SCENE 5


GM:では青い変形マシーンに乗って,3人は瀞南寺の後を追っています。
晟:何かまだ熱っぽいの〜とか言ってうだってます。
遙:あきちゃん,大丈夫なのですか?とか言って看病してますです。
晟:遙ちゃ〜ん(←甘えっこポーズ)。
遙:はいはい? どうかしたですか?
晟:(真顔で)いやほら。ここはやっぱアレが基本でしょう。
遙:ほえ? 何がですか?
晟:膝枕とか膝枕とか膝枕とかぁ♪
遙:ほ,ほえ?
ユウキ:(無言でぶん殴る)
晟:な,何で殴るんですかっ!?
ユウキ:うるせえ黙れやかましい!(さらに殴る)
綾:キミ,殴られるとわかっていて何故やるかなそういうことを(笑)。
真琴:おまえ実はマゾじゃなんじゃないのか?
GM:そういう漫才はともかく,すげえスピードでがー,と走っていってます。ペダル踏みまくりで。超オフロードで200キロ走行です。……ちなみにそーゆー運転なんで,酔わないかどうか【肉体】で判定してください。
晟:……ファンブル。
ユウキ:自業自得だボケ(←当然失敗しない)。
遙:うにゃあ。ちょっと舌噛んだですぅ(←失敗した)。
GM:じゃあ晟は2,遙は1HPを減らしてください。さて,そうこうしているうちにさきほどお父さんと君嶋が判定に失敗したポイントにやってきました。というわけで,君たちにも判定をさせてあげよう。〈追跡〉で判定。実は目標値はそんなに高くないんだから,がんばってね。
晟:しかし,僕ら誰も〈追跡〉はクリットしないですからね。
ユウキ:そうなんだよな……(ころころ)と,7だ。そっちと一緒じゃん(笑)。
晟:あ,回った! 19です。
遙:同じく19なのです〜。
GM:おお,すばらしい。ではまず,数台の車両と,それを追っている山崎のバギー,それから綾が乗ってるUGNのものらしいタイヤの跡です。先行している数台の車両の中で,特に深く跡が残っているのがありますね。
晟:それはつまり,車両が重い?
遙:武器弾薬が満載だとか?
ユウキ:あるいは,武装した兵士がいっぱい乗ってるとか?
GM:あ,えーと,その重い車両ってトラックですね。ほかはバンとかですが。
ユウキ:……兵士かな。何かそんな感じ。
晟:実は巨大二足歩行ロボットを運搬しているとゆー説も……。
ユウキ:ねーよ。
遙:とりあえず,このままタイヤの跡を追っていってほしいのですよ。
GM:ええ,ところが19を出した晟と遙は気づきました。その少し先あたりで,1台のバンが全く別方向に向かっています。そして,その跡を急に方向転換したバギーが追いかけています。
一同:…………。
GM:つまり,トラックともう1台のバン,お父さんたちは先に言った通り,ゲートに向かっています。そのバンと山崎くんは……まぁ市外の中心部……とゆーとヘンだけど,とにかく何もないあたりに向かって走っているのです。
綾:それ,つまり俺らが撒かれてたってこと?(笑)
GM:さーて,どーでしょーねー? で,そっちはどうするよ。
晟:……常識的に考えると,綾さんたちと合流するべきなんですけどね。
ユウキ:そうか? どう考えても,ゆかりは逆の道にいるよーな気がするが。
遙:もし別方向に向かってるのにゆかりちゃんがいたら,大変なのですよ。
晟:うん,でもキャラクターの心は安全な道をとれと囁くのだ。そして,プレイヤーとしての心は綾さんたちと別行動をとれと囁くのだった。だってシーン別の方が楽しいし(笑)。
綾:実はシーン制ですからね,このゲームは。最近忘れかけているけど(笑)。
晟:それはそうと,もし通じるんなら瀞南寺さんに連絡しておきたいんですけど。
GM:それはいいことにしよう。
真琴:では瀞南寺さんは運転中なので私が出よう。もしもし?
晟:あっ,真琴さん? 晟です,お久しぶりですー。
真琴:おお,晟か。たまちゃんは元気か?
