SCENE 13


GM:えーとではイタいシーンも終わりましたので,次の日。そこの2人,侵蝕値はちゃんと上げただろうね?
遙:ええ。10も上がりましたよ。
尚也:なるほど。余程恥ずかしかったらしいな。
遙:ええ。2で割ったので実際は5ですが。
GM:でもやっぱりマックス出すほど恥ずかしかったんだな(笑)。さて,次の日の朝,ちゃんと朝食もいただきまして,お屋敷の皆さん総出でお見送りです。
晟:別に見送ってくれなくったって……。
尚也:もう帰って来ない可能性もあるからではないのか。
遙:(聞いてない)がんばってくるですよ,お祖母ちゃん!
GM/祖母:「ええ。でも,無理はしないようにね」
遙:はいなのです。
晟:ええと,その例のブツがある正確な位置って聞いたんでしたっけ。
GM/祖母:「裏門から出て,歩いて500メートルくらい先に小さいお社(やしろ)があります。……きっと遙ちゃんにはわかるから,大丈夫ですよ」
晟:はあ……そんなもんなの,遙ちゃん?
遙:あ,ダメです。私はあきちゃんから微妙に離れた位置に立って,でも気になるのでちらちら見たりしてるのですよ。
悠貴:うわー,ラブコメ展開だー(笑)。
晟:…………。
GM:それがいつまで続くかねえ。ひょっひょっひょっひょ。
晟:なんだその笑いは。
GM:それはともかく,ではそんなんこんなで裏門からちょっと歩くと,何段あるんだこれはー?な石段がそびえたってます。
晟:……500メートルって……。
尚也:まさかと思うが,あの祖母さま直線距離で言うとらんだろうな。
GM:どうだろう。でも普通の人なら,中ほどまでいかないうちにぜえぜえ息がきれてくるだろうね。

 で,【肉体】判定(あるいは,普通かそうじゃないかの判定)によりあっさりとわかれた明暗。

悠貴:(←普通の人)……うう〜……何か,遠いぃ……。
ユウキ:(←普通じゃない人)おら,さっさとしろよてめーら!
晟:(←普通の人?)……だからぁ,僕らは,ユウキさんとは,違うんですってば……。
ユウキ:ああ,イライラすんなぁ! こんな階段1段ずつ上がんなよ!
悠貴:いや……そんな,無茶言わないで欲しい……。
尚也:(←どうもやはり普通じゃないらしい人)こんなことになるとは思っていなかったな。遙は大丈夫なのか?
遙:(←判定を免除された人)ほえ?
GM:体力的には晟たちとかわんないはずなんですけどね。何故か平然としてます。こう,すーいすい,って感じで上っていくね。
悠貴:晟ぁ……遙ちゃん,昨日から,どうしたの?
晟:さあ……妙なもんでも,憑いてないと,いいんだけど……。
尚也:ほら君ら,しゃべってないでさっさと上れ。
ユウキ:このままだと日が暮れちまうだろ! 何でそんなチンタラやってんだよ!?
晟:普通に,歩いてますってば……そ,そんなこと言うんなら,ユウキさんが,引っ張ってってくれればいいじゃ,ないですか……。
ユウキ:ほーう。それはいい考えだな。
悠貴:あ,ちょっと待ってユウキくん? 「引っ張る」と「引きずる」は違うからね?
ユウキ:2人の腕を掴んで2段抜かしでがんがん上に上がります。
晟&悠貴:あ〜〜〜!? や〜め〜て〜!?
GM:そんなことすると,階段のヘリに頭とかガンガンガンガン当たるんだけど……。
晟&悠貴:痛い痛い痛い痛いいぃっ!?
尚也:(踊り場?まできた)じゃあ,ちょっとここいらで休憩するか?
ユウキ:じゃあ2人をぽいっと放りだします。
晟&悠貴:ひどい……。
遙:ちなみに私はその声も耳に入らないようで,ぼー……っと上っていってます。
尚也:遙,ここで休憩だぞ。遙?
遙:…………。ぼー(と上っていく)。
悠貴:……ねえ晟。やっぱり遙ちゃん,ちょっと変じゃない?
晟:うーん。やっぱりちょっと,早すぎたかなー。
悠貴:何が?
晟:いや,それはまぁ,青春の1ページと言いますか。
尚也:それはそうとそこの2人,休憩終わり。行くぞ。
晟:うえええ?
尚也:女の子が歩いてるんだ。君らも立って歩け。
悠貴:いや,歩こうとはしてるんだけど(笑)。
晟:歩いてますよ。歩いてるけど,ユウキさんが遅いって言うんだもん。
ユウキ:だってホントに遅えじゃねえか。てゆーか,おまえら走れ! 駆け上がれ! 歩いてんじゃねえ!
晟&悠貴:無茶言うなあっ!?
GM:さて,そんなことをやっている間に,いつの間にか遙は小さいお社の前に立っているわけだが。そこでまたチャンネルがつながる。「中に入ってください。真っ直ぐ進めば,石があります。……でも,気をしっかり引き締めてくださいね? 気を抜くと……死にますよ」
遙:……では頬をぺちぺちぺちっと叩いて……行きますのです!
晟:(←結局引きずられてきた)はあ?
悠貴:(←同じく)どこへ行くって,遙ちゃん?
GM:だから,中へ入っていってます。ちなみに扉は開いてるんだけど,中は真っ暗。でも遙は危なげなく歩いて行って,すぐに姿が見えなくなります。
晟:…………? おかしくないですか? このお社,そんなに広いようには見えませんけど……。
尚也:何ぞ妙なところに繋がっているのかも知れんな。とにかく我々も入ってみよう。
晟:じゃあ懐中電灯つけてみますけど。
GM:廊下が真っ直ぐ続いています。
尚也:どのくらい?
GM:さあ。50メートルくらいじゃない?
一同:50メートルって……。
遙:ちなみに私はひたすら前に進んでいます。
悠貴:…………。遙ちゃーん?
GM:あ,ちなみに奥からひんや〜りとした空気が漂ってきてます。
晟:ちょっとこれ,危なくないの? 遙ちゃん。遙ちゃんってば。
遙:…………。
GM:ちなみに,どんどんどんどん寒くなってますけど。あ,でも遙はぜーんぜん平気みたい。
晟:もともとサラマンダーだから,暑さ寒さには強いだろうけど……。
悠貴:例の「継承者」しか入れない,とかそういうオチじゃない?
GM:あ,ちなみにこれから遙について歩いて行くと,1メートルごとに2点ダメージね。
一同:…………。
晟:あと何メートルくらい?
GM:20メートルってことにしとこうか。あ,ちなみに往復。帰りもダメージはくらうからね? それでもついて行きたいという人って,いる?
晟:行きましょう。全ては愛のため。
一同:おい。
悠貴:晟,それ,死んじゃうよ?(笑)
尚也:冷静に計算してみよう。2×20×2は?
晟:80点。リザレクトすれば何とか?
尚也:やめなさい。その前に侵蝕値100超えないという保証はないぞ。
ユウキ:何を血迷ってんだ,こいつは。
晟:うー。だってえ。
遙:あきちゃん。
晟:はい?
遙:ここから先は危険です。私がとってきますから,ここで待っていてくださいね?
晟:(←困っている)……え,えーっと?
遙:あきちゃん,ちゃんと待っててくれるですね?
晟:は,はい……。
尚也:では仕方ない。我々はここで応援していよう。
遙:はいなのです。行ってくるのです。
尚也:うむ,がんばりたまえ。ふれーふれー。
一同:…………。
尚也:何か?
晟:いや,別に,何でも……。
GM:と,というわけでここでいっぺんシーンを変えまーす。

