#5 Dead Man's Hand
 

 

PRE-PLAY


GM:始める前にまず注意事項ー。登場時の侵蝕値上昇は,今回も半分ですのでそのつもりで。
真琴:つまりD12?
一同:何でやねん(笑)。
真琴:あ,あれっ?
綾:増やしてどーする! つーか増やしたいのかアンタ!
ユウキ:それを言うならD5。
GM:そうそう。D10を2で割って,端数切り捨てすればいいから。
晟:マスター,切り捨てじゃなくて切り上げではないかと。
GM:あ,あれっ(笑)。
真琴:それはそうと,前回の説明をざっとしてもらえないでしょうか。さっきリプレイもらったんですが,まだ半分までしか読んでないんです。
ユウキ:とりあえず王子(←蒼のこと)をみんなでふんじばって,連れて帰りました。
綾:あ,そうだったそうだった。そのへんは観戦してたから知ってたわ。

 あんたら,手も出しとっただろ。

真琴:……そのへんは覚えてるんだけど(←キルスプレイヤーだから),そんだけ?
遙:えーとちーちゃんを倒す方法を探しに,私のおばーちゃんの所に行ったです。それで,私が赤い宝石を手に入れて,ついでに私の中にいる炎華姫も覚醒したです。それで戻ってみたらおばーちゃんがモドキちゃんと黒服さんたちに襲われてたんですが,実はモドキちゃんはいい人だったらしいのです。
晟:そうそう。目が澄んでたんだってさ。
GM:うるせえ。その話題には触れるな。
一同:(笑)
真琴:え,何? 誰の目が澄んでたんだって?
ユウキ:蒼の目が。澄んでたんだって。確かにそう言ってた。
真琴:(真顔で)何で?
晟:何で,と言われてもマスターがそう言ってるんだから,そうなんだろうなぁ。
ユウキ:そうそう。だから,モドキが蒼って名前で,某レーシングチームじゃねーかとか王子じゃねーかとかツッコミを受けつつ,実は目が澄んでて悪い人じゃないのよって,おいそりゃ何だよ相当理論展開に無理あるだろっ,とかあったわけで。
一同:(爆笑)
ユウキ:だいたい目が澄んでりゃいいってもんじゃねえだろ,ええ!?
GM:だからもう言うな。俺が悪かったよ!
真琴:わかった。モドキの目は澄んでたことにしたかったんだなマスターとしては。
GM:…………。だからぁ。
真琴:(聞いてない)それで?
ユウキ:それで結局モドキを連れて帰ることになって一件落着したんだけど,俺らはこれからパワーアップしなけりゃならないんだよ,とゆーとこで終わった。
真琴:なるほど。
ユウキ:それで俺はこれから天空闘技場の洗礼を受け……。
一同:それも違うだろ!(笑)
真琴:……天空闘技場って何だっけ? カ○ン塔?
ユウキ:違う。天空闘技場というのはHUNT○R×H○NTERで200階以上のことを言うわけなんだが,そこから先は念能力が前提で,持ってないと絶対勝てないから,初めてやる時には絶対負けるんだ。でも,そこで「死んでもいい!」って気持ちで殴られるとオーラが活性化して念能力に目覚めるんだ。
真琴:で,それをやったわけか。
ユウキ:いや,これからやらされるんだ。
遙:……で,今のはどっからどこまでが「前回のあらすじ」だったの?

 読者諸賢におかれましては,あまり深く考えないように,てかくれぐれも信じないようにお願い申し上げます。

真琴:いや,今の説明は大変わかりやすかった。よしわかった。理解した。

 何を理解した。言ってみろ。

GM:……ほとんどが天空闘技場の説明に費やされたような気がするんだが,俺の気のせいか。
ユウキ:でも基本的にはそういうことっしょ? サ○ヤ人理論か天空闘技場みたいなことして,強くなれと。
GM:うーん,まぁそうなんだが……。
遙:(横から)サイ○人理論ってのはアレ? 仲間が死んだりすると覚醒するとか?
ユウキ:(即座に)覚醒するのはそうなんだが,「サイ○人理論」は違う。あれは肉体的にダメージを負えば負うほど強くなるとゆーヤツだ。
真琴:仲間を殺されたりして強くなるのは「ソウル○イカー理論」じゃなかったっけ?
晟:(即座に)じゃなくて,あれは精神的なトラウマを負えば負うほど強くなるの。
GM:そうなんだが,それはどうでもいいだろおまえら。
一同:(笑)
真琴:で,だからどこまで進んだんだっけ?
GM:いや,だから(笑)。とりあえずモドキこと蒼くんはUGN預かりになりました。実は身体にガタがきてるので,現在は療養中です。
晟:おや? でもユウキさんは,いっぺん1対1で戦いたいとか言ってませんでした?
真琴:こないだは誰が倒したんだ。ユウキではないのか。
GM:倒したっつーか,袋叩きだった(笑)。
ユウキ:それがイヤなんだよ! そんなんで納得いくか!
真琴:……ああ,つまりアレか。一度も決着をつけないまま,「やぁ,僕実はいい人だったんだ! 目もこんなに澄んでるだろ!」で逃げられたわけか(一同爆笑)。
GM:だから! 俺が悪かったって言ってるだろ!
真琴:だってジブ○アニメみたい。
綾:まあまあ。GMも反省してるんだから,あんまり責めないであげんしゃい(笑)。
ユウキ:いや,別に責めてるわけではないですけどね。ただその展開には……。
GM:おーよ,展開が苦しいんだよ! 俺も後になって後悔したよ!
晟:(ぼそっと)後になってするから後悔という。
GM:うるさいよ,あんたも!(泣)
綾:あー,あー,あんたらね。実はまだ始まってもいないってわかってる?(笑)
GM:とにかく! オープニングはユウキと晟から! 紫音に呼び出されてUGNに来て,では試練を始めるぞってとこからね。
一同:はーい。

 