晟:今回は留守番ですけど元気してますよー。
ユウキ:(後ろから)枕はいいんだ枕は! とっとと話を進めろ!
晟:ああ,はいはいごめんなさい。あのですねえ,今瀞南寺さんたちの後を追ってたんですがあ,車の跡が二つに分かれてるんですよ。
真琴:何? 奴ら,途中で別行動をとったのか?
晟:そのようですねえ。で,真琴さんたちはゲートの方へ向かうルートをとってるんですよね? 僕ら,念のため別ルートを探索します。そういう風に瀞南寺さんにお伝え願えますか?
真琴:そうか,わかった。よろしく頼む。
GM:じゃあ,二組は別ルートへ向かうということで。すると,少し行った先に,ユウキには見覚えのあるバギーが停まっていますな。
ユウキ:じゃあ鵬也に車止めてもらって飛び降りる。山崎はそこにいるんですか?
GM:今のところ誰も乗ってませんね。
遙:何か手がかりは残っていないのですか? 後で来るゆーちゃんのために,何か……。
晟:……ダイイング・メッセージが。
ユウキ:殺してどーするよ!
晟:いやいや,今のは冗談ですが。
ユウキ:俺がんな冗談きいてられる気分だと思ってんのか,ああ!?
晟:首しめなくったっていいじゃないですかー!
GM:……『ユウキくん,後はまかせた』。
一同:(爆笑)
ユウキ:…………。
GM:いやいや,今のは冗談ですが(笑)。えーと,バギーをよく見てみると,後部座席にメモが隠されていました。すげえ下手な地図を描きなぐって,「あっち」みたいなぁ。
綾:急いでいたんならそんなもんだろ。
ユウキ:で,そっちには何があるんだ。
GM:ユウキはある程度知ってますが,まあ,廃ビル群があるばかりですよ。2話目で出てきたような。
遙:それって何かアヤシイ施設があると言ってるのも同然のよーな……。
GM:悪かったな。
ユウキ:よし,とにかくそっちに行くぞ。(鵬也に)おいオッサン,アンタはここで待ってな。このバギーもよろしく頼むぜ。
GM/鵬也:「任せておけ,何が来たってこのボクのサプンクルなら一撃必殺さぁ!」とか言って無駄に変形して遊んでたりする(一同笑)。
ユウキ:そーゆー目立つ真似すんな! フツーに待て!
GM:だって高さを気にしないでいいし。
ユウキ:やめんとぶん殴るぞ,わりゃ!?
GM/鵬也:「わー! そう言う前に,殴るしー!?」
遙:(その背後で)ゆーちゃん,今日は特に怒りっぽいのです。
晟:大事な彼女が待ってるからね,心配なんだよ。
遙:やっぱりゆーちゃんはゆかりちゃんのことをとっても大切にしてるのですね……。
ユウキ:(戻ってきた)か・の・じょ・じゃ・ね・え! 何回言わすんだおまえら!
遙:にゃーっ!? 私はただ,ゆかりちゃんがゆーちゃんの大切な人だって言っただけですー!
綾:……今思ったんだけど。
GM:はい?
綾:なんか子守り変わってもらえたみたいで,よかった。
一同:(笑)
ユウキ:…………。いや,いいんです俺は。
綾:ほほう?
ユウキ:今回はちゃんと体罰に訴えてますから,それほどストレスは溜まらない。
晟:(妙な声音で)タイバツヨクナイ。タイバツヨクナイ。
ユウキ:うるせえ黙れっ!(殴る)
GM:……まぁ,進めよっか。とりあえず廃ビル群です。廃ビルぐんだが,人が隠れ住んでいる気配はあるね。集落のようだ。……で,その奥の奥へ進んでいくと,妙に真新しい建造物がある。それもフェンスに囲われて。
晟:うわー,あからさまに怪しー。
遙:こくこく。
ユウキ:よし,ゆかりはこの中だな! とっとと中に入るぞ!
晟:いや,そーと決まったわけでもないと思うんですけどねー……やっぱ,たまちゃん連れてくればよかったなー。こういう時こそ便利だわ。
遙:でもたまちゃんはお留守番してるです。
GM:しかし,ここでたまちゃんを再構成すれば!