 

SCENE 14


G M:では,遙のシーンです。他の皆さんはそれを見てるんだけど,何かやるというのでなければ「登場」という扱いでなくてもOKです。では遙。真っ暗な中をすたすた歩いて行くと,行き止まりになります。
遙:では手から火を出して,明かりのかわりにするですよ。
GM:すると取っ手が見つかるので,普通に開けられます。そこは遙一人がやっと入れるくらい小さな部屋で,まず,火の消えた燭台が4つ。その中央に小さな棺……。
遙:ひ,棺なのですか?
GM:いや,棺じゃないな。このくらいの大きさの……ショーケース。
遙:しょ,ショーケース?(笑)
尚也:急にありがたみが失せたな。
GM:放っておいてください。とにかく,少し高い位置に箱があって,それが透明なわけで,
晟:素直に氷でできた台座だー,とか箱だー,とか言っておけばいいのに。
GM:……その中に赤い宝石が冷気を撒き散らしながら浮かんでいる。んで遙さん。それを見たとたん,君の中で何かが弾けたような気がした。(ころころ)侵蝕値を6点上げてくれたまえ。
遙:は,はうー。
GM:それともうひとつプレゼントね。
尚也:基本侵蝕値?
GM:いえーす。えーと(ころころ)2点上げといて。
ユウキ:(いきなり)なぁにぃ!?
遙:え? 何? 何なのですか?
ユウキ:2点っておまえ,それずっこくねえか!? 俺は8点だぞ,8点!?
遙:私に言われましても……。
悠貴:単にマスターのサイコロ次第だからなあ(笑)。
晟:日頃の行いってヤツじゃないですか?
ユウキ:てめえに言われたかねーわ! おまえこそさっさと絶○でも何でも身につけやがれ!
晟:それはたまちゃんがいるからいいんだもん。
GM:なるほど。ではダイレクトに聖闘士○矢モドキの青鎧が着たいと。
晟:(平伏)お願いです,それだけはやめてください。
GM:話戻すぞー。ここでまた通信が入る。「……力を解放してください」
遙:ほ,ほえ? そう言われましても何するですか。
GM/謎の声:「私の意識に同調してくれればいいんです。今のあなたなら,できるはず……」
遙:よくわかんないけど,がんばるですよ!
GM:すると,あなたの頭の中にイメージが流れ込んでくる。その棺……じゃなかった,箱に向けて,燃え盛る炎をぶっ放してるイメージだ。具体的には《極大消滅波》。
遙:? そのエフェクト,持ってないですよ?
GM:だから,同調するのが必要なのだ。
遙:うう……では侵蝕値を4D10上げまして(ころころ)……はう。25点も上がってしまったのですけどー!
一同:あーあ(笑)。
GM:あーあ。では,氷は一瞬のうちに蒸発したのですが,宝石はそのまま宙に漂っています。「さあ,継承してください」
遙:では,迷いなく手を伸ばします。掴みます。
GM:その瞬間! あなたの体を強烈な冷気と熱気が同時に貫く! ので,実ダメージが。
遙:は,はうー。
GM:(ころころ)…………。さ,3点?
一同:しょぼっ!
GM:サイコロに言ってくれよ,サイコロに!(泣)
悠貴:やっぱり遙ちゃんって日頃の行いがいいんだよ。ねえ?
ユウキ:俺に言うな,俺に!
晟:これのどこが「気を抜くと死ぬ」なんだろう。
GM:その可能性もあったんだよ,だから! と,とにかく一瞬赤い閃光が走ったかと思うと,周囲の冷気は収まっている。そして,一瞬手に掴んだはずの赤い宝石も,ない。
遙:あ,あれ?
GM/謎の声:「……おめでとう。これで継承は終わりました」
遙:そうなのですか?
GM/謎の声:「これであなたと私はひとつになったのです」
遙:ひとつに……ですか?
GM/謎の声:「意味はやがてわかります。必要な時には私を呼んでください。私の力は,もはやあなたのものですから……」と言って,声は次第に遠ざかっていきます。
遙:……お休みなさい。
GM:では,ここで皆と合流してください。シーンを戻します。

 