SCENE 1


GM:ではシーンプレイヤーはユウキ。場所はUGN。晟と遙も登場してください。逆にお父さんと君嶋は登場不可です。
ユウキ:例の「簡単な方」を受けるわけだろ。
GM:具体的には,紫音と咲耶榎に叩いてもらうわけで。そういうわけで咲耶榎もいます。
綾/咲耶榎:私,暴力は嫌いですが。
晟:うるさい黙れ嘘つくな。
GM:そういう白々しいこと言ってる人はおいておいてですね。ユウキたちはもちろん,紫音と咲耶榎の身も危ないということは前回説明した通りなんですが,同時に周囲の被害も考えなければならないわけでしてね。
綾:被害? 何の?
GM:衝動判定に失敗すると,2人が暴走するからです。というわけで,UGNの地下深く,そーゆーことのために使う特殊な部屋にご案内。
晟:ドラゴン○ールにそんなのなかったっけ。神様んとこに……。
GM:精神と時の部屋ちゃう。単に頑丈なだけや。他のメンバーに迷惑かかるといかんのでな。
遙:でも私は一緒に入るのです。
GM:え? そーなの?
ユウキ:……それ,マズイだろ。
晟:やめなよ遙ちゃん。進んで危ない場所に飛びこむことないって。
遙:でも,2人が危ない目に遭ってるのに,私だけ安全な場所にいるのは嫌なのですよ。
晟:遙ちゃん……。
GM:なるほど。つまりこの2人が暴走したら,私が責任もって殺して差し上げますとゆーことなんだな。
一同:(笑)
晟:おーい!
遙:い,いやっ,そんなことは思ってませんけど!
ユウキ:何で声が上ずってんだよ!
遙:いやっ,だから,私の力は能力を奪うだけであって殺しはしないと思うんですけど!
晟:殺し「は」しないって何かな遙ちゃん!?
遙:え,えーと,えーと(笑)。
晟:てゆーか,覚醒した瞬間に《聖炎の結界》で全部おしゃか〜とかなったらどうすんですか。
GM:そういう可能性もあるかもしんないけど,
晟:あるんかい!?
一同:(爆笑)
GM:いや,まぁ,そこんとこは単純にパワー勝負っつーか,達成値の比べ合いだから(笑)。
ユウキ:ぜんっぜんフォローになってねえ気がするぞ?
GM:(さりげなく無視)というわけで。地下の倉庫とかが集まってるフロアに,今はもう使われていない訓練所があるんだけど,そこに案内されました。一方が硬化ガラスになってて,そこに何人かの職員が待機してます。ユージンとか蒼とか,尚也と藤原の悠貴くんもいますね。
真琴:大谷は?
GM:まだ留守のようですね。
晟:遙ちゃん,本当に入るの? あそこで見てた方がいいんじゃない?
遙:(ふるふる)入るのです。
ユウキ:てゆーかおまえ関係ねーだろ。もう覚醒してんだから。
遙:それでも入るのです。
ユウキ:出てろって言われんじゃねえのか? UGNの人とかに。
綾:(ぼそっと)そしてつまみ出された遙が,「入れてくださいぃ,入れてくださいです〜」とか言いながら硬化ガラスをかりかりかりかりかりかり……。
一同:(笑)
遙:しない! しないから! 人を突然ハムスターにしないでください!
ユウキ:おまえ,前にそんなことしてなかった? 自動車に閉じ込められた時かなんかに……。
遙:してない! それはこの人(晟プレイヤー)が勝手に言った!
晟:うん,私。言ったのは確かに私なんだが……。
ユウキ:明らかにそういうイメージあるだろうが。すでにハムスターかピカ○ュウかってレベルだぞ?
綾:頭の中身とか,行動方針とかが。
GM:げっ歯類系だよな。
遙:違ううううぅぅ〜〜!?
GM:まぁそれはおいといて。咲耶榎が振り向いて君たちに問い掛けます。「覚悟はできていますか?」
晟:いやあんまり。
ユウキ:(晟の頭を抑えつけて)おう任せとけ! 覚悟完了!って感じ?
GM/咲耶榎:「そうですか。余裕のあるのはいいことです」
晟:……ユウキさんはもともとこーゆー性格なんで,僕を一緒にしないで欲しいってゆーか,ねえ咲耶榎さん,聞いてます?
GM/紫音:「ほらほら,ぶつぶつ言ってないで入れ。文句言うのは後でもできるだろ」
晟:後っていつ? 後がなかったら?
GM/紫音:「…………。え?」
一同:(笑)
晟:にゃーっ! やっぱ嫌だーっ!
ユウキ:うるせえ! どうせやらなきゃ死ぬだけなんだから,後もへったくれもねえだろ!
遙:あ,あきちゃんあきちゃん。大丈夫ですよ。あきちゃんならきっと大丈夫なのです。
晟:(しくしく)遙ちゃーん……。
GM/紫音:「おい遙。これをやろう」
遙:にゃっ?
GM/紫音:「各種墓地のカタログだ。UGNの経費で落ちるからな」
晟:おい!(一同笑)
GM:まぁそれはともかく,紫音と咲耶榎は2人から少し距離をとって立ちました。で,「よーし,じゃあ始めるぞー」と紫音が言ったところでオープニングは終了です。

 