晟:(無視)でもここでこうしていても仕方ないですしね。行くだけ行ってみますか?
遙:こくこく。そうするしかないと思うのです。
GM:……一応言っておくけど,建物の窓には人影も見える。このままフェンスを乗り越えたりしたら,見つかる可能性は高いからね。
ユウキ:しかし,他に方法もないだろ。
綾:どうかなぁ。再構成はおいといて,手近な動物いれば《アニマルテイマー》は可能なんだけどな。
晟:うーん,まぁ何かいそうではありますが,都合よく鳥とかいるかどうかは……。
真琴:ぱぁん!(と,両の手のひらを打ち合わせる)
ユウキ:それ,生命は作れねえよ。
真琴:でもキメラとか作ってなかったか?
ユウキ:だから複数の動物を合成して練成することは可能だけど,生命を「作り出す」のは無理。
真琴:いや,でも……。
晟:おまいら,根本が違う。私は錬金術師じゃない。
真琴:ち,使えないヤツめ……。
晟:……だぁら! 根本的に! あんたが! 間違っとるっちゅーんじゃ!
遙:まーまー,落ち着くのですあきちゃん。で,どうするです? 突っ込んで行ったらゆかりちゃんが危険だと思うです。
ユウキ:……よく考えたらだな。このへんに山崎のやろーが隠れてんじゃねえのか? あいつが一人で潜入したとは思えねえ。
GM:そうすると,そのへんの隅っこから,「よくわかったなぁ,ユウキくーん!」とひそひそ声がする。
ユウキ:じゃあ,近づいてって,とりあえず殴る。
GM/イサム:「な,なんでっ!?」
ユウキ:うるせえ! いるんなら手間かけさせてないでさっさと出てきやがれ!
GM/イサム:「ひ,ひどいよユウキくん……(しくしく)」
晟:……えー,とにかく無事でよかったですね,山崎さん。
遙:怪我したって聞いたですけど,大丈夫なのですか?
GM/イサム:「ああ,大丈夫大丈夫。こんなのいつもユウキがボクにする仕打ちにくらべれば,もーぉ屁のカッパって感じっすよ!」
晟:いやもうまったくその通りで。
ユウキ:(とりあえず殴る)で? ゆかりの居場所は見当ついてんのか。
GM/イサム:「ああ,それなんだが……すまなかった,ユウキ。ゆかりちゃんを守れなくて……」
ユウキ:ああ,それはいいんだ。戦うのがおまえの仕事じゃねーからな。
晟:そうそう。戦うのは殴るしか能のない人に任せておけばいいんです。
ユウキ:おまえもいいかげん黙れよっ!?(さらに鉄骨スイング)
晟:みーっ!?
遙:えー,まぁ……話を進めてほしいのです,山崎さん。

 というわけで山崎の話を進めると……。
 ゆかりが乗っていたのはやはり3台のうち,別ルートをたどった(つまりこちらに来た)バン。彼は撒かれずに追跡を続けることができ(通信傍受の危険性があったので,急にルートが変わった時も瀞南寺に連絡できなかった),バンが建物の中に入っていくところまでは見届けた。他の車がどこへ行ったかまではわからない。

綾:こっちルート,ただの陽動だったりしたらどうしよう俺(笑)。
GM:それはどうでしょうね〜。で,3人はどうする?
ユウキ:とにかく,ゆかりがここにいることは間違いないわけだな。だとしたら,潜入しかない。
晟:どうやって? 僕,〈隠密〉とか自信ないですからね?
ユウキ:どこかで騒ぎを起こして,その隙に忍び込むしかないだろうな。
晟:その騒ぎを,誰がどうやって起こすんですか。爆弾でも仕掛けます?
遙:さっきのサプンクルに暴れてもらえばいいのでは?
一同:(爆笑)
晟:すばらしい! ナイス作戦だ遙ちゃん!
ユウキ:よしよし,誉めてやるぞ! たしかにあれほど人目をひくものは,そうそうないな!