SCENE 15


GM:というわけで全員登場してください。寒さが急に薄らいできます。そして,遙が廊下の奥から悠然と歩いてきます。
晟:遙ちゃん?
遙:では皆に向かって,ぴーす!
一同:おおー……(拍手)。
GM:ではそこでイベント発生。そこの3人(一同笑)。
ユウキ&晟:いらねーっ!
尚也:(お茶を飲みつつ)ま,がんばってくれたまえ。私には関係ない。
悠貴:と,とりあえず応援はしてるよ? がんばってね(笑)。
GM:(サイコロを並べつつ)これが,ユウキ。これが,遙。んでこれが晟ね。
ユウキ:まさかと思うが……。
晟:……基本侵蝕値?
GM:うん。
ユウキ&晟:だぁら,いらねーっつーに!?
遙:はう……私もいらねえですぅ。
GM:(ころころのころ)えーと遙が4点。晟が6点。ユウキが7点。
ユウキ:不公平だろそれっ!?
一同:(爆笑)
遙:えーと基本侵蝕値39点になりましたぁ。
晟:41点です。何故2回目の遙ちゃんより僕の方が高いんだ?(笑)
悠貴:やっぱり日頃の行いがいいんじゃない,遙ちゃんは(笑)。
尚也:力を持つには代償が,ということだろうな。で,ユウキはどうなった。
ユウキ:46点だよ46点! 何だよそれは!?
GM:サイコロにきいてくれ。
晟:とゆーか,日頃の行い?
ユウキ:うるせえ黙れ! てめえにだけは言われたくねーって言ってんだろ!
GM:わかった,わかったから話を続ける。3人は一瞬,自分の体内で何かが共鳴したのを感じた。同時に,見ていた2人には2人がそれぞれ緑,青,赤のオーラを放ったように見えたね。
晟:(思わず)戦隊ものか,これは?
GM:放っとけ。
尚也:で,これで用は全部終わったのか? では,屋敷に戻って挨拶して,私らは即刻帰ることにしよう。
GM:そんな,これでシナリオ終わるわけがないじゃないですか。
一同:やっぱり?
GM:ええ。皆さんが意気揚揚と引き返してきますと,ま,お約束というか何というか,2回目ですねこのパターン。屋敷が炎上してます。
一同:やっぱりぃ!?
GM:とりあえず帰り道は割愛しよう。屋敷はごうごうと炎を上げているが,まだ奥までは火が届いていないようだ。
遙:そのまま飛び込みます! で,お祖母ちゃんを探します!
GM:一応まだ通れる廊下もあるが,その途中には昨日みかけた女の人たちが何人か倒れてる。
晟:治療は……。
GM:無理だろうな。もう息はない。いや,広間の前に倒れているおばあさんには,まだ息がある。登美子さんだ。
遙:……大丈夫なのですか! お祖母ちゃんは!
GM:登美子さんは広間の中を指差して……がくっと倒れる。彼女は最後まで,襖を背にがんばっていたようだ。ただしその襖はすでに開いている。奥の方で,「あなたは何者です!?」とお祖母ちゃんの声が聞こえる。
晟:ヤバい! お祖母さんが!
遙:お祖母ちゃんに手をださないで!と言って中に飛び込みます!
GM:では内部の状態を説明します。昨日の,かなり広い部屋です。で,一番奥にはお祖母ちゃんが追い詰められている。その間に黒服を着たいかにもエージェントーっって感じの男たちがずらりと並んでいる。
悠貴:ずらりと?
尚也:具体的に何人?
GM:とりあえず10人だけど……。
晟:(強い口調で)トループじゃないなんて言ったら,怒りますよ。
一同:(笑)
GM:……大丈夫です。トループです。少なくとも,全員がオーヴァードだとかは言いません。で,エンゲージとしては,君たち,トループ4人,6人,お祖母ちゃんってとこ。で,お祖母ちゃんと一緒にいるのが……。
尚也:千葉かモドキ。
晟:モドキだな。いや,多分だけど。
GM:モドキです。ってか,すでに本名が何だかわからなくなってるなー(笑)。
尚也:私は新条楓としか聞いてないんだが。
遙:だから,新条楓モドキ。それが本名(笑)。
GM:違わい!
晟:違うの?
GM:違うの! 違うんだが,今は話を進めよう。
ユウキ:とりあえず上等だぜ! ここで借りを返してやるのも悪くねえ!
尚也:(ほぼ同時に)新条楓だな。今度こそ決着をつけてやる。
遙:(ほぼ同時)お祖母ちゃんに何するの! 離れて!
GM:…………。えーと,なんだって?
一同:(爆笑)
GM:何か今,非常に好き勝手に宣戦布告されたような気がするんだが……とりあえず,遙さんからどうぞ。
遙:え,えーと,「お祖母ちゃんに触らないで! あなたが用があるのは私たちでしょ!」と。
GM:なるほど。で,ユウキは?
ユウキ:え? だから,「ここで借りを返してやる!」と。
GM:なるほど。で,尚也さんは?
尚也:別に2回も言わなくてもいいよ。
一同:(再度爆笑)
GM:えーとそこの2人,ラストバトルですが何か言うことは?
悠貴:とにかく,人の平和な生活を乱すおまえを許さないぞ!(笑)
晟:…………。
GM:おや。弟さん,お兄さんに何か一言どうぞ?
晟:俺は貴様に言うことなど何もない!(笑)
ユウキ:何故モドキ化すんだよ。
晟:いや,本当に言うことが特にないからですけど……だいたいモドキちゃんてば,これにいちいち全部お返事するわけですか?(笑)
GM:いや,別にそういうわけじゃないですが。
尚也:そうか,では私もやはり一言言っておこう。
GM:え? 何かあるの?
尚也:ああ。お菓子の家での屈辱,今ここで晴らさせてもらおう!
一同:(大爆笑)

 そういや,ボールも帰ってこなかったしな。

GM:で,では,各人宣戦布告も済んだようなので,モドキちゃんから一言。(低い声で)「これもおまえたちのためだ」
晟:は?
GM:そこの3人に言ってます。
遙:えーと……。
GM:それから彼はお祖母ちゃんに向き直ります。「そういうわけだ,ご老人。ここで死んでくれ」
遙:と,とめます!
GM:いや,まだです。彼はじっとお祖母ちゃんを見ている。お祖母ちゃんも彼をじっと見返すんだけども,やがてふう,とため息をつき,「そういうことですか」と呟きます。では,ここから戦闘シーンに入りますので,イニシアティブごとにお願いします。

 

SCENE 16


G M:では戦闘。ちょっとイニシアティブを整理するね。まず尚也の23。次がユウキの19。藤原の悠貴さんが17。ザコーず15が入りまして,遙が13。晟が11。肝心のモドキちゃんですが,26でした。
尚也:結局一番早いではないか! なんだその数値は!
遙:あー! お祖母ちゃんがー! 誰かとめてー!
キルスティン:(いきなり)はいはーい! だったら私が《戦いの予感》使いまーす!
一同:…………。

 どっから出てきた。
(答え:隣の卓から←ちょうど自分たちのプレイが終わったところであったらしい)

綾:(←来た)ちなみに瀞南寺とキルス,助っ人に駆けつけましたー(笑)。
GM:い,いやっ,ちょっと待ておまえら。今,とても駆けつけられそうにない場所で戦ってるから!(笑)
綾:どこですか?
GM:東北の奥地だよ。デモンズシティの外。
綾:ああ,それはさすがに無理ですねぇ。
キルスティン:じゃあ瀞南寺,あたしが《光の衣》使うから,一緒に観戦しようか?
綾:そうですね。
ユウキ:それもどうかと思うが瀞南寺。てゆーか帰れ! 帰れよおまえら!
真:(←来た)そこへ俺は浴衣着て上がって来よう。あー,いい湯だった。
キルスティン:あ,真。中継観ようよ中継! ちょうど今面白いところだよ!

 だからどこだよ,そこは!