SCENE 2


GM:では次,お父さんがシーンプレイヤーです。ちょうど事務仕事をやってる最中で,君嶋も同じ部屋にいます。
真琴:何してるの?
GM:何って,待機だろ。
真琴:何か風俗嬢みたいでいやぁ。
GM:何でだよ!?
晟:(ぼそっと)三番テーブル,三番テーブル,真琴ちゃんお呼びでーす。
GM:じゃなくて,普通に書類整理とか仕事は色々あるんだよ!
真琴:そんなことまでさせられてるの!?
一同:あたりまえだ!(笑)
GM:てゆーかキミ,エージェントを何だと思ってるんだ(笑)。それはともかく,そんなことやってる間に電話がかかってきます。一応,大谷に直でかかる回線ですが,今は留守ですからね。
綾:はい,とりまーす。もしもし?
GM:妙にノイズの入った音で,「瀞南寺か? 俺だが」と聞いてきます。
綾:俺って誰。所長?
GM/大谷:「ああ,そうだ。実は,さっき俺のところに緊急連絡が入ってきた。山崎っていう情報屋なんだが,知ってるか」
綾:ああ,山崎くんね。何で彼がそっちの回線を知ってるかってのが疑問なんだがなぁ。どうかしたんですか。
GM/大谷:「紫音のバカが口すべらせたらしいな。それはそうと……何でも遠野ゆかりという少女が誘拐されたらしい」
ユウキ:……え?
GM/大谷:「その少女はユウキの身内らしいな。よくは知らんが」
綾:うーん,身内っつーか……。
晟:恋人。
ユウキ:何でだよ!
遙:彼女じゃなかったのですか?
ユウキ:ねえよ! ゆかりは8歳だっつーに! 俺はただの保護者!
遙:保護者って……。
晟:ちっとも保護してないじゃないですか。だいたいユウキさん,自分に「保護者」なんて名乗れる甲斐性あるとでも思ってるんですか?
ユウキ:甲斐性はないが,と,とりあえず力はあるぞ!
晟:なぁに寝ぼけたこと言ってるんですか。保護者に必要なのは腕力より甲斐性! 腕力が親の資格なら,ウチの父だって苦労しませんよ。
ユウキ:……と,とりあえず安全は保障できるだろ!
遙:でも結局誘拐されてるのです。
一同:(爆笑)
ユウキ:いや,もう返す返すもその通り,って保護者がいても誘拐事件は起きるだろ!
晟:そういうセリフは,ちゃんと子供に気を配ってる保護者が言うものですよ。
遙:やっぱり甲斐性がないのです。
ユウキ:あーっ,うるせえよてめえらは!
真琴:(ぼそっと)とりあえず書類整理をしながら,隅っこにたまちゃんの絵でも描いていよう……。
GM:描くな!
綾:(咳払い)あー,あー,それはそうともっと詳しく話を聞きたいんですが……山崎くんと連絡はとれないんですか。
GM/大谷:「それが,現在誘拐犯を追跡中とかで,こちらからは連絡しがたいんだ」
ユウキ:連絡とれないなら,俺らが追っても意味なくないか?
GM/大谷:「今通信すると傍受される恐れがある。とりあえず彼の後を追いつつ,安全なところで連絡を待つということだな」
綾:それ以上に,山崎くんはひとりで追っていって大丈夫なの。
GM/大谷:「『やれるとこまでやってみる』と言ってるな。こっちはまずユウキくんに伝えるべきじゃないか?」
綾:わかりました。ユウキに連絡して,こっちはすぐに山崎くんを追います。ちなみに,人使ってもいいですか。
GM/大谷:「手の空いているものなら構わんぞ。紫音たちは例の件に関わっているからすぐには動けんだろうが……」
綾:そこに一人,ヒマそーに落書きしてるのがいますね。
真琴:え?
綾:この人お借りしてもいいですか。
GM/大谷:「ああ,おまえに任せる。俺は今の仕事がうまく片付けば,あと1日で帰って来られる。後はよろしくな」
綾:わかりました。(受話器をおいて)と,いうわけで内線で地下の紫音に連絡します。
GM/紫音:「あ? 何だ,瀞南寺か? 今忙しいんだが……」
綾:緊急事態だ。何でも,遠野ゆかり嬢がさらわれたらしい。その旨,ユウキにうまく伝えてくれないか。
GM/紫音:「……わかった。こっちはすぐに向かえんかもしれんが……」
綾:ああ,だと思うから,俺らは先に出て山崎くんと合流しようと思う。彼が誘拐犯を追跡してるんだそうだ。
GM/紫音:「俺らというのは,おまえと誰だ?」
綾:俺と……ええと,そこの人。君嶋くんだったっけ?
GM:面識なかったっけ?
綾:同じフロアで仕事してるんだから,話したことぐらいはあるだろうけど。どんな人かよくは知らないな。
GM:昔大谷に拾われてきた人だよ。
真琴:いや……拾われたというか,助けられたと言って欲しいのだが……。
ユウキ:脳改造される直前に,大谷ライダーに助けられたんだろ。
真琴:いや,実はされた後だったんだ。
一同:無茶言うなぁ!(笑)
ユウキ:されてたら今ごろショッカーの手先じゃねーかよ!
真琴:いや,脳改造じゃなくて遺伝子改造なんだ。
晟:遺伝子改造というのは,ふつー生まれる前にやるもんだと思うが。
真琴:そうじゃなくて,人為的にレネゲイドウィルスに感染させられて,そのあとファルスハーツのモルモットになっていたのだ。だから大谷に助けられる前にすでに改造されていたわけで……。
ユウキ:違う! 遺伝子改造されて,次に脳改造なんだ!
真琴:え? そうなの?
ユウキ:そうだ! そこで脳改造されてショッカーの手先になる寸前に1号が助けに来なきゃ,2号は生まれなかったんだよ!
真琴:ええ!?(笑)
晟:あのぉ,わざわざ仮面○イダーネタに持っていく必要がどこに……。
ユウキ:うるせえ! 脳改造は男のロマンなんだよ!
綾:……まぁ,そういうことで彼女を使わせてもらうから,後はよろしく。
GM:では「わかった」と言って電話はきれます。
真琴:すみませんが,瀞南寺さん。いったいどういうことですか?
綾:ああ,つまり所長から命令。仕事。OK?
真琴:わかりました。で,どういった仕事ですか。
綾:草薙ユウキは知ってるか? 彼の身内の女の子がさわられたんだ。
真琴:……え?
綾:(←どうやら素で間違えたらしい)……え?
GM:あのー,お父さん。「さわられた」んじゃなくて,「さらわれた」んですが……。
綾:あ,そうそうそれそれ(笑)。「さらわれた」の。
真琴:あ,つまり誘拐ですね。なーんだ,てっきり彼女が痴漢にあったのかと思いましたよ。
晟:ユウキさんに?
ユウキ:何でだよっ!?
真琴:草薙ユウキという男は,ロリコンですか。
ユウキ:だから何でだ!?
綾:(ため息)今度会ったときに自分で聞いてみれば?
真琴:わかりました。
綾:あのさ。ちなみにそこ,何歳?
真琴:16歳ですが,それが何か?
綾:そことそこはいくつだっけ?
晟:14歳です。
遙:15歳なのです。
綾:……今回も子守りかよ,俺。
一同:(笑)

 でもよく考えてみると,上杉尚也氏も16歳である。
 たいていの人はそうは思ってないと思うが。
 しかし今回,どーでもいいことで話が進まねえな(笑)。

真琴:少なくともこれとこれよりはマシだと思うけどなぁ。
晟:どういう意味ですか真琴さん。
ユウキ:いや,確かにこれとこれよりはマシ。
遙&晟:えー!?
ユウキ:特にアンタはひどい。一番ひどい。
遙:何でなのですかー!?
ユウキ:だってげっ歯類じゃねえか。
遙:ネズミじゃないですうぅ!?
GM:えーと……じゃあいっぺん場面を地下に移すということで,シーンを変えます(笑)。

 