真琴:それは,ストレンジャーズとかが取り締まりにくるのでは……。
ユウキ:問題ない。追っ手を引きつけながら,逆方向に逃げてもらえばいいんだからな。
GM:(笑い転げていた)……おっけーおっけー。では鵬也と山崎に陽動してもらって,敵がきたら反対方向に逃げるってことで,作戦は決定だな? では,ここでシーンをきります。

 

SCENE 6


GM:さて,延々とタイヤの跡を追う2人だが……おや? なんか,山崎のバギーの跡だけが,途中で消えているなぁ。
綾&真琴:おやぁ?(笑)
GM:つまり,君らはさっき2人とも判定に失敗してたので気づかなかったのだったと。で,どのあたりでおかしいと思うかな。ゲートが見えたらいくらなんでもおかしいと思うだろうが。
綾:ゲート以前に巡回兵がいるだろうし,その様子を見て「あれ?」とか思うかもな。
GM:そうだね,彼らは特に変わった動きを見せていない。山崎はこっちに来てはいないだろうな。
綾:逆に,トラックともう1台のバンは,彼らに全く騒がれずに通過したってことだな。
GM:(にやり)
綾:このあたり,封鎖は何重?
GM:四重。ここは言うまでもなく一番内側だね。
真琴:兵がいると言ったが,どんな様子なんだ。
GM:とりたてて変わったところはない。きちんと防衛隊の制服を来た,日本人だな。
真琴:本当に日本人か。テンペストが混じっていたりせんのか。
GM:そうだなぁ,装備が多少,防衛軍の標準装備とは違う感じだが……。
綾:装備だけ? 実は制服の中身が黒人で,「He〜y,タナーカ! HAHAHA!」とか言ってたりしないの?(笑)
GM:実は,そうかも。
一同:ちょっと待たんかいっ!(爆笑)
綾:俺は今,冗談のつもりで言ったんだけど……。
GM:おやぁ,何だか妙に色黒な日本人ね〜,みたいな感じ?
真琴:嘘をつくなぁ!
綾:GM,あんまりテキトー言うのやめよーぜ(笑)。実際,どーなのよ? それの何がどう「とりたてて変わったことはない」なの?
GM:「とりたてて変わったことはない」が間違いです。いや,彼らの様子は平静なんだ,という意味で……むしろヒマそうな感じだ。(妙な声音で)「Oh,スズーキ! ここはとってもヒマーね」みたいな。
綾:おまいら,本当にタナカとスズキか!?
GM:日系人かも知れないじゃないか(笑)。ま,たぶん偽名なんだろうが。
真琴:どーゆー軍隊なんだよっ! いや,そもそもこいつら防衛隊なのかテンペストなのか,どっちだ!?
GM:制服は防衛隊ですよ。ストレンジャーズですよ。でも肩幅広くて背が高くて,ちょっと色黒かな,みたいなぁ。
真琴:……瀞南寺さん。念のためお伺いしますが,防衛隊には日本国籍を持つものしか,入れなかったはずですよね?
綾:まぁ,ふつーはな。
真琴:じゃあ防衛隊ではないということですか。突破しますか。
GM:一応言っておくけど,対オーヴァード用の装備してるから。結構ガチガチよ?
綾:いや,その気になれば突破は可能だろう。問題は,ここで戦っちゃってもいいのかってことなんだ。
晟:あとで所長が後始末に苦労しそうですよね。
綾:そうなんだよな。防衛隊にしろテンペストにしろ,バックがでかいからな。ま,あのナンチャッテ防衛隊を指摘してやれば,向こうさんも大きくは出られない気がするが。
GM:あっはっは。
真琴:(じろり)だってスズーキにタナーカですからねぇ。
GM:日本国籍持ってるのかもしれないじゃん。
真琴:嘘をつけぇ!
ユウキ:日本国籍の外国人は,瑠葦とか三都主とか,それ,カタカナの方が読みやすいんじゃない,的な名前と相場が決まってるんですよ。
晟:いや,それもどーかと。
綾:ともかく,もう一度確認とるけど,俺らが追いかけてきた車は,このゲートをすんなり通過してったんだね?
GM:タイヤの跡がゲートの向こうに続いているみたいだから,そうなんじゃないかなぁ。
綾:で,それに対してナンチャッテ防衛隊は,何の反応も見せてないんだね? よくあること,ってことなんだね?