キルスティン:だから,私がコネを使ってテレビ中継してんのよ。そんで温泉旅館でビール飲みながら観戦してんの。さあ,ガキどもはどうでるかなー?(笑)
GM:……ひでえ連中だ。
ユウキ:いいから帰れ。今すぐ帰れ(怒)。
尚也:というかマスター,戦闘始めてくれないかね。
遙:そうなのですー! お祖母ちゃんがー!
GM:うーん,ちなみにお祖母ちゃんのイニシアティブはね。発表するまでもないね。では26でモドキが動いて,すぱーん!と手刀で袈裟斬り。お祖母ちゃんはがくりと床に倒れます。
遙:お祖母ちゃーん!(泣)
悠貴:とか叫ぶと周囲の炎が勢いを増したりして……。
GM:あと何ターンで全焼するかなー?(笑) それはそうとして,次の人。
尚也:(←冷静)まずトループを片づけよう。接敵できるのはここの4人だな? ではマイナーで接敵して金属バットで横殴りだ。(ころころ)うーむ,20しかいかないな。
GM:しかしこっちもトループだからなー。(ころころ)すぽぽーんと死にました。次の人は19でユウキ。
晟:あ,待った。モドキちゃんの行動はもう終わってるんですよね? だったらユウキさんは僕より遅らせて欲しいんですが。
ユウキ:何で?
晟:まず藤原さんにトループを一掃してもらって,僕が支援魔法(←違う)をかけるでしょ。次のメジャーでモドキに接敵して,それからセカンドアクションで殴ったらどうだろう。
ユウキ:しょうがねえな。じゃあ行動遅らせ。
悠貴:では《レーザーファン》でトループを攻撃です。《主の恩恵》使って,《全知の欠片》《光の弓》《レーザーファン》《主の右腕》で……39。ダメージは29。
GM:あう。トループ全滅ー。弱い〜。
晟:(ぶつぶつ)トループなんだからそれでいいんですよ。
遙:トループが死んでしまったのでモドキちゃんを攻撃するしかないのです。マイナーで《氷の加護》して《ブレインコントロール》と《ブリザードブレス》。(ころころ)はう? 4つしか回らないです。28ですが。
真:高いんですけどね。その達成値は。
遙:相手がモドキちゃんですからねえ。
晟:モドキとか相手にしてると麻痺してきますよね。
ユウキ:この卓でプレイしてると麻痺してくるとも言うが。
晟:鬼のようにサイコロ振る人に言われたかありませんよ。
GM:(ころころ)よしよし。避けたぞ。
遙:さて,私はここでリザレクトできなくなりました。
一同:何ぃ!?
遙:だってもう105なのですもの。
悠貴:何でそんなことに……僕なんかまだ76なのに。
遙:やっぱり《極大消滅波》が痛かったのですね。
晟:うーむ。では僕が《ヨモツヘグリ》ぶんの侵蝕値をキープしておかなきゃダメということなのだな。では《熱狂》はやめて……ユウキさんに《絶対の空間》《狂戦士》。(ころころ)かかりました。次の行動,クリティカル値がマイナス1,ダイスボーナスが+4です。
ユウキ:じゃあ7まで下げられる?
晟:本当はそっちの侵蝕値が100超えてからが効果的なんですけどねー。
ユウキ:じゃあマイナーで《ハンティングスタイル》《一角鬼》《完全獣化》。それからメジャーアクションでモドキに接敵。
GM:モドキはセカンド行動せず。他にセカンドアクションする人は? いないね? ではユウキのセカンドアクション。
ユウキ:じゃあ《狼牙》でセカンドアクションとります。マイナーで《奥の手》使って,《全知の欠片》《ピンポイント・レーザー》《狼牙》。
晟:ちなみに何個振れる?
ユウキ:肉体が13の,完全獣化で4の,侵蝕値で1の,さっきの支援で4の……全部で22個。さらにクリティカル値が7まで下がります。(ころころ)うぁ,低い!
キルスティン:全然回ってなくないか?
ユウキ:(ダイスを振りながら)……いや,こんなもんだと思うんだけど……39点でそちらの防御行動にダイス3つのペナルティです。
綾:うーん。やっぱり《狂戦士》は100超えてからかけるべきだったかなー。6で回せればガンガンいけるんだけどね。
ユウキ:一応期待値は振ってると思うんだけど……。
GM:(ころころ)あ,こっちもいまいち回らない。当たり〜。
ユウキ:ダメージは24点装甲値無視。
GM:むう,まんまくらった。
ユウキ:よっしゃ,始めて当てたー!(喜)
悠貴:あれ,そうだったっけ?
ユウキ:だから借りばっかりが積もり積もってたんだよ! よし,ここで言わなきゃダメだろう。よっしゃ刻んだ! てめえも俺を刻め!
GM:それ,微妙に順番逆なんだけどなー(笑)。まぁいいや。そういうわけで刻んでやろう。ターン頭に戻ってユウキに攻撃。……あ? いや? ここは《レーザーファン》使った方がおもしろいか?
ユウキ:使ったって同じエンゲージにいるのは俺だけですよ。
GM:んにゃ,そうじゃなくて後ろの3人に攻撃。
一同:何ぃ!?
ユウキ:てめ,ここまでやらせといてまぁたそれか!?
GM:しょうがないんだよー。遙が後ろにいるんだもんよー。
尚也:まぁ戦術としては有効なんだが,らしくないな。急に気弱になりおって。
キルスティン:性格悪いー。男らしくなーい。
GM:何とでも言え。では《レーザーファン》《全知の欠片》《天からの眼》《光の弓》……。
綾:《天からの眼》は〈RC〉で入らないよ。《光の弓》で攻撃するんでしょ?
GM:あ,あれ?
綾:ちょっとキャラシート貸して?
GM:えーと……。
晟:瀞南寺ー! 戦術指南禁止ー!
悠貴:ぶーぶー!
GM:いや,俺がエンジェルハイロゥ/ハヌマーン使いなれてないもんで(笑)。
綾:えーとね,〈射撃〉ができるんなら《吼え猛る爪》《電光石火》を入れた方がいいんだけど……。
GM:一応銃を持ってはいる。
綾:じゃあこうしよう。〈射撃〉《ピンポイント・レーザー》《レーザーファン》で範囲攻撃の装甲値無視。《電光石火》でクリティカル下げて,《さらなる波》《主の右腕》で攻撃力を上げます。
真:おい,遙に当たると死ぬんだが?
綾:いや,今回は《ヨモツヘグリ》要員もいるから大丈夫でしょ。
GM:(ころころのころころのころ)最終的に41! で,ダメージが……。
晟:ちょっと待った。達成値がいくつだって?
GM:41だけど……まさか……。
晟:43で避けた。
悠貴:47です。
遙:67なのです! ぶい!
GM:何ぃ!?(一同爆笑)
遙&晟&悠貴:やーいやーい! ざまーみろー!(笑)
キルスティン:モドキ,なっさけねえなぁ。
ユウキ:いや,41は別に低かねえよ。そこの出目がヘンだ。
晟:日頃の行いですね。
真:モドキ,今のコンボでどれくらい侵蝕された?
GM:(計算して)これで80超えた。ただし,これでダイスボーナスも跳ね上がったからな!
尚也:(淡々と)では私の攻撃だな。〈射撃〉《電光石火》《吼え猛る爪》で攻撃だ。ボールも補充したことだし,(ころころ)よしよし。0が多いぞ。
真:うわ,この人何個回してるんだ!?
綾:回る時には回るからなぁ。ダイス目ばっかりは,ホントどうしようもないよね。
晟:日頃の行い。
ユウキ:しつけえぞてめえは!
尚也:(ころころのころ)よし,達成値は52だ。
GM:(ころころ)うわー! 今日はほんっとに避けられません!
尚也:ダメージは37点装甲値無視だ。
GM:……リザレクト。
一同:やーい!(拍手)
キルスティン:やーい,なっさけねー! ボールぶつけられて昏倒してやんのー!
GM:まだ昏倒してないわいっ!
ユウキ:俺の番か。……どうすっかなー。ここで勝負にでるかなー。
真:いや,相手はまだ100パーセント超えてない。相手が超えたらこっちもジェネシフトして攻撃だ。12個振れるならすぐ100突破するだろ? そしたら《狂戦士》をかければ6で回るぞ。
GM:大谷ー! 戦術指南禁止ー!(笑)