SCENE 3


GM:では地下。シーンプレイヤーはまぁ,誰でもいいや。蒼が内線電話から顔を上げて,「おいあんた。上から電話だぞ」
遙:あんたって誰さ(笑)。
晟:具体的な固有名詞をしゃべれんのですか,あんたは。
GM/蒼:(無視)「一番上のヤツだと言っていたから,そこの金髪だな。だが,用があるのはそこの馬鹿らしいぞ」
ユウキ:あ!?(怒)
GM:そうすると電話を受けた紫音が,「ユウキ。ステキなお知らせだ」と。「おまえんとこの女がさらわれたぞ」
ユウキ:女? 女って誰だよ。
晟:ゆかりちゃんなのでは?
ユウキ:……何ぃ!? ゆかりが!?
真琴:……しかし「女」って言ったって,8歳だろ?
晟:そう。8歳の,ユウキさんの「女」。
ユウキ:とりあえずソレを殴って黙らせてから,紫音に訊きます。一体どーゆーことだよ!
GM/紫音:「詳しいことは知らんよ。今山崎くんが追跡してて,さらにさっき瀞南寺たちが出発したんだが……」
ユウキ:俺も行く!
GM/紫音:「だーめ♪」(←君がやってもかわいくないぞ)
ユウキ:何でだよ!?
GM/紫音:「やることやってから行け。それまでここから出さんからな」
ユウキ:後回しだよ! そんなこと言ってる場合じゃねーだろ!?
GM/紫音:「ダメと言ったらダメだ。おまえな,今度こそ死ぬぞ。それでもいいのか?」
晟:どういう意味ですか?
GM/紫音:「次に千葉に会ったら,ヤツは間違いなくおまえらを殺しにかかる」
晟:何で。
GM/紫音:「そりゃアレだ。おまえらは,『おいしく』なっちまったからな」
ユウキ:そんな千葉の都合なんか知るかよっ! てゆーか,今まで,さんっざん遊んでおいてそれか!?(怒)
真琴:(慨嘆)何て都合のいいヤツなんだ……。
遙:単にワガママなだけなのですよ。
ユウキ:そうだ! とにかく,そんなヤツのお遊びにつきあってられっか!
晟:いや,でもねユウキさん。それでユウキさんが死んだらかえってゆかりちゃんが危険ですよ?
遙:それにどっちにしろまだ居場所がわかっていないと思うのです。
GM/紫音:「そーそー。だから瀞南寺たちが先行して探してるんじゃないか」
遙:ゆーちゃんの気持ちはわかるですけど,さらった人の目当てはたぶんゆかりちゃんではないのですよ。だから,ゆーちゃんが行くまで命の心配はないと思うですよ。
真琴:そうか,ヤツらの目的ってユウキなんだもんな。
晟:そうそう。今慌ててユウキさんが追いかけたって,鴨が葱背負って行くようなもんで,
真琴:カモラネージ。
ユウキ:カモラネージは違う! てゆーかそのギャグわかりにくいし!(←注:イタリアのサッカー選手らしい)
晟:……いや,とにかく,追ってるのが綾さんなら信頼できますよ。
GM/紫音:「そういうわけだ。大人しく『試練』を受けてから行け。わかったな?」
ユウキ:……ちっ。わかったよ。わかったからさっさとしろ!
GM/紫音:「安心しろ,そんなに時間はかからん。単に生きるか死ぬか,それだけだからな」
晟:(小声で)それがイヤだって言ってんのに……。
遙:まーまー。2人とも,がんばってくださいなのですよ。
GM/紫音:「じゃあおまえら,そこへ並べ。こっちに背中向けてな」
晟:は? どうして背中?
GM/紫音:「正面からだとおまえら抵抗するだろ」
一同:(笑)
真琴:抵抗するから,ときたよこの人。
遙:ゆってることが微妙にひきょーなのです。
GM/紫音:「大丈夫だ,俺を信じろ」
晟:信じられるかボケぇっ!?
ユウキ:ええいうるせえ,さっさとしろ! おまえらの三文芝居にいつまでも付き合ってられっか! 晟,てめーもいつまでもうだうだ言ってんじゃねえ!
晟:嫌だよー,嫌だよー(泣)。
ユウキ:ここまで来たら覚悟を決める! それが男ってもんだろう!
綾/咲耶榎:(その横で)「おにーさま,アサルトライフルの用意ができました」
GM/紫音:「妹よ,そこでボケは必要ないから」
綾/咲耶榎:「そうですか?」
晟:そうですか,じゃねーっ!?
綾/咲耶榎:「じゃあアームストロング砲?」
ユウキ:古い。
晟:ユウキさん突っ込むところそこじゃないしーっ!?
GM:いや,まぁ冗談はそれくらいにするので,晟もいいかげん覚悟を決めるように(笑)。まず,紫音と咲耶榎がそれぞれユウキと晟の肩に手を置きます。するとそこからエネルギーが流れ込んでくると,
晟:またそういうベタな設定を。
GM:(無視)……くると,君らの中の何かが暴れ出します。ので,それを抑えこんでください。具体的には〈RC〉で判定して基本侵蝕値の半分,端数切り上げ以上を出してください。
ユウキ:……というと? 俺は46だから,23以上か?
晟:僕は41だから,21以上ですか。それって結構キツくないですか?
GM:そりゃ,試練だもの。
晟:それはエフェクト使ってもOK? 《絶対の空間》とか。
GM:構わない。
ユウキ:ちょっと待て。俺は〈RC〉だとエフェクトの使いようがないんだが……タイタス使えって? いきなり?
晟:(少し考えて)ちなみにGM,あらかじめユウキさんに《狂戦士》かけておくのもアリ?
GM:ん? それって他人のクリティカル値下げられるんだっけ? まぁいいや。OKとしよう。
晟:よしよし。……ほらほらユウキさん,感謝して,感謝。
ユウキ:あーあー,感謝してやる。今回だけは特別にな。……しかし,そうするとクリティカル値が9になるのか? それでもツライな。
晟:(ころころ)《狂戦士》はかかりました。ちなみに《狂戦士》2レベルなんで,4個のダイスボーナスがつきますよ。続いて僕は《絶対の空間》で……(サイコロを振り始める)。
ユウキ:(同じくサイコロを振っている)……あれ? ちょっと待った。回んねえぞ。
GM:え?(笑)
晟:こっちも2個しか回らなかった……えーと〈RC〉が2レベルだから,あれ!? 18!?
ユウキ:こっちは20ジャスト!
GM:え,2人とも失敗したの!? 失敗度は?
ユウキ&晟:3点でーす。
GM:あ,2人ともそんなもん? ……じゃあ,脇で見学している遙さんや。
遙:ほえ?