真琴:ヤツらの身元は確認できないでしょうか。もう一度タイヤの跡を調べてみるとか。
ユウキ:んな,跡見ただけで身元が割れるようなタイヤ,使わないと思うが。
晟:タイヤにわざわざ専用バナナを刻み込むキルスさんとは違うんです。
真琴:何でだー!(一同爆笑)
ユウキ:やべえ! あのタイヤは! あのバナナの跡は! ヤツが! ヤツが来る!
綾:大変だ! 厄災が降ってくる! みんあ逃げろ! 逃げるんだー!
GM:ほとんどヒューマノイド・タイフーンですな。
ユウキ:そうか! ヤツのコードネームはヒューマノイド・タイフーンだったのか!
晟:いや,モンキーカイザーだろう!
ユウキ:いや,絶対人間台風だ! 何せ,自然災害に認定されたからな! ヤツに殺られても保険金下りねーぞ! マジ大変だ!
真琴:そんなのどっちでもいいわー! てゆーかどっちでもねー! だいたいバナナ型のタイヤってどんなんだよ! 走れないじゃないかっ!
GM:違う! タイヤがバナナ型なのではない! スパイクがバナナ型なのだ!(爆笑)
真琴:なるほど! すると走るたびに地面に小さいバナナが次々にプリントされて,ってふざけんなぁ!
綾:まぁ冗談はそれくらいにして,
真琴:きー! キルスはそんなんじゃないやーい!
晟:黙れこのモンキーカイザーめ。
真琴:人を勝手にサルにするなー!
綾:……えー,ユウキたちに連絡とりたいな。侵蝕値上げさせて悪いけど,誰か登場してくれる?
GM:時間的に鵬也たちんとこに戻ってきただろうから,通信は可能です。
晟:では多分無線を持ってるのは僕でしょうから,僕が登場しましょう。
綾:えーと,こっちは西ゲート前まで来た。山崎くんを途中で見失ったみたいなんだが。
晟:あ,えーとですね,山崎さんはこっちにいました。地図で言うと,北東の廃ビル群のあたりですね。で,そのあたりにゆかりちゃんが捕まっているようなので,潜入して探しに行こうと思います。
綾:潜入? ユウキはともかく,君と遙ちゃんは大丈夫なのか?
晟:優秀つーか非常識な陽動役がいますから。それに,ま,ユウキさんの大切な幼な妻のためですからねー。
ユウキ:(無言のままアイアンクロー)
晟:みーっ! 今通信中なんですがー!? てゆーかユウキさん,このシーンに登場してないでしょうがー!
ユウキ:(無言のまま登場判定のサイコロを振る)
晟:そこまでする!(一同笑)
ユウキ:はっはっはっは。今何か言ったか,晟ぁ?(←笑顔でアイアンクロー)
綾:……どうした,今悲鳴があがったようだが,敵襲か?(笑)
晟:ユウキさんがー! 痛い痛い痛い! 頭が割れるー!
綾:あー,ユウキ? そういうことは後でゆっくりやってくれないか? 今通信中だから。
晟:後でゆっくりってナニー!
綾:話を元に戻そうな晟。実は,俺らも別のところでかなりヤバいもんを見つけちまって,ちょっと困ってる。ひょっとしたら,そっちに合流できないかもしれない。えーと,そっちが動き出すのはあとどれくらいだ?
