SCENE 7


GM:では,次のシーンなんですが……。
悠貴:一度家に帰っていいですか?
遙:私もなのです。
晟:あ,僕も。
遙:あきちゃん,うちに来るですか?
晟:いや……さすがに一度,かーさんに顔見せに行ってこようと。
尚也:私も『北風』に顔を出さねばならん。
GM:じゃあそこの4人は全員家に帰るとして……ユウキは?
悠貴:ユウキもゆかりちゃんに言いに行かないとダメだよ?
ユウキ:言うと色々面倒だからなぁ。とりあえずここに泊まる。
悠貴:ダメだよ,そんなの! かわいそうに!
ユウキ:だってゲートくぐんなきゃなんねえしな。
GM:そうだね,ユウキはここに泊まるなら,場所を用意してくれるよ。
晟:それともユウキさん,うち来ます? 居心地悪いですよ〜?(笑)
ユウキ:それは断る。
遙:じゃあうちに来るですか?
ユウキ:それはもっと断る!
一同:(笑)
GM:ちなみに,UGNが用意してくれる部屋というのが,最近まで松山夫妻が使ってた部屋だったりするわけだけど……(笑)。
尚也:おお,それではお菓子の家の甘い匂いが。
遙:きっと色々そのままになってるですよ? ピンクのカーテンとか,花柄のベッドカバーとか。
晟:そこで一晩過ごすと,翌朝には頭に何本か花が咲きますよ?
悠貴:バニラのあま〜い匂いも染みついちゃうよ?
ユウキ:……最低だ。
一同:(笑)
ユウキ:もっと別な部屋はないのかよ?(怒)
GM:医務室とかでいいならあるけど。じゃあユウキはそれでいいということで,誰から始めるかな。一番近いから晟かな。
晟:近いの?
GM:泪に会いに行くんでしょ? 泪はずっとここの研究室にこもりきり。
晟:あ,そうか……えと,それはいいんだけどGM。
GM:はい?
晟:あの,泪演るの,イヤだよねえ?
GM:(力強く)うん。
晟:そうなんだよな。それで晟と泪のシーンってのはできないんだよなぁ(←念のため,泪プレイヤー)。
ユウキ:一人二役で演れば?
晟:それは無理だ!(笑)
GM:……うーん,まぁ一応やってみるけど,別人になると思うよ?(笑)
晟:それは別に構わない。……じゃあ研究室のドアをノックします。かーさん,いる?
GM:すると無言だね。何か一心不乱にやってるらしい。
晟:かーさん。かーさんってば。
GM:するとひゃあ!とかきゃあ!とかよくわからない悲鳴を上げて振り向く。「あ,あれ? 晟,何でこんなところに?」
晟:いや,何でって……今までのお礼と,一応,お別れを言いに来たというか……。
GM:え? 何で「お別れ」?
晟:いや,別に深い意味はないです。ただ帰って来られない可能性もあるだろうから。
GM:すると急に目をうるうるさせて,「ひょ,ひょっとして家出宣言?」
晟:家出は今だってしてるでしょうが(笑)。
ユウキ:かなり今さらって感じだな。
悠貴:(いきなり横から)そんな,そんな,もう私の元に帰ってこないの?
遙:あなたまで私を捨てるの?
晟:ええ!?(笑)
遙/泪:「わかってるの……あなたはあの人の子供だもんね……」
一同:(爆笑)
晟:ひ,ひでえ! ひどいよかーさん! 言うに事欠いて,僕をとーさんと一緒にするわけ!?
悠貴/泪:「だってそっくりじゃないあなたたち」
晟:違います!
遙/泪:「だって,だったら何でもう帰ってこないなんて言うの?」
晟:え? だからそれは,そういう可能性もあるからってことで……。
GM/泪:「(ため息)だんだん似ていくのね,あなたたち……」
晟:人の話聞けよっ!?
遙/泪:「やっぱりあの人の子なのね……」
晟:だから違います! それにかーさん,とーさんは多分そのうち帰ってくるよ。
遙/泪:「どうして?」
晟:確証があるわけじゃないけどさ。実は,こないだとーさんに会った。
遙/泪:「……そうなの?」
晟:紫音さんの話だと,その,今やってる仕事のカタがそろそろつきそうなんだって。
遙/泪:「(遠い目)そう思って,もう何年待ったかしら……」
一同:(爆笑)
悠貴:13年!(笑)
尚也:13年待ちました(笑)。
GM/泪:「今年こそは,今年こそはと思いながら,毎年誕生日とクリスマスにはケーキを用意して待っていたというのに……」
尚也:そろそろ葬式もと考えていた矢先,戻ってくるなんて言われたって(笑)。
晟:……失踪宣言って,7年でしたっけ。
尚也:生命保険だってもらおうと思えばもらえるのに(笑)。
遙/泪:「いっそ死んだと思えたら,どんなに楽なことでしょう……」
晟:いや全くその通り,つーかさっさと離婚しなよかーさん(笑)。それはそうと,僕は捨てるとかそういうんじゃなくて,帰ってこられたらちゃんと帰ってくるから……。
尚也:あなたにはまだ生命保険をかけていないのに(笑)。
一同:(再度爆笑)
晟:だぁら,そうじゃねえっつってんだろが!
GM:まぁこの会話は以下延々同じことの繰り返しなんで,省略しましょう。とにかく30分くらい説得して,ようやく納得してくれたようです(笑)。
晟:(ため息)……やっぱり,僕がとーさんに似てるってのは納得できない。僕は間違いなくかーさん似だ。
一同:(笑)
晟:ユウキさん,ユウキさん。やっぱり僕,少し男らしくなろうと思います。
ユウキ:は?
晟:でないと,20年後こーなってしまう。
ユウキ:(投げやりに)そうかよ。まぁがんばれや。
GM:……男らしくなったところで,今度は父親に似ていくだけのような気が……。
晟:確定かよ!? 違う道はないのかよ!?
尚也:蛙の子は蛙。
遙:楓の子は楓。
晟:い,いやー!?(泣)
GM:それはともかく,泪は服の下につけていたペンダントを外してあなたに手渡します。
晟:おお。それはちょっと狙っていたかも……。
GM/泪:「(ものすごく怨念のこもった口調で)おとぉ〜さんのよ」
晟:ぐふう!(一同爆笑)
遙/泪:「いいんです,いいんです。全ては私の運命なんです。もう私なんてどうなってもいいんです」
晟:てゆーか,部屋の隅でのの字書くのはやめろ!(笑) わかった,わかりましたよ! ちゃんと帰ってくるから!
GM:というわけで本当にキリがないので,このシーンはこれで終了させていただきます。
晟:しまった,どっと疲れてしまった……。