GM:見てると,どうも雲行きが怪しそうですねえ。2人とも何だかどんどんひどいことになってます。ユウキは例によって右腕が光りだして,硬質の手甲のようなものに覆われていきます。
ユウキ:うぉ!? このままだと全身甲冑になっちまう!
晟:ま,まさか僕は身体が青い甲冑に覆われていくわけでわ……。
GM:いやー,そこまでいかないよぉ。たまちゃんが第2形態に変形するだけで(笑)。
晟:ひーっ!?(笑)
GM:この場にいない第2形態たまちゃんはおいといて,君はうずくまってえれえれ吐いてたり。でもって,前髪の間からのぞく瞳が,うっすらと青い光を放っている。
遙:あ,あきちゃーん?(笑)
晟:モドキ化はいやーっ! 誰か助けてーっ!?
遙:ど,どーすればいいのですかー!
GM:そうすると,君の中にいる炎華が話しかけてきます。「このままでは,危ないですね」
遙:そうなのです。2人を助けるにはどうしたらいいのでしょう。
GM:「そうですね,成功するかどうか保証はありませんが……」とあるイメージを送り込んでくる。具体的に言うと,こないだ使った炎の技ですな。
遙:《極大消滅波》ですか?
ユウキ:違うだろそれわっ!?(一同爆笑)
晟:殺す気か!?
GM:い……いやそーでなくて,《聖炎の結界》です。「あれを使えばもしかしたら何とかなるかもしれません。ただし,抑えきれなかった場合はあなたも危険ですが……」
遙:構わないのです。2人を助けるためなら,がんばってやってみるのですよ。
GM:「わかりました。では私も協力しましょう」……この間,0.2秒。
一同:嘘をつけよっ!?(笑)
GM:いやぁ,だって脳内会話だから(笑)。では,判定にいってみよう。ユウキの目標値が23だったよね? では《聖炎の結界》でそれ以上だしたらOKです。ちなみにこれ,鬼のように侵蝕値上がるんだが……。
遙:いくつでしたっけ?
GM:あ,データメモってない?
遙:すみませんなのです。えーと,基本侵蝕値が……。
晟:え? 基本侵蝕値が上がるの?
遙:ほえ? 確か,そう言われたような……。
GM:えーとね,基本侵蝕値が……(メモを見て)あ,いや,違う違う。この技は基本侵蝕値上昇しないから,
ユウキ:「は」って何!?
一同:(爆笑)
GM:あ,あれっ?(笑)
ユウキ:「は」って言った! この人今,この技「は」って言った!
晟:まーまーまーまー。お気持ちはわかりますが,とりあえず抑えて(笑)。
GM:で,でもこの技だって侵蝕値上がりまくりなんだよー? 3D10も上がるからねー。
ユウキ:(←根にもっているらしい)基本侵蝕値が上がるよりマシだろっ!?
遙:と,とりあえず判定なのですよ〜。《ブレインコントロール》《聖炎の結界》で……(ころころのころころ)25なのです! 超えましたです!
一同:偉いッ!(拍手)
晟:遙ちゃん,ありがとぉ〜!(嬉)
ユウキ:よしよし。今回ばかりは誉めてやる。
真琴:おまえら,結局遙がいないと何にもできんのではないか?(笑)
綾:しかし,これで失敗してたらどーなってたんだ。
GM:うん,遙がもし「この場にいない」と宣言してたら,話が別の方向にいってるとこだったよ。
綾:例えば?
GM:うーん,つまり,誰かが死んでたね。
綾:誰かって誰? 紫音か咲耶榎ですか?
真琴:紫音を殺そう。
晟:うん。
綾:あ,そうですか。じゃあそうしてください。
GM:…………。そんなに紫音に死んで欲しいか?
晟:それをあえて聞きたい?
遙:いやー,私はそこまでは言わないですけど……。
真琴:咲耶榎がここで死んじゃうなんて,そんなのかわいそうだ。
遙:(こくこく)そうそう,そうなのですよ。
GM:だったら紫音は死んでいいのかよっ!?
ユウキ:バカやろう,こーゆー場合は「悪貨は良貨を駆逐する」とか,「憎まれっ子世にはばかる」って言ってなぁ。あーゆーヤツほど生き残るもんなんだよ。
遙:なるほどなのです。
GM:…………。
綾:それはそうと話を進めましょうGM(笑)。
GM:(憮然と)……では,そういうわけで試練は終わりました。残念なことに全員無事です。でもってユウキと晟。
ユウキ&晟:はい?
GM:お待ちかね,新しい設定を差し上げましょう。
ユウキ&晟:(嫌そうに)別に待ってないけど。
綾:(ぼそっと)永遠に増え続ける新しい設定。永遠に増え続ける基本侵蝕値……。
GM:(無視)晟はさっき,ちょっとモドキ状態になりましたが,今は遙ちゃんが抑えてくれたので通常晟くんです。
晟:つ,通常?
真琴:通常とゆーことは,異常な晟とか非常な晟とかがいるのか。
GM:はい,おかしな晟くんがいます。
晟:おい。
GM:新しいキャラクターシートは用意してくれたよね? 侵蝕値が120を超えると,通常晟くんからおかしな晟くんに変身します。
真琴:それって一応エンジェルハイロゥ/ハヌマーンのアレ?
綾:待て待て! それは100を超えた時点の命綱,すなわち《ヨモツヘグリ》が消えると言わんか?
GM:そうとも言いますが。
真琴:GM,狙ってやってないか?
GM:(さりげなく無視)ちなみにおかしな晟くんに変身した段階で,技が2つ増えますが,それはその時になったら教えてあげましょう。んで次。ユウキ。君は侵蝕値120を超えた時点で,リミッターが外れます。
ユウキ:それ,何かすげえ嫌な言葉っぽいんだが!(笑)
GM:それもその時になってみないとわかりません。が,とりあえず侵蝕値上がってダイスボーナスが増えるたびに,パーツが増える(一同爆笑)。
晟:絶対金色の鎧だ。獣○ライ○ーだ(笑)。
真琴:あるいはカニアーマーか?
ユウキ:(投げやり)あーあー,もう好きにしてくれよっ。
GM:えー,こっからは晟,遙とも共通。
一同:まだあるの?
GM:あるんだよ。しかもこれ……(口ごもる)えーと,君ら,120を超えるとそれぞれに「おかしな」状態になるんですが……えー……。
晟:(胡乱げに)何?
GM:……いや,これ,ブーイングくるだろうなぁ,と思って……。
一同:(胡乱げに)何?
GM:侵蝕値が231を超えるまでリザレクトがかかります。
一同:…………。