 もはや誰と誰が戦っているのやら(笑)。

 さて,ユウキはとりあえず戦力温存して《奥の手》から《ピンポイント・レーザー》《全知の欠片》で攻撃するが,ひとまず調子を取り戻したモドキちゃんに避けられる(後から思うに,ここで完全燃焼しておいた方がよかったかもしれない)。
 続いて藤原の悠貴さんが《主の恩恵》→《全知の欠片》《光の弓》《主の右腕》《黒き明かり》で攻撃するが,避けられる。

GM:次,遙だけど?
遙:うーん,い,今なよんでいるところで……。
悠貴:……「なよんで」?
晟:……「悩んで」?
遙:な,なよっ,なやっ,なやんでいるところでっ。
GM:落ちつけ(笑)。で,何を悩んでいるのだね。
遙:ここいらで炎華姫にコンタクトをとりたいのですけど,何と言って話しかけようかと……。
GM:なるほど。現在モドキちゃんの方が劣勢というか多勢に無勢で,満身創痍なわけだけど,君はそれを見てどう思う?
遙:お祖母ちゃんを殺したのは許せないですけどっ。でもっ,なんかこれも違うと思うわけで……。
GM:では,炎華姫から話しかけてあげよう。「彼を止めなさい。暴走が始まりますよ」
遙:ほえ?
GM:君はボロボロになっているモドキちゃんと目が合うんだが,その黒い瞳はいつの間にか青い光を放っている。君は恐怖を感じる。彼はとんでもないことをしようとしているんじゃないか。このままでは,全員が危ない。もちろん,彼自身も含めてだけど……。
晟:ありゃー。やっぱ自殺願望ありやがるかー?
尚也:うむ,これはまずいな。
遙:え,えっと……。
キルスティン:(横から)さーあ,ガキどもはどうするかー? 俄然面白くなってまいりましたー!
一同:おまえは帰れ!(笑)
ユウキ:てゆーかまだテレビ観戦してんのかよ!? 帰れよ!
悠貴:そうだそうだー! キルスのばかー! 意地悪ー!
キルスティン:なんだと,この洟垂れどもー!?
悠貴:誰が洟垂れだとー!
ユウキ:てめーこそ黙ってろ,この年増!
晟:そうだそうだー! おばさんは帰れー!
キルスティン:……モドキ,やっておしまい。
一同:(爆笑)
GM:えー,とにかく外野の人は黙っててください(笑)。戻って,遙さんから。
遙:……大切な人をもう失いたくない。私の全ての力を使ってもいい,力を貸して! 目覚めて!
GM:では今の会話は0.2秒くらいで行われたんですが。
一同:嘘をつけっ!?
GM/炎華姫:(無視)「わかりました,力を貸しましょう。ですが,彼はどうします? 殺しますか?」
遙:(首を振って)もう,誰の命も失いたくない……。
GM/炎華姫:「わかりました。では,目を閉じて,心を開いて……」
遙:……それで使うのが《極大消滅波》ってあたり,どうだろう。
一同:(大爆笑)

 ま,まぁお約束ってヤツだから?(笑)

GM:い,いや,《極大消滅波》じゃないんだけど……こんなの(と,遙に紙を渡す)。
遙:ほえ? せいえんのけっかい?
晟:何だって? リプレイ書く時困るからはっきり言ってくれ。
遙:《聖炎の結界》とゆーらしいですよ。
尚也:名前からすると,以前(第2話)に使ったアレか?
GM:そんな感じ。遙の身体が光を放つと,全てのエフェクトが効果を失うのだった。
晟:さぷれす・えれめんたる……。
悠貴:(首をかしげて)でも,効果を失うって言われても……。
ユウキ:俺の《完全獣化》と《一角鬼》が解けるだけじゃないかよっ!?
一同:(爆笑)
GM:い,いやっ,モドキもなんだけどね? 遙とユウキと晟には見えるけど,彼はふっと満足げな笑みを浮かべ,前のめりにばったりと倒れる。んで,後は炎がごうごうと燃え盛っているだけだ。
悠貴:それって遙ちゃんが消せないの?
晟:それができないのがお約束というもので。
GM:そういうことだね。というわけで時間がないので,さっさと行動を決めてくれ。
遙:お祖母ちゃんのもとに駆け寄る! こんなところに置いていけないよー!
GM:駆け寄って,抱き起こすの? すると,「すー,すー,すー……」
一同:おい。
遙:え,えーと……。
悠貴:眠ってるだけだったり?
GM:てゆーか,気絶してるだけ。誰も確かめなかったから言わなかったけど,どこも出血してないし(笑)。
尚也:おや。
遙:は,はにゃはにゃ? で,でもとにかくよかったのですよー! お祖母ちゃんの胸に顔をうずめて泣き出します。
GM:残念だが……。
遙:はにゃ?
GM:お祖母ちゃんはナイ胸だ。
一同:関係ねーよ,それ。
GM:……何も,そんないっせいにつっこまなくても……。
尚也:とにかく,よくわからんが助かったのなら幸いだ。急いで脱出するぞ,遙。
晟:モドキちゃんは?
GM:倒れてるさ。どうする?
晟:仕方ないなー。ユウキさーん,これお願いします。
ユウキ:おう,任せとけ。
GM:え? それ,止めは任せろってこと?
一同:(またいっせいに)違います。
晟:別にユウキさんが止めを刺したいなら僕は止めませんが……(笑)。
ユウキ:やんねーよ。こんな状態で止め刺したって,俺が倒したことになんねーじゃねーか。
尚也:じゃあそういうわけで……ではお祖母ちゃんは私に任せてくれ。
遙:わかったです。じゃ,私が道を開くのですよ。
悠貴:念のため確認するけど,他の人は本当に死んでるんですよね?
GM:残念ながらね。
尚也:遺憾ではあるが,あきらめろ。まず,生存者が無事に脱出するのが先だ。
GM:では,君たち+お祖母ちゃん+モドキが脱出した瞬間,遙にまた声が聞こえる。「ちょっと惜しいですが,このまま山に火が燃え移ったら大変ですからね……」
遙:ほえ?
GM:そうすると,君の身体が勝手に動いて,燃え盛る屋敷に向けて手をかざす。そこから強烈な冷気が迸ったかと思うと,屋敷が全て凍りついている。
一同:あーあ……。
GM/炎華姫:「勝手にごめんなさいね。でも,私にとってこの屋敷は……」
遙:いいのですよ。ありがとなのです。
GM/炎華姫:「……ありがとう」
遙:お礼を言うのはこっちなのですよ。今のだけじゃなくて,色々助けてもらったのです。
GM/炎華姫:「いいえ,あれはあなたの力ですよ」
遙:ほえ?
GM/炎華姫:「いずれわかります。……遙,これからもよろしくね」……えー,というわけでここでシーンを変えさせていただきます。