晟:ユウキさんが幼な妻奪回に燃えてますから,そんなには待てませんけど。
綾:わかった。またすぐに連絡するから,ちょっと待っててくれ。……GM,ここで久遠紫音に連絡をとります。
GM/紫音:「おー,瀞南寺かー? ユウキの恋人は見つかったかー?」
綾:いや,別件だ。ゲート前に,デモンズシティの存在をナメきってる奴らがいる。おまえ,所長から何か聞いてるか。
GM/紫音:「いや,そんな情報はUGNにも入ってきてないな。ひでぇ話だ」
綾:そうだな。たとえ気軽に北極海くんだりまで行けちゃうようなザル警備だとしても,ひどい話だな。
GM/紫音:「(無視)で,どうするつもりだ? 潜入するのか?」
綾:ああ,その前に言っておきたいんだが,ゆかりちゃんは山崎くんとユウキたちが居場所をつきとめたらしい。
GM/紫音:「ふーん? それは,西ゲートではないんだな?」
綾:ここから5キロは離れてるな。で,だ。俺らはユウキたちに合流して救出の手助けをするべきなのか,それとも救出は任せて,ここの調査に手をつけるべきなのか……。
GM/紫音:「そこから目を離すのはまずいな。それに,ユウキたちなら戦力的に問題はないんじゃないのか」
真琴:しかし,もし千葉が現れたら……。
晟:申し訳ないけど,そうなったらかえって真琴さんたちにいてもらってもしょうがないんです。
ユウキ:むしろ邪魔だな。悪いけど,これ特殊ケースだから。
真琴:……むう。
綾:(紫音に)そっちとしてはどうなの。極力早く捜査した方がいいのか? それとも日を改めて,人員と装備を整えるか?
GM/紫音:「もし可能ならば,極力早く,だな」
綾:できなくはないだろうが,騒ぎになった場合の後始末はどうする?
GM/紫音:「それは何とかするさ。もっとも,起こる騒ぎの規模と,向こうさんの力次第だが」
綾:ありがたくないお言葉をありがとうよ。で,俺ら2人でやれってのか? 増援は出せないのか?
GM/紫音:「非常事態だからな。大谷コールを使ってみるか」
真琴:何ですか,それは。
綾:そういう回線があるらしいよ? 大谷が非常召集専用に作ったヤツ。
GM:そう。別名犬笛。
真琴:犬笛かー!
綾:(そっけなく)で,その犬笛を聞きとってくれるのは,誰なの。
GM:栄吉っちゃんとか。
綾:いらねえ。
一同:(笑)
GM:いらねえ言うなー! それにシナリオ開始時からこっちに来てるんだよー!
真琴:そういや留守だと言ってましたな。
綾:(声が冷たい)で? 他に誰もいないの?
GM:あとは……そうですね。先ほど,あらたなるコードネームが決定された方ですとか。
遙:だだんだんだだん♪
一同:(爆笑)
遙:さーあみなさんご一緒に!(笑)
一同:だだんだんだだん♪
真琴:何でだー! キルスはデモンズシティの外にいるんじゃないのかー! てゆーか,それをテーマソングにするのはやめろと言うとろーにー!
GM:何でかって,彼女も一応UGNのメンバーだからさ。
真琴:だって日本で働いてるんではないのかー!
GM:それは表の顔。裏の顔はヘリを飛ばして駆けつける,UGNきってのクラッシャーエージェントなのだ。
晟:すさまじくご都合的な設定だなオイ。
GM:キルスだからいいのだ。
晟:なるほど。
真琴:なるほどじゃなーい!
綾:……紫音,あらかじめ言っておきたいんだが。
GM/紫音:「何が?」
綾:作戦は失敗だ。
一同:(爆笑)
GM/紫音:「しかたないんだ。人材不足だから」
綾:さらに言っておこう。失敗しても,俺のせいじゃないからな。
GM/紫音:「人材不足だからな。しかたないな」
遙:しかたないんかー!
ユウキ:てゆーか他にいないのかよ! 上杉とか! 蒼とか!
GM:きっと他にも仕事があるんだよ(笑)。
真琴:(咳払い)あー,瀞南寺さん。確かにキルスさんは性格的に多少難があるかもしれませんが,
遙:多少?
真琴:(無視)しかし,能力的には優秀なはずです! それにエンジェルハイロゥですし,潜入は得意なはずです。
ユウキ:性格的な問題の方がでかいだろ。隠れるなんて発想ができるタマか?
真琴:しかし,エージェントとしての仕事はちゃんとする人です!
一同:…………。

 この時の一同の顔を,画像でお見せできないのが残念です。

真琴:……貴様ら! 言いたいことがあったら口で言わんかぁ!
GM:言いたいことは色々あるが,何はともあれ,「え〜〜? そうかぁ〜〜?」って感じ?
