな。
GM/蒼:「そんな顔をするな。俺も悪気があって言っているわけではないんだが」
晟:いや,悪気があるとは思っていない。気を遣わせたならすまない。
遙:……はい。お話中,ちょっとすみませんが。
晟:はい?
遙:楓ちゃん,そんな性格だった?
晟:楓って,もともと自分に好意を以って接してくる人間には素直ですよ。大谷とか。
GM:基本的には甘ちゃんだしな。お坊ちゃまだし。
晟:別に晟みたくひねくれてるわけじゃないですからね。
遙:そうかぁ〜?
ユウキ:ひねくれすぎて,一回転して元に戻ったとかじゃなくて?
晟:どんなんだよ。
GM:一見まっすぐだけど,よく見るとネジ状にひねくれてるとか。
晟:だからひねくれてないって。楓はひねくれてなさすぎるから,ああなるんだよ。ほら,目だってこんなに澄んでるし?
GM:その話題には触れるなと言っとろーがっ。
晟:それはともかく,俺はそのまま歩いて外に出るぞ。
遙:すると今度は光たちが!
晟:それはイヤだ!(笑)
GM:俺もイヤだ!
ユウキ:ついでに言うと俺もイヤだ!
遙:むー?
晟:というわけで松山夫妻には会わない,と。じゃあ誰と会うんだろうなぁ。一応,本人は大谷を探してるんですけど。
GM:大谷ここにはいないからねえ。
晟:そうだよな。で,キルスと会っちゃったりしたら,一番収拾がつかないよな。
GM:そうなんだよねえ。今いるんだよねえここに(笑)。
晟:会うの?
GM:いや,それとは会わないが……(ダイスを振って)あ,ユージン千葉が来た。ということはセットで咲耶榎も来たな。「おや,晟くん。こんなところで何をしているのです? 先ほど,山崎くんの火葬は終わりましたよ」
晟:そうか。あー,俺もいいかげん説明するのが面倒なんだが……。
GM/ユージン:「……なるほど。あなたは今,晟くんじゃないのですね? すると,今は楓くんかな?」
晟:ああ,どうやらそうらしい。いや,俺にとって俺は俺であってそれ以外の何者でもないんだが,他の人間にとってはどうやら俺は「晟」のようで,しかも鏡とか見るとどうもそれが事実らしく……あー,それで今ちょっと困っているところだ。
GM/ユージン:「そうですか。それなら,私が手助けして差し上げましょうか?」
晟:紫音にも同じことを言われたんだが,具体的に何をするんだ?
GM/ユージン:「私がするわけじゃないんですが」と言って,後ろの咲耶榎を指差し,
晟:その瞬間に,くるっと後ろを向いて去ります。
一同:(笑)
ユウキ:おまえも往生際が悪いヤツだなぁ。そのへん晟と変わんねえなぁ。
晟:い,いや,だって咲耶榎の方がナニするかわかんないし?(笑)
GM/ユージン:「別に大したことはしやしませんよ。記憶の混乱を解消するだけです。つまりですね,あなたがたは今,完全に分離しています。それをひとつに融合させるんです」
晟:融合ということはないだろう。俺はそもそも「晟」だったんだし,晟に戻るだけじゃないのか?
GM/ユージン:「さて,そうとも言いきれませんよ。晟くんの中にはそもそもあなたがいたはずだ。ただし晟くんの主体はあくまで晟くんで,本来あなたが表に出てくることはなかった。それが何故か今,あなたが晟くんをのっとってしまっている。それで……」
晟:ちょっと待て。それはやはり,俺が「晟」に戻るということだと思うんだが……。
GM/ユージン:「完全に今まで通りの晟くんとは限らないという意味です。だから,あなたと晟くんの性格がミックスされるということもあり得るわけで」
晟:(思わず)どんなんだ,それは。
GM:どんなんでしょう(笑)。まぁ,多少は頼り甲斐のある晟とか?
晟:(渋面)……すまんが,少し考えさせてくれないか。
GM/ユージン:「あなたがおっしゃるなら,私は別に構いませんよ。気が向いたらいつでも声をかけてください」と言って二人は退場します。
晟:……思うんだが,それはつまり,今ここにいる俺に「消えろ」と言ってるようなものじゃないのか?とかぶつぶつ言ってますが。
遙:ぶっちゃけて言えばそうだなァ。
晟:まぁそれは仕方ない,俺の存在そのものが確かに不自然なんだからな。……とかぶつぶついいながら,まだ歩く。ちなみにGM,このシーン適当に切ってくれていいですよ。ワタシはただひたすら,てこてこと歩いてますから。なんつーの? 「楓ちゃん,はじめてのおつかい」みたいな?
ユウキ:まともな買い物できそうにねえなぁ。
晟:アンタに言われたかないわい。
GM:えー,ではすでにUGNの表門まで達しました。するとですねえ(にやり)。
晟:すると?
遙:だだんだんだだん♪とか?
GM:そっちだったら先に効果音が入ります。そうじゃなくて,かっかっかっ……という,それはもう! これ以上はないってくらい,エラッソー!な足音が!