 

SCENE 17


GM:では次のシーンは……とりあえずお祖母ちゃんとかモドキをどうするかってことなんだけど。
ユウキ:モドキは連れてくでしょう。UGNに。
尚也:紫音さんに連絡すればよかろう。ひとまずは,どこかに避難して……。
GM:一応,離れは燃えても凍ってもいないよ。
尚也:では2人ともそこに寝かせておこう。
遙:私はお祖母ちゃんを必死に看病してます。
GM:うん,実は意外とあっさり気がついたりする。1時間くらいで。
遙:ほえ?
GM:んで周りを見まわして,「あらあら,ずいぶん派手に壊れたこと……しばらくは不便だけど,仕方ないでしょうね」とか言っている。
晟:そういう問題ですかねえ……。
GM/祖母:「ところで,あの黒服の人はどうしました?」
晟:隣室に連れていって寝かせてありますが。見張りは尚也さんとユウキさんがやってるはずです。
GM/祖母:「そうですか。あまり手荒な真似はしないようにね」
晟:……と言われましても……何故そんなことを改めて?
GM/祖母:「私はこの通り無事ですし,今回命を落とした者たちに関しては,彼は一切手を出していませんから。あれは全て同行していた男たちの仕業です」
晟:だからって,彼が無関係だったとも思えませんけど? だいたい,あの時何で黙って殺されようとしたんですか。
GM/祖母:「彼に殺気がなかったからです」
晟:そういうものですか。
GM/祖母:「ええ。とても澄んだ目をしていました」
晟:…………。

 晟プレイヤー,座布団を重ねて枕にし,横になる。

GM:…………。おい。
一同:(笑)
晟:(寝転がったまま)けっ! 今さらなーにが「澄んだ目をしていました」だ! 笑わせんじゃねーや!
GM:そこまで言う。
晟:(とりあえず起き上がる)いや,何かものすごーく納得いかなかったりしますけど。いいですけど。とりあえず続けてください。
GM/祖母:「私には,あの人が悪い人だとは思わないのですよ」
真&綾&キルスティン:(いっせいに)えーっ?(笑)
GM/祖母:(頑なに無視)「何故って,私が男たちに囲まれた瞬間,彼は結局私をかばってくれたわけですからね」
一同:(心底疑わしそうに)えー?
GM:……おまえらなぁ。
ユウキ:いや,だってなぁ。
悠貴:モドキちゃん,澄んだ目なんだってさ。
晟:目が澄んでるからって,一概にいい人とも言いきれませんよ。それを言うならうちのとーさんだって目は澄んでますよ。
真:ああ,確かに澄んでいそうだな。澄んでいればいいというものではないと思うが。
キルスティン:あれは単にモノ考えてないだけじゃん。
綾:(ぼそっと)あなたがそれを言うのもどうかと思うが……。
GM:おまえら……てゆーか外野帰れ。
真二:多分俺だって目は澄んでるぞ。しかも輝いてるぞ。

 確かに一番澄んでいそうなのは彼である。

GM:(咳払い)とにかくそういうわけで! お祖母ちゃんは「だから,あんまり彼のことを責めないであげてくださいね」
遙:わかったのです。
晟:……素直ね,遙ちゃんは。
尚也:そう素直に頷かれてもな。だいたい,最後の暴走,あれはなんだ? ヤツも改造を受けていたりする口か。
GM:それはわからない。本人に訊いてみたらどうでしょうか。ちなみにモドキは6時間もすれば目を覚ますな。見張ってるのはユウキと尚也だね。彼は特に何も言わない。言い訳もしないみたいだ。
尚也:立場が逆になったな。
GM/楓?:「確かにな。だが,俺の目的はほぼ達成された」
尚也:多くは訊かん。ただひとつだけ訊いておこう。誰の差し金だ?
GM/楓?:「誰の差し金でもない。これは俺の意思だ」
尚也:よくわからんな。では,おまえと千葉とは,どういう繋がりがある?
GM/楓?:「端的に言えば,お互い利用し,利用される間柄だな。あいつの目的は知らん。ただ,俺の目的と多少重なる部分はあったんだろう。行動をともにすることもあった。ただそれだけだ」
尚也:そうか。ならばそれ以上は訊かん。
GM/楓?:「で,どうする。俺を殺すか?」
尚也:さて……(と周囲を見る)。
悠貴:別に殺すとか,そういうことは考えてなかったけど?
遙:そうなのです。お祖母ちゃんも生きてたし。
GM/楓?:「それでいいのか?」
遙:いいのですよ。お祖母ちゃんを殺さないでくれて,ありがとうなのです。
GM/楓?:「…………」
遙:で,その胸元には例のペンダントが光っていたりして(笑)。
GM:ではモドキちゃんはそれを見て,一瞬年相応の顔で微笑みます。
晟:ああなんかすっげームカツクっ!?
一同:(爆笑)
綾:遙とモドキの間に恋が生まれ,そしてひとつの恋が破れたと?
遙:え? そうなの?(笑)
晟:僕には今そう見えたよ,遙ちゃん!?(泣)
遙:いやー,そんなつもりはないですけどー(注:プレイヤーがわかっててやってるのは確実である)。
尚也:すっかり立場ないですな。
ユウキ:どうもこいつの方が,晟よりは性格よさげな感じだしな。
晟:僕と比べれば大抵の人間は性格いいですよ。てゆーか,この顔でこの性格ってのもそれはそれで気持ち悪いと思うんだけど,どうだろう。
悠貴:性格のいい楓?
キルスティン:怖っ。てゆーか,気色悪っ。
真:泪さん,これがあなたのやったことの結果ですよ。感想は?
晟:こんなの2人も産む気はなかった。
一同:(大爆笑)

 泪が楓を騙し討ちにしてクローンを産んだ,という設定を作ったのは確かに私だが,それが双子だという設定を作ったのはGMである(体細胞クローンのさらに受精卵クローン……。←ウソっぽい)。
 そういうことで。
 てゆーか,こんな双子はイヤだ。マジでイヤだ。
 イヤでないという人はいるのだろうか。いや,おるまい。