ユウキ:リプレイを読む限り,とてもマトモに仕事してるとは思えねえけどなぁ。
真琴:(すごい早口で)5キロ以上離れているので全く聞こえません。というわけで彼女は信頼に足る人物です。以上。さて瀞南寺さん,我々はUGNのエージェントです。デモンズシティの存在自体を揺るがしかねない問題を,このままにしてはおけません。
綾:…………。そうね。そうだね。さて,じゃあまず栄吉っちゃんに連絡をとって,こっちに合流してもらおうか。
GM:そうですか。じゃあ犬笛を使いますか。栄吉っちゃんは元気よく「わっかりました! ちょっと待っててください!」と返事してきます。
綾:……「ちょっと」? 栄吉くん,今どこにいるの?
GM:えーと,正面のゲートが開きます。
綾&真琴:…………。
GM:で,そこからトラックががー,と走りでてきます。
一同:…………。

 この時の一同の顔も,画像でお見せできないのが残念です。

真琴:ナメている。あまりにも人生ナメている。
晟:人生それでいいのか栄吉っちゃん。てゆーかシナリオこれでいいのかGM。
綾:あー,あー,一応,念のために聞いておくが。それって,デモンズシティを封鎖しているゲートだよな?
GM:はい。
真琴:(低い声で)あんまりナメとったら承知せんぞあんた。
GM:えー,トラックには防衛隊の制服を着た2人の人間が乗っています。運転席に座っているのがおなじみ栄吉っちゃん。助手席に座っているのが金髪が目立つ細身の女性です。
綾:……俺,帰ってもいいかな。
晟:多分,ここで帰っても誰も綾さんのこと責めないと思いますよ。
綾:じゃ,帰るか君嶋。
真琴:そうですね。……ってダメ! ダメです瀞南寺さん! お気持ちは大変よくわかりますが,これは我々の任務です!
綾:(かなり遠い目)はいはい。そうだね。任務だね。……ちなみにGM,そのトラックを見ている警備兵の反応は?
GM:フツーに「ご苦労様です」と敬礼しているね。
綾:ほーう?
GM:で,トラックはゲートから少し離れたところでさりげなーく横道にそれると,君らの前で止まる。「ちわっす,お疲れ様です!」
綾:あー,あー,栄吉くん? 君,いったいどうやってあそこに……。
GM:すると,それは私が説明するわ,とばかりにえらっそーな態度で金髪の美女が降りてきます。
遙:だだんだんだだん♪
GM:はい,ご協力ありがとう。そういう感じで降り立ったキルスさんですが,ばさっと髪の毛をはらって,
真琴/キルスティン:「はーあ,やっと着いたわね。あんた,運転手のくせに手間取りすぎよ」
一同:(笑)
GM/栄吉:「でも,これ以上速く走ったらバレちゃいますよ。俺ら,一応工作員なんですから」
綾:かなり一応だなオイ。
GM/栄吉:(無視)「だいたいキルスさん,その短気何とかした方がいいっすよ。もー何度バレそうになったことか」
真琴/キルスティン:「うっさいわね。あんたに説教される筋合いはないわよ」
GM/栄吉:「でも迷惑こうむるのは俺なんスからぁ」
真琴/キルスティン:「迷惑? あんた今『迷惑』とか言った? 栄吉の分際で?」
綾:……あー,君たち? それはどうでもいいんだが,いったいどうやってあの中に入った? UGNでさえ把握していないゲートで,いったい何をしてた?
GM/栄吉:「いやー,実はですねー。数日前,不審車が市外をうろついてるのを見つけまして,俺,後をおいかけてたんですよ」
綾:ほう。それで?
GM/栄吉:「それで,その車がゲートの中に入っていくから,これは怪しいよってんで,ちょこっと警備システムいじくって,潜入してたんス!」
綾:(どんどん声が冷たい)あ,そう。そういうことは,上層部に報告してからやろうね。
GM/栄吉:「いやー,もちろん俺だってそうしようと思ったんですよー! でも,運悪くこのヒトに見つかっちゃいまして……」
綾:ほほう。で,キルスさんはあんなところで何をしていたと?