 

SCENE 8


GM:では次,藤原の悠貴さんのシーン。でも,ここはあっさり終わりそうだなー。
悠貴:あいにく,うちは極めて普通の家庭ですんで(笑)。
GM:とにかく,君が帰るころにはもうとっぷりと日は暮れている。
悠貴:明かりはついてる? 父さんはもう帰ってるのかな?
GM:台所で夕飯のしたくをしているようである。
悠貴:ただいま。遅くなってごめんね。夕飯作ってたの?
GM/父親:「ああ,今日は帰りが早かったんでね。おまえはこんな時間まで何をやってたんだ?」
悠貴:友達んとこにいたんだよ。ごめん,すぐ手伝うから。
GM/父親:「いや,夕飯はすぐにできる。これ食べて,宿題やって,早く寝ろよ」
悠貴:って父さん,俺小学生じゃないんだからさ。……あのさ。明日から,友達と旅行に行ってこようと思うんだけど。
GM/父親:「それはいいが,学校は?」
悠貴:あー,大丈夫。
GM/父親:「大丈夫じゃないだろう。サボるってことか?」
悠貴:昔みたく,グレてサボるわけじゃないから。
GM/父親:「そうか……」
尚也:……おいちょっと待て。何か聞き捨てならんことを聞いたぞ。
晟:あんた,グレてたんか! どこが!
悠貴:んーと,昔アーチェリーで全国一位になった時に,ふー,俺にはもう敵がいないのか……みたいな感じで。
遙:なるほどなるほど?
悠貴:それで,どうも全てが虚しくなっちゃって……。
一同:何じゃあ,そりゃ!?(笑)
GM:反応がまるで楓やなー。
晟:ぐふっ(笑)。
尚也:で,今何で立ち直ったの。
悠貴:あ? 特に立ち直ってないような気がするな?
一同:…………。
GM:それじゃ,お父さんはまだ君がグレてると思ってるんじゃないかい。
悠貴:そうかも。
一同:そうかもって……。
GM/父親:「何だ,やっぱりサボりなんじゃないかっ!」
悠貴:違うって。
GM/父親:「どう違うんだっ!」(笑)
遙:こーゆー時は,友達のためにって言えばいいですよ。
GM:そうそう。友情のためだ!と言えば男親は大抵納得してくれるもんだ。
晟:……そうか?(笑)
GM:もう面倒だから,そーゆーことにしようぜ。お父さんは「そうか,それじゃ友情のために行ってこい!」って言うですよ。
ユウキ:「友情のために死んでこい!」じゃねえのか?
悠貴:死ぬの!?
GM:(強引に)というわけで君は親御さんの承諾を得たので,明日集合場所に来てください。シーンをきります。

 