尚也:(←相変わらず一人淡々)とにかく,別におまえを殺す気はない。ただし,当分自由も与えられないと思うが。
GM/楓?:「それは了解している。俺も,もうこれ以上暴れるのは無理だろうな」
晟:無理って?
GM/楓?:「身体にガタがきてるってことさ。色々無理をさせすぎた。もう時間がないと思っていたからな。多少焦りもでたんだろう」
晟:時間って,そう言えばあなたの目的とか訊いてないんですけど。まさか,単純に遙ちゃんを覚醒させるためとか?
GM:無言なんだが,多分そういうことなんだろう。
晟:え。それだけ?
GM/楓?:「どうせこのままでは千葉に殺されるだけだからな。抵抗する力ぐらい与えてやりたかったのさ。そこの2人もな」
ユウキ:……ああ?
GM/楓?:「だから,俺は目的を果たした。そういうことだ」
晟:えーと……。
キルスティン:じゃああのグーニーズ(注:第3話洞窟探検のこと)とかも,そのために?
晟:だから何で? 動機がわかりません。
GM:いや,何でと言われても。アンタらがみすみす千葉に殺されるのはかわいそうだからではないでしょうか。
一同:…………。
悠貴:……あのー。ひょっとして,実はいい人?
GM:うん。
晟:そんなアナタ,急にいい人になられたって。
キルスティン:何かサギっぽいよなー。
GM:さ,サギって……一応最初からいい人なんだが……。
尚也:いい人かもしれないが,思いこみが激しくて迷惑だな。
一同:(笑)
真:それ,そこのDNAに刷り込まれてるんだから仕方ないな(笑)。
尚也:まぁいい。とにかく,おまえはUGNで確保する。ついでに療養でも何でもするといい。色々診てもらえるだろうしな。
GM/楓?:「寛大な話だな。だが,おまえたちがそれでいいのならそうさせてもらおう」
遙:でもよかったのですよ。この人はいい人なのです! 私は嬉しいのです!
晟:むー?(怒)
遙:(にこおっ)あきちゃんのお兄ちゃんがいい人なのは嬉しいのです。ね?
晟:……ぐはあっ!
一同:(爆笑)
晟:(しくしく)い,イタイ……その清らかな微笑みが僕にはとってもイタいよ遙ちゃん……。
遙:(聞いてない)というわけでこれからもよろしくなのです,あきちゃんのお兄さん!
GM/楓?:「ああ,まぁ,よろしくな」
晟:待ったらんかい。勝手によろしくすな。
遙:ほえ?
晟:ええと,僕は間違ってもあなたを兄さんとは呼びたくなかったりするわけなんですが。だとしたら,いったい何とお呼びすればいいんでしょうね?
GM/楓?:「別に。好きに呼んでくれてかまわない」
綾:じゃあモドキって呼んでいいの?(笑)
真:てゆーか,本当に名前ないんですか,この人。
GM/楓?:「それが本当に俺の名かは知らんが……一応,「あおい」と呼ばれていた」
ユウキ&晟:(即座に)却下!
GM:何いぃ!?
ユウキ:何で今度はサイ○ーフォー○ュラなんだよ!?
悠貴:えーと,どゆこと?
ユウキ:新条直○が所属してたレーシングチームがアオイだろ。
キルスティン:え? 葵の御紋じゃないの?
晟:え? 私は王子だと思ったぞ?
GM:え? あ,いや,別に今回こそはネタじゃないんだけどね? 単にイメージカラーが青だから……。
悠貴:ちなみに字はどう書くの?
GM:蒼白の「蒼」に威力の「威」で……。
晟:却下だそんなの。
GM:何ぃ!?(笑)

 ……王子じゃねーか。
(王子=藤○蒼威を知っている人は何人いるかなー?)

 閑話休題,モドキちゃんの名前をめぐって,一同しばし喧喧諤諤。
 結局,「あおい」という読みはそのままで,彼の名前は「新条蒼」くんに決定したとさ。

GM:じゃ,じゃあそれで決定ということで……。
遙:じゃああおちゃんなのですね!
一同:うわぁ(笑)。
遙:(にこにこ)あおちゃん,これからよろしくなのです! はい,握手!
GM/モドキ改め蒼:「……ああ。よろしくな」と触れるか触れないか程度の握手をする。
晟:……とりあえず,心の中ではいつまでも「モドキ」と呼び続けてやる(怒)。
真:おまえ,どーしてそう根が暗いんだ(笑)。
キルスティン:アンタ本当に泪ちゃんに似てきたわね。
晟:どうも兄が父親に似て,弟が母親に似たらしいよここの兄弟。
キルスティン:じゃ,そこ同士でくっつけば?
一同:…………。

 何でやねん。

晟:(←机につっぷしている)……さすがだキルスよ。
キルスティン:何が?
晟:そんなこと思いつくのはアンタだけだ。いやマジで。
キルスティン:え,そう? どうせ父親も真とできてたんだから,バランスとれて(←!?)いいじゃん。
真:できてねーっ!?
GM:……今のネタはさすがに暗闇の彼方に葬ろう。葬ってしまおう。それはともかく,では蒼も連れて,UGNに戻るということでよろしいでしょうか?
一同:はーい。
GM:では,そろそろ時間もヤバいことですし,ここでエンディングに移りたいと思います。

 

SCENE 18


GM:ではエンディング。一応確認しておくけど,蒼はUGNで保護,ということでいいだろう。
尚也:少なくとも事態が収拾するまでは,そうするしかなかろう。その後のことまでは知らんが……。
綾:うちに来る〜? いっちょもんであげるよ〜?(笑)
GM:やめてくれ,そういうのは。もうほとんど力が残ってないんだから。
綾:いや〜? そんなひどいことは,しないよ〜?(←どうも綾さんはマジで戦ったことがないあたりが欲求不満らしいです)
GM:ダメだっちゅーに。だいたい,アンタんちには子供がおるやろ。
遙:じゃあうちに来るですか?
晟:それもダメです。
遙:ほえ?
晟:ダメったらダメです。まぁね……一応,うちで引き取るのが筋なんですけどね……。
真:まぁ待て晟。ここでいいことを教えてやろう。
晟:何です?
真:何にせよ,蒼には療養が必要だろう。UGNにも色々人材はいるが,医者といえばやはりソラリスだ。だから,やはり泪さんに蒼を診てもらって……。
綾:そうして泪さんに彼をあてがってさえおけば!
晟:すばらしい!
一同:(爆笑)
綾:(拍手)おめでとう!
キルスティン:(拍手)おめでとう!
悠貴:(拍手)おめでとう!
晟:ありがとう! みんなありがとう!
ユウキ:ただれてやがる……。
晟:(にこやかに)そういうわけなんで,是非一緒に暮らしましょうお兄さん!
GM:いや,まあ,そっちがいいなら蒼は別に構わないんだけどね。
キルスティン:でもさー。これでコイツが泪ちゃんの種馬になっちゃったら困るじゃん。
一同:…………。