 読者諸賢におかれましては,

 くれぐれも真似をしないでください。

 プレイが崩壊します。

晟:(遠い目)いいのか,それは。本当にいいのか?
GM:千葉と戦うにはそれくらいのアドバンテージがないといかんということでひとつ。
ユウキ:(遠い目)ものには限度とゆーものがあると思うが……。
綾:しかし実はそれ,100から120の間が一番デンジャラスとか言わない?
GM:そう。100超えたら急いで121にしないと。ジェネシフトとか使って。
ユウキ:それ以前に帰って来られなくなるわっ!?
一同:(爆笑)
綾:ま,経験値返上覚悟だね(笑)。
ユウキ:経験値返上にだって限度があるだろ! ロイス7ついっぱいとっても28個までしか振れないんだぞ!?

 検算してみましょう。
 D10の期待値は5.5ですから,7×4(経験値返上)×5.5=154です。
 ちなみに晟はロイス枠がDロイスで1つ潰れますので,6×4×5.5=132。
 「意外に少ないんだな……」と思ったあたり,松井もすでに麻痺してきているような。

GM:だから,231までいかなきゃいいんだよ(笑)。
真琴:ちなみに231超えたらどうなるの?
GM:問答無用でジャーム化,暴走。
一同:いったいどうしろと!(爆笑)
GM:(←妙に楽しそうだなコイツ)あ,ちなみに「おかしな」状態の時にはリザレクトが3レベルになります。それ以外は通常のルール通りということで。
綾:今さら「通常通り」もへったくれもないと思うが。
GM:(無視)他に質問はー?
晟:……えーと,一応確認しておくけど,晟のモドキバージョンって,「17歳時の楓」でいいんだよね?
GM:そうだよ。そこまでしか記憶が蓄積されてないのだ。いきなり35歳時の楓になったりはしないよ。
晟:まぁあの男の場合,30だろうと40だろうとたいして変わらないよーな気もするが……。
GM:何を言っている。30代楓は長髪に決まってるじゃないか!
晟:イヤだー!?(一同爆笑)
ユウキ:確かに小説版だと延々髪伸ばしてるけどな,劉○って……。
晟:やめろ! それだけはやめてくれ! あんな似合わないロン毛はどこぞの本部長だけで充分だぁ!(笑)
真琴:(横からぼそっと)だけどさぁ,それって侵蝕値120超えると,いきなり髪が伸びたりするわけ?
GM:そうなるな。
真琴:それって要するに獣の槍じゃん。
一同:(爆笑)
晟:(さめざめと泣いている)
GM:えーと長髪云々は冗談というか,ただの嫌がらせです(笑)。「おかしな晟くん」は外見上そんなに変化はない。ないんだが,目がね。うっすらと青白く光ったりする。
遙:目からビーム?
GM:ビームは出ない。出ないけど,光る。
晟:……何のために光ってるんだよ,それは。
真琴:種がハジケてるんでしょ。
一同:(再度爆笑)
真琴:(歌うように)あなたの心で種ぱっきーん♪
晟:イヤだいイヤだい! あんなイっちゃったグラデ目になるのはイヤだい!(泣)
GM:あ,それと遙だけど,
一同:まだあるのかよっ!?
GM:……あるんですっ。遙はね,侵蝕値100を超えると反転して炎華の人格が表に出てきます。で,その瞬間に侵蝕値が150になります。
遙:ほえー!? 何ですかそれはー!(泣)
綾:(考えて)いや,それは有利なんじゃないか? 100から120までの空白がないってことなんだから。
遙:でも帰ってこられなくなるのですー!
綾:どうせそこまでいったら経験値返上覚悟でしょうよ(笑)。
遙:みーっ!?
真琴:まぁそう言うな,遙。大きい力を得るためには,それだけのリスクを負わなきゃならんものなのだよ。
ユウキ:てーかそれリスクとかゆー問題じゃねーよ! 100超えた時点で,帰れなくなることほぼ決定じゃねえか!
綾:経験点減らせばOKだけど,減らすこと前提ってあたりがなー(笑)。
真琴:そう! 大きい力とはそういうものだ! だから力など得てはならん!(笑)
晟:真琴さん他人事だと思って……。
真琴:他人事だしさ。
ユウキ&遙&晟:(何か言いかける)
GM:あー,あー,続けるぞー。炎華状態になると,サラマンダーのエフェクトが全て使えます。あと,ソラリスのエフェクトもいくつか使えるよー。
遙:ソラリスですか?
GM:うん。実は炎華がサラマンダー/ソラリスだから。と,いうわけで説明終わりー。長かったなー。

 誰のせいだ。

GM:というわけで,危ないところですが無事に「試練」をくぐりぬけることができました。紫音と咲耶榎も「ふー,やれやれ」という感じで肩を叩いています。紫音が,「まー,これで名目上は千葉とまともに戦えるようになったわけだ。もっとも,3人がかりでやっとってとこだろうがな」
遙:それでもやっとなのですか? それは大変なのです……。
ユウキ:てゆーかあいつはルールの枠外にいやがるからな。
綾:本当に死ぬのかな,アレ。無限にリザレクトし続けるとかじゃなくて?
真琴:そうだ。ちーさんは,侵蝕値231を超えてもやっぱりリザレクトするのか?
GM:え,侵蝕値って何?
一同:…………。