晟:…………。うわぁ。
GM:一番会いたくなかったでしょ。
晟:会いたくない,というかホンマに収拾つかんというか……まぁいいや。では立ち止まって,相手の顔を見ます。で,何となくわかるんだよね。似てるから。
GM:だって自分だし。つーか,年くった自分。
晟:ではものすごーくイヤなものを見る目で見返します。
GM:では向こうも一瞬「おや?」という顔をしますが,すぐにこれ以上はないくらいイヤっそー!な顔をします。で,「誰だ貴様は」
晟:貴様こそ誰だ。
一同:(爆笑)
遙:(ぼそっと)息子と父親。
ユウキ:このへんに「注:」とか赤い文字が出てるぞ,きっと。矢印で「↓息子」「↓父親」みたいな。
GM:うーん,ダメっぽいなー(笑)。楓はしばらく黙って晟を睨みつけた後で,「新条楓だが,貴様は誰だ」と返してきます。
晟:む。それを言われるとちょっと困るな。
ユウキ:「新条晟´だ」とか「新条楓´だ」とか。
晟:違うだろそれは!(笑)
GM/楓:「どうした,自分の名前も名乗れないのか?」
晟:……今貴様にはものすごく名乗りたくなくなった。
GM/楓:「そうか,俺は今断腸の思いで名乗ってやったんだがな。貴様は最低限の礼儀すら知らないらしいな」
晟:…………。
GM/楓:「…………」
遙:(その横で)ただいま,睨み合いが続いております。しばらくお待ちください。
ユウキ:思うんですけど,これ「不器用な親子」とかそういう範疇じゃないですね。
遙:ねえ。
ユウキ:欠片も心暖まらない親子ですね。
GM:親子じゃないからね。自分どうしで会話してるわけだから。
晟:(咳払い)そうか。今よくわかった。
GM/楓:「何をだ?」
晟:つまり「俺」は,15年間まったく精神的成長を遂げなかったわけだな。貴様を見ていてそれがよくわかったと言ってるんだ。
遙:それ,自分で言っちゃおしまいなんじゃ……。
晟:だからうるさいよ外野!(笑)
GM:では,楓はゆっくりと腕組みしながら言います。「それで,おまえが誰かはだいたいわかった。今すぐ晟の身体から出ていけ」
晟:…………。
遙:出ていけって……出ていけるの?
晟:いけないよ(笑)。いかん,今怒りのあまりうまい返答が思いつかなかった。
ユウキ:やっぱりこいつムカツクー。わかっちゃいたが,激ムカツクー(笑)。
GM:言い返さないんなら,もう大上段から見下ろすみたいにしてあげますけど? せっかく身長差もあることですし。
晟:ちょっと待て! 絶対言い返してやるから……ああ,ではこう答えます。好きでこうなったんじゃない。第一,誰のせいだと思っているんだ?
GM/楓:「俺のせいだとでも言いたいのか?」
晟:ああそうとも。おまえがいつまでもふらふらして泪を放っておいたからこうなった,と俺は聞いたがな?
GM/楓:「…………」
晟:よし,一本とった(笑)。
遙:それはいいんですが,いつまでやってんですかこの2人。
晟:そうねえ。誰かが止めてくれるまでやってるような気がするわ。
ユウキ:じゃあ俺が出ましょうか。
遙:それはもっと収拾つかなくなるんじゃないの?(笑)
GM:たぶんユウキが来ると,2人でハモって「貴様は黙ってろ!」となるのがオチのような……。
ユウキ:いいんですよ,そこでケンカになるのが王道ですから。(いっころ)そんなわけで登場しました。おい晟ァ!
晟:何だ貴様は。
ユウキ:何だじゃねえ。てめえに今出て行かれると困るんだよ。
晟:別に出て行くつもりはない。勝手に決めつけるな。
ユウキ:じゃあここはどこだ? 外じゃねえか。逃げ出すつもりだったのか,この負け犬!
晟:何だと!? もう一度言ってみろ!
ユウキ:おう,何度でも言ってやる!
遙:(慌てて)あ,すみません。私もここで登場します。あのー,すみませんが,
GM/楓:「ちょっと待てユウキ。ここの馬鹿息子に何を言おうと勝手だがな,貴様は俺まで侮辱する気か?」
ユウキ:ああ!? うっせえ,ジジイはすっこんでろ!
GM/楓:「ジ……」
遙:あのー,ちょっといいでしょーかー?
ユウキ:30過ぎてフラフラしてんじゃねえよバァカ!
晟:その点に関してだけは同感だな,この甲斐性なしが!
GM/楓:「このガキども! ここでまとめて相手してやろうか!?」
晟:やかましい! ロートルがでしゃばるな!
ユウキ:ガキに殴られてへこんで寂しいオヤジになる時が来たようだな,このクソジジイ!
遙:あのー。
ユウキ:おい晟! いつまでもこんなクソオヤジと遊んでねえで,さっさと行くぞ!
晟:うるさい! そういう貴様は何なんだ!? いきなり出てきて勝手なことばかり言うな!
ユウキ:てめえこそぐだぐだイイワケしてんじゃねえよ!
遙:あのー?
晟:いつ誰が何を言い訳した!? 人に何らかの要請をする場合にはまず事情を説明しろ! その程度のこともわからん馬鹿か,貴様は!
GM/楓:「こいつに筋道だって物事を説明するような脳味噌があるようにも思えんがな」
ユウキ:うるせえ! てめえは黙ってろって言っただろ,このバカオヤジ!
遙:あの。
GM/楓:「何だと,この拳馬鹿が!」
晟:じゃあそういう貴様は何だ,この精神年齢幼児並みのとっちゃん坊やが!