SCENE 9


GM:次に尚也。
尚也:私はバイクで自宅に帰ります。
GM:尚也んちってマンション? 一軒家?
尚也:一軒家で,1階がコーヒーショップになっている。
晟:ん? じゃあ『北風』って尚也さんち?
尚也:そうだが。実家がコーヒーショップだと言ってあっただろう。
GM:スナックじゃなかったの?(笑)
尚也:つまりは,軽食屋なのだ。
晟:何でもいいけど……じゃあマスターがお父さんだったんだ?
遙:全然わからなかったのです。
尚也:そうか?
GM:それはともかく(笑),君がもう閉店間近の喫茶店に入っていくと,客は1人いてマスターと談笑している。和也だ。
尚也:……何!?
GM:マスターが君の姿をみとめて「あっなっちゃん,カッちゃんが帰ってきたよ!」と言うと,和也が振り向く。その表情は君を見て一瞬凍りつく。
尚也:…………。和也か?
GM:彼はすぐににこやかな笑みを浮かべて,言います。「ああアニキ,お帰り」
尚也:……お帰り,じゃない。おまえ,どうしてここに……。
GM/和也:「どうしてって,帰ってきたんだよ」
尚也:そういう問題じゃないだろう。1年もどこをほっつき歩いていた。
GM/和也:「市内の全寮制の学校にいたよ。ちゃんと連絡はしたはずなんだけどなぁ。どうも行方不明扱いになってたみたいで,びっくりしたよ」
尚也:そりゃなるだろう。それに,俺は市内中くまなく探したんだぞ。
GM/和也:「それはおかしいな。俺はずっと市内にいたよ」
尚也:そんなはずはない。
GM/和也:「やだなぁ。アニキこそ,何か勘違いしてるんじゃない?」
尚也:マスター。私は確かに市外で和也と戦ったんだよな?
GM:そうですね。それは確かですね。
尚也:まさか,記憶障害か? あるいは,洗脳されていたとか……。
GM:さぁ,どうでしょうね。これまでのことを訊くと,まず,事故にあったあと半年くらい他の病院にいたらしいんだが,その間は記憶喪失だったそうだ。
尚也:何? では思い出せないから戻ってこなかったのか。
GM/和也:「うーん,退院後した後,俺を診てくれたお医者さんのとこに世話になっててね。じきに記憶も戻ったんだけど,その人に不義理もできなかったんだ。そんなに心配かけたんなら,悪かったよ」
尚也:いや……それでおまえ,これからはちゃんと家で暮らすんだろうな?
GM/和也:「うん,先方にちゃんと挨拶して,そしたら戻ってくるよ」
尚也:そうか……。
GM/和也:「北ちゃんにも久しぶりに会いたいしね!」
尚也:(思わず)会いたいんかい。
悠貴:実際,北ちゃんってどんな人なの?(笑)
GM:カワイくはないですよ(きっぱり)。
尚也:まぁそんなことはどうでもいいんだ。その「お世話になった人」というのは?
GM/和也:「え? ああ……うん,遠野さんって人だよ」
尚也:そうか。いずれ私からもご挨拶せねばな。
GM/和也:「そうだね,そのうちにね。……ところでアニキ,ちょっといいかな」
尚也:うん?
GM/和也:「できれば,二人で話をしたいんだけど」
尚也:……ああ,いいぞ。
GM/マスター:「なんだ,お父さんには聞かせられない話か?」
尚也:子供には子供どうしの話があるんだ。なぁ,和也?
GM/和也:「(にこにこ)そう。悪いけど,兄弟水いらずでね」と言って,場面は近くの公園に移るんだけど,いいかな?
尚也:問題はない。広さは?
GM:それなりに。人気は何故かまったくないけどね。
尚也:ワーディングは?
GM:かけられているようだ。「実は,アニキにお願いがあるんだ」
尚也:なんだ?」
GM/和也:「俺,その遠野さんって人に助けられて,命は助かったんだけどさ。そのかわり改造されちゃったんだ」
尚也:……そうか。
GM/和也:「アニキ,ファルスハーツって知ってる?」
尚也:名前だけはな。
GM/和也:「実は俺,そこの一員なんだ」
尚也:そうか。
GM/和也:「それで,俺に下った指令っていうのが,アニキを消せ,ってことだったんだ」
尚也:そうか。まあそんなことだろうと思っていた。
GM/和也:「……アニキは変わんないね。もうちょっと驚いてほしかったよ。俺,この間だって本気でアニキを殺す気なんかなかったんだぜ」
尚也:そうか? それは俺も同じだ。
GM/和也:「でも,そうも言ってらんなくなっちゃった。だから,ここで死んでくれよ,アニキ」
尚也:仕方ないな。
GM/和也:「そうそう,1対1とは言わないよ? まずはアニキの力をためさせてもらわないとね」と,指を鳴らすと,黒服黒眼鏡の超怪しい連中が出てきます。全部で8人。
晟:(横から)トループだよね? トループじゃないとか言ったら今度こそ怒るよ?
GM:いえ,トループです。といっても俺,実はトループのルール曖昧だったりするんだけどさ(笑)。
尚也:つまり,範囲攻撃は使わなくてもいいということだな。ではイニシアティブ23で動いて,《電光石火》のみで殴りつける。(ころころ)……36。
GM:(ころころ)うわー,一掃されたよ。
尚也:下らん。話にならんな。
GM/和也:「さすがに人形じゃ相手にならないか。じゃ,そろそろ本気で殺し合おうか」と言って構えます。ちなみに素手。
尚也:素手か……申し訳ないが,私はこれを使わせてもらうぞ。
GM/和也:「アニキの武器は昔からそれだったからね。構わないよ」
尚也:ふむ,余裕だな。
晟:(横から)……ちょっと待て。今さらっと流されたんだが。
尚也:はい?
晟:あなたの武器って,金属バットですよね?
尚也:何か問題が?
悠貴:ずっと昔から金属バットで戦ってきたんです(笑)。
尚也:それに何か問題が?
晟:少しは問題に思ってください。てゆーか今までさんざんクールにやってきて,いきなり金属バットを構えるというのは,どーかと……。
尚也:そんなことはない。私の戦闘法はずっと野球だったんだ。
一同:それは野球じゃねえ!(笑)
GM:あー,各自言いたいことはあろうが,戦闘続けるぞー。
遙:はいはーい。ちなみにこのシーンは登場可能ですか?
GM:別に構わないですよ。
ユウキ:せっかく兄弟水入らずで戦ってるのに,邪魔するのもどーかと思うが?
遙:でも,ここでなおちゃんが死んじゃったら困るです。