 賢明なるGMの皆様におかれましては,

 絶対に真似をしないようにお願い申し上げます。

 PCに石投げられる恐れがあります。

晟:……許せます,こーゆーの?(怒)
ユウキ:(投げやりに)許すも何もな。マスター裁量!の一言には誰も勝てんからな。
真琴:あー,つまり彼はクトゥルーなんだよ。宇宙からやってきた理解不能な物体なんだ。
晟:あー,そんな感じだな。ニャラルトホテプとかかもな。
真琴:んで,あの黒いコートの下では,イカの足が何本も何本もウニウニしてるわけなんだ。
晟:想像するだけで怖えええっ!?(一同爆笑)
GM:いや,だからオーヴァードでないことは確かなんだよ。最初からそう言ってるじゃないか。
晟:いあ・いあ・はすたぁ?
GM:クトゥルーから離れろ! じゃなくて,ちゃんと倒す方法は用意してあるから!
ユウキ:つーか,用意してねーとか言ったら怒りますよ。
遙:ちーちゃんって,確か炎華姫が戦ったバケモノなのですよね? だったら炎華姫に訊いてみればいいのではと思うですが……。
GM:え,違うよ。炎華姫「が」戦ったんじゃなくて,炎華姫と一緒に戦ったんだからね?
遙:え,そうでしたっけ?
真琴:そんな話が前回にあったのか?
ユウキ:いや,聞いてねーな。
GM:…………。あれ?
遙:マスター,私も初耳なのですけど……。
真琴:わかった,つまり今マスターが口を滑らせたんだな?
GM:……まぁそれはおいといて,とりあえず戦えるようにはなったわけだから,
真琴:忘れてほしいのか?
GM:……忘れてくださいゴメンナサイ。
一同:(笑)
GM:えー,話を戻しますがぁ……ユウキはすぐ出発するわけなんだね?
ユウキ:たりめーだろ。
遙:もちろん私も行くのですよ!
晟:……あー……僕も行くことにやぶさかではないんですが,もうちょい待っていただけると……てか,気持ち悪くて動けない〜。
ユウキ:そいつは首根っこ引っつかんで行く。
遙:とにかく急ぐのですよ! ゆかりちゃんが危ないのです!
ユウキ:……おい。それはいいんだが,おまえが何でゆかりのことを知ってるんだよ?
遙:だってゆーちゃんの彼女さんなのです。
ユウキ:ちげーよ! つーかしまいにゃぶん殴るぞ!
遙:え!? だ,だってあきちゃんがそー言ってたですよ!?
ユウキ:…………。
晟:(←ぶら下げられている)ボクハソンナコトハイッテマセン。
ユウキ:ほほー?
晟:イッテマセン。
ユウキ:本当に?
晟:ユウキさんの幼な妻とは言ったかもしれませんが。
ユウキ:…………。
晟:……にゃー……(←ネコのようにぶら下げられている)
ユウキ:とりあえず床に叩きつけておこう。
晟:ふにゃあっ!?
ユウキ:さらに止めを刺しておこう。さらには頚椎をへし折っておこう。
晟:そ,それは死ぬしーっ!?
綾:おまえら,時間がないと言いつつ漫才は大概にせーよ(笑)。
遙:はーい。質問なのですが,どーやって綾さんたちの後を追うですか? 移動手段がないですよ?
晟:(←とりあえず逃げた)伊達さんを貸し出してもらえばいいんじゃない?
GM:栄吉っちゃんは今回別任務で出張中です。
晟:あの人ちゃんと仕事あったんだ?
GM:失礼な(笑)。……しかし,そう言えば誰も免許持っとらんのかー。そりゃ困ったな。(キャラクターシートの束を出して)このへんで良さげなのを選んでくれてもいいけど……。
真琴:蒼はダメなの?
GM:あれは療養中だってばさ。
晟:(キャラクターシートの束をめくっていた)あ,これいいや。これいこう。
GM:ん? 誰?
晟:おっきー(笑)。
ユウキ:あのザ○ングル野郎かぁ?
遙:よりによってそれですかぁ?(笑)
GM:アンタらがそれでいいというなら俺はとめないが……。
真琴:待て! 私はイヤだぞ!? だってアレ,ロボットアニメヲタクじゃないのかっ!
ユウキ:しかし確かにドライバーとしては有能かもしれんわけで……(笑)。
晟:適任は適任でしょ? (隣の卓に)沖さーん,ちょっと友情出演願えませんか?
鵬也:(隣の卓の人)何?
真琴:おーい,だから,それだったら蒼にやらせた方がまだ……。
晟:(無視)実はですねー,ゆかりちゃんを取り戻しに行くのに運転手が必要なんですけどー。
鵬也:よかろう,私はどんなものでも乗りこなしてみせるぞ。……ハンドルさえあればな。
真琴:ダメだってば! この人にやらせたら一瞬でギャグになるってば!
GM:いや,もう決定決定(笑)。
鵬也:(怪しい口調で)で〜? 何を運転すればいいのかなぁ〜? はぁ〜ん?
GM:とりあえず,青いトレーラー。身の丈7メートルのサプンクルに変形可能(笑)。
鵬也:(怪しい口調)そうさ! ボクのサプンクルはロボットだけどハンドルで動くんだぞぉ! すごいだろぉ!
一同:(爆笑)
遙:よくわからないけど,すごいのですカッコイイのです!(笑)
真琴:やだー! やっぱこの人やだー! 別のがいいよぉ!
晟:うるさい! この場にいない人間がわめくな!
真琴:だって今回はシリアスでやろうと思ったのにー!
ユウキ:おまえが乗るわけじゃねーんだからどうでもいいだろ。
綾:俺と君は俺が運転する車で移動してるんだからね? 俺は,普通の車にしか乗らないからね?
真琴:……あ,ならいいのか。
一同:あんたなぁ!(笑)
GM:というわけで! 何だか異常に巨大な青い車が到着しましたので,とっとと乗ってください(笑)。では,ここでシーンをきります。

 

SCENE 4


GM:では,時間を戻しましてお父さんと君嶋のシーンです。
綾:とりあえず君嶋といっしょに車に乗って,出発します。ちなみに,山崎くんが向かった方向くらいはわかってるんですよね?
GM:連絡があったポイントを書きこんだ地図が用意されてます。ちなみに,〈追跡〉で判定してくれる?
綾:《天性のひらめき》使って29。
GM:高いな。えーとその地図を見る限り,山崎は西側にある第3ゲートに向かっているようだ。ちなみに,ゲートというのは市外と市内を隔てるアレではなく,日本本土とのゲートだ。
綾:ええ?
GM:このまんま行くと,軍隊が駐屯してるあたりに来ちゃうなぁとか。
真琴:それって日本の軍隊か? それともテンペストか?
GM:表向きは自衛隊,じゃなかった防衛隊。ただし武器はアメリカ製。
真琴:んー?
綾:それは別段不思議なことでも何でもないけど……。
真琴:そこにテンペストの影があったりはせんのか。
GM:どうでしょうねえ。テンペストの標準装備を防衛隊が持ってたりするかもしれませんが。
ユウキ:何せテロリストに武器売っといてテロ撲滅のために戦争しかけるような国だからなぁ。
綾:(咳払い)あー,あー,それはおいといて。俺は電話でもしてみようかなぁ? あー,もしもし,日下くん? 瀞南寺だが,テンペストから防衛隊への武器の流れを調べてくれないか?(笑)
GM:NPCをそんな便利に使うんじゃない!
真琴:ちなみに日下くんって誰?
綾:伊織。日下伊織。
晟:日下コーポレーションの御曹司(笑)。
ユウキ:(←伊織プレイヤー)あー,そんなヤツもいたな。全てが懐かしいな。何もかもが懐かしいな。
GM:伊織ってどんなヤツだっけ。
遙:最初はボンボンのはずだったのに,どんどん本性が現れていった人。
真琴:あー,思い出したぞ。てゆーかそれ,アンタのせいだろうが!
遙:(←しつこいようだが光プレイヤー)え?(笑)
晟:えらいストレスの溜まりようだったもんな。
綾:ユウキもストレス溜まりまくり,とゆー点においてはあんまり変わらないような……。
ユウキ:まったくだ。雨追は長谷川平蔵も知らねえしよ!
GM:問題はそこじゃないと思うが。……まぁいいや。とりあえず何を頼むわけ?
綾:まずは,ゲート付近の監視を頼むね。万一誘拐犯が日本本土に逃げ込むようだと,俺らは手が出せなくなる。あとは,もしできたらでいいけど,テンペストと防衛隊のつながりも探っといてもらえるとありがたい。
GM:なるほど,まあそれくらいならかまわないだろう。
真琴:あとは,万一の時に私らが誘拐犯を追いかけられるよう,ヘリを用意してもらうとか……。
一同:ええ?(笑)
真琴:ほら,こち亀の中川のよーに!(笑)
綾:しかし,ゲート越境するヘリなんて,問答無用で撃ち落されると思うなぁ。あるいは認識記号つけてりゃOKとか,そういう次元なのか?
GM:日下コーポレーションのマークとか? どうかなぁ(笑)。
綾:日下に仕事してもらうのは,あくまでデモンズシティの外。中のことはキルスに任せよーぜ(笑)。
晟:(うさんくさそうに)バナナ印のヘリで飛んでくるわけ?
一同:(爆笑)
綾:やべえ,近づくな! 気をつけろ!
ユウキ:ヤツが来るぞ! 大いなる厄災がまかれるぞ!
真琴:そうそう,そのバナナにも「キルス専用」とマーキングされて……ってふざけんなぁ!?
ユウキ:目が会っただけで石投げられるし,肩が触れただけでぶち殺されるぞ! 「ここで仕返ししとかんと,修学旅行先だからなァ,よしよし」とか言うぞ!
遙:もはや何が何だか……。
真琴:だから何でだよぉ!? そんなバルセロナのサポーターがフィーゴにしたようなことはしない!
ユウキ:ブタの頭投げてくるぞ!
一同:(再度爆笑)