遙:……というわけで3人の頭に氷水を降らせます。
一同:(笑)
GM:氷水なんだ。冷水じゃなくて(笑)。では,ざばーっと水が降ってきたあとに,こんこんこん,と氷が頭に当たります。
遙:(小首をかしげて)あのー,ちょっとよろしいでしょうかぁ?
GM:とりあえず皆でしーん,って感じですね(笑)。
ユウキ:……けっ。バカらしくてつきあってられっか。
晟:それはこっちの台詞だ。見境なくつっかかってきたくせに。
ユウキ:ああ,何だと? てめえのせいじゃねえのかよ,この腰抜け!
晟:何だと,このゴロツキめ!
ユウキ:誰がゴロツキだってぇ!?
晟:貴様の他に誰がいる。鏡でも見たらどうだ!?
遙:あのー。
GM:ちなみに楓は2人が言い合いしている間をすっと通りぬけながら,「ガキどもの相手はしてられん。馬鹿らしい」と呟きます。
ユウキ:ああ!? どっちがガキなんだ,てめーなんざ30過ぎてソレだろうが!?
GM:とか言い合いながら,ユウキは楓と中に入っていくわけですね?
ユウキ:いや? 別にそれは……。
GM:そーでもしないと収拾つかないでしょ〜!?
一同:(笑)
ユウキ:じゃあそれで退場でいいです(笑)。
晟:私はちょっと呆然としています。で,我に返って言います。……つまり何か。俺は将来ああなるわけか。
遙:さぁ……それは時の流れによると思いますです。つまり,彼は残念ながらああなってしまったわけですが,
GM:「ああなった」ったってアンタ。
遙:(無視)あなたがああなるかどうかは,これからどういう人生を送るかによると思いますし,私には何とも言えません。で,これ使ってください,とタオルを渡すのです。濡れたままだと風邪をひくのですよ。
ユウキ:いや,アンタが水かけたんだろ?(笑)
遙:(無視)風も冷たくなってきましたし,中に入りませんか?
晟:あ,ああ。
遙:水かけてしまってごめんなさいなのです。でも,表であれだけ騒ぐと迷惑になるのです。
晟:ああ,そうだな。(GMに)ちなみに,晟が遙のことを好きだってあたりまで話されてるわけですか?
GM:ええ,そのへんも事細かに。
晟:そうか。……どうも今回,君に一番迷惑をかけたようだ。すまない。
遙:いえいえ,そんなことはないのです。気にしないでください。
晟:そこでまったく気にしないというのもあきちゃん悲しいです。
一同:(笑)
晟:でも今は楓だからなぁ。うーん,じゃあまともな子供に育ってよかったなぁ,とか思っていよう。
遙:何でなのですか。
晟:だってほら,あの2人の娘なのに!とか。
ユウキ:もうどうしようもなくおバカな家庭で育ってますからね。
晟:楓と泪よりはましだけどね。
ユウキ:あれはすでに家庭じゃないですからね。
晟:やかましわ!(爆笑)
GM:と,オチがついたところでシーンきりましょう。
遙:今きるですか?
GM:そうですね,長くなっちゃったんで。
晟:長いつーか,怒鳴りすぎて喉痛ぇ……(笑)。

 

SCENE 7


GM:では遙のシーンです。晟は同行しますか?
晟:遙ちゃんさえよければ,一緒について中へ入っていきます。ちなみに,君はどこへ?
遙:ユージンさんを探しているのです。訊きたいことがあるのです。
晟:ああ,彼なら俺が寝ていた部屋の前で会った。奥へ入っていったようだが。
遙:そうなのですか。それはどうもありがとうございました(ぺっこり)。
晟:いや,それはいいんだが……俺も一緒に行って構わないか? 事情はできるだけ知っておきたいし。
遙:うーん……できれば他人には聞いてほしくない話なのですけど……。
晟:あ,迷惑なら別にいいんだが……。
遙:いえ,迷惑じゃないですよ? それなら一緒に行きましょう。
晟:いいのか?
遙:私は構わないのですよ。
GM:遙は構わないかもしれないが,君は構うかもしれませんね。
晟:何で?
GM:ユージンのいるところが,泪の私室だから。
一同:(爆笑)
晟:何でそんなところにいるのっ!?(悲鳴)
GM:何でって,泪に調査を依頼していたことがあるからですが。
遙:ちなみに,私は何も気にせずにてこてこ進みますよ?
晟:うう……ではかなりビクビクしながらその後についていきます。
ユウキ:なんなの,その昔虐待でもされたんじゃねえの?って感じの怯え方は。
晟:と,時に偏愛は虐待よりオソロシイのですヨ?(笑)
遙:がたがたぶるぶる。
GM:なんなんだかなぁ(笑)。するとユージンが一番最初に君たちに気づきます。「おや,晟くん。試してみる気になったのですか?」
晟:(←声が上ずっている)い,いやっ,そういうわけではないんだが。
GM/泪:「? 晟,どうしたの?」
晟:い,いやっ,別にどうしたというわけではないんだがっ。いや,泪,実はだな。
GM/泪:「……泪?」
ユウキ:(横から)お母さんに向かって何てこと言うのこの子は。
晟:い,いや,だから……その,かくかくしかじかこういうわけで。
GM/泪:「…………」
晟:る,泪?
GM/泪:「(ふらふらと崩れ落ちる)ああ……ついに晟があの人のようになって……」
一同:(爆笑)
遙:(横から)そしてまたあの人のように私を捨てるのね……。
GM/泪:「ああ,これで私は本当に独りになってしまったのね……ひどいわ……ひどすぎるわ……」
晟:ちょ,ちょっといいか遙。
遙:なんですか?