晟:では,危なくなってから出るということで(笑)。ちなみに僕とゆーか,たまちゃんが遙ちゃんの肩です。
尚也:では,まずは私の攻撃だな。(ころころ)む,低いな。20だ。
GM:《炎神の怒り》《陽炎》で……うわい。当たっちゃった。
遙:《ブレインコントロール》使わなきゃ無理ですよ?
GM:うん,そうだったねえ(笑)。
尚也:ちなみにダメージも低かった。14点装甲値無視だ。
GM:うわ,な,何とか生きてる。ここでいきなり殺されたら情けなかったよなぁ。
GM:「さすがアニキ,俺に対しても容赦ないね。じゃ,こっちも本気でいかせてもらうよ」ということで,《氷の加護》で《炎神の怒り》《炎の剣》《ブレインコントロール》で……うーん,27。
尚也:ふ,話にならん。(ころころ)避けたよ。
GM:ちなみに観てる人,どうする? 明らかに尚也が優勢なんだけど(笑)。
遙:は! なおちゃんが倒れてなおちゃんが戦って,なおちゃんが怪我して大変なのですよ!
晟:はいはい,それはともかく,介入したら怒られそうですかねえ。
尚也:やめてくれ。君ら,どっちがどっちだかわからんだろうが。
晟:スカーフしてる方が本物でしょ?(笑)
遙:あきちゃん,どうするのです? なおちゃん助けないですか?
晟:うーん,まぁ直接手を出さねばよいのではないかと……ということで一応,《戦乙女の導き》《リプレイコマンド》で。セカンドアクションで,次の判定にダイス+2個です。
尚也:了解した。では……。
GM:あ,ちょっと待った。そうすると,和也は口の端を吊り上げて「このまま止めを刺す気なら,やめた方がいいよ」
尚也:どういう意味だ?
GM/和也:「俺を殺すと,どこかがふっとぶよ。例えば,アニキが最も無くしたくない場所とか……」
尚也:……貴様,家に爆弾でもしかけたのか?
GM/和也:「しかけたのは俺じゃないよ。ただ,任務を受ける時に言われたのさ。『おまえが死ねば,おまえの家がふっとぶぞ』ってね」
尚也:…………。
GM/和也:「さあ,どうする? それでも俺を殺すかい?」
尚也:どうもこうもない。なら殺さない程度に無力化するさ。
一同:ええ?(笑)
GM:あのー,どうやってですか?(笑)
尚也:HPが0になったからって,いきなり爆発するわけではあるまい。
GM:ええ? するかもよ?
尚也:そんなのはやってみなければわからん。
晟:……これだよ,この人わ。
悠貴:あのー,本当にそれでいいんですか?(笑)
尚也:やらなければやられるだけだ。みすみす敵の思うようにはさせられん。大丈夫,[昏倒]した後止めを刺さねば死ぬことはない。
遙:そういう問題かなぁ?(笑)
ユウキ:いや,改造人間との戦いはこうなんですよ。これこそ男のロマン!
晟:それ男のロマンであって私ら女には関係ないもんね。
遙&悠貴:うん(笑)。
尚也:まぁロマンでやってるわけでもないのだが……というわけで48。
GM:無理にゃー。避けられん!
尚也:というわけでもうこれで死んだだろう。
GM:死んだー。だって残りHP2しかなかったんだもん。
尚也:おや,リザレクトはせんのか?
GM:しない。ただし即座に爆発音が鳴り響いた……というわけでもないけどね。
晟:ではそのへんでぱたぱたと飛んで行きます。
尚也:お,いいところに来たな。
晟:はい? 何がですか?
尚也:弟をUGNに連れて行きたい。手を貸してくれないか。
晟:(自分の両手を見つめて)……手?
一同:(笑)
尚也:……すまん,間違った。遙,手を貸してくれないか。
遙:はーい,わかったのですよ。
GM:すまん,そこで〈知覚〉を振ってくれ。
晟:私に〈知覚〉を振らせても無駄だもーん。(ころころ)9です。
遙:13ですー。
尚也:では《電光石火》を使って……24だ。
GM:ではどこかからちっ,ちっ,ちっ……とタイマーらしき作動音が聞こえてくる。
尚也:和也の体を調べる。
GM:和也は何も持っていない。ただ,その音は心臓の横あたりから響いてくるようだ……。
尚也:《吼え猛る爪》使ってえぐり取る。
GM:即答っ!?(笑)
尚也:他に方法はないだろう。それに心臓をえぐろうが何しようが,リザレクトは可能なはずだ。
GM:だからさっき言ったでしょ。和也はリザレクトしてないよ。
尚也:何……?
GM:正確には心臓じゃなくて心臓のすぐ近く,だけど,どっちにしろ和也は死ぬかもね。
晟:あのー,尚也さん。ちょっといいですか?
尚也:なんだ?
晟:確証はありませんが,爆弾をえぐり出したら即座に《ヨモツヘグリ》をかけてはいかがでしょう。[昏倒]状態なら復活は可能です。
GM:ああ? ちょっと待て,オウムにエフェクト使えたっけ?
晟:使えるよ。手は貸せないけど(笑)。
尚也:では決まりだ。えぐり取るのに判定は必要か?
GM:いや,特にはないことにしよう。
尚也:ではぐさっといって,ぐりっとえぐり出して。
GM:ちっちっちっ……。
晟:うわぁ!? 投げて投げて!
遙:なおちゃん,パスなのです! 私が凍らせるですよ!
尚也:なるほど。では,ほい(投げる)。
遙:はいなのです!
GM:とかのん気に言ってるけど,血まみれだぞー?(笑)
遙:別に気にしないですよ?
晟:いや,気にしようよ(笑)。
遙:空中で凍らせてから受け取るですよ。かきーん。
GM:で,それを地面に叩きつけて粉々にするんだな。
晟:昔CMでやってた絶対零度の実験みたいな……。
GM:バナナで釘がうてます。
晟:違うだろそれは。
尚也:晟,晟。それはいいが,早く和也を復活させてくれ。
晟:あ,はいはい(←こいつものんきだな)。では《アニマルテイマー》《ヨモツヘグリ》に……失敗すると怖いんで《絶対の空間》加えます。HPを回復する必要はないから《癒しの水》はなしと。これで失敗したらごめんなさいね。(ころころ)……うわぉ,あぶねえ!
GM:1個しか回ってないのかよっ!?(笑)
晟:(ころころ)いや,1個でも回れば大丈夫です(笑)。
GM:では,心臓に空いた穴がふさがり,和也の頬に血の気がさしてゆく。
尚也:おお,助かった。ありがとう。えーと……。
遙:たまちゃんなのです。すごいのですえらいのです!
晟:おい。
尚也:そうか,ありがとうオウム。
晟:……尚也さん,本気で言ってらっしゃるんで?(怒)