 返す返すも何でやねん。

真:(遠い目)蒼を「とーさん」と呼ばなければならない日が来るかもな,晟。
晟:(←机につっぷしている)……アホか……これ以上設定をヤバくしてどーするっちゅーねん……。
GM:やめような。それは。マジでやめような。
晟:つーかいくらなんでも,泪はそこまで悪趣味じゃねーよ!(笑)
GM:(咳払い)さて,君たちに対しては紫音が訊いてくる。「それでおまえら,これからどうする?」
ユウキ:俺は天空闘技場の洗礼を受ける。
GM:ねーよ。
一同:(笑)
GM:ま・じ・め・な・は・な・し! どうするんだ?
ユウキ:決まってる。モドキ……じゃねーな,蒼か? そいつと決着をつけさせろ。
悠貴:でも,蒼くんは実はいい人で……。
ユウキ:いい奴とか悪い奴とか関係ねえ。受けた借りは返す。それだけだ。
GM:ま,それは次回だな。
ユウキ:おう。あ,それと例の「簡単な方」もな。
GM:あ,チャレンジするんだな?
ユウキ:今回「継承」したのかどうかよくわかんねえしな。やるっきゃないだろ。
晟:ここが噂のアル○ーの森。
ユウキ:おまえもやるんだよ。わかってんのか?
GM:じゃあ2人で「簡単な方」受けるってことでOK?
晟:いや,僕の場合一応別イベントが入るはずなんですが……。
GM:別イベント?
晟:今回ロールプレイするのを忘れてたんだけどさ。侵蝕されてるはずなんだよね。意識が。
GM:ああ。それがあったな。
晟:ちょっと迷ってます。多分,僕の場合「継承」というのはそういうことではないかと。
GM:うーん,そうとは限らないけどな。とりあえずそれも次回だ。で,遙は?
遙:とりあえずあおちゃんのお見舞い行って……あとは千葉さんについて調べるですよ。もしかしたら,あおちゃんみたく,殺したり殺されたりとかなしで済ませられるかもしれないです。
GM:うーん,それはどうかなぁ。
遙:やってみなければわからないのですよ。
GM:わかった。それではその方法を模索するということだね。しかし,だんだん遙がまともになっていくなー(笑)。
遙:そうですか?
悠貴:まともというか,大人になったんだよね。
GM:そこは全然大人にならんのにな。
真:どんどんおいていかれてるが。どうする?
晟:いや,今回ちょびっとだけ大人になったということで……って言ってて自分でも嘘くさいが(笑)。
GM:ではそこの2人。まず尚也は?
尚也:弟も帰ってきたことだし,義理も果たした。私はこれでこの件から手を引かせていただこう。
遙:え? なおちゃん行っちゃうですか?
尚也:UGNイリーガルとしては働くぞ? 単に,私がこの件に関わる理由はもうない。だから関わらない。それだけのことだ。
遙:ほえ……。
尚也:それではみんな,元気でな。
悠貴:そんな,これで最後みたいな言い方しなくったって。
晟:そうですよ。
尚也:だから,最後だとは言ってない。仕事を頼んでくれれば引き受ける。
遙:じゃあなおちゃん,またうちに遊びに来てくださいです!
尚也:それはちょっと嫌だな。
一同:(笑)
ユウキ:そういや,お菓子の家は再建されたんだったな……。
尚也:ま,お母さんにケーキに入れる砂糖はもう少し減らすように言ってくれ。そうしたら私はブラックコーヒーを持って遊びに行こう。
GM:じゃあ尚也はそれでいいとして,悠貴はどうする?
悠貴:僕? 僕も尚也さんと基本的には同じだなー。まだ訓練もあるし,UGNの仕事はこれからもしていくつもりだしね。でも……。
晟:藤原さんをこれ以上千葉とかに関わらせるのは心苦しいです。かなり。
遙:そうなのですよね……。
悠貴:うん,でも僕が遙ちゃんや晟の友達なのには変わりはないよ?
晟:藤原さーん。
遙:ゆーきちゃーん。
悠貴:そんな顔しないでよ。ほら,学校でも会えるんだしね。
尚也:あ,そうだな。私も学校にいるぞ。
遙:あ,そう言えばそうなのです! また会えるのですね!
尚也:君らがそれまで生きていればな。
遙:はうううっ!?

 それは神のみぞ知る。

 

「というわけで全国のお嬢さんたちこんばんは。UGN所長代理の紫音だ」
「間違ってます,おにーさま」
「何がだ,妹よ」
「おにーさまの名前は久遠紫音です。久遠紫音。久遠紫音。久遠紫音。久遠紫音。紫音などと中途半端なところで終わらせてはなりません。さあやりなおしてください。及ばずながら私もお手伝いします。さあほら,くーおーんーしーおーんー」
「……えーと次回」
「くーおーんーしーおーんー」
「……妹よ,ボケはそのへんでいいから」
「私は別にボケてませんよ?」
「……えーと次回予告。次回予告ね。しっかし,次回をアップするのと同時に次回予告を入れてどうすんだかねえ」
「管理人さんが更新するのをすっかり忘れていたらしいですよ。おかげで『どうせ1週間ぐらいで闇に葬られるんだし』とか言っていた草薙くんは,何と2ヶ月以上もさらし者になっていたのでした。あーなんてかわいそう」
「……ま,とりあえずだ。次回は俺たちがユウキたちに試練を与える! しかしちょうどその時,ある人物が悪の秘密結社によってさらわれていたのだった! 彼女を探しに市外へと向かった瀞南寺と君嶋だが,そこでロクでもないものを見つけてしまう!」
「本当にロクでもなかったですねー」
「本当になー。……ってか,何がロクでもないんだか,すでに読者の皆様にわかってる時点で言ってもしかたないよーな」
「こんなとこまで律儀に読んでらっしゃる方はそうそういませんから,大丈夫です。それに,次回掲載される後編では,さらにロクでもないものが出てきますから問題ございません」
「…………。マジ? あれ以上にロクでもないの? 何?」
「それは企業秘密です」
「何だよー。おにーちゃんに隠し事はいかんっ,といつも言ってるだろ?」
「私の兄の名は久遠紫音。紫音などという中途半端な名前の兄を持った覚えはありません。さあちゃんと名乗りをあげてください。くーおーんーしーおーんー。くーおーんーしーおーんー。くーおーんーしーおーんー。くーおーんーしーおーんー……」


Next, “Dead Man's Hand,” see you later.

……以下,エンドレス。