晟:楓は,いや楓は俺だな,ともかく,あの男は帰って来てるんだよな。それなのに会いにきてないのか?
遙:(←またいきなり泪)えっ,帰って来てるの!? それなのに私に会いに来てくれないの!? やっぱり私,捨てられたんだわぁっ!(と,顔を覆って泣き出すポーズ)
晟:あ,あの男は……(怒)。
GM:まぁ,と,いうわけなのですが。
晟:どーゆーわけなんだよっ!?
GM:そういうわけなんだよ。つーか話を進めようぜ(笑)。「まぁまぁ晟くん,落ち着きなさい。あなたが動いても火に油です。とにかく,私に何か御用だったのではないんですか?」
遙:えーと,実はお話を伺いたいのです。あなたは,千葉さんと記憶を共有しているのですよね?
GM/ユージン:「ええ,ある期間内ならば,ですが」
遙:それはどういう期間なのですか?
GM/ユージン:「私が彼に擬態していた時までならば,ということですが」
遙:そうですか。それならば教えてくれませんか。この400年の間に,彼に何が起こったのか……。
GM/ユージン:「そういうことを私の口から言うのもどうかと思いますが,まぁいいでしょう。ただしこれは私なりの解釈ですが……」えーとですね,千葉は炎華姫を亡くしてからも,まぁがんばって生きてたのですよ。ところがだんだん,使命を果たすことに疑問を感じ出したらしい。
遙:人間を守り続けることにですか?
GM:それもあるんですが,彼の使命は結局のところ,世界のバランスを崩すものを消滅させることなんですよ。
晟:(真顔)じゃあまず自分が消滅したらどうだ?
GM:それを言うな(笑)。とにかく,彼はそのために作り出された存在なのですよ。
遙:誰が?
GM:まぁ彼はいわゆるこの世ならぬもの,魔人ってやつなんですが。
晟:……再三言うがこの物語は『ダブルクロス』であって『異能使い』では,
GM:(無視)実は同じ力を持つ存在って,彼だけじゃないんですねー。
ユウキ:はぁ? どれくらい?
GM:まぁ10人程度?
晟:ふざけんな。
一同:(笑)
ユウキ:まぁいいんじゃないか? ボコる相手も増えることだし。ちなみに,千葉が一番弱いの?
GM:いや,一番強いから安心して。つまりね,そーゆー「魔人」たちが暴走した際,彼らを処刑する役どころなのだね。で,基本的には人間を相手にする必要はないはずなの。ところが,長く生きてきたうちに,まぁ炎華とか厳馬とか秋とか,多少は理解し合える相手にも出会えたわけです。その中でも特に炎華姫とはね。お互いに好意を持ってたわけですから。でも,炎華を亡くして,その後も自分はずーっと同じようなことを繰り返してるわけですよね。で,だんだん虚しくなってきちゃったと。
晟:勝手な理屈だな。嫌ならやらなければいいだろう,そんな役目は。
GM/ユージン:「それはまぁその通りなんですが,私に言われてもね」
晟:おまえではなく,千葉のことだ。そんなに長く生きているくせに,自分の生きる道も自分で決められないのか?
遙:……と,昔自分が誰かに言われたようなことを(笑)。
晟:ワタシは言われてません。晟が言われたんだもの〜♪(笑)
GM:あんたねえ。
ユウキ:ま,でもそれはその通りだろうよ。
GM/ユージン:「ですから,私に言われてもね。で,どうです遙さん。これで納得していただけました?」
遙:…………。黙って下を向きます。
GM/ユージン:「そうもいかないようですね。もっとも,どちらにしろこの件に関して私が言えるのはそれくらいなのですがね」
晟:……奴が虚しくなったかどうかは知らんが,それと俺たちにちょっかいを出してくることと何の関係がある。
GM/ユージン:「さぁ,そこまでは。……これは恐らく私の推測なのですが,彼は死にたがっている。そのために,あなたがたを待っているのではないかと」
晟:自殺願望か? 下らんな。自殺したければ勝手にすればいいだろう。言っておくが,俺はそんなことに付き合ってやる気はないからな。
GM/ユージン:「ふむ,それも一理ありますが……おそらく,彼は自分では死ぬことができないのですよ」
晟:だからと言って俺たちがわざわざ殺しにいってやる義理もないだろうが。
遙:……400年という時間は,やはりそんなに長いのでしょうか。
晟:なに?
遙:…………。
晟:何だか知らんが,それは年月の問題ではないだろう。その年月をどう生きるかの問題だ。
GM:正しいんだが,楓に言われると何だかなぁって感じ?
晟:うるさいな。いやその通りだが,つまり何が言いたいかと言うと,君があんな奴に同情してやる必要はないということだ。
遙:別に同情はしてないですけど……。
晟:じゃあ何だ?
遙:…………。
晟:…………。あ,すみません。ちなみにキャラクターはわかってませんが,プレイヤーはわかって言ってますんで,念のため。
ユウキ:つーか,ナニ? こいつ,最終的には晟でも蒼でもなく,千葉なわけ?
遙:いやいやいや。
晟:だからどっちなんだよっ!?
遙:いやいやいやいや(笑)。
GM/ユージン:「一応言っておきますが,遙さん。炎華さんと自分を混同してはいけませんよ。あなた自身はどうしたいんです。千葉を止めたいのですか? 救いたいのですか?」
遙:それは……あの,少し考えさせていただいていいですか?