 

SCENE 10


GM:では次,ユウキのシーン。君は医務室に泊まってるんだけど,部屋の外でがたがた物音がして,いきなりドアがノックされる。
ユウキ:ああ?
GM:「すまん,急患だ!」という声とともに,血まみれになった尚也さんが運び込まれてくる。
ユウキ:ああ? 何やってんだ,上杉?
遙:あ,ゆーちゃん。これはなおちゃんじゃなくてなおちゃんの弟さんなのですよ。
ユウキ:弟っつーと,例のアレか? それが何で血まみれなんだ?
遙:公園でなおちゃんと戦って,そしたら体に爆弾がはいってて,それをなおちゃんが取り出して,たまちゃんがそれを治して,私は爆弾凍らせたです! ほら!
ユウキ:ほら,と言われてもな。つーか捨てろそんなもん。
尚也:ああ,紫音さん。すまないが弟を診てくれないだろうか。
GM/紫音:じゃあ医療スタッフが和也のことを診てくれたということで…「命に別状はない。2週間もすれば起きられるようになるだろうよ」
尚也:そうか。よかった。
GM/紫音:「感謝するんだな。そこのオウムに」
一同:(笑)
晟:むっかー。
尚也:いや,本当に助かった。君のおかげだ。これはほんの気持ちだ。
晟:……何です。これは。
尚也:ちょうどクラッカーの持ち合わせがあるのだ。好きだろ,オウム。
晟:…………。
ユウキ:で,結局何があったんだよ。
尚也:そうだ,紫音さんにも事情を説明せねばならんな。弟が1年ぶりに戻ってきたはいいが,やはりファルスハーツの一員になっていたのだ。
GM/紫音:「ほお?」
尚也:何でも遠野とかいう人物に脅され,俺を殺そうとしたらしい。いや,それ以前に,何らかの人体実験の犠牲になった可能性もあるな。
ユウキ:改造だろ,改造(←やはりそこはかとなく嬉しそう)。
GM/紫音:「わかった,こちらでも少し調べておこう。しかしおまえさん,冷静っちゅーか,冷徹だな」
尚也:そうだろうか。私は考え得る最善の手段をとっただけだが。
GM/紫音:「いや,誉めてるんだよ。……そんなことより,おまえら明日から出かけるんだろ。弟さんのことはこっちにまかせて,もう帰ったらどうだ」
尚也:感謝する。和也が世話になっている以上,私も全力をもって協力させていただこう。
GM/紫音:「ああ,助かるよ。特にコレとかなぁ。心配だからなぁ」(笑)
遙:(←コレ)きゅっ?
尚也:わかった。私に任せておいてくれ。
GM/紫音:「遙,おまえもとっとと家に帰れよ」
遙:はーい,帰りますです。たまちゃん,一緒に帰ろう?
晟:(←実はまだたまちゃんのまま)……あー,いや。すまんがたまちゃんにはちょっと行くとこがあるのです。
遙:そうなのですか。では一人で帰るですか。
尚也:私がバイクで送っていってやろう。もう夜も遅いからな。
遙:わーい,ありがとなのです! なおちゃん優しいのです!
悠貴:(晟に)……だ,そうだけど。いいの?
晟:あー。尚也さんならいい。
悠貴:そうなの?
晟:だって少なくとも間違いはないだろうし。
GM:そらないわ(笑)。
尚也:……その間違いとはどういう意味だ。
悠貴:(無視)じゃあこれがユウキだと?
晟:ユウキさん? ユウキさんでも間違いはないでしょう。そんな神経があるとは思えませんし。
GM:そもそも送ってくれないだろ?
ユウキ:てめーで帰れ。
一同:(笑)
GM:そう言えばこれはユウキのシーンだったな。では遙と尚也は家に帰ったということで,晟は?
晟:かーさんがここに泊まりこんでるなら帰るも何もないでしょ。
GM:じゃあ晟はそのまま? そんなところでユウキの……というかユウキがUGNに持たされた端末が鳴ります。
ユウキ:ああ? 誰だよ?
GM/イサム:「やっほーユウキくん! 俺だよ俺!」
ユウキ:ぴっ(←切った)。
一同:(笑)
ユウキ:さて,寝直すか……。
GM/イサム:(←かけ直した)「……ちょっとちょっとユウキ! 何でいきなり切るんだよ!」
ユウキ:うるせえな。疲れてんだよ。寝かせろよ。
GM/イサム:「寝かせろ,じゃねーだろ! おまえ,ずっと帰ってこねーで,今どこで何してんだよ!?」
ユウキ:こないだの仕事の続きだよ。UGNで。
GM/イサム:「だったら連絡いれてくれればいいだろ! ゆかりちゃん心配してんだぞー!」
ユウキ:ああ? 連絡したらしたで心配かけるだけだからな。終わったらすぐ帰るから,てめーが気にするこたねーんだよ。
GM/イサム:「……ったく,どーしてこう冷たいかね,おまえってヤツは」
ユウキ:何でだよ。別に冷たかねえだろ。
晟:(←横に本体がいた)いや,冷たいですよ。
ユウキ:うるせえなおまえは。(イサムに)で? おまえの用はそれだけかよ?
GM/イサム:「ああ,そうそう。実はこっちにも仕事がはいったんだけど,どうする?」
ユウキ:あー,無理だな。今別の仕事で,また遠出するからな。
GM/イサム:「わかったよ。……うーん,いい仕事なのにな,もったいないな」
ユウキ:しょうがねえだろ。
GM/イサム:「うーん,まあな。じゃあこっちは何とかやっとくよ。ゆかりちゃんのことは俺に任せとけ」
ユウキ:(←すでに眠そう)あー……。
GM/イサム:「ついでに残りの食料もしっかり食べといてやるからな! じゃっ!」
ユウキ:…………。
晟:……で,いったい何の仕事だったんだろうね。
悠貴:きっと本体千葉さんの方からだよ。受けなくてよかったね(笑)。
GM:…………。では,シーンを変えさせていただきます。

 