GM/栄吉:「それが,このヒトも潜入捜査してたらしいんスよ」
真琴:それは無理でしょう。
一同:(爆笑)

 プレイヤー本人に言われてはオシマイである。

真琴:一応GMに訊くけど,それは独断で?
GM:うん,まぁエンジェル=ハイロゥだし? 《光の衣》とか《天使の外套》とかあるし?
ユウキ:だから,それは能力じゃなくて性格の問題。
GM/栄吉:「いやホント,大変でしたよこの人と行動すんの! さすがにもうヤバくなったんで輸送兵に偽装して出てきたところへ,瀞南寺さんから連絡が入ったってわけっす。しかし,収穫はありましたよ。色々とガメてきたっす」
綾:ほう? 例えば?
GM:荷台に積んであるのは,テンペスト仕様の対オーヴァード用装備ですね。しかも横流しとかじゃないですよ。最近テンペストに実戦配備されたばかりのヤツで,さすがに日本には入ってきてないはずです。
綾:それがデモンズシティにあったと?
GM:そう。で,栄吉っちゃんがちょこーっとコンピュータいじくってつきとめたところによると,この装備を持ちこんだのはリチャード・アンダーソンというアメリカ人。しかも,ここが重要なのだが,これはある人物の偽名なのだ。
ユウキ:ラムズ○ェルドか。
GM:違わい。えーと,だから……(晟プレイヤーに)名前なんだっけ。
晟:……それは,ひょっとしてアレのことか? ジェームズ・オーブリー・ライト。
GM:そうそう。それそれ。
真琴:ひょっとして,アレ? 番外編の人?
綾:懐かしい人物に出会ってしまった。
真琴:はい。君嶋は,それがどういう人だか知ってますか?
綾:教えてるんじゃないのかな。死の商人で,デモンスシティ出現の,あるイミ諸悪の根源。証拠はないけどね。(栄吉に)で,どういうこと? ライトが何をしてるって?
GM/栄吉:「そんなに詳しくは調べられないっすよー。テンペストとストレンジャーズの仲介みたいなことしてるみたいですけど……」
ユウキ:死の商人が関わりたがるような旨みが,デモンズシティにあるのか?
GM:それも謎ですね。しかし,ここは特別な地域。何か目的があるのかもしれません。だいたい,そんなにきちんと調べる前にキルスに邪魔されたんでね(笑)。
綾:しかたないな。……こうなったら,俺らが代わりに潜入してみるとか?
晟:やった,潜入だ!
ユウキ:潜入は男のロマン!
綾:しかし,すげえ馬鹿なことやってる気がするな。シナリオ進まなさそうだからやるけどさ(笑)。
ユウキ:いいじゃないですか,潜入! きっと007ばりに美女とのロマンスとかありますよ!
綾:あんまりいらないなぁ。
真琴:だいたい瀞南寺は妻子持ちでは?
晟:子供はいるけど,奥さんとは死別してなかったっけ。
綾:そのへんはナイショ。瀞南寺は多くを語らない男なんで。
晟:いいじゃん。美女とロマンスできなきゃ007じゃないぞぉ?
遙:一応美女とのからみはありますよ,キルスという。
ユウキ:いや,もっとちゃんとしたロマンスがありますよ。あんなのじゃなくて。
真琴:ああ!?(怒)
綾:(嘆息)じゃあ栄吉っちゃんから聞けるだけの情報を聞いて,中に入ってみます。
GM/栄吉:「じゃあこのトラックでもう一度バックするっす!」
綾:え? だってさっき「輸送する」って言って出てきたばっかじゃないの?
GM/栄吉:「ちょこっと時間をおけば平気っす! 身分証明書さえあれば,あんまり細かいこと言われなかったし」
綾:……返す返すも,いいかげんだね。
真琴:いいのか。これのどこが「封鎖」なんだ?
GM:でも,ここ一番内側のゲートっすから。
晟:それで済む問題かは微妙だが……コトはウィルスのキャリアが外に出るか出ないかという……。
綾:(さらにため息)ま,いいや。それで行こう。
真琴:瀞南寺さん,私も同行して構わないですよね?
綾:ああ,貴重な戦力は減らせないよ。というわけでトラックの荷台に潜りこみます。
GM:では,方針が決まったところでシーンをきります。