GM/ユージン:「ええ,しかしそんなに時間はないと思いますけどね。明日まで,よく考えてみることです。で,晟くん。いや,楓くん」
晟:もうどちらでもいい。で,何だ。
GM/ユージン:「あなたはどうするのです。試してみる気になりましたか?」
晟:……訊いていいか? やたらに試して欲しそうだが,それは何故だ?
GM/ユージン:「いえ? 単にそのままではあなたがつらいのではないかと思いまして」
晟:俺は別につらくはないが?
GM/ユージン:「そうですか。ならばいいのですが」
ユウキ:(横から)いいのか? やっとけば何かまた設定がつくかもしれないぞ?
晟:いらねえ。
一同:(笑)
GM:いや,今度こそ何もつかないです(笑)。単に晟と楓の人格がミックスされるだけで。
晟:だから,それがどんなんだかわかんないんだよなぁ(笑)。まぁ,ちょっと考えさせてくれ。
ユウキ:でも,出発明日ですよ?
晟:ワタシは行くとは言ってませんよ?
一同:(笑)
ユウキ:だから力ずくで連れてくって言ってんだよ!
晟:いやいや。そこでまたひと悶着ないとな(笑)。
GM:晟は医務室での一件を聞いてないからな。このままいくと間違いなくユウキとモメるな。それはそうと,遙はどうする? 何かしたいことある?
遙:えーとですねえ。もしOKならば,夜のうちに抜け出して,1人でちーちゃんのところに行きたいのですが。
GM:え?
遙:まずいですか?
GM:いや,俺はいいけど。
ユウキ:それ,自分で死にフラグたててない?
遙:そ,そうなのですか?
ユウキ:おまえがそれでも構わないってんなら,俺の口出すことじゃねーがな。
晟:うーん,でも展開としてはドラマティックで,私はその方が好きだけどね。
遙:じゃあそうするのです。部屋に「先に行きます」とか書置きをしておいて。
ユウキ:「ごめんなさい」とか?
遙:ごめんなさいは言わないですけど。
GM:「探さないでください」?
一同:(爆笑)
ユウキ:家出かよ。つーか家出人だらけかこの支部は!
GM:えーと,ではユウキたちに異論がなければ夜まですっとばしちゃいますが……OK? では引き続き遙です。君は自室の机の上に,「探さないでください」と書置きをし……。
遙:「探さないでください」違う。
GM:(無視)こそーり,こそーりと廊下に出て,こそーりこそーりと入り口に辿り着きました。
晟:あ,登場はしませんが,そこでちょっと演出を。白いオウムがパタパタと飛んできます。
GM:え? たまちゃん登場すんの?
晟:うん。まずい?
GM:まずくはないと思うけど,邪魔なんじゃ?
遙:じゃあ燃やします。
一同:ひでえっ!?(爆笑)
ユウキ:焼き鳥か。最終回にして,ついに焼き鳥か!
晟:ひどいよ,ひどいよ遙ちゃん! たまちゃんがいったい何をしたっていうんだよ!
遙:いや,遙ではなくて,プレイヤーの意思なのですが,
晟:もっと悪いだろそれっ!?
一同:(再度爆笑)
GM:すげえ。とうとうプレイヤーから焼き鳥指令が発令されたか。
ユウキ:あーあ。ついに焼き鳥になっちゃった。
晟/たま:ヤキトリ? ヤキトリ? タマ,ヤキトリ?
ユウキ:タレ,タレ,シオ,シオ!(笑)
遙:いや,冗談ですけどね?
GM:今の,本当に冗談だったか? ……まぁいいや。それはそうと,たまちゃんは本当に出すんだね?
晟/たま:ハルカ,ハルカ,ドコイク? ドコイク?
遙:たまちゃん,しーなのです。しーなのです。しーしないと……本当に燃やすのです。
晟:ええっ!?
GM:うわ……。
ユウキ:つーかこの人,最終回にして本性明らかになってない?
遙:だって静かにしないと見つかるのです。
晟:だからって即座に燃やしますかふつー?
遙:だいたい,たまちゃん何しに来たのですか。
晟:え? それはわけあって演出をちょっと。というわけで静かにしろと言われれば静かにしますよ。遙ちゃんの肩に留まります。振り払ったりしなければそのままじっとしてますが。
遙:振り払ったりはしませんよ。ちなみに,私は《氷の回廊》を使って窓から出ようと思います。
GM:じゃあ外に出ることはできました。で,そのままちーちゃんが指定した場所に向かうわけなんですよね?
遙:です。
GM:それでは,人気のない場所に差し掛かったあたりで,後ろから声をかけられます。「松山遙だな」
遙:ではゆっくり振りかえります。
GM:すると,見るからに怪しい格好の人たちがいる。具体的に言うと,警察官。
遙:警察?
ユウキ:でも,デモンズシティの警察組織って要するにストレンジャーズでしょ?
晟:見るからに怪しい,もっこりスーツを着たストレンジャーズなんだよ。
遙:うん。
晟:って嘘だよ! 信じるなよ!(笑)
GM:嫌だ,そんなストレンジャーズは!
遙:結局,どういう格好なのですか?
GM:黒っぽい戦闘服のようなものです。それがばらばらっと建物の蔭から走り出てきて,遙をと取り囲む。手にはそれぞれ拳銃があります。「おとなしくついてきてもらいましょうか」
遙:…………。
晟/たま:テキ,テキ! アブナイ,アブナイ!