SCENE 11


GM:では次の日の朝ですが,出発前に何かしたい人は?
晟:えーと,何かするってわけじゃないですが,たまちゃんをUGNに残しておきます。
GM:え? それで本体が東北に行くってこと?
晟:逆だったら困るでしょうが。
GM:別に困らないんじゃないの?(笑)
悠貴:そっかー。たまちゃん残るんだー。
尚也:有能なオウムなのに,もったいない。
晟:あんたら……いや,マジな話,ちょっと泪が心配になってきたんで残しておこうかと。
GM:すると何? もしUGNで事件が起きたら,俺がひたすら実況中継しろと?
晟:あなたがそんなシーンを作らなければいいことです。
GM:んで,そういうシーンが入るたびに君の侵蝕値はダブルアップ。
晟:うお!?(笑)
尚也:まぁそれはそうと,続けてくれないか,マスター。
GM:だね。では,他に何かする人は?
遙:あ,お母さんにおばあちゃんの写真をもらっておきますですよ。
GM:うい。ついでに東京土産も色々持たされる。
晟:(いきなり明日香)ほら遙,これもおいしいのよ? 持っていってね?
悠貴:これもこれも,これもこれもこれもね?
遙:はうー?
ユウキ:で,レインボーブリッジサブレとか。
尚也:東京ば○奈とか。
GM:ひよ○とか。浅草海苔とか。
遙:は,はうー!?
悠貴:ほら,これもこれもこれもこれもこれもこれもこれもね?(笑)
GM:ではそんなこんなでUGNに集合だ。
遙:はうー。てゆーか重いのですー。
GM:(無視)では,毎度UGNから秘密のルートを使って東京へ,東京駅から東北新幹線に乗る。
晟:あー,僕新幹線って初めてだー。
悠貴:あ,僕も。
GM:てゆーか,デモンズシティ生まれは全員初めてのはずで……。
遙:(突然)はううっ!?
GM:(びっくり)…………。
晟:(びっくり)……な,何?
遙:これが新幹線です! 新幹線なのです! びっくりです! 大きいのです!
晟:……あー。そうね。大きいね。
遙:ほらほらあきちゃん,速く乗るです乗るのです!
晟:あー,通路を走らないように。転ぶよ。
遙:(聞いてない)広いのですすごいのです速いのです!
ユウキ:(その一方)あー,何だこりゃ。窓が開かねえぞ。
悠貴:ああ,それは最初から開かないんだよ……って開けない! 開けちゃダメだってば!
ユウキ:いや,だから開かねえんだよ,これ(と,握り拳)。
悠貴:叩き割るのもっとダメ!(笑) 新幹線止まっちゃうよ!
ユウキ:ああ? 開かねえ窓なんか作るからじゃねえか。
悠貴:気圧の関係でそうなってんの!
遙:(さらにその一方)あきちゃんあきちゃんすごいのです!
晟:え? 何? 何が?
遙:景色がすっごく速く流れるのですよ! すごい速いのです! 速いです! 偉いです!
晟:……あー,わかった,わかったから,とりあえず座らない? ほら,駅弁買ってきたし。
遙:(絶叫)これが駅弁なのです! すごいのです初めてなのです!
晟:……はい,お茶。
遙:お茶なのです初めてなのです!
悠貴:いや……お茶は,あるでしょ?(笑)
遙:でもこんな形したお茶は初めてなのです!(←昔懐かし水筒型のパックのことらしい。今ほとんど売ってないよな)
悠貴:じゃあはいこれ。冷凍ミカン。
遙:冷凍ミカンです冷凍ミカンなのです!
悠貴:うん,そうそう。おいしいんだよこれが。あ,晟。僕釜飯ね。
遙:釜飯なのです駅弁って釜飯もあるのですすごいのです!
晟:……だるま弁当もあるけど。
遙:だるまですだるまの形してるのですすごいのです!
GM:……あー。あー。ちょっと聞いてくれ。特に遙。
一同:はい?
GM:君たち,はっきり言って他のお客様に大変ご迷惑なんですが。
尚也:平日のこの時間なら他に客も少なかろう。
GM:そういう問題じゃねえ。てゆーか小学校の遠足かよ!?
遙:(無視)あきちゃんあきちゃん,これおいしいのです! だるまもかわいいのです!
晟:(無視)そうね。だるまだね。ちなみに尚也さんとユウキさん,お弁当は?
尚也:うむ,いただこう。
ユウキ:俺はすでに2個目に突入してる。
晟:あっ,いつの間に!? てゆーかそれ僕のぶんなんじゃ!?
ユウキ:うるせえぐちゃぐちゃぬかすな!(殴る)
晟:はううっ!?
GM:…………。とにかく,そんなこんなで仙台駅に着いた。
尚也:ではここからはローカル線だな。
遙:すごいのです仙台なのです涼しいのです!
晟:そうね。伊達正宗のお膝元だね。それはいいから,うろちょろしないようにね?(と,右腕をつかむ)
悠貴:はいはい遙ちゃん,大人しく上杉さんに着いていこうね?(と,左腕をつかむ)。
遙:きゅ? きゅきゅきゅ?(と,連行される)
悠貴:ほらほら,ユウキくんもはぐれないようにね。
ユウキ:俺を小動物と一緒にするんじゃねえ!
GM:だからおまいら,遠足じゃねーつーに!?
尚也:はいそこ,静かにー。切符を配るぞー。
一同:(爆笑)
GM:…………。えー,何かもぉ一事が万事この調子みたいなんで,省かせていただきます。ローカル線を乗り継いでほぼ半日。日はすでにとっぷり暮れて,秋田との県境に近いとある山奥の駅であります。
尚也:(←すっかり引率)お,ここか。着いたぞ,みんな起きろ。
遙:んあー? ここなのですか?
悠貴:UGNに連絡した方がいいのかな?
GM:いや,そんな必要はない。実は改札を出ると,そこに場違いな黒リムジンが停まっているのだった。側の男が一礼して,「お待ちしておりました,お嬢様」
一同:…………。
晟:……遙ちゃんのことじゃないの?
遙:ほえ? でも,「お嬢様」って……。
尚也:多分,実家の方だろう。他に何か考えられるか。
遙:え,で,でも……。
悠貴:てゆーより,この中で女は遙ちゃんだけなんだよ。
一同:(笑)
GM:そうなんだよな。そこの女々しい人がいるからつい忘れそうになるんだが。
晟:やかましい。第一「女々しい」は差別表現ゆえ現在禁止令を出しておるのだ(笑)。
遙:えとえと,それはともかく,お祖母さんのお迎えなのでしょうか……。
GM/運転手さん:「さようでございます。大奥様が屋敷で首を長くして待ってらっしゃいます。さあ,お車の方へ」
一同:大奥様……。
GM:そう,大奥様(笑)。さて,今まで乗ったこともないような超豪華な車に乗って1時間ほど。
悠貴:静かだねえ……外も木しかないねえ。
晟:というか真っ暗でよく見えませんよ。ね,遙ちゃん?
遙:…………。
晟:……遙ちゃん?
遙:…………。私はひたすらぼーっとしています。それに何だか懐かしいのです。初めて来たところなのに……。
GM:そうですね。で,どこからが敷地だったのかわからないまま,巨大な日本家屋の前に車は停まった。とりあえず,表玄関の前らしいぞ?
一同:…………。
尚也:すごいな,これは。
遙:そのまますーっと奥へ入っていきます。
尚也:おい,勝手に進むと迷うぞ? 遙?
遙:…………。
GM:巨大な玄関には揃いの和服を着た女の人たちがずらっと20人ばかし並んでる。
一同:おおっ!?
GM:んで,一番年かさのおばあさんが,「ようこそいらっしゃいました。私は奥向きのこと一切をとりしきっているもので,登美子と申します。お見知りおきくださいませ。まずはお荷物をお預かりいたしますので,どうぞ奥へ」
遙:……ではお土産は持ったまま,すたすたと中に入るです。
尚也:おいおい。場所はどこなんだ。わかってるのか?
遙:…………。
GM:どうもわかってるみたいですね。着いたのは,誰かの私室らしい十畳間です。文机の前に小柄な老婆が座っていて,襖が開く音に顔を上げて微笑みます。「おやおや,よく来ましたね」
遙:えーと,お祖母ちゃんなのですか?
GM/祖母:「そうですよ。こっちにいらっしゃい?」