 私はサッカー事情にまったく詳しくないので,以下,サッカーマニアの同僚に聞いた話です。
 フィーゴという人はもともとバルセロナのスター選手だったのが,レアル・マドリードに移籍しました。しかし,バルセロナとマドリードは不倶戴天の敵らしいですね。それで,フィーゴさんはかわいさ余って憎さ百倍,「金でマドリードに買われた」とバルセロナサポーターから相当にすげえことをされたらしいです。
 本当に投げたらしいですね。ブタの頭とか。生きたニワトリとか。果てはダッチワイフ人形とか(それを見逃す警備員も警備員だ,つーか警備員もグルなんだろうなぁ)。
 閑話休題。

真琴:しない! 爆竹も投げない!
GM:もはやただのチンピラだな。
真琴:てか何かよ!? それじゃキルスがフーリガンよりタチ悪いみたいじゃないか!
晟:違うとでもゆーのかよ。
GM:そんな今さらわかりきっているキルスの性根とかはどうでもいいが,
真琴:性根ぇ!?
GM:(無視)もう出発するということで,いいのかな?
綾:そう。とりあえず山崎くんの連絡を待ちながら,西ゲートの方に行ってみるか。
真琴:ちなみに防弾チョッキくらいはもらえないだろうか……。
GM:いいよ,UGN戦闘服くらい持っていっても。
綾:タダで持っていっていいの? 購入判定もなし?
GM:んーと,場合が場合だからいいんではないかと……。
晟:でもまだ無事なの,戦闘服?
遙:キルスが持っていっちゃってたりしてないの?
真琴:……マスター。この人たち,ひどいこと言ってますよ。
GM:そうか,そうだなぁ。キルスがきー!とか言って破いてないかどうかD10で判定してみようか。
真琴:くあー!
GM:(苦笑)じゃあ判定なしであったことにしていいよ。ただしUGNの人間ってバレバレだけどな。書いてあるから。
晟:そんな,エージェントが着る服に「UGN」とか書いたりするかぁ?
ユウキ:いや,きっと黒いぴたっとしたスーツなんだ。だから街中歩くと恥ずかしい。
晟:そ,それはいわゆる「もっこりスーツ」というヤツなのでは……。
GM:というか全身黒タイツ?
一同:(笑)
綾:……とりあえず,あるんなら持っていきます。まだ着ないけど。
GM:では,そんなあたりで,山崎くんからの電話が転送されてきました。「あー,瀞南寺さん?」
綾:山崎くんか? 無事なのか?
GM/イサム:「はぁ,何とか無事です。ちょっと……身体じゅう痛えけど,何とか……」
綾:その状態で追跡は可能なのか?
GM/イサム:「それは平気っす。アシありますから。ヤツらはまだ西ゲートに向かってるみたいなんで,瀞南寺さんもそのまま追ってきてください。ただし,これからまたちょっと連絡厳しくなりますけど……」
綾:わかった。じゃあまたできるようになったら,そっちから連絡をくれ。それと,ゆかりちゃんをさらった相手はどんなヤツだった?
GM/イサム:「服装はバラバラでしたけど,結構統率されてる感じがあるヤツらでした。俺が見た限りでは5人です。……すんません,俺,何とかしようと思ったんですけど……」
綾:戦うのは俺らに任せてくれればいい。正直,君が抵抗したところでどうなったとも思えないからね。こうして情報を確保するのが君の仕事だ。わかってるな?
GM/イサム:「はい,わかってるっす……」
綾:くれぐれも無理はするなよ,と言って電話をきります。
GM:では,そのまま車を走らせる,ということですね……えーと,彼から先ほどの連絡があった地点まで来ました。そのへんは土が露出してるんでわかるんですが,数台の車両が通ったあとに,山崎くんのものと思しきバギーの跡がありますね。
真琴:数台ってどれくらい?
GM:んん? えーと,片手(の指)で足りるくらいだと思うけど?
真琴:なるほど,5台か。
GM:5台に決めちゃっていいの? 決めちゃうよ?(笑)
真琴:瀞南寺さん,相手は結構多勢ですよ。
綾:あーもしもし君嶋くん? プレイヤー側からピンチを招いてどーするのかな?
GM:私にピンチを! もっとピンチを!
晟:いやそれはもーどーでもいいから。
GM:……そこで,もう一度〈追跡〉で判定してください。
真琴:では今度は私が《天性のひらめき》使います。……えーと,7。
GM:わかるかそんなもんで。
綾:これって重要な判定なのかなぁ。……うーん。じゃあ俺も《天性のひらめき》使って……あれ? 7だ。
GM:あれ? 何? 瀞南寺も失敗したの?
綾:うん。
GM:あ,そう……そうなのか……。
真琴:何か知らんが,困ってるようだな。
GM:じゃあそういうことだからシーン切ろうか。
一同:あ,逃げた(笑)。
綾:じゃあそういうわけだから,とりあえず先に進むか(笑)。