GM:そうすると,ひとりがたまちゃんにかすめるようにぴすっ,と銃を撃ちます(←サイレンサーつきだから)。たまちゃんは本能により,黙りますね。
晟:ちなみにたまちゃんはエキストラ状態なので,撃たれれば死んでしまいます。
遙:あのー,それってたまちゃんが本当に足手まといなのでは……。
ユウキ:しかも,鳥目だから飛んで逃げることもできねーし。
晟:あっはっは。そうとも言うが。
遙:たまちゃん,とりあえず氷漬けになっとく?
晟:ええ!?
一同:(笑)
遙:(へーぜん)だって氷漬けになっておけば撃たれても平気なのですよ。
GM:そ,そうか? 氷が砕けたらそのまま死んじゃうんじゃないか?
晟:怖い子……! 何なの,この子!?
ユウキ:(←何だか妙に嬉しそう)わかったか? これが,君が惚れた女の本性なのだよ。
晟:つーか前に氷漬けにされた時には中に晟がいましたが,今はエキストラたまちゃんなので,凍らせたりしたら死んでしまいますよ?
GM:いや,死にはしないと思うけど。後で蘇生できるよ,きっと。
晟:ま,まーま?
遙:というわけで氷漬けにしておいて。
晟:ひーっ!?
遙:(もはや無視)で,どこに連れていくというのです?
GM/ストレンジャーズ隊員:「それは,来ていただければわかりますよ」
遙:うーん……《ブリザードブレス》をその銃に向けて撃つということはできますでしょうか。
GM:え? 銃だけ? それはちょっと無理なんじゃないでしょうか。
ユウキ:全員凍らせちまったら何かマズイのか?
遙:できれば殺したくはないのです。
晟:(小声で)たまちゃんは躊躇なく凍らせたくせに?
遙:(無視)この人たちってオーヴァードですか? それともエキストラ?
GM:エキストラですが。
晟:え,そうなの? じゃあたまちゃん連れて逃げればいいじゃん。エキストラなんだから。
ユウキ:別に逃げなくったって,そのまま気絶させちゃってもいいんですよ。エキストラなんだから。
遙:そうなのですか?
ユウキ:エキストラはPCが「殺す」と言ったら即座に死ぬんだよ。だから「逃げる」と言ったら逃げられるし,「気絶させる」と言ったら気絶させられるわけ。
GM:ん? (シナリオを見て)あーっ,しまったーっ! ここ,トループにしとかなきゃいけないんじゃん!
一同:(笑)
ユウキ:しかし,エキストラと断言してしまったからにはな。
晟:どうせトループのデータなんて作ってないんでしょ? エキストラエキストラ。ほら遙ちゃん,こいつらはもう好きにしちゃっていいんだよぉ?
遙:じゃあ全員殴って気絶させるです。
GM:即答だよこの人!
ユウキ:だってエキストラだしなぁ。
GM:(しくしく)うう……それじゃ遙がまるで香港カンフー映画のようなアクションで敵をしばき倒してしまったということで,って何かが違うが(笑)。
遙:それじゃ,さっき自分に銃をつきつけてた人をひきずって,その場から離れます。誰もいないところに行ったら,身体の主要な部分を凍らせて動けなくしておいて,
GM:おいおいおいっ!?
遙:? 何かまずいこと言いました?
晟:……いや……あの,相手エキストラなんだから,とりあえず武器を取り上げるくらいでOKではないかと思うんですがいかがでしょうかぁ。
GM:怖い……何なの,この人……。
ユウキ:なんて悪魔だ。わかっちゃいたが,君はマジでそういう人だったんだな。
遙:そですか? 念には念を入れてというか。
晟:ちなみに凍傷とか凍死って言葉知ってます? たまちゃんもそうですが,氷漬けにされて,そのまま無事に解凍されるわけではないんですよ?
遙:あ,そうなのですか? じゃあ武器だけ取り上げといて起こすです。
GM/ストレンジャーズ隊員:「くっ……こ,このバケモノめ!」
遙:あなたに命令を下したのは,誰でしょうか?
GM/ストレンジャーズ隊員:「ふっ,言うとでも思ってるのか?」
遙:えと,炎と氷どちらがよろしいでしょうか?
GM:怖っ!?
遙:(無視)そういうわけで,おとなしく話していただいた方がいいと思うのですが。
GM/ストレンジャーズ隊員:「わ,わかった,だから待ってくれ! 私には妻とかわいい3人の子供と,家のローンがあと30年……!」
遙:じゃ,話してくださいなのです。どなたなのでしょうか。
GM/ストレンジャーズ隊員:「う,上からの命令だ」
遙:上って?
GM/ストレンジャーズ隊員:「我々の格好を見ればわかるだろうが。ストレンジャーズ上層部からの極秘指令だ。それ以上のことは私も知らん」
遙:あ,本当にストレンジャーズさんだったのですか。どこかの組織が変装してると思ったです。じゃあストレンジャーズさんが私に何の用なのです?
GM/ストレンジャーズ隊員:「それは上層部に訊いてくれ。私ら下っ端は何も知らんよ」
遙:そゆものなのですか?