遙:(←元に戻ったらしい)ほえ……。
GM/祖母:「ほほほ,そんなに畏まることはありませんよ。そちらのみなさんも,中へお入り下さいな」といって,手ずから座布団を出してくれる。
晟:あ,どうもすみません。あの,すでに事情はご存知のことと思いますが,僕たちは……。
GM/祖母:「ええ,伺っておりますとも。いよいよ継承の儀ですか」
晟:(思わず)儀ときたかい。
GM/祖母:「(にっこり)何か?」
晟:あ。あー,いえ。それで,あなたは赤い宝石の在り処をご存知なんでしょうか?
GM/祖母:「はい,わかってますよ。その前に遙ちゃん」
遙:はい?
GM/祖母:「あなたは,本当にアレを継承するつもりがありますか?」
遙:お父さんとお母さんが大変ですし,できることはやるつもりなのですよ。えと,できるかどうかはわかんないのですが……。
ユウキ:大丈夫だろ。
遙:ほえ?
ユウキ:この晟でさえ何とかなったんだ,何とかなる。
晟:……何でいちいち僕を引き合いに出すんですかねぇ,ユウキさんは?
ユウキ:ああ? とりあえずおまえを見てると大抵の人間はマシだろうと思えてくるんだよ。
GM:それ,ボーダーラインってこと?(笑)
晟:うわー,むかつくー。社会不適合者のくせに何を偉そうに。
GM:そんなやり取りをしてると,お祖母ちゃんはコロコロ笑って,「仲がよろしいこと」とか言ってる。
ユウキ:よくねえよ。
晟:(異口同音に)悪いんですよ。
GM:そ,そうですか(笑)。でもお祖母ちゃんはやっぱりころころ笑ってる。
ユウキ&晟:いや,だから……。
遙:え,ええっと,その赤い石はここにあるですか?
GM/祖母:「ここではなく,ここよりもう少し登った祠にあります」
遙:わかりました! ではさっそく行くです!
悠貴:いやちょっと待って(笑)。もう夜だよ? 暗いよ?
尚也:その赤い石を取るのに,時刻は関係あるのか?
GM:ないよ,そんなもん。
尚也:ならば今夜はゆっくり休んで,晩飯も食って,明日の朝から行くのがよかろう。
GM/祖母:「そうですねえ,私もそう思いますよ。お夕飯も用意してありますしねえ」
遙:でも……。
GM/祖母:「遙ちゃん。急ぐ気持ちはわかりますけど,焦ってはダメですよ」
遙:はいなのです……。
GM:では,そういうわけで夕食です。どうする? 部屋で食べる? 皆で食う?
悠貴:せっかくだから皆で食べようよ。ねえ?
尚也:私は別に構わんが……。
晟:そうですね,広間でいただきましょう。ユウキさんはどうだか知りませんけどね。
ユウキ:あ? 別にいいぜ,一緒で。
晟:おや,そうなんですか?
ユウキ:その方が俺の食うぶん増えるしな。
晟:それはどういう意味じゃワレ!?
ユウキ:(無視)おー,美味そうじゃんか。
GM:ちなみに並べられているのは今までユウキが見たことも聞いたこともないような豪華料理だよ。
ユウキ:あん? だって,しょせんは同じ食べ物だろ?
晟:この野蛮人め……。
ユウキ:ああ? 何か言ったか?(ばりばり)
晟:いいええ,何もぉ……ってユウキさん! それは蟹なんですが!?
ユウキ:あ? 蟹くらい知ってるよ。(ばりばり)
晟:じゃなくて,何で殻ごと食べてんですかアンタは!(一同爆笑)
悠貴:ちなみに,その海老も頭は残すものなんだけど……(笑)。
ユウキ:そうか? でも食えるぞ。
晟:食えるぞじゃねえ!
悠貴:世の中にはね,マナーってもんがね,あるんだけどね(笑)。
GM:給仕してくれてる人たちがくすくす笑いながら,「そんなに畏まって召し上がる必要はありませんわよ。おいしそうに食べていただけて嬉しいですわ」と言ってくれる。
晟:いやー,すみません,せっかくのご馳走を。何分この人野育ちなものでして……。
ユウキ:おい晟,この刺身いらねえなら食うぞ。
晟:あーっ!? とっておいた甘鯛の刺身がー!?
ユウキ:うるせえ! こういうのは早いもの勝ちなんだよ!
晟:人のお膳に手伸ばしておいて,早いもの勝ちも何もあるかっ!?
悠貴:晟,晟,君もやめなって。ほら,僕のぶんあげるから(笑)。
尚也:(一人淡々)ああ,すみません。彼にご飯をお櫃でやってください。これではせっかくのおかずがもったいない。
GM:しかし,うるせえ連中だなホント(笑)。ところで,遙はちゃんと食べてる?
遙:食べてるのですけど,かなりぼーっとしてます。やっぱり,すごく懐かしい感じがするのですけど……。
GM:(にやり)そうすると,不意にチャンネルが合う。
遙:は! チャンネル!?
GM:ちなみにその声は,「ああ,やっぱり懐かしいですねえ……」と言っている。
遙:はい……そうでなのです……。
GM/謎の声:「またここにこうして来られるとは,思ってなかったんですよ……」
遙:私はここに初めて来たですけど,何だかとてもあったかくて,気持ちいいのです……。
GM/謎の声:「それはそうですよ……ここは私の家ですから……」
遙:そうですね……そう言えばそうなのですね……。
尚也:と,一人でぼーっと呟いてるわけか。
一同:(笑)
悠貴:……ええと,遙ちゃんがチャネラーしてる?(笑)
尚也:てゆーか電波だろう。
遙:私は気にせず,一人でにこにこしています。
一同:怖っ。
ユウキ:俺はもはや気にしてねえぞ? 晟,それも食わねえならもらうからな。
晟:ああああっ!? 松茸の土瓶蒸し! それはひでえ! あんまりだ!
ユウキ:うるせえ黙れ! ……あ,美味いなこれ。
晟:じゃなくて,土瓶から松茸イッキ飲みするバカがどこの世界にいるんだあああっ!?
ユウキ:ここにいるだろ! てゆーか誰がバカだ誰が!?(殴る)
晟:はううっ!?
悠貴:えーと……だから2人とも,遙ちゃんがだね(笑)。
GM/謎の声:「ええと……楽しいお友達ですね……」
遙:はい……みんな大切な人なのです……。
GM/謎の声:「やっぱり,護りたいですよね……」
遙:はい……。
GM/謎の声:「明日はがんばりましょうね……」
遙:はい! 必ずがんばるです! 私,必ずやるのです!
尚也:何をだ。
一同:(爆笑)
GM:あー,ちなみに当然今の会話,周囲には遙が独り言言ってるようにしか聞こえないからね(笑)。
遙:は,はうー……。
悠貴:は,遙ちゃん,大丈夫?(笑)
遙:え,えーと大丈夫なのです。
晟:本当に大丈夫? 今,誰と話してたの?
遙:え,えーと……。
ユウキ:食わねえならこれももらうぞ。
悠貴:だから,あんたはぁ!(一同笑)
ユウキ:だってこいつ,全然食ってねえんだもん。(ばりばりばり)
晟:だからってユウキさんが食べていいとは言ってない! そして蟹はこーやって蟹フォーク使って身をほぐして蟹酢につけて食べるんですよ! ちょっと,聞いてます!?
ユウキ:うるせえ! これで食えるんだからいいんだよ!
GM:だからもうちょっと行儀よくしろよ,おまえらー?(笑) それはそうと,そんなこんなで食事も終わり,風呂に入って,夜が明けて……。
晟:(手を挙げて)あの,すいません。夜が明けてしまうのでしょうか。
GM:え? 何かやりたいことあるの?
晟:ええ。せっかくですので遙ちゃんの部屋に忍び込もうかと……。
GM:(即座に)却下。
一同:(笑)
晟:……い,いやっ,そうじゃなくてっ。夜這いかけるとかじゃなくってっ。
GM:違うの?
晟:そーゆーことはもう2,3年してから折を見て……ってそうでもなくて!
GM:何なんだよ(笑)。マトモなことをやるんならシーンたてますが?
晟:マトモっつーか,イタイことをやる気ではいますけどね。
GM:まぁ,あとで自分の首を締めてもいいならやってくれ。どうせリプレイ書くのはあんただ。
晟:ぐ,ぐっふう(笑)。
GM:ではシーンを変えよう。