GM/ストレンジャーズ隊員:「そういうものだ。下っ端とはそういうものなのだよ」
遙:そうですか。それは大変なのです。ご苦労さまなのです。
GM/ストレンジャーズ隊員:「あ,いえいえこちらこそ」
ユウキ:突然なごむなよ。
遙:(無視)さて,困りました。私としては千葉さんのところに急ぎたいのですが,こちらも放っておくわけにはいきませんし。
ユウキ:何で。
晟:放っておけばいいじゃん。
遙:だって,気になりませんか? 私に何の用なのでしょう。
ユウキ:それを調べるのはアンタの勝手だけど,じゃあここまで1人で千葉に会いに来た理由っていったい?
遙:はう。そうでしたね。
ユウキ:つーかアンタ,千葉に対する想いもしょせんその程度ですか。
晟:プレイヤーとして言えば,さっさと行きなさい。こんなのは放っといて。
GM:ちなみに,これは君らを狙ってる組織は他にもいるんだよー,というただの演出だから……(笑)。
遙:そうですね。ではストレンジャーズの皆さん,私は道を急ぎますので,そのように上の方々にお伝えください。ではそういうことで。
GM:では遙はそのままてこてことゲートに歩いていったということで。では,ここでいったんシーンをきります。


 

SCENE 8


GM:ではユウキのシーンです。夕方になってゆかりちゃんも起きだしてきました。「ユウくん,ご飯できたよー」
ユウキ:おう。
GM:で,食卓についてみると何故か紫音がいます。「やあ,ご馳走になってるよ」
ユウキ:ああ? ま,いいんじゃねえの。どうせこれ,ウチの食材じゃないんだろ?
晟:(←登場した)すまん,ここで食事をしろと言われたんだが……。
GM/紫音:「おう,こっちだこっち。おまえも食え」
ユウキ:…………(無言で食っている)。
晟:ああ,美味しそうだな。
GM/紫音:「ゆかりちゃん特製の夕飯だからなー。あやからんわけにはいかんでしょ!」
ユウキ:…………(無言で食っている)。
晟:ゆかりちゃん? ああ,彼女がそうなのか。こいつの恋人だとかいう……。
ユウキ:(箸をテーブルに叩きつける)そのギャグはもう聞き飽きたんだよ!
晟:俺はただ,こいつ(紫音)にそう聞いただけだが? ギャグって何がだ?
GM/紫音:「そうそう,ギャグじゃない。ユウキくん,こんなことをギャグですませちゃいかんぞ! 彼女は大切にせんと」
ユウキ:うるせえな。好きに言ってろよ。
晟:事情はよくわからんが,自分の恋人に責任をとらないのはよくないぞ。
ユウキ:おまえがそれを言うか!
一同:(爆笑)
GM/紫音:「ほらほらユウキくん,こいつの言うことだからほんっっと説得力あるだろー?」(笑)
ユウキ:ねえよ!
遙/光:(←乱入)「そうだ,そんなことをしてると楓みたいになっちゃうぞ?」
ユウキ:おまえまでおったんか!?
遙/光:「俺は毎日明日香と一緒にいられて,こーんなに幸せだぞ?」(笑)
ユウキ:うるせえ黙れ! どっか行け!(蹴る)
遙/光:「いてっ,何すんだよ。全くユウキときたら,照れると激しいんだからなぁ」
ユウキ:照れてねえ。
GM/明日香:「ほらほら,ユウキくんもそんな照れてないで,まだご飯はいっぱいあるよ?」
ユウキ:照れてねえっつんだろ。
遙/光:「いやぁ,若いっていいなぁ」
ユウキ:聞けよ。人の話。
GM/明日香:(聞いてない)「あらやだ,コウくんたらこんなところにご飯粒がついてるわよ?」
遙/光:「あっ,ホントだ」
GM/明日香:「もう,コウくんたら子供みたいなんだから☆ 今とってあげるから動かないでね?」
遙/光:「やだなぁ明日香ってば,ユウキたちの前で照れるじゃないか☆ はっはっは☆」
ユウキ:思わず箸をへし折ります。こ,このアホどもが……。
GM/紫音:「と,いうわけだ楓。こいつらも変わってないだろ?」
晟:(渋面)ああ,そうだな。ちょっと会わないうちにまた輪がかけられたようだが,幸せそうで何よりだ。
GM/紫音:「そうだな。ま,おまえもがんばって幸せになれ?」
晟:……とりあえず,同じく箸がへし折れました。
一同:(笑)
ユウキ:もうこいつらは無視だ,無視。で? 明日はいつ出発すんだよ。
GM/紫音:「昼前に出れば十分だろ。……ところで遙はどうした?」
ユウキ:知らねえ。あいつのことなら,俺より晟に訊けよ。
GM/紫音:(晟に)「で,遙は?」
晟:俺が知るわけないだろう。だいたい「出発」とは何のことだ?
GM/紫音:「話してなかったっけ?」ゆかりちゃんに聞こえないように医務室であったことを話します。「……そういうわけだから,誰か1人でも欠けるとまずいんだ」
晟:わかった。そういうことなら,協力してやらないでもないな。
ユウキ:けっ。別に頼んでねえよ。
晟:ほう? では行かなくてもいいのか?
ユウキ:「連れてく」って言ってんだろ。嫌だっつったらボコって連れてくだけのことだ。
晟:人にものを頼む時はそれなりの態度があるんじゃないのか?
ユウキ:誰が頼んだよ。命令してるんだよこの野郎!
晟:命令!? 何で俺が貴様に命令されねばならんのだ!
ユウキ:ついて来いっつってんのにグダグダ言うからだろこのボケが!
GM&遙:まぁまぁまぁまぁ(笑)。
GM/紫音:「ほらほら2人とも。いつまでもそんなことやってると,ほら,ゆかりちゃんが」ちなみにゆかりちゃんは2人を見て涙目になってます。
晟:いや,それは……。すまない。
ユウキ:……悪ぃ。
晟:まったく,こいつが勝手なことばかり言うから……。
ユウキ:てめえが聞き分け悪ぃんだよ!
晟:おまえが事情を説明しないから悪いんだろうが!
GM&遙::まぁまぁまぁまぁ(笑)。
GM/紫音:「まったく,大人げないんだからなぁ。大変だねえ,ゆかりちゃん?」
遙/ゆかり:「んーと,でも,慣れてますから」
GM/紫音:「なんて健気なゆかりちゃん。ほーら罪悪感バリバリだろぉ,2人とも?」
ユウキ:…………。
晟:(咳払い)で,結局遙はどこに行ったんだ。
GM/紫音:「それがわかんないから訊いてたんだろ」
晟:部屋にでもいるんじゃないのか。少し見てこようか?
GM/紫音:「そうだな,見てきてくれ。その間におまえのぶんは食っといてやるから」
ユウキ:てめえが行けッ!
GM/紫音:「はうっ!」(←椅子ごと蹴り倒された)
一同:(笑)
GM/紫音:「ひ,ひでえな。俺これでも所長代理なのにぃ」
ユウキ:うるせえ! 行くならとっとと行け!
晟:まったく,おまえは年をとっても全然進歩がないというか,
ユウキ:だからおまえがそれを言うなよ!
一同:(爆笑)
GM:棚にあげてる。あげまくってるよこの人。
晟:ははは。しかし,一番進歩がないのは誰なんだろうね(笑)。
遙:楓か,光か,キルスか……(笑)。

 むしろ退歩した人もいるけど……いや,誰とは言わないけど……。

晟:あ,GM。念のために訊いておくけど,楓はここにいないよね。
GM:いないよ。いたら収拾つかないやんか。
遙:きっと今ごろ修羅場なんだ。
ユウキ:きっと今ごろ離婚協議中なんだ。
一同:(笑)
晟:離婚した方がいいと思うけどねぇ。
遙:泪ちゃんが離婚させてくんないんでしょ。判押さないんだよ。
晟:「私のことを捨てるの? そうなのね? ……いいわ,私,あなたの目の前で死んでやるから……!」とか言って。
遙:そうそう。
ユウキ:死ぬほどダメっぽいぞ。
GM:そういう修羅場は今回やらないんで。しばらくすると紫音が帰ってきて,「まずいことになった」で,その後に続く松山夫妻が,
遙&晟:遙ちゃんがいなくなったの〜!!
GM:はい,ありがとう(笑)。「それと,部屋にこんなものが」とさっきのメモを渡します。
晟:「探さないでください」。
遙:違うわ!
ユウキ:「先に言ってます」とかじゃないとわかんないですけど!
遙:どっちかというと「ごめんなさい」じゃないかと思います。
晟:いや,それもどうかと思うけど(笑)。(ユウキに)おい,これはどういうことだ? 彼女はさっきの事情を知っているんじゃないのか?
ユウキ:ああ,その場にいたはずなんだけどな。どうも暴走癖のあるヤツだからな。
晟:おまえの説明が悪いんじゃないのか?
ユウキ:ああ!?
GM/紫音:「あーいや,そういう問題じゃなくてだな。最近,遙は様子がおかしかったんだ」
ユウキ:(真顔で)いつもおかしいだろ。
一同:(爆笑)
遙:何でですねん!
GM:いつものようなおかしさがないおかしさ。……それもヘンだな。
晟:いつもと違ってフツーにおかしかったんだ。
ユウキ:むしろおかしくなかったことがおかしい,とか。
GM:とりあえずシリアスモードが長続きしすぎたんだ!
一同:(笑)
遙:みんなヒドイ……(泣)。
ユウキ:そんなのはどうだっていい。とにかく,行くところは同じなんだ。後を追うぞ。
晟:では,椅子にこうどっかりと座って,何かを期待するような目で見てみたり。
ユウキ:…………。
晟:…………。
ユウキ:(妙にゆっくりと)いくぞ。とっととついてこい。
晟:(ゆっくりと)それがひとにものをたのむときのたいどか?
ユウキ:頼んでねえっつってんだよ。来ねえなら力ずくで引きずってくぞてめえ。
晟:行くこと自体にはやぶさかではないが,貴様に命令される覚えもないぞ。
ユウキ:何だとこの野郎!
GM/紫音:「あーあー。2人とも」と2人の頭をつかんで,くりっとゆかりちゃんの方へ向けます。ゆかりちゃん,また泣きそうになってます。
ユウキ:…………。
晟:…………。
ユウキ:(妙にゆっくりと)わかったよ。じゃあいっしょにいってくれるかい,あきらくん?
晟:(ゆっくりと)ああ,そこまでたのむんならいってやらないこともないなぁゆうきくん?
GM/紫音:「おまえら,マジでいいかげんにしろよ……」(笑)

 まぁ,お約束だから?
 さて,ユウキ,晟,紫音に松山夫妻を含めた一行は,栄吉ちゃんの運転するワゴンに乗って,目的地へ。
 ちなみに栄吉っちゃん,一応免許はとったそうです(笑)。