 

SCENE 12


GM:じゃあシーン・プレイヤーは晟で。
遙:おや? それは私,強制的に出ろと言われている?
GM:言われている。
尚也:どうぞ侵蝕値を上げてくれたまえ(笑)。
GM:ちなみにここ,仕切りは襖なんで。大事なシーンでばたばたっと倒れてくるお約束もアリよ。
尚也:そんなことで侵蝕値を上げたくないがなぁ。
ユウキ:付き合いきれん。俺は寝る。
GM:そうなの? 面白いのに。
悠貴:面白いの?(笑)
晟:(咳払い)ちなみに遙ちゃんは何してるの?
遙:縁側に出てぼーっと月を眺めているのです。
晟:ではてこてこてこっと歩いて行って,その隣に正座します。
遙:私は気づいてません。
晟:遙ちゃーん?
遙:…………。
晟:気づいてないのね。では,そのまま後ろに回って,ポケットからペンダントを取り出して……。
悠貴:首を締める。
晟:何でやねん!(一同爆笑)
悠貴:ご,ごめん,つい(笑)。続けて続けて。
GM:え,何。必殺仕事人じゃないの?(笑)
遙:きゅうううう。
晟:だから,息の根止めてどーするっちゅーねん! あんたも止まってどーするっちゅーねん!
遙:はいはい,すみません(笑)。えーとペンダントをかけられたんなら,そこで気づいてあきちゃんを見上げます。
晟:えーと……うん。とりあえず,お休みなさいを言いに来ました(←何故敬語)。
遙:えーと……これは,何ですか?
晟:お守りです。
遙:お守りなのですか?
晟:そーなのです。昔,とーさんがかーさんにあげたんだそうです。
遙:え? でも,だったらすごく大切なものじゃないのですか?
晟:いいんです。僕がもらったんだから,僕の好きにしていいのです。
遙:でも……。
晟:僕が遙ちゃんにもらって欲しいんだから,いいのです。
遙:でもこれは,お父さんの大切な形見では……。
晟:(思わず)死んでねえよ。
遙:…………。おや?

 一同大爆笑。
 どうも遙プレイヤーには,最凶の場面でボケをかます悪癖があるようである。
 某「モガミバラ」発言とかな。

ユウキ:おまえ,次々人を殺すなぁ。自分の父親も殺してたしなぁ。
遙:はうう。すみませーん(笑)。
GM:はいはい。今のところ巻き戻して,やり直し。
遙:(←やり直し)でも,それはお父さんの大切な想い出の品ではないのですか?
晟:(←同じくやり直し)……昔,とーさんが僕よりも小さかったころにね。
遙:はあ。
晟:これをかーさんにあげて,ある約束をしたんだそうです。
遙:はあ……それじゃ,やっぱり想い出の品ではないですか。それをもらうわけには……。
晟:うーん,想い出の品は想い出の品なんですけど。
ユウキ:(ぼそぼそ)でもいい想い出ないしな。
GM:(ぼそぼそ)それを言うなそれを(笑)。
晟:(とりあえず無視)でもその約束はどうもご破算になってしまったようなので。いいのです。そのかわり僕が遙ちゃんに約束するから。
遙:何をですか?
晟:んー……。
遙:それって,何の約束なのですか?
晟:えーと,ここで予告通りイタイことをやります。
遙:ほえ?
晟:「んーと,つまり……」とか言いつつ,遙ちゃんの顔をのぞきこんで。
GM:ほお?
晟:そのままキスして,速攻逃げ出します。
GM:うぉホントにイテえ!
一同:(爆笑)
遙:…………。
晟:えーと。じゃ,そゆことでっ(笑)。
遙:…………。
GM:えーと遙さんや。何かリアクションとってくれ。
遙:えーと……ではお約束通り,真っ赤になって唇に手をあててます。
GM:うぉラブコメくさいっ!?
遙:(無視)それでペンダントをきゅうっと握って「あきちゃん……」とか呟いてみます。
GM:「たまちゃん……」じゃなくて?
一同:(再度爆笑)
晟:だぁら,何でなんだよおっ!?(泣)
GM:いやそれがお約束かなーと。
晟:どういうお約束だ!?
GM:えーとそれはともかくシーン変えます。いやー,確かにイタかったわ。
晟:ほっといてくれ。